特許第6409139号(P6409139)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6409139主ビーム方向決定装置、主ビーム方向決定方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6409139
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】主ビーム方向決定装置、主ビーム方向決定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/06 20060101AFI20181004BHJP
   H04B 7/08 20060101ALI20181004BHJP
   A63F 13/235 20140101ALI20181004BHJP
   A63F 13/25 20140101ALI20181004BHJP
   A63F 13/213 20140101ALI20181004BHJP
【FI】
   H04B7/06 960
   H04B7/08 810
   A63F13/235
   A63F13/25
   A63F13/213
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-558115(P2017-558115)
(86)(22)【出願日】2016年12月19日
(86)【国際出願番号】JP2016087750
(87)【国際公開番号】WO2017110732
(87)【国際公開日】20170629
【審査請求日】2017年12月18日
(31)【優先権主張番号】特願2015-251361(P2015-251361)
(32)【優先日】2015年12月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】千種 一政
【審査官】 佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−8893(JP,A)
【文献】 特表2014−525191(JP,A)
【文献】 特開2010−191826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/06
A63F 13/213
A63F 13/235
A63F 13/25
H04B 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドマウントディスプレイを装着しているユーザの像が含まれる画像を取得する画像取得部と、
前記画像内の、前記ユーザの姿勢が上下方向に延伸する場合における前記ユーザの頭部の像を含む領域を特定する領域特定部と、
複数の主ビーム方向の1次候補のうちから、前記領域内の位置に対応付けられる方向である2次候補を選択する2次候補選択部と、
前記2次候補のうちから、前記ヘッドマウントディスプレイとの通信における主ビーム方向を決定する主ビーム方向決定部と、を含み、
前記領域は、凸部を有する、
ことを特徴とする主ビーム方向決定装置。
【請求項2】
前記領域は、十字形状の領域である、
ことを特徴とする請求項1に記載の主ビーム方向決定装置。
【請求項3】
前記領域は、左右対称である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の主ビーム方向決定装置。
【請求項4】
前記画像内における、前記ユーザの頭部の像の中心線を特定する中心線特定部、をさらに含み、
前記領域特定部が、前記中心線を中心とする左右対称である領域を特定する、
ことを特徴とする請求項3に記載の主ビーム方向決定装置。
【請求項5】
前記凸部が占める領域は、前記ユーザの頭部の像より上の領域を含む、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の主ビーム方向決定装置。
【請求項6】
前記領域の大きさは、前記ユーザの頭部の像の大きさに比例した大きさである、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の主ビーム方向決定装置。
【請求項7】
ヘッドマウントディスプレイを装着しているユーザの像が含まれる画像を取得するステップと、
前記画像内の、前記ユーザの姿勢が上下方向に延伸する場合における前記ユーザの頭部の像を含む領域を特定するステップと、
複数の主ビーム方向の1次候補のうちから、前記領域内の位置に対応付けられる方向である2次候補を選択するステップと、
前記2次候補のうちから、前記ヘッドマウントディスプレイとの通信における主ビーム方向を決定するステップと、を含み、
前記領域は、凸部を有する、
ことを特徴とする主ビーム方向決定方法。
【請求項8】
ヘッドマウントディスプレイを装着しているユーザの像が含まれる画像を取得する手順、
前記画像内の、前記ユーザの姿勢が上下方向に延伸する場合における前記ユーザの頭部の像を含む領域を特定する手順、
複数の主ビーム方向の1次候補のうちから、前記領域内の位置に対応付けられる方向である2次候補を選択する手順、
