【課題を解決するための手段】
【0008】
特開2013−81781号は当出願人の出願になる、笛部を有する往復動体が往復動し得るように筒部の中に納められており、この筒部が、中空体に設けた開口部の内側に、この開口部を流通する空気流により前記笛部が奏鳴して前記筒部内で反響し得るように、取り付けられていると共に、前記往復動体が舌状体を備えており、前記往復動体が往復動するのに連れて前記舌状体が前記開口部の付近で往復動するように、設けられている笛玩具
である。
【0009】
この笛部の鳴り方には2種類がある。(1)中空体が主として笛部が往復動する方向に振られると、笛部はそれ自体の重量により筒部内を往復動して音を発する。筒部内を笛部が移動すると、筒部内の反響スペースが大きくなったり小さくなったりするために、変化のある奏鳴が生ずる。すなわち筒部内の反響スペースが、往復動体の往復動に従って増減するが、往復動体には笛部が設けてありこの笛部から発生する音が上記反響スペースを通ることになる。この中空体の開口部を流通する空気流は笛部を通過するために笛部を奏鳴させることが出来るのである。なおこの現象は、従来のボールに開口部を設けてこの内側に、
特開2013−81781号で用いた往復動する笛ではない、ごく普通の笛を取り付けただけのものでは見ることが出来ない。(2)中空体は手で持つことで圧縮されて、中空体内部の空気が開口部の内側に設けられた笛部を通り開口部より中空体の外へと流通する。この際の笛部での空気流通によって笛部が鳴る。また投げたボールが床に落ちたりキャッチボールのように相手が受け止めたりする時の中空体の圧縮によっても笛部が鳴る。この場合も(1)と同様に空気流によって奏鳴し筒部内で反響して変化のある奏鳴が生ずる。なお中空体が弾性を備えていれば、上記圧縮から弾性反発する際に、今度は中空体外部の空気が開口部より中空体の中へ流通する時に開口部の内側に設けた笛部を通ることでもこの笛部が鳴る。そして実際の遊びでは(1)と(2)との鳴り方が一緒になって起こることが多く、それだけ目新しく興味深いものとなっているのである。
【0010】
上記中空体は一般的にはボールであり弾性を備えていることが望ましいが、外形は球体に拘るものではなく、動物などの具象体であっても良く、また中空体が布製などのぬいぐるみを被った構成としても良い。また上記筒部の、上記笛部が往復動する方向の上記筒部に対面する部位に、空気流を妨げないようにしてクッションが設けられているものとしても良い。筒部と往復動体(笛部)の材質によっては往復動する往復動体が筒部に当たってカチカチと言うような音を発する場合がある。これを良しとしないのであれば筒部と往復動体の間に何らかのクッションを介在させることが出来る。クッションには紙や布、スポンジ、ゴム板などを任意に用いることが可能である。なお後述する請求項7の発明では、往復動体が弾性体を介して往復動するように構成されているが、仮に往復動体が筒部に当たる問題があるのであればクッションを用いるようにしても良い。なお弾性体がコイルバネの場合もある。このような各種の工夫は、後述する他の発明に於いても必要に応じて適宜採用することができる。
【0011】
ところで
特開2013−81781号では、前記往復動体が舌状体を備えており、前記往復動体が往復動するのに連れて前記舌状体が前記開口部の付近で往復動するように設けられている。上述したように中空体は手で圧縮されると、中空体内部の空気が開口部の内側にある筒部内の往復動体を動かして開口部より中空体の外へと流通する。逆に上記圧縮から復帰する際には、中空体外部の空気が開口部より中空体の中へと流通して往復動体を動かす。このことは往復動体の往復動としても現れるから、往復動体に設けた舌状体の往復動となって現れる。従って中空体を手で圧縮すると、舌状体が中空体の上記舌用開口部から外方向に出るように動くし、また中空体に弾力性があれば手の力を緩めることで、舌状体が開口部から内方向に入るように動作する。このような動作の様子を笛部の奏鳴と共に楽しむことが出来るのである。なお上記中空体が人形であると面白い。上記開口部が人形の口の部位に当たるわけで、笛部の奏鳴と共に人形の口を出入りする舌状体の様子が見られるためである。なお後述するように、上記開口部ではない舌状体専用の開口部を設ける、すなわち舌用開口部を別途設ける設計も可能である。
