【文献】
CATR,Coexistence issues between D2D discovery and WAN,3GPP TSG RAN WG1 Meeting #77 R1-142361,2014年 5月19日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の無線機器が送信し、且つ、前記第2の無線機器が受信する前記信号は、PUSCH(Physical Uplink Shared Channel)信号であり、
前記無線リソースの情報は、前記PUSCH信号の送信に割り当てられる、周波数及び時間で識別されるリソースブロックの情報を含む、請求項1又は2のいずれか1項に記載の無線通信システム。
前記第2受信部で受信された前記識別情報を用いて、前記無線基地局が前記識別情報を用いて符号化して前記他の無線機器宛に送信した無線リソースの割当情報を復号する復号部と、
前記無線機器間通信に用いる無線リソースを、前記復号の結果が示す無線リソースと重複しない無線リソースに制御する制御部と、を備えた、請求項6に記載の無線機器。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。また、以下に説明する各実施形態は、適宜に組み合わせて実施しても構わない。なお、以下の実施形態で用いる図面において、同一符号を付した部分は、特に断らない限り、同一若しくは同様の部分を表す。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す図である。
図1に示す無線通信システム1は、例示的に、1又は複数の無線基地局10と、複数の移動局20−1〜20−N(#1〜#N)(Nは2以上の整数)と、を備える。ただし、
図1には、N=4の場合、すなわち、4台の移動局20−1〜20−4を例示している。移動局20−1〜20−Nを区別しなくてよい場合は、単に「移動局20」と表記することがある。
【0015】
無線基地局10は、無線エリア100を形成する。無線エリア100内に位置する移動局20が、無線基地局10と無線通信することが可能である。無線基地局100は、複数の無線エリア100を形成してもよい。無線エリア100は、無線基地局10が送信する無線電波の到達範囲に応じて定まる。無線電波の最大到達範囲は、無線基地局10の最大送信電力によって定まると捉えてよい。
【0016】
「無線エリア」は、「セル」、「カバレッジエリア」あるいは「通信エリア」と称してもよい。「セル」は「セクタセル」に分割されていてもよい。「セル」には、マクロセルやスモールセルが含まれてよい。スモールセルは、マクロセルよりも電波到達範囲(カバレッジ)の小さいセルの一例である。スモールセルは、カバレッジエリアに応じて呼称が異なってよい。例えば、スモールセルは、「フェムトセル」、「ピコセル」、「マイクロセル」、「ナノセル」、「メトロセル」、「ホームセル」等と称されてもよい。
【0017】
無線基地局10は、「ベースステーション(BS)」、「ノードB(NB)」あるいは「evolved NB(eNB)」と称されてもよい。
【0018】
移動局20は、セル100内に位置するときに無線基地局10と無線通信が可能な無線機器の一例である。移動局20は、無線装置、移動端末、端末装置、又は、ユーザ機器(UE)と称されてもよい。移動局20の一例は、携帯電話やスマートフォンである。ただし、移動局20は、車両や航空機、船舶等の移動体に固定された無線機器であってもよい。また、無線機器には、センサネットワークを成す、無線通信機能を具備したセンサデバイスやメータ(測定器)等が含まれてよい。
【0019】
移動局20と無線基地局10との間の無線通信は、「セルラー通信」と称してよい。セルラー通信の無線通信方式には、例示的に、3GPPのLTEやLTE−Advancedに準拠した無線通信方式を適用してよい。あるいは、移動局20と無線基地局10との間の無線通信には、「Worldwide Interoperability for Microwave Access, (WiMAX)」(登録商標)等の方式に準拠した無線通信方式を適用してもよい。
【0020】
無線基地局10は、
図1において図示を省略したコアネットワークに通信可能に接続されてよい。コアネットワークには、サービスゲートウェイ(SGW)やパケットデータネットワークゲートウェイ(PGW)、モビリティマネージメントエンティティ(MME)等が含まれてよい。コアネットワークを含む通信網は、アクセスネットワークと称されてよい。アクセスネットワークは、「Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network, E-UTRAN」と称されてもよい。
【0021】
無線基地局10は、コアネットワークと例えば有線インタフェースによって接続されてよい。当該有線インタフェースは、「S1インタフェース」と称されてよい。ただし、無線基地局10は、無線インタフェースによってコアネットワークと通信可能に接続されても構わない。
【0022】
また、無線基地局10は、
図1において図示を省略した他の無線基地局10と例えば有線インタフェースにより通信可能に接続されてよい。当該有線インタフェースは、「X2インタフェース」と称されてよい。ただし、無線基地局10は、他の無線基地局と無線インタフェースにより接続されても構わない。
【0023】
無線基地局10は、自局10が形成するセル100内に位置する移動局20との間のセルラー通信に無線リソースを割り当てる。無線リソースの割り当ては「スケジューリング」と称してもよい。移動局20は、無線基地局10から割り当てられた無線リソースを用いて無線基地局10とセルラー通信を行なう。
【0024】
無線リソースは、例示的に、時間及び周波数によって識別されてよい。例えば、無線リソースの識別は、無線通信システム1が利用可能な無線リソースを時間及び周波数によって分割した分割リソースの単位で行なわれてよい。分割リソースは、「リソースブロック(RB)」と称されてもよいし「リソースエレメント(RE)」と称されてもよい。
【0025】
REは、無線リソース割り当ての最小単位であってよく、例示的に、1つのサブキャリアの1つのシンボルとして定義されてよい。複数のREでREグループ(REG)が構成されてよい。また、複数のREで1つのRBが構成されてよい。例えば、周波数領域の12サブキャリア×時間領域の7シンボル又は6シンボルで1つのRBが構成されてよい。無線リソースの割り当て(スケジューリング)は、RBの単位で行なわれてよい。
【0026】
移動局20は、無線基地局10を介さずに他の移動局20とダイレクトに通信することが可能である。当該通信は、「Device to Device, D2D」通信、「無線機器間通信」あるいは「無線機器間直接通信」と称されてよい。
図1には、例示的に、UE20−1及びUE20−2のペアがD2D通信を行なう様子を模式的に例示している。
【0027】
なお、D2D通信は、セルラー通信のインフラストラクチャが稼働しているシナリオにおいても有用である。例えば、UE20は、遠方の無線基地局10を介さないで直接に近隣のUE20と通信することが可能なため、UE20の消費電力を低減可能である。また、セルラー通信のトラフィックをD2D通信にオフロードすることにより、コアネットワーク側の負荷を軽減することが可能である。
【0028】
D2D通信に用いる無線リソースも、無線基地局10が割り当ててよい。UE20は、無線基地局10から割り当てられた無線リソースを用いて他のUE20とD2D通信する。D2D通信を行なうUE20は、便宜的に「DUE」と称されてよい。これに対して、無線基地局10とセルラー通信を行なうUE20は、便宜的に「CUE」と称されてよい。UE20は、セルラー通信とD2D通信の双方をサポートしてよい。
【0029】
D2D通信及びセルラー通信に用いられる無線リソース(例えば、周波数リソース)の割り当てに関しては、周波数利用効率と干渉とのトレードオフの関係がある。例えば
図2(A)に模式的に示すように、D2D通信とセルラー通信とで使用する周波数リソースを異ならせることとすれば、D2D通信とセルラー通信との間の干渉は生じない。しかし、使用できる周波数リソースには限りがあるため、無線通信システム1としてのシステム容量が減少する可能性がある。
