(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記受信部は、前記複数の物理チャネルのうち、PUSCHを用いて前記繰り返し送信回数送信された前記第4の無線信号を受信することを特徴とする請求項1に記載の基地局。
前記送信部は、前記取得部によって取得された前記情報と前記複数の物理チャネルのうち前記移動局から送信される第4の無線信号に用いられる物理チャネルとに応じた、前記第4の無線信号の繰り返し送信回数を示すインデックス値と前記第4の無線信号を送信する送信パワーを変更するパワーオフセット量とを前記移動局に送信することを特徴とする請求項1または2に記載の基地局。
前記取得部は、前記パワーオフセット量及び前記基準値に基づいた前記繰り返し送信回数に対応するインデックス値を、前記テーブルから取得することを特徴とする請求項4に記載の基地局。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、この発明にかかる基地局、移動局、無線通信システム及び無線通信方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。以下の各実施例の説明においては、同様の構成要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。なお、以下の各実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
・無線通信システムの一例
図1は、実施の形態にかかる無線通信システムの一例を示す図である。
図1に示すように、無線通信システムは、基地局1と移動局2とを含む。
【0013】
基地局1は、送信部11、受信部12、取得部13、決定部14及びルックアップテーブル15を有する。送信部11は基地局送信部であり、受信部12は基地局受信部であり、取得部13は基地局取得部であり、ルックアップテーブル15は基地局ルックアップテーブルである。基地局1における各部11〜14及びルックアップテーブル15については、後述する基地局の第1の例において詳細に説明する。
【0014】
移動局2は、送信部21、受信部22、生成部23、取得部24及びルックアップテーブル25を有する。送信部21は移動局送信部であり、受信部22は移動局受信部であり、取得部24は移動局取得部であり、ルックアップテーブル25は移動局ルックアップテーブルである。移動局2における各部21〜24及びルックアップテーブル25については、後述する移動局の第1の例において詳細に説明する。
【0015】
基地局1は、基準となる無線信号を移動局2へ送信する。移動局2は、基準となる無線信号を受信し、基準となる無線信号に基づいて、受信状態を示す受信情報を生成し、受信情報を含む無線信号を基地局1へ送信する。それによって、基地局1に受信情報が通知される。
【0016】
基地局1は、受信情報を含む無線信号を受信し、受信情報を含む無線信号から受信情報を取得し、受信情報に基づいて、複数の異なる物理チャネルに対して物理チャネルごとに、繰り返して送信される無線信号の繰り返し回数を決定する。複数の異なる物理チャネルの繰り返し回数は、互いに相関を有する。そのため、複数の異なるチャネルの繰り返し回数を、受信情報ごとに一つのインデックス値に対応させることができる。
【0017】
そして、基地局1は、自局のルックアップテーブル15から、物理チャネルごとの繰り返し回数に対応するインデックス値を取得し、インデックス値を含む無線信号を移動局2へ送信する。それによって、移動局2にインデックス値が通知される。
【0018】
移動局2は、自局が通知した受信情報に応じたインデックス値を含む無線信号を受信し、インデックス値を含む無線信号からインデックス値を取得する。そして、移動局2は、自局のルックアップテーブル25から、インデックス値に対応する繰り返し回数を物理チャネルごとに取得する。それによって、移動局2は、複数の異なる物理チャネルの繰り返し回数を取得することができる。
【0019】
・基地局の第1の例
図2は、実施の形態にかかる基地局の第1の例の機能的構成を示す図である。
図3は、
図2に示す基地局における信号またはデータの流れを示す図である。
図2及び
図3に示すように、基地局1は、送信部11、受信部12、取得部13、決定部14及びルックアップテーブル15を有する。
【0020】
送信部11は、ルックアップテーブル15及びアンテナ16に接続されている。送信部11は、複数の異なる物理チャネルを用いてアンテナ16から移動局2へ無線信号を送信する。送信部11は、アンテナ16から移動局2へ、基準となる無線信号を送信する。送信部11は、アンテナ16から移動局2へ、ルックアップテーブル15から得られたインデックス値を含む無線信号を送信する。それによって、基地局1から移動局2にインデックス値が通知される。
【0021】
受信部12は、アンテナ17に接続されている。受信部12は、移動局2から送信されてくる無線信号をアンテナ17を介して受信する。
【0022】
取得部13は、受信部12に接続されている。取得部13は、受信部12によって受信された無線信号から、移動局2における無線信号の受信状態を示す受信情報を取得する。決定部14は、取得部13によって取得された受信情報に基づいて、送信部11から複数回、繰り返して送信される無線信号の繰り返し回数を物理チャネルごとに決定する。
【0023】
ルックアップテーブル15では、複数の異なるインデックス値のそれぞれに、複数の異なる物理チャネルの繰り返し回数が対応付けられている。ルックアップテーブル15からは、決定部14によって決定された複数の異なる物理チャネルの繰り返し回数に対応するインデックス値が得られる。
【0024】
図4は、実施の形態にかかる基地局のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4に示すように、基地局1は、プロセッサ101、メモリ102及びインタフェース103を有する。プロセッサ101、メモリ102及びインタフェース103は、バス104に接続されていてもよい。
【0025】
プロセッサ101は、後述する基地局により実施される無線通信方法を実現するプログラムを処理する。それによって、
図2に示す基地局1における取得部13及び決定部14が実現されてもよい。プロセッサ101の一例として、例えばCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、DSP(Digital Signal Processor、デジタルシグナルプロセッサ)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit、エーシック)、またはFPGA(Field Programmable Gate Array、フィールドプログラマブルゲートアレイ)などのプログラマブルロジックデバイスが挙げられる。
【0026】
メモリ102は、ルックアップテーブル15を保持している。メモリ102は、ブートプログラムや、後述する基地局により実施される無線通信方法を実現するプログラムを記憶している。プロセッサ101がプログラマブルロジックデバイスである場合には、メモリ102は、プログラマブルロジックデバイスの回路情報を記憶していてもよい。
