(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6409182
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】電気機器収納箱用換気装置
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20181015BHJP
F24F 13/08 20060101ALI20181015BHJP
【FI】
F24F7/06 B
F24F13/08 B
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-105882(P2014-105882)
(22)【出願日】2014年5月22日
(65)【公開番号】特開2015-222132(P2015-222132A)
(43)【公開日】2015年12月10日
【審査請求日】2017年3月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕正
(72)【発明者】
【氏名】高尾 和希
【審査官】
関口 知寿
(56)【参考文献】
【文献】
実開平06−031196(JP,U)
【文献】
特開2010−267751(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0067875(US,A1)
【文献】
特開平11−112176(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0077304(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/007
F24F 7/06
F24F 13/08
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネットの換気口の外側に配置されたルーバと、このルーバを前記キャビネットの内側から固定するルーバ取付部材と、このルーバの開口部に位置するファンとを備えた電気機器収納箱用換気装置において、前記ルーバ取付部材と前記ファンとの間に、前記換気口の全体を覆う風抜防止部材を設けるとともに、前記ルーバと前記ルーバ取付部材との間に挟み込まれるように、前記ファン及び前記風抜防止部材を取付けるファン取付部材を設け、前記風抜防止部材はこのファン取付部材の全体を覆うように形成したことを特徴とする電気機器収納箱用換気装置。
【請求項2】
前記風抜防止部材を前記換気口の周囲の全周にわたって前記キャビネットの壁面に当接させたことを特徴とする請求項1記載の電気機器収納箱用換気装置。
【請求項3】
前記風抜防止部材は、箱状体であり、前記ファンの排気口又は吸気口の開口以上の大きさに形成した通風口と、前記ファンを取付けるファン取付箇所を備えたことを特徴とする請求項1記載の電気機器収納箱用換気装置。
【請求項4】
前記風抜防止部材は前記風抜防止部材と前記ファンを前記ファン取付部材に同時に取付ける貫通孔を一方の対角位置に形成し、前記ファンを前記風抜防止部材に取付けるネジ孔を他方の対角位置に形成したことを特徴とする請求項1記載の電気機器収納箱用換気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルーバとファンとを備えた電気機器収納箱用換気装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気機器収納箱用換気装置としては、キャビネットの換気口の外側にルーバを配置した構造が広く使用されている。キャビネットの換気口が円形の場合、ルーバに一体成形された筒状部を換気口を通じてキャビネットの内側に突出させ、その外周面に形成されたオネジにナット状のルーバ取付部材を螺合させてルーバを固定する構造が普通である。
【0003】
また特許文献1に示されるように、ルーバには後付けでファンを取付けることがある。ファンの排気口と吸気口が同一サイズの場合には問題はないが、ファンの通風路は排気側に向かって拡大され、排気口と吸気口のサイズや形状が異なる場合が多く、この場合にはルーバの筒状部とファンの通風路を一致させることが困難である。
【0004】
すなわち、吸気側の換気口においてはファンの吸気口がルーバ側を向き、排気側の換気口においてはファンの排気口がルーバ側を向くこととなるが、このようにファンの向きを変えるとルーバの筒状部にファンの吸気口や排気孔を隙間なく合わせることができなくなる。このため、排気側の換気口においてはファンの排気口の一部がルーバの筒状部の外側に達するため、ファンからの排気の一部がキャビネットの外部に送られず、キャビネット内部に漏れて換気効率が低下するおそれがあった。
