特許第6409181号(P6409181)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6409181
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】分電盤
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/40 20060101AFI20181015BHJP
   H02B 1/42 20060101ALI20181015BHJP
   H01H 73/08 20060101ALI20181015BHJP
【FI】
   H02B1/40 D
   H02B1/42
   H01H73/08
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-86043(P2014-86043)
(22)【出願日】2014年4月18日
(65)【公開番号】特開2015-208070(P2015-208070A)
(43)【公開日】2015年11月19日
【審査請求日】2017年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(72)【発明者】
【氏名】浅野 太郎
(72)【発明者】
【氏名】篠原 祐二
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−178127(JP,A)
【文献】 特開昭56−098307(JP,A)
【文献】 特開平10−075509(JP,A)
【文献】 特開2007−288963(JP,A)
【文献】 特開2006−092913(JP,A)
【文献】 特開2013−183581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/40
H01H 73/08
H02B 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
母線バーと、この母線バーに接続される分岐ブレーカを着脱自在に固定する固定部材を備えた分岐ブレーカ取付部と、単極の導体を保持し、前記分岐ブレーカ取付部に着脱自在に固定した導体接続部とを備え、前記固定部材は前後一対の爪部を備え、前記導体接続部はこれらの爪部に対応する係止部を備え、前記導体接続部を導体を介して母線バーのN相に接続し、この導体接続部と、母線バーの他の相に接続した分岐ブレーカとを一対として負荷に電力を供給することを特徴とする分電盤。
【請求項2】
前記導体接続部は、分岐ブレーカの1極分の幅を有するものであることを特徴とする請求項1記載の分電盤。
【請求項3】
前記導体接続部を母線バーの全ての相に個別に接続し、送り端子台を構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の分電盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、母線バーと分岐ブレーカとを備えた分電盤に関するものであり、特に三相4線方式に適した分電盤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な三相3線式方式の分電盤は3相の母線バーを備えたものであるが、この他にN相の母線バーを持つ三相4線方式の分電盤がある。この分電盤は三相4線の特殊な工場設備に電力を供給するために使用されるが、三相3線の一般動力負荷や、電灯等の単相負荷にも電力を供給することができるものである。
【0003】
このような分電盤としては、N相を分電盤の最下部に配置したニュートラルスイッチに接続した構造が一般的である。しかし分岐回路に多数の分岐ブレーカを配置した場合、各分岐ブレーカとニュートラルスイッチから負荷への配線をそれぞれ引き出さねばならないため、配線が混乱するという問題があった。
【0004】
