(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6409129
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】移動通信システムの基地局装置
(51)【国際特許分類】
H04B 7/0413 20170101AFI20181004BHJP
H04B 1/40 20150101ALI20181004BHJP
【FI】
H04B7/0413 320
H04B1/40
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-517749(P2017-517749)
(86)(22)【出願日】2014年10月2日
(65)【公表番号】特表2017-535157(P2017-535157A)
(43)【公表日】2017年11月24日
(86)【国際出願番号】KR2014009340
(87)【国際公開番号】WO2016052787
(87)【国際公開日】20160407
【審査請求日】2017年5月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】508112782
【氏名又は名称】ケーエムダブリュ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】ムン,ヨンチャン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ナムシン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,チャンソプ
(72)【発明者】
【氏名】ナ,インホ
【審査官】
福田 正悟
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2013/0162495(US,A1)
【文献】
特開平08−331029(JP,A)
【文献】
特開平09−181660(JP,A)
【文献】
特表2013−513345(JP,A)
【文献】
特開2014−120842(JP,A)
【文献】
特開昭58−188940(JP,A)
【文献】
特開2007−019939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/0413
H04B 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信システムの基地局装置において、
MIMO(Multi Input Multi Output)経路のうち、第1の経路に関わる信号を送受信する第1のアンテナと、MIMO経路のうち、第2の経路に関わる信号を送受信する第2のアンテナを備えるアンテナシステムと、
前記第1の経路の送信信号を処理する送信フィルターと、前記第2の経路の受信信号を処理する受信フィルターを備える第1のデュプレクサと、
前記第1の経路の受信信号を処理する受信フィルターと、前記第2の経路の送信信号を処理する送信フィルターを備える第2のデュプレクサと、
第1のサーキュレータと第2のサーキュレータとで構成されている経路変更部と、
を含み;
前記第1のサーキュレータにおける1番、2番、及び3番端子はそれぞれ、前記第1のデュプレクサ、前記第1のアンテナ、及び前記第2のサーキュレータの3番端子と接続し、前記第1のサーキュレータにて1番端子を介して入力された信号は2番端子を介して出力し、2番端子を介して入力された信号は3番端子を介して出力し、3番端子を介して入力された信号は1番端子を介して出力し、
前記第2のサーキュレータにおける1番、2番、及び3番端子はそれぞれ、前記第2のデュプレクサ、前記第2のアンテナ、及び前記第1のサーキュレータの3番端子と接続し、前記第2のサーキュレータにて1番端子を介して入力された信号は2番端子を介して出力し、2番端子を介して入力された信号は3番端子を介して出力し、3番端子を介して入力された信号は1番端子を介して出力し、
前記第1のデュプレクサ及び第2のデュプレクサは、内部の送受信フィルターをサーキュレータを用いて接続する構造を有することを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
前記第1及び第2のアンテナは、互いに直交する偏波を発生するように設置することを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。
【請求項3】
移動通信システムの基地局装置において、
MIMO(Multi Input Multi Output)経路のうち、第1の経路に関わる信号を送受信する第1のアンテナと、MIMO経路のうち、第2の経路に関わる信号を受信する第2のアンテナを備えるアンテナシステムと、