【0027】
ルックアップテーブル15、各種プログラムまたは回路情報は、メモリ102の不揮発性領域に記憶されていてもよい。メモリ102の不揮発性領域は、例えばマスクROM(マスクロム)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory、イーイーピーロム)またはフラッシュメモリなどのROM(Read Only Memory、ロム)によって実現されてもよい。
【0028】
メモリ102において、揮発性領域は、プロセッサ101の作業領域として用いられてもよい。メモリ102の揮発性領域は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory、ディーラム)やSRAM(Static Random Access Memory、エスラム)などのRAM(Random Access Memory、ラム)によって実現されてもよい。
【0029】
インタフェース103は、送信部11及び受信部12との間の信号やデータの入力及び出力を司る。また、インタフェース103は、例えば図示しないアプリケーションとの間のデータの入力及び出力を司ってもよい。
図2に示す基地局1における受信部12及び送信部11は、無線信号を処理するプロセッサにより実現されてもよい。無線信号を処理するプロセッサは、プロセッサ101とは別に設けられてもよい。
【0030】
・基地局により実施される無線通信方法の一例
基地局により実施される無線通信方法は、
図2に示す基地局において実施されてもよい。本実施例では、基地局により実施される無線通信方法が、
図2に示す基地局1において実施されるとして説明する。
【0031】
図5は、実施の形態にかかる基地局により実施される無線通信方法の一例を示す図である。
図5に示すように、基地局1において無線通信方法が開始されると、基地局1は、受信部12によって、移動局2から受信情報を含む無線信号を受信する(ステップS1)。そして、基地局1は、取得部13によって、受信情報を含む無線信号から受信情報を取得する(ステップS2)。
【0032】
次いで、基地局1は、決定部14によって、受信情報に基づいて物理チャネルごとに、無線信号の送信を繰り返す繰り返し回数を決定する(ステップS3)。そして、基地局1は、ルックアップテーブル15から、ステップS3で決定した物理チャネルごとの繰り返し回数に対応するインデックス値を取得する(ステップS4)。
【0033】
次いで、基地局1は、送信部11によって、ステップS4で取得したインデックス値を含む無線信号を移動局2へ送信する(ステップS5)。それによって、基地局1は、移動局2にインデックス値を通知する。そして、基地局1は、一連の無線通信方法を終了する。これ以降、基地局1は、移動局2に通知したインデックス値に対応する物理チャネルごとの繰り返し回数によって、移動局2と各物理チャネルの通信を行う。
【0034】
図1に示す無線通信システム、
図2に示す基地局1または
図5に示す無線通信方法によれば、基地局1は、移動局2に、複数の異なる物理チャネルの繰り返し回数に対応するインデックス値を通知する。そのため、基地局1が移動局2へ複数の異なるチャネルの繰り返し回数を物理チャネルごとに通知する場合に比べて、基地局1が移動局2へ通知する情報の情報量が減る。従って、基地局1から移動局2へ、移動局2の信号受信に必要な情報を効率よく通知することができる。
【0035】
・移動局の第1の例
図6は、実施の形態にかかる移動局の第1の例の機能的構成を示す図である。
図7は、
図6に示す移動局における信号またはデータの流れを示す図である。
図6及び
図7に示すように、移動局2は、送信部21、受信部22、生成部23、取得部24及びルックアップテーブル25を有する。
【0036】
送信部21は、生成部23及びアンテナ26に接続されている。送信部21は、アンテナ26から基地局1へ無線信号を送信する。送信部21は、アンテナ26から基地局1へ、生成部23によって生成された受信情報を含む無線信号を送信する。それによって、移動局2から基地局1に、移動局2の受信状態を示す受信情報が通知される。
【0037】
受信部22は、アンテナ27に接続されている。受信部22は、複数の異なる物理チャネルを用いて基地局1から送信されてくる無線信号を、アンテナ27を介して受信する。受信部22は、基準となる無線信号を、アンテナ27を介して基地局1から受信する。受信部22は、自局が通知した受信情報に応じたインデックス値を含む無線信号を、アンテナ27を介して基地局1から受信する。
【0038】
生成部23は、受信部22に接続されている。生成部23は、受信部22によって受信された基準となる無線信号に基づいて、自局の受信状態を示す受信情報を生成する。取得部24は、受信部22に接続されている。取得部24は、受信部22によって受信された無線信号からインデックス値を取得する。
【0039】
ルックアップテーブル25では、複数の異なるインデックス値のそれぞれに、複数の異なる物理チャネルの繰り返し回数が対応付けられている。ルックアップテーブル25からは、取得部24によって取得されたインデックス値に対応する繰り返し回数が物理チャネルごとに得られる。
【0040】
ルックアップテーブル25から得られた物理チャネルごとの繰り返し回数の情報は、ルックアップテーブル25に接続された出力端子28から、移動局2において、物理チャネルごとの繰り返し回数の情報に基づいてデータ処理を行う処理部に送られる。例えば、物理チャネルごとの繰り返し回数の情報は、出力端子28から送信部21や、送信部21から送信される無線信号を生成する信号生成部などに送られてもよい。
【0041】
移動局2のハードウェア構成は、
図4に示す基地局1のハードウェア構成と同様である。従って、移動局2のハードウェア構成の図示及び重複する説明を省略する。ただし、
図4に示す構成において、プロセッサ101は、後述する移動局により実施される無線通信方法を実現するプログラムを処理する。それによって、
図6に示す移動局2における生成部23及び取得部24が実現されてもよい。
【0042】
また、ルックアップテーブル25は、メモリ102に保持される。また、インタフェース103は、送信部21及び受信部22との間の信号やデータの入力及び出力を司る。また、
図6に示す移動局2における送信部21及び受信部22は、無線信号を処理するプロセッサにより実現されてもよい。無線信号を処理するプロセッサは、プロセッサ101とは別に設けられてもよい。
【0043】
・移動局により実施される無線通信方法の一例
移動局により実施される無線通信方法は、
図6に示す移動局において実施されてもよい。本実施例では、移動局により実施される無線通信方法が、
図6に示す移動局2において実施されるとして説明する。
【0044】
図8は、実施の形態にかかる移動局により実施される無線通信方法の一例を示す図である。
図8に示すように、移動局2において無線通信方法が開始されると、移動局2は、受信部22によって、基地局1から基準となる無線信号を受信する(ステップS11)。基地局1は、
