(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6409190
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】米糠加水分解物を製造する方法
(51)【国際特許分類】
A23J 3/34 20060101AFI20181015BHJP
A23J 1/12 20060101ALI20181015BHJP
C07K 14/415 20060101ALI20181015BHJP
C12P 21/06 20060101ALI20181015BHJP
C12N 9/50 20060101ALN20181015BHJP
【FI】
A23J3/34
A23J1/12
C07K14/415
C12P21/06
!C12N9/50
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-513299(P2016-513299)
(86)(22)【出願日】2014年5月8日
(65)【公表番号】特表2016-521131(P2016-521131A)
(43)【公表日】2016年7月21日
(86)【国際出願番号】EP2014059460
(87)【国際公開番号】WO2014184088
(87)【国際公開日】20141120
【審査請求日】2017年3月14日
(31)【優先権主張番号】13167819.5
(32)【優先日】2013年5月15日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ヤンセ, アルトゥル マウリッツ クリスティアーン
(72)【発明者】
【氏名】サルジョーペルサド, サンジャイ
(72)【発明者】
【氏名】スモルデルス, ゲラルドゥス ヨハネス フランシスカス
(72)【発明者】
【氏名】フェールマン, セシル
【審査官】
濱田 光浩
(56)【参考文献】
【文献】
特許第3139563(JP,B2)
【文献】
特表平10−506010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23J 3/34
A23J 1/12
C12N 9/50
C12P 21/06
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
WPIDS(STN)
FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
−水を米糠に添加するステップと;
−固体画分から液体を分離して、洗浄固体画分を得るステップと;
−酵素または酵素組成物を5〜30重量%の濃度を有する前記洗浄固体画分懸濁液に添加するステップと;
−6〜8のpHで酵素インキュベーションを実施するステップと;
−前記酵素インキュベーションを10〜16%DH(加水分解度)の加水分解度まで実施するステップと;
−前記酵素インキュベーションを30〜80℃の温度で実施するステップと;
−任意選択的に前記液体を前記固体画分から分離するステップと
を含んでなる、米糠タンパク質加水分解物組成物を製造する方法であって、前記酵素または酵素組成物が、バシロリシン(EC3.4.24.28)を含んでなる、方法。
【請求項2】
前記米糠が、脱脂米糠である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水を米糠に添加するステップと前記洗浄固体画分を得るステップの間に、前記米糠が、前記水と共にpH4〜8でインキュベートされる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記水を米糠に添加するステップと前記洗浄固体画分を得るステップの間に、前記米糠が、前記水と共に4〜80℃の温度でインキュベートされる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記水を米糠に添加するステップと前記洗浄固体画分を得るステップの間に、前記米糠が、前記水と共に少なくとも0.5分間インキュベートされる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、限定タンパク質分解で、(好ましくは脱脂)米糠からタンパク質を穏やかに抽出する方法に関する。米糠は、限定タンパク質分解を受ける前に洗浄される。
【0002】
[背景技術]
農作物原料のタンパク質抽出は、タンパク質それ自体の溶解度、またはそれらとマトリックス中のその他の構成物との相互作用によって妨げられ得る。次に溶解度それ自体も、タンパク質収集前の加工段階によって影響を受ける。例えば、材料の脱脂は、タンパク質の溶解度を大幅に低下させる。そのため、タンパク質分解技術が適用されて、タンパク質の溶解度を増大させ、ひいてはタンパク質抽出収率を増大させる。タンパク質分解酵素の使用は、ほとんどが、高度な加水分解のために苦味のある製品をもたらし、食品中の用途が限定される。
【0003】
