特許第6409194号(P6409194)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6409194
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】圧電ユニットと圧電発振器
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/19 20060101AFI20181015BHJP
   H03H 9/02 20060101ALI20181015BHJP
   H01L 23/08 20060101ALI20181015BHJP
   H01L 23/02 20060101ALI20181015BHJP
【FI】
   H03H9/19 K
   H03H9/02 D
   H01L23/08 B
   H01L23/02 B
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-151126(P2017-151126)
(22)【出願日】2017年7月18日
【審査請求日】2018年1月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500505197
【氏名又は名称】有限会社ピエデック技術研究所
(72)【発明者】
【氏名】川島 宏文
【審査官】 石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−149591(JP,A)
【文献】 特開2014−200051(JP,A)
【文献】 特開2008−219396(JP,A)
【文献】 特開2015−149592(JP,A)
【文献】 特開2014−165910(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 9/02− 9/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部部分と、前記基部部分に接続された少なくとも第1音叉腕と第2音叉腕と、枠とを備えて構成され、
第1音叉腕と第2音叉腕の各音叉腕は、少なくとも第1振動部と第2振動部とを備え、第2振動部の幅は第1振動部の幅より大きく、第2振動部の長さは第1振動部の長さより小さく、第1振動部の上面と下面の少なくとも一面に溝が形成され、
前記枠は少なくとも第1枠部分と第2枠部分と第3枠部分と第4枠部分とを備えて構成され、第1枠部分と第2枠部分は第1音叉腕と第2音叉腕の外側に第1音叉腕と第2音叉腕と共通の方向に延在して形成され、第1枠部分は第3枠部分と第4枠部分を介して第2枠部分に接続され、
前記基部部分は接続部分を介して、あるいは直に第3枠部分に接続されていて、
第1音叉腕の第2振動部と第2音叉腕の第2振動部の間の間隔W3と、第1枠部分と第1音叉腕の第1振動部分との間の間隔W5と、第2枠部分と第2音叉腕の第1振動部分との間の間隔W6との間には、W3<W5、W6の関係を備え、第1音叉腕と第2音叉腕の各音叉腕の第2振動部の長さLeと、前記基部部分の長さL2と、第3枠部分の幅F3との間には、Le>L2、F3の関係を備え、
第1枠部分から第4枠部分の内側側面の長さがそれぞれA,B,C,Dで与えられ、第2長さ寸法LiがLi=A+B+C+Dで与えられるとき、第2長さ寸法Liは1.6mmから4.2mmの範囲内にある圧電振動子と、ケースと蓋と、を備えて構成されるユニットで、
前記ユニットの長さ寸法が1.35mmより小さいことを特徴とする圧電ユニット。
【請求項2】
請求項1において、第1枠部分から第4枠部分の外側側面の長さがそれぞれa,b,c,dで与えられ、第1長さ寸法LoがLo=a+b+c+dで与えられるとき、第1長さ寸法Loは2.4mmから5mmの範囲内にあり、LoiがLoi=Lo−Liで定義されるとき、Loiは0.8mmから3.4mmの範囲内にあり、第1音叉腕と第2音叉腕の各音叉腕の第2振動部の幅Weと第4枠部分の幅F4との間には、We>F4の関係を備え、第1枠部分の幅F1と第2枠部分の幅F2と第1音叉腕と第2音叉腕の各音叉腕の第1振動部の幅Wとの間には、F1、F2≧Wの関係を備えていて、音叉型振動子の全幅Wovと音叉型振動子の全長Lovとの比が、WLov=Wov/Lovで定義され、WLovが0.25から0.69の範囲内にあることを特徴とする圧電ユニット。
【請求項3】
請求項1または請求項2の圧電ユニットと、抵抗とコンデンサーとを備えていることを特徴とする圧電発振器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は音叉型の圧電振動子(音叉型圧電振動子)と、その音叉型圧電振動子とケースと蓋とを備えて構成される圧電ユニットと、その圧電ユニットを備える圧電発振回路を備えた圧電発振器とその圧電発振器を備えた電子機器とそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1の段落0035には、基部側から先端部の約半分の位置に第1幅Wが、その第1幅より広い第2幅Wが音叉腕の自由端である先端部から腕の長さの約半分の位置に形成されていることが記載されている。この形状で、かつ、従来のケースの内部の固定部に固定した方法では、基本波モード振動の発振周波数が、例えば約32.768kHzで、その周波数での等価直列抵抗Rの増加を抑え、かつ、ある程度の小型化(例えば、全長が2mm程度の水晶ユニット)を図ることができるが、全長が1.35mmに等しいか、あるいは、1.35mmより小さいより小型化された水晶ユニットを実現するには、音叉型水晶振動子のWsf=W/Wをかなり大きく、かつ、Wをかなり小さくする必要がある。しかし、Wsf=W/Wをかなり大きく、かつ、Wをかなり小さくすると等価直列抵抗Rが全長2mmの水晶ユニットの等価直列抵抗の2倍以上と極めて大きな等価直列抵抗となると共に、バラツキも大きくなり、等価直列抵抗Rの増加を抑制した音叉腕のより短い超小型の音叉型水晶振動子を実現することは極めて困難であった。同時に、音叉型水晶振動子の長さを短く小型化すると等価インダクタンスL1が大きくなり、その振動子で発振器を構成し、その発振器の電源をオンにしたときに、その発振器の出力信号の立ち上がり時間(L1に比例する)、いわゆる起動時間が長くなるという課題が残されていた。
【特許文献1】特開2003−436310