前記2次候補のうちから、前記ヘッドマウントディスプレイとの通信における主ビーム方向を決定する手順、をコンピュータに実行させ、
前記領域は、凸部を有する、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主ビーム方向決定装置、主ビーム方向決定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信分野において、主ビーム方向の複数の候補のうちから、通信が行われた際の通信品質が高い方向を通信に用いられる主ビーム方向として決定する技術が知られている。このような技術の一例としては、ビームフォーミングにおけるセクタレベルスイープが挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、例えばゲームプログラムを実行するゲーム装置が生成する、ゲームのプレイ状況を表す動画像を無線でヘッドマウントディスプレイ(HMD)に送信し、当該動画像をHMDに表示させることが検討されている。このようにすると、HMDを装着したユーザは頭部を自由に動かしてゲームをプレイすることができる。
【0004】
このようなユーザがゲームをプレイしている状況においては、通信がなるべく途切れないようにするため通信に用いられる主ビーム方向の決定に要する時間を短くすることが重要となる。ここで例えば主ビーム方向の複数の候補のうちからユーザの頭部がある可能性が高い範囲の候補に絞り込んだ上で、これらの候補のうちから主ビーム方向を決定するようにすると、短時間で主ビーム方向が決定できる。
【0005】
主ビーム方向の候補の絞り込みを行うにあたって、ユーザがゲームをプレイしている状況ではユーザの頭部が動く方向に偏りがあることを踏まえると、より適切な絞り込みが行える。例えば、ジャンプの動作やしゃがむ動作によってユーザの頭部が上下方向に動いたり、首や体を傾ける動作によってユーザの頭部が前後左右に動いたりする可能性は高いが、左上、右上、左下、右下などといった斜め方向にユーザの頭部が動く可能性は低い。そのため例えばユーザの頭部に対して斜め方向である範囲については主ビーム方向の候補からは除外されることが望ましい。
【0006】
例えば上記のようにすると主ビーム方向の候補をより適切に絞り込めるが、従来技術ではユーザがゲームをプレイしている状況においてユーザの頭部が動く方向に偏りがあることを踏まえた主ビーム方向の候補の絞り込みは行われていなかった。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的の一つは、ゲームをプレイしている状況においてユーザの頭部が動く方向に偏りがあることを踏まえた主ビーム方向の候補の絞り込みを行える主ビーム方向決定装置、主ビーム方向決定方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る主ビーム方向決定装置は、ヘッドマウントディスプレイを装着しているユーザの像が含まれる画像を取得する画像取得部と、前記画像内の、前記ユーザの姿勢が上下方向に延伸する場合における前記ユーザの頭部の像を含む領域を特定する領域特定部と、複数の主ビーム方向の1次候補のうちから、前記領域内の位置に対応付けられる方向である2次候補を選択する2次候補選択部と、前記2次候補のうちから、前記ヘッドマウントディスプレイとの通信における主ビーム方向を決定する主ビーム方向決定部と、を含み、前記領域は、凸部を有する。
【0009】
本発明の一態様では、前記領域は、十字形状の領域である。
【0010】
また本発明の一態様では、前記領域は、左右対称である。
【0011】
この態様では、前記画像内における、前記ユーザの頭部の像の中心線を特定する中心線特定部、をさらに含み、前記領域特定部が、前記中心線を中心として左右対称となる領域を特定してもよい。
【0012】
また本発明の一態様では、前記凸部が占める領域は、前記ユーザの頭部の像より上の領域を含む。
【0013】
また本発明の一態様では、前記領域の大きさは、前記ユーザの頭部の像の大きさに比例した大きさである。
【0014】
また、本発明に係る主ビーム方向決定方法は、ヘッドマウントディスプレイを装着しているユーザの像が含まれる画像を取得するステップと、前記画像内の、前記ユーザの姿勢が上下方向に延伸する場合における前記ユーザの頭部の像を含む領域を特定するステップと、複数の主ビーム方向の1次候補のうちから、前記領域内の位置に対応付けられる方向である2次候補を選択するステップと、前記2次候補のうちから、前記ヘッドマウントディスプレイとの通信における主ビーム方向を決定するステップと、を含み、前記領域は、凸部を有する。
【0015】
また、本発明に係るプログラムは、ヘッドマウントディスプレイを装着しているユーザの像が含まれる画像を取得する手順、前記画像内の、前記ユーザの姿勢が上下方向に延伸する場合における前記ユーザの頭部の像を含む領域を特定する手順、複数の主ビーム方向の1次候補のうちから、前記領域内の位置に対応付けられる方向である2次候補を選択する手順、前記2次候補のうちから、前記ヘッドマウントディスプレイとの通信における主ビーム方向を決定する手順、をコンピュータに実行させ、前記領域は、凸部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る映像表示システムの全体構成の一例を示す図である。