米糠は、精米工程の副産物である。通常、精米は、約15重量%(wt%)の砕け米、約10重量%の米糠、約20重量%の籾殻、および約55重量%の全粒米をもたらす。米糠の典型的なタンパク質含有量は、約14重量%である。米糠の他の成分は、水分(約10重量%)、粗製油(約20重量%)、総食物繊維(約18重量%)、デンプン(約22重量%)、灰分(約8重量%)、およびその他の成分(約8重量%)である。米糠から得られる有価製品は米糠油であり、これは胚芽および米糠層から抽出される油である。油の除去後、脱脂製品が残り、これは通常飼料用途で使用される。脱脂米糠の脂肪含量は、典型的に、5重量%未満である。毎年、7千万トンを超える米糠が生産されると推定され、それは依然としてタンパク質のようないくつかの有価成分を含有する。
【0004】
糠タンパク質の抽出は、文献で公開されている。抽出法としては、時に酵素フィターゼと組み合わされる、アルカリ性条件での水の使用、および/またはいくつかのカルボヒドラーゼ(アミラーゼなど)の使用が挙げられる。無処理米糠からのタンパク質抽出は、困難であることが知られている。しかし脱脂米糠の場合、タンパク質抽出は、油抽出における、特に残留ヘキサンを除去するための焙煎における、タンパク質変性をもたらす加熱処理のために、さらにより厳しいタスクである。
【0005】
米国特許第2011/0152180号明細書は、加熱安定化脱脂米糠に由来する生理活性ペンタペプチドを記載する。米国特許第2011/0152180号明細書は、非常に活性が高い酵素Alcalaseを使用して、その結果、異なる米糠原料と共にインキュベートした際に、強力なタンパク質分解がもたらされる。米国特許第2011/0152180号明細書の実施例1によると、最適加水分解度は23.4%である。
【0006】
Silpradit et al(Optimization of rice bran protein hydrolysate production using Alcalase,2010,As J Food Ag−lnd 3(02),221−231)は、Alcalaseを使用した、米糠加水分解物製造の条件を記載する。
【0007】
[発明の概要]
本発明は、50重量%(乾物基準)を超える(ポリ)ペプチドを含んでなり、少なくとも10%、好ましくは10〜16%のDH(加水分解度)を有し、90%を超える、好ましくは95%を超える(ポリ)ペプチドが、500Daを超える分子量(MW)を有する、(好ましくは脱脂)米糠加水分解組成物を提供する。
【0008】
本発明はまた、50重量%(乾物基準)を超える(ポリ)ペプチドを含んでなり、10〜16%のDH(加水分解度)を有し、90%を超える、好ましくは95%を超える(ポリ)ペプチドが、500Daを超える分子量(MW)を有する、(好ましくは脱脂)米糠加水分解組成物を提供する。
【0009】
本発明の別の態様によると、
−好ましくは水である水性液体を(好ましくは脱脂)米糠に添加するステップと;
−固体画分から液体を分離して、洗浄固体画分を得るステップと;
−酵素または酵素組成物を5〜30重量%、好ましくは12〜30重量%の濃度を有する洗浄固体画分懸濁液に添加するステップと;
−好ましくは6〜8のpHで酵素インキュベーションを実施するステップと;
−酵素インキュベーションを10〜16%DH(加水分解度)の加水分解度まで実施するステップと;
−酵素インキュベーションを30〜80℃、好ましくは45〜65℃の温度で実施するステップと;
−任意選択的に液体を固体画分から分離するステップと
を含んでなる、(好ましくは脱脂)米糠加水分解組成物を製造する方法が提供され、酵素または酵素組成物は、エンドプロテアーゼを含んでなる。
【0010】
本発明はまた、
−好ましくは水である水性液体を(好ましくは脱脂)米糠に添加するステップと;
−固体画分から液体を分離して、洗浄固体画分を得るステップと;
−酵素または酵素組成物を5〜30重量%、好ましくは12〜30重量%の濃度を有する洗浄固体画分懸濁液に添加するステップと;
−好ましくは6〜8のpHで酵素インキュベーションを実施するステップと;
−酵素インキュベーションを10〜16%DH(加水分解度)の加水分解度まで実施するステップと;
−酵素インキュベーションを30〜80℃、好ましくは45〜65℃の温度で実施するステップと;
−任意選択的に液体を固体画分から分離するステップと
を含んでなる、50重量%(乾物基準)を超えるタンパク質含有量を有する、(好ましくは脱脂)米糠加水分解組成物を製造する方法を提供し、酵素または酵素組成物は、エンドプロテアーゼを含んでなる。
【0011】
本明細書および添付の特許請求の範囲全体を通じて「含んでなる(comprise)」および「含む(include)」と言う語、および「含んでなる(comprises)」、「含んでなる(comprising)」、「含む(includes)」、および「含む(including)」などのバリエーションは、包括的に解釈される。すなわち、これらの語は、文脈が許せば、特に列挙されないその他の構成要素または整数の可能な包含を伝えることが意図される。
【0012】
冠詞「a」および「an」は、冠詞の1つまたは2つ以上(すなわち1つまたは少なくとも1つ)の文法的目的に言及するために、本明細書で使用される。一例として、「要素(an element)」は、1つの要素または2つ以上の要素を意味してもよい。
【0013】