【0030】
これに対し、例えば
図2(B)に模式的に示すように、D2D通信とセルラー通信とで同じ周波数リソースを共用すれば、使用できる周波数リソースは
図2(A)の場合よりも増やせる。しかし、D2D通信とセルラー通信とで同じ周波数リソースが割り当てられると、無線電波の干渉が生じ得る。
【0031】
例えば、D2D通信の信号は、FDD(Frequency Division Duplex)のセルラー通信においてアップリンク(UL)の通信に割り当てられる周波数帯域を用いて伝送されてよい。したがって、D2D通信とULのセルラー通信とが干渉し得る。
【0032】
例えば
図1において、DUE20−1及びDUE20−2間のD2D通信と、CUE20−3及び20−4と無線基地局10との間のULのセルラー通信と、に同じ周波数リソースが割り当てられているとする。
【0033】
この場合、D2D通信とセルラー通信とが距離的に近いと互いに干渉が発生し易くなる。例えば、CUE20−3の無線基地局10へのUL送信(送信電波)が、DUE20−1のDUE20−2への送信電波に干渉する可能性がある。
【0034】
また、DUE20−1のDUE20−2への送信電波が、CUE20−3の無線基地局10へのUL送信(送信電波)に干渉する可能性がある。
【0035】
更に、セルラー通信を行なっているCUE20−4がセル端近傍に位置しているために、セルラー通信において送信電力の増加制御が実施されていると、セルラー通信がD2D通信に対して大きな干渉源となる。
【0036】
干渉が発生すると、結果的に、無線通信システム1としてのシステム容量が減少する等、無線通信性能が低下する可能性がある。
【0037】
そこで、本実施形態では、D2D通信とセルラー通信とで同じ無線リソース(例えば、周波数帯域)を共用する場合であっても、D2D通信とセルラー通信との間の干渉を回避可能にして、システム容量の増大化を図る。
【0038】
例えば、D2D通信を行なうDUE20は、干渉源に関する情報を無線基地局10に送信(「通知」又は「報告」と称してもよい。)してよい。干渉源に関する情報は、例示的に、ULのセルラー通信に割り当てられる無線リソースにおける干渉レベルを示す情報であってよい。
【0039】
例えば
図3に模式的に示すように、DUE20は、セルラー通信の信号を受信して干渉レベルを測定し、相対的に干渉レベルの高い無線リソースの情報(以下「干渉源リソース情報」と称することがある。)を無線基地局10に報告してよい。
【0040】
DUE20での干渉レベルの測定対象の信号は、例示的に、CUE20が、PUSCH(Physical Uplink Shared Channel)にて送信する信号であってもよいし、CUE20が送信するSRS(Sounding Reference Signal)でもよい。
【0041】
PUSCHの信号を測定対象とする場合、干渉源リソース情報は、PUSCHに割り当てられた無線リソース(例えば、RB)を示す情報であってよい。SRSを測定対象とする場合、干渉リソース情報は、SRS送信に用いられる無線リソース(例えば、サブフレーム及びサブバンド)を示す情報であってよい。
【0042】
図4に、SRS送信に用いられるサブフレーム及びサブバンドの一例を示す。
図4に例示するように、SRSは、例示的に、1サブフレーム(=1.0ms)周期で送信されてよい。1サブフレームには、0.5msのタイムスロット(TS)が2つ時間多重されてよい。1つのTSには、0番〜6番の7シンボルが時間多重されてよい。シンボルは、OFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing)シンボルであってよい。
【0043】
SRSは、セル単位で指定されるサブフレームにおいてUE20単位で指定されるTSのいずれかにて送信されてよい。別言すると、SRSの送信タイミングは、セルに個別のパラメータ(cell-specific parameter)と、UEに個別のパラメータ(UE-specific parameter)とで規定されてよい。セルに個別のパラメータは、当該セル内に位置するすべてのUE20が容易に参照できる情報の一例である。
【0044】
例示的に、SRSは、セル100(
図1参照)に対して指定された1サブフレームの最終シンボルにおいてUE20個別に指定された周波数リソースにて送信されてよい。別言すると、最終シンボルには、異なる複数のCUE20向けのSRSが周波数多重されてよい。
【0045】
図4には、4つのCUE20向けのSRSが、12サブキャリア(SC)から成るRB単位で且つ1SCおきの櫛歯(Comb)状に周波数多重される様子を例示している。したがって、
図4の例での干渉レベルの測定対象は、1サブフレームの最終シンボルである。また、干渉リソース情報は、SRSが多重されているRBを識別する情報(例えば、RB番号)と、櫛歯状の周波数多重パターンを識別する情報(例えば、櫛歯番号(comb index))と、の組み合わせであってよい。櫛歯番号は、SRSが周波数多重されたサブバンドを識別する情報の一例であると捉えてよい。
【0046】
無線基地局10は、DUE20から受信される干渉源リソース情報に基づき、DUE20に対して干渉源となっているCUE(以下「干渉源CUE」と称することがある。)20を特定(「識別」と称してもよい)する。無線基地局10は、どのCUE20に対してどの無線リソースを割り当てたか(別言すると、スケジューリングしたか)を把握(管理)しているので、干渉源リソース情報を基に干渉源CUE20を識別できる。
【0047】
干渉源CUE20が特定されると、無線基地局10は、第1の干渉回避方法又は第2の干渉回避方法によって、セルラー通信がD2D通信に与える干渉を低減する。
【0048】
第1の干渉回避方法では、無線基地局10は、DUE20に割り当てた無線リソースを干渉源CUE20に対して割り当てないように、無線リソースの割り当て(スケジューリング)を制御する。
【0049】
第2の干渉回避方法では、無線基地局10は、干渉源CUE20の識別子を、干渉源リソース情報の送信元DUE20に送信(「通知」と称してもよい。)する。干渉源CUE20の識別子の一例は、C−RNTI(Cell-Radio Network Temporary Identifier)であってよい。C−RNTIは、例示的に、セルラー通信のULの送信許可情報の符号化及び復号化に用いられる。セルラー通信のULの送信許可情報は、ULグラント(UL grant)と称されることがある。
【0050】
したがって、干渉源CUE20のC−RNTIを受信したDUE20は、当該C−RNTIを用いて干渉源CUE20宛のULグラントの復号を試行してよい。復号に成功すると、DUE20は、当該ULグラントによって干渉源CUE20に対して無線基地局10が割り当てた無線リソースの割当情報を検出できる。
【0051】
検出に成功すると、DUE20は、当該CUE20に割り当てられた無線リソースを用いてはD2D通信を行なわない(「抑止する」と称してもよい)。DUE20は、CUE20に割り当てられた無線リソースとは異なる無線リソースにてD2D通信を行なってよい。なお、D2D通信のデータ伝送(Communication)では、PUSCHベースの信号が送受信されてよい。
【0052】
ULグラントは、例示的に、無線基地局10からCUE20に対してダウンリンクの制御チャネル(Physical Downlink Control Channel, PDCCH)にて送信される。「ULグラント」を示す制御情報には、例示的に、ダウンリンク制御情報(DCI)として、CUE20がアップリンクの共有チャネル(PUSCH)を用いた送信に使用する周波数リソースの情報が含まれてよい。別言すると、「ULグラント」には、CUE20に対するULの無線リソースの割当情報が含まれてよい。なお、「ULグラント」を示す制御情報のフォーマットは、「DCIフォーマット0」あるいは「DCIフォーマット4」と称されることがある。
【0053】
図5に、無線基地局10でのPDCCHの送信信号の生成手順の一例を示す。
図5の(1)〜(2)に例示するように、無線基地局10は、DCIを誤り検出符号化してDCIに巡回冗長検査(Cyclic Redundancy Check, CRC)符号(ビット)を付加する。