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようなことから、等価直列抵抗R1の増加を抑制し、かつ、等価インダクタンスL1の小さい音叉腕のより短い超小型の音叉型圧電振動子を実現するには、新形状の音叉型圧電振動子と、その音叉型圧電振動子と蓋とケースとを備えて構成される圧電ユニットと、その圧電ユニットと増幅器とコンデンサと抵抗とを備えて構成される圧電発振器と、その圧電発振器を備えた電子機器と、それらの製造方法が所望されていた。
【0004】
特に、圧電材料として水晶を用いた新形状の音叉型水晶振動子と、その音叉型水晶振動子からなる水晶ユニットと、その水晶ユニットからなる水晶発振器と、その水晶発振器を備えた電子機器と、それらの製造方法が所望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の方法で従来の課題を有利に解決した屈曲モードで振動する、超小型の音叉型圧電(水晶)振動子と、その音叉型圧電(水晶)振動子と蓋とケースとを備えて構成される圧電(水晶)ユニットと、その圧電(水晶)ユニットと増幅器とコンデンサと抵抗とを備えて構成される圧電(水晶)発振器と、その圧電(水晶)発振器を備えた電子機器と、それらの製造方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
すなわち、本発明の圧電ユニットの第1の態様は、基部部分と、前記基部部分に接続された少なくとも第1音叉腕と第2音叉腕と、枠とを備えて構成され、第1音叉腕と第2音叉腕の各音叉腕は、少なくとも第1振動部と第2振動部とを備え、第2振動部の幅は第1振動部の幅より大きく、第2振動部の長さは第1振動部の長さより小さく、第1振動部の上面と下面の少なくとも一面に溝が形成され、前記枠は少なくとも第1枠部分と第2枠部分と第3枠部分と第4枠部分とを備えて構成され、第1枠部分と第2枠部分は第1音叉腕と第2音叉腕の外側に第1音叉腕と第2音叉腕と共通の方向に延在して形成され、第1枠部分は第3枠部分と第4枠部分を介して第2枠部分に接続され、前記基部部分は接続部分を介して、あるいは直に第3枠部分に接続されていて、第1音叉腕の第2振動部と第2音叉腕の第2振動部の間の間隔W3と、第1枠部分と第1音叉腕の第1振動部分との間の間隔W5と、第2枠部分と第2音叉腕の第1振動部分との間の間隔W6との間には、W3<W5、W6の関係を備え、第1音叉腕と第2音叉腕の各音叉腕の第2振動部の長さLeと、前記基部部分の長さL2と、第3枠部分の幅F3との間には、Le>L2、F3の関係を備え、第1枠部分から第4枠部分の内側側面の長さがそれぞれA,B,C,Dで与えられ、第2長さ寸法LiがLi=A+B+C+Dで与えられるとき、第2長さ寸法Liは1.6mmから4.2mmの範囲内にある圧電振動子と、ケースと蓋と、を備えて構成されるユニットで、前記ユニットの長さ寸法が1.35mmより小さい圧電ユニットである。
本発明の圧電ユニットの第2の態様は、第1の態様において、第1枠部分から第4枠部分の外側側面の長さがそれぞれa,b,c,dで与えられ、第1長さ寸法LoがLo=a+b+c+dで与えられるとき、第1長さ寸法Loは2.4mmから5mmの範囲内にあり、LoiがLoi=Lo−Liで定義されるとき、Loiは0.8mmから3.4mmの範囲内にあり、第1音叉腕と第2音叉腕の各音叉腕の第2振動部の幅Weと第4枠部分の幅F4との間には、We>F4の関係を備え、第1枠部分の幅F1と第2枠部分の幅F2と第1音叉腕と第2音叉腕の各音叉腕の第1振動部の幅Wとの間には、F1、F2≧Wの関係を備えていて、音叉型振動子の全幅Wovと音叉型振動子の全長Lovとの比が、WLov=Wov/Lovで定義され、WLovが0.25から0.69の範囲内にある圧電ユニットである。
【0007】
本発明の圧電発振器の第1の態様は、第1の態様または第2の態様の圧電ユニットと、抵抗とコンデンサーとを備えている圧電発振器である。
【発明の効果】
【0008】
水晶などの圧電材料から形成される音叉型振動子(音叉型圧電振動子、又は音叉型水晶振動子)は音叉腕と基部部分と枠とを少なくとも備え、かつ、それらは一体に形成されると共に、枠をケースと蓋に挟むように、枠がケースと蓋の固定部に固定されるので、小さい等価インダクタンスL1を備えた音叉型振動子が得られ、音叉型振動子とケースと蓋とを備えて構成される超小型の圧電(水晶)ユニットが実現できる。その結果、その音叉型振動子を備えた圧電(水晶)ユニットの最大の辺の寸法が1.35mmに等しいか、あるいは、1.35mmより小さい超小型の圧電(水晶)ユニットが高品質(小さい等価インダクタンスL1)で実現できる。この寸法は本発明によって初めてもたらされるものでありその作用効果は極めて大きなものである。
【0009】
加えて、音叉型振動子の等価インダクタンスL1が小さくなるので、本振動子を用いて構成される発振器の電源をオンにしたとき、その発振器の出力信号の起動時間が短くなるという作用効果が奏される。
【0010】
さらに、等価直列抵抗R1が小さく、かつ、等価インダクタンスの小さい音叉型振動子を備えた超小型の圧電(水晶)ユニットと、増幅器と、コンデンサと抵抗とを備えて発振器は構成されるので、超小型の発振器でありながら消費電流(R1に大略比例する)が従来のものと遜色ないという優れた作用効果がもたらされる。加えて、その発振器を備えて構成される電子機器は電子機器の設計において自由度が増し、より多くの情報を備えた電子機器が実現できるという作用効果が奏される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態に係わる水晶などの圧電材料から形成される圧電振動子と圧電ユニットを図面に基づき具体的に述べる。
【実施1の形態に係わる音叉型振動子】
【0012】
図1は本発明の実施1の形態に係わる屈曲モードで振動する音叉型振動子100の平面図を示す。例えば、音叉型振動子100は、圧電材料から形成される音叉型圧電振動子、あるいは、水晶から形成される音叉型水晶振動子である。図1では、音叉腕に配置される電極と、基部部分に配置される電極とフレームに配置される電極は省略されている。音叉型振動子100は基部部分30と、その基部部分30に接続された音叉腕10と音叉腕20と、基部部分30に接続された接続部分40と、その接続部分40に接続された第3枠部分3と、その第3枠部分3に接続された第1枠部分1と第2枠部分2と、その第1枠部分1と第2枠部分2に接続された第4枠部分4とを備えて構成される。それ故、枠は第1枠部分から第4枠部分で構成されている。
【0013】
