特許第6409171号(P6409171)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6409171スイッチング電源装置、電子機器及び双方向DCDCコンバータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6409171
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】スイッチング電源装置、電子機器及び双方向DCDCコンバータ
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20181015BHJP
   H02M 7/12 20060101ALI20181015BHJP
【FI】
   H02M3/155 E
   H02M7/12 P
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-185548(P2014-185548)
(22)【出願日】2014年9月11日
(65)【公開番号】特開2016-59221(P2016-59221A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2017年7月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】514231273
【氏名又は名称】リコー電子デバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(72)【発明者】
【氏名】相馬 将太郎
【審査官】 柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−114917(JP,A)
【文献】 特開2012−228073(JP,A)
【文献】 特開2013−025927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/00 − 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流入力電圧を所望の出力電圧に変換するスイッチング電源装置であって、
前記スイッチング電源装置の入力端に設けられ、力率を改善する力率改善回路と、
一方の端子に前記力率改善回路の出力端が接続されかつ他方の端子に双方向DCDCコンバータが接続される平滑コンデンサと、
前記出力電圧に対応するフィードバック信号に基づいて、第1の直流電圧を第2の直流電圧に変換して前記平滑コンデンサに出力し、もしくは前記平滑コンデンサからの第3の直流電圧を第4の直流電圧に変換して出力する前記双方向DCDCコンバータとを備えたことを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項2】
互いに直列に接続された2つの分圧抵抗を含む分圧回路を備え、
前記フィードバック信号は、前記出力電圧を前記分圧回路により分圧して得られた電圧を有し、
上記双方向DCDCコンバータは前記出力電圧が一定になるように制御することを特徴とする請求項1記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
互いに直列に接続されたLED発光素子と電流センス抵抗を含む分圧回路を備え、
前記フィードバック信号は、前記出力電圧を前記分圧回路により分圧して得られた電圧を有し、
上記双方向DCDCコンバータは前記LED発光素子に流れる電流が一定になるように制御することを特徴とする請求項1記載のスイッチング電源装置。
【請求項4】
前記力率改善回路は昇降圧コンバータを含むことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載のスイッチング電源装置。
【請求項5】
前記双方向DCDCコンバータは降圧コンバータを含むことを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載のスイッチング電源装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうちのいずれか1つに記載のスイッチング電源装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
交流入力電圧を所望の出力電圧に変換するスイッチング電源装置の双方向DCDCコンバータであって、
前記スイッチング電源装置の入力端に設けられた力率改善回路からの出力が、一方の端子に前記力率改善回路の出力端が接続されかつ他方の端子に双方向DCDCコンバータが接続される平滑コンデンサを介して、前記双方向DCDCコンバータに接続されており、
