特許第6409175号(P6409175)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6409175
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】電気とめさし器
(51)【国際特許分類】
   A01M 27/00 20060101AFI20181015BHJP
   A01M 29/24 20110101ALI20181015BHJP
   A22B 3/06 20060101ALI20181015BHJP
【FI】
   A01M27/00
   A01M29/24
   A22B3/06
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-242416(P2015-242416)
(22)【出願日】2015年12月11日
(65)【公開番号】特開2017-104079(P2017-104079A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2017年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】596009788
【氏名又は名称】株式会社末松電子製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000214191
【氏名又は名称】長崎県
(73)【特許権者】
【識別番号】504237061
【氏名又は名称】株式会社三生
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(74)【代理人】
【識別番号】100194984
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 圭太
(72)【発明者】
【氏名】末松 謙一
(72)【発明者】
【氏名】石田 秀之
(72)【発明者】
【氏名】明石 秀徳
(72)【発明者】
【氏名】平田 滋樹
(72)【発明者】
【氏名】和田 三生
(72)【発明者】
【氏名】和田 晴美
【審査官】 竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−084728(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3178051(JP,U)
【文献】 国際公開第00/018224(WO,A1)
【文献】 特開2003−222281(JP,A)
【文献】 実開平03−007890(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0240890(US,A1)
【文献】 特開2002−312862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 27/00
A01M 29/24
A22B 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性材料で形成されており、かつ、長手方向を有する本体と、
該本体の一端から離れる方向へ突出可能に同本体に取付けられており、かつ、湾曲可能であり、かつ、導電性材料で形成された接続体と、
前記本体の一端に配置されており、かつ、前記本体に取付けられた前記接続体の箇所とは反対側の同接続体の箇所に取付けられており、かつ、同接続体に取付けられた側とは反対側が針状であり、かつ、導電性材料で形成された針部と、
前記接続体と電気的に接続された、かつ、同接続体を介して前記針部に所定の電圧を印加可能な電圧印加回路と、
該電圧印加回路と電気的に接続された、かつ、電圧が印加されたときに前記針部の極と異なる極となるアース部とを備える
電気とめさし器。
【請求項2】
前記電圧印加回路と電気的に接続された、かつ、前記本体の外側面に取付けられた、かつ、オンとオフを切替え可能な第1のスイッチ部と、
前記電圧印加回路と電気的に接続された、かつ、第1のスイッチ部が取付けられた側とは反対側の前記本体の外側面に取付けられた、かつ、オンとオフを切替え可能な第2のスイッチ部とを備え、
前記電圧印加回路は、前記第1のスイッチ部がオンであり、かつ、前記第2のスイッチ部がオンである場合に電圧を印加可能である
請求項1に記載の電気とめさし器。
【請求項3】
前記針部は、前記接続体に取付けられた側から離れる方向に徐々に厚みが減少した第1の傾斜面が形成されており、
