特許第6409180号(P6409180)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6409180
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20181015BHJP
【FI】
   A63F7/02 304Z
【請求項の数】2
【全頁数】63
(21)【出願番号】特願2013-115412(P2013-115412)
(22)【出願日】2013年5月31日
(65)【公開番号】特開2014-233360(P2014-233360A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2016年4月5日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000144153
【氏名又は名称】株式会社三共
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 昌邦
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】小倉 敏男
(72)【発明者】
【氏名】清水 謙二
(72)【発明者】
【氏名】山口 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】樫本 美宏
【審査官】 酒井 保
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−168935(JP,A)
【文献】 特開平04−347578(JP,A)
【文献】 特開2005−185369(JP,A)
【文献】 特許第6106877(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機種共通の共通ユニットと、前記共通ユニットに取り付け可能な機種固有の固有ユニットとを備えた遊技機であって、
前記共通ユニットに設けられ、当該遊技機に備えられた電気部品の電源電圧を発生させる電源部と、
前記固有ユニットに設けられ、前記固有ユニットが前記共通ユニットに取り付けられた場合に前記電源部と接続され、前記電源部により発生される電源電圧の値を設定する設定部と
を備え、
前記設定部は、前記電源部により発生される電源電圧を切り替えるためのスイッチであり、該スイッチの開閉に応じて、前記共通ユニットに取り付けられた前記固有ユニットの機種に応じた電源電圧が前記電源部で生成されるように、該電源電圧の値を設定する
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記電源部は、出力電圧を変更可能な複数の電源回路を有し、
前記設定部は、前記複数の電源回路の出力電圧をそれぞれ設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等の遊技機は、光や音響等による各種の演出機能を備えている。近年では、遊技機の演出機能が高度化し、例えば、数千個のLEDと多くの役物を併用した演出が行われている。この演出機能を実現するため、遊技機は多様な仕様の電源を備えている。例えば、特開2002−210192号公報(特許文献1)には、演出のための音制御やランプ制御など、各種の演出機能を実現するための電気部品の電源を供給する電源基板を備えた遊技機が開示されている。この従来技術では、遊技機が備える電源基板は機種固有であり、遊技盤の機種ごとに専用の電源基板が準備される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−210192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、遊技機における演出の内容が多様化し、演出の内容に応じて遊技盤の機種数が増える傾向にある。しかも、遊技盤の機種変更のサイクルが短くなる傾向にある。このような状況にあって、上述の従来技術によれば、遊技機を構成する遊技盤の機種が変わる都度、その電源仕様に応じて電源基板を設計し直さなければならず、遊技盤等の機種固有のユニットの機種変更に柔軟に対応することが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決するために、本発明の一態様は、機種共通の共通ユニット(例えば、遊技機用枠3等)と、前記共通ユニットに取り付け可能な機種固有の固有ユニット(例えば、遊技盤2等)とを備えた遊技機であって、前記共通ユニットに設けられ、当該遊技機に備えられた電気部品の電源電圧を発生させる電源部(例えば、電源部1600等)と、前記固有ユニットに設けられ、前記固有ユニットが前記共通ユニットに取り付けられた場合に前記電源部と接続され、前記電源部により発生される電源電圧の値を設定する設定部(例えば、設定部1700等)とを備え、前記設定部は、前記電源部により発生される電源電圧を切り替えるためのスイッチであり、該スイッチの開閉に応じて、前記共通ユニットに取り付けられた前記固有ユニットの機種に応じた電源電圧が前記電源部で生成されるように、該電源電圧の値を設定する。
上記構成によれば、固有ユニットが前記共通ユニットに取り付けられると、電源部により発生される電源電圧の値が設定部で設定された値になる。これにより、固有ユニットの電源仕様に応じて電源電圧を設定することができる。従って、多様な機種の固有ユニットに柔軟に対応することが可能になる。
(2)上記(1)の遊技機において、前記設定部は、前記電源部によって発生される電源電圧の所望値に対応した抵抗値を有する抵抗(例えば、抵抗R17等)を備えてもよい。
上記構成によれば、抵抗の抵抗値に応じて電源電圧が設定される。従って、電源部の構成の変更を最小限に抑えつつ、電源電圧の値を柔軟に設定することができる。
(3)上記(1)または(2)の遊技機において、前記電源部は、出力電圧が可変な複数の電源回路(例えば、可変電源回路16101〜16107等)を備え、前記設定部は、前記複数の電源回路の各出力電圧を設定してもよい。
上記構成によれば、複数の電源回路のそれぞれが発生させる出力電圧は、設定部で設定された値に個別に設定される。従って、用途に応じて単一または複数の電源電圧を柔軟に発生させることができる。
(4)上記(3)の遊技機において、前記複数の電源回路は、前記設定部により設定された出力電圧を発生させる電源回路(例えば、可変電源回路16101〜16103等)と、前記設定部の設定によらない所定の出力電圧を発生させる電源回路(例えば、可変電源回路1610A1〜1610A4等)とを含んでもよい。
上記構成によれば、所定の出力電圧は、設定部の設定によらずに発生される。従って、設定部の回路構成を簡略化することができる。
(5)上記(1)から(4)の何れかの遊技機において、前記設定部は、前記固有ユニットの電気部品が設けられた第1基板(例えば、主基板11等)から独立した第2基板(例えば、設定基板17等)に設けられ、前記電源部が設けられた第3基板(例えば、電源基板16等)と前記設定部が設けられた第2基板とが、前記固有ユニットの機種に対応した形状を有するコネクタ部(例えば、コネクタ部18等)を介して接続されてもよい。
上記構成によれば、設定部が設けられた第2基板が他の基板から独立しているので、設定部を遊技機に備える際に、基板構成の変更を最小限に留めることができる。また、コネクタ部の形状が遊技機の機種に対応した形状を有するので、第3基板と第2基板との誤接続を防止し、電源電圧の誤設定を防止することができる。
(6)上記(1)から(5)の何れかの遊技機において、前記電源部は、遊技制御用の電気部品に給電する電源回路として、固定された一定の出力電圧を発生させる電源回路(例えば、固定電源回路1610B1,1610B2等)を更に備えてもよい。
上記構成によれば、設定部による設定とは無関係に、遊技制御用の電源電圧として、固定された一定の電圧が発生される。従って、外乱等の影響が抑制された電源電圧を安定的に発生させることができ、これにより、電気部品の誤動作を防止することができる。
(7)上記(1)から(6)の何れかの遊技機において、前記電気部品として、遊技制御用の第1電気部品(例えば、遊技盤用マイクロコンピュータ100等)と、演出制御用の第2電気部品(例えば、演出制御用CPU120等)とを有し、前記電源部を構成する複数の電源回路のうち、前記第1電気部品の電源電圧となる出力電圧を発生させる電源回路の動作周波数が、前記第2電気部品の電源電圧となる出力電圧を発生させる電源回路の動作周波数よりも低いものとしてもよい。
上記構成によれば、遊技制御用の第1電気部品の動作周波数を低くすることにより、第1電気部品の動作が安定化する。従って、動作周波数に起因したノイズ等による第1電気部品の誤動作を防止することができる。
なお、上記の発明の概要は、本発明の全ての態様を列挙したものではない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の第1実施形態に係るパチンコ遊技機1の主要部材の配置レイアウトの一例を示す図である。
図2】第1実施形態に係るパチンコ遊技機を構成する遊技枠のガラス扉及び下扉を開放させた状態のパチンコ遊技機の斜視図である。
図3】第1実施形態に係るパチンコ遊技機に搭載される各種の制御基板等の一例を示す図である。
図4】演出制御コマンドの内容の一例を示す図である。
図5】主基板11の側においてカウントされる乱数値の一例を示す図である。
図6】変動カテゴリ及び変動パターンの一例を示す図である。
図7】特図表示結果決定テーブルの構成の一例を示す図である。
図8】大当り種別決定テーブルの構成の一例を示す図である。
図9】遊技制御用データ保持エリアのブロック構成の一例を示す図である。
図10】演出制御用データ保持エリアのブロック構成の一例を示す図である。
図11】第1実施形態に係るパチンコ遊技機の電源基板に備えられた電源部の概略構成を示すブロック図である。
図12】第1実施形態に係るパチンコ遊技機の電源基板に備えられた電源部の詳細構成示す回路図である。
図13】第1実施形態に係るパチンコ遊技機の電源基板に備えられた電源部の可変電源回路、および設定基板に備えられた設定部、並びにコネクタ部の各構成例を示す回路図である。
図14】第1実施形態によるパチンコ遊技機に備えられた電源部の複数の可変電源回路と設定部とコネクタ部との対応関係を示す図である。
図15】第1実施形態に係るパチンコ遊技機に備えられたコネクタ部の構成例を模式的に示す図である。
図16】遊技制御用タイマ割込み処理の動作フローの一例を示す図である。
図17】特別図柄プロセス処理の動作フローの一例を示す図である。
図18】演出制御メイン処理の動作フローの一例を示す図である。
図19】コマンド解析処理の動作フローの一例を示す図である。
図20】演出制御プロセス処理の動作フローの一例を示す図である。
図21】第1実施形態の第1変形例に係るパチンコ遊技機の電源基板に備えられた電源部の構成を示す回路図である。
図22】第1実施形態の第1変形例に係るパチンコ遊技機の電源基板に備えられた電源部の可変電源回路の構成例を示す回路図である。
図23】第1実施形態の第2変形例に係るパチンコ遊技機の電源基板に備えられた電源部の構成を示す回路図である。
図24】本発明の第2実施形態に係るパチンコ遊技機の電源基板に備えられた可変電源回路、および設定基板に備えられた設定部、並びにコネクタ部の各構成例を示す図である。
図25】第2実施形態の第1変形例に係るパチンコ遊技機の設定基板に備えられた設定部の構成を示す回路図である。
図26】第2実施形態の第2変形例に係るパチンコ遊技機の電源基板に備えられた可変電源回路、および設定基板に備えられた設定部、並びにコネクタ部の構成を示す回路図である。
図27】本発明の第3実施形態に係るパチンコ遊技機の電源基板に備えられた可変電源回路、および設定基板に備えられた設定部、並びにコネクタ部の各構成例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しつつ、本発明をパチンコ遊技機に適用した場合を例として、本発明の実施形態を詳細に説明する。
なお、本発明は、パチンコ遊技機に限らず、スロットマシンなど、任意の遊技機に適用することができる。
【0008】
[第1実施形態]
(1)構成の説明
A.基本的構成の説明
図1は、本発明の第1実施形態に係るパチンコ遊技機1の主要部材の配置レイアウトの一例を示す。図2は、パチンコ遊技機1を構成する遊技枠のガラス扉及び下扉を開放させた状態を示す。図3は、パチンコ遊技機1に搭載される各種の制御基板等の一例を示す。以下の説明においては、パチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。なお、以下の説明においては、図1の手前側を、パチンコ遊技機1の前面側、奥側を、背面側として説明する。パチンコ遊技機1の前面とは、遊技者側からパチンコ遊技機1を見たときに、遊技者と対向する対向面である。
【0009】
パチンコ遊技機1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤2と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠(「遊技枠」とも言う。)3とを備える。本実施形態では、遊技盤2は、機種によって異なる機種固有のユニットであり、遊技機用枠3に着脱可能に取り付けられる。また、遊技機用枠3は、遊技盤2の機種にかかわりなく、異なる機種の遊技盤で共通に用いられる機種共通のユニットである。図2を参照すると、遊技機用枠3は、遊技盤2を着脱可能に収容する収容部を有する縦長の方形枠状の台枠3Aと、台枠3Aの左側部前面側に、上下方向に沿って延びる軸線を軸中心として開閉可能に設けられたガラス扉3B及び下扉3Cと、を備えている。遊技盤2は、台枠3Aに前方から収容された状態で、ガラス扉3Bによって前方から覆われる。ガラス扉3Bには、遊技盤2に形成される遊技領域を前方から視認可能とする略円形状の透視窓3Dが設けられている。
【0010】
遊技盤2には、ガイドレールによって囲まれた、略円形状の遊技領域が形成されている。この遊技領域には、遊技媒体としての遊技球が、所定の打球発射装置から発射されて打ち込まれる。遊技盤2における遊技領域の下側部分には、普通入賞球装置6Aと普通可変入賞球装置6Bとが設けられている。普通入賞球装置6Aは、例えば、所定の球受部材によって常に一定の開放状態に保たれる始動領域としての第1始動入賞口を形成する。普通可変入賞球装置6Bは、普通電動役物用となるソレノイド81によって、垂直位置となる通常開放状態と傾動位置となる拡大開放状態とに変化する一対の可動翼片を有する普通電動役物を備え、第2始動入賞口を形成する。
【0011】
例えば、普通可変入賞球装置6Bでは、普通電動役物用のソレノイド81がオフ状態であるときに可動翼片が垂直位置となることにより、遊技球が第2始動入賞口を通過し難い通常開放状態となる。一方、普通可変入賞球装置6Bでは、普通電動役物用のソレノイド81がオン状態であるときに可動翼片が傾動位置となる傾動制御により、遊技球が第2始動入賞口を通過し易い拡大開放状態となる。なお、普通可変入賞球装置6Bは、通常開放状態であるときでも、第2始動入賞口には遊技球が通過可能であるものの、拡大開放状態であるときよりも遊技球が通過する可能性が低くなるように構成してもよい。または、普通可変入賞球装置6Bは、通常開放状態において、例えば、第2始動入賞口を閉鎖すること等により、第2始動入賞口には遊技球が通過しないように構成してもよい。このように、第2始動入賞口は、遊技球が通過し易い拡大開放状態と、遊技球が通過し難い、又は通過できない通常開放状態とに変化する。
【0012】
普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口を通過した遊技球は、例えば、第1始動口スイッチ22Aによって検出される。普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口を通過した遊技球は、例えば、第2始動口スイッチ22Bによって検出される。なお、第1始動入賞口を通過した遊技球が第1始動口スイッチ22Aによって検出されることによる入賞を第1始動入賞と称する。また、第2始動入賞口を通過した遊技球が第2始動口スイッチ22Bによって検出されることによる入賞を第2始動入賞と称する。
【0013】
第1始動入賞口を通過した遊技球が第1始動口スイッチ22Aによって検出されたことに基づいて、所定個数(例えば、3個)の遊技球が賞球として払い出されると共に、第1特図保留記憶数(後述)が所定の上限値(例えば、「4」)以下であれば、第1特別図柄表示装置4Aにおいて実行される第1特図ゲーム(後述)や表示装置5において実行される飾り図柄の可変表示といった可変表示ゲームを実行するための第1始動条件が成立する。また、第2始動入賞口を通過した遊技球が第2始動口スイッチ22Bによって検出されたことに基づいて、所定個数(例えば、3個)の遊技球が賞球として払い出されると共に、第2特図保留記憶数(後述)が所定の上限値(例えば、「4」)以下であれば、第2特別図柄表示装置4Bにおいて実行される第2特図ゲーム(後述)や表示装置5において実行される飾り図柄の可変表示といった可変表示ゲームを実行するための第2始動条件が成立する。なお、第1始動入賞に基づいて払い出される賞球の個数と、第2始動入賞に基づいて払い出される賞球の個数とは、互いに同一の個数であってもよいし、異なる個数であってもよい。
【0014】
第1特図保留記憶数とは、第1始動入賞の発生時には直ちに実行されずに実行が一旦保留されている可変表示ゲームの数である。第1始動入賞の発生によって、第1特図ゲーム(後述)や飾り図柄の可変表示といった可変表示ゲームを実行するための第1始動条件は成立した場合であっても、第1始動入賞の発生による上述の可変表示ゲームの開始を許容する第1開始条件が成立していない場合(例えば、先に成立した第1開始条件又は第2開始条件に基づく可変表示ゲームが実行中であることやパチンコ遊技機1が大当り遊技状態に制御されている場合)には、可変表示ゲームの実行は保留される。即ち、第1特図保留記憶数とは、実行待ちの状態となった第1始動入賞の発生による可変表示ゲームのゲーム数である。第1特図保留記憶数は、第1開始条件が1つ成立する度に1つずつ減少する。
【0015】
なお、ある第1始動入賞による第1始動条件は成立したが、第1始動入賞による可変表示ゲームの開始を許容する第1開始条件が成立していない第1始動入賞に対応する可変表示に関する情報は、第1始動入賞による可変表示ゲームの開始を許容する第1開始条件が成立するまで、保留データ(第1特図保留情報)として記憶(保留)される。換言すれば、保留されていた第1特図保留情報は第1開始条件が成立する度に1つずつ消化され、消化される第1特図保留情報に基づく可変表示ゲームが実行される。
【0016】
第2特図保留記憶数とは、第2始動入賞の発生時には直ちに実行されずに実行が一旦保留されている可変表示ゲームの数である。第2始動入賞の発生によって、第2特図ゲーム(後述)や飾り図柄の可変表示といった可変表示ゲームを実行するための第2始動条件は成立した場合であっても、第2始動入賞の発生による上述の可変表示ゲームの開始を許容する第2開始条件が成立していない場合(例えば、先に成立した第1開始条件又は第2開始条件に基づく可変表示ゲームが実行中であることやパチンコ遊技機1が大当り遊技状態に制御されている場合)には、可変表示ゲームの実行は保留される。即ち、第2特図保留記憶数とは、実行待ちの状態となった第2始動入賞の発生による可変表示ゲームのゲーム数である。第2特図保留記憶数は、第2開始条件が1つ成立する度に1つずつ減少する。
【0017】
なお、ある第2始動入賞による第2始動条件は成立したが、第2始動入賞による可変表示ゲームの開始を許容する第2開始条件が成立していない第2始動入賞に対応する可変表示に関する情報は、第2始動入賞による可変表示ゲームの開始を許容する第2開始条件が成立するまで、保留データ(第2特図保留情報)として記憶(保留)される。換言すれば、保留されていた第2特図保留情報は第2開始条件が成立する度に1つずつ消化され、消化される第2特図保留情報に基づく可変表示ゲームが実行される。
【0018】
なお、第1始動入賞口と、第2始動入賞口とを特に区別しない場合には、単に「始動入賞口」とも称する。また、第1始動入賞と、第2始動入賞とを特に区別しない場合には、単に「始動入賞」とも称する。また、第1特図保留記憶数と第2特図保留記憶数とを加算した保留記憶数を「合計保留記憶数」と称する。第1特図保留記憶数と、第2特図保留記憶数と、合計保留記憶数とを特に区別しない場合には、通常、単に「特図保留記憶数」と称するが、単に「特図保留記憶数」と称した場合に、第1特図保留記憶数、第2特図保留記憶数、合計保留記憶数のいずれか1つ又は2つを指すこともあるものとする。また、第1始動条件と、第2始動条件とを特に区別しない場合には、単に「始動条件」又は「実行条件」とも称する。また、第1開始条件と、第2開始条件とを特に区別しない場合には、単に「開始条件」とも称する。また、第1特図保留情報と、第2特図保留情報とを、特に区別しない場合には、単に「特図保留情報」とも称する。
【0019】
遊技盤2における遊技領域の普通入賞球装置6Aと普通可変入賞球装置6Bの下方には、特別可変入賞球装置7が設けられている。特別可変入賞球装置7は、大入賞口扉用となるソレノイド82によって開閉駆動される大入賞口扉を備え、その大入賞口扉によって開放状態と閉鎖状態とに変化する特定領域としての大入賞口を形成する。
【0020】
例えば、特別可変入賞球装置7では、大入賞口扉用のソレノイド82がオフ状態であるときに大入賞口扉が大入賞口を閉鎖状態として、遊技球が大入賞口を通過できなくする。一方、特別可変入賞球装置7では、大入賞口扉用のソレノイド82がオン状態であるときに大入賞口扉が大入賞口を開放状態として、遊技球が大入賞口を通過し易くする。このように、特定領域としての大入賞口は、遊技球が通過し易く遊技者にとって有利な開放状態と、遊技球が通過できず遊技者にとって不利な閉鎖状態とに変化する。なお、遊技球が大入賞口を通過できない閉鎖状態に代えて、又は閉鎖状態の他に、遊技球が大入賞口を通過し難い一部開放状態を設けてもよい。
【0021】
特別可変入賞球装置7が形成する大入賞口を通過した遊技球は、例えば、カウントスイッチ23によって検出される。カウントスイッチ23によって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば、15個)の遊技球が賞球として払い出される。こうして、特別可変入賞球装置7において開放状態となった大入賞口を遊技球が通過したときには、例えば、第1始動入賞口や第2始動入賞口といった、他の入賞口を遊技球が通過したときよりも多くの賞球が払い出される。従って、特別可変入賞球装置7において大入賞口が開放状態となれば、その大入賞口に遊技球が通過可能となり、遊技者にとって有利な第1状態となる。一方、特別可変入賞球装置7において大入賞口が閉鎖状態となれば、大入賞口に遊技球を通過させて賞球を得ることが不可能、又は困難になり、遊技者にとって不利な第2状態となる。
【0022】
遊技盤2における遊技領域の右側部分には、第1特別図柄表示装置4Aと、第2特別図柄表示装置4Bとが設けられている。第1特別図柄表示装置4Aは、例えば、7セグメントやドットマトリクスのLED(Light Emitting Diode)等から構成される。第2特別図柄表示装置4Bについても同様である。第1特別図柄表示装置4Aは、各々を識別可能な複数種類の識別情報である特別図柄(「特図」ともいう)を変動可能に可変表示する。第2特別図柄表示装置4Bについても同様である。なお、第1特別図柄表示装置4Aにおいて可変表示される特別図柄(特図)を「第1特図」とも称し、第2特別図柄表示装置4Bにおいて可変表示される特別図柄(特図)を「第2特図」とも称する。また、識別情報の可変表示を伴って実行するゲーム(若しくは、識別情報の可変表示自体)を可変表示ゲームと称する。特に、第1特別図柄表示装置4Aが実行する可変表示ゲームを第1特図ゲームとも称し、第2特別図柄表示装置4Bが実行する可変表示ゲームを第2特図ゲームとも称する。また、第1特図ゲームと、第2特図ゲームとを区別しない場合には、単に「特図ゲーム」とも称する。
【0023】
第1特別図柄表示装置4A(第2特別図柄表示装置4Bも同様)は、特図ゲームとして、「0」〜「9」を示す数字や「−」を示す記号等から構成される複数種類の特別図柄を可変表示する。各特別図柄には、それぞれに対応した図柄番号が付されている。例えば、「0」〜「9」を示す各数字には「0」〜「9」の各図柄番号が付され、「−」を示す記号には「10」の図柄番号が付されていればよい。なお、特別図柄は、「0」〜「9」を示す数字や「−」を示す記号等から構成されるものに限定されない。例えば、7セグメントのLEDにおいて点灯させるものと消灯させるものとの組合せを異ならせた複数種類の点灯パターン(例えば、アルファベットのLやEのような点灯パターン)を予め設定しておき、特別図柄として表示してもよい。
【0024】
遊技盤2における遊技領域の第1特別図柄表示装置4Aと第2特別図柄表示装置4Bの上部には、第1保留表示器25Aと第2保留表示器25Bとが設けられている。第1保留表示器25Aは、例えば、4個のLEDを含んで構成され、保留データ(第1特図保留情報)に基づく第1特図保留記憶数(第1特図ゲームの保留数)を特定可能に表示する保留表示が行われる。例えば、第1保留表示器25Aは、点灯させるLEDの数によって、第1特図保留記憶数を特定可能に表示する。例えば、新たな第1始動条件の成立によって第1特図ゲームの保留数が1つ増加した場合には点灯数を1つ増やし、新たな第1開始条件の成立によって第1特図ゲームの保留数が1つ減少した場合には点灯数を1つ減らせばよい。第2保留表示器25Bは、例えば、4個のLEDを含んで構成され、保留データ(第2特図保留情報)に基づく第2特図保留記憶数(第2特図ゲームの保留数)を特定可能に表示する保留表示が行われる。例えば、第2保留表示器25Bは、点灯させるLEDの数によって、第2特図保留記憶数を特定可能に表示する。例えば、新たな第2始動条件の成立によって第2特図ゲームの保留数が1つ増加した場合には点灯数を1つ増やし、新たな第2開始条件の成立によって第2特図ゲームの保留数が1つ減少した場合には点灯数を1つ減らせばよい。
【0025】