前記第1の経路の送信信号を処理する送信フィルターと、前記第2の経路の受信信号を処理する受信フィルターを備えるデュプレクサと、
前記第1の経路の受信信号を処理する受信フィルターと、
第1のサーキュレータと第2のサーキュレータと、で構成されている経路変更部と、
を含み、
前記第1のサーキュレータにおける1番、2番、及び3番端子はそれぞれ、前記デュプレクサ、前記第1のアンテナ、及び前記第2のサーキュレータの3番端子と接続し、前記第1のサーキュレータにて、1番端子を介して入力された信号は2番端子を介して出力し、2番端子を介して入力された信号は3番端子を介して出力し、3番端子を介して入力された信号は1番端子を介して出力し、
前記第2のサーキュレータにおける1番、2番、及び3番端子はそれぞれ、前記受信フィルター、前記第2のアンテナ、及び前記第1のサーキュレータの3番端子と接続し、前記第2のサーキュレータにて、2番端子を介して入力された信号は3番端子を介して出力し、3番端子を介して入力された信号は1番端子を介して出力し、
前記デュプレクサは、内部の送受信フィルターをサーキュレータを用いて接続する構造を有することを特徴とする基地局装置。
【請求項4】
前記第1及び第2のアンテナは、互いに直交する偏波を発生するように設置することを特徴とする請求項3に記載の基地局装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信(PCS、Cellular、CDMA、GSM、LTE、など)システムの中継器をはじめとする基地局に関するものであり、特に、MIMO(Multi Input Multi Output)方式で処理される送信信号と受信信号との間でさらに向上した隔離度を提供できるようにするための移動通信システムの基地局装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムの中継器をはじめとする基地局に使用されるアンテナは様々な形態と構造を有し、最近の無線通信アンテナは、偏波ダイバーシティ方式を適用して2T2R(2Tx/2Rx)MIMO方式の二重偏波アンテナの構造を一般的に使用する。この場合に、各送受信経路の信号はそれぞれ、デュプレクサを用いて送信信号と受信信号とを隔離する構造を一般的に採用している。
【0003】
図1は、従来の一実施例に係る移動通信システムの基地局装置のブロック構成図であり、
図1には、一般的な移動通信基地局で使用される2T2R MIMO構造のアンテナシステム10と、これの各送受信経路に提供される第1及び第2のデュプレクサ20、21が開示される。アンテナシステム10には、2T2R構造において、第1の経路P0に関わる信号を送信及び受信する第1のアンテナAnt0;100と、第2の経路P1に関わる信号を送信及び受信する第2のアンテナAnt1;101が備えられ、第1及び第2のアンテナ100、101は、互いに直交する偏波を発生するように設置される。
【0004】
また、アンテナシステム10の第1及び第2のアンテナ100、101とそれぞれ接続し、第1及び第2の経路P0、P1の送受信信号をそれぞれ分離または結合するための第1及び第2のデュプレクサ20、21が備えられ、第1のデュプレクサ20は第1の送受信部(P0送受信部)30と接続し、第2のデュプレクサ21は第2の送受信部(P1送受信部)31と接続する。第1の送受信部30は第1の経路の送受信信号を処理し、第2の送受信部31は第2の経路P1の送受信信号を処理する。
【0005】
第1のデュプレクサ20は、第1の経路P0に関わる送信信号及び受信信号をそれぞれ処理する送信フィルターTx0;204及び受信フィルターRx0;206がT字ジャンクション(T-junction)202を用いて接続する構造を有し、第2のデュプレクサ21は、第2の経路P1に関わる送信信号及び受信信号をそれぞれ処理する送信フィルターTx1;214及び受信フィルターRx1;216がT字ジャンクション212を用いて接続する構造を有する。
【0006】
この時、第1の経路P0における送信信号と受信信号との隔離度は、第1の経路P0の送信フィルター204と受信フィルター206をT字ジャンクション202で接続した第1のデュプレクサ20の具現の際に発生する隔離度に該当する。つまり、第1のデュプレクサ20の送信端と受信端との間の隔離度が第1の経路P0における全体の送信及び受信の隔離度になる。同様に、第2の経路P1における送信信号と受信信号との隔離度は、送信フィルター214と受信フィルター216をT字ジャンクション212で接続した第2のデュプレクサ21の具現の際に発生する送信端及び受信端の隔離度に該当する。
【0007】
