特許第6409124号(P6409124)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6409124
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】エアロゾル装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 15/00 20060101AFI20181004BHJP
   A61M 15/08 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   A61M15/00 Z
   A61M15/08
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-510772(P2017-510772)
(86)(22)【出願日】2015年5月13日
(65)【公表番号】特表2017-515636(P2017-515636A)
(43)【公表日】2017年6月15日
(86)【国際出願番号】EP2015060663
(87)【国際公開番号】WO2015169974
(87)【国際公開日】20151112
【審査請求日】2017年2月23日
(31)【優先権主張番号】1408229.1
(32)【優先日】2014年5月9日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512297125
【氏名又は名称】ノートン (ウォーターフォード) リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パワー,ジェイムズ ノエル
(72)【発明者】
【氏名】カール,サイモン
(72)【発明者】
【氏名】ギブス,アンドリュー
【審査官】 川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−511257(JP,A)
【文献】 特表2003−522081(JP,A)
【文献】 特表2013−541378(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/033057(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 15/00
A61M 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入によって、口を通じて肺に、又は鼻孔に、計量された用量で医薬製剤を送達するためのエアロゾル装置であって:
活性成分と、推進剤と、任意的に共溶媒とを含む医薬製剤を収容するバイアルを含む加圧されたエアロゾルキャニスタ、当該エアロゾルキャニスタはさらに、バルブステムを有する計量バルブを含む;及び、
前記エアロゾルキャニスタのためのアクチュエータ、当該アクチュエータは送達出口とステムブロックとを含み、当該ステムブロックは、前記エアロゾルキャニスタの前記計量バルブのバルブステムが受けられ、軸方向に位置され、また、前記エアロゾルキャニスタの前記計量バルブをアクチュエートするために前記エアロゾルキャニスタのバイアルに対して変位可能である受け部と、当該受け部の下に延在する溜まり部とを有し、前記ステムブロックはさらに、前記医薬製剤を送達出口を通って配向させるように設計された排出オリフィスと、入口開口と出口開口とを有し、分配された用量の医薬製剤が前記溜まり部から前記排出オリフィスへ通過できるようにしている移送トンネルと、前記入口開口と出口開口との間の距離を規定する島の長さと、を規定しており、
前記入口開口と前記出口開口は、0.002から0.8mmの断面積を有し、前記入口開口の断面積は前記出口開口の断面積よりも小さく、かつ、前記島の長さが0.5mmから10mmである、
エアロゾル装置。
【請求項2】
前記入口開口の断面積の、前記出口開口の断面積に対する割合が、0.1:1から0.9:1である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記入口開口及び前記出口開口が、0.01から0.6mmの断面積を有する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記島の長さが、1mmから8mmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記移送トンネルの断面積が、前記入口開口から前記出口開口へと連続的に増加する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記入口開口及び前記出口開口が、円形である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記移送トンネルが、頂部が切断された円錐状である、請求項5又は6に記載の装置。