本発明では、原材料(すなわち米糠、好ましくは脱脂米糠)の洗浄は、その少量が500Da未満の分子量(MW)を有する、50重量%(乾物基準)を超える(ポリ)ペプチドを含んでなる、米糠タンパク質加水分解物が得られるような条件下における、プロテアアーゼの加水分解と組み合わされる。
【0014】
洗浄および穏和な加水分解の技術は、好ましくは脱脂米糠に適用される。しかし記載される方法はまた、未加工米糠および加熱安定化米糠などの他の米糠原料にも有効であり、応用できる。
【0015】
(好ましくは脱脂)米糠または別の農作物材料を価格設定する(valorize)ために、限定的または穏和な加水分解に基づく方法が提供され、好ましくは固体/液体分離がそれに続く。液体および不溶性の双方のストリームをさらに乾燥させてもよい。このプロテアーゼ処理とそれに続く分離の利点は、総食物繊維量が高い固体画分(ペレット)が得られることであり、それはまた、様々な食品用途で使用し得る。
【0016】
米糠とは、糊粉および果皮の組み合わせからなる、米の硬質外層を意味する。胚芽と共に、これは、全粒米の一体部分であり、精白米製造における製粉の副産物として製造されることが多い。未加工米糠は、製粉後に得られたそのままの米糠である。脱脂米糠とは、例えば抽出によって、存在する油の少なくとも一部が除去された米糠を意味する。油抽出が、例えば、およそ60〜65℃のヘキサンによって実施される一方で、ヘキサン除去のための焙煎は、典型的に110℃で実施される。安定化米糠とは、精米後に、典型的に、<10秒間、130℃で安定化された米糠を意味する。
【0017】
様々な農作物原料からタンパク質を抽出するための加水分解は、良く知られている方法である。米糠では、より広範に応用されるアルカリ抽出技術に加えて、酵素を使用してタンパク質画分を得るためのいくつかの研究が存在し、例えば米国特許第20110305817号明細書を参照されたい。プロテアーゼの使用は、通常、カルボヒドラーゼの使用と比較して、より好結果を与える(例えば、酵素的方法を要約する、Fabian and Ju(A Review on rice bran protein: its properties and extraction methods,Critical Reviews in Food Science and Nutrition,2011,vol.51,816−827)のレビューを参照されたい)。(カルボヒドラーゼと比較して)より高いタンパク質抽出収率を得るための、いくつかのプロテアーゼが文献で調査されている。これらの加水分解産物は、通常は、食品には広範に応用し得ない、苦味のある加水分解組成物である。
【0018】
本発明では、(好ましくは脱脂)米糠の洗浄と、この洗浄米糠に対する軽度タンパク質分解技術の使用が、非洗浄(好ましくは脱脂)米糠加水分解物と比較して、タンパク質の重量%(乾物基準)が増大した米糠タンパク質加水分解物をもたらす。本発明の米加水分解物組成物は、飲料、製パン、および乳製品用途などの様々な食品用途で、広範に応用可能である。
【0019】
本発明はまた、
−好ましくは水である水性液体を(好ましくは脱脂)米糠に添加するステップと;−固体画分から液体を分離して、洗浄固体画分を得るステップと;
−酵素または酵素組成物を5〜30重量%、好ましくは12〜30重量%の濃度を有する洗浄固体画分懸濁液に添加するステップと;
−好ましくは6〜8のpHで酵素インキュベーションを実施するステップと;
−酵素インキュベーションを10〜16%DH(加水分解度)の加水分解度まで実施するステップと;
−酵素インキュベーションを30〜80℃、好ましくは45〜65℃の温度で実施するステップと;
−任意選択的に液体を固体画分から分離するステップと
を含んでなる(好ましくは50重量%(乾物基準)を超えるタンパク質含有量を有する)(好ましくは脱脂)米糠加水分解組成物を製造する方法にも関し、酵素または酵素組成物は、エンドプロテアーゼを含んでなる。
【0020】
本発明はまた、少なくとも10%、好ましくは10〜16%の加水分解度と組み合わされた、分子量(MW)が500Daを超える、90%を超える(ポリ)ペプチドを含有する(好ましくは脱脂)米糠加水分解組成物にも関する。好ましくは、(好ましくは脱脂)米糠加水分解組成物は、分子量が500Daを超える、95%を超える(ポリ)ペプチドを含有する。
【0021】
本発明はまた、50重量%(乾物基準)を超える(ポリ)ペプチドを含んでなり、10〜16%のDH(加水分解度)を有し、90%を超える、好ましくは95%を超える(ポリ)ペプチドが、500Daを超える分子量(MW)を有する、(好ましくは脱脂)米糠加水分解組成物を提供する。
【0022】
(ポリ)ペプチドの他に、脱脂米糠加水分解組成物は、炭水化物、脂肪、およびミネラル(灰分画分として測定されることが多い)を含んでなってもよい。
【0023】
好ましくは、(好ましくは脱脂)米糠加水分解組成物は、本発明の方法によって入手可能であり、または得られる。好ましくは、本発明の加水分解組成物中に存在するジおよびトリ−ペプチド含有量は、5重量%未満である。好ましくは、本発明の加水分解組成物中に存在する遊離アミノ酸含有量は、2重量%未満である。有利には、本発明の方法で使用される米糠は、脱脂米糠であり、得られる加水分解組成物は、脱脂米糠加水分解組成物である。
【0024】