遊技盤2における遊技領域の左側部分には、通過ゲート41と、普通図柄表示器20と、普図保留表示器25Cとが設けられている。通過ゲート41を通過した遊技球は、例えば、ゲートスイッチ21によって検出される。通過ゲート41を通過した遊技球がゲートスイッチ21によって検出されたことに基づいて、普図保留記憶数(後述)が所定の上限値(例えば、「4」)以下であれば、普通図柄表示器20において実行される普図ゲーム(後述)を実行するための普図始動条件が成立する。
【0026】
普通図柄表示器20は、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bと同様に7セグメントやドットマトリクスのLED等から構成される。普通図柄表示器20は、特別図柄とは異なる複数種類の識別情報である普通図柄(「普図」ともいう)を変動可能に表示(可変表示)する。なお、普通図柄を可変表示させる可変表示ゲームを普図ゲーム(又は「普通図ゲーム」)とも称する。なお、普図始動条件は成立したが普図開始条件(後述)が成立していない普図ゲームに関する情報は、保留データ(普図保留情報)として記憶(保留)される。
【0027】
普図保留表示器25Cは、例えば、4個のLEDを含んで構成され、例えば、点灯させるLEDの数によって、保留データ(普図保留情報)に基づく普図保留記憶数を表示する。普図保留記憶数とは、通過ゲート41を通過した遊技球がゲートスイッチ21によって検出されたときには直ちに実行されずに実行が一旦保留されている普図ゲームの数である。ゲートスイッチ21による遊技球の検出によって、普図ゲームを実行するための普図始動条件は成立した場合であっても、普図ゲームの開始を許容する普図開始条件が成立していない場合(例えば、先に成立した普図ゲームが実行中である場合)には、普図ゲームの実行は保留される。即ち、普図保留記憶数とは、実行待ちの状態となった普図ゲームのゲーム数である。普図保留記憶数は、普図開始条件が1つ成立する度に1つずつ減少する。
【0028】
遊技盤2における遊技領域の中央付近には、表示装置5が設けられている。表示装置5は、例えば、液晶ディスプレイ等から構成され、各種の演出画像を表示する表示領域を有する。
【0029】
表示装置5の表示領域には、飾り図柄表示エリアが配置されている。飾り図柄表示エリアでは、各々を識別可能な複数種類の識別情報である飾り図柄が可変表示される。飾り図柄の可変表示も、可変表示ゲームに含まれる。表示装置5は、第1特別図柄表示装置4Aが実行する第1特図ゲーム、又は第2特別図柄表示装置4Bが実行する第2特図ゲームに対応して、飾り図柄表示エリアにおいて、複数種類の飾り図柄の可変表示を実行する。
【0030】
例えば、表示装置5の表示領域には、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rが配置されている。第1特図ゲーム又は第2特図ゲームのうち、いずれかの特図ゲームの開始に対応して、即ち、第1特図又は第2特図のうち、いずれかの特図の変動の開始に対応して、各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおいて、飾り図柄の変動(例えば、上下方向のスクロール表示)が開始される。その後、特図ゲームの終了に対応して、即ち、特図の停止表示に対応して、各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおいて、可変表示結果となる飾り図柄(確定飾り図柄、最終停止図柄とも称する)が停止表示される。即ち、表示装置5の表示領域(飾り図柄表示エリア5L、5C、5R)では、第1特図ゲーム又は第2特図ゲームと連動して、飾り図柄の変動が開始され、確定飾り図柄(最終停止図柄とも称する)が停止表示される。
【0031】
飾り図柄は、例えば、8種類の図柄(英数字「1」〜「8」、又は漢数字や、英文字、所定のモチーフに関連する8個のキャラクタ画像、数字や文字、又は記号とキャラクタ画像との組合せ等であればよく、キャラクタ画像は、例えば、人物や動物、これら以外の物体、もしくは、文字等の記号、又はその他の任意の図形を示す飾り画像であればよい)で構成される。各飾り図柄には、それぞれに対応する図柄番号が付されている。例えば、「1」〜「8」を示す各英数字には「1」〜「8」の各図柄番号が付されていればよい。なお、飾り図柄は8種類に限定されず、大当り組合せやハズレとなる組合せ等、適当な数の組合せを構成可能であれば、何種類であってもよい(例えば、7種類や9種類等)。
【0032】
なお、特別図柄の可変表示結果(特図表示結果とも称する)である確定特別図柄を停止表示して可変表示を終了させる停止表示や、飾り図柄の可変表示結果である確定飾り図柄(最終停止図柄)を停止表示して可変表示を終了させる停止表示や、普通図柄の可変表示結果(普図表示結果とも称する)である確定普通図柄を停止表示して可変表示を終了させる停止表示を、完全停止表示、最終停止表示、又は導出表示(又は単に「導出」)とも称する。なお、飾り図柄の変動開始タイミング及び変動終了タイミングは特別図柄の変動開始タイミング及び変動終了タイミングと必ずしも一致していなくてもよく、特別図柄の変動時間(特図変動時間)内に、飾り図柄の変動時間が収まっていればよい。即ち、飾り図柄の変動開始タイミングが特別図柄の変動開始タイミングよりも遅くてもよいし、特別図柄の変動終了タイミングが飾り図柄の変動終了タイミングよりも遅くてもよい。例えば、確定飾り図柄の停止表示後に所定演出の実行を開始し、所定演出の実行の終了時に確定特別図柄を停止表示させてもよい。上記所定演出の一例は、確定飾り図柄の停止表示後に始動入賞記憶表示エリア5H(後述)に表示されているターゲット(後述)の保留表示を変化させる演出(先読予告演出(後述)の一態様)である。
【0033】
また、完全停止表示(最終停止表示、導出表示)とは異なる停止表示を行ってもよい。例えば、飾り図柄の可変表示を開始してから確定飾り図柄が導出表示されるまでの可変表示中に飾り図柄を仮停止表示させてもよい。なお、仮停止表示には、変動速度が「0」となった飾り図柄が、例えば、微少な揺れや伸縮等を生じさせつつ停留して表示させるものや、所定時間(例えば、1秒間)よりも短い時間、微少な揺れや伸縮等も生じさせずに停止表示させるもの等が含まれる。
【0034】
また、表示装置5の表示領域には、第1始動入賞記憶表示エリア5HL、及び、第2始動入賞記憶表示エリア5HRが配置されている。第1始動入賞記憶表示エリア5HLでは、第1保留表示器25Aと同様、第1特図保留記憶数を特定可能に表示する保留表示が行われる。即ち、現在、実行が保留されている第1特図ゲームの数を特定可能に表示する。第1始動入賞記憶表示エリア5HLでは、第2保留表示器25Bと同様、第2特図保留記憶数を特定可能に表示する保留表示が行われる。即ち、現在、実行が保留されている第2特図ゲームの数を特定可能に表示する。
【0035】
なお、第1始動入賞記憶表示エリア5HLでは、例えば、右詰めで、保留表示が行われるようにしてもよい。即ち、新たな第1始動条件の成立によって第1特図ゲームの保留数が増加したときは、第1始動入賞記憶表示エリア5HLに他の保留表示がなければ、第1始動入賞記憶表示エリア5HLの右側(表示装置5の表示領域の中央側)に増加分の第1特図保留情報に対応する保留表示として新たな保留表示を追加し、第1始動入賞記憶表示エリア5HLに他の保留表示があれば、他の保留表示の左側(複数の他の保留表示があれば最も左側の保留表示の更に左側)に上記新たな保留表示を追加するようにしてもよい。また、第1始動入賞記憶表示エリア5HLに複数の保留表示がある場合に、新たな第1開始条件の成立によって第1特図ゲームの保留数が減少したときは、減少分の第1特図保留情報に対応する保留表示に相当する第1始動入賞記憶表示エリア5HLの最も右側に表示されている保留表示(一番古くから表示されている保留表示)を消去し、他の保留表示のそれぞれを、消去した保留表示側(右側)に移動する。
【0036】
また、第2始動入賞記憶表示エリア5HRでは、例えば、左詰めで、保留表示が行われるようにしてもよい。即ち、新たな第2始動条件の成立によって第2特図ゲームの保留数が増加したときは、第2始動入賞記憶表示エリア5HRに他の保留表示がなければ、第2始動入賞記憶表示エリア5HRの左側(表示装置5の表示領域の中央側)に増加分の第2特図保留情報に対応する保留表示として新たな保留表示を追加し、第2始動入賞記憶表示エリア5HRに他の保留表示があれば、他の保留表示の右側(複数の他の保留表示があれば最も右側の保留表示の更に右側)に上記新たな保留表示を追加するようにしてもよい。また、第2始動入賞記憶表示エリア5HRに複数の保留表示がある場合に、新たな第2開始条件の成立によって第2特図ゲームの保留数が減少したときは、減少分の第2特図保留情報に対応する保留表示に相当する第2始動入賞記憶表示エリア5HRの最も左側に表示されている保留表示(一番古くから表示されている保留表示)を消去し、他の保留表示のそれぞれを、消去した保留表示側(左側)に移動する。なお、第1始動入賞記憶表示エリア5HLと第2始動入賞記憶表示エリア5HRとを特に区別しない場合には、単に、「始動入賞記憶表示エリア5H」とも称する。
【0037】
また、表示装置5の表示領域には、保留表示のエリアとして、第1始動入賞記憶表示エリア5HLや第2始動入賞記憶表示エリア5HRの他に、第1始動入賞記憶表示エリア5HLや第2始動入賞記憶表示エリア5HRから消去された保留表示(即ち、第1開始条件の成立によって消化される第1特図保留情報や、第2開始条件の成立によって消化される第2特図保留情報に基づき実行される飾り図柄の可変表示に対応する保留表示)を表示する図示しない今回保留表示エリアを配置してもよい。例えば、第1始動入賞記憶表示エリア5HLと第2始動入賞記憶表示エリア5HRの間等に今回保留表示エリアを配置してもよい。
【0038】
遊技盤2における遊技領域には、上記の構成以外にも、遊技球の流下方向や速度を変化させる風車及び多数の障害釘が設けられている。また、第1始動入賞口、第2始動入賞口及び大入賞口とは異なる入賞口として、例えば、所定の球受部材によって常に一定の開放状態に保たれる単一又は複数の一般入賞口が設けられてもよい。この場合には、一般入賞口のいずれかに通過した遊技球が所定の一般入賞球スイッチによって検出されたことに基づき、所定個数(例えば、10個)の遊技球が賞球として払い出されればよい。遊技領域の最下方には、いずれの入賞口にも通過しなかった遊技球が取り込まれるアウト口が設けられている。
【0039】
遊技機用枠3の右下部位置には、遊技媒体としての遊技球を遊技領域に向けて発射するために遊技者等によって操作される打球操作ハンドルが設けられている。例えば、打球操作ハンドルは、遊技者等による操作量に応じて遊技球の弾発力を調整する。打球操作ハンドルには、打球発射装置が備える発射モータの駆動を停止させるための単発発射スイッチや、タッチリングが設けられていればよい。
【0040】
遊技領域の下方における遊技機用枠3の所定位置には、賞球として払い出された遊技球や所定の球貸機により貸し出された遊技球を、打球発射装置へと供給可能に保持する上皿が設けられている。遊技機用枠3の下部には、上皿から溢れた余剰球等を、パチンコ遊技機1の外部へと排出可能に保持する下皿が設けられている。
【0041】
下皿を形成する部材には、例えば、下皿本体の上面における手前側の所定位置(例えば、下皿の中央部分)等に、遊技者が把持して傾倒操作が可能なスティックコントローラ31Aが取り付けられている。スティックコントローラ31Aは、遊技者が把持する操作桿を含み、操作桿の所定位置(例えば、遊技者が操作桿を把持したときに操作手の人差し指が掛かる位置等)には、トリガボタンが設けられている。トリガボタンは、遊技者がスティックコントローラ31Aの操作桿を操作手(例えば、左手等)で把持した状態において、所定の操作指(例えば、人差し指等)で押引操作すること等により所定の指示操作ができるように構成されていればよい。操作桿の内部には、トリガボタンに対する押引操作等による所定の指示操作を検知するトリガセンサが内蔵されていればよい。
【0042】
スティックコントローラ31Aの下部における下皿の本体内部等には、操作桿に対する傾倒操作を検知する傾倒方向センサユニットが設けられていればよい。例えば、傾倒方向センサユニットは、パチンコ遊技機1と正対する遊技者の側からみて操作桿の中心位置よりも左側で遊技盤2の盤面と平行に配置された2つの透過形フォトセンサと、この遊技者の側からみて操作桿の中心位置よりも右側で遊技盤2の盤面と垂直に配置された2つの透過形フォトセンサとを組み合わせた4つの透過形フォトセンサを含んで構成されていればよい。
【0043】
上皿を形成する部材には、例えば、上皿本体の上面における手前側の所定位置(例えば、スティックコントローラ31Aの上方)等に、遊技者が押下操作等により所定の指示操作を可能なプッシュボタン31Bが設けられている。プッシュボタン31Bは、遊技者からの押下操作等による所定の指示操作を、機械的、電気的、又は電磁的に、検出できるように構成されていればよい。プッシュボタン31Bの設置位置における上皿の本体内部等には、プッシュボタン31Bに対してなされた遊技者の操作行為を検知するプッシュセンサが設けられていればよい。
【0044】
遊技機用枠3の遊技領域の周辺部には、音声出力部材が設けられている。図1に示した一例では、遊技機用枠3の左右上部位置に、スピーカ8UL、スピーカ8URを設置し、上皿の左右斜下部(下皿の左右斜上部)に、スピーカ8LL、スピーカ8LRを設置している。以下、各スピーカ8UL、8UR、8LL、8LRを特に区別しない場合には、単に、スピーカ8と称する。スピーカ8は、音を出力する。例えば、スピーカ8は、パチンコ遊技機1の遊技の進行状況に応じて演出音を出力し、パチンコ遊技機1の状況に応じて警告音を出力する。
【0045】
演出音には、音楽、検出音、応答音、報知音等が含まれる。演出音における音楽とは、例えば、遊技の進行状況に応じて出力されるBGM、歌等である。演出音における検出音とは、例えば、スイッチやセンサによる検出結果(例えば、第1始動入賞口等への入賞の検出等)に応じて出力される音、声(セリフ、メッセージ)等である。演出音における応答音とは、例えば、プッシュボタン31Bへの操作行為に応じて出力される音、声等である。なお、プッシュボタン31Bへの操作行為は、プッシュセンサによって検出されるものでもあるため、プッシュボタン31Bへの操作行為に応じて出力される応答音は検出音でもある。演出音における報知音とは、例えば、プッシュボタン31Bへの操作行為を要求するために報知する音、声や、リーチ状態(後述)の移行時にリーチ状態に移行する旨を報知する音、声や、大当り遊技状態への移行前に大当り遊技状態に移行する旨を予告又は示唆する音、声等である。
【0046】
警告音の一例は、遊技球が下皿に過剰に保持されているときに出力される警告音、ガラス扉3B(図2参照)が開放しているときに出力される警告音等である。
【0047】
遊技機用枠3の遊技領域の内部及び周辺部には、演出又は装飾として発光する発光部材(発光体)が設けられている。図1に示した一例では、表示装置5の上部位置に発光部材9CC、表示装置5の左右位置に発光部材9CL、発光部材9CRを設置し、遊技機用枠3の上部位置に発光部材9U、遊技機用枠3の左右位置に発光部材9SL、発光部材9SRを設置している。以下、各発光部材9CC、9CL、9CR、9U、9SL、9SRを特に区別しない場合には、ランプ9と総称する。ランプ9は、例えば、1以上のLEDから構成されたものであってもよいし、フラッシュランプから構成されるものであってもよい。発光部材9Uは、回転部を有する回転灯(例えば、パトランプ)であってもよい。また、上記以外にも、例えば、遊技領域における各構造物(例えば、特別可変入賞球装置7等)の周囲等に、種々の発光部材を設置してもよい。
【0048】
上述した表示装置5、スピーカ8、ランプ9等は演出を実行する演出装置であるが、パチンコ遊技機1は、演出装置として、駆動部を有する演出用模型等、他の演出装置を備えていてもよい。
【0049】
なお、各構成の配置位置は、一例であって、他の位置に配置されていてもよい。例えば、第1特別図柄表示装置4A、第2特別図柄表示装置4B、普通図柄表示器20が、遊技領域の同一側(右側部分又は左側部分)に設けられていてもよい。また例えば、第1保留表示器25A、第2保留表示器25B、普図保留表示器25Cが、遊技領域の同一側(右側部分又は左側部分)に設けられていてもよい。
【0050】
次に、パチンコ遊技機1における遊技の進行を概略的に説明する。
パチンコ遊技機1では、普図始動条件が成立した後に普図開始条件が成立したことに基づいて、普通図柄表示器20による普図ゲームが開始される。普図ゲームでは、普通図柄の可変表示を開始させた後、普図変動時間となる所定時間が経過すると、普通図柄の可変表示結果となる確定普通図柄を停止表示(導出表示)する。このとき、確定普通図柄として、例えば、「7」を示す数字といった、特定の普通図柄(普図当り図柄)が停止表示されれば、普通図柄の可変表示結果が「普図当り」となる。その一方、確定普通図柄として、例えば、「7」を示す数字以外の数字や記号といった、普図当り図柄以外の普通図柄が停止表示されれば、普通図柄の可変表示結果が「普図ハズレ」となる。普通図柄の可変表示結果が「普図当り」となったことに対応して、普通可変入賞球装置6Bを構成する電動チューリップの可動翼片が傾動位置となる拡大開放制御(傾動制御)が行われ、所定時間が経過すると垂直位置に戻る通常開放制御が行われる。
【0051】
パチンコ遊技機1では、第1始動条件が成立した後に第1開始条件が成立したことに基づいて、第1特別図柄表示装置4Aによる特図ゲーム(第1特図ゲーム)が開始され、第2始動条件が成立した後に第2開始条件が成立したことに基づいて、第2特別図柄表示装置4Bによる特図ゲーム(第2特図ゲーム)が開始される。特図ゲームでは、特別図柄の可変表示を開始させた後、特図変動時間としての可変表示時間が経過すると、特別図柄の可変表示結果となる確定特別図柄(特図表示結果)を導出表示する。このとき、確定特別図柄として特定の特別図柄(大当り図柄)が停止表示されれば、特定表示結果としての「大当り」となり、大当り図柄とは異なる所定の特別図柄(小当り図柄)が停止表示されれば、所定表示結果としての「小当り」となる。また、大当り図柄や小当り図柄とは異なる特別図柄が確定特別図柄として停止表示されれば「ハズレ」となる。
【0052】
特図ゲームでの可変表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンド(「ラウンド遊技」ともいう)を所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。特図ゲームでの可変表示結果が「小当り」になった後には、大当り遊技状態とは異なる特殊遊技状態としての小当り遊技状態に制御される。
【0053】
パチンコ遊技機1では、例えば、「3」、「5」、「7」の数字を示す特別図柄を大当り図柄とし、「2」の数字を示す特別図柄を小当り図柄とし、「−」の記号を示す特別図柄をハズレ図柄としている。なお、第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図ゲームにおける大当り図柄や小当り図柄、ハズレ図柄といった各図柄は、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図ゲームにおける各図柄とは異なる特別図柄となるようにしてもよいし、双方の特図ゲームにおいて共通の特別図柄が大当り図柄や小当り図柄、ハズレ図柄となるようにしてもよい。
【0054】
特図ゲームにおける確定特別図柄として大当り図柄が停止表示されて特定表示結果としての「大当り」となった後、大当り遊技状態において、特別可変入賞球装置7の大入賞口扉が、所定の上限時間(例えば、29秒間や0.1秒間)が経過するまでの期間、又は所定個数(例えば、9個)の入賞球が発生するまでの期間にて、大入賞口を開放状態とする。これにより、特別可変入賞球装置7を遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)とするラウンドが実行される。
【0055】
ラウンドの実行中に大入賞口を開放状態とした大入賞口扉は、遊技盤2の表面を落下する遊技球を受け止め、その後に大入賞口を閉鎖状態とすることにより、特別可変入賞球装置7を遊技者にとって不利な第2状態(閉鎖状態)に変化させて、1回のラウンドを終了させる。大入賞口の開放サイクルであるラウンドは、その実行回数が所定の上限回数(例えば、「15」等)に達するまで、繰り返し実行可能となっている。なお、ラウンドの実行回数が上限回数に達する前であっても、所定条件の成立(例えば、大入賞口に遊技球が入賞しなかったこと等)により、ラウンドの実行が終了するようにしてもよい。
【0056】
大当り遊技状態におけるラウンドのうち、特別可変入賞球装置7を遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)とする上限時間が比較的に長い時間(例えば、29秒等)となるラウンドは、通常開放ラウンドともいう。一方、特別可変入賞球装置7を第1状態(開放状態)とする上限時間が比較的に短い時間(例えば、0.1秒等)となるラウンドは、短期開放ラウンドともいう。
【0057】
大当り図柄となる「3」、「5」、「7」の数字を示す特別図柄のうち、「3」、「7」の数字を示す特別図柄は通常開放ラウンド大当り図柄となり、「5」の数字を示す特別図柄は短期開放ラウンド大当り図柄となる。特図ゲームにおける確定特別図柄として通常開放ラウンド大当り図柄が導出された後に制御される通常開放ラウンド特定遊技状態としての大当り遊技状態(通常開放大当り状態)では、特別可変入賞球装置7の大入賞口扉が、第1期間となる所定の上限時間(例えば、29秒間)が経過するまでの期間、又は所定個数(例えば、9個)の入賞球が発生するまでの期間にて大入賞口を開放状態とすることにより、特別可変入賞球装置7を遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)に変化させるラウンドが実行される。なお、通常開放大当り状態は、第1特定遊技状態ともいう。
【0058】
特図ゲームにおける確定特別図柄として短期開放ラウンド大当り図柄が導出された後に制御される短期開放ラウンド特定遊技状態としての大当り遊技状態(短期開放大当り状態)では、各ラウンドで特別可変入賞球装置7を遊技者にとって有利な第1状態に変化させる上限時間(大入賞口扉により大入賞口を開放状態とする期間の上限)が、通常開放大当り状態における第1期間よりも短い第2期間(例えば、0.1秒間)となる。なお、短期開放大当り状態では、大入賞口の開放期間が第2期間となるように制御されればよく、それ以外の制御は通常開放大当り状態と同様に行われるようにしてもよい。または、短期開放大当り状態では、ラウンドの実行回数が、通常開放大当り状態における第1ラウンド数(例えば、「15」)よりも少ない第2ラウンド数(例えば、「2」)となるようにしてもよい。
【0059】
このような短期開放大当り状態では、大入賞口に遊技球が入賞すれば所定個数(例えば、15個)の賞球が得られる。しかし、大入賞口の開放期間は第2期間(0.1秒間等)であって、非常に短い。そのため、短期開放大当り状態は実質的には賞球が得られない大当り遊技状態である。なお、短期開放大当り状態は、第2特定遊技状態ともいう。
【0060】
また、短期開放ラウンド特定遊技状態としての大当り遊技状態は、通常開放ラウンド特定遊技状態としての大当り遊技状態に比べて、大入賞口の開放期間が短いものに限定されず、例えば、大入賞口の開放期間(上限時間)は短期開放ラウンド特定遊技状態と通常開放ラウンド特定遊技状態とで同一である一方で、短期開放ラウンド特定遊技状態では大入賞口を開放状態とする上限回数(例えば、2回)が通常開放ラウンド特定遊技状態での上限回数(例えば、15回)に比べて少なくなるものであってもよい。すなわち、短期開放ラウンド特定遊技状態としての大当り遊技状態は、各ラウンドで大入賞口を遊技球が通過し易い第1状態に変化させる期間が通常開放ラウンド特定遊技状態における第1期間よりも短い第2期間となることと、ラウンドの実行回数が通常開放ラウンド特定遊技状態における第1ラウンド数よりも少ない第2ラウンド数となることのうち、少なくともいずれか一方となるものであればよい。
【0061】
小当り図柄となる「2」の数字を示す特別図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として導出された後には、特殊遊技状態としての小当り遊技状態に制御される。この小当り遊技状態では、短期開放大当り状態と同様に特別可変入賞球装置7において大入賞口を遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)に変化させる可変入賞動作が行われる。すなわち、小当り遊技状態では、例えば、特別可変入賞球装置7を第2期間にわたり第1状態(開放状態)とする動作が繰り返し実行される。
【0062】
表示装置5の表示領域に配置されている飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rでは、第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図ゲームと、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図ゲームとのうち、いずれかの特図ゲームが開始されることに対応して、飾り図柄の可変表示が開始される。そして、飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rでは、飾り図柄の可変表示が開始されてから確定飾り図柄の停止表示により可変表示が終了するまでの期間に、飾り図柄の可変表示状態が所定のリーチ状態となることがある。
【0063】
リーチ状態とは、表示装置5の表示領域にて停止表示された飾り図柄が大当り組合せの一部を構成しているときに未だ停止表示されていない飾り図柄については変動が継続している表示状態、又は全部又は一部の飾り図柄が大当り組合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態のことである。
【0064】