すなわち、基部部分30は接続部分40を介して第3枠部分3に接続されている。詳細には、基部部分30の側面が接続部分40の側面に接続され、接続部分40の他の側面が第3枠部分3の側面に接続されている。さらに、音叉腕10は第1振動部11と第2振動部13とを少なくとも備えている。第1振動部11は第1幅Wと第1長さLとを少なくとも備え、第2振動部13は第1幅Wより大きい第2幅Weと第1長さLより小さい第2長さLeとを少なくとも備えている。加えて、第1振動部11の上面に溝12が、下面に溝32(図示されていない)が形成されている。同様に、音叉腕20は第1振動部21と第2振動部23とを少なくとも備えている。第1振動部21は第1幅Wと第1長さLとを少なくとも備え、第2振動部23は第1幅Wより大きい第2幅Weと第1長さLより小さい第2長さLeとを少なくとも備えている。加えて、第1振動部21の上面に溝22が、下面に溝42(図示されていない)が形成されている。
【0014】
詳述するならば、音叉腕10、20の各音叉腕は第1振動部と第2振動部を備え、第1振動部は第1幅Wと第1長さLとを有し、第1振動部の第1長さLは第2振動部の第2長さLeより大きく、第1振動部の第1幅Wは第2振動部の第2幅Weより小さくなる寸法を有し、第1振動部の第1幅Wは0.03mmより大きく、かつ、0.05mmより小さく、好ましくは、0.035mmから0.048mmの範囲内にある。また、第1振動部の第1長さLは0.3mmから0.75mmの範囲内にあり、好ましくは、0.32mmから0.72mmの範囲内にある。さらに、第2振動部の第2幅Weと第2長さLeとの間には、We<LeあるいはWe=Leの関係があり、第2幅Weは0.12mmから0.26mmの範囲内に、第2長さLeは0.15mmより大きく、かつ、0.5mmより小さい、好ましくは、0.17mmから0.38mmの範囲内にある。
【0015】
また、第1枠部分1と音叉腕20の第1振動部分21との間の間隔をW5(図示されていない)で定義され、第2枠部分2と音叉腕10の第1振動部分11との間の間隔をW6(図示されていない)で定義されるとき、We>W5、W6の関係を備え、間隔W5と間隔W6の各々は0.02mmから0.18mmの範囲内にあり、好ましくは、0.03mmから0.16mmの範囲内にある。さらに、間隔W3と間隔W5と間隔W6との間には、W3<W5、W6の関係があり、間隔W3は0.015mmから0.07mmの範囲内にある。
【0016】
加えて、音叉腕10の第1振動部11と音叉腕20の第1振動部21の間にある間隔をW7(図示されていない)で定義されると、音叉腕10、20の各音叉腕の第2振動部の第2幅Weと間隔W7との間には、We=W7あるいはWe≠W7の関係を備える。すなわち、We>W7あるいはWe<W7.また、間隔W7と間隔W5と間隔W6との間には、W7>W5、W6の関係を備えている。さらに、基部部分30は幅W2と長さL2を、接続部分40は幅W1と長さL1を有している。加えて、第1枠部分1は外側の寸法aと内側の寸法Aと幅F1を、第2枠部分2は外側の寸法bと内側の寸法Bと幅F2を、第3枠部分3は外側の寸法cと内側の寸法Cと幅F3を、そして、第4枠部分4は外側の寸法dと内側の寸法Dと幅F4を有している。
【0017】
さらに、音叉腕10の第2振動部13と音叉腕20の第2振動部23の間の間隔W3で、音叉腕10の第2振動部13と第2枠部分2の間の間隔W4で与えられる。同様に、音叉腕20の第2振動部23と第1枠部分1の間も間隔W4で与えられる。加えて、第4枠部分4と音叉腕10の第2振動部13との間の間隔L3で、同様に、第4枠部分4と音叉腕20の第2振動部23との間も間隔L3で与えられる。すなわち、間隔L3は音叉腕10の先端部と第4枠部分4の間隔で、かつ、音叉腕20の先端部と第4枠部分4の間隔でもある。さらに、基部部分30と第1枠部分1との間の間隔がW8(図示されていない)で与えられ、基部部分30と第2枠部分2との間の間隔がW9(図示されていない)で与えられる。
【0018】
さらに詳述するならば、間隔W4はW4=W3またはW4≠W3の関係を備え、すなわち、W4>W3またはW4<W3の関係を備え、間隔W4は0.01mmより大きく、かつ、0.2mmより小さく、好ましくは、0.012mmから0.18mmの範囲内に、より好ましくは、0.025mmから0.1mmの範囲内にある。さらに、間隔L3はL3=W4またはL3≠W4の関係を備え、すなわち、L3>W4またはL3<W4の関係を備え、L3は0.01mmより大きく、かつ、0.2mmより小さく、好ましくは、0.015mmから0.18mmの範囲内にあり、より好ましくは、0.025mmから0.1mmの範囲内にある。また、基部部分と枠、第2振動部分と枠との間のエッチング加工を容易にするために、W3、W4≠W8、W9の関係を備えている。すなわち、W3、W4<W8、W9の関係、あるいは、W3、W4>W8、W9の関係を備えている。
【0019】
さらに、基部部分30の長さL2は間隔L3より大きく、または等しく、すなわち、L2>L3またはL2=L3の関係を有し、また、接続部分40の長さL1と間隔L3は等しいか、または異なる寸法を有する。換言するならば、L1=L3またはL1≠L3、すなわち、L1>L3またはL1<L3の関係を有する。加えて、音叉腕10の第2振動部13の幅Weは音叉腕10の第1振動部11と第2枠部分2の間の間隔より大きく、かつ、音叉腕20の第2振動部23の幅Weは音叉腕20の第1振動部21と第1枠部分1の間の間隔より大きい。さらに、L2<L3の関係を備えていても良い。
【0020】
また、音叉腕10と音叉腕20の各音叉腕の第1振動部の幅Wと長さLの比(W/L)は0.098より大きく、好ましくは、0.0981から0.11の範囲内にある。あるいは、比(W/L)は0.097より小さく、好ましくは、0.088から0.0968の範囲内にある。
【0021】
さらに、音叉腕10と音叉腕20の各音叉腕の第2振動部の第2長さLeと基部部分30の長さL2と第3枠部分3の幅F3との間には、Le>L2、F3の関係が存在する。また、接続部分40の幅W1と基部部分30の幅W2と第3枠部分3の内側側面の長さCとの間には、W1<W2、Cの関係を備えている。また、幅W1は0.04mmより大きく、かつ、0.2mmより小さい、好ましくは、0.045から0.18mmの範囲内に、より好ましくは、0.045mmから0.093mmの範囲内にある。さらに、
【0022】
加えて、基部部分30の長さL2と接続部分40の長さL1と第3枠部分3の幅F3との間には、L2>L1、F3の関係が存在し、長さL2は0.025mmから0.12mmの範囲内に、好ましくは、0.025mmから0.08mmの範囲内に、より好ましくは、0.025mmから0.078mmの範囲内にある。また、長さL1は0.01mmより大きく、かつ、0.12mmより小さい、好ましくは、0.015mmから0.08mmの範囲内に、より好ましくは、0.015mmから0.04mmの範囲内にある。
【0023】