前記出力電圧に対応するフィードバック信号に基づいて、第1の直流電圧を第2の直流電圧に変換して前記平滑コンデンサに出力し、もしくは前記平滑コンデンサからの第3の直流電圧を第4の直流電圧に変換して出力することを特徴とする双方向DCDCコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばACDCコンバータなどの、特に力率改善回路を有するスイッチング電源装置及びそれを備えた電子機器、並びにそれらに用いる双方向DCDCコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
入力高調波の規制に対して、特に大電力用途のために、力率改善回路は必須となってきており、様々な制御方式の力率改善回路が開発されている。当該力率改善回路はダイオードブリッジにより全波整流された脈流電圧に応じて入力電流を変化させるため、出力電流、出力電圧に脈流が発生することが知られている。
【0003】
例えば特許文献1の図6では、脈流を含む力率改善回路の出力を平滑用スイッチングコンバータにより降圧して平滑化する事例が示されている。これは一般に2コンバータ方式と呼ばれる。スイッチングコンバータは効率が良い反面、部品点数が多いため、回路規模が増大し、またノイズが大きくなるという問題があった。それに対して特許文献1では、インピーダンスを可変制御するフィードバック型定電流制御回路を負荷であるLED(Light Emitting Diode)に直列に接続することでスイッチング電源装置の小型化を図っている。
【0004】
また、特許文献2では2コンバータ方式のスイッチング電源装置において、脈流を含む入力電圧が高い場合に力率改善回路を停止させ、平滑用スイッチングコンバータのみで動作するようにしている。これにより、力率改善回路の損失を低減し、小型化及び高効率化が可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示されるスイッチング電源装置はインピーダンスを可変制御するフィードバック型定電流制御回路を用いることでLEDに流れる電流を平滑化している。LEDに流れる電流は一定であるため、力率改善回路の出力電圧をボルテージレギュレータで平滑し、LEDに印加していることと変わらない。従って前記フィードバック型定電流制御回路は脈流を含む電圧を損失させて平滑しているため、発熱が大きく、効率も悪化するという課題があった。
【0006】
また、特許文献2に示されるスイッチング電源装置は脈流を含む入力電圧が高い場合に力率改善回路を停止させ、平滑用スイッチングコンバータのみで動作するようにしている。従って、入力電圧が高い場合には力率改善が行われず、力率が悪化するという課題があった。
【0007】
本発明の目的は前記課題を解決し、従来技術に比較して高い力率及び高い効率を有するスイッチング電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るスイッチング電源装置は、交流入力電圧を所望の出力電圧に変換するスイッチング電源装置であって、
前記スイッチング電源装置の入力端に設けられ、力率を改善する力率改善回路と、
一方の端子に前記力率改善回路の出力端が接続されかつ他方の端子に双方向DCDCコンバータが接続される平滑コンデンサと、
前記出力電圧に対応するフィードバック信号に基づいて、第1の直流電圧を第2の直流電圧に変換して前記平滑コンデンサに出力し、もしくは前記平滑コンデンサからの第3の直流電圧を第4の直流電圧に変換して出力する前記双方向DCDCコンバータとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るスイッチング電源装置によれば、双方向DCDCコンバータは低い電圧で動作可能であり、従来技術に比較して、スイッチング損失及びノイズを小さくすることができ、これにより、従来技術に比較して高い力率及び高い効率を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態1に係るスイッチング電源装置101の構成を示す回路図である。
図2A図1のスイッチング電源装置101の動作を示す図であって、各電流のタイミングチャートである。
図2B図1のスイッチング電源装置101の動作を示す図であって、各電圧のタイミングチャートである。
図3】本発明の実施形態2に係るスイッチング電源装置102の構成を示す回路図である。
図4】本発明の実施形態3に係るスイッチング電源装置101,102を備えた電子機器200の構成を示すブロック図である。
図5】本発明の変形例1に係る力率改善回路3Aの構成を示す回路図である。
図6】本発明の変形例2に係る双方向DCDCコンバータ5Aの構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
【0012】
実施形態1.