図5に示す無線通信方法においてステップS1の前に、この基準となる無線信号を送信する。
【0045】
次いで、移動局2は、生成部23によって、受信した基準となる無線信号に基づいて、自局の受信状態を示す受信情報を生成する(ステップS12)。そして、移動局2は、送信部21によって、ステップS12で生成した受信情報を含む無線信号を基地局1へ送信する(ステップS13)。それによって、移動局2は、基地局1に移動局2の受信状態を通知する。
【0046】
次いで、移動局2は、受信部22によって、ステップS13で送信した受信情報に応じたインデックス値を含む無線信号を基地局1から受信する(ステップS14)。そして、移動局2は、取得部24によって、インデックス値を含む無線信号からインデックス値を取得する(ステップS15)。
【0047】
次いで、移動局2は、ルックアップテーブル25から、ステップS15で取得したインデックス値に対応する繰り返し回数を物理チャネルごとに取得する(ステップS16)。そして、移動局2は、一連の無線通信方法を終了する。これ以降、移動局2は、基地局1から通知されたインデックス値に対応する物理チャネルごとの繰り返し回数によって、基地局1と各各チャネルの通信を行う。
【0048】
図6に示す移動局2または
図8に示す無線通信方法によれば、移動局2は、基地局1からインデックス値が通知されると、ルックアップテーブル25から、そのインデックス値に対応する繰り返し回数を物理チャネルごとに取得することができる。つまり、基地局1は移動局2に、複数の異なるチャネルの繰り返し回数をチャネルごとに通知する代わりに、インデックス値を通知すればよい。そのため、基地局1が移動局2へ繰り返し回数をチャネルごとに通知する場合に比べて、基地局1が移動局2へ通知する情報の情報量が減る。従って、基地局1から移動局2へ、移動局2の信号受信に必要な情報を効率よく通知することができる。
【0049】
・MTCシステムへの適用例
例えば隣接するセルとの境界付近に移動局がいる場合など、SINRが低い環境下では、基地局と移動局との間で通信するのに必要な値よりもSINRが低くなってしまうことがある。このような場合、上述したように、例えば送信パワーを増強(パワーブースト)したり、送信を繰り返すことによって、カバレッジを拡張することがある。
【0050】
図9は、上りリンク及び下りリンクの最大結合損失の一例を示す図である。
図9に示す表は、3GPP TR 36.888 V2.0.2,“Study on provision of low−cost MTC UEs based on LTE”において紹介されている。この表において、MCL(Maximum Coupling Loss)は、最大結合損失である。FDD(Frequency Division Duplex)は、周波数分割複信方式である。TDD(Time Division Duplex)は、時分割複信方式である。
【0051】
また、
図9に示す表では、UE(User Equipment、移動局)は、1個の送信アンテナと2個の受信アンテナとを有する。従って、MCL(FDD,2×2eNB)は、送信アンテナ及び受信アンテナを2個ずつ有するeNB(evolutional Node B、基地局)と、送信アンテナを1個有し、かつ受信アンテナを2個有するUEとが周波数分割複信方式で通信する場合の最大結合損失である。また、MCL(TDD,8×8eNB)は、送信アンテナ及び受信アンテナを8個ずつ有するeNBと、送信アンテナを1個有し、かつ受信アンテナを2個有するUEとが時分割複信方式で通信する場合の最大結合損失である。
【0052】
図9に示すように、最大結合損失は、物理チャネルごとに異なっている。例えば
図9に示す例では、周波数分割複信方式の場合、最大結合損失は、PUCCH(1a)では147.2dBであり、PRACHでは141.7dBであり、PUSCHでは140.7dBである。また、周波数分割複信方式の場合、最大結合損失は、PDSCHでは145.4dBであり、PBCHでは149.0dBであり、SCHでは149.3dBであり、PDCCH(1A)では146.1dBである。
【0053】
また、
図9に示すように、最大結合損失は、複信の方式によって異なっている。例えば
図9に示す例では、時分割複信方式の場合、最大結合損失は、PUCCH(1a)では149.4dBであり、PRACHでは146.7dBであり、PUSCHでは147.4dBである。また、時分割複信方式の場合、最大結合損失は、PDSCHでは148.1dBであり、PBCHでは149.0dBであり、SCHでは149.3dBであり、PDCCH(1A)では146.9dBである。ここで、最大結合損失MCLは、例えば次の(1)式で計算される。
【0055】
なお、PUCCH(Physical Uplink Control Channel)は、物理上り制御チャネルである。PRACH(Physical Random Access Channel)は、物理ランダムアクセスチャネルである。PUSCH(Physical Uplink Shared Channel)は、物理上りシェアドチャネルである。PDSCH(Physical Downlink Shared Channel)は、物理下りシェアドチャネルである。PBCH(Physical Broadcast Channel)は、物理ブロードキャストチャネルである。SCH(Synchronization Channel)は、同期チャネルである。PDCCH(Physical Downlink Control Channel)は、物理下り制御チャネルである。
【0056】
現在のSINRの値が物理チャネルの通信に必要な最小のSINRの値よりも小さい場合、その差分をゼロにするようなカバレッジの拡張レベルが必要とされる。送信パワーの増強レベルと送信の繰り返し回数とを適当に選択することによって、必要なカバレッジの拡張レベルを満足させることができる。UEがカバレッジホールにいる場合、必要なカバレッジの拡張レベルは、例えば0dB〜20dB程度である。
【0057】
各物理チャネルの通信に必要な最小のSINRは、各物理チャネルの目的により異なる受信確率が考慮され、違うものとなっている。
【0058】
現在のSINRの値と各物理チャネルの通信に必要な最小のSINRの値との差として与えられる各物理チャネルに必要なカバレッジの拡張レベルは、物理チャネルごとに差があることになる。現在のSINRの値と各物理チャネルの通信に必要な最小のSINRの値との差は、各物理チャネルに対する送信パワーを増大させるか、送信の繰り返し回数を増やすかあるいはその両方によって埋めることができる。従って、各物理チャネルに対する送信の繰り返し回数は、各物理チャネルに対する送信パワーに応じて変化する。そのため、各物理チャネルに対する送信パワーの増強レベルが決まれば、各物理チャネルに必要なカバレッジの拡張レベルを満足する送信の繰り返し回数が物理チャネルごとに決まる。なお、最大結合損失の値は、
図9に示す値に限らない。
【0059】
図10は、必要なカバレッジの拡張レベルに対する繰り返し回数とパワーブーストとの関係の一例を示す図である。