前記針部は、前記第1の傾斜面と連接した第2の傾斜面が形成された、かつ、該第2の傾斜面と鋭角で交差する段差面が形成された、かえし部を有する
請求項1または請求項2に記載の電気とめさし器。
【請求項4】
前記電圧印加回路が電圧を印加したときに点灯可能な出力ランプ部と、
前記電圧印加回路が電圧を印加したときに音を発生可能なブザー部とを備える
請求項1、請求項2または請求項3に記載の電気とめさし器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気とめさし器に関する。詳しくは、例えば、捕獲したイノシシなどの動物を気絶させたり、死に至らしめたりするための電気とめさし器に係るものである。
【背景技術】
【0002】
山間の農業地域では、イノシシや鹿などの動物が田畑へ侵入して、農作物を食い荒らしてしまう食害が多発している。
そこで、動物の田畑への侵入を防止するために、田畑の周囲に防護柵が設置されている。
【0003】
防護柵としては、フェンスや電気柵が用いられており、田畑への動物侵入を防止する上で一定の成果を上げている。
しかし、防護柵に侵入を阻まれた動物は、他の田畑へ侵入し食害を与える。従って、その田畑の周囲にも防護柵の設置が必要となる。
【0004】
すなわち、防護柵の設置は、一時凌ぎの食害防止策であることは否めない。
そこで近年、田畑へ侵入する動物の捕獲が勧められている。
【0005】
また、捕獲方法としては、箱罠を用いて捕獲する方法が多い。そして、様々な箱罠が提案されている。
例えば、特許文献1には、図8に示すような檻が記載されている。
すなわち、特許文献1に記載された檻100は、側柵(101、102、103)と、天井柵104と、入り口柵105と、底柵106とが互いに接続されて組み立てられている。また、入り口柵105は、上下に可動する。
また、檻100の内部の底面すなわち底柵106の上面には、網の周囲を固定した可動枠107が載置されている。
【0006】
また、複数本の鋼材が縦横に組み合わされて構成された引き上げ枠110が、檻100の天井柵104の上面に載置されている。
また、引き上げ枠110の中央近傍には、上方に伸びた引き上げ索113の一端が接続されており、引き上げ枠110の四隅近傍には、下方に伸びた接続部108の一端が接続されている。
また、接続部108の他端は可動枠107に接続されている。
【0007】
また、天井柵104の上方には、2本のブリッジ支柱111と、ブリッジ支柱111の上端に架設されたブリッジバー114とで構成されたブリッジ部が配置されている。
また、ブリッジバー114の略中央には巻き上げ機112の本体が取付けられており、巻き上げ機112の本体に、引き上げ索113の他端が接続されている。
【0008】
また、巻き上げ機112により、引き上げ枠110を引き上げ、それにともない接続部108を介して可動枠107および網を天井柵104に向かって上昇させる。
【0009】
エサで檻の内部に誘い込まれたイノシシなどの動物は、可動枠107の網の上に立った状態となり、その状態で巻き上げ機112を操作して可動枠107および網を天井柵104に向かって上昇させる。
すると、動物の四肢が可動枠107に張られた網目の中に入り込み、引き上げを続行することで動物の腹部を包み込む状態で動物を宙吊り状態にして、その動きを拘束する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実用新案登録第3190081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
一般的に、捕獲された動物は気絶させられたり、死に至らしめられたりして、食用の肉に加工される。
しかし、作業者が刃物で動物を気絶させたり、死に至らしめたりしようとするとき動物は大暴れするので、作業は容易ではない。
【0012】
特許文献1に記載の檻によって動物は宙吊りにされるが、宙吊りになっているだけで依然として動物は元気であり、作業者が刃物を動物に刺し込んで気絶させたり、死に至らしめたりしようとするときに体を激しく動かして抵抗するおそれがある。
【0013】
従って、このような場合でも、簡単に動物を気絶させたり、死に至らしめたりすることができる電気とめさし器が求められていた。