【0054】
DCIに付加されるCRCビットは、
図5の(2)〜(3)に例示するように、PDCCHの宛先であるCUE20の識別子(C−RNTI)のビット表現によりマスク処理される。
【0055】
なお、C−RNTIは、恒久的な識別子ではなく、例えば、CUE20が無線基地局10に対して接続を要求する毎に割り当てられるような一時的な識別子の一例である。例示的に、C−RNTIは、CUE20が無線基地局10にランダムアクセスする時のランダムアクセス手順において無線基地局10によって当該CUE20に割り当てられてよい。
【0056】
C−RNTIによってマスク処理されたCRCビットが付加されたDCIは、
図5の(3)〜(4)に例示するように、誤り訂正符号化及びデータ変調を施され、これにより、PDCCHの送信信号が生成される。
【0057】
生成されたPDCCHの送信信号は、
図5の(4)〜(5)に例示するように、他のCUE20宛のPDCCHの送信信号と連結され、インタリーブされた後、時間及び周波数で識別される無線リソース(REG)にマッピングされて送信される。
【0058】
CUE20は、無線基地局10からPDCCHの信号を受信すべき無線リソースを無線基地局10から知らされていなければ、既定の探索範囲(「サーチスペース」と称してよい。)で受信信号の復号を試みる。
【0059】
CUE20は、復号結果に対して自身のC−RNTIでCRCビットのマスクを解除して誤り検出を行なう。誤りの無い復号結果が「ULグラント」を示す。「ULグラント」の復号に成功すると、CUE20は、例えば
図6に例示するように、「ULグラント」の受信から一定時間(例えば、4ms)経過後に、DCIに示される周波数リソースにてPUSCHの信号を送信する。
【0060】
このように、PDCCHにて送信される「ULグラント」のCUE20での復号処理には、当該CUE20のC−RNTIでCRCビットのマスクを解除する処理が含まれる。したがって、DUE20が、セルラー通信を行なう他のCUE20のC−RNTIを取得できれば、DUE20が、当該C−RNTIを用いてCUE20宛のPDCCHの信号の復号を試みることで、CUE20宛の「ULグラント」を復号できる。
【0061】
CUE20宛の「ULグラント」の復号に成功すれば、DUE20は、当該CUE20に割り当てられた周波数リソースを検出できる。したがって、DUE20は、CUE20に割り当てられた周波数リソースを用いたD2D通信を行なわないことで、D2D通信とセルラー通信との干渉を回避できる。なお、DUE20が、他のCUE20宛にPDCCHで送信されるPDCCHの信号(ULグラント)の復号を試行することは、「スニファリング」と称してもよい。
【0062】
(第1の干渉回避方法)
以下、上述した第1の干渉回避方法を実現する、無線基地局10、DUE20及びCUE20の構成例について、
図7〜
図9を参照して説明する。
図7は、無線基地局10の構成例を示すブロック図であり、
図8は、DUE20の構成例を示すブロック図であり、
図9は、CUE20の構成例を示すブロック図である。なお、以下において、DUE20は、便宜的に「DUE20D」と表記し、CUE20は、便宜的に「CUE20C」と表記することがある。
【0063】
(無線基地局10の構成例)
図7に示すように、無線基地局10は、例示的に、スケジューラ111、PDSCH生成部112A、PDCCH(ULグラント)生成部112B、物理チャネル多重部113、送信RF(Radio Frequency)部114、及び、送信アンテナ115を備える。
【0064】
スケジューラ111は、無線基地局10の動作を統括的に制御する制御部の一例、あるいは当該制御部に含まれる機能部の一例であると捉えてよい。PDSCH生成部112A、ULグラント生成部112B、物理チャネル多重部113、送信RF部114、及び、送信アンテナ115は、無線基地局10のDL送信系(送信部あるいは送信機)の一例を成すと捉えてよい。
【0065】
また、
図7に例示するように、無線基地局10は、UL受信系(受信部あるいは受信機)の一例として、受信アンテナ121、受信RF部122、及び、PUSCH復調部123を備える。
【0066】
スケジューラ111は、例示的に、D2D通信用の無線リソースの割当情報と、PUSCH用の無線リソースの割当情報と、の生成をサポートする。なお、「無線リソースの割当情報」は、単に「リソース割当情報」と称してよい。
【0067】
そのため、スケジューラ111は、例示的に、D2Dスケジューラ111Aと、PUSCHスケジューラ111Bと、を備える。
【0068】
D2Dスケジューラ111Aは、例示的に、D2D通信に用いてよい無線リソースを内部的に設定する。D2Dスケジューラ111Aは、いずれかのUE20からD2D通信用の無線リソースの割当要求を受信すると、D2D通信用の無線リソースの割当情報を生成する。
【0069】
PUSCHスケジューラ111Bは、例示的に、CUE20がPUSCHの送信に用いる無線リソース(以下「PUSCHリソース」と称することがある。)の割り当てを制御(スケジューリング)する。例えば、PUSCHスケジューラ111Bは、いずれかのUE20からPUSCHについての送信許可要求を受信すると、PUSCHリソースの割当情報を生成する。
【0070】
また、PUSCHスケジューラ111Bは、PUSCH復調部123から干渉源リソース情報を受信すると、PUSCHリソースの割り当て履歴を参照し、DUE20から受信した干渉源リソース情報が示すPUSCHリソースを割り当てた干渉源CUE20を特定(識別)する。なお、PUSCHリソースの割り当て履歴は、「PUSCHスケジューリング履歴」と称してもよい。「PUSCHスケジューリング履歴」は、例示的に、PUSCHスケジューラ111Bに備えられたメモリ(図示省略)に記憶されてよい。
【0071】
干渉源CUE20が特定されると、PUSCHスケジューラ111Bは、例示的に、干渉源リソース情報の送信元DUE20に割り当てた無線リソースを、干渉源CUE20に割り当て可能な候補PUSCHリソースから除外する。別言すると、PUSCHスケジューラ111Bは、干渉源リソース情報の送信元DUE20に割り当てた無線リソースと、干渉源CUE20に割り当てるPUSCHリソースと、の重複割り当てを禁止する。当該除外(又は禁止)の一例については後述する。
【0072】
PDSCH生成部112Aは、PDSCHにてDL送信する信号(PDSCH信号)を生成する。PDSCH信号は、例示的に、既述のコアネットワークから受信される、CUE20宛のDLデータ信号を基に生成される。データ信号は、「ユーザデータ」あるいは「ユーザ(U)プレーン信号」と称してもよい。
【0073】
PDCCH生成部112Bは、CUE20宛のPDCCH信号を生成する。PDCCH信号には、
図5に例示したようにDCI(ULグラント)が含められてよい。
【0074】
物理チャネル多重部113は、PDSCH生成部112A及びPDCCH生成部112Bで生成されたPDSCH信号及びPDCCH信号を多重化して送信RF部114へ出力する。
【0075】
送信RF部114は、物理チャネル多重部113にて多重化された物理チャネルの送信信号を無線周波数(RF)の信号(無線電波)に変換(例えば、アップコンバート)し、規定の送信電力にて送信アンテナ115へ出力する。
【0076】
送信アンテナ115は、送信RF部114からのRF信号を空間に放射する。
【0077】
受信アンテナ121は、いずれかのUE20が空間に放射した無線電波(別言すると、ULのRF信号)を受信して受信RF部122へ出力する。
【0078】
受信RF部122は、受信アンテナ121で受信されたULのRF信号を例えばベースバンド周波数の信号(以下「BB信号」と略称することがある。)に変換(例えば、ダウンコンバート)してPUCCH復調部123へ出力する。
【0079】
PUSCH復調部123は、受信RF部122からのBB信号に対して復調処理を施して例えばPUSCH信号を得る。PUSCH信号には、例示的に、コアネットワークへ送信されるユーザデータが含まれてよい。また、PUSCH信号には、D2D通信用のリソース割当要求が含まれてよい。復調されたリソース割当要求は、例示的に、D2Dスケジューラ111Aに与えられる。