【0012】
また特開2013−81781号は、往復動体が往復動し得るように筒部の中に納められており、この筒部が中空体に設けた開口部の内側に取り付けられており、前記筒部の前記中空体への取り付け部とは反対側の筒口部に笛部が、前記開口部と前記筒口部との間を流通する空気流によって奏鳴して前記筒部内で反響し得るように、取り付けられていると共に、前記往復動体が舌状体を備えており、前記往復動体が往復動するのに連れて前記舌状体が前記開口部の付近で往復動するように設けられている笛玩具
である。この笛部の鳴り方は基本的には上述した
通りであるが、笛部は往復動体と共には動かず、笛部は筒部側に固定されている点で異なる。しかしながら笛部は筒部内、すなわち上記開口部と筒口部との間を流通して上記筒口部を通過する空気流によって鳴るものであり、また笛部から発生する音は筒部内に於ける往復動体の往復動に従って増減する反響スペースを通過するものである。
【0013】
なお中空体は手で圧縮されると、中空体内部の空気が開口部の内側にある筒部内の往復動体を動かして開口部より中空体の外へと流通し、逆に上記圧縮から復帰する際には中空体外部の空気が開口部より中空体の中へと流通して往復動体を動かす。この時の往復動体の往復動は往復動体に設けた舌状体の往復動となって現れるから、中空体を手で圧縮すると舌状体が中空体の上記舌用開口部から外方向に出るように動くし、また中空体に弾力性があれば手の力を緩めることで、舌状体が開口部から内方向に入るように動作する。このような動作の様子を笛部の奏鳴と共に楽しむことが出来る。なお上記中空体が人形であるとなお興味深いものとなる
【0014】
また特開2013−81781号は、往復動体が往復動し得るように筒部の中に納められており、この筒部が中空体に設けた開口部の内側に取り付けられており、前記筒部の、前記開口部と前記往復動体との間の、壁面に通気部が設けられており、この通気部の外側に笛部が、前記開口部と前記通気部との間を流通する空気流によって奏鳴して前記筒部内で反響し得るように取り付けられていると共に、前記往復動体が舌状体を備えており、前記往復動体が往復動するのに連れて前記舌状体が前記開口部の付近で往復動するように設けられている笛玩具
である。この笛部の鳴り方は次のようである。すなわち(1)中空体が主として往復動体が往復動する方向に振られると、往復動体はそれ自体の重量によって筒部内を往復動して筒部内の反響スペースが大きくなったり小さくなったりする。また中空体の開口部を流通する空気流は、筒部の壁面に設けた通気部やこの通気部の外側に設けた笛部を通って笛部を奏鳴させる。この笛部で生じた音が上記反響スペースを通ることになるため変化のある音が発せられることになる。なおこの現象は、従来のボールに開口部を設けてこの内側に、
特開2013−81781号で用いた往復動する笛ではない、ごく普通の笛を取り付けただけのものでは見ることが出来ない。(2)中空体は手で持つことで圧縮されて、中空体内部の空気が開口部の内側に設けられた筒部や、筒部の壁面にある通気部の外側に設けた笛部を通り、開口部より中空体の外へと流通する。この際の笛部での空気流通によって笛部が鳴る。また投げたボールが床に落ちたりキャッチボールのように相手が受け止めたりする時の中空体の圧縮によっても笛部が鳴る。なお中空体が弾性を備えていれば、上記圧縮から弾性反発する際に、今度は中空体外部の空気が開口部より中空体の中へ流通する時に、筒部の外側の笛部を通ることでも笛部が鳴る。そして実際の遊びでは(1)と(2)の鳴り方が一緒になって起こることが多く、それだけ目新しく興味深いものとなっているのである。
【0015】
ところで