【請求項8】
前記送達出口がノーズピースで、医薬製剤の送達が鼻孔への送達である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記医薬製剤が溶液製剤である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記医薬製剤が懸濁液製剤である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記活性成分が、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ブデソニド、プロピオン酸フルチカゾン又はフロ酸モメタゾンから選択される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記活性成分が、ジプロピオン酸ベクロメタゾンである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル装置に関し、特に、肺又は鼻孔に医薬製剤を送達するためのエアロゾル装置に関する。
【0002】
肺又は鼻孔に薬剤を送達するためのエアロゾル装置は、気道の特定の疾患及び障害、鼻孔の疾患及び障害又は全身性疾患の、予防及び/又は治療に有用でありうる。
【0003】
エアロゾル装置は、薬剤を収容するバイアル(通常はシリンダー状)を含むエアロゾルキャニスタを含む。薬剤は、典型的には適当な推進剤と合わせられた活性成分である。薬剤は溶液製剤、又は、推進剤中に懸濁された製剤の形態でありえ、活性成分の溶解を容易化するための添加剤(例えば共溶媒)や、懸濁液を安定化するための添加剤(例えば界面活性剤)が加えられてもよい。バイアルは、軸方向に延在するバルブステムを有する計量バルブを備える。バイアルに対するバルブステムの変位が、エアロゾルとして薬剤一用量の分配を生じさせる。
【0004】
このようなエアロゾルキャニスタはまた、送達出口とステムブロックとを含むアクチュエータを含み、ステムブロックは排出オリフィスを有し、排出オリフィスを通って薬剤が口や鼻孔の中に放出されうる。
【0005】
エアロゾル装置の排出オリフィスは、口や鼻孔にフィットするように十分に幅が狭い。
【0006】
エアロゾル装置を出る薬剤の噴霧力は低いことが望ましい(すなわち、ソフトプルームが望ましい)。ソフトプルームは装置の使用者に快適さを提供するためである。また、薬剤のプルームは幅が狭いことが望ましい、そうすれば、薬剤プルームはアクチュエータの表面に停留することができず、マウスピースやノーズピースにフィットする。
【0007】
ソフトで幅が狭い特性のプルームを送達できる、肺又は鼻孔に薬剤を送達するためのエアロゾル装置に関する技術においては、ニーズが存在している。
【0008】
すなわち、本発明は、吸入によって、口を通じて肺に又は鼻孔に、計量された用量で医薬製剤を送達するためのエアロゾル装置であって:
活性成分、推進剤、及び、任意的に共溶媒を含む医薬製剤を収容するバイアルを含む加圧されたエアロゾルキャニスタ、当該エアロゾルキャニスタはさらにバルブステムを有する計量バルブを含む;及び、エアロゾルキャニスタのためのアクチュエータ、当該アクチュエータは送達出口及びステムブロックを含み、当該ステムブロックは、エアロゾルキャニスタの計量バルブのバルブステムが受けられかつ軸方向に位置し、エアロゾルキャニスタの計量バルブをアクチュエートするためにエアロゾルキャニスタのバイアルに対して変位可能である受け部と、当該受け部の下に延在する溜まり部と、を有し、前記ステムブロックはさらに、前記医薬製剤を前記送達出口を通って配向させるように設計された排出オリフィスと、入口開口と出口開口とを有し、分配された用量の医薬製剤がそこを通じて前記溜まり部から前記排出オリフィスへ通過できる移送トンネルと、前記入口開口と前記出口開口との間の距離を規定する島の長さと、を規定しており、前記入口開口と前記出口開口は、0.002から0.8mmの断面積を有し、前記入口開口の断面積は前記出口開口の断面積よりも小さく、前記島の長さが0.5mmから10mmである。
【0009】
本発明は次の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のエアロゾル装置を示す。
図2】加圧計量式吸入器(pMDI)の従来のバルブを示す。
図3】本発明のステムブロックの排出オリフィスを示す。
図4図3のステムブロックの排出オリフィスの切断斜視概略図を示す。
図5】本発明の移送トンネルの拡大図を示す。