図2A】本発明の一実施形態に係るヘッドマウントディスプレイの構成の一例を示す図である。
図2B】本発明の一実施形態に係る中継装置の構成の一例を示す図である。
図3】ユーザが装着するヘッドマウントディスプレイと中継装置との間での通信が行われている様子の一例を示す図である。
図4】角度φ及び角度θの組合せと、主ビーム方向との対応関係の一例を説明する説明図である。
図5】撮影画像の一例を示す図である。
図6】絞り込み領域の一例を示す図である。
図7】撮影画像の一例を示す図である。
図8】撮影画像の一例を示す図である。
図9】本発明の一実施形態に係る中継装置で実装される機能の一例を示す機能ブロック図である。
図10】1次候補セクタデータの一例を示す図である。
図11】本発明の一実施形態に係る中継装置において行われる処理の流れの一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る映像表示システム10の全体構成の一例を示す図である。図2Aは、本実施形態に係るヘッドマウントディスプレイ(HMD)12の構成の一例を示す図である。図2Bは、本実施形態に係る中継装置16の構成の一例を示す図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係る映像表示システム10は、HMD12とエンタテインメント装置14と中継装置16とディスプレイ18とカメラマイクユニット20とコントローラ22とを含んでいる。
【0020】
本実施形態に係るHMD12には、例えば図2Aに示すように、制御部30、記憶部32、通信部34、入出力部36、表示部38、センサ部40、音声出力部42が含まれる。
【0021】
制御部30は、例えばHMD12にインストールされるプログラムに従って動作するマイクロプロセッサ等のプログラム制御デバイスである。
【0022】
記憶部32は、例えばROMやRAM等の記憶素子などである。記憶部32には、制御部30によって実行されるプログラムなどが記憶される。
【0023】
通信部34は、例えばアレイアンテナが内蔵された無線LANモジュールなどの通信インタフェースである。本実施形態では図1に示すように、通信部34は、HMD12の前側上方に配置されている。
【0024】
入出力部36は、例えばHDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)ポート、USBポート、AUXポートなどの入出力ポートである。
【0025】
表示部38は、HMD12の前側に配置されている、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等のディスプレイであり、エンタテインメント装置14が生成する映像などを表示させる。また表示部38は、HMD12の筐体に収容される。表示部38は、例えばエンタテインメント装置14が出力して中継装置16で中継される映像信号を受信して、当該映像信号が表す映像を出力するようにしてもよい。本実施形態に係る表示部38は、例えば左目用の画像と右目用の画像を表示することによって三次元画像を表示させることができるようになっている。なお表示部38は三次元画像の表示ができず二次元画像の表示のみができるものであっても構わない。
【0026】
センサ部40は、例えば加速度センサやモーションセンサなどといったセンサである。センサ部40は、HMD12の回転量、移動量などの計測結果を所定のフレームレートで、制御部30に出力する。
【0027】
音声出力部42は、例えばヘッドホンやスピーカ等であり、エンタテインメント装置14が生成する音声データが表す音声などを出力する。音声出力部42は、例えばエンタテインメント装置14が出力して中継装置16で中継される音声信号を受信して、当該音声信号が表す音声を出力する。
【0028】
本実施形態に係るエンタテインメント装置14は、例えばゲームコンソール、DVDプレイヤ、Blu−ray(登録商標)プレイヤなどといったコンピュータである。本実施形態に係るエンタテインメント装置14は、例えば記憶されているゲームプログラムの実行や光ディスクに記録されたコンテンツの再生などによって映像や音声を生成する。そして本実施形態に係るエンタテインメント装置14は、生成される映像を表す映像信号や生成される音声を表す音声信号を、中継装置16を経由して、HMD12やディスプレイ18に出力する。
【0029】
本実施形態に係る中継装置16は、エンタテインメント装置14から出力される映像信号や音声信号を中継してHMD12やディスプレイ18に出力するコンピュータである。
【0030】
本実施形態に係る中継装置16には、例えば図2Bに示すように、制御部50、記憶部52、通信部54、入出力部56が含まれる。
【0031】