本明細書では「ペプチド」は、ペプチド結合を介して連結する少なくとも2つのアミノ酸の鎖と定義される。「ポリペプチド」は、本明細書で、30を超えるアミノ酸残基を含んでなる鎖として定義されて、タンパク質を含む。本明細書の用法では、タンパク質加水分解物は、プロテアーゼの作用によって加水分解されているタンパク質である。プロテアーゼは、アミノ酸の間のペプチド結合を加水分解する酵素である。タンパク質は、1つまたは複数のポリペプチドからなり、それはペプチド結合によって共に連結するアミノ酸からなる。タンパク質加水分解物は、例えば、切断されたペプチド結合/最初に存在したペプチド結合の総数×100%として表される、加水分解度(DH)が、8〜25%または10〜16%などの、5〜35%に加水分解されているタンパク質であってもよい。
【0025】
(好ましくは脱脂)米糠加水分解組成物は、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも55重量%、より好ましくは少なくとも60重量%(乾物基準)の(ポリ)ペプチドおよび遊離アミノ酸などのタンパク質を含んでなり、(好ましくは脱脂)米糠から製造される組成物である。
【0026】
本発明によれば、好ましくは水である水性液体が、(好ましくは脱脂)米糠に添加され、引き続いて洗浄固体画分から液体が分離される。水の添加後、分離は、即座に行い得て、または好ましくは分離は、例えば少なくとも0.5分間、少なくとも1分間、少なくとも2分間、少なくとも5分間、少なくとも20分間、少なくとも60分間、または0.5分間〜5時間後など、いくらか時間がたった後に行われる。この時間間隔中に、水が、有利には脱脂米糠と混合される。この後、水相、溶液または画分は、濾過および/または遠心分離の使用などによる、任意の都合良い様式で、固相または画分から分離されてもよい。液体画分は、一般に、炭水化物およびミネラル(灰分)のような化合物を含んでなる。
【0027】
したがって本発明は、
−好ましくは水である水性液体を米糠に添加するステップと;
−前記米糠を前記水性液体と共に、少なくとも0.5分間、少なくとも1分間、少なくとも2分間、少なくとも5分間、好ましくは少なくとも20分間、より好ましくは少なくとも60分間インキュベートするステップと;
−固体画分から液体を分離して、洗浄固体画分を得るステップと;
−酵素または酵素組成物を5〜30重量%、好ましくは12〜30重量%の濃度を有する洗浄固体画分懸濁液に添加するステップと;
−好ましくは6〜8のpHで酵素インキュベーションを実施するステップと;
−酵素インキュベーションを10〜16%DH(加水分解度)の加水分解度まで実施するステップと;
−酵素インキュベーションを30〜80℃、好ましくは45〜65℃の温度で実施するステップと;
−任意選択的に液体を固体画分から分離するステップと
を含んでなる、米糠タンパク質加水分解物組成物(好ましくは50重量%(乾物基準)を超えるタンパク質含有量を有する)を製造する方法を提供し、酵素または酵素組成物は、エンドプロテアーゼを含んでなる。
【0028】
本発明はまた、
−好ましくは水である水性液体を米糠に添加するステップと;
−前記米糠を前記水性液体と共に、4〜80℃の温度、好ましくは室温で、少なくとも0.5分間、少なくとも1分間、少なくとも2分間、少なくとも5分間、好ましくは少なくとも20分間、より好ましくは少なくとも60分間インキュベートするステップと;
−固体画分から液体を分離して、洗浄固体画分を得るステップと;
−酵素または酵素組成物を5〜30重量%、好ましくは12〜30重量%の濃度を有する洗浄固体画分懸濁液に添加するステップと;
−好ましくは6〜8のpHで酵素インキュベーションを実施するステップと;
−酵素インキュベーションを10〜16%DH(加水分解度)の加水分解度まで実施するステップと;
−酵素インキュベーションを30〜80℃、好ましくは45〜65℃の温度で実施するステップと;
−任意選択的に液体を固体画分から分離するステップと
を含んでなる、米糠タンパク質加水分解物組成物(好ましくは50重量%(乾物基準)を超えるタンパク質含有量を有する)を製造する方法を提供し、酵素または酵素組成物は、エンドプロテアーゼを含んでなる。
【0029】
本発明はまた、
−好ましくは水である水性液体を米糠に添加するステップと;
−前記米糠を前記水性液体と共に、4〜80℃の温度、好ましくは室温で、少なくとも0.5分間、少なくとも1分間、少なくとも2分間、少なくとも5分間、好ましくは少なくとも20分間、より好ましくは少なくとも60分間混合するステップと;
−固体画分から液体を分離して、洗浄固体画分を得るステップと;
−酵素または酵素組成物を5〜30重量%、好ましくは12〜30重量%の濃度を有する洗浄固体画分懸濁液に添加するステップと;
−好ましくは6〜8のpHで酵素インキュベーションを実施するステップと;
−酵素インキュベーションを10〜16%DH(加水分解度)の加水分解度まで実施するステップと;
−酵素インキュベーションを30〜80℃、好ましくは45〜65℃の温度で実施するステップと;
−任意選択的に液体を固体画分から分離するステップと
を含んでなる、米糠タンパク質加水分解物組成物(好ましくは50重量%(乾物基準)を超えるタンパク質含有量を有する)を製造する方法を提供し、