したがって、送信信号と受信信号との間の隔離度を増加するためには、第1及び第2のデュプレクサ20、21におけるフィルター特性(例えば、スカート特性)を向上させる方案が実質唯一のものと考慮されており、この場合に、各送信及び受信フィルターの段数を増加したり、隔離しようとする周波数にノッチ(notch)の個数を増加させる方案が一般的に採用される。しかし、このような方案は、フィルターのサイズと、制作及び生産の難易度が増加するという問題がある。
【0008】
また、移動通信のマーケットから要求されるより速い処理速度、及び向上された品質への対応のために、各基地局は小型(または超小型)セルとして進化しており、アンテナシステム及び基地局の装備が一体型として開発される傾向であることから、前記の送信フィルター及び受信フィルターで構成されるデュプレクサをさらに小さくて軽量にしようとする要求が高まっている。したがって、前記のようにデュプレクサのサイズと重さなどを考慮しながら前記送信信号と受信信号との間の隔離度を増加させることは非常に困難な課題であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、送受信経路の送信及び受信信号を処理するデュプレクサのサイズと重さを減らしながら、あるいはデュプレクサの開発と生産の難易度を下げながら、送信信号と受信信号との間の隔離度を高めたり、一定の要求レベルの隔離度を維持、かつ満足させることができる装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明の一つの特徴によると、移動通信システムの基地局装置において、MIMO(Multi Input Multi Output)経路のうち、第1の経路に関わる信号を送受信する第1のアンテナと、MIMO経路のうち、第2の経路に関わる信号を送受信する第2のアンテナを備えるアンテナシステムと、前記第1の経路の送信信号を処理する送信フィルターと前記第2の経路の受信信号を処理する受信フィルターとを備える第1のデュプレクサと、前記第1の経路の受信信号を処理する受信フィルターと前記第2の経路の送信信号を処理する送信フィルターとを備える第2のデュプレクサと、前記第1のデュプレクサから提供される送信信号は前記第1のアンテナに提供し、前記第1のアンテナから提供される受信信号は前記第2のデュプレクサに提供し、前記第2のデュプレクサから提供される送信信号は前記第2のアンテナに提供し、そして前記第2のアンテナから提供される受信信号は前記第1のデュプレクサに提供する経路変更部と、を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の他の特徴によると、移動通信システムの基地局装置において、MIMO(Multi Input Multi Output)経路のうち、第1の経路に関わる信号を送受信する第1のアンテナと、MIMO経路のうち、第2の経路に関わる信号を受信する第2のアンテナを備えるアンテナシステムと、前記第1の経路の送信信号を処理する送信フィルターと前記第2の経路の受信信号を処理する受信フィルターとを備えるデュプレクサと、前記第1の経路の受信信号を処理する受信フィルターと、前記デュプレクサから提供される送信信号は前記第1のアンテナに提供し、前記第1のアンテナから提供される受信信号は前記受信フィルターに提供し、前記第2のアンテナから提供される受信信号は前記デュプレクサに提供する経路変更部と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
前記のように、本発明に係る送信信号と受信信号との間の隔離度提供の装置は、例えば、後述する実施例により、送受信信号を処理するデュプレクサでの隔離度に加え、30〜50dBレベルの追加的な送受信信号の隔離度を得ることができる。
【0013】
従来の送受信信号を処理するデュプレクサは、フィルターの構造自体の隔離特性に依存する構造であることから、必要な隔離度を得るためには、比較的多くの個数(段数)以上の共振器とノッチ構造が必要であった。これに比べ、本発明を利用して30〜50dBの追加的な隔離度を得ると、同等の条件で比較的共振器の数が少なくても必要な隔離度を得ることができ、ノッチ構造の個数を減らすことで、フィルターの開発と生産の難易度を下げることができる。これを利用すると希望の高性能特性を満足しながら、より小さく、より軽いフィルターとデュプレクサの具現が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】従来の一実施例に係る移動通信システムの基地局装置のブロック構成図
【0015】
【
図2】本発明の第1の実施例に係る移動通信システムの基地局装置のブロック構成図
【0016】
【