特開2013−81781号では、前記往復動体が舌状体を備えており、前記往復動体が往復動するのに連れて前記舌状体が前記開口部の付近で往復動するように設けられている。上述したように中空体内部の空気の流通は往復動体に往復動を起こすため、往復動体に設けられている舌状体にも往復動が起き、舌状体が中空体の上記開口部から外方向に出たり内方向に入るように動作する。このようして笛部の奏鳴と共に舌状体の動作の様子を楽しむことができるのである。なお上記中空体が人形であると、その口を出入りする舌状体の様子が見られるため面白い。なお後述するように、上記開口部ではない舌状体専用の開口部を設ける、すなわち舌用開口部を別途設ける設計も可能である。
【0016】
さて、上述した特開2013−81781号の説明を踏まえて、本願発明の課題は、笛部を有する往復動体が往復動し得るように笛用筒部の中に納められており、この笛用筒部が、中空体に設けた開口部の内側に、この開口部を流通する空気流によって前記笛部が奏鳴して前記笛用筒部内で反響し得るように取り付けられていると共に、前記往復動体とは別の、
長尺の舌状体を有する往復動体である往復舌が舌用筒部の中に納められており、この舌用筒部が、中空体に設けた開口部の内側に、この開口部を流通する空気流によって往復動し得るように取り付けられている、笛玩具とすることによって達成される。
【0017】
特開2013−81781号では、筒部の中に納められた往復動体が舌状体を備えており、往復動体が往復動するのに連れて舌状体が開口部の付近で往復動するように設けられている。これに対して
本願請求項1の発明では、舌状体を往復動体に設けていない。すなわち笛用筒部とは別に舌用筒部を設けて、この舌用筒部の中に、
長尺の舌状体を有する往復動体である所の往復舌を納めるようにしたのである。従って開口部に発生する空気流通で、笛部を有する往復動体と往復舌とが別々の上記筒部(笛用筒部、舌用筒部)の中で往復動することになる。なお
この発明に於ける笛部の鳴り方に(1)(2)の2種類があることは、
特開2013−81781号の説明の通りである。
【0018】
なお
後述する発明では、上記往復動体が笛用筒部の中に弾性体を介して納められている
が、および/または上記往復舌が舌用筒部の中に弾性体を介して納められているが、仮に往復動体や往復舌が上記筒部に当たる問題があるのであればクッションを用いるようにしても良い。なお弾性体がコイルバネの場合もある。
【0019】
次に上記課題は、往復動体が往復動し得るように笛用筒部の中に納められており、この笛用筒部が中空体に設けた開口部の内側に取り付けられており、前記笛用筒部の前記中空体への取り付け部とは反対側の筒口部に笛部が、前記開口部と前記筒口部との間を流通する空気流によって奏鳴して前記笛用筒部内で反響し得るように、取り付けられていると共に、前記往復動体とは別の、
長尺の舌状体を有する往復動体である往復舌が舌用筒部の中に納められており、この舌用筒部が、中空体に設けた開口部の内側に、この開口部を流通する空気流によって往復動し得るように取り付けられている、笛玩具とすることによって達成される。
【0020】
特開2013−81781号では、上記往復動体が舌状体を備えており、往復動体が往復動するのに連れて上記舌状体が上記開口部の付近で往復動するように設けられて
いる。これに対して
本願請求項2の発明では、舌状体を往復動体に設けていない。すなわち笛用筒部とは別に舌用筒部を設けて、この舌用筒部の中に、舌状体を有する往復動体である所の往復舌を納めるようにしたのである。
【0021】
次に上記課題は、往復動体が往復動し得るように笛用筒部の中に納められており、この笛用筒部が中空体に設けた開口部の内側に取り付けられており、前記筒部の、前記開口部と前記往復動体との間の、壁面に通気部が設けられており、この通気部の外側に笛部が、前記開口部と前記通気部との間を流通する空気流によって奏鳴して前記笛用筒部内で反響し得るように、取り付けられていると共に、前記往復動体とは別の、
長尺の舌状体を有する往復動体である往復舌が舌用筒部の中に納められており、この舌用筒部が、中空体に設けた開口部の内側に、この開口部を流通する空気流によって往復動し得るように取り付けられている、笛玩具とすることによって達成される。
【0022】
この発明は
特開2013−81781号に対比されるが、