図1は本発明の実施形態1に係るスイッチング電源装置101の構成を示す回路図である。図1において、スイッチング電源装置101はACDCコンバータであって、交流電源1と、整流回路2と、力率改善回路3と、平滑コンデンサ4とを備える。スイッチング電源装置101はさらに、双方向DCDCコンバータ(以下、双方向コンバータという。)5と、直流電源6と、分圧抵抗7,8と、負荷9とを備える。
【0013】
図1において、交流電源1からの交流電圧は、ダイオードブリッジ回路にてなる整流回路2により整流された後、力率改善回路2に入力される。力率改善回路2に入力される電圧をV1とし、その電流をI1とする。力率改善回路3は、交流電源1から整流回路2を介して入力される電力の力率を改善して出力する。力率改善回路3からの出力端子は平滑コンデンサ4を介して双方向コンバータ5に接続されるとともに、負荷9の一端に接続される。ここで、力率改善回路3から出力される電流をI2とする。負荷9に印加される電圧V4を、直列接続された2つの分圧抵抗7,8からなる分圧回路11により分圧してフィードバック信号を生成して双方向コンバータ5に帰還する。
【0014】
双方向コンバータ5は、出力電圧V4に対応するフィードバック信号に基づいて、直流電源6からの直流電圧V5を所定の直流電圧V3に昇圧又は降圧した後、平滑コンデンサ4を介して負荷9に出力する。もしくは、双方向コンバータ5は、フィードバック信号に基づいて、平滑コンデンサ4を介して入力される電圧V3を所定の電圧V5に昇圧又降圧して直流電源6に出力する。すなわち、双方向コンバータ5は、フィードバック信号に基づいて双方向で直流電圧を昇圧又は降圧するように変換する。ここで、平滑コンデンサ4の両端電圧をV3とし、平滑コンデンサ4に流れる電流をI3とする。また、負荷9の両端電圧をV4とし、負荷9に流れる電流をI4とする。言い換えれば、双方向コンバータ5から平滑コンデンサ4に対して直流電流I3を図1の矢印の方向で供給し、もしくは平滑コンデンサ4から直流電流I3を図1の矢印とは反対方向で引き抜くことができる。
【0015】
以上のように構成されたスイッチング電源装置において、電圧V4が電圧V1の最大値よりも高い場合、力率改善回路3は昇圧コンバータで構成することが可能である。また、電圧V4が電圧V1の最大値より低い場合、力率改善回路3は昇降圧コンバータで構成する必要がある。昇降圧コンバータとしては例えば、フライバックコンバータ、極性反転型コンバータ、Hブリッジ昇降圧コンバータの構成が挙げられる。
【0016】
図2A図1のスイッチング電源装置101の動作を示す図であって、各電流のタイミングチャートであり、図2B図1のスイッチング電源装置101の動作を示す図であって、各電圧のタイミングチャートである。
【0017】
図2A及び図2Bから明らかなように、力率改善回路3により、電圧V1と電流I1は相似な波形となる。力率改善回路3は例えばスイッチングコンバータであり、損失が無視できるとすると、V1×I1すなわち入力電力と、V4×I2の積すなわち出力電力はほぼ等しくなる。従って、I2=V1×I1/V4となる。よって、電流I2も電流I1と同様に脈流電流となる。双方向コンバータ5はフィードバック信号の信号レベルが一定となるように動作するため、電圧V4は一定となる。双方向コンバータ5は電圧V4を一定とするため、電圧V3を制御し、電圧(V2+V3)が一定となる。また、これは双方向コンバータ5が脈流電流I2を平滑コンデンサ4を介してキャンセルして電流I4に変換していることと等価であるため、電流I3は電流I2のリプル電流に対して対称であり、かつ平均値が0である。図2A及び図2Bの動作波形より、図1の構成で力率改善回路3のリプル電流、リプル電圧を双方向コンバータ5で平滑できていることが分かる。
【0018】
ここで、双方向コンバータ5の耐圧は電圧V3、又はV5の高い方により決定される。双方向コンバータ5が降圧コンバータである場合、電圧V5は電圧V3の最大値より大きくなるように設定する必要がある。
(1)双方向コンバータ5が昇圧コンバータである場合、電圧V5は電圧V3の最小値より小さくなるように設定する必要がある。
(2)双方向コンバータ5が昇降圧コンバータである場合、電圧V5は任意の値を取ることが可能である。直流電源6が双方向コンバータ5に供給する電流はほぼ平均値が0であるため、電源としての能力は低くてよい。
【0019】
よって、例えば力率改善回路3から補助巻線を用いた電源で構成することができるが、双方向コンバータ5が降圧コンバータ、又は昇圧コンバータである場合、直流電源6の電圧ばらつきを考慮してV3の振幅範囲を決定する必要がある。また、双方向コンバータ5の耐圧はばらつきに対して十分にマージンを持つ必要がある。一方、双方向コンバータ5が昇降圧コンバータであれば直流電源6は任意の値でよいため、例えばV3の平均値を直流電源6のばらつきの中央値とすれば、直流電源6の電圧ばらつきがV3を超えなければ、双方向コンバータ5の耐圧はほぼ電圧V3のリプル電圧により決定される。
【0020】
実施形態2.