図3】本発明の第2の実施例に係る移動通信システムの基地局装置のブロック構成図
【0017】
【
図4】本発明の第3の実施例に係る移動通信システムの基地局装置のブロック構成図
【0018】
【
図5】本発明の第4の実施例に係る移動通信システムの基地局装置のブロック構成図
【0019】
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る好適な実施例を添付した図面を参照して詳しく説明する。下の説明では、具体的な構成素子などの特定の事項が示されるが、これは本発明のより全般的な理解を助けるために提示したにすぎず、このような特定の事項に本発明の範囲内で所定の変形、あるいは変更が施されることは、この技術分野で通常の知識を有する者には自明であろう。また、添付の図面では、同一の構成要素については可能な限り同一の参照番号を付けた。
【0021】
図2は、本発明の第1の実施例に係る移動通信システムの基地局装置のブロック構成図であり、
図2には、
図1に示した従来例と同様に、一般的な移動体通信基地局で用いる2T2R MIMO構造のアンテナシステム10と、これの各送受信経路に提供する第1及び第2のデュプレクサ20、21が開示される。アンテナシステム10には、2T2R構造において、第1の経路P0に関わる信号を送信及び受信する第1のアンテナAnt0;100と、第2の経路P1に関わる信号を送信及び受信する第2のアンテナAnt1;101が備えられ、第1及び第2のアンテナ100、101は、互いに直交する偏波を発生するように設置される。
【0022】
このような構成で本発明の特徴により、アンテナシステム10の第1のアンテナ100は第2のアンテナ101と、第1及び第2のデュプレクサ20、21との間で第1及び第2の送受信信号経路を変更し、第1のデュプレクサ20から提供される送信信号は第1のアンテナ100に提供し、第1のアンテナ100から提供される受信信号は第2のデュプレクサ21に提供し、第2のデュプレクサ21から提供される送信信号は第2のアンテナ101に提供し、第2のアンテナ101から提供される受信信号は第1のデュプレクサ20に提供する経路変更部が備えられる。第1のサーキュレータ40及び第2のサーキュレータ41のペアとして構成する。
【0023】
より詳しく構成をみると、第1のサーキュレータ40は、1番端子を介して第1のデュプレクサ20と接続し、2番端子は第1のアンテナ100と接続し、3番端子は第2のサーキュレーター41の3番端子と接続するように設置され、1番端子を介して入力された信号は2番端子を介して出力し、2番端子を介して入力された信号は3番端子を介して出力し、3番端子を介して入力された信号は1番端子を介して出力する。
【0024】
第2のサーキュレータ41は、1番端子を介して第2のデュプレクサ21と接続し、2番端子は第2のアンテナ101と接続し、3番端子は第1のサーキュレータ40の3番端子と接続するように設置され、1番端子を介して入力された信号は2番端子を介して出力し、2番端子を介して入力された信号は3番端子を介して出力し、3番端子を介して入力された信号は1番端子を介して出力する。
【0025】
また、従来と類似に、アンテナシステム10の第1及び第2のアンテナ100、101とそれぞれ接続され、第1及び第2の経路P0、P1それぞれの送受信信号を分離または結合するための第1及び第2のデュプレクサ20、21が備えられ、第1のデュプレクサ20は、第1の送受信部(P0送受信部)30の送信信号を処理する送信フィルター204に加え、従来と異なる、第2の送受信部(P1送受信部)31の受信信号を処理する受信フィルター206’を備える。つまり、第1及び第2の経路の送受信信号の周波数帯域が同一であることから、実質的に第1のデュプレクサ20のハードウェア的な構造は前記
図1に示した従来の構造と同一であるが、受信フィルター206’は第2の送受信部31と接続して第2の経路の受信信号をフィルタリングするのに用いられる。
【0026】
同様に、第2のデュプレクサ21は、第2の送受信部(P1送受信部)31の送信信号を処理する送信フィルター214と、第1の送受信部30の受信信号を処理する受信フィルター216’とを備える。つまり、第2のデュプレクサ21は、受信フィルター216’が第1の送受信部30と接続し、第1の経路の受信信号をフィルターリングするために用いられる。
【0027】
第1のデュプレクサ20は、第1の経路に関わる送信信号を処理する送信フィルター204と、第2の経路に関わる受信信号を処理する受信フィルター206’がT字ジャンクション(T-junction)202を用いて接続する構造を有し、第2のデュプレクサ21は、第2の経路に関わる送信信号を処理する送信フィルター214と、第1の経路に関わる受信信号を処理する受信フィルター216’とがT字ジャンクション212を用いて接続する構造を有する。