酵素または酵素組成物は、エンドプロテアーゼを含んでなる。
【0030】
本発明は、
−好ましくは水である水性液体を米糠に添加するステップと;
−前記米糠を前記水性液体と共に、4〜80℃の温度、好ましくは室温で、および4〜8のpH範囲で、少なくとも0.5分間、少なくとも1分間、少なくとも2分間、少なくとも5分間、好ましくは少なくとも20分間、より好ましくは少なくとも60分間インキュベートし、好ましくは混合するステップと;
−固体画分から液体を分離して、洗浄固体画分を得るステップと;
−酵素または酵素組成物を5〜30重量%、好ましくは12〜30重量%の濃度を有する洗浄固体画分懸濁液に添加するステップと;
−好ましくは6〜8のpHで酵素インキュベーションを実施するステップと;
−酵素インキュベーションを10〜16%DH(加水分解度)の加水分解度まで実施するステップと;
−酵素インキュベーションを30〜80℃、好ましくは45〜65℃の温度で実施するステップと;
−任意選択的に液体を固体画分から分離するステップと
を含んでなる、米糠タンパク質加水分解物組成物(好ましくは50重量%(乾物基準)を超えるタンパク質含有量を有する)を製造する方法をさらに提供し、酵素または酵素組成物は、エンドプロテアーゼを含んでなる。
【0031】
より好ましいpH範囲は、4〜7、5〜7または6〜7である。
【0032】
さらに好ましい実施形態では、前記米糠は、脱脂米糠である。
【0033】
使用される水性液体は、好ましくは水である。飲料水、水道水、精製水(蒸留水、再蒸留水、脱イオン水または逆浸透水)などの任意の種類の水を本発明の方法で使用し得る。さらに、使用される水は、EDTAまたはクエン酸などの少なくとも1つの添加された成分を含んでなってもよい。このような成分は、好ましくは低濃度で添加される。
【0034】
水の添加と、それに続く分離によって、これらのステップがない方法と比較して、最終米糠加水分解組成物中のタンパク質含有量の増大が得られ得る。有利なことに、本発明の(好ましくは脱脂)米糠加水分解物は、50重量%(乾物基準)を超える(ポリ)ペプチドを含んでなる。これらのステップがない(好ましくは脱脂)米糠加水分解物は、一般に、35〜42重量%(乾物基準)の(ポリ)ペプチドを含んでなる。
【0035】
本発明者らの発明の重要な側面は、(脱脂)米糠のタンパク質画分が、部分的にのみ加水分解されることに関する。これは、例えば10〜16%の比較的低い加水分解度で表される。より高い加水分解度が、通常、苦味のある製品をもたらす一方で、低い加水分解度は、低いタンパク質抽出収率をもたらす。本発明者らの発明では、本発明者らは、許容できる味覚を有するように容易に調合し得て、同時に許容できるタンパク質抽出収率を有する製品をもたらす、加水分解度を適用する。
【0036】
プロテアーゼをはじめとする酵素は、IUMBからの国際的に認められる、全酵素の分類および命名法スキーム中で分類される。プロテアーゼEC番号の更新されたIUMBテキストは、インターネットサイトにある:http://www.chem.qmul.ac.uk/iubmb/enzyme/index.html。この体系では、酵素は、単一反応を触媒するという事実によって定義される。これは、数種の異なるタンパク質が、全て同一酵素として記載され、2つ以上の反応物を触媒するタンパク質は、2つ以上の酵素として処理されるという、重要な含意を有する。体系は、プロテアーゼをエンド−およびエキソプロテアーゼに分類する。エンドプロテアーゼは、内部ペプチド結合を加水分解する酵素であり、エキソプロテアーゼは、末端α−アミノ基に隣接するペプチド結合を加水分解し(「アミノペプチダーゼ」)、または末端カルボキシル基と最後から2番目のアミノ酸との間のペプチド結合を加水分解する(「カルボキシペプチダーゼ」)。エンドプロテアーゼは、触媒機序に基づいてサブサブクラスに分類される。セリンエンドプロテアーゼ(EC3.4.21)のサブサブクラスは、システインエンドプロテアーゼ(EC3.4.22)、アスパラギン酸エンドプロテアーゼ(EC3.4.23)、メタロエンドプロテアーゼ(EC3.4.24)、およびスレオニンエンドプロテアーゼ(EC3.4.25)である。
【0037】
米糠タンパク質加水分解物組成物を得るために本発明の方法で使用されるエンドプロテアーゼは、有利には、Neutrase(登録商標)などのメタロエンドプロテアーゼ(EC.3.4.24)、Maxazyme NNP DS(登録商標)(EC.3.4.24.28;バシロリシン)、Alcalase(登録商標)またはProtease P(登録商標)などのセリンエンドプロテアーゼ(EC3.4.21)、またはパパインまたはブロメラインなどのシステインエンドペプチダーゼ(EC3.4.22)である。好ましくは、エンドプロテアーゼは、メタロエンドプロテアーゼであり、より好ましくはバシロリシン(EC3.4.24.28)である。好ましくは、本発明の方法は、Maxazyme NNP DSなどのメタロエンドプロテアーゼを使用する。
【0038】
任意選択的に、エンドプロテアーゼに加えて、Corolase LAP(登録商標)などのアミノペプチダーゼ(EC3.4.11)を利用して、米糠タンパク質加水分解物組成物の味覚プロファイルをなおさらに最適化し得る。