【0014】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、簡単に動物を気絶させたり、死に至らしめたりすることができる電気とめさし器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明の電気とめさし器は、絶縁性材料で形成されており、かつ、長手方向を有する本体と、該本体の一端から離れる方向へ突出可能に同本体に取付けられており、かつ、湾曲可能であり、かつ、導電性材料で形成された接続体と、前記本体の一端に配置されており、かつ、前記本体に取付けられた前記接続体の箇所とは反対側の同接続体の箇所に取付けられており、かつ、同接続体に取付けられた側とは反対側が針状であり、かつ、導電性材料で形成された針部と、前記接続体と電気的に接続された、かつ、同接続体を介して前記針部に所定の電圧を印加可能な電圧印加回路と、該電圧印加回路と電気的に接続された、かつ、電圧が印加されたときに前記針部の極と異なる極となるアース部とを備える。
【0016】
ここで、絶縁性材料で形成されており、かつ、長手方向を有する本体と、本体の一端側に配置された針状である針部とによって、作業者は、感電することなく、本体を持って、動物と距離を置きながら針部を動物に突き刺すことができる。
【0017】
また、本体の一端から離れる方向へ突出可能に本体に取付けられており、かつ、湾曲可能である接続体と、本体に取付けられた接続体の箇所とは反対側の接続体の箇所に取付けられており、かつ、接続体に取付けられた側とは反対側が針状である針部とによって、針部が動物に突き刺さった後、動物が暴れても、本体と針部との接続状態を維持できる。
【0018】
また、導電性材料で形成された接続体と、導電性材料で形成された針部と、接続体と電気的に接続された、かつ、接続体を介して針部に所定の電圧を印加可能な電圧印加回路とによって、針部が動物に突き刺さった後、動物が暴れても、動物に所定の電圧を与え続けることができる。
ここで、「所定の電圧」とは、動物に衝撃を与え、動物を気絶または死に至らしめることができる程度の電圧を意味する。
【0019】
また、電圧印加回路と電気的に接続された、かつ、電圧が印加されたときに針部の極と異なる極となるアース部によって、作業者は、アース部を接地するだけで、地面に接している動物をアース部に接触していることにすることができる。
【0020】
また、本発明の電気とめさし器は、電圧印加回路と電気的に接続された、かつ、本体の外側面に取付けられた、かつ、オンとオフを切替え可能な第1のスイッチ部と、電圧印加回路と電気的に接続された、かつ、第1のスイッチ部が取付けられた側とは反対側の本体の外側面に取付けられた、かつ、オンとオフを切替え可能な第2のスイッチ部とを備え、電圧印加回路は、第1のスイッチ部がオンであり、かつ、第2のスイッチ部がオンである場合に電圧を印加可能であるものとすることができる。
【0021】
この場合、本発明の電気とめさし器を単に置いただけでは、第1のスイッチ部と第2のスイッチ部の両方をオンにすることはできないので安全である。
また、第1のスイッチ部と第2のスイッチ部の両方をオンにするためには、作業者は両手を使う必要があるので、間違って針部に触れることを防止できる。
【0022】
さらに、本発明の電気とめさし器において、針部は、接続体に取付けられた側から離れる方向に徐々に厚みが減少した第1の傾斜面が形成されており、針部は、第1の傾斜面と連接した第2の傾斜面が形成された、かつ、第2の傾斜面と鋭角で交差する段差面が形成された、かえし部を有するものとすることができる。
【0023】
この場合、動物に突き刺さった針部が抜け難くなる。
【0024】
また、本発明の電気とめさし器は、電圧印加回路が電圧を印加したときに点灯可能な出力ランプ部と、電圧印加回路が電圧を印加したときに音を発生可能なブザー部とを備えるものとすることができる。
【0025】
この場合、作業者や周囲の人は、針部に衝撃電圧が印加されていることを気付き易くなる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る電気とめさし器によって、簡単に動物を気絶させたり、死に至らしめたりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明を適用した電気とめさし器の一例を示す概略図である。
図2】本発明を適用した電気とめさし器の針部の一例を示す概略拡大図である。
図3】本発明を適用した電気とめさし器の針部が引っ張られてコイルバネ体が突出した状態の一例を示す概略図である。