図10に示す例では、例えば物理チャネルPHYCH1については、必要なカバレッジの拡張レベルが10dBであり、送信を10回繰り返すことによって、10dBのゲインを得てもよい。また、例えば物理チャネルPHYCH2については、必要なカバレッジの拡張レベルがPHYCH1と同じ10dBであるが、送信を4回繰り返すことによって6dBのゲインを得、かつパワーブーストによって4dBのゲインを得てもよい。
【0060】
また、例えば物理チャネルPHYCH3については、必要なカバレッジの拡張レベルが12dBであり、送信を4回繰り返すことによって6dBのゲインを得、かつパワーブーストによって6dBのゲインを得てもよい。なお、必要なカバレッジの拡張レベル、送信の繰り返し回数及びパワーブーストの各値は、
図10に示す値に限らない。
【0061】
ここで、PHYCH1、PHYCH2及びPHYCH3は、例えばPDSCH、PDCCH、PHICHまたはEPDCCHなどであってもよい。PHICH(Physical Hybrid−ARQ Indicator Channel)は、物理ハイブリッドAQR指示チャネルである。EPDCCH(Enhanced Physical Downlink Control Channel)は、拡張物理下り制御チャネルである。
【0062】
・基地局の第2の例
図11は、実施の形態にかかる基地局の第2の例の機能的構成を示す図である。
図12は、
図11に示す基地局における信号またはデータの流れを示す図である。本実施例では、例えばMTCシステムにおいて、PDCCH及びPDSCHの2つの物理チャネルについてカバレッジを拡張する場合を例にして説明する。
【0063】
図11及び
図12に示すように、基地局31は、RF(Radio Frequency、無線周波数)受信部32、CP(Cyclic Prefix、サイクリックプレフィックス)除去部33及びFFT(Fast Fourier Transform、高速フーリエ変換)部34を有する。また、基地局31は、PUSCH信号復調部35、決定部36及びルックアップテーブル37を有する。また、基地局31は、PDSCH信号生成部38、PDCCH信号生成部39、PBCH信号生成部40、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform、逆高速フーリエ変換)部41、CP付加部42及びRF送信部43を有する。
【0064】
RF受信部32は、アンテナ44に接続されている。RF受信部32は、移動局から送信されてくる無線信号をアンテナ44を介して受信する。RF受信部32は、受信部の一例である。
【0065】
CP除去部33は、RF受信部32に接続されている。CP除去部33は、RF受信部32によって受信された無線信号からサイクリックプレフィックスを除去する。FFT部34は、CP除去部33によってサイクリックプレフィックスが除去された信号に対して高速フーリエ変換を行う。それによって、時間領域の信号が周波数領域の信号に変換される。
【0066】
PUSCH信号復調部35は、FFT部34によって周波数領域の信号に変換されたPUSCH信号を復調する。PUSCH信号復調部35は、PUSCH信号を復調することによって、PUSCH信号によって移動局から通知されたSINR値を取得する。SINR値は、移動局の受信状態を示す受信情報の一例である。PUSCH信号復調部35は、取得部の一例である。
【0067】
決定部36は、PUSCH信号復調部35によって取得されたSINR値に基づいて、PDCCH及びPDSCHに対する送信の繰り返し回数と、送信パワーを増強するためのパワーオフセット量とを決定する。決定部36は、公知の手法によって、移動局から通知されたSINR値に基づいて、各物理チャネルに対する繰り返し回数及びパワーオフセット量を決定することができる。
【0068】
ルックアップテーブル37からは、決定部36によって決定されたPDCCH及びPDSCHのそれぞれに対する送信の繰り返し回数及びパワーオフセット量に基づいて、インデックス値が得られる。インデックス値は、PDCCH及びPDSCHに対して共通である。パワーオフセット量は、PDCCH及びPDSCHのそれぞれに対して設定される。
【0069】
PDSCH信号生成部38は、PDSCH信号を生成する。PDSCH信号生成部38は、PDCCH及びPDSCHに対するインデックス値及びパワーオフセット量を含むPDSCH信号を生成する。PDCCH信号生成部39は、PDCCH信号を生成する。PBCH信号生成部40は、PBCH信号を生成する。
【0070】
IFFT部41は、PDSCH信号生成部38によって生成されたPDSCH信号、PDCCH信号生成部39によって生成されたPDCCH信号、またはPBCH信号生成部40によって生成されたPBCH信号に対して逆高速フーリエ変換を行う。それによって、周波数領域の信号が時間領域の信号に変換される。
【0071】
CP付加部42は、IFFT部41によって変換された時間領域の信号にサイクリックプレフィックスを付加する。RF送信部43は、CP付加部42及びアンテナ45に接続されている。RF送信部43は、CP付加部42によってサイクリックプレフィックスが付加された無線信号を、アンテナ45から移動局へ送信する。RF送信部43は、送信部の一例である。
【0072】
図13は、ルックアップテーブルの一例を示す図である。
図13に示すように、ルックアップテーブル37は、例えば0、1、2、…、15の16個のインデックス値に対応する16個のレコードを有する。各レコードには、移動局から通知されるSINR値に対応するSINR値と、PDSCH及びPDCCHのそれぞれに対する繰り返し回数の基準値及び繰り返し回数の補正値と、が設定されている。
【0073】
ルックアップテーブル37において、移動局から通知されるSINR値に対応するSINR値は、予め基地局31の設置段階で設定されている。移動局から通知されるSINR値に対応するSINR値は、例えばシミュレーションにより得られる。
【0074】
繰り返し回数の基準値は、パワーオフセット量が0dBである場合の繰り返し回数である。ルックアップテーブル37において、繰り返し回数の基準値は、予め基地局31の設置段階で設定されている。繰り返し回数の基準値は、例えばシミュレーションにより得られる。繰り返し回数の基準値により、
図13の中のどのレコードを使用するかが決定し、それに対応するインデックス値を得ることができる。
【0075】
繰り返し回数の補正値は、パワーオフセット量に応じて繰り返し回数の基準値を補正する値である。繰り返し回数の補正値は、例えば繰り返し回数の基準値に、パワーオフセット量から導かれる補正係数を乗じることによって得られる。
【0076】
例えば
図13に示す例では、インデックス値をkで表すと、インデックス値kのレコードには、移動局から通知されるSINR値に対応するSINR値としてSINR
kが設定されている。kは、0〜15の整数である。また、インデックス値kのレコードには、PDSCHに対する繰り返し回数の基準値としてRL
PDSCH,kが設定されており、PDCCHに対する繰り返し回数の基準値としてRL