図6】異なる排出オリフィスについてのプルーム幅とプルーム持続時間の効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のエアロゾル装置は、鼻孔の疾患及び障害、気道の疾患及び障害、又は全身性疾患の治療において用いられうる。鼻炎(例えばアレルギー性鼻炎)、喘息、及び、COPDが例示される。
【0012】
本発明のエアロゾル装置は、医薬製剤を収容する。医薬製剤は活性成分と推進剤とを含む。原則的に、可溶であるか製剤中に懸濁され、また、肺又は鼻腔を通じて作用するあらゆる薬学的な活性成分が、本発明で用いられうる。活性成分は、治療的に有効な量、すなわち、患者に投与される薬剤の計量された量が目的の治療的作用を発揮するために有効な薬剤量を含んでいる量、で本発明の製剤中に存在する。本発明の製剤は、溶液製剤、又は懸濁液製剤でありうる。
【0013】
本発明の製剤において用いられうる活性成分の非制限的な例は、次のとおりである。
【0014】
(i)ステロイド、例えば、アルコメタゾン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、クロベタゾール、デフラザコート、ジフルコルトロン、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、フルドロコルチゾン、フルニソリド、フルオシノロン、フルオメトロン、フルチカゾン、ヒドロコルチゾン、フロ酸モメタゾン、デカン酸ナンドロロン、硫酸ネオマイシン、リメキソロン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン及びトリアムシノロンアセトニド。ステロイドは、好ましくはジプロピオン酸ベクロメタゾン、ブデソニド、プロピオン酸フルチカゾン又はフロ酸モメタゾンである。ジプロピオン酸ベクロメタゾン(ジプロピオン酸ベクロメタゾン(INN)又は(8S,9R,10S,11S,13S,14S,16S,17R)-9-クロロ-11-ヒドロキシ-10,13,16-トリメチル-3-オキソ-17-[2-(プロピオニルオキシ)アセチル]-6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-ドデカヒドロ-3H-シクロペンタ[a]フェン-アンスレン-17-イル プロピオネート(IUPAC)とも称される)が特に好ましい。
【0015】
(ii)短期作用型、及び長期作用型β−アドレナリンアゴニスト。長期作用型β−アゴニスト(LABA)は、フォルモテロール、サルメテロール、インダカテロール、カルモテロール及びそれらの塩、すなわち、フマル酸フォルモテロール及びキシナホ酸サルメテロールを含む。短期作用型β−アゴニストは、サルブタモール、テルブタリン及びそれらの塩、例えば硫酸サルブタモールを含む。
【0016】
(iii)抗コリン剤、例えばムスカリン受容体拮抗剤、例えば、デキシピロニウム、グリコピロニウム、イプラトロピウム、オキシトロピウム、チオトロピウム、トロスピウム、トルテロジン、ソリフェナシン、ダリフェナシン、アクリディニウム、及び、フェソテロジン。
【0017】
(iv)抗ヒスタミン剤、例えばアゼラスチン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、レボセチリジン及びオロパタジン。
【0018】
(v)他の薬剤、例えば、ACE阻害剤、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、アルファ−ブロッカー、鎮痛剤。例えば、オピオイド、アンジオテンシンII受容体ブロッカー、抗不整脈剤、抗生物質、抗がん剤、抗凝固剤、抗うつ剤、制吐剤、抗菌剤、抗炎症剤、抗精神病剤、抗ウィルス剤、ビスホスホネート、カルシウムチャンネルブロッカー、利尿剤、ドーパミン作動薬、ホルモン剤、血糖降下剤、イムノグロブリン、ロイコトリエン受容体拮抗剤、局所麻酔剤、粘液溶解薬、麻酔剤、及び、鎮静解毒剤、硝酸塩、NMDA受容体拮抗剤、核酸、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤、ポリペプチド、カルシウムチャンネル調節剤、セロトニン刺激剤、セロトニン拮抗剤、禁煙薬及び交感神経様作用薬。
【0019】
本発明の製剤において用いられ得る活性成分は、好ましくは、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ブデソニド、プロピオン酸フルチカゾン及びフロ酸モメタゾンから選択される。ジプロピオン酸ベクロメタゾンが特に好ましい。
【0020】
治療的に有効な量の活性成分が送達される必要があり、この量は活性成分の性質によってさまざまである。典型的な範囲は1μgから1mgである。好ましい態様において、本発明のエアロゾル装置は、少なくとも50μgの活性成分の送達用量を提供し、より好ましくは少なくとも60μg、最も好ましくは少なくとも70μgであり、その時同時に望ましいプルーム特性が提供される。