また、枠の枠部分の幅F1、F2、F3、F4の4個の幅は、通常はF1=F2=F3=F4の関係を備える。しかし、ユニットの長さ寸法を小さく、かつ、衝撃に強いユニットを得るために、F1、F2>F3、F4の関係がある。詳細には、F1及び/又はF2は0.1mmから0.32mmの範囲内に、好ましくは、0.15mmから0.29mmの範囲内にある。より好ましくは、0.18mmから0.29mmの範囲内にある。
【0024】
さらに、枠部分の4個の幅すべて異なった幅でも良いし、あるいは4個の幅の内少なくとも1個の幅が異なっていても良い。第1の例では、第4枠部分4の幅F4が異なる場合には、F4≠F1、F2、F3の関係を有する。この場合には、F1、F2、F3の全てが等しいか、あるいは、F1、F2、F3のすべてが異なっているか、あるいは、F1、F2、F3の2個が等しく、1個が異なっている。例えば、F1=F2>F3、あるいは、F1=F2<F3の関係がある。
【0025】
また、第2の例では、第3枠部分3の幅F3が異なる場合には、第3枠部分3の幅F3が異なる場合には、F3≠F1、F2、F4の関係を有する。この場合には、F1、F2、F4の全てが等しいか、あるいは、F1、F2、F4のすべてが異なっているか、あるいは、F1、F2、F4の2個が等しく、1個が異なっている。例えば、F1=F2>F4、あるいは、F1=F2<F4の関係がある。
【0026】
さらに、第3枠部分3の幅F3と第4枠部分4の幅F4が異なるときには、F3≠F4、すなわち、F3>F4あるいはF3<F4の関係がある。
【0027】
例えば、F4は0.001mmから0.12mmの範囲内にある。好ましくは、0.001mmから0.05mmの範囲内にある。より好ましくは、0.01mmより大きく、0.05mmより小さい。その結果、ユニットの長さ寸法を小さくできるので、実装面積の小さい小型のユニットが実現できるという作用効果が奏される。
【0028】
加えて、F3>F4の場合には、比(F3/F4)は150より小さく、好ましくは、1より大きく、100より小さい。より好ましくは、1.2から58の範囲内にある。さらに好ましくは、1.25から20の範囲内にある。
【0029】
特に、長さ寸法を小さくして小型化を図るには、F1、F2はF3、F4と異なる幅を有し、好ましくは、F1、F2がF3、F4より大きく、すなわち、F1、F2>F3、F4の関係を備え、F3とF4はF3>F4、または、F3=F4、または、F3<F4のいずれかの関係を備えている。
【0030】
加えて、第4枠部分4の幅F4はF4>L1、L3、W3、W4の関係を有し、また、第1枠部分1の幅F1と第2枠部分2の幅F2はF1、F2>L1、L2、L3、W3の関係を有する。この場合には、F1=F2またはF1≠F2の関係を有する。すなわち、F1>F2またはF1<F2の関係を有する。
【0031】
本発明は上記した関係に限定されるものではなく、F1、F2<F3、F4の関係であっても良い。さらに、F4=L2あるいはF4≠L2の関係を備えている。すなわち、F4>L2あるいはF4<L2の関係を備えている。加えて、音叉腕の方向の寸法を小さくするためには、F4≦L1、L3、W3、W4との関係を有しても良い。
【0032】
また、第1枠部分1から第4枠部分4の各枠部分の外側(外側側面)の長さの和が第1長さ寸法Loで定義されると、Lo=a+b+c+dで与えられる。本発明の実施1の形態では、最大辺の長さ及び/又は実装面積を従来のユニットより小さくすることを目的にしているので、最大辺の長さが1.35mmに等しいか、あるいは、1.35mmより小さい寸法に限定される。この寸法は電子機器等に搭載されている従来の音叉型水晶振動子を搭載したユニットの最大辺の長さ(1.6mm)より、約15.6%短い寸法である。
【0033】
加えて、従来の音叉型水晶振動子を搭載した水晶ユニットの従来の実装面積(長さ1.6mmx幅1mm=1.6mm)と遜色のない実装面積を、あるいは、より小さい実装面積を得るには、第1長さ寸法Loは5mmに等しいか、あるいは、5mmより小さい寸法に限定される。寸法Loが5mmの場合、最大となる実装面積は約1.563mmとなり、従来のものと比較しても遜色がない。もちろん、Loが5mmより小さいときには、その最大の実装面積より小さくなることは言うまでもない。
【0034】
さらに、第1枠部分1から第4枠部分4の各枠部分の内側(内側側面)の長さの和が第2長さ寸法Liで定義されると、Li=A+B+C+Dで与えられる。そのLiの中に、そのLiの寸法に応じた音叉型振動子が収納されることは言うまでもない。図3はLiと音叉型振動子の等価直列抵抗R1の変化ΔR=ΔR1/R1との関係を示す。図3では、Li=4.4mmのときに収納される音叉型振動子のR1で規格化されている。
【0035】
即ち、Li=4.4mmのとき、ΔR=0である。また、Li=4.1mmのときには、ΔR=0.45%、Li=3.7mmのときには、ΔR=1.05%、Li=3.3mmのときには、ΔR=1.65%、Li=3mmのときには、ΔR=2.1%、Li=1.6mmのときには、ΔR=4.9%と、Liが小さくなるにつれて、ΔRは徐々に大きくなるが、従来のものと比較しても遜色のないものが得られる。
【0036】
しかし、Liがさらに小さいLi=1.4mmのときには、ΔRは23%と急激に大きく、さらに、Liがより小さいLi=1.2mmのときには、ΔRは62%とさらに急激に大きくなる。この関係から、Liは1.6mmに限定される。すなわち、この限定により従来のものと遜色ないものが得られる。
【0037】
上述したように、図3では、LiはLi=1.6mm〜4.4mmの範囲内にあるが、本発明はこれに限定されるものでなく、この数値の範囲内であれば任意の数値の範囲内でも本発明に含まれる。例えば、Li=1.6mm〜4.1mmの範囲内に、あるいは、Li=1.6mm〜3.7mmの範囲内に、あるいは、Li=1.6mm〜3.3mmの範囲内に、あるいは、Li=1.6mm〜3mmの範囲内にある。もちろん、これらの場合でも、等価直列抵抗R1の変化ΔR(等価直列抵抗R1)が小さいユニットが実現できることは言うまでもない。
【0038】
さらに他の例として、Liは1.75mmから3.75mmの範囲内に、あるいは、Liは2.05mmから3.85の範囲内に、あるいは、Li=3mm〜4.4mmの範囲内に、あるいは、Li=3mm〜4.1mmの範囲内に、あるいは、Li=3mm〜3.7mmの範囲内に、あるいは、Li=3mm〜3.3mmの範囲内にある。もちろん、これらの場合でも、小さい実装面積と等価直列抵抗R1の変化ΔR(等価直列抵抗R1)が小さいユニットが実現できることは言うまでもない。
【0039】