特許文献1には三相4線方式の分電盤が記載されており、この特許文献1ではN相の母線バーを中段に配置し、3相の母線バーをその上下に配置した構造となっている。しかしこの場合には、負荷への配線方式が母線バーの配置により決定されてしまい、自由度が制約されてしまうという問題があった。また、片側は3本の母線バーのみ分岐ブレーカに接続できるので、三相4線の配線が困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−278821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、異なる極数のブレーカが混在した場合でも、無駄なスペースが生ずることがなく、また負荷への配線の混乱も防止できる分電盤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を達成するためになされた本発明の分電盤は、母線バーと、この母線バーに接続される分岐ブレーカを着脱自在に固定する固定部材を備えた分岐ブレーカ取付部と、単極の導体を保持し、前記分岐ブレーカ取付部に着脱自在に固定した導体接続部とを備え、前記固定部材は前後一対の爪部を備え、前記導体接続部はこれらの爪部に対応する係止部を備え、前記導体接続部を導体を介して母線バーのN相に接続し、この導体接続部と、母線バーの他の相に接続した分岐ブレーカとを一対として負荷に電力を供給することを特徴とするものである。
【0009】
本発明においては、請求項3のように、前記導体接続部を母線バーの全ての相に個別に接続し、送り端子台を構成した構造とすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の分電盤は、分岐ブレーカを着脱自在に固定する固定部材を備えた分岐ブレーカ取付部と、単極の導体を保持し、前記分岐ブレーカ取付部に着脱自在に固定した導体接続部とを備えた構造であるから、分岐ブレーカや導体接続部の位置を変更することによって、異なる極数のブレーカが混在した場合でも、無駄なスペースが生ずることがない。また、分岐ブレーカと導体接続部とを隣接配置することができるので、負荷への配線の混乱も防止することができる。さらに本発明によれば、N相に接続した導体接続部と、母線バーの他の相に接続した分岐ブレーカとを一対として負荷に電力を供給するので、配線をまとめることができ、配線の混乱を防止することができる。
【0011】
また本発明の分電盤は、別途取付部材を用いることなく、容易に導体接続部を取付け可能である。
【0012】
請求項2の発明によれば、導体接続部は分岐ブレーカの1極分の幅を有するものであるから、異なる極数のブレーカが混在した場合でも、無駄なスペースが生ずることがない。
【0014】
請求項3の発明によれば、N相への接続と電源送りの両方の用途で導体接続部を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態の分電盤を示す平面図である。
図2】実施形態の分電盤を示す斜視図である。
図3】要部の分解斜視図である。
図4】電源送りを行なう場合の配置例を示す平面図である。
図5】電源送りを行なう場合の他の配置例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施形態を説明する。
図1は実施形態の分電盤の平面図、図2は斜視図である。この実施形態の分電盤は三相4線方式であり、R,S,Tの三相の母線バー1、2、3が三角形の頂点の位置となるように積層配置されるとともに、N相の母線バー4が上部の母線バーの片側側方に配置されている。これらの母線バーは図示を省略した主幹ブレーカの二次側に接続されている。図示のように、各母線バー1,2,3,4には一定間隔で接続孔5が形成されている。
【0017】
これらの母線バーには、分岐ブレーカ6,7,8が接続されている。分岐ブレーカの極数は任意であり、図示の実施形態では分岐ブレーカ6は3極であり、分岐ブレーカ7,8は1極である。なお実際には更に多数の分岐ブレーカを接続することができる。前記接続孔5の間隔は、1極の分岐ブレーカ7,8の幅と略等しくなっている。
【0018】
図示の実施形態では、各分岐ブレーカ6,7,8に隣接させて導体接続部9が配置されている。以下に図3を参照しつつ、その詳細を説明する。
【0019】
先ず各分岐ブレーカ6,7,8は従来と同様に、取付基板に形成された分岐ブレーカ取付部11に着脱自在に固定されている。分岐ブレーカ取付部11は、固定部材14を備え、固定部材14は前後一対の爪部12、13で構成されている。固定部材14は1極の分岐ブレーカ7,8の幅と等しい間隔で形成されているので、その整数倍の幅を持つ分岐ブレーカを着脱自在に固定することができる。
【0020】
導体接続部9はこの分岐ブレーカ取付部11上に形成される。導体保持具15は図3に示すように直線状に延びる平板からなる単極の導体16を保持する部材であり、導体受け部17の上に載せた導体16を固定ねじ10によって固定して保持することができるものである。図2に示されるように、この実施形態ではN相の母線バー4から分岐させたリードバー19を導体接続部9の導体16に接続しているが、導体16の先端を延ばしてN相の母線バー4に直接接続してもよい。18は導体16の前後に設けられた電線や導体の接続ねじである。