【0005】
なお、パッキン等を用いて隙間を閉塞し、ファンからの排気がキャビネット内部に漏れることを防止することも考えられるが、施工が困難となるという別の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平6−31196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、ファンの向きを変えた場合にもファンからの排気がキャビネット内部に漏れることがなく、しかも施工性に優れた電気機器収納箱用換気装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するためになされた本発明は、キャビネットの換気口の外側に配置されたルーバと、このルーバを
前記キャビネットの内側から固定するルーバ取付部材と、このルーバの開口部に位置するファンとを備えた電気機器収納箱用換気装置において、前記ルーバ取付部材と
前記ファンとの間に、前記換気口の全体を覆う風抜防止部材を設け
るとともに、前記ルーバと前記ルーバ取付部材との間に挟み込まれるように、前記ファン及び前記風抜防止部材を取付けるファン取付部材を設け、前記風抜防止部材はこのファン取付部材の全体を覆うように形成したことを特徴とするものである。
【0009】
請求項2の発明は請求項1の発明において、前記風抜防止部材を
前記換気口の周囲の全周にわたって
前記キャビネットの壁面に当接させたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項3の発明は請求項1の発明において、前記風抜防止部材は、箱状体であり、前記ファンの排気口又は吸気口の開口以上の大きさに形成した通風口と、前記ファンを取付けるファン取付箇所を備えたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項4の発明は請求項1の発明において、前記風抜防止部材は前記風抜防止部材とファンを前記ファン取付部材に同時に取付ける貫通孔を一方の対角位置に形成し、前記ファンを前記風抜防止部材に取付けるネジ孔を他方の対角位置に形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ルーバ取付部材とファンとの間に、前記換気口の全体を覆う風抜防止部材を設けたことにより、ファンからの排気がキャビネット内部に漏れることを防止することができる。またこの構造はパッキン等による隙間閉塞に比較して、施工性に優れる。
また、風抜防止部材によってキャビネット内に位置する換気装置全体を覆うことができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、風抜防止部材を換気口の周囲の全周にわたってキャビネットの壁面に当接させたことにより、ファンからの排気がキャビネット内部に漏れることを完全の防止することができ、しかも風抜防止部材を簡易な構造とすることができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、ファンから直接風抜防止部材に排気することができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、ファンを風抜防止部材に取付けた状態でファン取付部材に取付けることができるので、施工性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
図1は本発明の実施形態を示す斜視図、
図2と
図3はその分解図である。これらの図において、1は電気機器収納用キャビネットの壁面であり、一部のみが矩形に切り取られた状態で図示されている。この壁面はキャビネットの側板であっても、扉であっても、背面板であってもよい。
【0022】
2はキャビネットに形成された円形の換気口である。
図8、
図9に示されるように、換気口2にはキャビネットの外側からルーバ3が取付けられる。ルーバ3は合成樹脂製であり、ルーバ本体の背面には換気口2に挿入される筒状部4が一体成形されている。この筒状部4の外周面にはオネジ5が形成されており、
図3に示すようにキャビネットの内側からこのオネジ5にナット状のルーバ取付部材6を螺合させ、ルーバ3を固定している。また、換気口2の内周上とオネジ5の外周上には直線状に切り欠いた直線部21をそれぞれ対応して形成しており、直線部21がそれぞれ当接することでルーバ3がキャビネットに対して回転しない構造となっている。なお、本実施形態では、換気口2は円形としたが、四角形など他の形状であってもよい。
【0023】