また、音叉腕の幅が一様な音叉型振動子の音叉腕の幅をW0、音叉腕の長さをL0とすると、周波数fはf=k(W0/L0)の関係がある。ただし、kは境界条件によって決まる定数である。それ故、この関係を考慮して、かつ、少なくとも第1幅とその幅より大きい第2幅とを備えた音叉腕、すなわち、2個以上の異なる幅を備えた音叉腕の最大の幅をWm、音叉腕の長さをLmとすると、Wm/Lmが、好ましくは、0.112から0.28の範囲内に、より好ましくは、0.115から0.168の範囲内に、あるいは、0.176から0.26の範囲内で、振動漏れが少なく、かつ、等価直列抵抗R1と等価インダクタンスL1が小さい音叉型振動子を得ることができる。
【0040】
さらに、基部部分と音叉腕とから成る音叉型振動子の場合には、Wov/Lovが、好ましくは、0.25から0.69の範囲内で、より好ましくは、0.29から0.345の範囲内で、あるいは、0.365から0.58の範囲内で、振動漏れが少なく、かつ、等価直列抵抗R1と等価インダクタンスL1が小さい音叉型振動子を得ることができる。ただし、Wovは音叉型振動子の全幅で、その全幅は最大となる値を有し、Lovは音叉型振動子の全長である。
【0041】
また、Wov/Lovと第2長さ寸法Liとの間には密接な関係が存在する。すなわち、衝撃に対して強く、実装面積が小さいユニットを得るには、好ましくは、Wov/Lov=D/A、及び/又は、Wov/Lov=D/Bの関係が存在する。ただし、一般的には、A=BとC=D及び/又はA、B≧C、Dとの関係があるので、この関係が通常は考慮される。
【0042】
詳細には、Wov/Lov=D/Aが0.25から0.69の範囲内にあり、Liが1.6mmから4.4mmの範囲内にあるので、D/A=0.25とLi=1.6mmの関係から、A=0.64mmが得られる。また、D/A=0.69とLi=4.4mmの関係から、A=1.3mmが得られる。すなわち、A及び/又はBは0.64mmから1.3mmの範囲内にある。
【0043】
その結果、衝撃に強く、実装面積が小さく、かつ、振動漏れが少なく、等価直列抵抗R1(等価直列抵抗R1の変化ΔR)と等価インダクタンスL1が小さい音叉型振動子を備えた、最大辺の長さが1.35mm以下のユニットが実現できる。すなわち、ユニットの長さ寸法が1.35mmより小さいユニットが実現できる。
【0044】
さらに詳細に述べるならば、Wov/Lovは0.25から0.69の範囲内に、Liは1.6mmから4.4mmの範囲内に、A及び/又はBは0.64mmから1.3mmの範囲内にある。好ましくは、0.64mmから1.21mmの範囲内に、より好ましくは、0.64mmから1.19mmの範囲内に、さらに好ましくは、0.72mmから1.14mmの範囲内にある。
【0045】
また、他の例として、Wov/Lovは0.25から0.69の範囲内に、Liは1.6mmから4.1mmの範囲内に、A及び/又はBは0.64mmから1.21mmの範囲内にある。好ましくは、0.72mmから1.14mmの範囲内にある。より好ましくは、0.72mmから1.1mmの範囲内にある。
【0046】
同様に、Wov/Lovは0.25から0.69の範囲内に、Liは1.6mmから3.7mmの範囲内に、A及び/又はBは0.64mmから1.09mmの範囲内にある。好ましくは、0.72mm〜1.09mmの範囲内にある。
【0047】
さらに、Wov/Lovは0.25から0.69の範囲内に、Liは1.6mmから3.3mmの範囲内に、A及び/又はBは0.64mmから0.98mmの範囲内にある。
【0048】
加えて、Wov/Lovは0.25から0.69の範囲内に、Liは1.6mmから3mmの範囲内に、A及び/又はBは0.64mmから0.89mmの範囲内にある。
【0049】
さらに他の例として、Wov/Lovは0.29から0.345の範囲内に、Liは1.75mmから3.75mmの範囲内に、A及び/又はBは0.68mm〜1.12mmの範囲内にある。好ましくは、0.68mm〜1.08mm。
【0050】
同様に、Wov/Lovは0.365から0.58の範囲内に、Liは2.05mmから3.85の範囲内に、A及び/又はBは0.75mm〜1.1mmの範囲内にある。好ましくは、0.75mmから1.05mmの範囲内にある。
【0051】
上述された関係においても、衝撃に強く、実装面積が小さく、かつ、振動漏れが少なく、等価直列抵抗R1(等価直列抵抗R1の変化ΔR)と等価インダクタンスL1が小さい音叉型振動子を備えた、最大辺の長さが1.35mmより小さいユニットが実現できるという作用効果が奏される。
【0052】
なお、上述された、Wov/LovとLiとA及び/又はBの関係は、それらを組み合わせても良く、本発明に含まれる。と共に、上述された作用効果が奏される。
【0053】
本実施の形態では、A=BとC=Dの関係を用いたが、AとBとの差と、CとDとの差がそれぞれ著しく大きくなければ、すなわち、若干の差であるときには、上記関係が成り立ち、本発明に含まれる。
【0054】
また、第1長さ寸法Loと第2長さ寸法Liとの差が、寸法差Loi=Lo−Liで定義される。図4は寸法差Loiと周波数の変化Δf=Δf1/f1との関係を示す。図4では、Loi=3.6mmのときに収納される音叉型振動子の周波数f1で規格化されている。すなわち、Loi=3.6mmのとき、Δf=0である。また、Loi=0.8mmに等しいか、あるいは、それより大きい、Loi=1.5mm、Loi=2.4mmのときには、周波数変化Δfはほとんどなく、安定している。
【0055】
しかし、Loi=0.65mmのときには、Δf=0.115%と、周波数は急激に変化する。この理由の一つとして、振動漏れによる振動エネルギーの損失が考えられる。この周波数変化を振動エネルギーの損失に換算すると、約0.23%の漏れに相当する。それ故、Loiの下限値は0.8mmに限定され、Loi=0.8mmとLi=1.6mmの関係から第1長さ寸法Loの下限値は2.4mmに限定される。
【0056】
同様に、Loi=0.8mmとLo=5mmの関係から第2長さ寸法Liの上限値は4.2mmに限定される。換言するならば、第1長さ寸法Loは2.4mmから5mmの範囲内にあり、第2長さ寸法Liは1.6mmから4.2mmの範囲内にある。また、Loiは0.8mmから3.4mmの範囲内にある。換言するならば、Loiは3.4mmに等しいか、あるいは3.4mmより小さい値を有し、かつ、0.8mmに等しいか、あるいは、0.8mmより大きい値を有する。その結果、周波数変化のない音叉型振動子を備えた実装面積の小さい、小型のユニットが得られるという効果が奏される。
【0057】