【0080】
更に、PUSCH信号には、既述の干渉源リソース情報が含まれてよい。干渉源リソース情報は、例示的に、スケジューラ111(例えば、D2Dスケジューラ111B)に与えられてよい。したがって、受信RF部122及びPUSCH復調部123は、D2D通信を行なうDUE20から干渉源リソース情報を受信する受信部の一例であると捉えてよい。
【0081】
なお、送信アンテナ115と受信アンテナ121とは、例えばアンテナ共用器を用いてDLとULとで共用の送受信アンテナとして構成されてもよい。この場合、送信RF部114と受信RF部122とは、送受信RF部として共通化(あるいは一体化)されても構わない。
【0082】
また、各部111,112A,112B,113,114,122及び123の一部又は全部は、CPUやMPU、FPGA等の演算能力を備えた演算装置によって具現されてよい。当該演算装置は、「ハードウェアプロセッサ」あるいは「プロセッサデバイス」と称してもよい。
【0083】
(DUE20Dの構成例)
図8に示すDUE20Dは、セルラー通信とD2D通信とをサポートし、例示的に、
図3のDUE20−1又は20−2に相当する。
図8に例示するように、DUE20Dは、受信アンテナ211〜213、送信アンテナ214,215、受信RF部221〜223、及び、送信RF部224,225を備える。また、
図8のDUE20Dは、例示的に、PDSCH復調部231、干渉源リソース検出部241、及び、PUSCH生成部242を備える。
【0084】
更に、
図8のDUE20Dは、例示的に、D2Dデータ信号復調部251、DS検出部252、DS応答検出部253、スケジューラ261、DS応答生成部262、DS生成部263、D2Dデータ信号生成部264、及び、切替部265を備える。
【0085】
なお、「DS」は、「ディスカバリ信号」の略称である。DSは、D2D通信を行なうDUE20を探索(ディスカバリ)するために送信される信号の一例である。DSは、例示的に、CUE20に共通の識別子(cell-specific ID)に基づいて生成され、CUE20に共通の無線リソースにて送信されてよい。
【0086】
DSには、D2D通信の無線リンクを確立するための信号の一例として、DUE20どうしで既知の信号との相関検出用信号(「シーケンス」と称されることがある。)が含まれてよい。DSには、シーケンスに付随する情報の一例として制御情報を伝送する信号(「メッセージ」と称されることがある。)が含まれてよい。
【0087】
「シーケンス」のフォーマットには、例示的に、物理ランダムアクセスチャネル(Physical Random Access Channel, PRACH)やSRS(Sounding Reference Signal)のフォーマットを利用してよい。「メッセージ」のフォーマットには、例示的に、PUSCHのフォーマットを利用してよい。「メッセージ」を用いて伝送される制御情報は、例示的に、100ビット程度の情報量であってよい。「シーケンス」と「メッセージ」とは、異なる物理チャネルにて送信されてよい。
【0088】
受信アンテナ211は、セルラー通信におけるDLのRF信号を受信して受信RF部221へ出力する。
【0089】
受信RF部221は、受信アンテナ211で受信されたDLのRF信号を例えばBB信号にダウンコンバートしてPDSCH復調部231に出力する。
【0090】
PDSCH復調部231は、受信RF部221からのBB信号に対して復調処理を施すことによりPDSCH信号を復調する。復調したPDSCH信号がD2D通信用のリソース割当情報を示す場合、当該リソース割当情報は、スケジューラ261に与えられる。なお、D2D通信用のリソース割当情報が周波数リソースの割当情報である場合、当該割当情報は、「D2Dキャリア情報」と称してもよい。
【0091】
受信アンテナ212は、セルラー通信におけるULのRF信号を受信して受信RF部222へ出力する。
【0092】
受信RF部222は、受信アンテナ221で受信されたULのRF信号を例えばBB信号にダウンコンバートして干渉源リソース検出部241に出力する。受信RF部222は、無線基地局10とセルラー通信するCUE20が送信する信号を受信する第1受信部の一例であると捉えてよい。
【0093】
干渉源リソース検出部241は、受信RF部222から入力されたBB信号について干渉レベルの測定を行ない、相対的に干渉レベルの高い無線リソースを検出し、検出した無線リソースを識別可能な干渉源リソース情報を生成する。干渉源リソース情報は、例示的に、PUSCH生成部242に与えられる。
【0094】
例えば、干渉源リソース検出部241は、ULのセルラー通信の受信信号の干渉レベルをPUSCHに割り当てられた周波数リソース毎に測定してよい。干渉レベルは、干渉電力(「セルラー干渉電力」)として測定されてもよいし、D2D通信のデータ信号の受信信号品質を示す指標として測定されてもよい。受信信号品質の指標の非限定的な一例としては、SINR(Signal to Interference plus Noise Ratio)やSIR(Signal to Interference Ratio)、SNR(Signal to Noise Ratio)、RSSI(Receive Signal Strength Indication)、ビットエラーレート(BER)等が挙げられる。
【0095】
セルラー干渉電力を測定する場合、セルラー干渉電力が所定の電力閾値以上の周波数リソースを干渉源リソースとして検出してよい。SINRは、D2D通信におけるD2Dデータ信号の受信電力を、セルラー干渉電力で除することで求めてよい。SINRが、所定の閾値以下である周波数リソースを干渉源リソースとして検出してよい。
【0096】
検出される干渉源リソースは、1つのサブフレームにおける1又は複数のRBに対応することもあるし、複数のサブフレームにおける1又は複数のRBに対応することもある。したがって、干渉源リソース情報は、RB番号、又は、サブフレーム番号及びRB番号の組み合わせによって表示されてよい。あるいは、干渉源リソース情報は、干渉源リソースに対応するRB番号をビットマップ形式で表示した情報であってもよい。
【0097】
受信アンテナ213は、D2D通信において他のDUE20Dが送信したRF信号を受信して受信RF部223へ出力する。
【0098】
受信RF部223は、受信アンテナ223で受信されたD2D通信の受信RF信号を例えばBB信号にダウンコンバートして、D2Dデータ信号復調部251と、DS検出部252と、DS応答検出部253とに出力する。
【0099】
D2Dデータ信号復調部251は、受信RF部223から入力されたBB信号を復調してD2D通信のデータ信号を得る。D2D通信が既述のようにPUSCHを用いて実施される場合、D2Dデータ信号復調部251は、PUSCH信号を復調するPUSCH復調部251であってよい。
【0100】
DS検出部252は、受信RF部223から入力されたBB信号からDSを検出する。当該DSは、例示的に、D2D通信のペアを成すDUE20Dを探索するために他のDUE20DがDS生成部263によって生成し送信したDSに相当する。DS検出部252でのDSの検出に応じて、DS応答生成部262によってDS応答信号が生成される。
【0101】
DS応答検出部253は、受信RF部223にて受信された信号から、DS生成部263によって生成され他のDUE20宛に送信されたDSに対するDS応答信号を検出する。DS応答信号が検出されたことは、例示的に、スケジューラ261に通知される。DS応答信号の検出に応じて、他のDUE20とのD2D通信のペアが形成される。
【0102】
スケジューラ261は、セルラー通信とD2D通信とを制御する制御部の一例である。例示的に、スケジューラ261は、D2D通信用のリソース割当要求をPUSCH生成部242に送信する。PUSCH生成部242は、当該リソース割当要求の受信に応じて、当該リソース割当要求を含む、無線基地局10宛のPUSCH信号を生成する。
【0103】
また、スケジューラ261は、上述したD2D通信用のリソース割当要求に対する応答としてのリソース割当情報がPDSCH復調部231にて復調されると、当該リソース割当情報をPDSCH復調部231から受信する。スケジューラ261は、当該リソース割当情報の示す周波数リソースにてD2D通信が行なわれるよう、D2Dデータ信号復調部251及びD2Dデータ信号生成部264を制御する。