PDCCH,kが設定されている。
【0077】
また、インデックス値kのレコードには、PDSCHに対する繰り返し回数の補正値として、例えば次の(2)式で表される計算式が設定されている。PDCCHに対する繰り返し回数の補正値として、例えば次の(3)式で表される計算式が設定されている。a
PDSCH及びa
PDCCHは、それぞれPDSCH及びPDCCHに対する補正係数である。
【0080】
PDSCHに対するパワーオフセット量をPO
PDSCHで表すと、PDSCHに対する補正係数a
PDSCHは、例えば次の(4)式で表される。また、PDCCHに対するパワーオフセット量をPO
PDCCHで表すと、PDCCHに対する補正係数a
PDCCHは、例えば次の(5)式で表される。
【0083】
PO
PDSCHの取り得る値は、例えば0dB、2dB、4dB及び6dBであってもよい。また、PO
PDCCHの取り得る値は、例えば0dB、2dB、4dB及び6dBであってもよい。なお、PO
PDSCHの取り得る値と、PO
PDCCHの取り得る値とは、同じでなくてもよい。
【0084】
例えば、決定部36によって各物理チャネルに対する繰り返し回数及びパワーオフセット量が決定されると、
図13に示すルックアップテーブル37から、各物理チャネルに対して、それぞれのパワーオフセット量と繰り返しの基準値とを用いて、繰り返し回数の補正値を求めることができる。
【0085】
基地局31のハードウェア構成は、
図4に示す基地局1のハードウェア構成と同様である。従って、基地局31のハードウェア構成の図示及び重複する説明を省略する。ただし、
図4に示す構成において、プロセッサ101は、基地局31により実施される無線通信方法を実現するプログラムを処理する。それによって、
図11に示す基地局31において、RF受信部32及びRF送信部43を除く各部33〜36,38〜42が実現されてもよい。
【0086】
また、ルックアップテーブル37は、メモリ102に保持される。また、インタフェース103は、RF送信部43及びRF受信部32との間の信号やデータの入力及び出力を司る。また、
図11に示す基地局31におけるRF送信部43及びRF受信部32は、無線信号を処理するプロセッサにより実現されてもよい。無線信号を処理するプロセッサは、プロセッサ101とは別に設けられてもよい。
【0087】
基地局31により実施される無線通信方法は、例えば
図5に示す方法と同様である。従って、重複する説明を省略する。ただし、
図5に示す方法において、受信情報はSINR値である。また、ステップS3では、基地局31は、決定部36によって、繰り返し回数及びパワーオフセット量を決定する。また、ステップS5では、基地局31は、RF送信部43によって、インデックス値及びパワーオフセット量を含む無線信号を移動局へ送信する。
【0088】
図11に示す基地局31によれば、基地局31は、移動局に、複数の異なる物理チャネルの繰り返し回数に対して共通のインデックス値を通知する。そのため、基地局31が移動局へ複数の異なるチャネルの繰り返し回数を物理チャネルごとに通知する場合に比べて、基地局31が移動局へ通知する情報の情報量が減る。従って、基地局31から移動局へ、移動局の信号受信に必要な情報を効率よく通知することができる。
【0089】
また、
図11に示す基地局31によれば、基地局31は、移動局にパワーオフセット量をチャネルごとに通知する。それによって、複数の異なる物理チャネルに対して共通のインデックス値と、物理チャネルごとのパワーオフセット量とに基づいて、移動局が物理チャネルごとの繰り返し回数を求めることを可能としている。
【0090】
また、
図11に示す基地局31によれば、ルックアップテーブル37に設定されている計算式に基づいて、パワーオフセット量に応じて繰り返し回数を補正することができる。また、ルックアップテーブル37を用いて求めた繰り返し回数の補正値と、移動局から通知されたSINR値に基づいて決定された繰り返し回数とが一致するインデックス値を見つけることによって、容易にインデックス値を得ることができる。また、ルックアップテーブル37において、SINR値及び繰り返し回数の基準値が例えばシミュレーションにより得られるため、ルックアップテーブル37を容易に作成することができる。
【0091】
・移動局の第2の例
図14は、実施の形態にかかる移動局の第2の例の機能的構成を示す図である。
図15は、
図14に示す移動局における信号またはデータの流れを示す図である。本実施例では、例えばMTCシステムにおいて、PDCCH及びPDSCHの2つの物理チャネルについてカバレッジを拡張する場合を例にして説明する。
【0092】
図14及び
図15に示すように、移動局51は、RF受信部52、CP除去部53及びFFT部54を有する。また、移動局51は、PDSCH信号復調部55、PDCCH信号復調部56、基準信号復調部57、PBCH信号復調部58、ルックアップテーブル59及びSINR計算部60を有する。また、移動局51は、RF送信部61、CP付加部62、IFFT部63、PRACH信号生成部64、PUSCH信号生成部65及びユーザデータバッファ66を有する。
【0093】
RF受信部52は、アンテナ67に接続されている。RF受信部52は、基地局から送信されてくる無線信号をアンテナ67を介して受信する。RF受信部52は、受信部の一例である。
【0094】
CP除去部53は、RF受信部52に接続されている。CP除去部53は、RF受信部52によって受信された無線信号からサイクリックプレフィックスを除去する。FFT部54は、CP除去部53によってサイクリックプレフィックスが除去された信号に対して高速フーリエ変換を行う。それによって、時間領域の信号が周波数領域の信号に変換される。
【0095】
PDSCH信号復調部55は、FFT部54によって周波数領域の信号に変換されたPDSCH信号を復調する。PDSCH信号復調部55は、PDSCH信号を復調することによって、PDSCH信号によって基地局から通知されたインデックス値及びパワーオフセット量を取得する。PDSCH信号復調部55は、取得部の一例である。
【0096】
PDCCH信号復調部56は、FFT部54によって周波数領域の信号に変換されたPDCCH信号を復調する。基準信号復調部57は、FFT部54によって周波数領域の信号に変換された基準信号を復調する。PBCH信号復調部58は、FFT部54によって周波数領域の信号に変換されたPBCH信号を復調する。
【0097】
ルックアップテーブル59からは、PDSCH信号復調部55によって取得されたインデックス値及びPDSCHに対するパワーオフセット量に基づいて、PDSCHに対するパワーオフセット量に応じたPDSCHに対する繰り返し回数が得られる。また、ルックアップテーブル59からは、PDSCH信号復調部55によって取得されたインデックス値及びPDSCHに対するパワーオフセット量に基づいて、PDSCHに対するパワーオフセット量に応じたPDSCHに対する繰り返し回数が得られる。ルックアップテーブル59は、
図13に示すルックアップテーブル37と同じものであってもよい。
【0098】