以上、詳細に述べたが、本発明は上記数値限定のユニットに限定されるものでなく、特に、等価直列抵抗R1と等価インダクタンスL1のより小さいユニットが要求されるときには、音叉型振動子のサイズを少し大きくすれば良い。すなわち、第2長さ寸法Liの上限値を4.2mmから少し長い4.4mmにすればよい。この場合には、Loi=0.8mmとLi=4.4mmの関係から第1長さ寸法Loの上限値は5mmから5.2mmに限定される。
【0058】
その結果、等価直列抵抗R1と等価インダクタンスL1のより小さいユニットが実現できる。この場合のユニットの最大の実装面積は1.69mmとなり、従来のユニットの実装面積1.6mmと遜色がないことが分かる。なお、枠(ユニット)の最大の長さ寸法の下限値は第1長さ寸法Lo=2.4mmから決められる。すなわち、耐衝撃性や実装性を考慮して、その下限値は0.95mmとなる。換言するならば、ユニットの最大の辺の寸法は0.95mmから1.35mmの範囲内にある。実装面積を小さくするために、好ましくは、0.95mmから1.1mmの範囲内にある。
【0059】
実施1の形態に係わる音叉型振動子では、A=B及び/又はC=Dの関係を備えているが、本発明はこれに限定されるものではなく、A≠B及び/又はC≠Dの関係を備えていても良い。換言するならば、A>BあるいはA<B及び/又は C>DあるいはC<Dの関係を備えている。
【0060】
すなわち、第1長さ寸法と第2長さ寸法を限定することにより、音叉型振動子とケースと蓋から成る圧電ユニットの実装面積が極めて小さく、等価インダクタンスL1が小さく、小さい容量比と小さい等価直列抵抗R1と、エージング特性に優れ、かつ、衝撃に強く、振動漏れによるエネルギー損失の小さい音叉型振動子が得られるという作用効果が奏される。加えて、本音叉型振動子を搭載した発振器の出力信号の起動時間が短くなるという著しい作用効果がもたらされる。
【0061】
また、音叉型振動子100の音叉腕10、20と基部部分30と接続部分40と第1枠部分1から第4枠部分4は一体に形成される。加えて、本実施1の形態の音叉型振動子100は2本の音叉腕を示しているが、3本以上であっても良い。すなわち、少なくとも、2本の音叉腕を備えている。
【0062】
本実施1の形態に係わる音叉型振動子では第1振動部と第2振動部を備えているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、第1振動部と第2振動部の間に、第3振動部または第3振動部と第4振動部を含む幅の異なる2個以上の振動部を形成しても良い。換言するならば、第3振動部と第4振動部と第5振動部と第6振動部と・・・とN1振動部、ただし、N1は7以上の整数である。例えば、N1=10の場合には、第3振動部から第10振動部を備えている。すなわち、第3振動部から第N2振動部を備えている。ただし、N2は4以上の整数である。
【0063】
第1の例では、少なくとも第3振動部が第1振動部と第2振動部の間に形成される場合には、第3振動部の第3幅は第1振動部の第1幅Wより大きく、かつ、第2振動部の第2幅Weより小さい。また、第3振動部の第3長さは第1振動部の第1長さLより小さく、かつ、第2振動部の第2長さLeより小さい。また、第2振動部の第2長さLeと第3振動部の第3長さの和が長さL4で定義されると、長さL4は第1振動部の第1長さLより小さい。第3振動部が第1振動部と第2振動部の間にある場合には、音叉腕10と音叉腕20の各音叉腕の比(We/W)は3.3から6.1の範囲内に、好ましくは、3.3から5.9の範囲内にある。加えて、各音叉腕の全体の長さLt(=L+Le)は0.45mmから0.92mmの範囲内にある。好ましくは、0.45mmから0.88mmの間にある。
【0064】
すなわち、音叉型振動子を搭載した発振器では、その発振器の出力信号が一定の値になる時間は振動子形状と寸法と密接な関係がある。それ故、本発明では出力信号が一定の値となるその値の約80%に達するまでの時間を立ち上がり時間、あるいは起動時間という。音叉腕10と音叉腕20の各音叉腕の比(We/W)が3.3で、長さLtが0.45mmのとき、起動時間が約0.3秒となり、比(We/W)が6.1で、かつ、Ltが0.92mmのとき、起動時間が約0.7秒となり、音叉型振動子を従来のものより小型化しても起動時間の短い発振器が得られるという作用効果が奏される。この結果は従来の大きなものと比較しても遜色のない結果であることは言うまでもない。
【0065】
第2の例では、少なくとも第3振動部と第4振動部が第1振動部と第2振動部の間に形成される場合には、第3振動部の第3幅と第4振動部の第4幅の各幅、あるいは少なくとも一方の幅は第1振動部の第1幅Wより大きく、かつ、第2振動部の第2幅Weより小さい。また、第3振動部の第3長さと第4振動部の第4長さの各長さ、あるいは少なくとも一方の長さは第1振動部の第1長さLより小さく、かつ、第2振動部の第2長さLeより小さい。
【0066】
すなわち、第3振動部から第N2振動部(N2は4以上)が第1振動部と第2振動部の間に形成される場合には、第3振動部の第3幅と第N2振動部の第N2幅の各幅、あるいは少なくとも1個の振動部の幅は第1振動部の第1幅Wより大きく、かつ、第2振動部の第2幅Weより小さい。加えて、第3振動部の第3長さと第N2振動部の第N2長さの各長さ、あるいは少なくとも一個の振動部の長さは第1振動部の第1長さLより小さく、かつ、第2振動部の第2長さLeより小さい。第3振動部と第N2振動部が第1振動部と第2振動部の間にある場合には、0.3秒から0.7秒の起動時間を得るために、音叉腕10と音叉腕20の各音叉腕の比(We/W)は3.4から6.3の範囲内に、好ましくは、3.4から6.1の範囲内にある。加えて、各音叉腕の全体の長さLt(=L+Le)は0.45mmから0.92mmの範囲内にある。好ましくは、0.45mmから0.88mmの間にある。
【0067】
本実施1の形態に係わる音叉型振動子では、少なくとも四つの角度を有する四角形をした枠であるが、すなわち、少なくとも第1枠部分から第4枠部分を備えた四個の枠であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、五角形以上(少なくとも第1枠部分から第5枠部分を備えた五個以上の枠)の形状をした枠も含まれる。
【0068】
さらに、本実施1の形態に係わる音叉型振動子の平面図では、四角形をした枠で、その枠の側面部分は直線であるが、本発明はこれに限定されるものでなく、その枠の側面部分が凹及び/または凸の形状をしていても本発明に含まれる。この場合には、第1長さ寸法Loと第2長さ寸法Liの各寸法は、平面図における凹部分及び/又は凸部分を含まない側面部分の直線の寸法でも良く、あるいは、凹部分及び/又は凸部分の側面部分の寸法を含んだ寸法でも良い。いずれも本発明に含まれる。