制御部50は、例えば制御回路、又は、中継装置16にインストールされるプログラムに従って動作するCPU等のプログラム制御デバイスである。
【0032】
記憶部52は、例えばROMやRAM等の記憶素子などである。記憶部52には、制御部50によって実行されるプログラムなどが記憶される。
【0033】
通信部54は、例えばアレイアンテナが内蔵された無線LANモジュールなどの通信インタフェースなどである。本実施形態では、図1に示すように、中継装置16の前側に、通信部54が含まれている。
【0034】
入出力部56は、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)ポート、USBポートなどの入出力ポートである。
【0035】
本実施形態に係るディスプレイ18は、例えば液晶ディスプレイ等であり、エンタテインメント装置14から出力される映像信号が表す映像などを表示させる。
【0036】
本実施形態に係るカメラマイクユニット20は、例えば被写体を撮像した画像をエンタテインメント装置14に出力するカメラ20a及び周囲の音声を取得して当該音声を音声データに変換してエンタテインメント装置14に出力するマイク20bを含んでいる。また本実施形態に係るカメラ20aはステレオカメラである。
【0037】
HMD12と中継装置16とは、例えば、無線通信によるデータの送受信が互いに可能になっている。エンタテインメント装置14と中継装置16とは、例えば、HDMIケーブルやUSBケーブルなどを介して接続されている。中継装置16とディスプレイ18とは、例えば、HDMIケーブルなどを介して接続されている。エンタテインメント装置14とカメラマイクユニット20とは、例えば、AUXケーブルなどを介して接続されている。
【0038】
本実施形態に係るコントローラ22は、エンタテインメント装置14に対する操作入力を行うための操作入力装置である。ユーザは、コントローラ22が備える方向キーやボタンを押下したり、操作スティックを傾けたりすることで、コントローラ22を用いて各種の操作入力を行うことができる。そして本実施形態では、コントローラ22は、操作入力に対応付けられる入力データをエンタテインメント装置14に出力する。また本実施形態に係るコントローラ22は、USBポートを備えている。そしてコントローラ22は、USBケーブルでエンタテインメント装置14と接続することで、有線で入力データをエンタテインメント装置14に出力することができる。また本実施形態に係るコントローラ22は、無線通信モジュール等を備えており、無線で入力データをエンタテインメント装置14に出力することができるようにもなっている。
【0039】
本実施形態では、HMD12と中継装置16との間では60GHz帯などといったミリ波による無線通信が行われる。ミリ波は直進性が強いため、主ビーム方向を適切に調整しないと通信品質の確保が難しい。本実施形態では、通信品質が高い方向が主ビーム方向として設定されるように調整することで通信品質が確保されることとなる。
【0040】
主ビーム方向を設定する技術の一例としてビームフォーミングが知られている。ビームフォーミングの処理は、セクタレベルスイープの処理とビームリファインメントの処理とから構成される。セクタレベルスイープでは主ビーム方向の複数の候補のうちから通信が行われた際の通信品質が高い方向がHMD12の主ビーム方向として決定される。本実施形態における通信品質としては、例えば、信号対雑音比(S/N比)や受信強度などが挙げられる。セクタレベルスイープによってHMD12の主ビーム方向が決定されると、その決定されたHMD12の主ビーム方向を微調整するビームリファインメントの処理が実行される。なおセクタレベルスイープもビームリファインメントも、HMD12の通信部34と中継装置の通信部54との間の通信(ネゴシエーション)によって行われる。
【0041】
図3は、ユーザ60が装着するHMD12と中継装置16との間での通信が行われている様子の一例を示す図である。図3には、中継装置16の主ビーム方向である方向d1が示されている。
【0042】
本実施形態では、主ビーム方向は、角度φ及び角度θの組合せで表現される。以下、角度φと角度θとの組合せを主ビーム角度パラメータ(φ,θ)と呼ぶこととする。図4は、角度φ及び角度θの組合せと、主ビーム方向との対応関係の一例を説明する説明図である。
【0043】
本実施形態では例えば、中継装置16に内蔵されたアレイアンテナが配置されている面に垂直な方向であって、中継装置16の後側から前側に向かう方向が、図4におけるX軸正方向に相当することとする。図3に示すように、中継装置16は、その前側がHMD12の方を向くように配置されている。また中継装置16に内蔵されたアレイアンテナが配置されている面に沿った方向であって、中継装置16の右側から左側に向かう方向(図3においては概ね左から右に向かう方向)が、図4におけるY軸正方向に相当することとする。また中継装置16に内蔵されたアレイアンテナが配置されている面に沿った方向であって、X軸正方向から見てY軸正方向を反時計回りに90度回転させた方向をZ軸正方向とする。そして本実施形態では図4に示すように、Z軸正方向から見た際における、X軸を基準として反時計回りを正とした角度を角度φとする。また、Z軸正方向となす角度を角度θとする。例えば、X軸正方向に相当する主ビーム角度パラメータ(φ,θ)は(0,+90)となる。なお本実施形態では主ビーム角度パラメータの値の単位は「度」であることとする。また本実施形態では、−180≦φ<+180であり、0≦θ≦180であることとする。