【0104】
PUSCH生成部242は、セルラー通信におけるULデータ信号を含むPUSCH信号を生成して送信RF部224へ出力する。PUSCH信号にて、スケジューラ261から受信された、D2D通信用のリソース割当要求が送信されてよい。また、PUSCH生成部242は、干渉源リソース検出部241で検出された干渉源リソース情報を含むPUSCH信号を生成して送信RF部224へ出力する。
【0105】
送信RF部224は、PUSCH生成部242で生成された、ベースバンド周波数のPUSCH信号をRF信号に変換(アップコンバート)して送信アンテナ214に出力する。PUSCH生成部242及び送信RF部224は、干渉源リソース検出部241で検出された干渉源リソース情報を無線基地局10へ送信する送信部の一例であると捉えてよい。
【0106】
送信アンテナ214は、送信RF部224からのRF信号を空間へ放射する。
【0107】
DS生成部263は、D2D通信のペアを成す他のDUE20Dを探索するためのDSを生成する。当該DSは、他のDUE20DのDS検出部252にて検出される。
【0108】
D2Dデータ信号生成部264は、例えばスケジューラ261から受信したデータ信号を含むD2D通信の送信データ信号を生成する。D2D通信が既述のようにPUSCHを用いて実施される場合、D2Dデータ信号生成部251は、PUSCH信号を生成するPUSCH生成部251であってよい。
【0109】
切替部265は、例えばスケジューラ261による制御に応じて、DS応答生成部262、DS生成部263及びD2Dデータ信号生成部264の出力のいずれかを選択的に送信RF部225に出力する。切替部265がスケジューラ261によって切り替え制御されることで、D2D通信(送信)が制御される。
【0110】
送信RF部225は、切替部265の出力信号であるBB信号をRF信号に変換(アップコンバート)して送信アンテナ215に出力する。
【0111】
送信アンテナ215は、送信RF部225からのRF信号を空間へ放射する。
【0112】
なお、セルラー通信のDLの受信アンテナ211及びULの受信アンテナ212と、D2D通信の受信アンテナ213と、のいずれか又は全部は、1つの受信アンテナとして共用化(一体化)されてよい。同様にして、セルラー通信のDLの受信RF部221及びULの受信RF部222と、D2D通信の受信RF部223と、のいずれか又は全部は、1つの受信RF部として共用化されてよい。
【0113】
また、セルラー通信のULの送信アンテナ214とD2D通信の送信アンテナ215とは、1つの送信アンテナとして共用化されてよい。同様にして、セルラー通信のULの送信RF部224とD2D通信の送信RF部225とは、1つの送信RF部として共用化されてよい。
【0114】
更に、受信アンテナ211〜213並びに送信アンテナ214及び215の一部又は全部は、1つの送受信アンテナとして共用化されてよい。同様にして、受信RF部221〜223並びに送信RF部224及び225の一部又は全部は、1つの送受信RF部として共用化されてよい。
【0115】
また、各部221〜225,231,241,242,251〜253及び261〜265の一部又は全部は、CPUやMPU、FPGA等の演算能力を備えたハードウェアプロセッサと称してもよい。
【0116】
(CUE20Cの構成例)
図9は、セルラー通信をサポートするCUE20Cの構成例を示すブロック図である。
図9に例示するCUE20Cは、例えば
図3のCUE20−3に相当し、CUE20−1及び20−2間のD2D通信に対する干渉源となるUEの一例である。
【0117】
図9に示すCUE20Cは、例示的に、受信アンテナ211、受信RF部221、PDCCH復調部232、及び、PDSCH復調部231を備える。また、
図9に示すCUE20Cは、例示的に、送信アンテナ214、送信RF部224、及び、PUSCH生成部242を備える。
【0118】
受信アンテナ211及び受信RF部221は、
図8に例示したDUE20Dの受信アンテナ211及び受信RF部221と同一若しくは同様の機能を具備する。
【0119】
PDCCH復調部232は、受信RF部221からのBB信号に対して復調処理を施すことによりPDCCH信号を復調する。当該復調処理には、誤り訂正復号化等の復号処理が含まれてよい。復調したPDCCH信号がセルラー通信におけるPUSCH用のリソース割当情報を示す場合、当該リソース割当情報は、PUSCH生成部242に与えられる。
【0120】
PUSCH生成部242は、PUSCH用のリソース割当情報によって示されるPUSCHリソースにて送信するPUSCH信号を生成する。PUSCH信号には、例示的に、セルラー通信におけるULデータ信号が含まれる。
【0121】
送信RF部224は、PUSCH生成部242で生成された、PUSCH信号をRF信号に変換(アップコンバート)して送信アンテナ214に出力する。
【0122】
送信アンテナ214は、送信RF部224からのRF信号を空間へ放射する。
【0123】
なお、受信アンテナ211と送信アンテナ214とは、1つの送受信アンテナとして共用化されてよい。同様にして、受信RF部221と送信RF部224とは、1つの送受信RF部として共用化されてよい。また、各部221,224,232及び242の一部又は全部は、CPUやMPU、FPGA等の演算能力を備えたハードウェアプロセッサによって具現されてよい。
【0124】
(動作例)
以下、上述のごとく構成された無線通信システム1における、セルラー通信とD2D通信との干渉回避方法の一例について、
図10に例示するシーケンス図を参照して説明する。
【0125】
無線基地局10は、予めD2D通信用の周波数リソースの設定を行なう(処理P11)。当該設定は、
図7に例示したスケジューラ111(D2Dスケジューラ111A)によって実施されてよい。
【0126】
図10には、非限定的な一例として、10個のRB#0〜#9がD2D通信に利用可能な周波数リソースに設定される様子を例示している。D2D通信用の周波数リソースは、単に「D2Dリソース」と称してもよい。
【0127】
D2Dリソースの設定完了後に、例えばDUE#1が、D2Dリソースの割当要求を無線基地局10に送信したとする(処理P12)。D2Dリソースの割当要求は、例えば、
図8に例示したスケジューラ261及びPUSCH生成部242を通じて送信アンテナ214からPUSCHにて送信される。
【0128】
無線基地局10は、DUE#1が送信したD2Dリソースの割当要求をPUSCH復調部123にて受信、復調し、復調したD2Dリソースの割当要求をD2Dスケジューラ111Aに与える。D2Dスケジューラ111Aは、D2Dリソースの割当要求の受信に応じて、D2D通信リソースに設定したRB#0〜RB#9のうちのいずれか(例示的に、RB#1)をDUE#1に対して割り当てることを決定する(処理P13)。
【0129】
なお、D2Dリソースの割り当ては、動的でもよいが、無線基地局10とDUE20との間の通信量をなるべく抑えるために、「準静的」であってよい。「準静的」とは、静的(固定)でなくてよいが「動的」ほどの頻度で変更されないことを意味する、と捉えてよい。
【0130】
RB#1の割り当て決定に応じて、無線基地局10は、RB#1のリソース割当情報を例えばPDSCHにてDUE#1宛に送信する(処理P14)。当該リソース割当情報を含むPDSCH信号は、例えば
図7に例示したPDSCH生成部112Aによって生成される。当該リソース割当情報のPDSCH信号による送信は、無線リソース制御(RRC)の一例であると捉えてよい。
【0131】
DUE#1は、D2Dリソース(RB#1)のリソース割当情報を受信した後、DS生成部263(
図8参照)によってDSを生成して送信する(処理P15)。当該DSは、
図10の例では、DUE#2にて受信される。
【0132】
DUE#2は、当該DSをDS検出部252(
図8参照)にて検出すると、DS応答生成部262によってDS応答信号を生成してDUE#1宛に送信する(処理P16)。DUE#1は、DS応答信号の受信をDS応答検出部253にて検出すると、当該DS応答信号の送信元DUE#2とD2D通信のペアを形成する。