図4】本発明を適用した電気とめさし器の第1のスイッチ部の一例を示す概略平面図である。
図5】本発明を適用した電気とめさし器を用いて、檻に入れられたイノシシなどの動物を気絶させたり、死に至らしめたりする様子の一例を示す概略図である。
図6】本発明を適用した電気とめさし器の電圧印加回路における電圧印加の時期と電圧値との関係の一例を示す概略図である。
図7】本発明を適用した電気とめさし器を用いて、くくり式罠で捕獲されたイノシシなどの動物を気絶させたり、死に至らしめたりする様子の一例を示す概略図である。
図8】従来の動物捕獲用の檻を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は、本発明を適用した電気とめさし器の一例を示す概略図である。また、図2は、本発明を適用した電気とめさし器の針部の一例を示す概略拡大図である。
また、図3は、本発明を適用した電気とめさし器の針部が引っ張られてコイルバネ体が突出した状態の一例を示す概略図である。
【0029】
図1に示す本発明の電気とめさし器1は、樹脂またはゴムなどの絶縁性材料で形成された、かつ、長手方向を有する棒状である本体2を備える。
【0030】
また、本発明の電気とめさし器1は、図3に示すようなコイルバネ体5を備える。
ここで、コイルバネ体5は、導電性材料すなわち金属で形成されたコイル素線が螺旋状に略同一径で巻回されて構成されたものであり、弾性を有し、伸縮可能である。
また、コイルバネ体5は接続体の一例である。
【0031】
また、コイルバネ体5は、本体2の一端から離れる方向へ突出可能に本体2に取付けられている。図3に示した状態が、コイルバネ体5が本体2の一端から離れる方向へ突出した状態である。
また、コイルバネ体5は湾曲可能である。
【0032】
また、本発明の電気とめさし器1は、本体2の一端に配置された針部3を備える。
すなわち針部3は、本体2の一端に着脱可能に取付けられていると共に、コイルバネ体5にも取付けられている。
【0033】
また、針部3は、本体2に取付けられたコイルバネ体5の箇所とは反対側のコイルバネ体5の箇所に取付けられている。
従って、針部3は、図3に示すように、コイルバネ体5によって本体2と接続されながらも、本体2から離れることができる。
【0034】
また、針部3の、本体2やコイルバネ体5に取付けられた側とは反対側すなわち先端は、円錐形状である針状である。
すなわち、図2に示すように、針部3の先端には、本体2に取付けられた側もしくはコイルバネ体に取付けられた側から離れる方向に徐々に針部3の厚みが減少した第1の傾斜面3Aが形成されている。
【0035】
また、図2に示すように、針部3は、かえし部4を有する。
ここで、かえし部4には、図2に示すように、第1の傾斜面3Aと連接した第2の傾斜面4Aが形成されており、また、第2の傾斜面4Aと鋭角で交差する段差面4Bが形成されている。
【0036】
また、針部3や、かえし部4は、導電性材料すなわち金属で形成されている。
また、針部3やコイルバネ体5は、どちらも導電性材料で形成されているので、互いに電気的に接続されていると言える。
【0037】
また、本発明の電気とめさし器1は、コイルバネ体5と電気的に接続された、かつ、コイルバネ体5を介して針部3に所定のパルス状電圧または擬似正弦波電圧を印加可能な電圧印加回路6Aを備える。
すなわち、箱状の電源部6に内蔵された電圧印加回路6Aは、表面が樹脂またはゴムなどの絶縁性材料で覆われた導電線2Aを介して、コイルバネ体5と電気的に接続されている。
【0038】
また、図示していないが、電源部6には、蓄電池すなわちバッテリーも内蔵されており、電圧印加回路6Aはバッテリーと電気的に接続されている。
また、図示していないが、外部から電力を供給するための電力供給用コネクタを装着可能な充電用コネクタを有する充電口が、バッテリーを充電するために電源部6に形成されていてもよい。
【0039】
ここで、必ずしもバッテリーを使用しなくてもよく、例えば乾電池や太陽光電池を使用することもできる。
【0040】
また、所定のパルス状電圧または擬似正弦波電圧とは、具体的には例えば、100〜300Vの電圧値、周波数1〜80Hz、および放電エネルギー1〜110J/秒を有するパルス状電圧または擬似正弦波電圧である。
【0041】
このような電圧値、周波数および放電エネルギーを有する、本発明の電気とめさし器のパルス状電圧または擬似正弦波電圧は、電気柵の柵線に印加される電圧に比べて時間当たりの放電エネルギーが高い。