【0044】
図5は、本実施形態に係るカメラ20aが撮影する撮影画像62の一例を示す図である。図5に示す撮影画像62には、HMD12を装着したユーザ60の像が含まれている。本実施形態ではカメラ20aは所定のフレームレートで撮影画像62を生成する。図5に示す撮影画像62の右方向をx軸正方向、下方向をy軸正方向とする。ここで撮影画像62内の位置を表すx座標とy座標との組合せを撮影画像内座標パラメータ(x,y)と呼ぶこととする。
【0045】
そして本実施形態では、撮影画像62内の位置と主ビーム方向とは1対1で対応付けられている。本実施形態では例えば、主ビーム角度パラメータ(φ,θ)と、撮影画像内座標パラメータ(x,y)とは1対1で対応付けられる。
【0046】
図5の撮影画像62には、セクタレベルスイープにおける主ビーム方向の候補のそれぞれに対応付けられる位置が×印で示されている。以下、×印で示されている位置のそれぞれを1次候補セクタ対応位置と呼ぶこととする。そして1次候補セクタ対応位置に対応付けられる主ビーム方向の候補を、1次候補セクタと呼ぶこととする。図5には、120個の1次候補セクタのそれぞれに対応付けられる1次候補セクタ対応位置が示されている。
【0047】
本実施形態では、1次候補セクタのうちの、ユーザ60の像の撮影画像62内の位置に応じた一部が2次候補セクタとして選択される。この2次候補セクタの選択の際には、HMD12と中継装置16との間での通信(ネゴシエーション)は不要である。図5には、2次候補セクタであるか否かの境界である絞り込み領域Rが示されている。以下、×印で示されている1次候補セクタ対応位置のうちの一部である、2次候補セクタに対応付けられる位置を、2次候補セクタ対応位置と呼ぶこととする。図5の例では、120個の1次候補セクタ対応位置のうちの6個が、2次候補セクタ対応位置として選択されることとなる。
【0048】
本実施形態に係る絞り込み領域Rは、例えば、左右対称である十字形状の領域であり、長方形の中央部64、中央部64から上に延伸する長方形の凸部66、及び、中央部64から下に延伸する長方形の凸部68を有する。
【0049】
そして本実施形態に係る絞り込み領域Rは、例えば、中央部64、凸部66、及び、凸部68のそれぞれ中心のx座標が、ユーザ60の姿勢が上下方向に延伸する場合におけるユーザ60の頭部の像の中心のx座標と同じになるよう設定される。ここで例えば、公知の骨格判定技術や顔認識技術により、撮影画像62内における、ユーザ60の頭部の中心線が特定されてもよい。そして中央部64、凸部66、及び、凸部68のそれぞれ中心のx座標が、上述のようにして特定される中心線のx座標と同じになるようにしてもよい。
【0050】
また絞り込み領域Rは、凸部66及び凸部68の横の長さL1が、ユーザ60の頭部の像の横の長さと同じであり、中央部64の横の長さL2が、ユーザ60の頭部の像の横の長さの所定倍(例えば3倍)となるよう設定される。このように本実施形態に係る絞り込み領域Rの大きさは、ユーザ60の頭部の像の大きさに比例した大きさとなっている。
【0051】
また絞り込み領域Rにおける凸部66の上辺は、ユーザ60の頭部の像の中心よりも、長さL3(例えば実空間における50cmに相当する長さL3)だけ上の位置に設定される。ここで実空間における50cmに相当する長さL3は、例えば撮影画像62内におけるユーザ60の像の縦の長さと、ユーザ60の身長を示すデータとに基づいて特定可能である。また絞り込み領域Rにおける凸部66の下辺(中央部64の上辺)は、ユーザ60の頭頂部の像の位置に設定される。このように凸部66は、ユーザ60の頭部の像より上の領域を含んでいてもよい。また絞り込み領域Rにおける凸部68の上辺(中央部64の下辺)は、ユーザ60の胸の像の位置、又は、当該位置の少し下に設定される。また絞り込み領域Rにおける凸部68の下辺は、ユーザ60の腰の像の位置に設定される。以上で説明した、胸の像の位置や腰の像の位置は例えば骨格判定技術により特定可能である。なおユーザ60が座った状態でゲームをプレイしている場合も、以上で説明した形状の絞り込み領域Rが設定されても構わない。
【0052】
なお絞り込み領域Rの特定方法は上述のものに限定されない。例えば図6に示すように、上述の長さL3や、凸部66の縦の長さL4、凸部68の縦の長さL5、中央部64の縦の長さL6が、顔認識技術により特定される顔の縦の長さの所定倍の長さであっても構わない。またこれらの長さL3〜L6が、ユーザ60の像の縦の長さ(すなわち身長)に比例して設定されても構わない。
【0053】