【0069】
換言するならば、音叉型振動子の平面図では、その枠の側面部分の端部は直線であるが、本発明はこれに限定されるものでなく、その枠の側面部分の端部が凹及び/又は凸の形状をしていても本発明に含まれる。この場合には、第1長さ寸法Loと第2長さ寸法Liの各寸法は、平面図における凹部分及び/又は凸部分を含まない側面部分の端部の直線の寸法でも良く、あるいは、凹部分及び/又は凸部分の側面部分の端部の寸法を含んだ寸法でも良い。いずれも本発明に含まれる。
【実施1の形態に係わる圧電ユニット】
【0070】
図2は本発明の実施1の形態に係わる圧電ユニット200の側面図である。圧電ユニット200はすでに述べた実施1の形態に係わる音叉型振動子100とケース60と蓋50とを備えて構成されている。音叉型振動子100の第1枠部分1はケース60と蓋50の間にある。また、ケース60は内部空間65を有し、蓋50も同様に内部空間55を有している。加えて、音叉型振動子100は厚みT1を、ケース60は厚みT3を有し、そのケースの内部空間65の深さはT5で与えられる。一方、蓋50は厚みT2を有し、その蓋の内部空間55の深さはT4で与えられる。それ故、圧電ユニット200の厚みTはT=T1+T2+T3で与えられる。Tは0.6mmより小さく、好ましくは、0.2mmより大きく、かつ、0.5mmより小さく、より好ましくは、0.25mmから0.38mmの範囲内にある。
【0071】
更に詳述するならば、ケース60と蓋50の各々は第1固定部から第4固定部を備えていて、実施1の形態に係わる音叉型振動子100の第1枠部分がケース60の第1固定部と蓋の第1固定部に固定される。すなわち、第1枠部分がケースの第1固定部と蓋の第1固定部の間にある(挟まれる)ように第1枠部分は固定される。同様に、音叉型振動子100の第2枠部分がケース60の第2固定部と蓋の第2固定部に固定される。すなわち、第2枠部分がケースの第2固定部と蓋の第2固定部の間にある(挟まれる)ように第2枠部分は固定される。
【0072】
さらに、音叉型振動子100の第3枠部分がケース60の第3固定部と蓋の第3固定部に固定される。すなわち、第3枠部分がケースの第3固定部と蓋の第3固定部の間にある(挟まれる)ように第3枠部分は固定される。同様に、音叉型振動子100の第4枠部分がケース60の第4固定部と蓋の第4固定部に固定される。すなわち、第4枠部分がケースの第4固定部と蓋の第4固定部の間にある(挟まれる)ように第4枠部分は固定される。また、等価直列抵抗R1の小さい音叉型振動子を得るために、その振動子は真空中に収納されている。本発明の実施1の形態に係わる圧電ユニット200も、すでに述べられた第1長さ寸法Loと第2長さ寸法Liと寸法差Loiを備えていることは言うまでもない。
【0073】
本実施1の形態に係わる圧電ユニットでは、少なくとも第1枠部分から第4枠部分を備えた音叉型振動子を備えているが、本発明はこれに限定されるものではなく、五角形以上(少なくとも第1枠部分から第5枠部分を備えた五個以上の枠部分)の形状をした枠を備えた音叉型振動子も含まれる。この場合には、ケースと蓋の各々が少なくとも第5固定部を含む五個以上の固定部を備え、音叉型圧電振動子の第5枠部分がケースの第5固定部と蓋の第5固定部に固定される。すなわち、音叉型振動子の第5枠部分がケースの第5固定部と蓋の第5固定部の間にある(挟まれる)ように第5枠部分は固定される。第6枠部分、第7枠部分・・・・など無数の枠部分も同様に固定される。
【0074】
さらに、音響効果の影響を受けない等価直列抵抗R1の小さい、等価インダクタンスL1が小さく、かつ、衝撃に強い音叉型振動子を備えた圧電ユニットを実現するために、ケースの深さT5はT5>T3/6、T5<(3T3)/4の関係を備えている。同様に、蓋の深さT4はT4>T2/6、T4<(3T2)/4の関係がある。好ましくは、ケースの深さT5はT5>T3/5、T5<T3/2の関係を備えている。同様に、蓋の深さT4はT4>T2/5、T4<T2/2の関係がある。さらに、T4とT5は等しくても、あるいは異なっていても良い。すなわち、T4=T5あるいはT4>T5またはT4<T5の関係を備えている。
【0075】
具体的には、ケース60の深さT5と蓋50の深さT4はそれぞれ0.01mmから0.2mmの範囲内にある。好ましくは、0.015mmから0.18mmの範囲内に、より好ましくは、0.02mmから0.15mmの範囲内にある。また、T2とT3は0.06mmより大きく、かつ、0.27mmより小さく、好ましくは、0.08mmから0.16mmの範囲内にある。さらに、温度変化による圧電ユニットの音叉型振動子とケースと蓋との間の歪を小さくするために、T1=T2=T3の関係を備えている。しかしながら、本発明では、これに限定されることなく、T1≠T2、T3の関係であっても良い。すなわち、T1>T2,T3またはT1<T2、T3、あるいはT2=T3またはT2≠T3の関係であっても良い。すなわち、T2>T3またはT2<T3。
【0076】
さらに、例えば、音叉型振動子は水晶から作られた音叉型水晶振動子、あるいは、圧電材料から作られた音叉型圧電振動子で、また、ケースと蓋は水晶などの結晶材料から作られている。加えて、音叉型振動子とケースと蓋の加工は化学的、物理的、機械的なエッチング法などの少なくとも一つの方法を用いて形成される。また、音叉型水晶振動子とケースと蓋からなる圧電ユニットは特に水晶ユニットと呼ばれる。水晶は圧電材料の一つであることは言うまでもない。
【0077】
本発明は本実施1の形態に係わる音叉型振動子と本実施1の形態に係わる圧電ユニットに限定されるものでなく、本実施1の形態に係わる音叉型振動子の第1長さ寸法Loと第2長さ寸法Liと寸法差Loiは、上述された音叉型振動子を含むいろいろな音叉型振動子を収納するケースの寸法にも適用できる。この場合には、音叉型振動子はケースの固定部に固定され、ケース内を真空にするために蓋がケースの開口部に接続される。すなわち、音叉型振動子はケース内に収納されている。
【0078】
詳述するならば、第1長さ寸法Loはそのケースの外側(外側側面)の寸法に相当し、第2長さ寸法Liはそのケースの内側(内側側面)の寸法に相当する。もちろん、寸法差Loiはそのケースの外側(外側側面)の第1長さ寸法Loとそのケースの内側(内側側面)の第2長さ寸法Liの差で、寸法差Loi=Lo−Liで与えられる。
【0079】
詳細には、ケースは少なくとも第1ケース部分と第2ケース部分と第3ケース部分と第4ケース部分とを備えて構成され、第1ケース部分と第2ケース部分は第1音叉腕10と第2音叉腕20の外側に第1音叉腕10と第2音叉腕20と共通の方向に延在して形成されている。加えて、第1ケース部分は第3ケース部分と第4ケース部分を介して第2ケース部分に接続されている。