【0133】
一方、無線基地局10とセルラー通信を行なうCUE#3は、ULグラントの送信要求を無線基地局10へ送信する。無線基地局10は、CUE#3からULグラントの送信要求を受信すると、PUSCHスケジューラ111B(
図7参照)によって、当該CUE#3がUL送信に使用してよい周波数リソースの割り当てを決定する(処理P17)。
図10の例では、RB#1がCUE#3に割り当てられることを例示している。
【0134】
CUE#3に割り当てる周波数リソースRB#1が決定すると、無線基地局10は、RB#1を示すリソース割当情報を含むULグラントをULグラント生成部112B(
図7参照)によって生成して例えばPDCCHにてCUE#3宛に送信する(処理P18)。
【0135】
CUE#3は、PDCCH復調部232(
図9参照)によりULグラントの受信、復調及び復号に成功すると、
図6に例示したように4ms後に、当該ULグラントが示すRB#1を用いてUL送信(PUSCH信号の送信)を行なう(処理P19)。
【0136】
ここで、CUE#3が送信するPUSCH信号は、DUE#1−DUE#2間のD2D通信の干渉となり得る。例えば、DUE#2は、D2D通信に対する、CUE#3が送信するPUSCH信号の干渉レベルを測定し、相対的に干渉レベルの高い干渉源リソースを干渉源リソース検出部241(
図8参照)にて検出する(処理P20)。
【0137】
図10の例では、RB#1が干渉源リソースとして検出されるので、DUE#2は、RB#1を示す干渉源リソース情報を例えばPUSCHにて無線基地局10に報告する(処理P21)。干渉源リソース情報を含むPUSCH信号は、
図8に例示したPUSCH生成部242にて生成される。
【0138】
無線基地局10は、
図7に例示したPUSCH復調部123にて干渉源リソース情報(RB#1)を受信、復調すると、当該干渉源リソース情報をスケジューラ111(PUSCHスケジューラ111B)に与える。PUSCHスケジューラ111Bは、PUSCHリソースの割り当て履歴を参照して、干渉源リソース情報が示すRB#1を割り当てたCUE#3を特定する(処理P22)。当該CUE#3は、DUE#1−DUE#2間のD2D通信に対する干渉源CUE#3である。
【0139】
干渉源CUE#3が特定されると、PUSCHスケジューラ111Bは、処理P13でD2D通信用に割り当てたRB#1と重複しないPUSCHリソース(例えば、RB#2)を選んでCUE#3に割り当てる(処理P23)。
【0140】
ここで、
図11(A)〜
図11(D)を参照して、上述した干渉レベル測定及びスケジューリングの流れの一例を説明する。なお、
図11(A)〜
図11(D)には、干渉レベル測定を行なうDUE20がDUE#0であり、9台のCUE#0〜#8に対するPUSCHリソース(RB#0〜RB#8)のスケジューリングが行なわれる例を図示している。なお、RB#0〜RB#8は、セルラー通信とD2D通信とで共用される無線リソースの一例である。
【0141】
図11(A)に例示するように、DUE#0(
図10のDUE#2に相当)は、干渉源リソース検出部241(
図8参照)によって、サブフレーム番号#n(nは1以上の整数)の干渉レベル(例えば、SIR)測定を行なう。
【0142】
当該測定の結果を基に、干渉源リソース検出部241は、
図11(B)に例示するように、SIRが閾値(例えば、0dB)以下のRBを干渉源リソースとして検出する。
図11(B)の例では、RB#1、RB#3、RB#4及びRB#8が、それぞれSIRの閾値以下(NG)である干渉源リソースとして検出されている。
【0143】
したがって、DUE#0は、RB#1、RB#3、RB#4及びRB#8を示す干渉源リソース情報を無線基地局10へ報告する。
【0144】
無線基地局10は、当該干渉源リソース情報を受信すると、PUSCHスケジューラ111Bによって、
図11(C)に例示するような、サブフレーム#nのスケジューリング履歴を基に、DUE#0にとっての干渉源CUE20を特定する。
図11(C)の例では、RB#1を割り当てたCUE#3、RB#3を割り当てたCUE#7、RB#4を割り当てたCUE#2、及び、RB#8を割り当てたCUE#8が、それぞれ、DUE#0に対する干渉源CUE20として特定される。
【0145】
PUSCHスケジューラ111Bは、図示を省略したメモリに、
図11(D)に例示するような、どのCUE20に対してどのRBを割り当ててよいか(別言すると、どのCUE20に対してはどのRBの割り当てが禁止されるか)を示すデータを記憶している。当該データは、テーブル形式(「リスト形式」と称してもよい。)のデータとしてメモリに記憶されてよく、そのようなデータは、「送信許可リスト」あるいは「送信禁止リスト」と称してよい。
【0146】
PUSCHスケジューラ111Bは、上述したようにスケジューリング履歴を基に特定した干渉源CUE20に対して、D2D通信に割り当てたRBが割り当てられないように送信禁止リストを更新する。例えば
図11(D)の送信禁止リストにおいて、D2D通信の「割当結果」が示すDUE#0に割り当てられたRB#1に着目すると、CUE#0〜#8のうち、CUE#2,#3,#7及び#8が、RB#1によるPUSCH送信が禁止(NG)される。他のCUE#0,#1及び#4〜#6については、RB#1によるPUSCH送信が許容(OK)される。
【0147】
したがって、PUSCHスケジューラ111Bは、或るRB#jのスケジューリングにおいて、送信禁止リストにおいて「NG」が示されているCUE20を当該RB#jのスケジューリング候補から除外する。なお、jは、0以上の整数であり、例示的に、j=0〜8のいずれかである。
【0148】
以上のようにして、無線基地局10(PUSCHスケジューラ111B)は、D2D通信用に割り当てたRBと重複しないRBを選んでCUE20に割り当てることができる。
【0149】
図10の説明に戻り、処理P23においてRB#2をCUE#3に割り当てることが決定すると、無線基地局10は、RB#2を示すリソース割当情報を含むULグラントを生成してPDCCHにてCUE#3宛に送信する(処理P24)。
【0150】
CUE#3は、PDCCH復調部232(
図9参照)によりULグラントの受信、復調及び復号に成功すると、
図6に例示したように4ms後に、当該ULグラントが示すRB#2を用いてUL送信(PUSCH信号の送信)を行なう(処理P25)。
【0151】
このとき、例えばDUE#1が、D2D通信用に割り当てられたPUSCHリソース(RB#1)を用いてDUE#2に対するD2Dデータ信号の送信を行なっても(処理P26)、RBが異なるため、干渉は生じない。
【0152】
なお、上述した例では、DUE#2が干渉レベル測定と干渉源リソース情報の報告とを行なっているが、当該DUE#2とD2D通信のペアを成す他方のDUE#1が、干渉レベル測定と干渉源リソース情報の報告とを行なってもよい。他のD2D通信のペアを成すDUE20についても同様である。
【0153】
以上のようにして、セルラー通信とD2Dとの干渉を回避することができる。したがって、D2D通信の受信側のDUE20(例えば、DUE#2)は、セルラー通信の干渉成分を含まないか、含んでもD2D通信にとって十分な品質のデータ信号を送信側のDUE20(例えば、DUE#1)から受信できる。
【0154】
また、D2D通信の送信側DUE20は、データ送信を行なっても受信側DUE20で正しく受信される確率の低い周波数リソースを用いた送信を行なわないので、不必要なデータ送信によって周辺の通信に干渉を与えてしまうことを回避できる。別言すると、送信側DUE20が、他の通信の干渉源となることを回避できる。「他の通信」とは、例示的に、送信側DUE20の近傍に位置するCUE20のセルラー通信や別のD2D通信等である。
【0155】
(第2実施形態)
第2実施形態では、既述の第2の干渉回避方法について説明する。第1実施形態では、無線通信システム1において、DUE20から干渉源リソースの報告を受けた無線基地局10が、干渉源CUE20に対する無線リソースの割り当てを制御した。
【0156】