また絞り込み領域Rが、所定の形状の領域(例えば十字形状の領域)を、撮影画像62内における、ユーザ60の頭部の像の大きさ(縦の長さ及び横の長さ)に比例するよう相似拡大させた領域であっても構わない。
【0054】
また絞り込み領域Rを管理するためのデータの形式は特に問わない。例えば、ユーザ60の頭部の像の中心の座標値及び上述の長さL1〜L6の長さを示すパラメータにより絞り込み領域Rの撮影画像62内における位置が管理されても構わない。また例えば、絞り込み領域Rに含まれる各頂点の座標値により絞り込み領域Rの撮影画像62内における位置が管理されても構わない。また例えば、絞り込み領域Rが所定の形状の領域を相似拡大させた領域である場合は、ユーザ60の頭部の像の中心の座標値及び縦横それぞれの拡大率(縮小率)により絞り込み領域Rの撮影画像62内における位置が管理されても構わない。
【0055】
本実施形態では例えば、所定のフレームレートで生成される撮影画像62に基づいて、ユーザ60の姿勢が上下方向に延伸しているフレームの撮影画像62が特定される。そして特定された撮影画像62に含まれるユーザ60の像に基づいて、撮影画像62内に上述したような絞り込み領域Rが設定される。そして設定された絞り込み領域R内の1次候補セクタ対応位置が、2次候補セクタ対応位置として選択される。そしてHMD12と中継装置16との間のネゴシエーションによって、選択された2次候補セクタ対応位置に対応付けられる2次候補セクタのそれぞれに対応付けられる方向を主ビーム方向とする通信を行った際の通信品質が確認される。そして、最も通信品質が高い2次候補セクタに対応付けられる方向が主ビーム方向として決定されることとなる。
【0056】
本実施形態では、上述のようにして通信品質を確認する主ビーム方向の候補を、撮影画像62内におけるユーザ60の頭部の像の位置に応じた一部に限定している。そのため本実施形態ではHMD12と中継装置16との間のネゴシエーションによって通信品質が確認されるセクタの数が従来のビームフォーミングよりも少ない。そのため本実施形態によれば従来のビームフォーミングよりも短時間で主ビーム方向が特定されることとなる。
【0057】
またユーザ60がゲームをプレイしている状況においてはユーザ60の頭部が動く方向には偏りがある。例えば、ジャンプの動作やしゃがむ動作によってユーザ60の頭部が上下方向に動いたり、首や体を傾ける動作によってユーザ60の頭部が前後左右に動いたりする可能性は高い。一方、左上、右上、左下、右下などといった斜め方向にユーザ60の頭部が動く可能性は低い。
【0058】
本実施形態ではこのようなユーザ60の頭部が動く方向の偏りを踏まえて、通信品質を確認する主ビーム方向の候補を図5に示すような凸部66や凸部68を有する形状の絞り込み領域R内の2次候補セクタ対応位置に対応付けられる2次候補セクタに限定している。このようにして本実施形態ではゲームをプレイしている状況においてユーザ60の頭部が動く方向に偏りがあることを踏まえた主ビーム方向の候補の絞り込みが行われることとなる。
【0059】
例えば図7には、ユーザ60が頭部を左に傾けた際の撮影画像62の一例が示されている。図8には、ユーザ60が体を左に傾けた際の撮影画像62の一例が示されている。図7図8に示す状況においても、ユーザ60の頭部の像は絞り込み領域R内に配置されることとなる。そのためユーザ60の頭部が動いた状況であっても、本実施形態によれば、絞り込み領域R内に対応付けられる2次候補セクタのうちから主ビーム方向を選択することで、通信品質が高い主ビーム方向が選択できることとなる。
【0060】
以下、本実施形態に係る中継装置16の機能並びに本実施形態に係る中継装置16で実行される処理についてさらに説明する。なお本実施形態に係る中継装置16は、主ビーム方向の複数の1次候補のうちから中継装置16の主ビーム方向を決定する主ビーム方向決定装置としての役割を担うこととなる。
【0061】
図9は、本実施形態に係る中継装置16で実装される機能の一例を示す機能ブロック図である。なお、本実施形態に係る中継装置16で、図9に示す機能のすべてが実装される必要はなく、また、図9に示す機能以外の機能が実装されていても構わない。
【0062】
図9に示すように、本実施形態に係る中継装置16は、機能的には例えば、1次候補セクタデータ記憶部70、画像取得部72、姿勢特定部74、絞り込み領域特定部76、2次候補セクタ選択部78、セクタレベルスイープ処理実行部80、ビームリファインメント処理実行部82、を含んでいる。1次候補セクタデータ記憶部70は、記憶部52を主として実装される。画像取得部72は、制御部50及び入出力部56を主として実装される。姿勢特定部74、絞り込み領域特定部76、2次候補セクタ選択部78は、制御部50を主として実装される。セクタレベルスイープ処理実行部80、ビームリファインメント処理実行部82は、制御部50及び通信部54を主として実装される。
【0063】