特開2013−81781号では筒部の中に納められた往復動体が舌状体を備えており、往復動体が往復動するのに連れて舌状体が開口部の付近で往復動するように設けられている。これに対して
本願請求項3の発明では、舌状体を往復動体に設けるのではなく、笛用筒部とは別に舌用筒部を設けて、この舌用筒部の中に、舌状体を有する往復動体である所の往復舌を納めるようにしたのである。
【0023】
さて
本願発明では、前記舌状体
を長尺物としている。舌状体には、猫の舌のようにチロチロと口を出入りする短い舌の他にも、アリクイの舌のように比較的に長い舌があるし、更には蛇をデフォルメしたような舌も考えられる。
本願発明では、舌状体を往復動体に設けずに、笛用筒部とは別の舌用筒を設けて、そこに舌状体を有する往復動体である所の往復舌を納めるようにしている。すなわち舌用筒は笛用筒部とほぼ同じような長さのものにすることが可能であり、この長さの中に往復舌を納めるのであるから、
本願発明は長尺な舌を用いるのにより好適な構成であると言うことができる。
【0024】
なお往復舌を納めると言う場合、往復舌の全てが舌用筒の中に納まる場合と、全ては納まり切らずに一部は開口部から出たままとなる場合とがある。また更に長い往復舌を用いたいのであれば、舌用筒に往復舌を納める構成ではなく、例えば長い往復舌を折り畳んだり回動軸に巻き取ったりする機構を備えるようにすれば良い。すなわち
長尺の舌状体を有する往復動体である往復舌に付いて、この往復動体と舌状体とが別体であり、前記往復動体の内部に回動軸が設けられており、前記舌状体の一端部が前記開口部の付近に固定されており、前記舌状体が、その他端部を前記開口部から引き戻す方向に付勢されるように、前記回動軸に掛け渡されている、構成を上げる。中空体が圧縮されると、中空体内部の空気が上記往復舌を開口部の方向に動かして開口部より中空体の外へと流通するが、この際に
上記舌状体の他端部が開口部から外に繰り出されるように動作する。逆に上記圧縮から復帰する際には、中空体外部の空気が開口部より中空体の中へと流通して往復動体を動かし、中方向に引かれた上記回動軸に掛け渡された
上記舌状体は上記付勢の力もあって引き戻される方向に動作する。それと言うのも上記
舌状体の一端部が固定されているためである。このように
舌状体の動作の様子を笛部の奏鳴と共に楽しむことが出来るのである。なお上記中空体が人形であると面白い。上記開口部が人形の口の部位に当たるわけで、笛部の奏鳴と共に人形の口を出入りする上記
舌状体の様子が見られるためである。
【0025】
さてこの発明では、上記開口部と上記笛部、または上記開口部と上記笛部と上記往復舌との組、が上記中空体の複数個所に設けられているものとすることが出来る。中空体内部の空気が流通する開口部はただ1箇所にのみ限定されるものではない。従って例えば2つの開口部に異なる音色の鳴き笛を設ける構成なども可能である。
【0026】
またこの発明では、上記中空体が遊戯用やペット用のボールであるものとすることが出来る。人の遊技用であれば人が手で掴んだり脚で蹴ったりすることで笛が鳴る。ペット用であればペットが鼻先で突いて転がしたり口で噛んだりすることで笛が鳴る。従ってこの発明は飼い主とペットが遊ぶのに好適な笛玩具でもある。
【0027】
またこの発明では、上記中空体がぬいぐるみ様体であるものとすることが出来る。外見上はぬいぐるみであり、これを持ったり抱いたり相手に受け渡したりすることで笛が鳴るのである。なおペット用に構成することも可能である。
【0028】
またこの発明では、上記中空体が人形であり、人形の口に当たる部位に舌用開口部を備えると共に上記往復動体が上記
舌状体を備えており、上記往復動体が往復動するのに連れて上記
舌状体が上記舌用開口部の付近で往復動するように設けられているものとすることが出来る。
【0029】
この他上記往復動体が上記中空体のほぼ直径分を往復動し得るように、上記筒部が上記中空体のほぼ直径分の長さで設けられているものとすることが出来る。これにより反響スペースを出来るだけ大きく取ることが可能になる。従ってこの反響スペースを利用する笛部の音色や鳴き方も大きく変化することになる。これは一般的な感覚では「面白い鳴き声である」とされるであろう。