【0021】
本発明のエアロゾル装置はまた、推進剤を収容する。好ましくは、推進剤はヒドロフルオロアルカン(HFA)推進剤であり、より好ましくはP134a(1,1,1,2-テトラフルオロエタン)、P227(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン)、又はそれらの混合物である。他のヒドロフルオロカーボン、炭化水素又は脂肪族ガス(例えばブタン又はジメチルエーテル)が、必要に応じて推進剤の特性を修正するために加えられうる。しかしながら、P134a及び/又はP227が唯一存在する推進剤であることが好ましい。推進剤は好ましくは、製剤の全重量に基づいて、80%から99%w/w、より好ましくは90から98%w/wである。
【0022】
本発明は、全てのタイプの医薬製剤を送達するためのエアロゾル装置に適用可能であるが、活性成分の共溶媒を含む医薬製剤の送達のために特に効果的である。一般的に、共溶媒は活性成分を可溶化するために存在しており、すなわち共溶媒の詳細な性質は、活性成分の性質に依存するだろう。しかしながら、共溶媒は好ましくはC2〜6の脂肪族アルコール、例えば、エタノール又はプロピレングリコールであり、好ましくはエタノールである。必要な時、共溶媒は、製剤中に存在する実質的にすべての薬剤を溶解し、商業的なエアロゾル製品が経験する時間及び条件の下で薬剤の溶解が維持されるために十分な量で、存在する。好ましくは、溶媒は、−20度まで温度が降下しても活性成分の沈殿が回避される量で存在する。溶媒は好ましくは無水物であるが、例えば薬剤の製造工程の間に原料によって吸収される微量の水は許容されうる。無水エタノールが特に好ましい。好ましくはエタノールである共溶媒は、典型的には、製剤の全重量に基づいて1−20%w/w存在し、より好ましくは6−15%w/w、最も好ましくは8%w/wである。
【0023】
本発明の医薬製剤は好ましくは実質的に界面活性剤を含まない。界面活性剤はしばしば、懸濁液を安定化するために懸濁液に添加される。しかしながら、本発明の製剤が溶液であるとき、界面活性剤は必要とされない。しかしながら、製剤に不利に影響しない限り少量は許容される。好ましくは、製剤は製剤の全重量に基づいて0.0005%w/wを超えない界面活性剤を含む。好ましくは、製剤は界面活性剤を含まない。
【0024】
本発明の医薬製剤は、攪拌やソニケーションによって、所望量の共溶媒中に所望量の活性成分を溶解することによって調製されうる。続いて、エアロゾルキャニスタが、公知の低温充填又は圧力充填の方法を用いて充填されうる。
【0025】
図1及び図2図2はWO99/47195から複製されている)を参照して、本発明のエアロゾル装置1は、従来のpMDIに基づいている。従って、装置1はアクチュエータ2を含み、アクチュエータ2は、吸入によって使用者の口を通じて肺に又は鼻孔に送達するための医薬製剤を収容する、加圧されたエアロゾルキャニスタ3が適合する。
【0026】
このようなエアロゾルキャニスタ3は、公知であり商業的に入手可能である。エアロゾルキャニスタ3は、典型的にはアルミニウム又はアルミニウム合金からなる。エアロゾルキャニスタ3の内部表面は、例えばPTFE又はFEPであるフルオロカーボンポリマーでコーティングされていてもよく、接着を促進するために、任意的に例えばPESのような非フッ素ポリマーと組み合わされてもよい。
【0027】
エアロゾルキャニスタ3は、標準的なデザイン及び仕様で構成されており、医薬製剤を収容する、実質的にシリンダー状のバイアル本体4を含む。医薬製剤は、活性成分と推進剤と、任意的に共溶媒を含む。
【0028】
エアロゾルキャニスタ3は、上述されたように医薬製剤が充填されている。バイアル本体4は、医薬製剤を加圧下で気密にシールするように本体の縁に圧着されたフェルール5を備える。
【0029】
エアロゾルキャニスタ3のフェルール5は、バルブ6の作動ごとに使用者に計量された量の医薬製剤を送達するようにデザインされた計量バルブ6を備える。計量バルブ6は、例えばConsort Medical plcや3M Drug Delivery Systemsのようなメーカーから入手可能な公知のタイプのものである。本発明の装置において使用するのに適した計量バルブのさらなる詳細については、WO99/47195を参照のこと。バルブ6は概要的には、計量チャンバー7と、フェルール5から外方に突出した細いチューブの形態であるバルブステム8を含む。バルブステム8は、バルブステム8を通じて計量された量の医薬製剤を分配させるように、バイアル4に対して軸方向に変位可能である。計量バルブ6は、計量された量の医薬製剤がステム8を通って計量チャンバーから放出されることを許容するように、バルブばね9の作用に対抗してバルブステム8をバルブ本体の中に変位させることによって、アクチュエートされる。医薬製剤の推進剤成分は、大気中に放出されるときの蒸発によって、活性成分の霧化を生じさせる。その後、バルブステム8がバルブばね9の作用でスタート位置に戻ることを許容されると、計量チャンバー7は医薬製剤で再び満たされる。