ルックアップテーブル59から得られた物理チャネルごとの繰り返し回数、及び物理チャネルごとのパワーオフセット量の情報は、ルックアップテーブル59に接続された出力端子69から、移動局51において、それらの情報に基づいてデータ処理を行う処理部に送られる。
【0099】
例えば、PDSCHに対する繰り返し回数及びパワーオフセット量の情報は、PDSCH信号復調部55へ送られる。PDSCH信号復調部55は、PDSCHに対する繰り返し回数及びパワーオフセット量の情報に基づいて、PDSCH信号を復調する。また、PDCCHに対する繰り返し回数及びパワーオフセット量の情報は、PDCCH信号復調部56へ送られる。PDCCH信号復調部56は、PDCCHに対する繰り返し回数及びパワーオフセット量の情報に基づいて、PDCCH信号を復調する。
【0100】
また、PDSCHやPDCCHと同様に、PRACHやPUSCHに対しても、それぞれ繰り返し回数及びパワーオフセット量の情報が得られる。例えば、PRACHに対する繰り返し回数及びパワーオフセット量の情報は、PRACH信号生成部64へ送られる。PRACH信号生成部64は、PRACHに対する繰り返し回数及びパワーオフセット量の情報に基づいて、PRACH信号を生成する。また、PUSCHに対する繰り返し回数及びパワーオフセット量の情報は、PUSCH信号生成部65へ送られる。PUSCH信号生成部65は、PUSCHに対する繰り返し回数及びパワーオフセット量の情報に基づいて、PUSCH信号を生成する。
【0101】
SINR計算部60は、基準信号復調部57によって復調された基準信号の受信強度に基づいてSINR値を計算する。SINR計算部60は、公知の手法によって、基準信号の受信強度に基づいてSINR値を計算することができる。SINR値は、移動局51の受信状態を示す受信情報の一例である。SINR計算部60は、生成部の一例である。
【0102】
ユーザデータバッファ66は、SINR計算部60によって得られたSINR値を一時的に保持する。PUSCH信号生成部65は、ユーザデータバッファ66に格納されているSINR値を含むPUSCH信号を生成する。PRACH信号生成部64は、PRACH信号を生成する。
【0103】
IFFT部63は、PRACH信号生成部64によって生成されたPRACH信号、またはPUSCH信号生成部65によって生成されたPUSCH信号に対して逆高速フーリエ変換を行う。それによって、周波数領域の信号が時間領域の信号に変換される。
【0104】
CP付加部62は、IFFT部63によって変換された時間領域の信号にサイクリックプレフィックスを付加する。RF送信部61は、CP付加部62及びアンテナ68に接続されている。RF送信部61は、CP付加部62によってサイクリックプレフィックスが付加された無線信号を、アンテナ68から基地局へ送信する。RF送信部61は、送信部の一例である。
【0105】
移動局51のハードウェア構成は、
図4に示す基地局1のハードウェア構成と同様である。従って、移動局51のハードウェア構成の図示及び重複する説明を省略する。ただし、
図4に示す構成において、プロセッサ101は、移動局51により実施される無線通信方法を実現するプログラムを処理する。それによって、
図14に示す移動局51において、RF受信部52及びRF送信部61を除く各部53〜58,60,62〜65が実現されてもよい。
【0106】
また、ルックアップテーブル59は、メモリ102に保持される。ユーザデータバッファ66は、メモリ102によって実現されてもよい。また、インタフェース103は、RF送信部61及びRF受信部52との間の信号やデータの入力及び出力を司る。また、
図14に示す移動局51におけるRF送信部61及びRF受信部52は、無線信号を処理するプロセッサにより実現されてもよい。無線信号を処理するプロセッサは、プロセッサ101とは別に設けられてもよい。
【0107】
移動局51により実施される無線通信方法は、例えば
図8に示す方法と同様である。従って、重複する説明を省略する。ただし、
図8に示す方法において、基準となる無線信号は基準信号であり、受信情報はSINR値である。また、ステップS14では、移動局51は、インデックス値及びチャネルごとのパワーオフセット量を含む無線信号を受信する。
【0108】
図14に示す移動局51によれば、移動局51は、基地局からインデックス値が通知されると、ルックアップテーブル59から、そのインデックス値に対応する繰り返し回数を物理チャネルごとに取得することができる。つまり、基地局は移動局51に、複数の異なる物理チャネルの繰り返し回数を物理チャネルごとに通知する代わりに、インデックス値を通知すればよい。そのため、基地局が移動局51へ繰り返し回数を物理チャネルごとに通知する場合に比べて、基地局が移動局51へ通知する情報の情報量が減る。従って、基地局から移動局51へ、移動局51の信号受信に必要な情報を効率よく通知することができる。
【0109】
また、
図14に示す移動局51によれば、基地局から移動局51に物理チャネルごとのパワーオフセット量が通知される。それによって、移動局51は、複数の異なる物理チャネルに対して共通のインデックス値と、物理チャネルごとのパワーオフセット量とに基づいて、物理チャネルごとの繰り返し回数を求めることができる。
【0110】
また、
図14に示す移動局51によれば、ルックアップテーブル59にインデックス値ごとに設定されている計算式に基づいて、パワーオフセット量に応じて繰り返し回数を補正することができる。また、ルックアップテーブル59において、繰り返し回数の基準値が例えばシミュレーションにより得られるため、ルックアップテーブル59を容易に作成することができる。
【0111】
・無線通信システムにおける無線接続処理のシーケンスの一例
図16は、実施の形態にかかる無線通信システムにおける無線接続処理のシーケンスの一例を示す図である。
図16に示すように、無線通信システムは、基地局、移動局A及び移動局Bを含むとする。また、移動局Aと移動局Bとで、必要なカバレッジの拡張レベルが異なっていてもよい。例えば、移動局Aに必要なカバレッジの拡張レベルが15dBであり、移動局Bに必要なカバレッジの拡張レベルが20dBであってもよい。
【0112】
無線接続処理が開始されると、まず、基地局は、移動局A及び移動局Bへ同期信号を送信する(ステップS21)。次いで、基地局は、PBCH信号によってシステム情報、SIB(System Information Block、システム情報ブロック)を移動局A及び移動局Bへ送信する。この時点では、基地局は、移動局A及び移動局Bに必要なカバレッジの拡張レベルを知らないため、最大の繰り返し回数でPBCH信号を送信する(ステップS22)。
【0113】
次いで、移動局A及び移動局Bは、最大の繰り返し回数でPRACH信号を基地局へ送信する(ステップS23)。次いで、基地局は、セル固有の基準信号(CRS:Cell−specific Reference Signal)を移動局A及び移動局Bへ送信する(ステップS24)。移動局A及び移動局Bは、基準信号を受信すると、SINR値を計算し、またカバレッジの拡張レベルをおおまかに決定する(ステップS25)。また、基地局は、最大繰り返し回数でPDCCH信号を移動局A及び移動局Bへ送信する(ステップS26)。