上記の構造は従来と同様であるが、この実施形態ではキャビネットの壁面1とルーバ取付部材6との間に挟み込まれるように、ファン取付部材7が取付けられている。またこのファン取付部材7に、ファン8と風抜防止部材9とが取付けられている。
【0024】
ファン取付部材7は四角形の平板であり、
図4に示すようにその中央に筒状部4を通すことができる孔10を備えている。
図3、
図4に示すように、一方の対角にはネジ孔11を備えたネジ止め用座部12がコ字状に折曲形成されている。
図3に示されるように、ファン取付部材7の孔10にルーバ3の筒状部4を通したうえでルーバ取付部材6を螺合させることにより、ファン取付部材7はキャビネットの壁面1の内面に密着固定される。なお、取付けた状態において、ネジ止め用座部12はルーバ取付部材6の厚さよりもキャビネットの壁面1からキャビネット内側の位置に形成してあり、ルーバ取付部材6との干渉をなくしている。またファン取付部材7の平板部を貫通させることなく、ファン8と風抜防止部材9とを取付けることができる。なお、オネジ5の外周状に形成した直線部21と対応して、孔10の内周上にも直線部21を形成しておけばファン取付部材がキャビネットやルーバ3に対する回転を防止することができる。
【0025】
ファン8は従来と同様のものであり、前記したようにファン8の通風路は排気側に向かって拡大されている。このため、吸気口13は
図6のように円形であるが、排気口14は
図7に示すように、吸気口13よりもサイズが大きい8角形となっている。なお、ファン8は後付け部材である。
【0026】
風抜防止部材9は
図5に示すような浅い箱状体であり、その中央部にファン8の排気口14の開口以上の大きさに通気口15が形成されている。またその周縁部16はファン取付部材7のネジ止め用座部12の外側に嵌め込むことができるように折り曲げられている。折り曲げ深さはネジ止め用座部12の突出量とほぼ等しくし、取付状態において風抜防止部材9の周縁部16の先端が、換気口2の周囲の全周にわたってキャビネットの壁面1に当接するようにしておく。
【0027】
風抜防止部材9は、風抜防止部材9とファン8をファン取付部材7に同時に取付けるための貫通孔17を一方の対角位置に形成し、ファン8を風抜防止部材9に取付けるネジ孔18を他方の対角位置に形成したものである。このネジ孔18の付近がファン取付箇所となる。このため、先ずファン8を風抜防止部材9にネジ19によって固定したうえ、ネジ20によって風抜防止部材9をファン8とともにファン取付部材7のネジ止め用座部12に固定することができるので、施工性がよい。またファン8は四隅をネジ19,20により固定されるので、がたつくことがない。なお、ファン取付部材7の一方の対角にのみネジ止め用座部12を形成してあるので、ネジ止め用座部12が邪魔になることなく、ルーバ取付部材6を手で回して締め付けることができる。
【0028】
図8は上記のようにして固定された後の排気側の断面図である。
図8に示されるように、ファン8の排気口14は吸気口13よりも拡大されている。風抜防止部材9の通気口15は排気口14の開口以上の大きさに形成されることによって、ファン8からの排気が風抜防止部材9に干渉されることを防ぐことができる。また、ファン8は風抜防止部材9の通気口15の周囲に当接し、風抜防止部材9の周縁部16の先端はキャビネットの壁面1に当接しているので、風抜防止部材9によってキャビネット内に位置する換気装置全体を覆うことができ、ファン8からの排気がキャビネット内部に漏れることがない。しかも風抜防止部材9を簡易な構造とすることができる。なお、吸気側では
図9に示すようにファン8は向きを変えて風抜防止部材9に取付けられるが、この場合にもファン8は風抜防止部材9の通気口15の周囲に当接し、風抜防止部材9の通気口15は吸気口13の開口以上の大きさに形成されることとなり、支障はない。
【0029】
なお参考のため、
図10に従来構造を示す。風抜防止部材9のない
図10の従来構造では、矢印で示すようにファン8からの排気がキャビネット内部に漏れている。
【0030】
以上に説明したように、本発明の電気機器収納箱用換気装置は、排気側と吸気側でファン8の向きを変えた場合にも、ファン8からの排気がキャビネット内部に漏れることがなく、しかも施工性に優れたものである。
【符号の説明】
【0031】
1 キャビネットの壁面
2 換気口
3 ルーバ
4 筒状部
5 オネジ
6 ルーバ取付部材
7 ファン取付部材
8 ファン
9 風抜防止部材
10 孔
11 ネジ孔
12 ネジ止め用座部
13 吸気口
14 排気口
15 通気口
16 周縁部
17 貫通孔
18 ネジ孔
19 ネジ
20 ネジ
21 直線部