【0030】
図1をさらに参照して、エアロゾルキャニスタ3は、アクチュエータ2の本体10の開口した端部に受けられており、バルブステム8は、アクチュエータ2のステムブロック11によって受けられ、軸方向に位置されている。アクチュエータ本体10は成形されたプラスチック部品であり、ステムブロック11はアクチュエータ本体10の閉じた端部から立ち上がる突出部として成形されている。ステムブロック11は、エアロゾルキャニスタ3のバルブステム8が受けられ、軸方向に位置される受け部(通常はシリンダー状)を有する。受け部は、バルブステム8と締まりばめになるよう構成されている。
【0031】
アクチュエータ本体10は概略的に、実質的に円状の断面を有するスリーブ状の部材を規定し、当該スリーブ状の部材の中で、エアロゾルキャニスタ3はステムブロック11に対して軸方向に変位可能であり、バルブステム8が計量バルブ6をアクチュエートする。バルブ側ではない方のエアロゾルキャニスタ3の部分は、使用時に露出しており、使用者は、エアロゾルキャニスタをバルブステムに対して変位させるための圧力を手動で加えることができる。
【0032】
ステムブロック11は、送達出口に面した排出オリフィス14が備えられており、当該排出オリフィス14はステムブロックの受け部と流体的に接続されており、医薬製剤が、エアロゾルキャニスタからステムブロックの排出オリフィス14と送達出口12を通って、肺又は鼻腔へ通過できるようになっている。送達出口12はステムブロックの排出オリフィス14に直接に面しており、それゆえ、バルブステム8で生成されたエアロゾルプルームが、ステムブロックの排出オリフィス14と送達出口12を通って、肺や鼻孔に送達されうる。排出オリフィスはすなわち、エアロゾルプルームが送達出口を通って配向されるよう、設計されている。
【0033】
上述の点で同様でありながら、本発明のエアロゾル装置1は、次の点で従来のpMDIとは異なっている。
【0034】
本発明のエアロゾル装置1は、ステムブロック11のデザイン、特に移送トンネル13が、従来のpMDIから異なっている。従来のpMDIのステムブロックは、送達出口に面した排出オリフィスと合わせて成形されており、排出オリフィスはステムブロックの受け部と流体的に接続して、それゆえ、医薬製剤がエアロゾルキャニスタから、送達出口を通って通過できるようになっている。一方、本発明のエアロゾル装置1はステムブロック11を有し、ステムブロック11は、医薬製剤がそこを通って、エアロゾルキャニスタ3から、移送トンネル13、排出オリフィス14及び送達出口12を通って使用者の肺や鼻腔に達するように通過できるようになっている、移送トンネル13を備えている。
【0035】
移送トンネル13の寸法が、エアロゾル装置1から放出される噴霧プルームの特性に影響することが見出されている。具体的には、移送トンネル13の島の長さが長いほど、プルームは幅が狭くなることが見出されている(島の長さは、入口開口と出口開口との間の距離を規定する)。また、移送トンネル13の断面積が大きくなるほど、プルームは幅が狭くなることが見出されている。また、移送トンネル13の断面積が小さくなるほど、プルームの噴霧力が低くなる(すなわちプルームがソフトになる)ことが見出されている。
【0036】
噴霧プルームが使用者に快適である限り、良好な患者の許容度を提供するので、ソフトなプルームが望ましい。ソフトなプルームという言葉は、プルームの噴霧力が40mNよりも低いことを意味する。加えて、ソフトなプルームは、プルームが長い持続時間を有するとして説明されうる。すなわち、プルーム持続時間が長いほど、プルームはソフトである。噴霧力の値は、温度25度、圧力101KPa、相対湿度50%のコントロールされた条件下で測定される。インパクトプレートが垂直方向に備えられる。エアロゾル装置は、装置の排出オリフィスがインパクトプレートから30mmに位置するように可動なキャリッジに備え付けられる。エアロゾル装置はついでアクチュエートされ、インパクトプレートの最大圧縮力が記録される。試験される装置ごとに、6回のアクチュエーションが測定される。これらの6つの値の平均が、装置の噴霧力の値として記録される。測定は好ましくは作動速度70mm/s及び加速度7,000mm/sで行われるが、噴霧力はこれらの変数に顕著に影響されないため、これはクリティカルではない。