以上の機能は、コンピュータである中継装置16にインストールされた、以上の機能に対応する指令を含むプログラムを制御部50で実行することにより実装されてもよい。このプログラムは、例えば、光ディスク、磁気ディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等のコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体を介して、あるいは、インターネットなどを介して中継装置16に供給される。
【0064】
1次候補セクタデータ記憶部70は、本実施形態では例えば、1次候補セクタを示す1次候補セクタデータを記憶する。本実施形態に係る1次候補セクタデータには例えば、図10に示すように、1次候補セクタデータの識別情報である1次候補セクタIDと、上述の主ビーム角度パラメータ(φ,θ)と、上述の撮影画像内座標パラメータ(x,y)と、が含まれている。また本実施形態では、1次候補セクタデータ記憶部70は、図10に示すように、1次候補セクタデータを複数記憶する。また1次候補セクタデータが示す1次候補セクタは、主ビーム角度パラメータ(φ,θ)によって、基準となる向き(例えばX軸正方向)に対する角度に対応付けられている。また1次候補セクタデータにおいて、主ビーム角度パラメータ(φ,θ)と撮影画像内座標パラメータ(x,y)とは1対1で対応付けられている。本実施形態では例えば、図10に示すように、主ビーム角度パラメータ(φ,θ)のうちの角度φと撮影画像内座標パラメータ(x,y)のうちのx座標とは1対1で対応付けられる。また主ビーム角度パラメータ(φ,θ)のうちの角度θと撮影画像内座標パラメータ(x,y)のうちのy座標とは1対1で対応付けられる。
【0065】
画像取得部72は、本実施形態では例えば、HMD12を装着しているユーザ60の像が含まれる画像を取得する。画像取得部72は、本実施形態では例えば、カメラ20aが所定のフレームレートで撮影する、図5図7図8に例示する撮影画像62を、当該フレームレートで取得する。
【0066】
姿勢特定部74は、本実施形態では例えば、画像取得部72が取得する撮影画像62に基づいて、ユーザ60の姿勢を特定する。姿勢特定部74は、例えば、公知の骨格判定技術に基づく姿勢判定により、ユーザ60の姿勢が上下方向に延伸しているか否かを特定してもよい。
【0067】
絞り込み領域特定部76は、本実施形態では例えば、撮影画像62内の、ユーザ60の姿勢が上下方向に延伸している場合におけるユーザ60の頭部の像を含む領域を特定する。絞り込み領域特定部76は、本実施形態では例えば、姿勢特定部74が、画像取得部72が取得する撮影画像62に基づいて、ユーザ60の姿勢が上下方向に延伸していることが特定された際に、上述の絞り込み領域Rを特定する。なお絞り込み領域特定部76は、上述の各種パラメータの値を特定してもよい。絞り込み領域特定部76は、具体的には例えば、ユーザ60の頭部の像の中心の座標値及び上述の長さL1〜L6のうちの少なくとも1つを示す値、各頂点の座標値、ユーザ60の頭部の像の中心の座標値及び縦横それぞれの拡大率(縮小率)を特定してもよい。
【0068】
また絞り込み領域特定部76が、撮影画像62内における、上下方向に延伸する、ユーザ60の頭部の像の中心線を特定する中心線特定部を含んでいてもよい。そして絞り込み領域特定部76が、特定される中心線を中心とする左右対称となる絞り込み領域Rを特定してもよい。
【0069】
2次候補セクタ選択部78は、本実施形態では例えば、複数の主ビーム方向の1次候補のうちから、絞り込み領域R内の位置に対応付けられる方向である2次候補を選択する。2次候補セクタ選択部78は、本実施形態では例えば、絞り込み領域特定部76が特定した絞り込み領域R内の座標値を撮影画像内座標パラメータ(x,y)として含む1次候補セクタデータを、2次候補セクタを示す2次候補セクタデータとして選択する。なお2次候補セクタ選択部78による2次候補セクタの選択処理においては、HMD12と中継装置16との間の通信(ネゴシエーション)は不要である。なお2次候補セクタ選択部78が、絞り込み領域特定部76が特定する上述の各種パラメータの値に基づいて、2次候補セクタデータを選択してもよい。
【0070】
セクタレベルスイープ処理実行部80は、本実施形態では例えば、2次候補セクタ選択部78が選択した2次候補のうちから、HMD12との通信における主ビーム方向を決定する。セクタレベルスイープ処理実行部80は、本実施形態では例えば、2次候補セクタ選択部78が選択した2次候補セクタのそれぞれを主ビーム方向とした通信が行われた際の通信品質に基づいて、中継装置16の主ビーム方向を決定する。セクタレベルスイープ処理実行部80は、本実施形態では例えば、HMD12と中継装置16との間でのネゴシエーションにおいて、2次候補セクタ選択部78が選択した2次候補セクタのそれぞれを主ビーム方向とした通信における通信品質を確認する。そしてセクタレベルスイープ処理実行部80は、例えば、最も通信品質が高かった主ビーム方向を、中継装置16の主ビーム方向として決定する。
【0071】
ビームリファインメント処理実行部82は、本実施形態では例えば、セクタレベルスイープ処理実行部80が決定した主ビーム方向を微調整するビームリファインメント処理を実行する。ビームリファインメント処理についても、HMD12と中継装置16との間での通信(ネゴシエーション)によって行われる。