【0114】
次いで、移動局A及び移動局Bは、最大の繰り返し回数で、SINR値を含むPUSCH信号を基地局へ送信することによって、基地局にSINR値をフィードバックする(ステップS27)。基地局は、SINR値を含むPUSCH信号を受信すると、SINR値に基づいて、各チャネル、例えばPDCCH及びPDSCHに対する繰り返し回数及びパワーオフセット量を決定する(ステップS28)。
【0115】
次いで、基地局は、ルックアップテーブルから各チャネルに共通のインデックス値とチャネルごとのパワーオフセット値とを取得する。そして、基地局は、インデックス値を含むPDSCH信号を移動局A及び移動局Bへ送信することによって、移動局A及び移動局Bにインデックス値を通知する(ステップS29)。また、基地局は、チャネルごとのパワーオフセット量を含むPDSCH信号を移動局A及び移動局Bへ送信することによって、移動局A及び移動局Bにチャネルごとのパワーオフセット量を通知する(ステップS30)。
【0116】
移動局A及び移動局Bは、インデックス値及びパワーオフセット量に基づいて、ルックアップテーブルからチャネルごとの繰り返し回数を取得する。これ以降、チャネルごとの繰り返し回数及びチャネルごとのパワーオフセット量に基づいて、基地局と移動局A及び移動局Bとの間で通信リンクが維持される。
【0117】
・基地局から移動局へ通知する情報量の削減効果について
図17は、各チャネルに共通のインデックス値を通知するシーケンスの一例を示す図である。
図18は、チャネルごとに繰り返し回数を通知するシーケンスの一例を示す図である。
図17及び
図18に示す例では、PHYCH1、PHYCH2、PHYCH3及びPHYCH4の物理チャネルがあるとする。
【0118】
図17に示すように、各チャネルに共通のインデックス値を通知する場合、基地局は、インデックス値を含むPDSCH信号を移動局へ送信する(ステップS41)。また、基地局は、PHYCH1に対するパワーオフセット量を含むPDSCH信号を移動局へ送信する(ステップS42)。また、基地局は、PHYCH2に対するパワーオフセット量を含むPDSCH信号を移動局へ送信する(ステップS43)。また、基地局は、PHYCH3に対するパワーオフセット量を含むPDSCH信号を移動局へ送信する(ステップS44)。また、基地局は、PHYCH4に対するパワーオフセット量を含むPDSCH信号を移動局へ送信する(ステップS45)。
【0119】
一方、
図18に示すように、チャネルごとに繰り返し回数を通知する場合、基地局は、PHYCH1に対する繰り返し回数を含むPDSCH信号を移動局へ送信する(ステップS51)。また、基地局は、PHYCH2に対する繰り返し回数を含むPDSCH信号を移動局へ送信する(ステップS52)。また、基地局は、PHYCH3に対する繰り返し回数を含むPDSCH信号を移動局へ送信する(ステップS53)。また、基地局は、PHYCH4に対する繰り返し回数を含むPDSCH信号を移動局へ送信する(ステップS54)。
【0120】
また、基地局は、PHYCH1に対するパワーオフセット量を含むPDSCH信号を移動局へ送信する(ステップS55)。また、基地局は、PHYCH2に対するパワーオフセット量を含むPDSCH信号を移動局へ送信する(ステップS56)。また、基地局は、PHYCH3に対するパワーオフセット量を含むPDSCH信号を移動局へ送信する(ステップS57)。また、基地局は、PHYCH4に対するパワーオフセット量を含むPDSCH信号を移動局へ送信する(ステップS58)。
【0121】
図17及び
図18に示す例において、例えばパワーオフセット量が0dB、2dB、4dB及び6dBの4値のいずれかになるとし、繰り返し回数が1、2、…、15及び16のいずれかになるとする。また、インデックス値は、0、1…、14及び15のいずれかになるとする。この場合、基地局が移動局へパワーオフセット量を通知するのに要する情報量は2ビットで済む。また、基地局が移動局へ繰り返し回数を通知するのに要する情報量は4ビットで済む。また、基地局が移動局へインデックス値を通知するのに要する情報量は4ビットで済む。
【0122】
従って、
図17に示すインデックス値を通知する場合には、インデックス値の通知に4ビットかかり、4チャネル分のパワーオフセット量の通知に8ビットかかるため、合計で12ビット必要となる。それに対して、
図18に示すチャネルごとに繰り返し回数を通知する場合には、4チャネル分の繰り返し回数の通知に16ビットかかり、4チャネル分のパワーオフセット量の通知に8ビットかかるため、合計で24ビット必要となる。
【0123】
つまり、インデックス値を通知することによって、チャネルごとに繰り返し回数を通知する場合よりも、通知に要するビット数が半減する。さらにチャネル数が増えると、インデックス値の通知に要するビット数は変わらないが、チャネルごとに繰り返し回数を通知するのに要するビット数が増えるため、インデックス値を通知する場合に要するビット数は、チャネルごとに繰り返し回数を通知する場合に要するビット数の半分以下で足りることになる。このように、インデックス値を通知することによって、チャネルごとに繰り返し回数を通知する場合よりも、通知に要するビット数を削減することができる。
【0124】
なお、上述した各実施例においては、基地局と無線通信する端末を移動局としたが、端末は、移動しないで、ある地点に固定されていてもよい。
【0125】
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0126】
(付記1)複数の異なる物理チャネルを用いて移動局へ無線信号を送信する送信部と、
前記移動局から送信されてくる無線信号を受信する受信部と、
前記受信部によって受信された前記無線信号から、前記移動局における無線信号の受信状態を示す受信情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記受信情報に基づいて、前記送信部から複数回、繰り返して送信される無線信号の繰り返し回数を決定する決定部と、
複数の異なるインデックス値のそれぞれに、複数の異なる前記物理チャネルの前記繰り返し回数が対応付けられたルックアップテーブルと、を備え、
前記受信部によって、前記移動局から前記受信情報を含む無線信号を受信し、
前記取得部によって、前記受信情報を含む無線信号から前記受信情報を取得し、
前記決定部によって、前記受信情報に基づいて前記物理チャネルごとに前記繰り返し回数を決定し、
前記ルックアップテーブルから、前記物理チャネルごとの前記繰り返し回数に対応するインデックス値を取得し、
前記送信部によって、前記インデックス値を含む無線信号を前記移動局へ送信することによって、前記移動局に前記インデックス値を通知することを特徴とする基地局。
【0127】
(付記2)前記決定部によって、前記受信情報に基づいて、送信パワーを変えるパワーオフセット量を決定し、