【0037】
幅が狭いプルーム(集中的なプルームとしても知られる)はまた、エアロゾル装置が、用量の大部分が使用者の肺や鼻孔に送達され、アクチュエータの表面に停留しないことを確実にするために、望ましい。また、プルームは、幅の狭い送達出口にフィットするように幅が狭くなければならない。鼻孔に送達される場合には送達出口がより小さいため、これが特に重要である。
【0038】
驚くべきことに、本発明者らは、入口開口と出口開口とを有し、入口開口は出口開口よりも小さく、入口開口及び出口開口が0.002から0.8mmの断面積を有し、移送トンネルの島の長さが0.5mmから10mmである移送トンネルは、幅が狭く、低い噴霧力(ソフトプルーム)を有する噴霧プルームを生じさせることを見出した。また、このタイプの移送トンネルは、シリンダー形状の移送トンネルよりも、閉塞する傾向が低いことが見出されている。この従来にない移送トンネルのデザインが、シリンダー形状の移送トンネルから得られる結果と相反して、幅が狭くソフトなプルームを生じさせることは驚くべきことである。移送トンネルの入口開口と出口開口とは、流体的に接続している。
【0039】
図3は、本発明のステムブロック11を示し、エアロゾルキャニスタの計量バルブのバルブステム8がその中で受けられ、軸方向に位置される受け部15と、排出オリフィス14を含む。
【0040】
図4は、図3と同じものであるが、ステムブロック11の半分が切除され、ステムブロック11の内側が示されている。ステムブロック11はまた、キャニスタのバルブステム8を軸方向に位置させるようにステムブロック15の受け部よりも幅が狭い、溜まり部17を含む(バルブステム8は図3に示されていない)。ステムブロック11は、溜まり部17から排出オリフィス14に延在する移送トンネル13を有することが示されている。移送トンネル13は、溜まり部17から排出オリフィス14への通路を規定している。つまり、移送トンネル13は、溜まり部17からステムブロック11の排出オリフィス14を流体的に接続している。送達出口、ステムブロックの排出オリフィス14及び移送トンネル13は、互いに整列しており、つまりそれらは実質的に同軸を有すると言える。すなわち、作動時には、医薬製剤はエアロゾルキャニスタ3から、溜まり部17、移送トンネル13、排出オリフィス14及び送達出口12を通過して、使用者の肺や鼻孔に入る。
【0041】
移送トンネルの出口開口18の断面積は、移送トンネルの入口開口16の断面積よりも広い。これは、出口開口の断面積が入口開口の断面積よりも大きいことを意味している(例えばmmで規定されうる)。このことは図3〜5に見ることができる。
【0042】
入口開口16の、出口開口18に対する断面積の割合は、エアロゾル装置の噴霧特性に顕著な効果を有することが見出されている。一つの実施態様において、入口開口16の出口開口18に対する断面積の割合は、0.1:1から0.9:1、好ましくは、0.2:1から0.5:1、最も好ましくは0.3:1から0.4:1(例えば0.36:1)である。
【0043】
移送トンネルの入口及び出口開口は、0.002から0.8mmの断面積を有し、好ましくは0.01から0.6mm、最も好ましくは0.03から0.4m(例えば、入口開口16の断面積が0.07mm、出口開口18の断面積が0.20mm)である。
【0044】
この範囲外の移送通路の断面積は、エアロゾル装置で使用されるのに望ましい特性を有さない噴霧プルームを提供する。
【0045】
移送トンネル13の島の長さは0.5から10mmである。好ましくは移送トンネル13の島の長さは1から8mmであり、最も好ましくは1から5mm(例えば2.5mm)である。移送トンネルの島の長さは、移送トンネルの入口開口から出口開口までの距離である。
【0046】
移送トンネル13の断面積は、入口開口16から出口開口18へと連続的に、或いは非連続的に、増加してよい。好ましくは、移送トンネル13の断面積は、入口開口16から出口開口18へ連続的に増加する(言い換えれば、出口開口18から入口開口16へテーパーとなっている)。
【0047】
移送トンネル13の入口及び出口開口の断面は、どのような形状でもよい。好ましくは入口及び出口開口は円形(すなわち断面)である。断面形状が円形である場合、移送トンネル13はその長さと直径で規定される。
【0048】
移送トンネル13は、出口開口18が入口開口16よりも大きい、どのような形状でもよい。移送トンネルの好ましい形状は、頂部が切断された円錐状、頂部が切断されたピラミッド状(例えば底面が、四角形の、五角形の、六角形の、又は、星形のピラミッド)、段状の頂部が切断された円錐状、段状の頂部が切断されたピラミッド状(例えば底面が、四角形の、五角形の、六角形の、又は、星形のピラミッド)である。移送トンネル13の特に好ましい形状は、頂部が切断された円錐状、すなわち、移送トンネル13の断面積が入口開口16から出口開口18へ連続的に増加し、入口及び出口開口16、18の両方が円形である。