また、リーチ状態となったことに対応して、飾り図柄の変動速度を低下させたり、表示装置5の表示領域に飾り図柄とは異なるキャラクタ画像(人物等を模した演出画像)を表示させたり、背景画像の表示態様を変化させたり、飾り図柄とは異なる動画像を再生表示させたり、飾り図柄の変動態様を変化させたりすることで、リーチ状態となる以前とは異なる演出動作が実行される場合がある。このようなキャラクタ画像の表示や背景画像の表示態様の変化、動画像の再生表示、飾り図柄の変動態様の変化といった演出動作を、リーチ演出という。なお、リーチ演出には、表示装置5における表示動作のみならず、スピーカ8による音声出力動作や、ランプ9等の発光動作(点灯動作、点滅動作、消灯動作)等を、リーチ状態となる以前の動作態様とは異なる動作態様とすることが含まれていてもよい。
【0065】
リーチ演出における演出動作としては、互いに動作態様(リーチ態様)が異なる複数種類の演出パターンが、予め用意されていればよい。そして、演出パターンに応じて、リーチ演出後に大当り組合せ等が最終停止表示される可能性(「大当り期待度」ともいう)を異ならせてもよい。これにより、複数種類のリーチ演出のいずれが実行されるかに応じて、即ち、いずれのリーチ演出を出現させるかに応じて、大当り期待度を異ならせることができる。例えば、本実施形態では、ノーマルリーチのリーチ態様と、ノーマルリーチに比べて大当り期待度が高いスーパーリーチのリーチ態様とを予め設定している。
【0066】
なお、大当り期待度は、例えば、(大当り時にその演出が実行される確率)×(大当りになる確率)/{(大当り時にその演出が実行される確率)×(大当りになる確率)+(大当り時以外にその演出が実行される確率)×(大当りにならない確率)}によって算出される(大当り期待度が「1」になる場合には、可変表示結果は必ず「大当り」になる)。
【0067】
また、飾り図柄の可変表示中には、可変表示演出の一態様として、飾り図柄等の可変表示動作によって実現される滑り演出や擬似連演出等が実行可能である。滑り演出では、飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおける全部にて飾り図柄を変動させてから、複数の飾り図柄表示エリア(例えば、「左」及び「右」の飾り図柄表示エリア5L、5R等)にて飾り図柄を仮停止表示させた後、その仮停止表示した飾り図柄表示エリアのうち、所定数(例えば、「1」又は「2」)の飾り図柄表示エリア(例えば、「左」の飾り図柄表示エリア5Lと「右」の飾り図柄表示エリア5Rのいずれか一方又は両方)にて飾り図柄を再び変動させた後に停止表示させることで、停止表示する飾り図柄を変更させる演出表示が行われる。こうして、滑り演出では、飾り図柄の可変表示が開始されてから可変表示結果となる確定飾り図柄が導出表示されるまでに複数の飾り図柄を仮停止表示させた後、所定数の飾り図柄について可変表示を再度実行することにより、飾り図柄の可変表示状態がリーチ状態になるときと、リーチ状態とはならずに非リーチ組合せを構成する飾り図柄が停止表示されるときとがある。
【0068】
擬似連演出では、特図ゲームの第1開始条件と第2開始条件のいずれか一方が1回成立したことに対応して、飾り図柄の可変表示が開始されてから可変表示結果となる確定飾り図柄が導出表示されるまでに、飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおける全部にて飾り図柄(例えば、予め定められた擬似連チャンス目等)を一旦仮停止表示させた後、全部の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにて飾り図柄を再び変動(擬似連変動)させる演出表示を、所定回(例えば、最大3回まで)行うことができる。擬似連変動の回数は、飾り図柄の可変表示が開始されてから全部の飾り図柄が最初に一旦仮停止するまでの初回変動を除く、飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおける全部にて飾り図柄が再変動する回数である。擬似連演出において、擬似連変動(再変動)が1回〜3回行われることにより、第1開始条件又は第2開始条件が1回成立したことに基づき、飾り図柄の可変表示があたかも2回〜4回続けて開始されたかのように見せることができる。
【0069】
滑り演出(擬似連演出も同様)は、いずれかのリーチ演出若しくはあるリーチ演出が実行される可能性があることや大当り期待度が高いこと等を、遊技者に予告又は示唆するものであってもよい。以下、いずれかのリーチ演出若しくはあるリーチ演出が実行される可能性があることや大当り期待度が高いこと等を、遊技者に予告又は示唆するための演出を予告演出と総称する場合がある。予告演出には、滑り演出や擬似連演出の他にも、滑り演出や擬似連演出とは異なる可変表示動作を利用するものがあってもよいし、例えば、背景画像の表示、メッセージウィンドウの表示、保留表示、音声出力、発光(点灯、点滅、消灯)等のように可変表示演出とは異なる演出動作を利用するものがあってもよい。
【0070】
なお、予告演出は、予告演出が予告又は示唆する内容が実現されるか否かを遊技者が判別(実際に確認)できるよりも前に実行されるものであればよい。例えば、ある遊技球の入賞による飾り図柄の可変表示状態がリーチ状態となる可能性があることを遊技者に予告又は示唆する予告演出は、少なくとも遊技球の入賞による飾り図柄の可変表示状態がリーチ状態又は非リーチ状態となるより前に実行されるものであればよい。また、ある遊技球の入賞による可変表示結果が「大当り」となる可能性があることを遊技者に予告又は示唆する予告演出は、少なくとも遊技球の入賞による確定飾り図柄が停止表示されるよりも前に実行されるものであればよい。
【0071】
予告演出のうちには、先読予告演出となるものが含まれていればよい。先読予告演出は、予告対象となる可変表示がリーチ状態となるか否かや予告対象となる可変表示の可変表示結果が「大当り」となるか否か等を、予告対象となる可変表示を開始するより前に予告対象となる可変表示の保留情報(特図保留情報)等に基づいて判定し(先読みし)、判定結果に基づいて予告対象となる可変表示がリーチ状態となる可能性や予告対象となる可変表示の可変表示結果が「大当り」となる可能性等を、予告対象となる可変表示を開始するより前等に遊技者に予告又は示唆する予告演出である。以下の説明において、先読みされた特図保留情報をターゲットの保留情報(保留データ)とも称し、ターゲットの保留情報(保留データ)に対応する可変表示(予告対象となる可変表示)をターゲットの可変表示とも称し、ターゲットの保留情報に対応する保留表示をターゲットの保留表示とも称する。
【0072】
特図ゲームにおける確定特別図柄として、ハズレ図柄となる特別図柄が停止表示(導出)される場合には、飾り図柄の可変表示が開始されてから、飾り図柄の可変表示状態がリーチ状態とならずに、所定の非リーチ組合せとなる確定飾り図柄が停止表示されることがある。このような飾り図柄の可変表示態様は、可変表示結果が「ハズレ」となる場合における「非リーチ」の可変表示態様と称される。
【0073】
特図ゲームにおける確定特別図柄として、ハズレ図柄となる特別図柄が停止表示(導出)される場合には、飾り図柄の可変表示が開始されてから、飾り図柄の可変表示状態がリーチ状態となったことに対応して、リーチ演出が実行された後等に、所定のリーチハズレ組合せとなる確定飾り図柄が停止表示されることがある。このような飾り図柄の可変表示結果は、可変表示結果が「ハズレ」となる場合における「リーチ」(「リーチハズレ」ともいう)の可変表示態様と称される。
【0074】
特図ゲームにおける確定特別図柄として、通常開放ラウンド大当り図柄となる特別図柄のうち、「3」の数字を示す特別図柄といった通常大当り図柄が停止表示される場合には、飾り図柄の可変表示状態がリーチ状態となったことに対応して、所定のリーチ演出が実行された後等に、複数種類の大当り組合せのうち、所定の通常大当り組合せ(「非確変大当り組合せ」とも称する)となる確定飾り図柄が停止表示される。所定の通常大当り組合せとは、例えば、飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rによって形成される所定の有効ライン(例えば、横に一直線)上に同一種類の通常図柄が揃って最終停止表示する組み合わせである。通常図柄の一例は、図柄番号が「1」〜「8」の8種類の飾り図柄のうち、図柄番号が偶数「2」、「4」、「6」、「8」の4種類の飾り図柄である。
【0075】
特図ゲームにおける確定特別図柄が通常大当り図柄となることに対応して、所定のリーチ演出が実行された後等に、通常大当り組合せの確定飾り図柄が停止表示される飾り図柄の可変表示態様は、可変表示結果が「大当り」となる場合における「非確変」(「通常大当り」ともいう)の可変表示態様(「大当り種別」ともいう)と称される。「非確変」の大当り種別で可変表示結果が「大当り」となったことに基づいて、通常開放大当り状態に制御され、その終了後には、時間短縮制御(時短制御)が行われる。時短制御が行われることにより、特図ゲームにおける特別図柄の可変表示時間(特図変動時間)は、通常状態に比べて短縮される。通常状態とは、大当り遊技状態等の特定遊技状態等とは異なる通常遊技状態であり、パチンコ遊技機1の初期設定状態(例えば、システムリセットが行われた場合のように、電源投入後に初期化処理を実行した状態)と同一の制御が行われる。時短制御は、大当り遊技状態の終了後に所定回数(例えば、100回)の特図ゲームが実行されることと、可変表示結果が「大当り」となることのうち、いずれかの条件が先に成立したときに、終了すればよい。
【0076】
特図ゲームにおける確定特別図柄として、通常開放ラウンド大当り図柄となる特別図柄のうち、「7」の数字を示す特別図柄といった確変大当り図柄が停止表示される場合には、飾り図柄の可変表示状態がリーチ状態となったことに対応して、飾り図柄の可変表示態様が「通常」である場合と同様のリーチ演出が実行された後等に、複数種類の大当り組合せのうち、所定の確変大当り組合せとなる確定飾り図柄が停止表示されることがある。換言すれば、特図ゲームにおいて確変大当り図柄が最終停止表示される場合には、所定の確変大当り組合せとなる飾り図柄が最終停止される場合と、所定の通常大当り組合せとなる飾り図柄が停止表示される場合とがある。所定の確変大当り組合せとは、例えば、上記有効ライン上に同一種類の確変図柄が揃って最終停止表示する組み合わせである。確変図柄の一例は、図柄番号が「1」〜「8」の8種類の飾り図柄のうち、図柄番号が奇数「1」、「3」、「5」、「7」の4種類の飾り図柄である。
【0077】
確定飾り図柄が通常大当り組合せであるか確変大当り組合せであるかにかかわらず、特図ゲームにおける確定特別図柄として確変大当り図柄が停止表示される可変表示態様は、可変表示結果が「大当り」となる場合における「確変」の可変表示態様(「大当り種別」ともいう)と称される。「確変」の大当り種別で可変表示結果が「大当り」となったことに基づいて、通常開放大当り状態に制御され、その終了後には、時短制御と共に確率変動制御(確変制御)が行われる。確変制御が行われることにより、各回の特図ゲームにおいて可変表示結果(特図表示結果)が「大当り」となる確率は、通常状態に比べて高くなるように向上する。確変制御は、大当り遊技状態の終了後に可変表示結果が「大当り」となって再び大当り遊技状態に制御されるという条件が成立したときに、終了すればよい。なお、時短制御と同様に、大当り遊技状態の終了後に所定回数(例えば、100回)の特図ゲームが実行されたときに、確変制御を終了してもよい。また、大当り遊技状態の終了後に特図ゲームが開始されるごとに実行される確変転落抽選にて確変制御を終了させる「確変転落あり」の決定がなされたときに、確変制御を終了してもよい。
【0078】
時短制御が行われるときには、普通図柄表示器20による普図ゲームにおける普通図柄の変動時間(普図変動時間)を通常状態のときよりも短くする制御や、各回の普図ゲームで普通図柄の可変表示結果が「普図当り」となる確率を通常状態のときよりも向上させる制御、可変表示結果が「普図当り」となったことに基づく普通可変入賞球装置6Bにおける可動翼片の傾動制御を行う傾動制御時間を通常状態のときよりも長くする制御、その傾動回数を通常状態のときよりも増加させる制御といった、遊技球が第2始動入賞口を通過し易くして第2始動条件が成立する可能性を高めることで遊技者にとって有利となる制御が行われる。このように、時短制御に伴い第2始動入賞口に遊技球が通過し易くして遊技者にとって有利となる制御は、高開放制御ともいう。高開放制御としては、これらの制御のいずれか1つが行われるようにしてもよいし、複数の制御が組み合わせられて行われるようにしてもよい。
【0079】
高開放制御が行われることにより、第2始動入賞口は、高開放制御が行われていないときよりも拡大開放状態となる頻度が高められる。従って、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図ゲームを実行するための第2始動条件が成立し易くなり、第2特図ゲームが頻繁に実行可能となることで、次に可変表示結果が「大当り」となるまでの時間が短縮される。高開放制御が実行可能となる期間は、高開放制御期間ともいい、この期間は、時短制御が行われる期間と同一であればよい。
【0080】
時短制御と高開放制御が共に行われる遊技状態は、時短状態又は高ベース状態ともいう。また、確変制御が行われる遊技状態は、確変状態又は高確状態ともいう。確変制御と共に時短制御や高開放制御が行われる遊技状態は、高確高ベース状態とも称される。確変制御のみが行われて時短制御や高開放制御が行われない確変状態は、高確低ベース状態とも称される。なお、確変制御と共に時短制御や高開放制御が行われる遊技状態のみを、特に「確変状態」ということもあり、高確低ベース状態とは区別するために、時短付確変状態ということもある。一方、高確低ベース状態は、高確高ベース状態と区別するために、時短なし確変状態ということもある。確変制御が行われずに時短制御や高開放制御が行われる時短状態は、低確高ベース状態とも称される。確変制御や時短制御、及び、高開放制御がいずれも行われない通常状態は、低確低ベース状態とも称される。通常状態以外の遊技状態において時短制御や確変制御の少なくともいずれかが行われるときには、第2特図ゲームが頻繁に実行可能となることや、各回の第1特図ゲーム、第2特図ゲームにおける可変表示結果が「大当り」となる確率が高められることにより、遊技者にとって有利な状態となる。大当り遊技状態とは異なる遊技者にとって有利な遊技状態は、特別遊技状態とも称される。
【0081】
特図ゲームにおける確定特別図柄として、「5」の数字を示す特別図柄といった短期開放ラウンド大当り図柄が停止表示される場合や、「2」の数字を示す特別図柄といった小当り図柄が停止表示される場合には、飾り図柄の可変表示状態がリーチ状態とならずに、開放チャンス目として予め定められた複数種類の確定飾り図柄の組合せのいずれかが停止表示されることがある。また、特図ゲームにおける確定特別図柄として、短期開放ラウンド大当り図柄が停止表示される場合には、飾り図柄の可変表示状態がリーチ状態となったことに対応して、所定のリーチ演出が実行された後等に、所定のリーチ組合せとなる確定飾り図柄が停止表示されることもある。
【0082】
特図ゲームにおける確定特別図柄が短期開放ラウンド大当り図柄となることに対応して、各種の確定飾り図柄が停止表示される飾り図柄の可変表示態様は、可変表示結果が「大当り」となる場合における「突確」の可変表示態様(「大当り種別」ともいう)と称される。「突確」の大当り種別で可変表示結果が「大当り」となったことに基づいて、短期開放大当り状態に制御され、その終了後には、時短制御と共に確変制御が行われればよい。
【0083】
特図ゲームにおける確定特別図柄として、「2」の数字を示す特別図柄といった小当り図柄が停止表示されて可変表示結果が「小当り」となったことに基づいて、小当り遊技状態に制御され、その終了後には、遊技状態の変更が行われず、可変表示結果が「小当り」となる以前の遊技状態に継続して制御される。但し、可変表示結果が「小当り」となる特図ゲームが実行されたときに、特別遊技状態における特図ゲームの実行回数が所定回数に達していれば、小当り遊技状態の終了後には、特別遊技状態が終了して通常状態となることがある。
【0084】
確定飾り図柄が非確変大当り組合せや確変大当り組合せとなる飾り図柄の可変表示中には、再抽選演出が実行されることがある。例えば、再抽選演出として、飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおいて、通常大当り組合せとなる飾り図柄を仮停止表示させた後に、同一の飾り図柄が揃った状態で再び変動させ、確変大当り組合せとなる飾り図柄(確変図柄)と、通常大当り組合せとなる飾り図柄(通常図柄)のうち、いずれかを、確定飾り図柄として最終停止表示させるようにしてもよい。
【0085】
通常大当り組合せとなる確定飾り図柄が導出表示された後には、大当り遊技状態の開始時や大当り遊技状態におけるラウンドの実行中、大当り遊技状態において、いずれかのラウンドが終了してから次のラウンドが開始されるまでの期間、大当り遊技状態において最終のラウンドが終了してから次の可変表示ゲームが開始されるまでの期間等にて、確変状態に制御するか否かの確変報知演出となる大当り中昇格演出が実行されてもよい。なお、大当り中昇格演出と同様の報知演出が、大当り遊技状態の終了後における最初の可変表示ゲーム中等にて実行されてもよい。大当り遊技状態において最終のラウンドが終了してから実行される大当り中昇格演出を、特に「エンディング昇格演出」ということもある。
【0086】
図3に示すように、パチンコ遊技機1には、例えば、主基板11、演出制御基板12、音声制御基板13、ランプ制御基板14といった、各種の制御基板が搭載されている。また、パチンコ遊技機1には、主基板11と演出制御基板12との間で伝送される各種の制御信号を中継するための中継基板15等も搭載されている。更に、パチンコ遊技機1には、本実施形態の特徴部に関連する構成要素として、電源基板16と、設定基板17と、コネクタ部18とが備えられている。その他にも、パチンコ遊技機1における遊技盤2等の背面には、例えば、払出制御基板、情報端子基板、発射制御基板、インターフェース基板等といった、各種の基板が配置されている。
【0087】
主基板11は、メイン側の制御基板であり、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための各種回路が搭載されている。主基板11は、主として、特図ゲームにおいて用いる乱数の設定機能、所定位置に配設されたスイッチ等からの信号の入力を行う機能、演出制御基板12等からなるサブ側の制御基板に宛てて、指令情報の一例となる制御コマンドを制御信号として出力して送信する機能、ホールの管理コンピュータに対して各種情報を出力する機能等を備えている。また、主基板11は、第1特別図柄表示装置4Aと第2特別図柄表示装置4Bを構成する各LED(例えば、セグメントLED)等の点灯/消灯制御を行って第1特図や第2特図の可変表示を制御することや、普通図柄表示器20の点灯/消灯/発色制御等を行って普通図柄表示器20による普通図柄の可変表示を制御することといった、所定の識別情報の可変表示を制御する機能も備えている。
【0088】
主基板11には、例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ100や、遊技球検出用の各種スイッチからの検出信号を取り込んで遊技制御用マイクロコンピュータ100に伝送するスイッチ回路110、遊技制御用マイクロコンピュータ100からのソレノイド駆動信号をソレノイド81、82に伝送するソレノイド回路111等が搭載されている。
【0089】
演出制御基板12は、主基板11とは独立したサブ側の制御基板であり、中継基板15を介して主基板11から伝送された制御信号を受信して、表示装置5、スピーカ8及びランプ9といった演出用の電気部品による演出動作を制御するための各種回路が搭載されている。すなわち、演出制御基板12は、表示装置5における表示動作や、スピーカ8からの音声出力動作の全部又は一部、ランプ9等における点灯/消灯動作の全部又は一部といった、演出用の電気部品に所定の演出動作を実行させるための制御内容を決定する機能を備えている。
【0090】
音声制御基板13は、演出制御基板12とは別に設けられた音声出力制御用の制御基板であり、演出制御基板12からの指令や制御データ等に基づき、スピーカ8から音声を出力させるための音声信号処理を実行する処理回路等が搭載されている。ランプ制御基板14は、演出制御基板12とは別に設けられたランプ出力制御用の制御基板であり、演出制御基板12からの指令や制御データ等に基づき、ランプ9等における点灯/消灯駆動を行うランプドライバ回路等が搭載されている。
【0091】
主基板11には、ゲートスイッチ21、第1始動口スイッチ22A、第2始動口スイッチ22B、カウントスイッチ23からの検出信号を伝送する配線が接続されている。ゲートスイッチ21、第1始動口スイッチ22A、第2始動口スイッチ22B、カウントスイッチ23は、例えば、センサと称されるもの等のように、遊技媒体としての遊技球を検出できる任意の構成を有するものであればよい。なお、パチンコ遊技機1は、ゲートスイッチ21、第1始動口スイッチ22A、第2始動口スイッチ22B、カウントスイッチ23に加え、同様に主基板11に接続する他のスイッチ(例えば、図2に示すガラス扉3Bの開閉状態を検知するスイッチ、遊技盤2自体の開閉状態を検知するスイッチ、不正な振動を検知するためのスイッチ、不正な電磁波を検知するためのスイッチ)を備えていてもよい。また、主基板11には、第1特別図柄表示装置4A、第2特別図柄表示装置4B、普通図柄表示器20、第1保留表示器25A、第2保留表示器25B、普図保留表示器25C等の表示制御を行うための指令信号を伝送する配線が接続されている。
【0092】
主基板11から演出制御基板12に向けて伝送される制御信号は、中継基板15によって中継される。中継基板15を介して主基板11から演出制御基板12に対して伝送される制御コマンドは、例えば、電気信号として送受信される演出制御コマンドである。
【0093】
図4(A)は、演出制御コマンドの内容の一例を示す。演出制御コマンドは、例えば、2バイト構成であり、1バイト目はMODE(コマンドの分類)を示し、2バイト目はEXT(コマンドの種類)を表す。MODEデータの先頭ビット(ビット7)は必ず「1」とされ、EXTデータの先頭ビットは「0」とされる。なお、図4(A)に示されたコマンド形態は一例であって、他のコマンド形態を用いてもよい。また、この例では、制御コマンドが2つの制御信号で構成されることになるが、制御コマンドを構成する制御信号数は、1であってもよいし、3以上の複数であってもよい。
【0094】
図4(A)に示す例において、コマンド8001Hは、第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図ゲームにおける変動開始を指定する第1変動開始コマンドである。コマンド8002Hは、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図ゲームにおける変動開始を指定する第2変動開始コマンドである。コマンド81XXHは、特図ゲームにおける特別図柄の可変表示に対応して各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rで可変表示される飾り図柄等の変動パターンを指定する変動パターン指定コマンドである。ここで、XXHは不特定の16進数であることを示し、演出制御コマンドによる指示内容に応じて任意に設定される値であればよい。変動パターン指定コマンドでは、指定する変動パターン等に応じて、異なるEXTデータが設定される。
【0095】
コマンド8CXXHは、特別図柄や飾り図柄等の可変表示結果を指定する可変表示結果通知コマンドである。可変表示結果通知コマンドでは、例えば、図4(B)に示すように、可変表示結果が「ハズレ」であるか「大当り」であるかの決定結果や大当り種別の決定結果に応じて、異なるEXTデータが設定される。
【0096】
コマンド8F00Hは、各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおける、最終停止図柄を指定する図柄確定コマンドである。コマンド95XXHは、パチンコ遊技機1における現在の遊技状態を指定する遊技状態指定コマンドである。遊技状態指定コマンドでは、例えば、パチンコ遊技機1における現在の遊技状態に応じて、異なるEXTデータが設定される。
【0097】
コマンドA0XXHは、大当り遊技状態や小当り遊技状態の開始を示す演出画像の表示を指定する当り開始指定コマンドである。コマンドA1XXHは、大当り遊技状態や小当り遊技状態において、大入賞口が開放状態となっている期間であることを通知する大入賞口開放中通知コマンドである。コマンドA2XXHは、大当り遊技状態や小当り遊技状態において、大入賞口が開放状態から閉鎖状態に変化した期間であることを通知する大入賞口開放後通知コマンドである。コマンドA3XXHは、大当り遊技状態や小当り遊技状態の終了時における演出画像の表示を指定する当り終了指定コマンドである。
【0098】
当り開始指定コマンドや当り終了指定コマンドでは、例えば、可変表示結果通知コマンドと同様のEXTデータが設定されること等により、事前決定結果や大当り種別決定結果に応じて異なるEXTデータが設定されてもよい。または、当り開始指定コマンドや当り終了指定コマンドでは、事前決定結果及び大当り種別決定結果と設定されるEXTデータとの対応関係を、可変表示結果通知コマンドにおける対応関係とは異ならせるようにしてもよい。大入賞口開放中通知コマンドや大入賞口開放後通知コマンドでは、例えば、通常開放大当り状態や短期開放大当り状態におけるラウンドの実行回数(例えば、「1」〜「15」)に対応して、異なるEXTデータが設定される。
【0099】
コマンドB100Hは、普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口を通過した遊技球が第1始動口スイッチ22Aにより検出されて第1始動入賞が発生したことに基づき、第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図ゲームを実行するための第1始動条件が成立したことを通知する第1始動口入賞指定コマンドである。