前記送信部によって、前記パワーオフセット量を含む無線信号を前記移動局へ送信することによって、前記移動局に前記パワーオフセット量を通知することを特徴とする付記1に記載の基地局。
【0128】
(付記3)前記ルックアップテーブルは、複数の異なる前記インデックス値のそれぞれについて、複数の異なる前記物理チャネルごとに、受信情報に対応する値と、前記繰り返し回数の基準値と、前記パワーオフセット量に基づいて前記基準値を補正する計算式と、を有することを特徴とする付記2に記載の基地局。
【0129】
(付記4)前記パワーオフセット量及び前記基準値に基づいて前記計算式から導かれた値が、前記決定部によって決定された前記繰り返し回数に一致するインデックス値を、前記ルックアップテーブルから取得することを特徴とする付記3に記載の基地局。
【0130】
(付記5)前記受信情報に対応する値及び前記基準値は、予めシミュレーションによって求められていることを特徴とする付記3または4に記載の基地局。
【0131】
(付記6)基地局へ無線信号を送信する送信部と、
複数の異なる物理チャネルを用いて前記基地局から送信されてくる無線信号を受信する受信部と、
前記受信部によって受信された前記無線信号に基づいて受信状態を示す受信情報を生成する生成部と、
前記受信部によって受信された前記無線信号からインデックス値を取得する取得部と、
複数の異なる前記インデックス値のそれぞれに、前記物理チャネルを用いて前記基地局から複数回、繰り返して送信されてくる無線信号の繰り返し回数が対応付けられたルックアップテーブルと、を備え、
前記受信部によって、前記基地局から基準となる無線信号を受信し、
前記生成部によって、前記基準となる無線信号に基づいて前記受信情報を生成し、
前記送信部によって、前記受信情報を含む無線信号を前記基地局へ送信することによって、前記基地局に前記受信情報を通知し、
前記受信部によって、前記基地局から、前記受信情報に応じた前記インデックス値を含む無線信号を受信し、
前記取得部によって、前記インデックス値を含む無線信号から前記インデックス値を取得し、
前記ルックアップテーブルから、前記インデックス値に対応する前記繰り返し回数を前記物理チャネルごとに取得することを特徴とする移動局。
【0132】
(付記7)前記受信部によって、前記基地局から、前記基地局の送信パワーを変えるパワーオフセット量を含む無線信号を受信し、
前記取得部によって、前記パワーオフセット量を含む無線信号から前記パワーオフセット量を取得し、
前記ルックアップテーブルから、前記パワーオフセット量に応じた前記繰り返し回数を前記物理チャネルごとに取得することを特徴とする付記6に記載の移動局。
【0133】
(付記8)前記ルックアップテーブルは、複数の異なる前記インデックス値のそれぞれについて、複数の異なる前記物理チャネルごとに、受信情報に対応する値と、前記繰り返し回数の基準値と、前記パワーオフセット量に基づいて前記基準値を補正する計算式と、を有することを特徴とする付記7に記載の移動局。
【0134】
(付記9)前記基準値は、予めシミュレーションによって求められていることを特徴とする付記8に記載の移動局。
【0135】
(付記10)基地局と移動局とを含み、
前記基地局は、
複数の異なる物理チャネルを用いて前記移動局へ無線信号を送信する基地局送信部と、
前記移動局から送信されてくる無線信号を受信する基地局受信部と、
前記基地局受信部によって受信された前記無線信号から、前記移動局における無線信号の受信状態を示す受信情報を取得する基地局取得部と、
前記基地局取得部によって取得された前記受信情報に基づいて、前記基地局送信部から複数回、繰り返して送信される無線信号の繰り返し回数を決定する決定部と、
複数の異なるインデックス値のそれぞれに、互いに相関を有する複数の異なる前記物理チャネルの前記繰り返し回数が対応付けられた基地局ルックアップテーブルと、を備え、
前記基地局受信部によって、前記移動局から前記受信情報を含む無線信号を受信し、
前記基地局取得部によって、前記受信情報を含む無線信号から前記受信情報を取得し、
前記決定部によって、前記受信情報に基づいて前記物理チャネルごとに前記繰り返し回数を決定し、
前記基地局ルックアップテーブルから、前記物理チャネルごとの前記繰り返し回数に対応するインデックス値を取得し、
前記基地局送信部によって、前記インデックス値を含む無線信号を前記移動局へ送信することによって、前記移動局に前記インデックス値を通知し、
前記移動局は、
前記基地局へ無線信号を送信する移動局送信部と、
複数の異なる物理チャネルを用いて前記基地局から送信されてくる無線信号を受信する移動局受信部と、
前記移動局受信部によって受信された前記無線信号に基づいて受信状態を示す受信情報を生成する生成部と、
前記移動局受信部によって受信された前記無線信号からインデックス値を取得する移動局取得部と、
複数の異なる前記インデックス値のそれぞれに、前記物理チャネルを用いて前記基地局から複数回、繰り返して送信されてくる無線信号の繰り返し回数が対応付けられた移動局ルックアップテーブルと、を備え、
前記移動局受信部によって、前記基地局から基準となる無線信号を受信し、
前記生成部によって、前記基準となる無線信号に基づいて前記受信情報を生成し、
前記移動局送信部によって、前記受信情報を含む無線信号を前記基地局へ送信することによって、前記基地局に前記受信情報を通知し、
前記移動局受信部によって、前記基地局から、前記受信情報に応じた前記インデックス値を含む無線信号を受信し、
前記移動局取得部によって、前記インデックス値を含む無線信号から前記インデックス値を取得し、
前記移動局ルックアップテーブルから、前記インデックス値に対応する前記繰り返し回数を前記物理チャネルごとに取得することを特徴とする無線通信システム。
【0136】
(付記11)移動局から、前記移動局における無線信号の受信状態を示す受信情報を含む無線信号を受信し、
前記受信情報を含む無線信号から前記受信情報を取得し、
前記受信情報に基づいて、複数の異なる物理チャネルごとに、複数回、繰り返して送信される無線信号の繰り返し回数を決定し、
複数の異なるインデックス値のそれぞれに、複数の異なる前記物理チャネルの前記繰り返し回数が対応付けられたルックアップテーブルから、前記物理チャネルごとの前記繰り返し回数に対応するインデックス値を取得し、
前記インデックス値を含む無線信号を前記移動局へ送信することによって、前記移動局に前記インデックス値を通知することを特徴とする無線通信方法。
【0137】
(付記12)基地局から基準となる無線信号を受信し、
前記基準となる無線信号に基づいて、受信状態を示す受信情報を生成し、
前記受信情報を含む無線信号を前記基地局へ送信することによって、前記基地局に前記受信情報を通知し、
前記基地局から、前記受信情報に応じたインデックス値を含む無線信号を受信し、
前記インデックス値を含む無線信号から前記インデックス値を取得し、
複数の異なる前記インデックス値のそれぞれに、複数の異なる物理チャネルを用いて前記基地局から複数回、繰り返して送信されてくる無線信号の繰り返し回数が対応付けられたルックアップテーブルから、前記インデックス値に対応する前記繰り返し回数を前記物理チャネルごとに取得することを特徴とする無線通信方法。