【0080】
さらに、第1ケース部分から第4ケース部分の外側側面の長さがそれぞれa,b,c,d,で与えられ、その和が第1長さ寸法Lo=a+b+c+dで与えられるとき、第1長さ寸法Loは2.4mmから5mmの範囲内にある。
【0081】
また、第1ケース部分から第4ケース部分の内側側面の長さがそれぞれA,B,C,D,で与えられ、その和が第2長さ寸法Li=A+B+C+Dで与えられるとき、第2長さ寸法Liは1.6mmから4.2mmの範囲内にある。そして、第1ケース部分から第4ケース部分の各ケース部分の開口部が蓋に接続されている。
【0082】
さらに詳細に述べるならば、第1ケース部分は幅F1を、第2ケース部分は幅F2を、第3ケース部分は幅F3を、第4ケース部分は幅F4を備えている。例えば、音叉型振動子の基部部分、あるいは、基部部分に接続されたフレームの部分がケースの固定部に固定される。また、少なくとも複数の音叉腕(振動腕)が基部部分に接続されている。換言するならば、少なくとも第1音叉腕(振動腕)と第2音叉腕(振動腕)を備えている。
【0083】
加えて、本実施1の形態で述べられた全ての関係は、音叉型振動子を収納(固定)するケースとそのケースの開口部に接続される蓋とから成るユニットにも適用できる。
【0084】
さらに、本実施1の形態に係わる音叉型振動子では、音叉型振動子は第1枠部分から第4枠部分を備えているが、本発明はこれに限定されるものではなく、第4枠部分はなくても良い。すなわち、第1枠部分から第3枠部分を備えていても良い。この場合には、音叉型振動子はケース内に収納される。詳細には、第1枠部分がケース内の第1固定部に固定され、第2枠部分がケース内の第2固定部に固定される。また、蓋がケースの開口部を真空中で封止するために、蓋がケースに接続される。
【0085】
加えて、本実施1の形態に係わる音叉型振動子では、音叉型振動子は第1枠部分から第4枠部分を備えているが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも1個の枠(フレーム)を備えていても良い。この場合には、少なくとも1個の枠がケース内の固定部に固定される。また、蓋がケースの開口部を真空中で封止するために、蓋がケースに接続される。
【0086】
例えば、少なくとも1個の枠(例えば、第3枠部分)は、音叉型振動子の基部部分であっても良いし、あるいは、基部部分に接続されたフレームであっても良い。この場合には、フレームの少なくとも1か所がケースの固定部に固定される。好ましくは、フレームの2ヶ所がケースの固定部に固定される。例えば、フレームの第1フレーム部分がケースの第1固定部に、フレームの第2フレーム部分がケースの第2固定部に固定される。しかし、本発明はこれに限定されるものでなく、フレームの3ヶ所以上がケースの各固定部に固定されても良い。
【0087】
本実施1の形態に係わる音叉型振動子は、いろいろ適用できることを述べたが、これらもすでに上述された作用効果が奏されることは言うまでもない。
【0088】
また、本発明の実施1の形態に係わる圧電ユニットは発振器として用いられる。すなわち、発振器を構成する発振回路図は増幅器(CMOSインバータ)と、帰還抵抗と、ドレイン抵抗と、複数のコンデンサと音叉型振動子とを備えて構成されている。すなわち、発振回路は増幅器と帰還抵抗とを備えて構成される増幅回路と、ドレイン抵抗とゲート側のコンデンサとドレイン側のコンデンサとケースと蓋あるいはケースに固定された音叉型振動子100とを備えて構成される帰還回路とを備えて構成される。
【0089】
詳細には、発振回路は増幅回路と帰還回路を備えて構成されていて、増幅回路は少なくとも増幅器から構成され、帰還回路は少なくとも音叉型振動子とコンデンサとを備えて構成されている。又、発振器の発振回路に用いられる音叉型振動子は容器(ユニット)に収納されている。いわゆる、ユニットが発振回路に用いられる。そして、本発明のユニットを備えた発振器の出力信号は携帯機器やファクシミリなどの電子機器の表示部に時間情報を表示するための信号として用いられる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の音叉型振動子と圧電ユニットは小型化しても小さい等価直列抵抗R1と小さい等価インダクタンスL1とを備えているので、より小型化された音叉型振動子と圧電ユニットを特に必要とする携帯電話などの携帯機器や民生機器を含む電子機器に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
図1】 本発明の実施1の形態に係わる屈曲モードで振動する音叉型振動子の平面図を示す。
図2】 本発明の実施1の形態に係わる圧電ユニットの側面図を示す。
図3】 本発明の第2長さ寸法Liと等価直列抵抗R1の変化ΔRとの関係を示す。
図4】 本発明の寸法差Loiと周波数f1の変化Δfとの関係を示す。
【符号の説明】
【0092】
100 音叉型圧電振動子
10,20 音叉腕
30 基部部分
40 接続部分
1〜4 第1フレーム〜第4フレーム
L 音叉腕の第1振動部分の長さ
L1 接続部分の長さ、
L2 基部部分の長さ
W1 接続部分の幅
W2 基部部分の幅
F1〜F4 第1フレーム〜第4フレームの幅
a 第1フレームの外側の長さ寸法
b 第2フレームの外側の長さ寸法
c 第3フレームの外側の長さ寸法
d 第4フレームの外側の長さ寸法
200 圧電ユニット
50 蓋
60 ケース
A 第1フレームの内側の長さ寸法
B 第2フレームの内側の長さ寸法
C 第3フレームの内側の長さ寸法
D 第4フレームの内側の長さ寸法
We 音叉腕の第2振動部の幅
【要約】      (修正有)
【課題】基部部分と、その基部部分に接続された複数の音叉腕とを備えて構成される音叉型水晶振動子とケースと蓋からなる水晶ユニットを提供する。
【解決手段】水晶ユニットは、基部部分30と、その基部部分に接続された音叉腕10、20とを備えた音叉型水晶振動子100と、ケースと、蓋と、を備えて構成される。水晶振動子はケース内に収納され、音叉腕は第1振動部11、21と第2振動部13、23とを備える。第2振動部の幅Weは第1振動部の幅Wより大きく、第2振動部の長さLeは、第1振動部の長さLより小さく、第1振動部の上面と下面の少なくとも一面に溝12、22が形成される。ケースは、第1ケース部分から第4ケース部分とを備え、第1ケース部分から第4ケース部分の各ケース部分の開口部が蓋に接続されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4