【0021】
この実施形態では、導体保持具15は取付金具20の上面にねじ21により固定されている。この取付金具20は金属板をコの字状に折り曲げ形成したものであり、固定部材14の前後一対の爪部12、13を嵌合することができる係止孔22、23を前後に備えている。このため別の取付部材を用いることなく、導体保持具15を分岐ブレーカ取付部11の任意の位置に着脱自在に固定することができる。しかし導体保持具15を分岐ブレーカ取付部11の固定部材14に直接取り付けることができる構造としておけば、取付金具20は省略することも可能である。このように、導体接続部9は導体保持具15と取付金具20とから構成しても、あるいは導体保持具15だけで構成してもよい。
【0022】
導体保持具15の幅も1極の分岐ブレーカ7,8の幅と略等しくなっている。このような構造とすることにより、異なる極数の分岐ブレーカが混在した場合や、異なる配線方式で電源を負荷に供給した場合にも、無駄なスペースを生ずることなく分岐ブレーカ取付部11に導体接続部9を形成することができる。
【0023】
図1に示されるように、導体保持具15の長さは分岐ブレーカの長さよりも短く、実施形態では約半分の長さである。そして導体保持具15は取付金具20の母線バーに近い側に取付けられている。これによって導体16の長さを短くすることができるとともに、十分な配線スペースを確保することができる利点が生じる。
【0024】
図1図2に示す実施形態では、3極の分岐ブレーカ6はR,S,Tの三相の母線バー1、2、3に接続導体24により接続されている。またそれに隣接配置された導体接続部9が、導体16とリードバー19とによってN相の母線バー4に接続されている。このため3極の分岐ブレーカ6の負荷側端子と導体接続部9の電線を接続することにより、三相4線負荷に電源を供給することができる。また1極の分岐ブレーカ7,8はR,S,Tの三相の母線バー1、2、3の何れかに接続導体24により接続されるとともに、隣接配置された導体接続部9が、導体16とリードバー19とによってN相の母線バー4に接続されている。このため1極の分岐ブレーカ7、8の負荷側端子と導体接続部9の電線を接続することにより、単相負荷に電源を供給することができる。このように、導体接続部9を導体16を介して母線バーのN相に接続し、この導体接続部9と、母線バーの他の相に接続した分岐ブレーカとを一対として負荷に電力を供給することができる。
【0025】
上記のように、三相4線方式の分電盤では分岐の仕方によっていくつかの配線方式で出線することが可能であるため、異なる極数の分岐ブレーカ6、7、8が混在する場合がある。しかし本発明によれば分岐ブレーカ取付部11上の任意の位置に導体接続部9を形成することができるので、無駄なスペースが生ずることがなく、しかも常に分岐ブレーカとその隣接位置から負荷への配線を引出すことができるので配線が混乱することがない。
【0026】
また図4は上記した導体接続部9を電源送り用として使用した実施形態を示している。図4では左側に3極の分岐ブレーカ6が配置され、その右側は3極の分岐ブレーカ6に替えて導体接続部9が設置されている。このように導体接続部9を母線バーの全ての相に個別に接続し、送り端子台を構成し、他の機器に電源送りを行なうことができる。前記したように導体接続部9は分岐ブレーカよりも短いため、左右幅を短縮させて分電盤の小型化が可能となる。また図5は別の位置に導体接続部9を設置した例を示す図である。図4、5のような導体接続部9の配置が可能な為、電源送りを母線バーの任意の位置から配線することができる。
【0027】
上記した実施形態の分電盤は三相4線方式の分電盤であり、導体接続部9をN相に接続して使用した。しかし本発明は三相4線方式の分電盤に限定されるものではなく、単相3線方式などの他の配線方式の分電盤にも適用可能である。
【0028】
以上に説明したように、本発明の分電盤は、異なる極数のブレーカが混在した場合や、異なる配線方式で電源を負荷に供給する場合でも、無駄なスペースが生ずることがなく、また負荷への配線の混乱も防止できる利点がある。
【符号の説明】
【0029】
1 母線バー(R相)
2 母線バー(S相)
3 母線バー(T相)
4 母線バー(N相)
5 接続孔
6 分岐ブレーカ(3極)
7 分岐ブレーカ(単極)
8 分岐ブレーカ(単極)
9 導体接続部
10 固定ねじ
11 分岐ブレーカ取付部
12 爪部
13 爪部
14 固定部材
15 導体保持具
16 導体
17 導体受け部
18 接続ねじ
19 リードバー
20 取付金具
21 ねじ
22 係止孔
23 係止孔
24 接続導体
図1
図2
図3
図4
図5