この理由は、本発明の電気とめさし器が、田畑へ侵入しようとする動物の気絶または死を目的としていることと、針部を動物に突き刺したときにパルス状電圧または擬似正弦波電圧が印加されていればよく、通電時間が短いからである。
【0042】
また、本発明の電気とめさし器1は、電圧印加回路6Aと電気的に接続された、かつ、電圧が印加されたときに針部3の極と異なる極となるアース部7を備える。
すなわち、導電線2Aは分岐して電源部6とアース部7に接続されており、アース部7は、導電線2Aを介して電圧印加回路6Aと電気的に接続されている。
【0043】
また、アース部7は、金属棒を挟持可能な形状を有しており、図1に示すように、アース部7は具体的には例えばクリップ形状を有する。
【0044】
また、本発明の電気とめさし器1は、オンとオフを切替え可能な第1のスイッチ部8を備える。
ここで、第1のスイッチ部8は、電圧印加回路6Aと電気的に接続されており、かつ、本体2の外側面に取付けられている。
【0045】
また、本発明の電気とめさし器1は、オンとオフを切替え可能な第2のスイッチ部9を備える。
ここで、第2のスイッチ部9は、電圧印加回路6Aと電気的に接続されており、かつ、第1のスイッチ部8が取付けられた側とは反対側の本体2の外側面に取付けられている。
また、第2のスイッチ部9は、オンとオフを切替えるためのレバー9Aを有する。
【0046】
図4は、本発明を適用した電気とめさし器の第1のスイッチ部の一例を示す概略平面図である。
【0047】
本発明の電気とめさし器1は、電圧印加回路6Aが電圧を印加したときに点灯可能な出力ランプ部10を備える。
また、本発明の電気とめさし器1は、電圧印加回路6Aが電圧を印加したときに音を発生可能なブザー部11を備える。
また、出力ランプ部10とブザー部11は、電圧印加回路6Aと電気的に接続されている。
【0048】
また、図4に示すように、出力ランプ部10とブザー部11は、同じ1つの箱状の第1のスイッチ部8に内蔵されている。なお、出力ランプ部とブザー部は、必ずしも第1のスイッチ部に内蔵されていなくてもよい。
また、図4に示すように、第1のスイッチ部8は、オンとオフを切替えるための押しボタン8Aを有する。
【0049】
本発明の電気とめさし器は、必ずしも第1のスイッチ部と第2のスイッチ部のように2つのスイッチ部を備えていなくてもよく、例えば1つのスイッチ部だけでもよい。
しかし、本発明の電気とめさし器が、2つのスイッチ部を備えていれば、第1のスイッチ部と第2のスイッチ部の両方をオンにするためには、作業者は両手を使う必要があるので、間違って針部に触れることを防止でき、好ましい。
【0050】
また、第2のスイッチ部は、必ずしも第1のスイッチ部が取付けられた側とは反対側の本体の外側面に取付けられていなくてもよい。
しかし、第2のスイッチ部が、第1のスイッチ部が取付けられた側とは反対側の本体の外側面に取付けられていれば、本発明の電気とめさし器を単に置いただけでは、第1のスイッチ部と第2のスイッチ部の両方をオンにすることはできないので安全であり、好ましい。
【0051】
また、針部は、必ずしも、かえし部を有していなくてもよい。
しかし、針部が、かえし部を有していれば、動物に突き刺さった針部が抜け難くなるので好ましい。
【0052】
また、本発明の電気とめさし器は、必ずしも出力ランプ部やブザー部を備えていなくてもよい。
しかし、本発明の電気とめさし器が、出力ランプ部やブザー部を備えていれば、作業者や周囲の人は、針部に衝撃電圧が印加されていることを気付き易くなるので好ましい。
【0053】
また、アース部は、必ずしも金属棒を挟持可能な形状を有していなくてもよい。
しかし、アース部が、金属棒を挟持可能な形状を有していれば、檻を構成する金属棒や、地面に突き刺さった金属棒に、簡単にアース部を接続することができるので、アース部自体を地面に突き刺す必要がなく、アース部を接地し易い。
【0054】
次に、図5および図6を参照して、本発明の電気とめさし器を用いた方法を説明する。
作業者は、クリップ形状を有するアース部7で檻12の金属棒12Aを挟持し、アース部7を接地する。
【0055】
すなわち、檻12の金属棒12Aは地面に接しているので、アース部7を檻12の金属棒12Aに接続することで、アース部7を接地することができる。
【0056】
また、檻12の中では、生きているイノシシ13が暴れ回っていることもある。