【0100】
コマンドB200Hは、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口を通過した遊技球が第2始動口スイッチ22Bにより検出されて第2始動入賞が発生したことに基づき、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図ゲームを実行するための第2始動条件が成立したことを通知する第2始動口入賞指定コマンドである。
【0101】
コマンドC1XXHは、第1始動入賞記憶表示エリア5HL等にて第1特図保留記憶数を特定可能に表示するために、第1特図保留記憶数を通知する第1保留記憶数通知コマンドである。コマンドC2XXHは、第2始動入賞記憶表示エリア5HR等にて特図保留記憶数を特定可能に表示するために、第2特図保留記憶数を通知する第2保留記憶数通知コマンドである。
【0102】
本実施形態では、保留記憶情報として、第1始動入賞口に始動入賞したか、第2始動入賞口に始動入賞したかを指定する第1始動口入賞指定コマンドや第2始動口入賞指定コマンドを送信すると共に、第1特図保留記憶数や第2特図保留記憶数を指定する第1保留記憶数通知コマンドや第2保留記憶数通知コマンドを送信する。なお、保留記憶数が増加したときに、第1特図保留記憶数又は第2特図保留記憶数が増加したことを示す保留記憶数加算指定コマンドを送信する一方、保留記憶数が減少したときに、第1特図保留記憶数又は第2特図保留記憶数が減少したことを示す保留記憶数減算指定コマンドを送信するようにしてもよい。
【0103】
第1保留記憶数通知コマンドや第2保留記憶数通知コマンドに代えて、合計保留記憶数を通知する合計保留記憶数通知コマンドを送信するようにしてもよい。また、合計保留記憶数の増加又は減少を通知するための合計保留記憶数加算指定コマンド又は合計保留記憶数減算指定コマンドを送信するようにしてもよい。
【0104】
コマンドC4XXH及びコマンドC6XXHは、入賞時判定結果の内容を示す演出制御コマンドである。このうち、コマンドC4XXHは、入賞時判定結果として、可変表示結果が「大当り」となるか否かや「小当り」となるか否かの判定結果、大当り種別の判定結果を示す図柄指定コマンドである。また、コマンドC6XXHは、入賞時判定結果として、変動カテゴリの判定結果を示す変動カテゴリコマンドである。変動カテゴリとは、飾り図柄の変動パターンを種類別に分類したときの名称である。換言すれば、変動カテゴリとは、共通のグループにカテゴライズされる1以上の飾り図柄の変動パターンを含む、各グループのグループ名である。
【0105】
本実施形態では、始動入賞判定処理(図17参照)において、始動入賞の発生時に、特図表示結果決定用の乱数値MR1に基づいて可変表示結果が「大当り」に決定されるか否かや「小当り」に決定されるか否かを判定し、「大当り」に決定された場合には大当り種別決定用の乱数値MR2に基づいて大当りの種別を判定し、変動カテゴリ決定用の乱数値MR3に基づいて変動カテゴリを判定する。そして、図柄指定コマンドや変動カテゴリコマンドのEXTデータに、その判定結果に対応する値を設定し、演出制御基板12に対して送信する制御を行う。演出制御基板12に搭載された演出制御用CPU(Central Processing Unit)120は、図柄指定コマンドに設定されている値に基づいて、可変表示結果が「大当り」や「小当り」に決定されるか否かや大当り種別を認識できると共に、変動カテゴリコマンドに設定されている値に基づいて変動カテゴリを認識できる。
【0106】
なお、変動パターン指定コマンドや可変表示結果通知コマンド等の演出制御コマンドは、演出制御用CPU120が、表示装置5、スピーカ8、ランプ9等の演出装置を制御する際に用いられる。以下、表示装置5における画像表示動作の制御に用いられる演出制御コマンドを表示制御コマンド、スピーカ8からの音声出力を制御するために用いられる演出制御コマンドを音声制御コマンド、ランプ9の発光動作(点灯動作、点滅動作、消灯動作)を制御するために用いられる演出制御コマンドをランプ制御コマンドとも称する。なお、演出制御コマンドのうちには、表示制御コマンド、かつ、音声制御コマンド、かつ、ランプ制御コマンドであるものが存在してもよい。
【0107】
主基板11に搭載された遊技制御用マイクロコンピュータ100は、例えば、1チップのマイクロコンピュータであり、遊技制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM(Read Only Memory)101と、遊技制御用のワークエリアを提供するRAM(Random Access Memory)102と、遊技制御用のプログラムを実行して制御動作を行うCPU103と、CPU103とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路104と、I/O(Input/Output port)105とを備えて構成される。
【0108】
例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ100では、CPU103がROM101から読み出したプログラムを実行することにより、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための処理が実行される。このときには、CPU103がROM101から固定データを読み出す固定データ読出動作や、CPU103がRAM102に各種の変動データを書き込んで一時記憶させる変動データ書込動作、CPU103がRAM102に一時記憶されている各種の変動データを読み出す変動データ読出動作、CPU103がI/O105を介して遊技制御用マイクロコンピュータ100の外部から各種信号の入力を受け付ける受信動作、CPU103がI/O105を介して遊技制御用マイクロコンピュータ100の外部へと各種信号を出力する送信動作等も行われる。
【0109】
図5は、主基板11の側においてカウントされる乱数値の一例を示す。本実施形態では、主基板11の側において、特図表示結果決定用の乱数値MR1、大当り種別決定用の乱数値MR2、変動カテゴリ決定用の乱数値MR3、普図表示結果決定用の乱数値MR4、変動パターン決定用の乱数値MR5のそれぞれを示す数値データが、カウント可能に制御される。なお、遊技効果を高めるために、これら以外の乱数値が用いられてもよい。こうした遊技の進行を制御するために用いられる乱数は、遊技用乱数ともいう。
【0110】
乱数回路104は、これらの乱数値MR1〜MR5の一部又は全部を示す数値データをカウントするものであればよい。CPU103は、例えば、図9に示す遊技制御カウンタ設定部154に設けられたランダムカウンタといった、乱数回路104とは異なるランダムカウンタを用いて、ソフトウェアによって各種の数値データを更新することで、乱数値MR1〜MR5の一部を示す数値データをカウントするようにしてもよい。
【0111】
続いて、飾り図柄の変動パターンについて説明する。以下、可変表示結果が「ハズレ」となる場合に対応した変動パターンを「ハズレ変動パターン」と称する。ハズレ変動パターンには、可変表示結果が「ハズレ」となる場合のうち、飾り図柄の可変表示態様が「非リーチ」となる場合に対応した「非リーチ変動パターン」や、可変表示結果が「ハズレ」となる場合のうち、飾り図柄の可変表示態様が「リーチ」となる場合に対応した「リーチ変動パターン」が含まれる。
【0112】
また、可変表示結果が「大当り」又は「小当り」となる場合に対応した変動パターンを「当たり変動パターン」と称する。当たり変動パターンには、可変表示結果が「大当り」である場合に対応した「大当り変動パターン」や、可変表示結果が「小当り」である場合に対応した「小当り変動パターン」が含まれる。大当り変動パターンとして、大当り種別のそれぞれに対応した複数の変動パターンを用意しておいてもよい。
【0113】
非リーチ変動パターンには、合計保留記憶数が多い場合や、遊技状態が確変状態や時短状態である場合に実行される時短制御に対応し、変動時間が異なる複数の変動パターンを用意しておくとよい。これにより、合計保留記憶数や遊技状態に応じて、いずれかの変動パターンが選択されることで、合計保留記憶数や遊技状態に応じて変動時間を短縮する制御が可能になる。
【0114】
大当り変動パターンやリーチ変動パターン等のようにリーチ演出を含む変動パターンには、各リーチ演出のリーチ態様に応じた変動パターンが用意されている。なお、ノーマルリーチのリーチ演出が実行される変動パターンを「ノーマルリーチ変動パターン」と称し、スーパーリーチのリーチ演出が実行される変動パターンを「スーパーリーチ変動パターン」と称する。
【0115】
図6は、変動カテゴリ及び変動パターンの具体例を示している。図6において、変動カテゴリ「PA1」は、短縮・非リーチ(ハズレ)変動カテゴリである。変動カテゴリ「PA1」には、変動パターン「PA1−1」が属している。変動カテゴリ「PA2」は、非リーチ(ハズレ)変動カテゴリである。変動カテゴリ「PA2」には、変動パターン「PA2−1」〜「PA2−3」が属している。以下、変動カテゴリ「PA3」〜変動カテゴリ「PB5」についても、図6に示す通りである。
【0116】
なお、図6において、小当り変動パターン、大当り変動パターンのうちの大当り種別が突確である場合の変動パターンに関する説明は省略しているが、同図において説明したハズレ変動パターン(非リーチ変動パターン、リーチ変動パターン)や、大当り変動パターン(大当り種別が突確である場合を除く)と同様である。
【0117】
遊技制御用マイクロコンピュータ100が備えるROM101には、ゲーム制御用のプログラムの他にも、遊技の進行を制御するために用いられる各種のデータが格納されている。例えば、ROM101には、CPU103が各種の判定や決定、設定を行うために用意された複数の判定テーブルや決定テーブル、設定テーブル等を構成するデータが記憶されている。また、ROM101には、CPU103が主基板11から各種の制御コマンドとなる制御信号を送信するために用いられる複数のコマンドテーブルを構成するデータ(例えば、制御コマンドの内容を特定する情報)や、図6に示すようなテーブルを構成するデータ等が記憶されている。
【0118】
図7は、ROM101に記憶される特図表示結果決定テーブルの構成例を示している。本実施形態では、特図表示結果決定テーブルとして、図7(A)に示す第1特図表示結果決定テーブル130Aと、図7(B)に示す第2特図表示結果決定テーブル130Bとが、予め用意されている。第1特図表示結果決定テーブル130Aは、第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図ゲームにおいて可変表示結果となる確定特別図柄が導出表示される以前に、その可変表示結果を「大当り」として大当り遊技状態に制御するか否かや、可変表示結果を「小当り」として小当り遊技状態に制御するか否かを、特図表示結果決定用の乱数値MR1に基づいて決定するために参照されるテーブルである。第2特図表示結果決定テーブル130Bは、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図ゲームにおいて可変表示結果となる確定特別図柄が導出表示される以前に、その可変表示結果を「大当り」として大当り遊技状態に制御するか否かや、可変表示結果を「小当り」として小当り遊技状態に制御するか否かを、特図表示結果決定用の乱数値MR1に基づいて決定するために参照されるテーブルである。
【0119】
第1特図表示結果決定テーブル130Aでは、パチンコ遊技機1における遊技状態が通常状態又は時短状態(低確状態)であるか、確変状態(高確状態)であるかに応じて、特図表示結果決定用の乱数値MR1と比較される数値(決定値。判定値とも称する。以下、他の乱数値についても同様。)が、「大当り」や「小当り」、「ハズレ」の特図表示結果に割り当てられている。第2特図表示結果決定テーブル130Bでは、遊技状態が通常状態又は時短状態(低確状態)であるか、確変状態(高確状態)であるかに応じて、特図表示結果決定用の乱数値MR1と比較される数値(決定値)が、「大当り」や「ハズレ」の特図表示結果に割り当てられている。
【0120】
第1特図表示結果決定テーブル130Aと第2特図表示結果決定テーブル130Bのそれぞれでは、遊技状態が確変状態(高確状態)であるときに、通常状態又は時短状態(低確状態)であるときよりも多くの決定値が、「大当り」の特図表示結果に割り当てられている。これにより、パチンコ遊技機1において確変制御が行われる確変状態(高確状態)では、通常状態又は時短状態(低確状態)であるときに比べて、特図表示結果を「大当り」として大当り遊技状態に制御すると決定される確率が高くなる。
【0121】
第1特図表示結果決定テーブル130Aの設定例では、所定範囲の決定値(「30000」〜「30350」の範囲の値)が「小当り」の特図表示結果に割り当てられている。一方、第2特図表示結果決定テーブル130Bの設定例では、「小当り」の特図表示結果に決定値が割り当てられていない。このような設定より、第2特図ゲームでは「小当り」とならないので、例えば、時短状態(低確高ベース状態)や確変状態(高確高ベース状態)といった、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口に遊技球が通過し易い遊技状態において、賞球を得ることが困難な「小当り」の発生を回避して、遊技の間延びによる遊技興趣の低下を防止することができる。
【0122】
なお、第2特図表示結果決定テーブル130Bと、第1特図表示結果決定テーブル130Aとで、異なる所定範囲の決定値が「小当り」の特図表示結果に割り当てられるようにしてもよい。例えば、第2特図表示結果決定テーブル130Bでは、第1特図表示結果決定テーブル130Aに比べて少ない決定値が「小当り」の特図表示結果に割り当てられるようにしてもよい。これにより、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口に遊技球が通過し易い遊技状態における「小当り」の頻発を回避することができる。または、第1特図ゲームと第2特図ゲームとで、共通の特図表示結果決定テーブルを参照して、特図表示結果の決定を行うようにしてもよい。
【0123】
図8は、ROM101に記憶される大当り種別決定テーブル131の構成例を示している。大当り種別決定テーブル131は、特図表示結果を「大当り」として大当り遊技状態に制御すると決定されたときに、大当り種別決定用の乱数値MR2に基づき、大当り種別を複数種類のいずれかに決定するために参照されるテーブルである。大当り種別決定テーブル131では、第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図ゲームを実行するか、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図ゲームを実行するかに応じて、大当り種別決定用の乱数値MR2と比較される数値(決定値)が、「非確変」や「確変」、「突確」といった複数種類の大当り種別に割り当てられている。
【0124】
大当り種別決定テーブル131の設定例では、第1特図ゲームを実行する場合、すなわち、変動させる特図(変動特図とも称する)が第1特図である場合には、所定範囲の決定値(「82」〜「99」の範囲の値)が「突確」の大当り種別に割り当てられている一方、第2特図ゲームを実行する場合、変動特図が第2特図である場合には、「突確」の大当り種別に対して決定値が割り当てられていない。このような設定により、第2特図ゲームでは「突確」とならないので、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口に遊技球が通過し易い遊技状態において、賞球を得ることが困難な「突確」の発生を回避して、遊技の間延びによる遊技興趣の低下を防止することができる。
【0125】
なお、変動特図が第1特図である場合と、変動特図が第2特図である場合とで、異なる所定範囲の決定値が「突確」の大当り種別に割り当てられるようにしてもよい。例えば、変動特図が第2特図である場合には、変動特図が第1特図である場合に比べて少ない決定値が「突確」の大当り種別に割り当てられるようにしてもよい。これにより、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口に遊技球が通過し易い遊技状態における「突確」の頻発を回避することができる。または、変動特図が、第1特図である場合と第2特図である場合とで、共通のテーブルデータを参照して、大当り種別の決定を行うようにしてもよい。
【0126】
また、ROM101には、変動カテゴリを複数種類のうちのいずれかに決定するために参照される変動カテゴリ決定テーブルが記憶されている。具体的には、ROM101には、変動カテゴリ決定テーブルにおいて決定され得る変動カテゴリの種類やそれぞれの決定割合等が互いに異なる複数の変動カテゴリ決定テーブルが記憶されている。変動カテゴリ決定テーブルには、変動カテゴリのそれぞれに、変動カテゴリ決定用の乱数値MR3と比較される数値(決定値)が割り当てられている。即ち、ROM101には、複数種類の変動カテゴリのうち、少なくとも1つの変動カテゴリに割り当てられている上記決定値(例えば、決定値の範囲や個数等)が互いに異なる複数の変動カテゴリ決定テーブルが記憶されている。なお、複数の変動カテゴリ決定テーブルに代えて、全部の変動カテゴリ決定テーブルの情報を含む1つの大きな変動カテゴリ決定テーブルをROM101に記憶してもよい。
【0127】
また、ROM101には、変動パターンを複数種類のうちのいずれかに決定するために参照される変動パターン決定テーブルが記憶されている。具体的には、ROM101には、変動パターン決定テーブルにおいて決定され得る変動パターンの種類やそれぞれの決定割合等が互いに異なる複数の変動パターン決定テーブルが記憶されている。変動パターン決定テーブルには、変動パターンのそれぞれに、変動パターン決定用の乱数値MR5と比較される数値(決定値)が割り当てられている。即ち、ROM101には、複数種類の変動パターンのうち、少なくとも1つの変動パターンに割り当てられている上記決定値(例えば、決定値の範囲や個数等)が互いに異なる複数の変動パターン決定テーブルが記憶されている。なお、複数の変動パターン決定テーブルに代えて、それぞれの変動パターン決定テーブルの情報を含む1つの大きな変動パターン決定テーブルをROM101に記憶してもよい。
【0128】
遊技制御用マイクロコンピュータ100が備えるRAM102は、その一部又は全部が例えば電源基板16の電源部1600において作成されるバックアップ電源によってバックアップされているバックアップRAMであればよい。すなわち、パチンコ遊技機1に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM102の一部又は全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータは、バックアップRAMに保存されるようにすればよい。遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータにもとづいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータ(例えば、特図プロセスフラグ等)である。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを遊技の進行状態を示すデータと定義する。
【0129】
このようなRAM102には、パチンコ遊技機1における遊技の進行等を制御するために用いられる各種のデータを保持する領域として、例えば、図9に示すような遊技制御用データ保持エリア150が設けられている。図9に示す遊技制御用データ保持エリア150は、第1特図保留記憶部151Aと、第2特図保留記憶部151Bと、普図保留記憶部151Cと、遊技制御フラグ設定部152と、遊技制御タイマ設定部153と、遊技制御カウンタ設定部154と、遊技制御バッファ設定部155とを備えている。
【0130】
第1特図保留記憶部151Aは、普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口を遊技球が通過して第1始動入賞が発生したものの未だ開始されていない特図ゲーム(第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図ゲーム)の保留データ(第1特図保留情報)を記憶する。例えば、第1特図保留記憶部151Aは、第1始動入賞口への入賞順に保留番号と関連付けて、その遊技球の通過に基づいてCPU103により乱数回路104等から抽出された乱数値MR1〜MR3を示す数値データ等を保留データ(第1特図保留情報)として、その記憶数が所定の上限値(例えば、「4」)に達するまで記憶する。
【0131】
第2特図保留記憶部151Bは、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口を遊技球が通過して第2始動入賞が発生したものの未だ開始されていない特図ゲーム(第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図ゲーム)の保留データ(第2特図保留情報)を記憶する。例えば、第2特図保留記憶部151Bは、第2始動入賞口への入賞順(遊技球の検出順)に保留番号と関連付けて、その遊技球の通過に基づいてCPU103により乱数回路104等から抽出された乱数値MR1〜MR3を示す数値データ等を保留データ(第2特図保留情報)として、その記憶数が所定の上限値(例えば、「4」)に達するまで記憶する。
【0132】
なお、第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図ゲームの保留データ(第1始動条件の成立に基づく第1特図保留情報)と、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図ゲームの保留データ(第2始動入賞の成立に基づく第2特図保留情報)とを、共通の保留記憶部にて保留番号と対応付けて記憶するようにしてもよい。
【0133】
普図保留記憶部151Cは、通過ゲート41を通過した遊技球がゲートスイッチ21によって検出されたにもかかわらず、未だ普通図柄表示器20により開始されていない普図ゲームに関する保留データ(普図保留情報)を記憶する。例えば、普図保留記憶部151Cは、遊技球が通過ゲート41を通過した順に保留番号と対応付けて、その遊技球の通過に基づいてCPU103により乱数回路104等から抽出された普図表示結果決定用の乱数値MR4を示す数値データ等を保留データ(普図保留情報)として、その記憶数が所定の上限値(例えば、「4」)に達するまで記憶する。
【0134】
遊技制御フラグ設定部152には、パチンコ遊技機1における遊技の進行状況等に応じて状態を更新可能な複数種類のフラグが設けられている。例えば、遊技制御フラグ設定部152には、複数種類のフラグそれぞれについて、フラグの値を示すデータや、オン状態又はオフ状態を示すデータが記憶される。
【0135】
遊技制御タイマ設定部153には、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するために用いられる各種のタイマが設けられている。例えば、遊技制御タイマ設定部153には、複数種類のタイマそれぞれにおけるタイマ値を示すデータが記憶される。
【0136】
遊技制御カウンタ設定部154には、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するために用いられるカウント値を計数するためのカウンタが複数種類設けられている。例えば、遊技制御カウンタ設定部154には、第1特図保留記憶数を計数するための第1保留記憶数カウンタの格納値である第1保留記憶数カウント値、第2特図保留記憶数を計数するための第2保留記憶数カウンタの格納値である第2保留記憶数カウント値、合計保留記憶数を計数するための合計保留記憶数カウンタの格納値である合計保留記憶数カウント値等が記憶される。
【0137】
遊技制御バッファ設定部155には、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するために用いられるデータを一時的に記憶する各種のバッファが設けられている。例えば、遊技制御バッファ設定部155には、複数種類のバッファそれぞれにおけるバッファ値を示すデータが記憶される。
【0138】
遊技制御用マイクロコンピュータ100が備えるI/O105は、遊技制御用マイクロコンピュータ100に伝送された各種信号を取り込むための入力ポートと、遊技制御用マイクロコンピュータ100の外部へと各種信号を伝送するための出力ポートとを含んで構成されている。
【0139】
演出制御基板12に搭載されたRAM122には、演出動作を制御するために用いられる各種データを保持する領域として、例えば、図10(A)に示すような演出制御用データ保持エリア190が設けられている。図10(A)に示す演出制御用データ保持エリア190は、演出制御フラグ設定部191と、演出制御タイマ設定部192と、演出制御カウンタ設定部193と、演出制御バッファ設定部194とを備えている。
【0140】
演出制御フラグ設定部191には、例えば、表示装置5の画面上における演出画像の表示状態等といった演出動作状態や主基板11から伝送された演出制御コマンド等に応じて状態を更新可能な複数種類のフラグが設けられている。例えば、演出制御フラグ設定部191には、複数種類のフラグそれぞれについて、フラグの値を示すデータや、オン状態又はオフ状態を示すデータが記憶される。
【0141】
演出制御タイマ設定部192には、例えば、表示装置5の画面上における演出画像の表示動作等といった各種演出動作の進行を制御するために用いられる複数種類のタイマが設けられている。例えば、演出制御タイマ設定部192には、複数種類のタイマそれぞれにおけるタイマ値を示すデータが記憶される。
【0142】
演出制御カウンタ設定部193には、各種演出動作の進行を制御するために用いられる複数種類のカウンタが設けられている。例えば、演出制御カウンタ設定部193には、複数種類のカウンタそれぞれにおけるカウント値を示すデータが記憶される。
【0143】