図3は本発明の実施形態2に係るスイッチング電源装置102の構成を示す回路図である。実施形態2に係るスイッチング電源装置102は、実施形態1に係るスイッチング電源装置101に比較して、以下の点が異なる。
(1)負荷9を、例えば2個のLEDD1,D2が直列に接続されてなるLED発光素子21とすること。
(2)LED発光素子21と電流センス抵抗22との直列回路である分圧回路12を、電圧V4を出力する出力回路としたこと。
【0021】
ここで、出力電圧V4を、LED発光素子21と電流センス抵抗22とからなる分圧回路12により分圧して、出力電圧V4に対応するフィードバック信号を発生する。フィードバック信号の信号電圧は、電流センス抵抗22に流れる電流I4と、電流センス抵抗22の抵抗値との積で決定される。双方向コンバータ5は、フィードバック信号が一定となるように動作するため、電流センス抵抗22の抵抗値が一定だとすると、電流I4は一定となる。従って、動作波形は図2A及び図2Bと同様となる。
【0022】
以上のように構成されたスイッチング電源装置は、第1の実施形態と同様の作用効果を有する。
【0023】
実施形態3.
図4は本発明の実施形態3に係るスイッチング電源装置101,102を備えた電子機器200の構成を示すブロック図である。図4において、電子機器200は例えば携帯電話機、スマートホン、パーソナルコンピュータ、複合機であって、スイッチング電源装置101,102と、負荷である所定の電子回路110とを含む。スイッチング電源装置101,102からの直流電圧は電子回路110に供給される。
【0024】
変形例1.
図5は本発明の変形例1に係る力率改善回路3Aの構成を示す回路図である。変形例1では、図5に示すように、力率改善回路3に昇降圧コンバータを用いた場合の一例として、力率改善回路3Aは極性反転型コンバータを含む構成を示している。図5において、VIN+、VIN−はそれぞれ入力の正電圧、負電圧を示し、VOUT+、VOUT−はそれぞれ出力の正電圧、負電圧を示す。V1、V4、V5はそれぞれ、図1又は図3に示される電圧と同じである。
【0025】
図5において、力率改善回路3Aの極性反転型コンバータは、力率改善制御回路31と、例えばMOSトランジスタである駆動素子32と、例えばダイオードである整流素子33、トランス40の主巻線34、入力バイパスコンデンサ35、出力コンデンサ36とを備えて構成される。入力電圧V1は入力バイパスコンデンサ35に印加され、入力バイパスコンデンサ35と出力コンデンサ36とは直列に接続され、それらの接続点は主巻線34及び駆動素子32を介して入力電圧側に帰還される。出力コンデンサ36の一端は主巻線34を介して整流素子33のカソード及び駆動素子32に接続され、出力コンデンサ36の他端は整流素子33のアノードに接続される。ここで、駆動素子32は力率改善制御回路31からの制御信号によりオン/オフ制御される。
【0026】
直流電源6は図1又は図3に示されるスイッチング電源装置101,102において、トランス40の補助巻線39を使用した構成を示しており、VAUXは直流電源6の出力端子である。補助巻線39からの出力電圧は例えばダイオードである整流素子37及び平滑コンデンサ38を介して出力電圧V5となる。
【0027】
次いで、図5を参照して、補助巻線39を使用した直流電源6の動作について以下説明する。ここで、トランス40の主巻線34と補助巻線39の巻線比がN対1であるとする。
【0028】
まず、駆動素子32がオフし整流素子33が整流をしている間、主巻線34には電圧V4が印加される。補助巻線39には電圧(V4/N)が発生し、整流素子37を介して平滑コンデンサ38を充電する。従って、電圧V5は電圧(V4/N)となる。電圧V5を設定したい場合、Nを電圧V4に応じて調整すればよい。
【0029】
次いで、駆動素子32がオンした場合、主巻線34には電圧V1が印加される。補助巻線39には電圧(−V1/N)が発生し、整流素子37に逆バイアス電圧が印加され、平滑コンデンサ38の充電は停止する。よって、平滑コンデンサ38は駆動素子32がオフである期間のみ充電される。
【0030】
以上説明したように、図5に示す直流電源6の構成では、主巻線34と補助巻線39のばらつき、また電圧V4のばらつきにより、電圧V5が変動することが分かる。ただし、通常の力率改善回路では出力電圧に脈流を含むが、本方式では出力電圧V4の脈流が抑えられるため、電圧V4のばらつきに脈流電圧を含める必要がないため、電圧V5のばらつきは従来技術に比較すると比較的小さい。
【0031】
変形例2.