【0039】
前述のように、本発明の方法で使用される懸濁液の(好ましくは脱脂)米糠濃度は、5〜30重量%、またはより好ましくは12〜30重量%である。好ましくは、脱脂米糠濃度は15〜25重量%であり、より好ましくは脱脂米糠濃度は15〜22重量%である。文献では、典型的な脱脂米糠濃度は、10重量%以下である。しかしこれらの低い値は、最終製品を得るために除去しなくてはならない比較的多量の水のために、工業的妥当性がほとんどない。前述のように、本発明の酵素インキュベーションステップで使用されるインキュベーションpHは、6〜8である。好ましくは、インキュベーションpHは、6.5〜7.5である。なおもより好ましくは、インキュベーションpHは、7〜7.5である。
【0040】
本発明の酵素インキュベーションステップで使用されるインキュベーション時間は、一般に1〜6時間である。好ましくは、インキュベーションは1〜4時間である。なおもより好ましくは、インキュベーション時間は、1〜2時間である。
【0041】
前述のように、酵素インキュベーションステップのインキュベーション温度は、45〜65℃である。好ましくは、インキュベーション温度は、45〜55℃である。より好ましくは、インキュベーション温度は、48〜55℃である。
【0042】
本発明の別の態様によると、本発明の方法で製造される加水分解組成物は、固体/液体分離器を用いて固体および液体画分に分離される。水相、溶液または画分は、濾過および/または遠心分離の使用などによる、任意の都合良い様式で、固相または画分から分離されてもよい。得られた液体および/または固体画分は、任意の都合良い様式で乾燥させてもよい。可溶性画分の乾燥は、例えば、特に、噴霧乾燥機、ドラム乾燥機内で行い得る。固体または繊維画分は、例えば、高い固体投入量を処理し得る、ドラム乾燥機、ベルト乾燥機、およびその他の装置上で乾燥させ得る。
【0043】
本発明の加水分解後、酵素または酵素組成物を不活性化させ得る。例えば、熱ショックを適用し得る。
【0044】
本発明の方法は、小規模で実施し得るが、特許請求される方法は、少なくとも2リットルの懸濁液、より好ましくは少なくとも4または6リットルの懸濁液、最も好ましくは少なくとも8または10リットルの懸濁液の大規模で実行することが好ましい。
【0045】
本発明の方法の製品は、一般に、乾物基準で50重量%〜65重量%のタンパク質含有量を含んでなる。(好ましくは脱脂)米糠加水分解組成物の加水分解度は、有利には、例えば8〜25%または10〜20%などの5〜35%である。より好ましくは、加水分解度は、少なくとも10%、最も好ましくは10〜16%である。
【0046】
窒素溶解度または起泡能力および安定性のような機能性は、本明細書の実験部分で概説される方法によって判定し得る。
【0047】
本発明をここで、これに限定されるものではない、以下の実施例を参照して説明する。
【0048】
[方法および材料]
[材料]
脱脂米糠(DRB)は市販され、最初に55〜65℃の高温で1時間以内にヘキサン抽出し、それに続いて105〜110℃で残留ヘキサンを除去する、いわゆる焙煎ステップによって、未加工米糠から得られ得る。酵素Maxazyme NNP DS(登録商標)はDSM(The Netherlands)製の市販品であり、メタロプロテアーゼである。
EDTA:分析用(>純度99.7%)、Merck KGaA Darmstadt、Germany。
クエン酸:分析用(純度99%)、Merck KGaA Darmstadt、Germany。
【0049】
[タンパク質含有量]
タンパク質含有量は、AOAC公定法991.20ミルク中(総)窒素、に記載されるケルダール法によって判定した。6.25の換算係数を使用して、タンパク質の量(%(w/w))を判定した。
【0050】
[炭水化物含有量]
総炭水化物は、NREL(National Renewable Energy Laboratory)のNREL/TP−510−42618法の修正法によって定量化した。この方法とは対照的に、加水分解後の遊離単糖類の検出は、内標準としてマレイン酸を使用する、定量NMR(QNMR)の手段によって得た。NMRスペクトルは、5mm凍結探針を装着したBruker Avancelll 600MHz NMRシステム上で記録した。探針の温度は280Kに設定した。
【0051】
[SDS−PAGE]
ペプチドパターンは、SDS−PAGEによって視覚化した。SDS−PAGEおよび染色のために使用した全ての材料は、Invitrogen(Carlsbad,CA,US)から購入された。製造会社の使用説明書に従ってSDS緩衝液を用いて、試料を調製し、製造会社の使用説明書に従ってMES−SDS緩衝系を用いて、12%Bis−Trisゲル上で分離した。Simply Blue Safe Stain(Collodial Coomassie G250を用いて、染色を実施した。
【0052】
[窒素溶解度(NS%)]
2%(w/w)のタンパク質濃度でタンパク質粉末を溶解し、タンパク質溶液を調製した。4M HClまたは4M NaOHで、pHを4、6.8または8.0に調節した(追加的な塩の添加はなかった)。
【0053】