演出制御バッファ設定部194には、各種演出動作の進行を制御するために用いられるデータを一時的に記憶する各種のバッファが設けられている。例えば、演出制御バッファ設定部194には、複数種類のバッファそれぞれにおけるバッファ値を示すデータが記憶される。
【0144】
本実施形態では、図10(B)に示すような始動入賞時受信コマンドバッファ194Aを構成するデータが、演出制御バッファ設定部194の所定領域に記憶される。始動入賞時受信コマンドバッファ194Aには、合計保留記憶数の最大値(例えば、「8」)に対応した格納領域(バッファ番号「1」〜「8」に対応した領域)が設けられている。第1始動入賞口や第2始動入賞口への始動入賞があったときには、始動口入賞指定コマンド(第1始動口入賞指定コマンド又は第2始動口入賞指定コマンド)、図柄指定コマンド、変動カテゴリコマンド、保留記憶数通知コマンド(第1保留記憶数通知コマンド又は第2保留記憶数通知コマンド)という4つのコマンドを1セットして、主基板11から演出制御基板12へと送信される。始動入賞時受信コマンドバッファ194Aには、これらの始動口入賞指定コマンド、図柄指定コマンド、変動カテゴリコマンド、保留記憶数通知コマンドを対応付けて格納できるように記憶領域が確保されている。
【0145】
演出制御用CPU120は、始動入賞時に受信した順番でコマンドを始動入賞時受信コマンドバッファ194Aの空き領域における先頭から格納していく。始動入賞時には、始動口入賞指定コマンド、図柄指定コマンド、変動カテゴリコマンド、保留記憶数通知コマンドの順にコマンド送信が行われる。従って、コマンド受信が正常に行われれば、図10(B)に示すように、バッファ番号「1」〜「8」のそれぞれに対応する格納領域に、始動口入賞指定コマンド、図柄指定コマンド、変動カテゴリコマンド、保留記憶数通知コマンドの順に格納されていくことになる。なお、図10(B)では、バッファ番号「1」〜「5」に対応する格納領域にてコマンドが格納されている。
【0146】
図10(B)に示す始動入賞時受信コマンドバッファ194Aに格納されているコマンドは、飾り図柄の可変表示が開始されるごとに1つずつ削除され、バッファ番号(コマンド同士の入賞順)を維持しつつ、以降のコマンドがシフトされる。具体的には、第1特図ゲームに連動して飾り図柄の可変表示が開始されるときには、第1始動口入賞指定コマンドに対応付けられているコマンドのうち、最も小さいバッファ番号に対応した領域に格納されたコマンド(1セット)が1つ削除され、削除されたコマンドのバッファ番号よりも大きいバッファ番号に対応した領域に格納されているコマンド(第1始動口入賞指定コマンドに対応付けられているコマンド、第2始動口入賞指定コマンドに対応付けられているコマンド)が、入賞順(バッファ番号の大小関係)を維持しつつシフトされ、第2特図ゲームに連動して飾り図柄の可変表示が開始されるときには、第2始動口入賞指定コマンドに対応付けられているコマンドのうち、最も小さいバッファ番号に対応した領域に格納されたコマンド(1セット)が1つ削除され、削除されたコマンドのバッファ番号よりも大きいバッファ番号に対応した領域に格納されているコマンド(第1始動口入賞指定コマンドに対応付けられているコマンド、第2始動口入賞指定コマンドに対応付けられているコマンド)が、入賞順(バッファ番号の大小関係)を維持しつつシフトされる。例えば、図10(B)に示す格納状態において第1特図ゲームに連動して飾り図柄の可変表示が開始されるときには、バッファ番号「1」に対応した領域に格納されているコマンドが削除され、バッファ番号「2」に対応した領域に格納されているコマンドがバッファ番号「1」にシフトされ、バッファ番号「3」〜「5」に対応した各領域に格納されている各コマンドが、バッファ番号「2」〜「4」にシフトされる。また、図10(B)に示す格納状態において第2特図ゲームに連動して飾り図柄の可変表示が開始されるときには、バッファ番号「2」に対応した領域に格納されているコマンドが削除され、バッファ番号「3」に対応した領域に格納されているコマンドがバッファ番号「2」にシフトされ、バッファ番号「4」〜「5」に対応した各領域に格納されている各コマンドが、バッファ番号「3」〜「4」にシフトされる。
【0147】
なお、図10(B)に示す始動入賞時受信コマンドバッファ194Aのうち、バッファ番号「2」に対応した領域については、コマンド受信を正常に行えず、保留記憶数通知コマンドを取りこぼした場合の例が示されている。そのため、図10(B)に示す例では、バッファ番号「2」に対応して、本来、保留記憶数通知コマンドが格納されるべき4つ目の記憶領域における内容が「0000(H)」のままとなっている。
【0148】
また、本実施形態では、図10(C)に示すような先読予告バッファ194Bを構成するデータが、演出制御バッファ設定部194の所定領域に記憶される。先読予告バッファ194Bには、始動入賞時受信コマンドバッファ194Aを構成する各データに対応した格納領域(バッファ番号「1」〜「8」に対応した領域)が設けられている。即ち、先読予告バッファ194Bには、演出制御用CPU120等によって決定された各保留情報に関する先読予告演出に関する決定内容等が、バッファ番号「1」〜「8」に対応付けて記憶される。飾り図柄の可変表示の開始等により、図10(B)の始動入賞時受信コマンドバッファ194Aにおいて、あるバッファ番号に対応付けられている保留データ(1セットのコマンド)が削除されるときには、先読予告バッファ194Bにおいて、バッファ番号に対応付けられている内容も削除される。また、飾り図柄の可変表示の開始等により、図10(B)の始動入賞時受信コマンドバッファ194Aにおいて、あるバッファ番号に対応付けられている保留データ(1セットのコマンド)が他のバッファ番号にシフトされるときには、先読予告バッファ194Bにおいて、バッファ番号に対応付けられている内容も他のバッファ番号にシフトされる。
【0149】
B.電源電圧の生成に関する構成の説明
第1実施形態に係るパチンコ遊技機1は、遊技盤の種類に応じて電源電圧を適応的に生成するための構成を備えている。具体的には、パチンコ遊技機1は、電源電圧を適応的に生成するための構成要素として、図3に示す電源基板16、設定基板17、コネクタ部18を備えている。第1実施形態では、電源基板16は遊技枠3に設けられ、設定基板17は遊技盤2に設けられている。電源基板16には、パチンコ遊技機1に備えられた各種の電気部品の電源電圧を発生させる電源部1600が備えられている。電源部1600には、後述する複数の可変電源回路が備えられている。コネクタ部18は二つのパートから構成され、このうち、一方のパートが遊技盤2に備えられ、他方のパートが遊技機用枠3に備えられている。設定基板17には、電源基板16の電源部1600により発生される電源電圧の値を設定するための設定部1700が備えられている。設定部1700は、遊技盤2が遊技機用枠3に取り付けられた場合、コネクタ部18を介して電源基板16の電源部1600と電気的に接続される。設定基板17の設定部1700がコネクタ部18を介して電源基板16の電源部1600と電気的に接続されると、設定部1700により電源部1600により生成される電源電圧が遊技盤2の電源仕様に応じた電圧に設定される。
なお、図3に示す例では、設定部1700が設けられた設定基板17は、遊技盤2の電気部品が設けられた他の基板(例えば、主基板11等)から独立したものとなっているが、他の基板と共用されてもよい。即ち、設定部1700は他の基板に設けられてもよい。
【0150】
図11に、第1実施形態に係るパチンコ遊技機1の電源基板16に備えられた電源部1600の概略構成を示す。電源部1600は、概略的には、主要な構成要素として、整流部1609と、出力電圧が可変な複数の可変電源回路1610〜1610を備えて構成される。この例では、電源部1600は七つの可変電源回路1610〜1610を備えているが、電源部1600に備えられる可変電源回路の数は任意である。整流部1609は、外部から供給される交流電源ACの交流電力を全波整流する二つの全波整流回路1609,1609から構成されている。このうち、全波整流回路1609の出力部には、可変電源回路1610〜1610の入力部が接続され、全波整流回路1609の出力部には、可変電源回路1610〜1610の入力部が接続されている。第1実施形態では、複数の可変電源回路1610〜1610の各構成は同一である。ただし、複数の可変電源回路1610〜1610のそれぞれは、設定部1700により、可変電源回路1610〜1610の各出力電圧の値が個別に設定されるように構成されている。以下では、可変電源回路1610〜1610のうちの任意の一つを表す場合は符号「1610」を用いる。
【0151】
図11の例では、可変電源回路1610は、設定部1700により32Vの出力電圧を発生させるように設定され、可変電源回路1610は、設定部1700により5Vの出力電圧を発生させるように設定され、可変電源回路1610は、設定部1700により12Vの出力電圧を発生させるように設定されている。これら可変電源回路1610〜1610は、例えば、演出制御基板12、音声基板13、ランプ基板14等、主として演出制御に関与する基板に供給される電源を発生させる。また、図11の例では、可変電源回路1610は、設定部1700により32Vの出力電圧を発生させるように設定され、可変電源回路1610は、設定部1700により5Vの出力電圧を発生させるように設定され、可変電源回路1610,1610は、それぞれ、設定部1700により12Vの出力電圧を発生させるように設定されている。これら可変電源回路1610〜1610は、例えば、主基板11等、遊技制御に関与する基板に供給される電源を発生させる。
【0152】
図12に、第1実施形態に係るパチンコ遊技機1の電源基板16に備えられた電源部1600の詳細構成示す。図12に示すように、電源部1600は、入力端子1601,1601、電源スイッチ1602、ヒューズ1603、サージアブソーバ1604、コンデンサ1605、サーミスタ1606、コモンモードチョークコイル1607、コンデンサ1608、整流部1609、出力電圧が可変な複数の可変電源回路1610〜1610、出力端子1611〜1611を備えている。
【0153】
ここで、入力端子1601と入力端子1601との間には、図11に示す交流電源ACが接続される。電源スイッチ1602は、スイッチS1とスイッチS2から構成され、スイッチS1の一端には入力端子1601が接続され、スイッチS2の一端には入力端子1601が接続されている。スイッチS1の他端は、コモンモードチョークコイル1607のコイルL2の一端に接続され、スイッチS2の他端はヒューズ1603の一端に接続されている。ヒューズの他端はサーミスタ1606を介してコモンモードチョークコイル1607のコイルL1の一端に接続されている。スイッチS1の他端とヒューズ1603の他端との間には、サージアブソーバ1604とコンデンサ1605とが並列接続されている。コモンモードチョークコイル1607のコイルL1の他端とコイルL2の他端との間にはコンデンサ1608が接続されている。
【0154】
整流部1609は、ダイオードDa,Db,Dc,Dd,De,Dfから構成される。このうち、ダイオードDa,Db,Dc,Ddは、全波整流回路1609を構成している。また、ダイオードDe,Dfは、全波整流回路1609のダイオードDa,Dbと共に全波整流回路1609を構成している。即ち、この例では、全波整流回路1609と全波整流回路1609はダイオードDa,Dbを共有している。ここで、ダイオードDaのカソードとダイオードDcのアノードは、ダイオードDfのアノードと共に、コモンモードチョークコイル1607のコイルL2の他端に接続されている。また、ダイオードDbのカソードとダイオードDdのアノードは、ダイオードDeのアノードと共に、コモンモードチョークコイル1607のコイルL1の他端に接続されている。ダイオードDaのアノードとダイオードDbのアノードは相互に接続され、整流部1609の低電圧ノードNLを形成している。ダイオードDcのカソードとダイオードDdのカソードは相互に接続され、整流部1609の第1高電圧ノードNH1を形成している。ダイオードDeのカソードとダイオードDfのカソードは相互に接続され、整流部1609の第2高電圧ノードNH2を形成している。第1高電圧ノードNH1は、可変電源回路1610〜1610の各高電圧入力ノードN1(図13)に接続され、第2高電圧ノードNH2は、可変電源回路1610〜1610の各高電圧入力ノードN1(図13)に接続されている。低電圧ノードNLは、可変電源回路1610〜1610の各低電圧入力ノードN2(図13)に接続される。可変電源回路1610〜1610の出力ノードは、それぞれ、出力端子1611〜1611に接続されている。以下では、出力端子1611〜1611のうちの任意の一つを指す場合は符号「1611」を用いる。なお、本実施形態では、複数の可変電源回路1610〜1610を備えるものとしているが、単一の可変電源回路を備えるものとしてもよく、その個数は任意である。後述する他の実施形態においても同様である。
【0155】
図13に、第1実施形態に係るパチンコ遊技機1の電源基板16に備えられた電源部1600の可変電源回路1610(1610〜1610)、および設定基板17に備えられた設定部1700、並びにコネクタ部18の各構成例を示す。図13に示すように、可変電源回路1610は、高電圧入力ノードN1、低電圧入力ノードN2、コンデンサC1,C2、スイッチングレギュレータSR、チョークコイルL、ダイオードD1,D2、抵抗R1,R2、出力ノードN3を備えている。高電圧入力ノードN1は、スイッチングレギュレータSRの入力部に接続され、低電圧入力ノードN2は、コネクタ部18の後述の接点P3に接続されている。可変電源回路1610が図12に示す可変電源回路1610〜1610の何れかであれば、高電圧入力ノードN1には、図12に示す整流部1609を構成する全波整流回路1609の出力部が接続される。また、可変電源回路1610が図12に示す可変電源回路1610〜1610の何れかであれば、高電圧入力ノードN1には、図12に示す整流部1609を構成する全波整流回路1609の出力部が接続される。また、低定電圧入力ノードN2には、図12に示す整流部1609の低電圧ノードNLが接続される。高電圧入力ノードN1と低電圧入力ノードN2との間には、整流部1609から印加される電圧を平滑化するためのコンデンサC1が接続されている。
【0156】
スイッチングレギュレータSRは、所定の動作周波数(発振周波数)で例えばPWM(Pulse Width Modulation)方式によるスイッチング動作を実施し、フィードバック制御により入力電圧を所望の電圧に降圧するものであり、フィードバック制御用の制御端子TCを備えている。また、スイッチングレギュレータSRは、制御端子TCに印加されるフィードバック信号を検出するための演算増幅器を内蔵しており、その演算増幅器で用いられる基準電圧Vref(図示省略)が印加されるバイアス端子TBを備えている。このスイッチングレギュレータSRによれば、制御端子TCに印加されるフィードバック信号の信号レベルまたはバイアス端子TBに印加される基準電圧Vrefの値の何れかを調整することによりスイッチングレギュレータSRの出力電圧の値を変更することができる。第1実施形態では、バイアス端子TBに印加される基準電圧Vrefを既定値(一定値)とし、制御端子TCに印加されるフィードバック信号の信号レベルを調整することによりスイッチングレギュレータSRの出力電圧の値を変更するが、その詳細については後述する。このような制御端子TCおよびバイアス端子TBを有するスイッチングレギュレータSRとして公知のスイッチングレギュレータを用いることができる。
【0157】
スイッチングレギュレータSRの出力部にはチョークコイルLの一端が接続されている。チョークコイルLの他端は、可変電源回路1610の出力部を形成する出力ノードN3に接続され、この出力ノードN3を介して電源部1600の出力端子1611に接続されている。また、スイッチングレギュレータSRの出力部には、ダイオードD1のカソードが接続され、このダイオードD1のアノードは低電圧入力ノードN2に接続されている。ダイオードD1は、スイッチングレギュレータSRのスイッチング動作の過程でスイッチングレギュレータSRの出力電流が遮断された場合にチョークコイルLの電流経路を形成するための還流用ダイオードである。また、スイッチングレギュレータSRの出力部には、ダイオードD2のアノードが接続され、ダイオードD2のカソードは高電圧入力ノードN1に接続されている。ダイオードD2は、スイッチングレギュレータSRのスイッチング動作の過程でチョークコイルLの一端に発生する過電圧を高電圧入力ノードN1に放出するためのものである。
【0158】
出力ノードN3には、抵抗R1の一端が接続され、この抵抗R1の他端は抵抗R2の一端に接続され、抵抗R2の他端はコネクタ部18の後述の接点P1に接続されている。抵抗R1と抵抗R2との間の接続点には、スイッチングレギュレータSRの制御端子TCが接続されている。抵抗R1,R2と後述の設定部1700の抵抗R17とにより、可変電源回路1610の出力電圧VoutをスイッチングレギュレータSRのスイッチング動作にフィードバックさせるためのフィードバック回路が構成される。このフィードバック回路により、スイッチングレギュレータSRの制御端子TCに印加されるフィードバック信号が生成される。出力ノードN3と低電圧入力ノードN2との間には、コンデンサC2が接続されている。コンデンサC3は、チョークコイルLと共に、スイッチングレギュレータSRの出力電圧を平滑化するための平滑回路を形成する。
【0159】
コネクタ部18は、接点P1,P2,P3,P4を備えており、遊技盤2が遊技枠3に取り付けられたときに、接点P1が接点P2と電気的に接続され、接点P3が接点P4と接続されるように構成されている。その詳細については後述する。
設定部1700は、上述の可変電源回路1610の出力電圧Vout、即ち電源部1600によって発生される電源電圧の所望値に対応した抵抗値を有する抵抗R17を備えている。前述したように、設定部1700が設けられた設定基板17は遊技盤2に備えられている。抵抗R17は、コネクタ部18の接点P2と接点P4との間に接続され、このコネクタ部18を介して、可変電源回路1610の抵抗R2の他端と低電圧入力ノードN2との間に接続される。
なお、抵抗R17の抵抗値をゼロとすれば、抵抗R17は配線(導体)と等価になる。即ち、第1実施形態では、抵抗R17の概念には配線も含まれる。
【0160】
図14に、第1実施形態によるパチンコ遊技機1に備えられた電源部1600の複数の可変電源回路1610(1610,1610,…)と設定部1700とコネクタ部18との対応関係を示す図である。設定部1700には、図13に示す抵抗R17として、図12に示す複数の可変電源回路1610〜1610に対応させて、これら複数の可変電源回路の各出力電圧Voutを設定するための複数の抵抗R171,R172,…が備えられている。また、コネクタ部18には、図13に示す接点P1,P2,P3,P4として、複数の可変電源回路1610〜1610に対応させて、接点P11,P21,P31,P41、接点P12,P22,P32,P42,…が備えられている。図14の例では、例えば可変電源回路1610に対応させて接点P11,P21,P31,P41が備えられ、接点P21と接点P41との間に抵抗R171が接続されている。また、例えば可変電源回路1610に対応させて接点P12,P22,P32,P42が備えられ、接点P22と接点P42との間に抵抗R172が接続されている。このように、設定部1700には、複数の可変電源回路1610〜1610に対応した複数の抵抗R171,R172,…が備えられており、これら複数の抵抗の各抵抗値を選択することにより、複数の可変電源回路1610〜1610の各出力電圧Voutを設定することが可能となっている。
【0161】
図15に、第1実施形態に係るパチンコ遊技機1に備えられたコネクタ部18の構成例を模式的に示す。図15に示すように、コネクタ部18は、遊技盤2側に備えられる接点ユニット1810と、遊技機用枠3側に備えられる接点ユニット1820との二つのパートから構成されている。このうち、接点ユニット1810は、ピン状に突出した形状を有する接点P1,P3と、これら接点P1,P3を支持する基台1811とから構成される。また、接点ユニット1820は、上記接点P1,P3と嵌合する凹部がそれぞれ形成された接点P2,P4と、これら接点P2,P4を支持する基台1821とから構成される。遊技盤2が遊技機用枠3に取り付けられると、接点P1が接点P2と嵌合して電気的に接続され、接点P3が接点P4と嵌合して電気的に接続される。これにより、接点P2と接点P4との間に接続された設定部1700の抵抗R17が、接点P1に接続された抵抗R2(図13)の他端と低接点P3に接続された低電圧入力ノードN2(図13)との間にコネクタ部18を介して電気的に接続される。
【0162】
また、本実施形態では、コネクタ部18に備えられた接点P1,P2,P3,P4の形状は、遊技盤2の機種に固有となっており、遊技盤2の機種が異なると、接点P1,P2,P3,P4の各形状も異なる。即ち、電源部1600が設けられた電源基板16と設定部1700が設けられた設定基板17とが、遊技盤2の機種に対応した形状を有するコネクタ部18を介して接続されるようになっている。もし、コネクタ部18を構成する接点ユニット1810に対応した機種と接点ユニット1820に対応した機種とが異なれば、接点ユニット1810の接点P1,P3と接点ユニット1820の接点P2,P4とが嵌合せず、これら接点が接続されなくなる。これにより、設定部1700による可変電源回路1610の出力電圧Voutの誤設定を防止している。
【0163】
(2)動作の説明
次に、パチンコ遊技機1の動作(作用)を説明する。
A.遊技に関する基本動作の説明
主基板11では、電源基板16の電源部1600からの電力供給が開始されると、遊技制御用マイクロコンピュータ100が起動し、CPU103によって遊技制御メイン処理となる所定の処理が実行される。遊技制御メイン処理を開始すると、CPU103は、割込み禁止に設定した後、必要な初期設定を行う。この初期設定では、例えば、RAM102がクリアされる。また、遊技制御用マイクロコンピュータ100に内蔵されたCTC(カウンタ/タイマ回路)のレジスタ設定を行う。これにより、以後、所定時間(例えば、2ミリ秒)ごとにCTCから割込み要求信号がCPU103へ送出され、CPU103は定期的にタイマ割込み処理を実行することができる。初期設定が終了すると、割込みを許可した後、ループ処理に入る。なお、遊技制御メイン処理では、パチンコ遊技機1の内部状態を前回の電力供給停止時における状態に復帰させるための処理を実行してから、ループ処理に入るようにしてもよい。
【0164】
こうした遊技制御メイン処理を実行したCPU103は、CTCからの割込み要求信号を受信して割込み要求を受け付けると、図16のフローチャートに示す遊技制御用タイマ割込み処理を実行する。図16に示す遊技制御用タイマ割込み処理を開始すると、CPU103は、まず、所定のスイッチ処理を実行することにより、スイッチ回路110を介してゲートスイッチ21、第1始動口スイッチ22A、第2始動口スイッチ22B、カウントスイッチ23といった各種スイッチから入力される検出信号の状態を判定する(ステップS11)。続いて、所定のメイン側エラー処理を実行することにより、パチンコ遊技機1の異常診断を行い、その診断結果に応じて必要ならば警告を発生可能とする(ステップS12)。この後、所定の情報出力処理を実行することにより、例えば、パチンコ遊技機1の外部に設置されたホール管理用コンピュータに供給される大当り情報、始動情報、確率変動情報等のデータを出力する(ステップS13)。
【0165】
情報出力処理に続いて、主基板11の側で用いられる乱数値MR1〜MR5といった遊技用乱数の少なくとも一部をソフトウェアにより更新するための遊技用乱数更新処理を実行する(ステップS14)。この後、CPU103は、特別図柄プロセス処理を実行する(ステップS15)。特別図柄プロセス処理では、遊技制御フラグ設定部152に設けられた特図プロセスフラグの値をパチンコ遊技機1における遊技の進行状況に応じて更新し、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bにおける表示動作の制御や、特別可変入賞球装置7における大入賞口の開閉動作設定等を、所定の手順で行うために、各種の処理が選択されて実行される。
【0166】
特別図柄プロセス処理に続いて、普通図柄プロセス処理が実行される(ステップS16)。CPU103は、普通図柄プロセス処理を実行することにより、普通図柄表示器20における表示動作(例えば、セグメントLEDの点灯、消灯等)を制御して、普通図柄の可変表示や普通可変入賞球装置6Bにおける可動翼片の傾動動作設定等を可能にする。
【0167】
普通図柄プロセス処理を実行した後、CPU103は、コマンド制御処理を実行することにより、主基板11から演出制御基板12等のサブ側の制御基板に対して制御コマンドを伝送させる(ステップS17)。例えば、コマンド制御処理では、遊技制御バッファ設定部155に設けられた送信コマンドバッファの値によって指定されたコマンド送信テーブルにおける設定に対応して、I/O105に含まれる出力ポートのうち、演出制御基板12に対して演出制御コマンドを送信するための出力ポートに制御データをセットした後、演出制御INT信号の出力ポートに所定の制御データをセットして演出制御INT信号を所定時間にわたりオン状態としてからオフ状態とすること等により、コマンド送信テーブルでの設定に基づく演出制御コマンドの伝送を可能にする。コマンド制御処理を実行した後には、割込み許可状態に設定してから、遊技制御用タイマ割込み処理を終了する。
【0168】
図17は、特別図柄プロセス処理として、図16に示すステップS15にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。この特別図柄プロセス処理において、CPU103は、まず、始動入賞判定処理を実行する(ステップS101)。ステップS101の始動入賞判定処理は、可変表示結果が「大当り」に決定されるか否かを判定する処理や、変動カテゴリを判定する処理等を含んでいる。
【0169】