これに対し、第2実施形態(第2の干渉回避方法)では、無線通信システム1において、無線基地局10が、干渉源CUE20の識別子(例えば、C−RNTI)をDUE20に送信(「通知」と称してもよい。)する。
【0157】
DUE20は、無線基地局10から通知されたC−RNTIを用いて干渉源CUE20宛のULグラントの復号を試行し、ULグラントが示すリソース割当情報に対応する周波数リソースではD2D通信を行なわない。
【0158】
以下、第2の干渉回避方法を実現する無線通信システム1(無線基地局10、DUE20及びCUE20)の構成例について、
図12〜
図14を参照して説明する。
図12は、無線基地局10の構成例を示すブロック図であり、
図13は、DUE20(20D)の構成例を示すブロック図であり、
図14は、CUE20(20C)の構成例を示すブロック図である。
【0159】
(無線基地局10の構成例)
図12に例示する無線基地局10は、
図7に例示した構成と同様に、スケジューラ111、PDSCH生成部112A、PDCCH(ULグラント)生成部112B、物理チャネル多重部113、送信RF部114、及び、送信アンテナ115を備える。
【0160】
図12に例示する構成では、PUSCHスケジューラ111Bが、CUE20に対するSRS用のリソース割当情報と、干渉源CUE20のC−RNTIとを、PDSCH生成部112Aに与えることができる点で、
図7に例示した構成と相違する。
【0161】
PUSCHスケジューラ111Bは、CUE20に対して当該CUE20がSRS送信に用いる無線リソース(以下「SRSリソース」と称することがある。)の割り当てを行なう。また、PUSCHスケジューラ111Bは、DUE20が送信した干渉源リソース情報を、PUSCH復調部123を通じて受信すると、SRSリソースの割り当て履歴を参照し、干渉源リソース情報が示すSRSリソースを割り当てたCUE20を特定する。当該CUE20は、「干渉源CUE20」と称してよい。
【0162】
SRSリソースの割り当て履歴は、「SRSスケジューリング履歴」と称してもよい。「SRSスケジューリング履歴」は、例示的に、PUSCHスケジューラ111Bに備えられたメモリ(図示省略)に記憶されてよい。
【0163】
干渉源CUE20が特定(識別)されると、PUSCHスケジューラ111Bは、干渉源CUE20の識別子(例えば、C−RNTI)を、PDSCH生成部112Aを通じてPDSCHにて、干渉源リソース情報の送信元DUE20宛に送信する。
【0164】
したがって、
図12のPDSCH生成部112Aは、SRS用のリソース割当情報を含むPDSCH信号と、干渉源CUE20のC−RNTIを含むPDSCH信号と、をそれぞれ生成可能である点で、
図7のPDSCH生成部112Aと相違する。
【0165】
別言すると、
図12に例示する無線基地局10は、CUE20宛のSRSリソースの割当情報と、DUE20宛の干渉源CUE20のC−RNTIとを、PDSCHにて送信可能である点で、
図7に例示した構成と相違している。
【0166】
そのため、
図12のPDSCH生成部112A、物理チャネル多重部113及び送信RF部114は、SRSリソースの割当情報や、干渉源CUE20のC−RNTIをDUE20へ送信する送信部の一例を成すと捉えてよい。
【0167】
その他の構成や機能は、
図7に例示した構成と同一若しくは同様であってよい。
【0168】
(DUE20Dの構成例)
図13に例示するDUE20Dは、
図8に例示した構成に比して、PDCCH復調部232を追加的に備える点が相違する。また、PDSCH復調部231が、無線基地局10からPDSCHにて送信された干渉源CUE20のC−RNTIを復調、復号することが可能な点で、
図8に例示したPDSCH復調部231と相違している。
【0169】
図13の受信RF部221及びPDSCH復調部231は、無線基地局10から干渉源CUE20の識別情報を受信する第2受信部の一例であると捉えてよい。PDSCH復調部231で得られたC−RNTIは、PDCCH復調部232に与えられる。
【0170】
PDCCH復調部232は、PDSCH復調部231からのC−RNTIを用いて、干渉源CUE20宛に無線基地局10から送信された、ULグラントを含むPDCCH信号を復調、復号することができる。ULグラントの復調、復号に成功すると、当該ULグラントが示す、干渉源CUE20のリソース割当情報がスケジューラ261に与えられる。
【0171】
スケジューラ261は、PDCCH復調部232から受信した、干渉源CUE20のリソース割当情報が示す周波数リソースではD2D通信を抑止するよう、D2Dデータ信号復調部251及びD2Dデータ信号生成部264を制御する。
【0172】
その他の構成や機能は、
図8に例示した構成と同一若しくは同様であってよい。
【0173】
(CUE20Cの構成例)
図14に例示するCUE20Cは、
図9に例示した構成に比して、PDSCH復調部231、SRS生成部271及び物理チャネル多重部272を追加的に備える点が相違する。
【0174】
PDSCH復調部231は、受信RF部221からのBB信号に対して復調処理を施すことにより、無線基地局10が送信したPDSCH信号を復調する。復調したPDSCH信号がSRS用のリソース割当情報を示す場合、当該リソース割当情報は、SRS生成部271に与えられる。
【0175】
SRS生成部271は、SRS用のリソース割当情報が示す周波数リソースにて送信されるべきSRSを生成する。
【0176】
物理チャネル多重部272は、SRS生成部で生成されたSRSと、PUSCH生成部で生成されたPUSCH信号と、を多重化して送信RF部224に出力する。当該多重化において、SRSは、例えば
図4に例示したように、サブフレームの最終シンボルにおいて櫛歯状に周波数多重されて送信されるように多重化される。
【0177】
その他の構成や機能は、
図9に例示した構成と同一若しくは同様であってよい。
【0178】
(動作例)
以下、上述のごとく構成された第2実施形態の無線通信システム1における、セルラー通信とD2D通信との干渉回避方法の一例について、
図15に例示するシーケンス図を参照して説明する。
【0179】
図15に例示するように、無線基地局10は、D2Dスケジューラ111Aによって、予めD2D通信用の周波数リソース(D2Dリソース)の設定を行なう(処理P31)。
図15には、非限定的な一例として、10個のRB#0〜#9がD2Dリソースに設定される様子を例示している。
【0180】
D2Dリソースの設定完了後に、例えばDUE#1が、D2Dリソースの割当要求を無線基地局10に送信したとする(処理P32)。D2Dリソースの割当要求は、例えば、
図13に例示したスケジューラ261及びPUSCH生成部242を通じて送信アンテナ214からPUSCHにて送信される。
【0181】
無線基地局10は、DUE#1が送信したD2Dリソースの割当要求をPUSCH復調部123にて受信、復調し、復調したD2Dリソースの割当要求をD2Dスケジューラ111Aに与える。D2Dスケジューラ111Aは、D2Dリソースの割当要求の受信に応じて、D2D通信リソースに設定したRB#0〜RB#9のうちのいずれか(例示的に、RB#1)をDUE#1に対して割り当てることを決定する(処理P33)。D2Dリソースの割り当ては、第1実施形態と同様に、動的でもよいが、無線基地局10とDUE20との間の通信量をなるべく抑えるために、「準静的」であってよい。
【0182】
RB#1の割り当て決定に応じて、無線基地局10は、RB#1のリソース割当情報を例えばPDSCHにてDUE#1宛に送信する(処理P34)。当該リソース割当情報を含むPDSCH信号は、例えば
図12に例示したPDSCH生成部112Aによって生成される。当該リソース割当情報のPDSCH信号による送信は、無線リソース制御(RRC)の一例であると捉えてよい。
【0183】
DUE#1は、D2Dリソース(RB#1)のリソース割当情報を受信した後、DS生成部263(
図13参照)によってDSを生成して送信する(処理P35)。当該DSは、
図15の例では、DUE#2にて受信される。
【0184】
DUE#2は、当該DSをDS検出部252(