図6は本発明の変形例2に係る双方向コンバータ5Aの構成を示す回路図である。変形例2は、双方向コンバータ5Aに降圧コンバータを用いた例を示す。図6において、双方向コンバータ5Aは、ダイオード41と、入力バイパスコンデンサ42と、駆動素子43と、整流素子44と、インダクタ45と、出力コンデンサ46と、分圧抵抗47,48と、フィルタ容量49と、デカップリング抵抗50,51とを備えて構成される。
【0032】
図6において、双方向コンバータ5Aの逆流電流が入力に流入しないよう入力端子にはダイオード41が挿入されている。入力バイパスコンデンサ42は双方向コンバータ5Aの双方向に流れる電流を平滑化する。平滑化された電圧は、駆動素子43及び整流素子44によりスイッチングされた後、インダクタ45及び出力コンデンサ46を介して出力電圧V5として出力される。出力電圧V5は分圧抵抗47,48により分圧されて、分圧された電圧はフィルタ容量49及びデカップリング抵抗50,51を介してフィードバック信号として出力される。デカップリング抵抗51からのフィードバック信号は制御回路52に入力されて、電圧V5が一定となるように制御される。
【0033】
入力バイパスコンデンサ42に発生する電圧は、最小が電圧V3となる脈流電圧となるため、入力バイパスコンデンサ42のキャパシタンスが大きいほど、双方向コンバータ5Aに要求される耐圧を低くすることが可能である。駆動素子43及び整流素子44は入力バイパスコンデンサ42に発生する電圧以上の耐圧が必要である。例えば電圧V5が振幅20Vであり、入力バイパスコンデンサ42に発生する脈流電圧の振幅が5Vである場合、25V以上の耐圧を有する素子で構成することができる。出力コンデンサ46はインダクタ45のリプル電流を平滑するためのものである。電圧V5の平均値は、分圧抵抗47、48により分圧された電圧を、フィルタ容量49により平滑した電圧を制御回路52にフィードバックすることにより決定される。例えば制御回路52の制御電圧が1Vであった場合、分圧抵抗47を90kΩとし、分圧抵抗48を10kΩとすれば、電圧V5は平均10Vであり、20Vの振幅を有する波形となる。例えば前記双方向コンバータ5Aを30V耐圧の素子で構成した場合、当該双方向コンバータ5Aの規模は2コンバータ方式で用いられる平滑用スイッチングコンバータの10分の1以下とすることが可能である。
【0034】
実施形態のまとめ.