図17のステップS101にて始動入賞判定処理を実行した後、CPU103は、遊技制御フラグ設定部152に設けられた特図プロセスフラグの値に応じて、ステップS110〜S120の処理のいずれかを選択して実行する。
【0170】
ステップS110の特別図柄通常処理は、特図プロセスフラグの値が“0”のときに実行される。この特別図柄通常処理では、特別図柄や飾り図柄の可変表示結果を「大当り」又は「小当り」とするか否かを、その可変表示結果が導出表示される以前に決定(事前決定)等が行われる。特別図柄通常処理では、特別図柄や飾り図柄の可変表示結果を事前決定したときに、特図プロセスフラグの値が“1”に更新される。
【0171】
ステップS111の変動パターン設定処理は、特図プロセスフラグの値が“1”のときに実行される。この変動パターン設定処理には、変動パターンを図6に示す複数種類のいずれかに決定する処理や、第1変動開始コマンド(又は第2変動開始コマンド)、変動パターン指定コマンド、可変表示結果通知コマンド等を送信するための送信設定処理等が含まれている。変動パターン設定処理が実行されて特別図柄の可変表示が開始されたときには、特図プロセスフラグの値が“2”に更新される。
【0172】
ステップS112の特別図柄変動処理は、特図プロセスフラグの値が“2”のときに実行される。この特別図柄変動処理には、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bにおいて特別図柄を変動させるための設定を行う処理や、その特別図柄が変動を開始してからの経過時間を計測する処理等が含まれている。例えば、ステップS112の特別図柄変動処理が実行されるごとに、遊技制御タイマ設定部153に設けられた特図変動タイマにおける格納値である特図変動タイマ値を1減算又は1加算して、第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図ゲーム(第1特図を用いた特図ゲーム)であるか、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図ゲーム(第2特図を用いた特図ゲーム)であるかにかかわらず、共通のタイマによって経過時間の測定が行われる。また、計測された経過時間が変動パターンに対応する特図変動時間に達したか否かの判定も行われる。このように、ステップS112の特別図柄変動処理は、第1特図ゲームや第2特図ゲームにおける特別図柄の変動を、共通の処理ルーチンによって制御する処理となっていればよい。そして、特別図柄の変動を開始してからの経過時間が特図変動時間に達したときには、特図プロセスフラグの値が“3”に更新される。
【0173】
ステップS113の特別図柄停止処理は、特図プロセスフラグの値が“3”のときに実行される。この特別図柄停止処理には、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bにて特別図柄の変動を停止させ、特別図柄の可変表示結果となる確定特別図柄を停止表示(導出)させるための設定を行う処理が含まれている。そして、遊技制御フラグ設定部152に設けられた大当りフラグがオンとなっているか否かの判定等が行われ、大当りフラグがオンである場合には特図プロセスフラグの値が“4”に更新される。一方、大当りフラグがオフであり、小当りフラグがオンである場合には、特図プロセスフラグの値が“8”に更新される。また、大当りフラグと小当りフラグが共にオフである場合には、特図プロセスフラグの値が“0”に更新される。
【0174】
ステップS114の大当り開放前処理は、特図プロセスフラグの値が“4”のときに実行される。この大当り開放前処理には、可変表示結果が「大当り」となったこと等に基づき、大当り遊技状態においてラウンドの実行を開始して大入賞口を開放状態とするための設定を行う処理等が含まれている。このときには、例えば、大当り種別が「非確変」、「確変」、「突確」のいずれであるかに対応して、大入賞口を開放状態とする期間の上限を設定するようにしてもよい。例えば、大当り種別が「非確変」又は「確変」に対応して、大入賞口を開放状態とする期間の上限を「29秒」に設定すると共に、ラウンドを実行する上限回数となる大入賞口の開放回数を「15回」に設定することにより、通常開放大当り状態とする設定が行われればよい。一方、大当り種別が「突確」に対応して、大入賞口を開放状態とする期間の上限を「0.1秒」に設定すると共に、ラウンドを実行する上限回数となる大入賞口の開放回数を「15回」に設定することにより、短期開放大当り状態とする設定が行われればよい。このときには、特図プロセスフラグの値が“5”に更新される。
【0175】
ステップS115の大当り開放中処理は、特図プロセスフラグの値が“5”のときに実行される。この大当り開放中処理には、大入賞口を開放状態としてからの経過時間を計測する処理や、その計測した経過時間やカウントスイッチ23によって検出された遊技球の個数等に基づいて、大入賞口を開放状態から閉鎖状態に戻すタイミングとなったか否かを判定する処理等が含まれている。そして、大入賞口を閉鎖状態に戻すときには、大入賞口扉用のソレノイド82に対するソレノイド駆動信号の供給を停止させる処理等を実行した後、特図プロセスフラグの値が“6”に更新される。
【0176】
ステップS116の大当り開放後処理は、特図プロセスフラグの値が“6”のときに実行される。この大当り開放後処理には、大入賞口を開放状態とするラウンドの実行回数が大入賞口開放回数最大値に達したか否かを判定する処理や、大入賞口開放回数最大値に達した場合に大当り終了指定コマンドを送信するための設定を行う処理等が含まれている。そして、ラウンドの実行回数が大入賞口開放回数最大値に達していないときには、特図プロセスフラグの値が“5”に更新される一方、大入賞口開放回数最大値に達したときには、特図プロセスフラグの値が“7”に更新される。
【0177】
ステップS117の大当り終了処理は、特図プロセスフラグの値が“7”のときに実行される。この大当り終了処理には、表示装置5やスピーカ8、ランプ9等といった演出装置により、大当り遊技状態の終了を報知する演出動作としてのエンディング演出が実行される期間に対応した待ち時間が経過するまで待機する処理や、大当り遊技状態の終了に対応して確変制御や時短制御を開始するための各種の設定を行う処理等が含まれている。こうした設定が行われたときには、特図プロセスフラグの値が“0”に更新される。
【0178】
ステップS118の小当り開放前処理は、特図プロセスフラグの値が“8”のときに実行される。この小当り開放前処理には、可変表示結果が「小当り」となったことに基づき、小当り遊技状態において大入賞口を開放状態とするための設定を行う処理等が含まれている。例えば、可変表示結果が「小当り」となったときには、可変表示結果が「大当り」で大当り種別が「突確」となったときと同様に、大入賞口を開放状態とする期間の上限を「0.1秒」に設定すると共に、大入賞口の開放回数を「15回」に設定することにより、小当り遊技状態とする設定が行われればよい。このときには、特図プロセスフラグの値が“9”に更新される。
【0179】
ステップS119の小当り開放中処理は、特図プロセスフラグの値が“9”のときに実行される。この小当り開放中処理には、大入賞口を開放状態としてからの経過時間を計測する処理や、その計測した経過時間等に基づいて、大入賞口を開放状態から閉鎖状態に戻すタイミングとなったか否かを判定する処理等が含まれている。大入賞口を閉鎖状態に戻すときには、大入賞口扉用のソレノイド82に対する駆動信号の供給を停止させる処理等が実行されればよい。このときには、特図プロセスフラグの値が“10”に更新される。
【0180】
ステップS120の小当り終了処理は、特図プロセスフラグの値が“10”のときに実行される。この小当り終了処理には、表示装置5やスピーカ8、ランプ9等といった演出装置により、小当り遊技状態の終了を報知する演出動作が実行される期間に対応した待ち時間が経過するまで待機する処理等が含まれている。ここで、小当り遊技状態が終了するときには、確変フラグや時短フラグの状態を変更しないようにして、小当り遊技状態となる以前のパチンコ遊技機1における遊技状態を継続させる。小当り遊技状態の終了時における待ち時間が経過したときには、特図プロセスフラグの値が“0”に更新される。
【0181】
以上のように、主基板11では、ステップS110の特別図柄通常処理において、特図表示結果決定用の乱数値MR1や大当り種別決定用の乱数値MR2等を用いて特別図柄の可変表示結果となる確定特別図柄が決定され、ステップS111の変動パターン設定処理において、変動カテゴリ決定用の乱数値MR3や変動パターン決定用の乱数値MR5等を用いて飾り図柄の変動パターンが決定される。更に、ステップS111の変動パターン設定処理では、上述の如く決定された確定特別図柄を指定する可変表示結果通知コマンドや上述の如く決定された飾り図柄の変動パターンを指定する変動パターン指定コマンド等を、演出制御基板12に対して送信するための送信設定が行われる。これらの処理が実行されてから、図16に示すステップS17のコマンド制御処理を実行することにより、可変表示を開始するときには、可変表示結果通知コマンドや変動パターン指定コマンド等が、1タイマ割込内に一括して送信される。なお、1タイマ割込内に一括して送信されるものに限定されず、タイマ割込毎にステップS17のコマンド制御処理により1つずつコマンドが順次に送信されてもよい。
【0182】
即ち、特別図柄や飾り図柄の可変表示が開始されるタイミングで、特別図柄通常処理(ステップS110)にて特図表示結果(特別図柄の可変表示結果)を「大当り」や「小当り」として大当り遊技状態や小当り遊技状態に制御するか否かの決定が行われ、変動パターン設定処理(ステップS111)にて飾り図柄の具体的な可変表示態様(変動パターン)の決定等が行われ、各演出制御コマンドによって決定された内容が演出制御基板12に送信される。また、これに先立って、遊技球が始動入賞口(第1始動入賞口、第2始動入賞口)にて検出されたタイミングで、始動入賞判定処理(ステップS101)により、「大当り」や「小当り」として大当り遊技状態や小当り遊技状態に制御されるか否かの判定や、飾り図柄の大まかな可変表示態様(変動カテゴリ)の判定等が行われ、各演出制御コマンドによって決定された内容が演出制御基板12に送信される。
【0183】
次に、演出制御基板12における動作を説明する。演出制御基板12では、電源基板16等から電源電圧の供給を受けると、演出制御用CPU120が起動して、図18のフローチャートに示すような演出制御メイン処理を実行する。図18に示す演出制御メイン処理を開始すると、演出制御用CPU120は、まず、所定の初期化処理を実行して(ステップS71)、RAM122のクリアや各種初期値の設定、また演出制御基板12に搭載されたCTC(カウンタ/タイマ回路)のレジスタ設定等を行う。その後、タイマ割込みフラグがオンとなっているか否かの判定を行う(ステップS72)。タイマ割込みフラグは、例えば、CTCのレジスタ設定に基づき、所定時間(例えば、2ミリ秒)が経過するごとにオン状態にセットされる。このとき、タイマ割込みフラグがオフであれば(ステップS72;No)、ステップS72の処理を繰り返し実行して待機する。
【0184】
また、演出制御基板12の側では、所定時間が経過するごとに発生するタイマ割込みとは別に、主基板11から演出制御コマンド等を受信するための割込みが発生する。この割込みは、例えば、主基板11からの演出制御INT信号がオン状態となることにより発生する割込みである。演出制御INT信号がオン状態となることによる割込みが発生すると、演出制御用CPU120は、自動的に割込み禁止に設定するが、自動的に割込み禁止状態にならないCPUを用いている場合には、割込み禁止命令(DI命令)を発行することが望ましい。演出制御用CPU120は、演出制御INT信号がオン状態となることによる割込みに対応して、例えば、所定のコマンド受信割込み処理を実行する。このコマンド受信割込み処理では、I/O125に含まれる入力ポートのうちで、中継基板15を介して主基板11から送信された制御信号を受信する所定の入力ポートより、演出制御コマンド等となる制御信号を取り込む。
【0185】
このとき取り込まれた演出制御コマンドは、例えば、演出制御バッファ設定部194に設けられた演出制御コマンド受信用バッファに格納する。例えば、演出制御コマンドが2バイト構成である場合には、1バイト目(MODE)と2バイト目(EXT)を順次に受信して演出制御コマンド受信用バッファに格納する。その後、演出制御用CPU120は、割込み許可に設定してから、コマンド受信割込み処理を終了する。
【0186】
ステップS72にてタイマ割込みフラグがオンである場合には(ステップS72;Yes)、タイマ割込みフラグをクリアしてオフ状態にすると共に(ステップS73)、コマンド解析処理を実行する(ステップS74)。ステップS74にて実行されるコマンド解析処理では、例えば、主基板11の遊技制御用マイクロコンピュータ100から送信されて演出制御コマンド受信用バッファに格納されている各種の演出制御コマンドを読み出した後に、その読み出された演出制御コマンドに対応した設定や制御等が行われる。
【0187】
ステップS74にてコマンド解析処理を実行した後には、演出制御プロセス処理を実行する(ステップS75)。ステップS75の演出制御プロセス処理では、例えば、表示装置5の表示領域における演出画像の表示動作、スピーカ8からの音声出力動作、ランプ9における発光動作、演出用模型における駆動動作といった、各種の演出装置を用いた演出動作の制御内容について、主基板11から送信された演出制御コマンド等に応じた判定や決定、設定等が行われる。
【0188】
ステップS75の演出制御プロセス処理に続いて、演出用乱数更新処理が実行され(ステップS76)、演出制御に用いる各種の乱数値として、演出制御カウンタ設定部193のランダムカウンタによってカウントされる演出用乱数を示す数値データを、ソフトウェアにより更新する。その後、ステップS72の処理に戻る。
【0189】
図19は、コマンド解析処理として、図18のステップS74にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。図19に示すコマンド解析処理において、演出制御用CPU120は、まず、演出制御コマンド受信用バッファの記憶内容を確認すること等により、中継基板15を介して伝送された主基板11からの受信コマンドがあるか否かを判定する(ステップS501)。このとき、受信コマンドがなければ(ステップS501;No)、コマンド解析処理を終了する。
【0190】
ステップS501にて受信コマンドがある場合には(ステップS501;Yes)、例えば、受信コマンドのMODEデータを確認すること等により、その受信コマンドが第1始動口入賞指定コマンドであるか否かを判定する(ステップS502)。そして、第1始動口入賞指定コマンドであるときには(ステップS502;Yes)、第1保留記憶数通知待ち時間を設定する(ステップS503)。例えば、ステップS503の処理では、第1保留記憶数通知コマンドの受信待ち時間に対応して予め定められたタイマ初期値が、演出制御タイマ設定部192に設けられたコマンド受信制御タイマにセットされればよい。
【0191】
ステップS502にて受信コマンドが第1始動口入賞指定コマンドではない場合には(ステップS502;No)、その受信コマンドは第2始動口入賞指定コマンドであるか否かを判定する(ステップS504)。そして、第2始動口入賞指定コマンドであるときには(ステップS504;Yes)、第2保留記憶数通知待ち時間を設定する(ステップS505)。例えば、ステップS505の処理では、第2保留記憶数通知コマンドの受信待ち時間に対応して予め定められたタイマ初期値が、コマンド受信制御タイマにセットされればよい。
【0192】
ステップS504にて受信コマンドが第2始動口入賞指定コマンドではない場合には(ステップS504;No)、その受信コマンドは図柄指定コマンドであるか否かを判定する(ステップS506)。ステップS506にて受信コマンドが図柄指定コマンドではない場合には(ステップS506;No)、その受信コマンドは変動カテゴリコマンドであるか否かを判定する(ステップS507)。ステップS507にて受信コマンドが変動カテゴリコマンドではない場合には(ステップS507;No)、その受信コマンドは第1保留記憶数通知コマンドであるか否かを判定する(ステップS508)。そして、第1保留記憶数通知コマンドであるときには(ステップS508;Yes)、例えば、コマンド受信制御タイマによる計時動作を初期化すること等により、第1保留記憶数通知待ち時間をクリアする(ステップS509)。
【0193】
ステップS508にて受信コマンドが第1保留記憶数通知コマンドではない場合には(ステップS508;No)、その受信コマンドは第2保留記憶数通知コマンドであるか否かを判定する(ステップS510)。そして、第2保留記憶数通知コマンドであるときには(ステップS510;Yes)、例えば、コマンド受信制御タイマによる計時動作を初期化すること等により、第2保留記憶数通知待ち時間をクリアする(ステップS511)。
【0194】
ステップS506にて受信コマンドが図柄指定コマンドである場合や(ステップS506;Yes)、ステップS507にて受信コマンドが変動カテゴリコマンドである場合(ステップS507;Yes)、又はステップS503、S505、S509、S511の処理のいずれかを実行した後には、受信コマンドを始動入賞時受信コマンドバッファ194Aにおける空き領域の先頭に格納してから(ステップS512)、ステップS501の処理に戻る。
【0195】
なお、変動開始コマンド(第1変動開始コマンド又は第2変動開始コマンド)と共に保留記憶数通知コマンド(第1保留記憶数通知コマンド又は第2保留記憶数通知コマンド)を受信した場合には、保留記憶数通知コマンドを始動入賞時受信コマンドバッファ194Aに格納しないようにしてもよい。すなわち、始動入賞の発生に対応して受信した演出制御コマンドを、始動入賞時受信コマンドバッファ194Aにおける空き領域の先頭から順次に格納することができればよい。
【0196】
ステップS510にて受信コマンドが第2保留記憶数通知コマンドではない場合には(ステップS510;No)、その他の受信コマンドに応じた設定を行ってから(ステップS513)、ステップS501の処理に戻る。
【0197】
始動口入賞指定コマンド(第1始動口入賞指定コマンド又は第2始動口入賞指定コマンド)、図柄指定コマンド、変動カテゴリコマンド、保留記憶数通知コマンド(第1保留記憶数通知コマンド、第2保留記憶数通知コマンド)のように、始動入賞が発生したときに主基板11から受信する演出制御コマンドは、始動入賞時のコマンドともいう。また、保留記憶数通知コマンドや始動口入賞指定コマンドは、保留記憶情報ともいう。また、図柄指定コマンドや変動カテゴリコマンドは、判定結果情報ともいう。なお、始動入賞時受信コマンドバッファ194Aにおける空き領域の先頭から順次に受信コマンドを格納するときには、受信コマンドが始動口入賞指定コマンド、図柄指定コマンド、変動カテゴリコマンド、保留記憶数通知コマンドのいずれであるかを区別せずに格納してもよいし、各受信コマンドを区別して、対応する格納領域における空き領域の先頭に格納してもよい。
【0198】
図20は、演出制御プロセス処理として、図18のステップS75にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。図20に示す演出制御プロセス処理において、演出制御用CPU120は、まず、始動入賞判定処理を実行する(ステップS150)。ステップS150の始動入賞判定処理は、主基板11から伝送された変動カテゴリコマンドによって示される変動カテゴリに基づき、始動入賞記憶表示エリア5Hに追加する保留表示の表示態様を決定する処理等を含んでいる。
【0199】
ステップS150の始動入賞判定処理を実行した後には、例えば、演出制御フラグ設定部191等に設けられた演出プロセスフラグの値に応じて、以下のようなステップS170〜S177の処理のいずれかを選択して実行する。
【0200】
ステップS170の可変表示開始待ち処理は、演出プロセスフラグの値が初期値である“0”のときに実行される処理である。この可変表示開始待ち処理は、主基板11から伝送された第1変動開始コマンド(又は第2変動開始コマンド)、変動パターン指定コマンド、可変表示結果通知コマンド等を受信したか否かに基づき、表示装置5における飾り図柄の可変表示を開始するか否かを判定する処理等を含んでいる。飾り図柄の可変表示を開始すると判定したときには、演出プロセスフラグの値を“1”に更新する。
【0201】
ステップS171の可変表示開始設定処理は、演出プロセスフラグの値が“1”のときに実行される処理である。この可変表示開始設定処理は、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bによる特図ゲームにおいて特別図柄の可変表示が開始されることに対応して、変動パターン指定コマンド、可変表示結果通知コマンド等に基づいて、演出制御パターンを決定する処理等を含んでいる。その後、演出プロセスフラグの値を“2”に更新する。
【0202】
ステップS172の可変表示中演出処理は、演出プロセスフラグの値が“2”のときに実行される処理である。この可変表示中演出処理において、演出制御用CPU120は、演出制御タイマ設定部192に設けられた演出制御プロセスタイマにおけるタイマ値に対応して、可変表示開始設定処理において決定された演出制御パターンに基づいて、各種の制御データを読み出し、各種の演出制御(例えば、飾り図柄の可変表示中における飾り図柄の可変表示制御)を行う。
【0203】
こうした演出制御を行った後、例えば、演出制御パターンから飾り図柄の可変表示終了を示す終了コードが読み出されたこと、又は主基板11から伝送される図柄確定コマンドを受信したこと等に対応して、飾り図柄の可変表示結果となる最終停止図柄としての確定飾り図柄を完全停止表示させる。演出制御パターンから終了コードが読み出されたことに対応して確定飾り図柄を完全停止表示させるようにすれば、変動パターン指定コマンドにより指定された変動パターンに対応する可変表示時間が経過したときに、主基板11からの演出制御コマンドによらなくても、演出制御基板12の側で自律的に確定飾り図柄を導出表示して可変表示結果を確定させることができる。確定飾り図柄を完全停止表示したときには、演出プロセスフラグの値を“3”に更新する。
【0204】
ステップS173の特図当り待ち処理は、演出プロセスフラグの値が“3”のときに実行される処理である。この特図当り待ち処理において、演出制御用CPU120は、主基板11から伝送された当り開始指定コマンドの受信があったか否かを判定する。そして、当り開始指定コマンドを受信したきに、その当り開始指定コマンドが大当り遊技状態の開始を指定するものであれば、演出プロセスフラグの値を大当り中演出処理に対応した値である“6”に更新する。これに対して、当り開始指定コマンドを受信したときに、その当り開始指定コマンドが小当り遊技状態の開始を指定するものであれば、演出プロセスフラグの値を小当り中演出処理に対応した値である“4”に更新する。また、当り開始指定コマンドを受信せずに、演出制御プロセスタイマがタイムアウトしたときには、特図ゲームにおける特図表示結果が「ハズレ」であったと判定して、演出プロセスフラグの値を初期値である“0”に更新する。
【0205】
ステップS174の小当り中演出処理は、演出プロセスフラグの値が“4”のときに実行される処理である。この小当り中演出処理において、演出制御用CPU120は、例えば、小当り遊技状態における演出内容に対応した演出制御パターン等を設定し、その設定内容に基づいて、各種の制御データを読み出し、ステップS172の可変表示中演出処理と同様に、小当り遊技状態における各種の演出制御を実行する。また、小当り中演出処理では、例えば、主基板11からの当り終了指定コマンドを受信したことに対応して、演出プロセスフラグの値を小当り終了演出に対応した値である“5”に更新する。
【0206】
ステップS175の小当り終了演出処理は、演出プロセスフラグの値が“5”のときに実行される処理である。この小当り終了演出処理において、演出制御用CPU120は、例えば、小当り遊技状態の終了等に対応した演出制御パターン等を設定し、その設定内容に基づいて、各種の制御データを読み出し、ステップS172の可変表示中演出処理と同様に、小当り遊技状態の終了時における各種の演出制御を実行する。その後、演出プロセスフラグの値を初期値である“0”に更新する。
【0207】
ステップS176の大当り中演出処理は、演出プロセスフラグの値が“6”のときに実行される処理である。この大当り中演出処理において、演出制御用CPU120は、例えば、大当り遊技状態における演出内容に対応した演出制御パターン等を設定し、その設定内容に基づいて、各種の制御データを読み出し、ステップS172の可変表示中演出処理と同様に、大当り遊技状態における各種の演出制御を実行する。また、大当り中演出処理では、例えば、主基板11からの当り終了指定コマンドを受信したことに対応して、演出プロセスフラグの値をエンディング演出処理に対応した値である“7”に更新する。
【0208】
ステップS177のエンディング演出処理は、演出プロセスフラグの値が“7”のときに実行される処理である。このエンディング演出処理において、演出制御用CPU120は、例えば、大当り遊技状態の終了等に対応した演出制御パターン等を設定し、その設定内容に基づいて、各種の制御データを読み出し、ステップS172の可変表示中演出処理と同様に、映像信号や演出音信号や電飾信号等を出力する等して、大当り遊技状態の終了時における各種の演出制御を実行する。その後、演出プロセスフラグの値を初期値である“0”に更新する。
【0209】
B.電源電圧の生成に関する動作の説明
遊技盤2が遊技機用枠3に取り付けられると、コネクタ部18を構成する接点P1,P3が接点P2,P4とそれぞれ電気的に接続され、図13に示すように、抵抗R2の他端と低電圧入力ノードN2との間にコネクタ部18を介して設定部1700の抵抗R17が電気的に接続された状態となる。この状態から、図12に示す電源スイッチ1602が投入されると、入力端子1601と入力端子1601との間に印加された交流電源ACの交流電力がコモンモードチョークコイル1607を介して整流部1609に供給される。整流部1609は、交流電源ACからの交流電力を全波整流して直流電圧を可変電源回路1610(1610〜1610)に供給する。この直流電圧は、図13に示す可変電源回路1610の高電圧入力ノードN1と低電圧入力ノードN2との間に印加される。
【0210】
可変電源回路1610を構成するスイッチングレギュレータSRは、整流部1609から高電圧入力ノードN1と低電圧入力ノードN2との間に印加された直流電圧を降圧する。スイッチングレギュレータSRにより降圧された電圧はチョークコイルLを介して可変電源回路1610の出力電圧Voutとして出力端子1611に出力される。出力電圧Voutは、抵抗R1の抵抗値と、抵抗R2,R17の合成抵抗値(即ち、抵抗R2の抵抗値と抵抗R17の抵抗値との和)との比に応じて分圧され、フィードバック信号としてスイッチングレギュレータSRの制御端子TCに印加される。スイッチングレギュレータSRは、制御端子TCに印加されるフィードバック信号に基づき、出力電圧Voutが所望値となるようにフィードバック制御を実施する。
【0211】
ここで、設定部1700の抵抗R17の抵抗値に応じて、制御端子TCのフィードバック信号の信号レベルが変わり、このフィードバック信号の信号レベルに応じて可変電源回路1610の出力電圧Voutが定まる。従って、複数の可変電源回路1610(1610〜1610)は、それぞれ、設定部1700の複数の抵抗R17(R171,R172,…)の抵抗値に応じた出力電圧Voutを個別に発生させて出力する。例えば、可変電源回路1610は、その出力電圧Voutとして、次の式(1)による電圧を発生させる。
【0212】
Vout={r1/(r2+r17)+1}×Vref …(1)
【0213】
上式において、Vrefは、スイッチングレギュレータSRのバイアス端子TBに印加される基準電圧であり、前述したように、第1実施形態では既定値である。また、r1は抵抗R1の抵抗値を表し、r2は抵抗R2の抵抗値を表し、r17は、抵抗R17の抵抗値を表している。
複数の可変電源回路1610(1610〜1610)の各出力電圧Voutは、遊技盤2の各基板に搭載された電気部品の電源電圧として出力端子1611(1611〜1611)から出力される。
【0214】
従って、遊技盤2の各基板の電気部品が必要とする電源電圧の値に応じて、複数の可変電源回路1610(1610〜1610)に対応する設定部1700の複数の抵抗R17(R171,R172,…)の各抵抗値を調整しておけば、電源基板16の電源部1600の構成を変更することなく、遊技盤2の機種に応じた電源電圧を遊技機用枠3において生成することができる。よって、第1実施形態によれば、遊技盤2等の機種固有のユニットの機種変更に柔軟に対応することが可能になる。
【0215】
また、第1実施形態によれば、抵抗R17により設定部1700を構成したので、抵抗R17の抵抗値を調整することにより、出力電圧Voutを任意の値に設定することができ、しかも、設定部1700を安価に実現することができる。
また、第1実施形態によれば、複数の可変電源回路1610のそれぞれに対して抵抗R17を設けたので、複数の可変電源回路1610の各出力電圧Voutを独立に設定することができる。
【0216】
<第1変形例>
次に、本発明の第1実施形態の第1変形例を説明する。
図21に、第1実施形態の第1変形例に係るパチンコ遊技機の電源基板に備えられた電源部1600Aの構成を示す。電源部1600Aは、上述の図12に示す電源部1600の構成において、可変電源回路1610〜1610に代えて、その出力電圧Voutが一定値に設定され、上述の設定部1700の設定によらない所定の出力電圧Vout(電源電圧)を発生させる可変電源回路1610A〜1610Aを備えている。即ち、電源部1600Aは、設定部1700により設定された出力電圧(電源電圧)を発生させる可変電源回路1610〜1610と、設定部1700の設定によらない所定の出力電圧(電源電圧)を発生させる可変電源回路1610A〜1610Aとを含んでいる。その他の構成は、図12に示す電源部1600と同様である。以下では、可変電源回路1610A〜1610Aのうちの任意の一つを表す場合は符号「1610A」を用いる。
【0217】
図22に、第1実施形態の第1変形例に係るパチンコ遊技機の電源基板に備えられた電源部1600Aの可変電源回路1610A(1610A〜1610A)の構成例を示す。可変電源回路1610Aは、上述の図13に示す可変電源回路1610の構成において、設定部1700に備えられた抵抗R17に対応する抵抗R17Aを内蔵して備え、この抵抗R17Aは、抵抗R2の他端と低電圧入力ノードN2との間に接続されている。第1変形例では、可変電源回路1610Aにはコネクタ部18は接続されない。その他の構成は、図13に示す可変電源回路1610と同様である。
【0218】
第1変形例によれば、スイッチングレギュレータSRの制御端子TCには、出力電圧Voutを、抵抗R1の抵抗値と、抵抗R2,R17Aの合成抵抗値(即ち、抵抗R2の抵抗値と抵抗R17Aの抵抗値との和)との比によって分圧して得られる電圧がフィードバック信号として印加される。スイッチングレギュレータSRは、これら抵抗R1,R2,R17Aの抵抗値によって定まるフィードバック信号に基づいてフィードバック制御を実施して出力電圧Voutを発生させる。これにより、可変電源回路1610Aは、設定部1700によらず、自己完結的に出力電圧Voutを発生させる。従って、第1変形例によれば、例えば設定部1700が受ける外乱等による出力電圧Voutの値の変更を防止することができ、この出力電圧Voutを電源電圧とする電気部品の動作を安定化させることができる。
【0219】
<第2変形例>
次に、本発明の第1実施形態の第2変形例を説明する。
図23に、第1実施形態の第2変形例に係るパチンコ遊技機の電源基板に備えられた電源部1600Bの構成を示す。第2変形例による電源部1600Bは、上述の図12に示す電源部1600の構成において、可変電源回路1610〜1610に代えて、例えば主基板11に搭載された遊技制御用の電気部品に給電する電源回路として、一定値に固定された出力電圧Voutを発生させる固定電源回路1610B,1610Bを備えている。即ち、電源部1600Bは、設定部1700により設定された出力電圧を発生させる可変電源回路1610〜1610と、設定部1700とは関係なく固定された一定の出力電圧Voutを発生させる固定電源回路1610B,1610Bとを含んでいる。
【0220】
固定電源回路1610B,1610Bは、上述の可変電源回路1610に備えられたスイッチングレギュレータSRの制御端子TCに相当する構成要素を備えておらず、その出力電圧は変更することができない仕様となっている。第2変形例でも、固定電源回路1610Bにはコネクタ部18は接続されない。その他の構成は、図12に示す電源部1600と同様である。
なお、第2変形例では、可変電源回路1610〜1610に代えて固定電源回路1610B,1610Bを備えるものとしているが、可変電源回路16101〜16107に加えて、更に固定電源回路1610B,1610Bを備えるものとしてもよく、その固定電源回路の数も任意である。
【0221】
第2変形例によれば、固定電源回路1610B,1610Bは、上述の第1変形例と同様に、自己完結的に出力電圧Voutを発生させる。ただし、固定電源回路1610B,1610Bは、制御端子TCに相当する構成要素を備えていないので、出力電圧Voutの値の変更をいっそう有効に防止することができ、この出力電圧Voutを電源電圧とする電気部品の動作の安定化を図ることができる。また、第2変形例によれば、固定電源回路1610B,1610Bの出力電圧Voutの値は変更できない構成となっているので、その出力電圧Voutを遊技制御用の電気部品の電源電圧として使用することにより、遊技制御の信頼性を向上させることができる。
【0222】
<第3変形例>
次に、本発明の第1実施形態の第3変形例を説明する。
第3変形例では、電源部1600を構成する複数の可変電源回路1610〜1610のうち、遊技制御用の電気部品の電源電圧となる出力電圧を発生させる電源回路の動作周波数が、演出制御用の電気部品の電源電圧となる出力電圧を発生させる電源回路の動作周波数よりも低く設定されている。例えば、上述した可変電源回路1610〜1610のうち、図3に示す主基板11に搭載された遊技制御用マイクロコンピュータ100の電源電圧を供給する電源回路(例えば、可変電源回路1610〜1610)の動作周波数を、図3に示す演出制御基板12に搭載された演出制御用CPU120の電源電圧を供給する電源回路(例えば、可変電源回路1610〜1610)の動作周波数よりも低くする。このように各可変電源回路の動作周波数を設定することにより、演出制御の動作に対して、遊技制御の動作を安定化させることができ、遊技制御の信頼性を高めることができる。
【0223】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
第2実施形態では、基本的に、上述の第1実施形態における図1図23を援用するが、第2実施形態では、次に説明するように、これらの図面のうち、図13等に示された可変電源回路1610、設定部1700、コネクタ部18に関する構成が図24に示す構成に入れ替えられる。
【0224】
(1)構成の説明
図24に、本発明の第2実施形態に係るパチンコ遊技機の電源基板16に備えられた可変電源回路2610、および設定基板17に備えられた設定部2700、並びにコネクタ部28の各構成例を示す。第2実施形態によるパチンコ遊技機は、上述の第1実施形態によるパチンコ遊技機1の構成において、図13に示す可変電源回路1610、設定部1700、コネクタ部18に代えて、図24に示す可変電源回路2610、設定部2700、コネクタ部28を備える。電源部1600には、第1実施形態の可変電源回路2610〜2610に対応した複数の可変電源回路2610が設けられている。その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0225】
上述の第1実施形態では、抵抗R17を用いて設定部1700を構成したが、第2実施形態では、設定部1700に代えて遊技盤2に設けられる設定部2700は、複数の可変電源回路2610に対応した複数のスイッチSを備えている。複数のスイッチSの各開閉状態を選択することにより、複数の可変電源回路2610の各出力電圧Vout(即ち、電源部1600により発生される電源電圧)の値を個別に設定することが可能となっている。コネクタ部28は、第1実施形態のコネクタ部18と同様に、複数の可変電源回路2160に対応して備えらえた複数組の接点P1,P2,P3,P4から構成されるが、第2実施形態では、接点P2と接点P4との間に設定部2700のスイッチSが接続されている。
【0226】
可変電源回路2610は、設定部2700のスイッチSの機能に対処するための構成要素を有している点で、第1実施形態による可変電源回路1610と構成が異なっている。具体的には、第2実施形態による可変電源回路2610は、図13に示す第1実施形態による可変電源回路1610の構成において、抵抗R3〜R9とトランジスタQ1,Q2を更に備えている。ここで、抵抗R3の一端は、抵抗R2の他端に接続され、抵抗R3の他端は低電圧入力ノードN2に接続されている。トランジスタQ1のコレクタは、抵抗R2と抵抗R3との間のノードN23に接続され、そのエミッタは低電圧入力ノードN2に接続されている。抵抗R4の一端は高電圧入力ノードN1に接続され、抵抗R4の他端は抵抗R5の一端に接続されている。抵抗R5の他端は抵抗R6の一端に接続され、抵抗R6の他端は低電圧入力ノードN2に接続されている。抵抗R5と抵抗R6との間のノードN56にはトランジスタQ1のベースが接続されている。抵抗R4と抵抗R5との間のノード45にはトランジスタQ2のコレクタが接続され、そのエミッタは低電圧入力ノードN2に接続されている。抵抗R7の一端は高電圧入力ノードN1に接続され、抵抗R7の他端は抵抗R8の一端に接続されている。抵抗R8の他端は抵抗R9の一端に接続され、抵抗R9の他端は低電圧入力ノードN2に接続されている。抵抗R8と抵抗R9との間のノードN89にはトランジスタQ2のベースが接続されている。抵抗R7と抵抗R8との間のノードN78は、コネクタ部28の接点P1と接続されている。
【0227】
(2)動作の説明
次に、可変電源回路2610、設定部2700、コネクタ部28に着目して、第2実施形態の動作を説明する。その他の動作は第1実施形態と同様である。
なお、遊技盤2は遊技機用枠3に取り付けられた状態にあり、コネクタ部28の接点P1が接点P2と接続され、接点P3が接点P4と電気的に接続されているものとする。
【0228】
遊技盤2が遊技機用枠3に取り付けられた状態で、設定部2700のスイッチSが開いている場合、抵抗R8と抵抗R9との間のノードN89には、抵抗R7の抵抗値と抵抗R8,R9の合成抵抗値(即ち、抵抗R8の抵抗値と抵抗R9の抵抗値との和)との比により高電圧入力ノードN1の電圧を分圧して得られる電圧が発生する。これにより、トランジスタQ2のベースとエミッタは順方向にバイアスされ、トランジスタQ2がオンする。トランジスタQ2がオンすると、抵抗R4と抵抗R5との間のノードN45の電圧が低下し、これに従って抵抗R5と抵抗R6との間のノードN56の電圧も低下する。これにより、トランジスタQ1のベースとエミッタとの間が順方向にバイアスされず、トランジスタQ1がオフする。トランジスタQ1がオフすると、スイッチングレギュレータSRの制御端子TCに接続された抵抗R1と抵抗R2との間のノードN12の電圧は、抵抗R1の抵抗値と抵抗R2,R3の合成抵抗値(即ち、抵抗R2の抵抗値と抵抗R3の抵抗値との和)との比により出力電圧Voutを分圧して得られる電圧となる。この結果、スイッチングレギュレータSRは、抵抗R1,R2,R3の各値に応じた出力電圧Voutを発生させる。
【0229】
これに対し、設定部2700のスイッチSが閉じている場合、抵抗R7と抵抗R8との間のノードN78はスイッチSを介して低電圧入力ノードN2と電気的に接続され、これによりノードN78の電圧が低下する。ノードN78の電圧が低下すると、トランジスタQ2のベース電圧を与えるノードN89の電圧が低下し、トランジスタQ2がオフする。トランジスタQ2がオフすると、ノードN45,N56の各電圧は、抵抗R4、R5、R6の各抵抗値に応じた電圧となる。これにより、ノードN56にベースが接続されたトランジスタQ1のベースとエミッタとの間が順方向にバイアスされ、トランジスタQ1がオンする。トランジスタQ1がオンすると、抵抗R2と抵抗R3との間のノードN23が、トランジスタQ1を介して低電圧入力ノードN2と電気的に接続される。これにより、スイッチングレギュレータSRの制御端子TCに接続されたノードN12には、抵抗R1の抵抗値と抵抗R2の抵抗値との比により出力電圧Voutを分圧して得られる電圧がフィードバック信号として発生する。スイッチングレギュレータSRは、制御端子TCに印加されるフィードバック信号の信号レベルに基づいてフィードバック制御を実施することにより、抵抗R1,R2の各値に応じた出力電圧Voutを発生させる。従って、この場合の出力電圧Voutは、上述したスイッチSが開いているときの出力電圧Voutとは異なったものになる。
【0230】
このように、設定部2700のスイッチSの開閉状態を選択することにより、スイッチングレギュレータSRの制御端子TCに印加されるフィードバック信号の信号レベルが変化し、この制御端子TCの信号レベルに応じて出力電圧Voutが設定される。
従って、第2実施形態によれば、例えば作業者が遊技盤2の機種に応じて設定部2700のスイッチSを手動操作することにより、その開閉状態を選択すれば、遊技盤2の各基板の電源仕様に応じた電源電圧を電源部1600の可変電源回路2610に発生させることができる。従って、遊技盤2等の機種固有のユニットの機種変更に柔軟に対応することが可能になる。
また、第2実施形態によれば、スイッチSの開閉状態を手動操作により選択することができるので、設定部2700を含む装置構成を何ら変更することなく、簡易な作業で可変電源回路2610の出力電圧Voutを切り替えることができ、遊技機用枠3の電源部1600が発生させる電源電圧の設定を変更することができる。
【0231】
<第1変形例>
図25に、第2実施形態の第1変形例に係るパチンコ遊技機の設定基板17に備えられた設定部2700Aの構成を示す。第2実施形態の第1変形例に係るパチンコ遊技機は、上述のスイッチSを備えた設定部2700に代えて、配線HAを備えた設定部2700Aを備えている。配線HAは、コネクタ部28の接点P2と接点P4との間に着脱可能に接続され、これにより、接点P2と接点P4は配線HAにより電気的に接続されている。ただし、配線HAは、コネクタ部28の接点P2と接点P4との間に固定的に接続されてもよい。
【0232】
第2実施形態の第1変形例では、遊技盤2が遊技機用枠3に取り付けられた場合、接点P1が接点P2と接続され、接点P3が接点P4と接続される。この場合、接点P2と接点P4は配線HAにより電気的に接続されているので、設定部2700Aおよびコネクタ部28から構成される回路は、上述の図24の設定部2700においてスイッチSが閉じられた場合の回路状態と等価になる。また、遊技盤2が遊技機用枠3から取り外された場合、接点1と接点P2との間の接続が解除され、接点P3と接点P4との間の接続が解除される。この場合、設定部2700Aおよびコネクタ部28から構成される回路は、上述の図24の設定部2700においてスイッチSが開かれた場合の回路状態と等価になる。従って、第1変形例によれば、接点P2と接点P4との間に配線HAを接続するか否かを選択することにより、出力電圧Voutの値を変更することができる。
【0233】
第1変形例によれば、配線HAに断線等の故障が発生しない限り、設定部2700の設定状態は変化しない。従って、第1変形例によれば、電源部1600によって発生される電源電圧の安定性および信頼性を向上させることができる。
【0234】
<第2変形例>
図26に、第2実施形態の第2変形例に係るパチンコ遊技機の電源基板に備えられた可変電源回路2610B、および設定基板17に備えられた設定部2700B、並びにコネクタ部28Bの構成を示す。第2実施形態の第2変形例によるパチンコ遊技機は、上述の第1実施形態におけるパチンコ遊技機1の構成において、可変電源回路1610、設定部1700、コネクタ部18に代えて、可変電源回路2610B、設定部2700B、コネクタ部28Bを備える。このうち、可変電源回路2610Bは、図13に示す可変電源回路1610の構成において、抵抗R31,R32を更に備えている。これら抵抗R31,R32の合成抵抗値は、図13に示す設定部1700の抵抗R17の抵抗値に相当する。抵抗R31の一端は抵抗R2の他端に接続され、抵抗R31の他端は抵抗R32の一端に接続され、抵抗R32の他端は低電圧入力オードN2に接続されている。これにより、チョークコイルLの他端(出力端)と低電圧入力ノードN2との間に、抵抗R1、抵抗R2、抵抗R31、抵抗R32が、この順に直列接続されている。
【0235】
コネクタ部28Bは、図13に示すコネクタ部18の構成において、接点P5,P6を更に備えている。第2実施形態の第2変形例では、接点P1は、抵抗R2と抵抗R31との間のノードN231に接続され、接点P5は、抵抗R31と抵抗R32との間のノードN3132に接続されている。設定部2700Bは、配線HBを着脱可能に備えて構成されている。配線HBは、接点P2,P6,P4のうちの任意の2つの接点間に接続される。配線HBを何れの接点に接続するかは出力電圧Voutの所望値に応じて決定される。
【0236】
第2実施形態の第2変形例では、配線HBが接点P2と接点P4との間に接続されているので、上述の第2実施形態の第1変形例と同様に、抵抗R2の他端は配線HBを介して低電圧入力ノードN2と接続される。従ってこの場合、上述の第1変形例と同様に、抵抗R1,R2の各抵抗値に応じた出力電圧Voutが得られる。これに対し、例えば、配線HBが接点P6と接点P4との間に接続されていれば、抵抗R31の他端が配線HBを介して低電圧入力ノードN2と電気的に接続される。このため、スイッチングレギュレータSRの制御端子TCに接続されたノードN12の電圧は、抵抗R1の抵抗値と、抵抗R2,R31の合成抵抗値(即ち、抵抗R2の抵抗値と抵抗R31の抵抗値との和)との比により分圧された電圧となる。従ってこの場合、可変電源回路2610Bの出力電圧Voutの値は、抵抗R1,R2,R31に応じて決定され、上述の第2位実施形態の第1変形例とは異なった値になる。
【0237】
このように、第2実施形態に係るパチンコ遊技機の第2変形例によれば、配線HBと接点P2,P4,P6との間の接続関係に応じて、可変電源回路2610Bの出力電圧Voutの値を選択することができる。従って、上述の第2実施形態の第1変形例に比較して、可変電源回路1610の出力電圧Voutの値の種類を増やすことができ、いっそう柔軟に遊技盤2の機種変更に対応することが可能になる。
【0238】
以上、本発明の第2実施形態を説明したが、第2実施形態においても、上述の第1実施形態における第1変形例、第2変形例、第3変形例と同様の変形が可能である。即ち、第2実施形態において、複数の可変電源回路2610の一部を、設定部2700の設定によらない所定の出力電圧(電源電圧)を発生させる可変電源回路(可変電源回路1610A〜1610Aに相当する構成要素等)に置き換えてもよい。また、複数の可変電源回路2610の一部を、一定値に固定された出力電圧Voutを発生させる固定電源回路(固定電源回路1610B,1610Bに相当する構成要素等)に置き換えてもよい。更に、複数の可変電源回路2610のうち、遊技制御用の電気部品に供給する電圧を発生させる電源回路の動作周波数が、演出制御用の電気部品に供給する電源電圧を発生させる電源回路の動作周波数よりも低く設定されてもよい。
【0239】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を説明する。
第2実施形態では、基本的に、上述の第1実施形態における図1図23を援用するが、第3実施形態では、次に説明するように、これらの図面のうち、図13等に示された可変電源回路1610、設定部1700、コネクタ部18に関する構成が図27に示す構成に入れ替えられる。
【0240】
(1)構成の説明
図27に、本発明の第3実施形態に係るパチンコ遊技機の電源基板16に備えられた可変電源回路3610、および設定基板17に備えられた設定部3700、並びにコネクタ部38の各構成例を示す。第2実施形態によるパチンコ遊技機は、上述の第1実施形態によるパチンコ遊技機1の構成において、図13に示す可変電源回路1610、設定部1700、コネクタ部18に代えて、図27に示す可変電源回路3610、設定部3700、コネクタ部38を備える。電源部1600には、第1実施形態の可変電源回路2610〜2610に対応した複数の可変電源回路3610が設けられている。その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0241】
前述の第1実施形態では、抵抗R17を用いて設定部1700を構成したが、第3実施形態では、この設定部1700に代えて遊技盤2に設けられる設定部3700は、複数の可変電源回路3610に対応した複数の電圧発生回路VBを備えている。電圧発生回路VBは、電源部1600により発生される電源電圧(即ち、可変電源回路3610の出力電圧Vout)を切り替えるための電圧信号を発生させてコネクタ部38を介して電源部の可変電源回路3610に供給するものである。電圧発生回路VBとして任意の手段を用いることができる。電圧発生回路VBとして、例えば、一次電池、二次電池等を用いることができる。電圧発生回路VBは、電池単体であってもよく、任意の能動素子、受動素子を含むものであってもよく、電池と任意の素子との組み合わせ等であってもよい。電圧発生回路VBが発生させる電圧信号の信号レベルは、可変電源回路3610の出力電圧Voutの所望値に応じて事前に設定される。複数の電圧発生回路VBの各電圧信号の信号レベルを選択することにより、複数の可変電源回路3610の各出力電圧Vout(即ち、電源部1600により発生される電源電圧)の値を個別に設定することが可能となっている。コネクタ部38は、第1実施形態のコネクタ部18と同様に、複数の可変電源回路3160に対応して備えられた複数組の接点P1,P2,P3,P4から構成されるが、第3実施形態では、接点P2と接点P4との間に設定部3700の電圧発生回路VBが接続されている。
【0242】
可変電源回路3610は、設定部3700の電圧発生回路VBの機能に対処するための構成要素を有している点で、図13に示す第1実施形態による可変電源回路1610と構成が異なっている。即ち、第3実施形態による可変電源回路3610は、上述の第1実施形態における可変電源回路1610の構成において、抵抗R2の他端が低電圧入力ノードN2に接続されていると共に、ボルテージフォロアとして機能する演算増幅器OPを備えている。演算増幅器OPの非反転入力部(+)には、コネクタ部38の接点P1が接続され、演算増幅器OPの反転入力部(−)は、この演算増幅器OPの出力部に接続されている。演算増幅器OPの出力部は、スイッチングレギュレータSRのバイアス端子TBに接続されている。例えば外乱等が抑制された環境であれば、ボルテージフォロアとして機能する演算増幅器OPを省略し、スイッチングレギュレータSRのバイアス端子TBに設定部38の接点Pを直接接続してもよい。
【0243】
前述したように、スイッチングレギュレータSRのバイアス端子TBには、制御端子TCに印加されるフィードバック信号を検出するための演算増幅器で用いられる基準電圧Vrefが印加される。第1実施形態では、基準電圧Vrefを既定値に設定したが、第3実施形態では、バイアス端子TBには、基準電圧Vrefとして、演算増幅器OPを介して、電圧発生回路VBが発生させる電圧信号が印加される。従って、第3実施形態では、バイアス端子TBに印加される基準電圧Vrefは、設定部3700に備えられた電圧発生回路VBは発生させる電圧信号の信号レベルに応じた値になる。
【0244】
(2)動作の説明
次に、可変電源回路3610、設定部3700、コネクタ部38に着目して、第3実施形態の動作を説明する。その他の動作は第1実施形態と同様である。