溶液を激しく振盪しながら、50℃で2時間インキュベートした。引き続いて、試料を20,000gで5分間遠心分離し、上清を収集した。上清およびタンパク質粉末試料のタンパク質含有量は、ケルダール法によって分析した。窒素溶解度(NS%)は、次のように定義される:
【数1】
【0054】
[起泡能力および安定性]
2%(w/w)のタンパク質濃度でタンパク質粉末を溶解し、タンパク質溶液を調製した。4M HClまたは4M NaOHで、pHを4、6.8または8に調節した。気泡は、100gタンパク質溶液を1分間激しく泡立てることで、生じさせた(1Lビーカー内、18,000rpmの4枚の回転羽根付きWarningブレンダー)。気泡生成後、気泡/液体内容物を250mlシリンダーに移し入れた。タンパク質の起泡能力は、気泡調製の30秒後に、気泡容積を測定することで判定した。気泡安定性は、気泡調製の30分後の気泡容積と定義された。
【0055】
[乾物含量]
乾物含量は、赤外線法を用いて105℃で判定した。
【0056】
[加水分解度]
加水分解度は、迅速OPA試験によって判定した(Nielsen,P.M.,Petersen,D.,Dambmann,C.,Improved method for determining food protein degree of hydrolysis,Journal of Food Science 2001,66,642−646)。使用されたケルダール係数は、6.25であった。
【0057】
[遊離アミノ酸含有量の判定]
試料を既知量の0.1N HCL溶液に溶解した。この溶液の100μLをアミノ酸の同位体標識アナログを含有する内標準(IS)溶液と混合し、共溶出ペプチドからのイオン抑制効果について補正した。この試料/IS溶液の10μLを70μLのWatersホウ酸塩緩衝液および20μLのWaters誘導体化試薬と混合した。混合後、溶液を55℃で10分間加熱した。1μLをUPLC−MS/MSシステム上に注入した。
WatersからのaXevoTQ質量分光計と組み合わされた、超高圧液体クロマトグラフ上で、分析を実施した。カラムは、43℃で0.4ml/分の流速で作動する、Waters BEHC18カラム(150×2.1mm、1.7μ)であった。watersからの移動は、AccQ−Tag溶出剤AおよびAccQ−Tag溶出剤Bと称される。表1に記載の勾配を適用した。
【0059】
アミノ酸誘導体は、エレクトロスプレーイオン化を用いて、ポジティブモードでイオン化した。遊離アミノ酸の量は、アミノ酸と、前述のように誘導体化された同位体標識アミノ酸とを含有する、外部検量線を通じて判定された。
【0060】
[ジおよびトリペプチド量の判定]
ジおよびトリペプチド量は、以下の方法に従って判定した。
−既知濃度の10種の異なるジペプチドと10種の異なるトリペプチドとの混合物の質量分析法(MS)による分析
−提供された試料のMSによる分析:1mlの試料溶液(2mg/ml)を3kDスピンカラム上で遠心分離して、濾液を分析した。
−ブランク試料(MQ)の分析
ジおよびトリペプチドの混合物は、以下のペプチドを含有した:
ジペプチド:
GC、AG、FG、GP、RW、WL、VP、KK、AA、FL
トリペプチド:
WGP、GGP、YPP、LAL、LAV、EGP、LAK、LAW、VPL、NPI
(アミノ酸については1文字略号を使用した)
【0061】
最小ジペプチド(GG)から最大トリペプチド(WWW)までの質量範囲は、133〜575Daである。この質量範囲を用いて、試料の総ピーク面積を判定した。空試料注入のピーク面積を試料注入から差し引いて、バックグラウンドイオンを除外した。
【0062】
[分子量分布の判定]
200mgの米糠加水分解組成物試料を10mLのメスフラスコに二連で量り入れ、MQ水で最大容積にした。磁気撹拌機によって、この懸濁液を室温で30分間、900rpmで混合した。
【0063】
引き続いて、500μLの懸濁液を100kDaカットオフフィルター(Pall nanosep 100 k Omega)上に装入し、20,000gで5分間遠心分離した。引き続いて、濾液を30kDaカットオフフィルター(Pall nanosep 30 K Omega)上に装入して、20,000gで8分間遠心分離した。引き続いて、濾液を3kDaカットオフフィルター(Pall nanosep 3 K Omega)上に装入し、20,000gで15分間遠心分離した。
【0064】
全ての3枚のフィルター上の残渣は、500μLのMQ水に再溶解した。したがって合計4つの試料が収集された:100kDa残渣(>100kDa)、30kDa残渣(30〜100kDa)、3kDa残渣(3〜30kDa)、および全ての3枚のフィルターを通過した(<3kDa)濾液(約450μL)。タンパク質含有量をケルダールによって判定し、全ての試料間の相対的タンパク質濃度を計算して、分子量分布を得た。
【0065】
[タンパク質抽出収率]
タンパク質抽出収率は、次のように定義される:
【数2】
【0066】
代案としては、ペレット中の水を含むタンパク質抽出収率は、次によって計算し得る:
【数3】
【0067】
[実施例]
[実施例1]