【0028】
前記した構造により、第1のデュプレクサ20の第1の経路の送信フィルター204から送信された信号は、第1のサーキュレータ40を経てアンテナシステム10の第1のアンテナ100に提供され、空中(air)で放射される。空中からの第1の経路の受信信号は第1のアンテナ101に受信され、第1のサーキュレータ40を経て第2のサーキュレータ41に提供された後に、第2のデュプレクサ21の第1の経路の受信フィルター216’に提供される。この時、第1の経路の送信信号及び受信信号は、第1のデュプレクサ20及び第2のデュプレクサ21によって分離されることで完璧な隔離度が実現する。
【0029】
同様に、第2のデュプレクサ21の第2の経路の送信フィルター214から送信された信号は第2のサーキュレータ41を経てアンテナシステム10の第2のアンテナ101に提供され、空中(air)に放射される。空中からの第2の経路の受信信号は第2のアンテナ101に受信されて第2のサーキュレータ41に提供され、第2のサーキュレータ41から第1のサーキュレータ40に提供された後に、第1のデュプレクサ20の第1の経路の受信フィルター206’に提供される。このとき、第2の経路の送信信号及び受信信号は第1のデュプレクサ20及び第2のデュプレクサ21によって分離され、完璧な隔離度が実現する。
【0030】
前記
図2に示した構造を見てみると、本発明に係る装置は、サーキュレーターの40、41の方向性を利用して2T2R(または同等以上)MIMO基地局における送信端と受信端との隔離度を増加させる構造であることが分かる。
【0031】
より詳しく説明すると、1つのアンテナシステム10において第1及び第2のアンテナ100、101は互いに90度で直交するように設置し、空中(air)で信号を送受信する際に、アンテナ100、101間の直交(orthogonal)特性により、各アンテナ100、101間の送受信信号は通常30dBレベルの隔離度を得る。
【0032】
この時、例えば、第2の経路の受信フィルター206’は、T字ジャンクション212によって第1の経路の送信フィルター204と関連付けられているため、第1の経路の送信フィルター204の隔離特性によって隔離度が決定される。ところが、第1の経路の送信フィルター204と第2の経路の受信フィルター206’はそれぞれが結果的に、第1のアンテナ100及び第2のアンテナ101と接続することから、この二つのアンテナ100、101の直交特性によって約30dBレベルの隔離度が得られる。したがって第1の経路の送信信号と第2の経路の受信信号は各送受信フィルター204、206’の隔離度に加え、アンテナ100、101の隔離度30dBを得ることになる。第2の経路の送信信号と第1の経路の受信信号も同様に、該当の送受信フィルター214、216’の隔離度に加え、アンテナ100、101の隔離度を得ることになる。
【0033】
前記したように、本発明では、送信信号と受信信号との間の隔離度が、デュプレクサ固有の隔離度に加え、アンテナの直交特性によって得られる30dBレベルの追加の送受信信号の隔離度を得ることになる。これにより、送信信号と受信信号との間で要求される隔離度が、例えば90dBである場合に、本発明ではデュプレクサで60dBレベルの隔離度だけ満足するように具現することが可能である。これに比べて従来には、デュプレクサだけを利用して90dBの隔離度を満足させなければならないことから、デュプレクサの具現の際に構造及びサイズの側面からより大きな困難となっていた。
【0034】
図3は、本発明の第2の実施例に係る移動通信システムの基地局装置のブロック構成図である。
図3に示した第2の実施例に係る構造は、
図2に示した第1の実施例の構造とほとんど同じであるものの、第1及び第2のデュプレクサ20、21においてそれぞれの内部の送信フィルター及び受信フィルターの信号を分配及び結合する構造に違いがある。
【0035】
前記
図2に示した第1の実施例では、例えば、第1のデュプレクサ20は送信フィルター204と受信フィルター206’がT字ジャンクション202を用いて接続する構造を有するに対し、
図3に示した第2の実施例では、前記T字ジャンクション202の代わりに第3のサキュレータ203を使用する。より詳しく構成をみると、
図3に図示した第1のデュプレクサ20において、第3のサキュレータ203は、1番端子を介して送信フィルター204と接続し、2番端子は第1のサーキュレーター40の1番端子と接続し、3番端子は受信フィルター206’と接続するように設置される。この時、第3のサキュレータ203の1番端子を介して入力された信号は2番端子を介して出力し、2番端子を介して入力された信号は3番端子を介して出力する。
【0036】
同様に、第2のデュプレクサ21は送信フィルター214と受信フィルター216’が第4のサキュレータ205を用いて接続する構造を有し、第4のサキュレータ205は、1番端子を介して送信フィルター214と接続し、2番端子は第2のサーキュレータ41の1番端子と接続し、3番端子は受信フィルター216’と接続するように設置される。第4のサキュレーター205の1番端子を介して入力された信号は2番端子を介して出力し、2番端子を介して入力された信号は3番端子を介して出力する。
【0037】
前記
図3に図示された実施例では、例えば、第1の経路の送信信号と第2の経路の受信信号は、第3のサキュレータ203を経てサーキュレータ固有の隔離度である約20dBを追加で得ることになる。また、この信号はアンテナシステム10の分離度30dBを追加で得ることになり、全体的に約50dBの分離度を追加で得ることになる。同様に、第2の経路の送信信号と第1の経路の受信信号も約50dBの分離度を追加で得ることになる。
【0038】
図4は、本発明の第3の実施例に係る移動通信システムの基地局装置のブロック構成図である。
図4に示した第3の実施例に係る構造は、
図2に示した第1の実施例の構造とほとんど同じであるものの、第2のデュプレクサ21の代わりに、第1の経路の受信フィルター23が第2のサーキュレーター41の1番端子に接続する構造に違いがある。このように
図4に示した構造は、
図2に示した第1の実施例に係る構造と比較し、第2の経路の送信信号の処理に関する構成及び動作を有しない点を除き、
図2に示した第1実施例の構成及び動作と同一である。つまり、前記
図2及び
図3に図示した第1及び第2の実施例の構造は2T2R MIMO方式を具現するために適用した構造であるのに対し、
図4に示した構造は1T2R MIMO方式を具現するための構造であることが分かる。
【0039】
図5は、本発明の第4の実施例に係る移動通信システムの基地局装置のブロック構成図である。
図5に図示した第4の実施例に係る構造は、実質的に、前記
図4に図示した第3の実施例の構造を二重に採用した構造である。すなわち、
図5に示した構造は、
図4に示した1T2R MIMO方式を二重に備え、2T4R MIMO方式を具現するための構造であることが分かる。
【0040】
図6a及び
図6bは本発明の実施例の変形例である。例えば、
図2に示した第1の実施例では、第1のサーキュレータ40の方向性が順方向(時計回り)であり、第2のサーキュレータ41の方向性が逆方向(反時計回り)であることを図示している。ところが、実際の製品具現の際には順方向の両サーキュレーターの組み合わせで具現することが可能である。
【0041】
図6aに示すように、順方向のサーキュレーターa、bの組み合わせペアは全体的に4つの信号の循環伝達端子を有する非可逆回路構造(nonreciprocal circuit topology)を有する。このような構造で
図6bに示すように、順方向サーキュレーターペア40、42の各端子に第1のデュプレクサ20、第1のアンテナ100、第2のデュプレクサ21、第2のアンテナ101を接続することで、前記
図2に図示した第1の実施例の構造と論理的に同一構造を具現できる。
【0042】
前述のように本発明の一実施例に係る送信信号と受信信号との間の隔離度提供装置を構成することができ、その方案として前述の本発明の説明では具体的な実施例について説明したが、いくつかのバリエーションが本発明の範囲を逸脱することなく実施することができる。
【0043】
例えば、前述の説明では、アンテナシステム10において二つのアンテナが互いに直交する偏波を発生するように設置することで隔離度を得るものとして説明したが、他にも二つのアンテナは互いに直交しないで、空間的に適切な距離を置くように離間して設置することで分離度を確保する構造を有するように構成することもできる。
【0044】
また、前記
図2及び
図3に図示された第1及び第2の実施例では、2T2R MIMO方式に対応する構造を開示しているが、このような構造を二重(またはそれ以上の多重)に用いて4T4R(またはそれ以上の)MIMO方式を具現することも可能である。
【0045】
また、前記
図4及び
図5に図示した第3及び第4の実施例では、デュプレクサの構造がT字ジャンクション構造を用いて具現するものとして図示したが、他にも該当のデュプレクサの構造として、
図3のようにサーキュレーターを用いた構造を採用することもできる。
【0046】
このように、本発明の様々な変形及び変更があり、したがって、本発明の範囲は、説明された実施例により定まるものではなく、請求の範囲、及び特許請求の範囲と均等のものに基づいて定めなければならない。