なお、遊技盤2は遊技機用枠3に取り付けられた状態にあり、コネクタ部38の接点P1が接点P2と接続され、接点P3が接点P4と電気的に接続されているものとする。
【0245】
遊技盤2が遊技機用枠3に取り付けられた状態では、コネクタ部38を介して、演算増幅器OPの非反転入力部(+)に、電圧発生回路VBから電圧信号が印加される。この電圧信号は、演算増幅器OPから構成されるボルテージフォロアを介してスイッチングレギュレータSRのバイアス端子TBに印加される。スイッチングレギュレータSRは、演算増幅器OPからバイアス端子TBに印加された電圧信号の信号レベルを基準電圧Vrefとして、フィードバック制御を実施する。このフィードバック制御の結果、例えば、可変電源回路3610は、その出力電圧Voutとして、次の式(2)による電圧を発生させる。
【0246】
Vout=(r1/r2+1)×Vref …(2)
【0247】
上式において、Vrefは、スイッチングレギュレータSRのバイアス端子TBに印加される基準電圧であり、第3実施形態では、設定部3700の電圧発生回路VBが発生させる電圧信号の信号レベルである。また、r1は抵抗R1の抵抗値を表し、r2は抵抗R2の抵抗値を表している。
【0248】
このように、第3実施形態では、設定部3700の電圧発生回路VBの電圧信号の信号レベルを選択することにより、スイッチングレギュレータSRのバイアス端子TBに印加される基準電圧Vrefの信号レベルが制御され、このバイアス端子TBの信号レベルに応じて出力電圧Voutが設定される。従って、第3実施形態によれば、遊技盤2の機種に応じて設定部3700の電圧発生回路VBの電圧信号の信号レベルを選択することにより、可変電源回路3610の出力電圧Voutとして、遊技盤2の各基板の電源仕様に応じた電源電圧を発生させることができる。従って、遊技盤2等の機種固有のユニットの機種変更に柔軟に対応することが可能になる。
【0249】
また、第3実施形態によれば、電圧発生回路VBが発生させる電圧信号の信号レベルに応じて可変電源回路3610の出力電圧Voutの値が定まるので、電圧発生回路VBが発生させる電圧信号の信号レベルが変化しな限り、出力電圧Voutによる電源電圧を安定的に維持することができる。従って、パチンコ遊技機における各種制御に関する動作の信頼性を向上させることができる。また、本実施形態によれば、電圧発生回路VBが発生させる電圧信号の信号レベルに応じて、出力電圧Voutの値を、連続した任意の値に設定することができる。これにより、多様な電源仕様の遊技盤に柔軟に対応することが可能になる。
【0250】
以上、本発明の第3実施形態を説明したが、第3実施形態においても、上述の第1実施形態における第1変形例、第2変形例、第3変形例と同様の変形が可能である。即ち、第3実施形態において、複数の可変電源回路3610の一部を、設定部3700の設定によらない所定の出力電圧(電源電圧)を発生させる可変電源回路(可変電源回路1610A〜1610Aに相当する構成要素等)に置き換えてもよい。また、複数の可変電源回路3610の一部を、一定値に固定された出力電圧Voutを発生させる固定電源回路(固定電源回路1610B,1610Bに相当する構成要素等)に置き換えてもよい。更に、複数の可変電源回路3610のうち、遊技制御用の電気部品に供給する電圧を発生させる電源回路の動作周波数が、演出制御用の電気部品に供給する電源電圧を発生させる電源回路の動作周波数よりも低く設定されてもよい。
【0251】
以上、本発明の第1実施形態による遊技機は、機種共通の共通ユニット(例えば、遊技機用枠3等)と、上記共通ユニットに取り付け可能な機種固有の固有ユニット(例えば、遊技盤2等)とを備えた遊技機であって、上記共通ユニットに設けられ、当該遊技機に備えられた電気部品の電源電圧を発生させる電源部(例えば、電源部1600等)と、上記固有ユニットに設けられ、上記固有ユニットが上記共通ユニットに取り付けられた場合に上記電源部と接続され、上記電源部により発生される電源電圧の値を設定する設定部(例えば、設定部1700等)と、を備える。本発明の第1実施形態によれば、上記固有ユニットが上記共通ユニットに取り付けられると、電源部により発生される電源電圧の値が設定部で設定された値になる。これにより、固有ユニットの電源仕様に応じて電源電圧を設定することができる。従って、多様な機種の固有ユニットに柔軟に対応することが可能になる。
【0252】
また、本発明の第1実施形態による遊技機において、上記設定部は、上記電源部によって発生される電源電圧の所望値に対応した抵抗値を有する抵抗(例えば、抵抗R17等)を備えてもよい。上記構成によれば、抵抗の抵抗値に応じて電源電圧が設定される。従って、電源部の構成の変更を最小限に抑えつつ、電源電圧の値を柔軟に設定することができる。
【0253】
また、本発明の第1実施形態による遊技機において、上記電源部は、出力電圧が可変な複数の電源回路(例えば、可変電源回路1610〜1610等)を備え、上記設定部は、上記複数の電源回路の各出力電圧を設定してもよい。上記構成によれば、複数の電源回路のそれぞれが発生させる出力電圧は、設定部で設定された値に個別に設定される。従って、用途に応じて単一または複数の電源電圧を柔軟に発生させることができる。
【0254】
また、本発明の第1実施形態による遊技機において、上記複数の電源回路は、上記設定部により設定された出力電圧を発生させる電源回路(例えば、可変電源回路1610〜1610等)と、上記設定部の設定によらない所定の出力電圧を発生させる電源回路(例えば、可変電源回路1610A〜1610A等)とを含んでもよい。上記構成によれば、所定の出力電圧は、設定部の設定によらずに発生される。従って、設定部の回路構成を簡略化することができる。
【0255】
また、本発明の第1実施形態による遊技機において、上記設定部は、上記固有ユニットの電気部品が設けられた第1基板(例えば、主基板11等)から独立した第2基板(例えば、設定基板17等)に設けられ、上記電源部が設けられた第3基板(例えば、電源基板16等)と上記設定部が設けられた第2基板とが、上記固有ユニットの機種に対応した形状を有するコネクタ部(例えば、コネクタ部18等)を介して接続されてもよい。上記構成によれば、設定部が設けられた第2基板が他の基板から独立しているので、設定部を遊技機に備える際に、基板構成の変更を最小限に留めることができる。また、コネクタ部の形状が遊技機の機種に対応した形状を有するので、第3基板と第2基板との誤接続を防止し、電源電圧の誤設定を防止することができる。
【0256】
また、本発明の第1実施形態による遊技機において、上記電源部は、遊技制御用の電気部品に給電する電源回路として、固定された一定の出力電圧を発生させる電源回路(例えば、固定電源回路1610B,1610B等)を更に備えてもよい。上記構成によれば、設定部による設定とは無関係に、遊技制御用の電源電圧として、固定された一定の電圧が発生される。従って、外乱等の影響が抑制された電源電圧を安定的に発生させることができ、これにより、電気部品の誤動作を防止することができる。
【0257】
また、本発明の第1実施形態による遊技機において、上記電気部品として、遊技制御用の第1電気部品(例えば、遊技盤用マイクロコンピュータ100等)と、演出制御用の第2電気部品(例えば、演出制御用CPU120等)とを有し、上記電源部を構成する複数の電源回路のうち、上記第1電気部品の電源電圧となる出力電圧を発生させる電源回路の動作周波数が、上記第2電気部品の電源電圧となる出力電圧を発生させる電源回路の動作周波数よりも低いものとしてもよい。上記構成によれば、遊技制御用の第1電気部品の動作周波数を低くすることにより、第1電気部品の動作が安定化する。従って、動作周波数に起因したノイズ等による第1電気部品の誤動作を防止することができる。
【0258】
本発明の第2実施形態による遊技機は、機種共通の共通ユニット(例えば、遊技機枠3等)と、上記共通ユニットに取り付け可能な機種固有の固有ユニット(例えば、遊技盤2等)とを備えた遊技機であって、上記共通ユニットに設けられ、当該遊技機に備えられた電気部品の電源電圧を発生させる電源部(例えば、第1実施形態における可変電源回路1610、設定部1700、コネクタ部18に代えて、可変電源回路2610、設定部2700、コネクタ部28を備えた電源部1600等)と、上記固有ユニットに設けられ、上記固有ユニットが上記共通ユニットに取り付けられた場合に上記電源部と接続され、上記電源部により発生される電源電圧の値を設定する設定部(例えば、設定部2700等)と、を備え、上記設定部は、上記電源部により発生される電源電圧を切り替えるためのスイッチ(例えば、スイッチS等)を備える。本発明の第2実施形態によれば、上記固有ユニットが上記共通ユニットに取り付けられると、電源部により発生される電源電圧の値が、スイッチ回路の状態(閉状態/開状態)に応じた値になる。これにより、固有ユニットの電源仕様に応じて電源電圧を設定することができる。従って、多様な機種の固有ユニットに柔軟に対応することが可能になる。
【0259】
また、本発明の第2実施形態による遊技機において、上記電源部は、出力電圧が可変な複数の電源回路(例えば、複数の可変電源回路2610等)を備え、上記設定部は、上記複数の電源回路の各出力電圧を設定してもよい。上記構成によれば、複数の電源回路のそれぞれが発生させる出力電圧は、設定部で設定された値に個別に設定される。従って、用途に応じて単一または複数の電源電圧を柔軟に発生させることができる。
【0260】
また、本発明の第2実施形態による遊技機において、上記複数の電源回路は、上記設定部により設定された出力電圧を発生させる電源回路(例えば、可変電源回路1610〜1610等に対応する可変電源回路2610等)と、上記設定部の設定によらない所定の出力電圧を発生させる電源回路(例えば、可変電源回路1610A〜1610A等に対応する要素等)とを含んでもよい。上記構成によれば、所定の出力電圧は、設定部の設定によらずに発生される。従って、設定部の回路構成を簡略化することができる。
【0261】
また、本発明の第2実施形態による遊技機において、上記設定部は、上記固有ユニットの電気部品が設けられた第1基板(例えば、主基板11等)から独立した第2基板(例えば、設定部2700等が備えられた設定基板17等)に設けられ、上記電源部が設けられた第3基板(例えば、可変電源回路2610を備えた電源部1600が設けられた電源基板16等)と上記設定部が設けられた第2基板とが、上記固有ユニットの機種に対応した形状を有するコネクタ部(例えば、コネクタ部28等)を介して接続されてもよい。上記構成によれば、設定部が設けられた第2基板が他の基板から独立しているので、設定部を遊技機に備える際に、基板構成の変更を最小限に留めることができる。また、コネクタ部の形状が遊技機の機種に対応した形状を有するので、第3基板と第2基板との誤接続を防止し、電源電圧の誤設定を防止することができる。
【0262】
また、本発明の第2実施形態による遊技機において、上記電源部は、遊技制御用の電気部品に給電する電源回路として、固定された一定の出力電圧を発生させる電源回路(例えば、固定電源回路1610B,1610Bに対応する要素等)を更に備えてもよい。上記構成によれば、設定部による設定とは無関係に、遊技制御用の電源電圧として、固定された一定の電圧が発生される。従って、外乱等の影響が抑制された電源電圧を安定的に発生させることができ、これにより、電気部品の誤動作を防止することができる。
【0263】
また、本発明の第2実施形態による遊技機において、上記電気部品として、遊技制御用の第1電気部品(例えば、遊技盤用マイクロコンピュータ100等)と、演出制御用の第2電気部品(例えば、演出制御用CPU120等)とを有し、上記電源部を構成する複数の電源回路のうち、上記第1電気部品の電源電圧となる出力電圧を発生させる電源回路の動作周波数が、上記第2電気部品の電源電圧となる出力電圧を発生させる電源回路の動作周波数よりも低いものとしてもよい。上記構成によれば、遊技制御用の第1電気部品の動作周波数を低くすることにより、第1電気部品の動作が安定化する。従って、動作周波数に起因したノイズ等による第1電気部品の誤動作を防止することができる。
【0264】
本発明の第3実施形態による遊技機は、機種共通の共通ユニット(例えば、遊技機枠3等)と、上記共通ユニットに取り付け可能な機種固有の固有ユニット(例えば、遊技盤2等)とを備えた遊技機であって、上記共通ユニットに設けられ、当該遊技機に備えられた電気部品の電源電圧を発生させる電源部(例えば、第1実施形態における可変電源回路1610、設定部1700、コネクタ部18に代えて、可変電源回路3610、設定部3700、コネクタ部38を備えた電源部1600等)と、上記固有ユニットに設けられ、上記固有ユニットが上記共通ユニットに取り付けられた場合に上記電源部と接続され、上記電源部により発生される電源電圧の値を設定する設定部(例えば、設定部3700等)と、を備え、上記設定部は、上記電源部により発生される電源電圧を切り替えるための電圧信号を発生させて上記電源部に供給する電圧発生回路を備える。本発明の第3実施形態によれば、上記固有ユニットが上記共通ユニットに取り付けられると、電源部により発生される電源電圧の値が、設定部の電圧発生回路が発生させる電圧信号に応じた値になる。これにより、固有ユニットの電源仕様に応じて電源電圧を設定することができる。従って、多様な機種の固有ユニットに柔軟に対応することが可能になる。
【0265】
また、本発明の第3実施形態による遊技機において、上記電源部は、出力電圧が可変な複数の電源回路(例えば、複数の可変電源回路3610等)を備え、上記設定部は、上記複数の電源回路の各出力電圧を設定してもよい。上記構成によれば、複数の電源回路のそれぞれが発生させる出力電圧は、設定部で設定された値に個別に設定される。従って、用途に応じて単一または複数の電源電圧を柔軟に発生させることができる。
【0266】
また、本発明の第3実施形態による遊技機において、上記複数の電源回路は、上記設定部により設定された出力電圧を発生させる電源回路(例えば、可変電源回路1610〜1610等に対応する可変電源回路3610等)と、上記設定部の設定によらない所定の出力電圧を発生させる電源回路(例えば、可変電源回路1610A〜1610A等に対応する要素等)とを含んでもよい。上記構成によれば、所定の出力電圧は、設定部の設定によらずに発生される。従って、設定部の回路構成を簡略化することができる。
【0267】
また、本発明の第3実施形態による遊技機において、上記設定部は、上記固有ユニットの電気部品が設けられた第1基板(例えば、主基板11等)から独立した第2基板(例えば、設定部3700が備えられた設定基板17等)に設けられ、上記電源部が設けられた第3基板(例えば、可変電源回路3610を備えた電源部1600が設けられた電源基板16等)と上記設定部が設けられた第2基板とが、上記固有ユニットの機種に対応した形状を有するコネクタ部(例えば、コネクタ部38等)を介して接続されてもよい。上記構成によれば、設定部が設けられた第2基板が他の基板から独立しているので、設定部を遊技機に備える際に、基板構成の変更を最小限に留めることができる。また、コネクタ部の形状が遊技機の機種に対応した形状を有するので、第3基板と第2基板との誤接続を防止し、電源電圧の誤設定を防止することができる。
【0268】
また、本発明の第3実施形態による遊技機において、上記電源部は、遊技制御用の電気部品に給電する電源回路として、固定された一定の出力電圧を発生させる電源回路(例えば、固定電源回路1610B,1610Bに対応する要素等)を更に備えてもよい。上記構成によれば、設定部による設定とは無関係に、遊技制御用の電源電圧として、固定された一定の電圧が発生される。従って、外乱等の影響が抑制された電源電圧を安定的に発生させることができ、これにより、電気部品の誤動作を防止することができる。
【0269】
また、本発明の第3実施形態による遊技機において、上記電気部品として、遊技制御用の第1電気部品(例えば、遊技盤用マイクロコンピュータ100等)と、演出制御用の第2電気部品(例えば、演出制御用CPU120等)とを有し、上記電源部を構成する複数の電源回路のうち、上記第1電気部品の電源電圧となる出力電圧を発生させる電源回路の動作周波数が、上記第2電気部品の電源電圧となる出力電圧を発生させる電源回路の動作周波数よりも低いものとしてもよい。上記構成によれば、遊技制御用の第1電気部品の動作周波数を低くすることにより、第1電気部品の動作が安定化する。従って、動作周波数に起因したノイズ等による第1電気部品の誤動作を防止することができる。
【0270】
以上、本発明の実施形態を説明したが、パチンコ遊技機1の装置構成、データ構成、フローチャートで示した処理、表示装置5の表示領域における演出画像の表示動作を含めた各種の演出動作等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、任意に変更及び修正が可能である。
【0271】
例えば、上述の第1実施形態では、電源部1600を電源基板16に搭載するものとしたが、電源基板16を電源部1600の構成に含めてもよく、その逆であってもよい。設定基板17についても設定部1700の構成に含めてもよく、その逆であってもよい。その他の基板についても同様である。また、他の実施形態でも同様である。
また、上述の第1実施形態では、例えば複数の可変電源回路1610〜1610は同一の構成を有するものとしたが、設定部1700により個別に出力電圧を設定することができることを限度として、複数の可変電源回路1610〜1610の各構成は任意であり、各電源回路の回路形式や電流容量等を異ならせてもよい。他の実施形態でも同様である。
【0272】
また、上述の第1実施形態では、電気信号を伝達するものとしてコネクタ部18を構成したが、例えば、設定部1700により設定される出力電圧Voutの値に応じた光信号や機械的変位等を伝達するものとしてもよい。この場合、光信号や機械的変位等に基づいて、スイッチングレギュレータSRの制御端子TCに印加されるフィードバック信号の信号レベルを調整するための手段を各可変電源回路1610に備えればよい。その他の実施形態についても同様である。
また、上述の第1実施形態では、スイッチングレギュレータSRを用いて入力電圧を降圧するものとしたが、例えばトランスや昇圧コイルにより入力電圧を昇圧するものとして可変電源回路1610を構成してもよい。その他の実施形態についても同様である。
【0273】
また、例えば、第1実施形態においては、ROM101やROM121に記憶されている各種テーブルを説明の便宜上、表形式にて図示したが、必ずしも実際に表形式で記憶されている必要はない。例えば、ROM101には、図7(A)に示すように、乱数値MR1と比較される決定値と、特図表示結果(「大当り」「小当り」「ハズレ」)に対応づけた表形式の第1特図表示結果決定テーブル130Aが記憶されていてもよいが、乱数値MR1と比較されるいずれかの決定値が特定された場合(即ち、乱数値1を示す数値データが抽出された場合)に、図7(A)に示すように、その値(数値データ)に応じて、いずれかの特図表示結果が決定されるような情報(例えば、それぞれの特図表示結果に対応する決定値の範囲を規定する上限値や下限値、決定値を入力した場合にいずれかの特図表示結果を出力する数式やプログラムなど)が記憶されていてもよい。
【0274】
また、本発明は、上述した様に、パチンコ遊技機に限らず、スロットマシンなど、任意の遊技機に適用することができる。例えば、第1実施形態に係るパチンコ遊技機1(第2実施形態、第3実施形態に係るパチンコ遊技機も同様)は、遊技者が、遊技球(貸し球の場合もある)を遊技領域に発射して遊技(可変表示ゲーム)が行われる遊技機であったが、遊技者が、コイン(遊技媒体)を投入するなどして複数種類の図柄が配された各リールドラムを回転させた後、所定の操作によって各リールドラムを停止させる遊技(ドラム回転ゲームと称する)が行われる遊技機(いわゆるパチスロ機)にも本発明を適用することができる。
【0275】
即ち、上記パチスロ機は、機種共通の共通ユニット(例えば、コインを収納するホッパーや、操作部(各種ボタン、スタートレバー等)、及び、それらの制御回路等を含む、複数のパチスロ機に共通するユニット。以下、同様。)と、前記共通ユニットに取り付け可能な機種固有の固有ユニット(例えば、各リールドラムや、演出画像等を表示する表示部等、及び、それらの制御回路等を含む、機種ごとにパチスロ機が固有に備えるユニット。以下。同様)とを備えるものであって、前記共通ユニットに設けられ、当該パチスロ機に備えられた電気部品の電源電圧を発生させる電源部と、前記固有ユニットに設けられ、前記固有ユニットが前記共通ユニットに取り付けられた場合に前記電源部と接続され、前記電源部により発生される電源電圧の値を設定する設定部と、を備えるものであればよい。なお、例えば、共通ユニットは、概ね、パチスロ機の筐体の略下半分(及び背面部)を構成するユニットとして捉えることもでき、また、固有ユニットは、概ね、パチスロ機の筐体の略上半分を構成するユニットとして捉えることもできる。
【0276】
また、上記パチスロ機は、機種共通の共通ユニットと、前記共通ユニットに取り付け可能な機種固有の固有ユニットとを備えるものであって、前記共通ユニットに設けられ、当該パチスロ機に備えられた電気部品の電源電圧を発生させる電源部と、前記固有ユニットに設けられ、前記固有ユニットが前記共通ユニットに取り付けられた場合に前記電源部と接続され、前記電源部により発生される電源電圧の値を設定する設定部とを備え、前記設定部は、前記電源部により発生される電源電圧を切り替えるためのスイッチを備えるものであってもよい。
【0277】
また、上記パチスロ機は、機種共通の共通ユニットと、前記共通ユニットに取り付け可能な機種固有の固有ユニットとを備えるものであって、前記共通ユニットに設けられ、当該パチスロ機に備えられた電気部品の電源電圧を発生させる電源部と、前記固有ユニットに設けられ、前記固有ユニットが前記共通ユニットに取り付けられた場合に前記電源部と接続され、前記電源部により発生される電源電圧の値を設定する設定部とを備え、前記設定部は、前記電源部により発生される電源電圧を切り替えるための電圧信号を発生させて前記電源部に供給する電圧発生回路を備えるものであってもよい。
【0278】
また、プリペイドカードや会員カード等の遊技用記録媒体の記録情報より特定される大きさの遊技価値である度数を使用して、遊技に使用するための遊技得点を付与すると共に、付与された遊技得点又は遊技による入賞により付与された遊技得点を使用して遊技機内に封入された遊技球を遊技領域に打ち込んで遊技者が遊技を行う遊技機にも本発明を適用することができる。
【0279】
即ち、遊技領域に設けられた始動領域を遊技媒体が通過したことに基づいて、各々が識別可能な複数種類の識別情報の可変表示を行い表示結果を導出表示する可変表示手段を備え、可変表示手段に予め定められた特定表示結果が導出表示されたときに、遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御する遊技機であるが、遊技得点が0でないときに遊技得点を使用して遊技機内に封入された遊技球を遊技領域に打ち込んで遊技が行われ、遊技球の打ち込みに応じて遊技得点を減算し、遊技領域に設けられた入賞領域に遊技球が入賞することに応じて遊技得点を加算する遊技機にも本発明を適用できる。そのような遊技機は、遊技得点の加算に使用可能な遊技用価値の大きさを特定可能な情報が記録された遊技用記録媒体を挿入するための遊技用記録媒体挿入口と、遊技用記録媒体挿入口に挿入された遊技用記録媒体に記録されている記録情報の読み出しを行う遊技用記録媒体処理手段を備えていてもよい。
【0280】
本発明を実現するためのプログラム及びデータは、パチンコ遊技機1に含まれるコンピュータ装置等に対して、着脱自在の記録媒体により配布・提供される形態に限定されるものではなく、予めコンピュータ装置等の有する記憶装置にプリインストールしておくことで配布される形態を採っても構わない。さらに、本発明を実現するためのプログラム及びデータは、通信処理部を設けておくことにより、通信回線等を介して接続されたネットワーク上の、他の機器からダウンロードすることによって配布する形態を採っても構わない。
【0281】
そして、ゲームの実行形態も、着脱自在の記録媒体を装着することにより実行するものだけではなく、通信回線等を介してダウンロードしたプログラム及びデータを、内部メモリ等に一旦格納することにより実行可能とする形態、通信回線等を介して接続されたネットワーク上における、他の機器側のハードウェア資源を用いて直接実行する形態としてもよい。さらには、他のコンピュータ装置等とネットワークを介してデータの交換を行うことによりゲームを実行するような形態とすることもできる。
【符号の説明】
【0282】
1 … パチンコ遊技機
2 … 遊技盤
3 … 遊技機用枠(遊技枠)
4A、4B … 特別図柄表示装置
5 … 表示装置
5HL … 第1始動入賞記憶表示エリア
5HR … 第2始動入賞記憶表示エリア
5H … 始動入賞記憶表示エリア
6A … 普通入賞球装置
6B … 普通可変入賞球装置
7 … 特別可変入賞球装置
8 … スピーカ
9 … ランプ
11 … 主基板
12 … 演出制御基板
13 … 音声制御基板
14 … ランプ制御基板
15 … 中継基板
16 … 電源基板
17 … 設定基板
18、28、28B、38 … コネクタ部
20 … 普通図柄表示器
21 … ゲートスイッチ
22A … 第1始動口スイッチ
22B … 第2始動口スイッチ
23 … カウントスイッチ
31A … スティックコントローラ
31B … プッシュボタン
100 … 遊技制御用マイクロコンピュータ
101、121 … ROM
102、122 … RAM
103 … CPU
104、124 … 乱数回路
105、125 … I/O
120 … CPU
1600、1600A、1600B … 電源部
1609 … 整流部
1609,1609 … 全波整流回路
1610、1610〜1610、1610A、2610、2610B、3610 … 可変電源回路
1610A〜1610A … 可変電源回路(出力電圧固定)
1610B、1610B … 固定電源回路
1700、2700、2700A、2700B、3700 … 設定部
R17 … 抵抗
S … スイッチ
VB … 電圧発生回路
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