このとき、作業者は、本体2の外側面に取付けられた第1のスイッチ部8の押しボタン8Aを押して第1のスイッチ部8をオンにし、また、本体2の外側面に取付けられた第2のスイッチ部9のレバー9Aを一方に押して第2のスイッチ部9をオンにする。
【0057】
第1のスイッチ部8および第2のスイッチ部9をオンにすると同時に、作業者は、一端に針部3が配置された本体2を持って、針部3をイノシシ13に向け、針部3をイノシシ13に突き刺す。
イノシシは動物の一例である。
【0058】
イノシシ13の足は、暴れ回っていても必ず地面または檻12の地面に接触した底部の金属棒に接触しているので、アース部7は常にイノシシ13に接触していることになる。
【0059】
また、電圧印加回路6Aは、電圧値118V、周波数55Hzおよび1秒当たりの放電エネルギー42Jを有するパルス状電圧または擬似正弦波電圧を、針部3に印加する。このとき、図6に示すようなパルス状電圧または擬似正弦波電圧が発生している。また、このときの負荷は、数百Ω〜数キロΩである。
図6は、本発明を適用した電気とめさし器の電圧印加回路における電圧印加の時期と電圧値との関係の一例を示す概略図である。
【0060】
また、針部3にパルス状電圧または擬似正弦波電圧が印加されているとき、針部3は陽極となっており、アース部7は陰極となっている。
【0061】
図6に示すように、電圧印加回路6Aでは、プラス118Vの電圧が8ミリ秒間発生し、その後、1ミリ秒間0Vとなり、さらにその後、マイナス118Vの電圧が8ミリ秒間発生し、その後、1ミリ秒間0Vとなって、再び、プラス118Vの電圧が8ミリ秒間発生する。
すなわち、18ミリ秒間の周期でパルス状電圧または擬似正弦波電圧が発生する。
【0062】
このとき、押しボタン8Aが押されている間およびレバー9Aが一方に押されている間、針部3にパルス状電圧または擬似正弦波電圧が印加されている。
また、押しボタン8Aおよびレバー9Aの少なくとも一方から指を離す、すなわち、押しボタン8Aおよびレバー9Aの少なくとも一方が押されなくなると、針部3にパルス状電圧または擬似正弦波電圧は印加されなくなる。
【0063】
また、針部3がイノシシ13に突き刺さると、イノシシ13は激痛により暴れ回った場合、針部3はイノシシ13に突き刺さったまま、図3に示すように、コイルバネ体5を介して本体2と接続された状態で、本体2から離れる。
また、コイルバネ体5は湾曲可能であるので、イノシシ13の動きに合わせてコイルバネ体5が湾曲し、本体2を持った作業者がイノシシ13に引きずられることはほとんどない。
【0064】
また、針部3とコイルバネ体5は導電性材料で形成されており、また、電圧印加回路6Aはコイルバネ体5と電気的に接続されており、針部3とコイルバネ体5も互いに接続されているので、電圧印加回路6Aはコイルバネ体5を介して針部3にパルス状電圧または擬似正弦波電圧を与え続ける。
すなわち、イノシシ13にパルス状電圧または擬似正弦波電圧を与え続ける。
【0065】
針部3を突き刺した直後は、イノシシ13は暴れ回ることもあるが、パルス状電圧または擬似正弦波電圧がイノシシ13に与えられると、イノシシ13は気絶したり、死に至ったりする。
すなわち、本発明の電気とめさし器1は、針部3を突き刺してイノシシ13が暴れても、本体2を持った作業者がイノシシ13に引きずられることなく、イノシシ13にパルス状電圧または擬似正弦波電圧を与え続けることができる。
【0066】
次に、図7を参照して、本発明の電気とめさし器を用いた方法を説明する。
図7は、本発明を適用した電気とめさし器を用いて、くくり式罠で捕獲されたイノシシなどの動物を気絶させたり、死に至らしめたりする様子の一例を示す概略図である。くくり式罠とは、檻を使用しない罠である。
【0067】
くくり式罠は次のようにして設置される。
まず、地面に直径約30cmの穴を掘り、穴の周囲を環状ワイヤーで取り囲む。環状ワイヤーは、長手方向を有する締め付け具の一端に取付けられており、締め付け具の他端には直線状ワイヤーの一端が取付けられている。
【0068】
また、直線状ワイヤーの他端は、立木にくくりつけられている。直線状ワイヤーの長さは約2mである。
穴は、外部から判らないように、枯草や土で隠されている。
【0069】
この穴にイノシシ13が足を踏み込むと、イノシシ13の踏み込んだ足には環状ワイヤー14が絡みつき、締め付け具16でイノシシ13の足はしっかり締め付けられる。
一端が締め付け具16に取付けられた直線状ワイヤー15の他端は、立木17にくくりつけられているので、イノシシ13は立木17に繋がれた状態となる。
【0070】