【0049】
図1及び図4を参照して、上述のエアロゾル装置1の適用の前には、pMDIの通常の慣習のように使用者は装置1を数回シェイクする。装置1を使用するために、使用者は口又は鼻孔に送達出口12を挿入し、エアロゾルキャニスタ3の露出した端部を押す。バルブステム8に対するキャニスタ3の相対的な変位が計量バルブ6をアクチュエートし、計量された用量の医薬製剤が、エアロゾルキャニスタ3において計量チャンバーから放出される。製剤は溜まり部17を通過し、最終的に排出オリフィス14と送達出口12を通過する前に、移送トンネル13に入る。
【0050】
本発明は、吸入によって、口を通って肺へ、又は鼻孔へ、アトマイズされた医薬製剤を送達するためのものでありえる。
【0051】
鼻孔への送達の場合、エアロゾル装置は鼻内噴霧装置であり、送達出口12はノーズピースである。送達出口は、鼻孔への挿入に適合されたチューブ状のノーズピースでありえ、ノーズピースの円形の端部は、5から7.5mm(例えば約7.2mm)の直径を有することができる。送達出口、ステムブロックの排出オリフィス14及び移送トンネル13は、互いに並んでいてもよく、言い換えると、それらは実質的に同軸であってもよい。送達出口の軸は、実質的に、エアロゾルキャニスタ及びステムブロック11の受け部に対して垂直又は垂直に対して20°までの角度であってよい。好ましくは、ノーズピースの軸はアクチュエータ本体10のスリーブ状の部材と約80°の角度を規定していてもよい。ノーズピースはステムブロック11に直接的に面しており、それゆえ、バルブステム8で生成されるエアロゾルプルームは、ステムブロックの排出オリフィス14を通って、ノーズピースを通じて鼻孔に送達されることができる。
【0052】
鼻内噴霧装置は、鼻孔、特に鼻粘膜に薬剤を送達するためのものである。このような装置はまた、鼻孔の奥に位置する鼻介骨やリンパ組織を通じて体循環に薬剤を送達することもできるし、鼻孔の頂部の臭覚器官領域を通じて中枢神経系に薬剤を送達することもできる。
【0053】
肺への送達の場合、送達出口12はマウスピースである。このようなマウスピースは技術分野において公知である。例えば詳細は、Pharmaceutics-The Science of Dosage Form Design, Second Edition, Ed. M.E. Aulton, Churchill Livingstone, 2002, page 476以下を参照のこと。
【0054】
本発明は以下に実施例を参照して説明されるが、実施例は制限的な意図ではない。
【0055】
[実施例]
従来のエアロゾル装置及び本発明のエアロゾル装置について、複数の異なる寸法及び形状を有する移送トンネルを用いた排出オリフィスからの、異なる距離での、プルームの幅の値が測定された。また、プルーム持続時間の値が、複数の異なる寸法及び形状を有する移送トンネルを用いた本発明のエアロゾル装置について、測定された。
【0056】
試験された装置が表1にまとめられる。
【0057】
【表1】
【0058】
装置は、プラセボ製剤を収容したエアロゾルキャニスタが装着された。プラセボ製剤は、HFA推進剤を含んでいた。本発明のエアロゾル装置は、Proveris Scientific Corporation, Marlborough, MA, USAから入手可能であるSprayVIEW(登録商標)システムを用いた試験のためにアクチュエートされた。結果は図6に示される。
【0059】
表1及び図6から、移送トンネルの入口開口と出口開口との直径が等しい場合(項目1〜10)、プルームの持続時間は、開口の直径が小さい場合(すなわち、項目1〜4)に最高となる。しかしながら、プルーム幅は、より大きな開口(すなわち、項目8〜10)で最も低くなる。また図6から、入口開口と出口開口の直径が等しくない場合(項目11、12)、プルーム持続時間が高く、入口及び出口開口の直径が等しく小さい場合(すなわち、項目1〜4)の排出オリフィスで得られるのと等しいプルーム持続時間が得られる。また、項目11及び12の排出オリフィスのプルーム幅は小さく、入口開口と出口開口の直径が等しく大きい場合(すなわち、項目8〜10)の排出オリフィスで得られるのと等しい。従って、本発明のエアロゾル装置は、長いプルーム持続時間(すなわちソフトなプルーム)と小さな(すなわち幅が狭い)プルーム幅の両方を達成するという利点を提供する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6