図13参照)にて検出すると、DS応答生成部262によってDS応答信号を生成してDUE#1宛に送信する(処理P36)。DUE#1は、DS応答信号の受信をDS応答検出部253にて検出すると、当該DS応答信号の送信元DUE#2とD2D通信のペアを形成する。
【0185】
一方、無線基地局10は、CUE20(例えば、CUE#3)がSRSを送信するのに用いる無線リソースの割り当てを決定する(処理P37)。SRS送信用の無線リソースの割り当ても「準静的」であってよい。
【0186】
SRS送信用の無線リソースの割り当て決定に応じて、無線基地局10は、SRS送信用のリソース割当情報を例えばPDSCHにてCUE#3宛に送信する(処理P38)。当該SRS送信用のリソース割当情報(以下「SRS用リソース割当情報」と称することがある。)を含むPDSCH信号は、例えば
図12に例示したPDSCH生成部112Aによって生成される。SRS用リソース割当情報を含むPDSCH信号の送信は、無線リソース制御(RRC)の一例であると捉えてよい。
【0187】
CUE#3は、無線基地局10からPDSCHにて送信されたSRS用リソース割当情報をPDSCH復調部231(
図14参照)にて復調する。復調されたSRS用リソース割当情報を基に、CUE#3は、SRS生成部271によってSRSを生成して送信する(処理P39)。
【0188】
ここで、CUE#3が送信するSRSは、DUE#1−DUE#2間のD2D通信の干渉となり得る。例えば、DUE#2は、D2D通信に対する、CUE#3が送信するSRSの干渉レベルを測定し、相対的に干渉レベルの高いSRSリソース(干渉源リソース)を干渉源リソース検出部241(
図13参照)にて検出する(処理P40)。
【0189】
図4に例示したようにSRSがサブフレームの最終シンボル(サブバンド)に櫛歯状に周波数多重されて送信される場合、相対的に干渉レベルの高いサブフレーム及びサブバンドが干渉源リソースとして検出される。DUE#2は、検出したサブフレーム及びサブバンドを示す干渉源リソース情報(例えば、RB番号及び櫛歯番号)を例えばPUSCHにて無線基地局10に報告する(処理P41)。干渉源リソース情報を含むPUSCH信号は、
図13に例示したPUSCH生成部242にて生成される。
【0190】
無線基地局10は、
図12に例示したPUSCH復調部123にて干渉源リソース情報を受信、復調すると、当該干渉源リソース情報をスケジューラ111(PUSCHスケジューラ111B)に与える。PUSCHスケジューラ111Bは、SRSスケジューリング履歴を参照して、干渉源リソース情報が示すSRSリソースを割り当てた、DUE#1にとっての干渉源CUE#3を特定する(処理P42)。
【0191】
干渉源CUE#3が特定されると、無線基地局10は、PUSCHスケジューラ111B及びPDSCH生成部112Aによって、干渉源CUE#3のC−RNTIをPDSHCにてDUE#2宛に送信する(処理P43)。
【0192】
DUE#2は、干渉源CUE#3のC−RNTIを無線基地局10から受信すると、以後、無線基地局10が干渉源CUE#3宛に送信するULグラントの復調、復号を試行できる状態となる。
【0193】
一方、無線基地局10は、CUE#3からULグラントの送信要求を受信すると、PUSCHスケジューラ111B(
図12参照)によって、当該CUE#3がUL送信に使用してよい周波数リソースの割り当てを決定する(処理P44)。
図15の例では、RB#1がCUE#3に割り当てられる。
【0194】
CUE#3に割り当てる周波数リソースRB#1が決定すると、無線基地局10は、RB#1を示すリソース割当情報を含むULグラントをULグラント生成部112Bによって生成して例えばPDCCHにてCUE#3宛に送信する(処理P45)。
【0195】
CUE#3は、PDCCH復調部232(
図14参照)によりULグラントの受信、復調及び復号に成功すると、
図6に例示したように4ms後に、当該ULグラントが示すRB#1を用いてUL送信(PUSCH信号の送信)を行なう(処理P46)。
【0196】
ここで、CUE#3宛のULグラントを含むPDCCH信号は、無線基地局10のセル100(
図1参照)内に位置するDUE#2でも受信される。DUE#2は、処理P43で受信した干渉源CUE#3のC−RNTIを用いて、CUE#3宛のPDCCH信号の復号をPDCCH復調部232(
図13参照)によって試行する。復号に成功すると、DUE#2は、無線基地局10がCUE#3にULのセルラー通信のために割り当てた周波数リソースRB#1の割当情報を取得できる(処理P47)。
【0197】
したがって、DUE#2は、CUE#3に無線基地局10が割り当てたRB#1を使用してDUE#1宛にD2D通信の送信を行なうと、干渉が生じる可能性のあることを認識できる。よって、DUE#2は、RB#1を用いたD2D通信の送信(PUSCH送信)は行なわない(処理P48)。代替的に、DUE#1は、RB#1と重複しない他の周波数リソースを用いてDUE#2宛の送信(PUSCH送信)を行なってよい。
【0198】
D2D通信の送信データの制御は、例えば、スケジューラ261(
図13参照)が、RB#1と重複する周波数リソース(RB)を避けるようにして、D2Dデータ信号生成部264に与えるD2Dデータのスケジューリングを行なうことで実施されてよい。
【0199】
別言すると、DUE#2は、CUE#3宛のULグラントが示す周波数リソースとは異なるRB(D2Dリソース)であれば、当該D2Dリソースを用いてDUE#2宛の送信を行なってよい。
【0200】
例えば、
図15の処理P49〜P53に例示するように、CUE#3宛のULグラントがRB#2を示す場合、DUE#2は、RB#1を用いてD2D通信(PUSCH送信)を行なってもセルラー通信との干渉は生じない。したがって、DUE#2は、RB#1を用いてDUE#1宛のPUSCH送信を行なってよい。
【0201】
なお、DUE#2とD2D通信のペアを成すDUE#1も、上述したDUE#2での処理と同様にして、CUE#3がセルラー通信に用いるRB#1の使用を避けてD2D通信の送信を行なうことができる。他のD2D通信のペアを成すDUE20についても同様である。
【0202】
また、
図15により上述した例では、DUE20での干渉レベル測定の対象がSRSである場合について示したが、第1実施形態と同様に、PUSCH信号をDUE20での干渉レベル測定の対象としてもよい。別言すると、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせて実施してもよい。
【0203】
更に、
図15により上述した例では、無線基地局10から干渉源CUE20のC−RNTIを受信したDUE20が、干渉源CUE20宛のULグラントの復号を試行するが、DUE20は、ULグラントの復号を試行せずに一時的にD2D通信を抑止してもよい。
【0204】
以上のようにして、セルラー通信とD2Dとの干渉を回避することができる。したがって、D2D通信の受信側のDUE20(例えば、DUE#1)は、セルラー通信の干渉成分を含まないか、含んでもD2D通信にとって十分な品質のデータ信号を送信側のDUE20(例えば、DUE#2)から受信できる。
【0205】
また、D2D通信の送信側DUE20は、データ送信を行なっても受信側DUE20で正しく受信される確率の低い周波数リソースを用いた送信を行なわないので、不必要なデータ送信によって周辺の通信に干渉を与えてしまうことを回避できる。別言すると、送信側DUE20が、他の通信の干渉源となることを回避できる。「他の通信」とは、例示的に、送信側DUE20の近傍に位置するCUE20のセルラー通信や別のD2D通信等である。
【0206】
以上説明したように、上述した各実施形態によれば、セルラー通信がD2D通信に与える干渉を回避しながら、それぞれの通信で無線リソース(例えば、周波数リソース)を共用できるので、無線通信システム1のシステム容量を増大できる。
【0207】
別言すると、無線通信システム1においてD2D通信とセルラー通信とが効率良く共存できるので、無線通信性能を向上できる。
【0208】
なお、上述した例では、セルラー通信とD2D通信とで共用される(別言すると、干渉の発生し得る)無線リソースの一例として、ULの周波数リソースを例にしたが、DLの周波数リソースであってもよいし、時間リソースであってもよい。