仕掛けられていた環状ワイヤー14で締め付けられたイノシシ13を発見した作業者は、さらに別の環状ワイヤー14で、イノシシ13の部位例えば口または足を締め付ける。
【0071】
この別の環状ワイヤー14は、同じく長手方向を有する締め付け具16の一端に取付けられており、締め付け具16の他端には直線状ワイヤー15の一端が取付けられている。また、直線状ワイヤー15の他端は、別の立木17にくくりつけられている。
このようにして、くくり式罠でイノシシ13を捕獲する。
【0072】
また、クリップ形状を有するアース部7で、立木17にくくりつけられた直線状ワイヤー15の他端を挟持し、アース部7を接地する。
【0073】
また、作業者は、本体2の外側面に取付けられた第1のスイッチ部8の押しボタン8Aを押して第1のスイッチ部8をオンにし、また、本体2の外側面に取付けられた第2のスイッチ部9のレバー9Aを一方に押して第2のスイッチ部9をオンにする。
【0074】
第1のスイッチ部8および第2のスイッチ部9をオンにすると同時に、作業者は、一端に針部3が配置された本体2を持って、針部3をイノシシ13に向け、針部3をイノシシ13に突き刺す。
【0075】
また、電圧印加回路6Aは、電圧値118V、周波数55Hzおよび1秒当たりの放電エネルギー42Jを有するパルス状電圧または擬似正弦波電圧を、針部3に印加する。
【0076】
針部3を突き刺した直後は、イノシシ13は暴れ回ることもあるが、パルス状電圧または擬似正弦波電圧がイノシシ13に与えられると、イノシシ13は気絶したり、死に至ったりする。
【0077】
くくり式罠で捕獲されたイノシシは、檻に入れられたイノシシ以上に動き回った場合も、本発明の電気とめさし器は、針部3はイノシシ13に突き刺さったまま、図3に示すように、コイルバネ体5を介して本体2と接続された状態で、本体2から離れ、イノシシ13の動きに合わせてコイルバネ体5が湾曲し、本体2を持った作業者がイノシシ13に引きずられることはほとんどないので、効果をより発揮することができる。
【0078】
また、動物としてイノシシを例に挙げて説明したが、例えば捕獲した猿を気絶させたり、死に至らしめたりする場合も、本発明の電気とめさし器は効果を発揮する。
【0079】
以上のように、本発明の電気とめさし器は、絶縁性材料で形成されており長手方向を有する本体と、本体の一端側に配置された針状である針部とを備えているので、作業者は、感電することなく、本体を持って、動物と距離を置きながら針部を動物に突き刺すことができる。
【0080】
また、本発明の電気とめさし器は、本体の一端から離れる方向へ突出可能に本体に取付けられており湾曲可能である接続体と、本体に取付けられた接続体の箇所とは反対側の接続体の箇所に取付けられており、かつ、接続体に取付けられた側とは反対側が針状である針部を備えているので、針部が動物に突き刺さった後、動物が暴れても、本体と針部との接続状態を維持できる。
【0081】
また、本発明の電気とめさし器は、導電性材料で形成された接続体と、導電性材料で形成された針部と、接続体と電気的に接続された、かつ、接続体を介して針部に所定の電圧を印加可能な電圧印加回路を備えているので、針部が動物に突き刺さった後、動物が暴れても、動物に所定の電圧を与え続けることができる。
【0082】
また、本発明の電気とめさし器は、電圧印加回路と電気的に接続されており電圧が印加されたときに針部の極と異なる極となるアース部を備えているので、作業者は、アース部を接地するだけで、地面に接している動物をアース部に接触していることにすることができる。
【0083】
従って、針部が突き刺さった動物が暴れ回っても、動物の動きに合わせて接続体が湾曲し、本体を持った作業者が動物に引きずられることはほとんどないので、本発明の電気とめさし器によって、簡単に動物を気絶させたり、死に至らしめたりすることができる。
【符号の説明】
【0084】
1 電気とめさし器
2 本体
2A 導電線
3 針部
3A 第1の傾斜面
4 かえし部
4A 第2の傾斜面
4B 段差面
5 コイルバネ体
6 電源部
6A 電圧印加回路
7 アース部
8 第1のスイッチ部
8A 押しボタン
9 第2のスイッチ部
9A レバー
10 出力ランプ部
11 ブザー部
12 檻
12A 金属棒
13 イノシシ
14 環状ワイヤー
15 直線状ワイヤー
16 締め付け具
17 立木
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8