【0072】
以下、本実施形態に係る中継装置16において行われる、絞り込み領域Rの設定処理の流れの一例を、図11に示すフロー図を参照しながら説明する。本実施形態では例えば、姿勢特定部74が、画像取得部72が取得する撮影画像62に基づいて、ユーザ60の姿勢が上下方向に延伸していることを特定した際に、以下の処理が実行されることとする。
【0073】
上述のように、姿勢特定部74が、画像取得部72が取得する撮影画像62に基づいて、ユーザ60の姿勢が上下方向に延伸していることを特定したとする(S101)。すると絞り込み領域特定部76が、当該撮影画像62内のユーザ60の像の位置に基づいて、絞り込み領域Rを特定する(S102)。S102に示す処理では例えば、絞り込み領域Rを表現する上述の各種パラメータの値が特定される。
【0074】
そして2次候補セクタ選択部78が、S102に示す処理で特定された絞り込み領域Rに基づいて、1次候補セクタデータが示す1次候補セクタのうちから、2次候補セクタを選択する(S103)。ここでは例えばS102に示す処理で特定された絞り込み領域R内の座標値を撮影画像内座標パラメータ(x,y)として含む1次候補セクタデータが、2次候補セクタを示す2次候補セクタデータとして選択される。
【0075】
そしてセクタレベルスイープ処理実行部80が、S103に示す処理で特定されたすべての2次候補セクタについて、当該2次候補セクタが表す主ビーム方向での通信の際の通信品質を確認する(S104)。
【0076】
そしてセクタレベルスイープ処理実行部80が、S104に示す処理で最も高い通信品質であると特定された2次候補セクタが表す主ビーム方向を、HMD12の主ビーム方向として決定する(S105)。
【0077】
そしてビームリファインメント処理実行部82が、S105に示す処理で決定された主ビーム方向の微調整であるビームリファインメント処理を行う(S106)。そして本処理例に示す処理は終了される。なお上述したように、S101〜S103に示す処理ではHMD12と中継装置16との間のネゴシエーションは行われないが、S104〜S106に示す処理ではHMD12と中継装置16との間のネゴシエーションが行われる。
【0078】
以後、HMD12と中継装置16との間で通信が行われることとなるが、ここで例えばHMD12と中継装置16との通信品質が所定の品質以下となったとする。この場合に2次候補セクタの選択が再度実行される必要はない。具体的には、例えば上述のS104〜S106に示す処理だけが実行されるようにしてもよい。このようにすれば、HMD12と中継装置16との通信品質が悪くなっても、2次候補セクタの再選択が行われることなくセクタレベルスイープが行われる。そのためHMD12と中継装置16との通信品質が悪くなってから主ビーム方向が再度決定されるまでの時間が短縮できることとなる。
【0079】
なおS104〜S106に示す処理が終了してもHMD12と中継装置16との通信品質が所定の品質に達しない場合には、2次候補セクタの選択が再度実行される、すなわち例えばS101〜S106に示す処理が実行されるようにしても構わない。
【0080】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0081】
例えば、HMD12と中継装置16との通信品質が所定の品質以下となった際に、上述のS101〜S106に示す処理が実行されても構わない。
【0082】
また例えば、ユーザ60の姿勢が上下方向にまっすぐでないユーザ60の像が含まれる撮影画像62内に基づいて、絞り込み領域Rが設定されても構わない。この場合には例えば、当該ユーザ60の姿勢が上下方向に延伸している場合のユーザ60の頭部の位置と推定される位置に基づいて、絞り込み領域Rが設定されても構わない。
【0083】
また例えば、上述のS106に示す処理が終了してもHMD12と中継装置16との通信品質が所定の品質に達しない場合は、HMD12は、1次候補セクタすべてについて、当該1次候補セクタが表す主ビーム方向での通信の際の通信品質を確認してもよい。そしてこの場合に、HMD12は、最も高い通信品質であると特定された1次候補セクタが表す主ビーム方向を、HMD12の主ビーム方向として決定してもよい。またこの場合に例えば2次候補セクタとしては選択されることがない1次候補セクタが存在していてもよい。
【0084】
また例えば、ユーザ60が立った状態でゲームをプレイしている場合と、座った状態でゲームをプレイしている場合とで、絞り込み領域Rの形状が異なっていてもよい。
【0085】
また例えば、図9に例示する機能の一部又は全部が、エンタテインメント装置14で実装されても構わない。
【0086】
また例えば、絞り込み領域Rの形状は、図5図8に示すものに限定されない。また、上記の具体的な文字列や数値及び図面中の具体的な文字列や数値は例示であり、これらの文字列や数値には限定されない。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11