第1の態様に係るスイッチング電源装置は、交流入力電圧を所望の出力電圧に変換するスイッチング電源装置であって、
前記スイッチング電源装置の入力端に設けられ、力率を改善する力率改善回路と、
前記力率改善回路の出力端に接続される平滑コンデンサと、
前記出力電圧に対応するフィードバック信号に基づいて、第1の直流電圧を第2の直流電圧に変換して前記平滑コンデンサに出力し、もしくは前記平滑コンデンサからの第3の直流電圧を第4の直流電圧に変換して出力する双方向DCDCコンバータとを備えたことを特徴とする。
【0035】
前記第1の態様に係るスイッチング電源装置によれば、双方向コンバータは力率改善回路から出力される脈流を含む出力電圧を平滑化するために使用されるため、双方向コンバータの動作電圧は平滑コンデンサに発生するリプル電圧以上あればよい。リプル電圧は力率改善回路の出力電圧と比較して小さくすることが可能であるため、双方向コンバータは低い電圧で動作可能であり、スイッチング損失及びノイズを小さくすることができる。従って、双方向コンバータの動作周波数を上げることが容易となり、受動部品を小型化することができる。また、双方向コンバータの耐圧も低くすることができるため、回路を小型化することができる。
【0036】
第2の態様に係るスイッチング電源装置は、第1の態様に係るスイッチング電源装置において、互いに直列に接続された2つの分圧抵抗を含む分圧回路を備える。前記フィードバック信号は、前記出力電圧を前記分圧回路により分圧して得られた電圧を有し、上記双方向DCDCコンバータは前記出力電圧が一定になるように制御する。
【0037】
第3の態様に係るスイッチング電源装置は、第1の態様に係るスイッチング電源装置において、互いに直列に接続されたLED発光素子と電流センス抵抗を含む分圧回路を備える。前記フィードバック信号は、前記出力電圧を前記分圧回路により分圧して得られた電圧を有し、上記双方向DCDCコンバータは前記LED発光素子に流れる電流が一定になるように制御する。
【0038】
第2又は第3の態様に係るスイッチング電源装置によれば、双方向コンバータは力率改善回路の脈流する出力電流を平滑化するために使用される。双方向コンバータの動作電圧は上記と同様にリプル電圧以上あればよく、双方向コンバータの動作周波数を上げることが容易となり、受動部品、回路を小型化することができる。
【0039】
第4の態様に係るスイッチング電源装置は、第1〜第3の態様のうちのいずれか1つに係るスイッチング電源装置において、前記力率改善回路は昇降圧コンバータを含む。
【0040】
第4の態様に係るスイッチング電源装置によれば、リプル平滑のために双方向コンバータを使用する場合、降圧コンバータであれば平滑コンデンサに発生するリプル電圧以上の入力電圧に設定する必要がある。また昇圧コンバータでは入力電圧以上の出力以上にしか対応できないため、双方向コンバータの出力電圧は力率改善回路のリプル電圧に入力電圧を加えた電圧となる。昇降圧コンバータであれば入力電圧は例えばリプル電圧の平均値とすることができ、出力電圧は力率改善回路のリプルとなるため、リプル電圧の耐圧を有する回路構成で実現できる。
【0041】
第5の態様に係るスイッチング電源装置によれば、第1〜第4の態様のうちのいずれか1つに係るスイッチング電源装置において、前記双方向DCDCコンバータは降圧コンバータを含む。
【0042】
第6の態様に係る電子機器によれば、第1〜第5の態様のうちのいずれか1つに記載のスイッチング電源装置を備える。ここで、当該電子機器は、例えば携帯電話機、スマートホン、パーソナルコンピュータ、複合機などである。
【0043】
以上説明したように、降圧コンバータであれば平滑コンデンサに発生するリプル電圧以上の入力電圧に設定する必要があり、相応の耐圧を有する素子で構成する必要がある。しかしながら、降圧コンバータは制御性が良く、高い効率を得やすい。入力電圧のばらつき、出力電圧リプルのばらつきが小さい場合、降圧コンバータで構成すればより高い効率を得ることが可能である。
【符号の説明】
【0044】
1…交流電源、
2…整流回路、
3,3A…力率改善回路、
4…平滑コンデンサ、
5,5A…双方向DCDCコンバータ(双方向コンバータ)
6…直流電源、
7,8…分圧抵抗、
9…負荷、
11,12…分圧回路、
21…LED発光素子、
22…電流センス抵抗、
31…力率改善制御回路、
32…駆動素子、
33…整流素子、
34…主巻線、
35…入力バイパスコンデンサ、
36…出力コンデンサ、
37…整流素子、
38…平滑コンデンサ、
39…補助巻線、
40…トランス、
41…ダイオード、
42…入力バイパスコンデンサ、
43…駆動素子、
44…整流素子、
45…インダクタ、
46…出力コンデンサ、
47,48…分圧抵抗、
49…フィルタ容量、
50,51…デカップリング抵抗、
101,102…スイッチング電源装置、
200…電子機器。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0045】
【特許文献1】特許第5110197号公報
【特許文献2】特開2013−038882号公報
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6