15℃の1530グラムの飲料水(15重量%)中の270グラムのDRB(脱脂米糠)を、15℃で1時間のインキュベーション中に十分に混合した。1時間のインキュベーション後、遠心分離によって、S/L分離を実施した(スイングローター付きSorvall Evolution RC遠心分離機を5000RCFで5分間使用した)。1187グラムの上清が除去された。613グラムの固体を1140グラムの飲料水に50℃で溶解した。0.75mlのMaxazyme NNP DS(登録商標)(4ml/kgの乾燥DRB)を添加して、pH7.2、50℃で2時間インキュベートした。1時間のインキュベーション後、0.38mlのMaxazyme NNP DS(2ml/kgの乾燥DRB)をもう一度添加した。合計で2時間のインキュベーション後、S/L分離を再度実施した。1258グラムの上清を収集し、タンパク質含有量、乾物含量、および加水分解度について分析した。結果:
【0069】
最初のS/L分離中に、上清の排出によって、総タンパク質含量の8.2重量%が除去された。
【0070】
500Daを超える分子量(MW)がある(ポリ)ペプチドの量は、90重量%を超えることが分かった。
【0071】
参照として、十分な混合インキュベーションステップなしで実験を実施し、DRBを上述の加水分解条件下で直接加水分解した。参照加水分解組成物は、35〜42%のタンパク質乾物含量を有した。
【0072】
[実施例2]
50℃の1530グラムの飲料水(15重量%)中の270グラムのDRB(脱脂米糠)を、50℃で1時間のインキュベーション中に十分に混合した。1時間のインキュベーション後、遠心分離によって、S/L分離を実施した(スイングローター付きSorvall Evolution RC遠心分離機を5000RCFで5分間使用した)。1133グラムの上清が除去された。572グラムの固体の内、523グラムを1056グラムの飲料水に50℃で溶解した。0.75mlのMaxazyme NNP DS(4ml/kgの乾燥DRB)を添加して、pH7.2、50℃で2時間インキュベートした。1時間のインキュベーション後、0.38mlのMaxazyme NNP DS(2ml/kgの乾燥DRB)をもう一度添加した。合計で2時間のインキュベーション後、S/L分離を再度実施した。991グラムの上清を収集し、タンパク質含有量、乾物含量、および加水分解度について分析した。結果:
【0074】
最初のS/L分離中に、上清の排出によって、総タンパク質含量の15.2重量%が除去された。
【0075】
500Daを超える分子量(MW)がある(ポリ)ペプチドの量は、90重量%を超えることが分かった。
【0076】
[実施例3]
10℃の1530グラムの飲料水(15重量%)中の270グラムのDRB(脱脂米糠)を、10℃で1時間のインキュベーション中に十分に混合した。1時間のインキュベーション後、遠心分離によって、S/L分離を実施した(スイングローター付きSorvall Evolution RC遠心分離機を5000RCFで5分間使用した)。1142グラムの上清が除去された。616グラムの固体の内、579グラムを772グラムの飲料水に50℃で溶解した。0.79mlのMaxazyme NNP DS(4ml/kgの乾燥DRB)を添加して、pH7.2、50℃で2時間インキュベートした。1時間のインキュベーション後、0.4mlのMaxazyme NNP DS(2ml/kgの乾燥DRB)をもう一度添加した。合計で2時間のインキュベーション後、S/L分離を再度実施した。797グラムの上清を収集し、タンパク質含有量、乾物含量、および加水分解度について分析した。結果:
【0078】
最初のS/L分離中に、上清の排出によって、総タンパク質含量の12.6重量%が除去された。
【0079】
500Daを超える分子量(MW)がある(ポリ)ペプチドの量は、90重量%を超えることが分かった。
【0080】
[実施例4]
さらなる実施例では、分析を実施して、異なる構成物に関して、洗出し材料を分析した。
【0081】
この実験では、15℃の698グラムの飲料水(22wt%)中で202グラムのDRB(脱脂米糠)を十分に混合して、この15℃の温度で1時間インキュベートした。1時間のインキュベーション後、遠心分離によって、S/L分離を実施した(スイングローター付きSorvall Evolution RC遠心分離機を5000RCFで5分間使用した)。513グラムの上清が除去されて、385グラムの固体が収集された。上清と共に、17%の全糖および7%のN−ケルダールが除去された。
【0083】
[実施例5]
本実施例では、次の水溶液による脱脂米糠の洗浄が示された。1重量%のTitriplex III.2aq(EDTA、Merck)1重量%クエン酸ナトリウム.2aq(Merck)、pH補正なし(pH6.5の懸濁液を生じた)、pH4(HCl補正)、およびpH2(HCl補正)。
【0084】
各添加は、次の様式で実施した。良好な混合条件下で、135グラムの脱脂米糠を765グラムの水に周囲温度で1時間にわたり懸濁した。別々の実験で、この懸濁液に次の添加を行った。9グラムのEDTA、9グラムのクエン酸塩(クエン酸三ナトリウム二水和物)、添加なし、25gの4N HCl、45gの4 NHCl。
【0085】
(実施例4に記載されるような)遠心分離後、上清相に対して次の乾物および窒素収率が観察された: