(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
たとえばダイアライザーを備える血液浄化回路は、たとえば下記特許文献1、2に開示がなされている。
【0003】
ダイアライザーには、複数(8000本〜20000本)の人工膜でできた細管を内蔵し、血液流入管からの血液が、これら細管を通して血液流出管から流出されるようになっている。また、ダイアライザーには、透析液流入管からの透析液が、各細管の外側を流れた後に、透析液流出管から流出されるようになっている。これにより、細管の膜を介して血液と透析液の間で物質交換がなされ、不要な物質は透析液に移動し、有用な物質は血液の中に移動するようになっている。
【0004】
このため、ダイアライザーの周辺は、ダイアライザーに血液を流入・流出させるポンプ、ダイアライザーに透析液を流入・流出させるポンプ、透析液を濾過するフィルター、その他の必要とする部品がチューブを介して取り付けられるようになっている。
【0005】
しかし、これら各部品のそれぞれは、他の部品と物理的に分離したものとなっており、各部品ごとにチューブで接続させなければならず、その作業が極めて煩雑となっていた。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0012】
(実施形態1)
図1は、本発明による血液浄化回路パネルの実施形態1を示す正面図である。
図2は、
図1のA−A線における断面図である。
【0013】
図1に示す血液浄化回路パネル10は、まず、地表に対して垂直に配置される板状のパネル20を有する。パネル20は矩形状をなし、たとえば水平幅が垂直幅よりも若干大きくなっている。
【0014】
なお、このパネル20は、後述の記載で明らかになるが、互いに貼付される2枚の樹脂材からなるシート(
図2にて符号21、22で示す)によって形成され、このシートの界面に中空流路が形成され、チューブ、あるいは連結管(インサート)が挟持されるようになっている。
【0015】
パネル20のほぼ中央にはパネルの一方の面(図中前方面)から装着されるダイアライザー30が取り付けられている。該ダイアライザー30は筒状をなし、その長手方向を垂直方向に一致づけられてパネル20に取付けられている。ダイアライザー30は、その長さがパネル20の垂直幅より若干大きく、各端部においてそれぞれパネル20の上辺よりも上方に、下辺よりも下方に突出するように取り付けられている。
【0016】
ここで、ダイアライザー30の概略的な構成について説明をする。両端が密閉された筒状のダイアライザー30には、その上端面の血液流入管部31から血液が流入されるようになっており、下端面の血液流出管部32から浄化した血液が流出されるようになっている。ダイアライザー30の内部には複数(8000本〜20000本)の人工膜でできた細管(
図2にて符号33で示す)がダイアライザー30の軸方向に沿って配設され、これら細管33には血液が流入されるようになっている。
【0017】
また、ダイアライザー30には、その下端側の側面の透析液流入管部(流通管部)34から透析液が流入されるようになっており、上端側の側面の透析液流出管部(流通管部)35から透析液が流出されるようになっている。透析液はダイアライザー30内の細管33の外側に流れるようになっており、これにより、細管33の膜を介して血液と透析液の間で物質交換がなされ、不要な物質は透析液に移動し、有用な物質は血液の中に移動するようになっている。
【0018】
ダイアライザー30のパネル20に対する取付けは次に示すようになされている。
図3は、
図1においてダイアライザー30をいまだ取付けていない状態のパネル20を示した図である。パネル20の上辺のほぼ中央には、垂直上方に延在する取付け片23Aが形成されている。この取付け片23Aには、その垂直辺の一方から水平方向に向かって切り欠かれた切欠き24Aが形成されている。切欠き24Aは、その開口側と反対側の奥行側の内周部が半円弧状をなすともに、該開口側の互いに対向する内周部において前記切欠き24Aの幅を狭めるように一対の狭窄部(たとえば凸部)25Aを有した形状をなしている。同様に、パネル20の下辺のほぼ中央には、垂直下方に延在する取付け片23Bが形成されている。この取付け片23Bには、水平方向に向かって切り欠かれた切欠き24Bが形成されている。この場合、取付け片23Bの切欠き24Bの切り欠かれた方向は、たとえば、前述の取付け片23Aの切欠き24Aの切り欠かれた方向と同じ方向となっている。なお、
図3は、シート21、22の境界で断面をとった断面図となっている。
【0019】
図4は、
図1に示す血液浄化回路パネル10を裏側から観た図である。
図4において、パネル20の取付け片23Aの切欠き24A、取付け片23Bの切欠き24Bには、それぞれ、ダイアライザー30の透析液流出管部35の管の周りに形成されたフランジ部40A、および透析液流入管部34の管の回りに形成されたフランジ部40Bが嵌め込まれている。
【0020】
図5は、
図4の一点鎖線枠Bの拡大図を示している。
図5において、透析液流出管部35に形成されたフランジ部40Aは円形板材からなり、その最大径は、取付け片23Aの切欠き24Aの径より若干大きくなるように形成されている。また、
図6は、
図5のC−C線における断面図である。
図6において、フランジ部40Aは、ある程度の厚さを有し、その周側面の中央部には周方向に沿った環状溝41Aが形成されている。環状溝41には、取付け片23Aの切欠き24Aの内周部が嵌合されるようになっている。なお、
図5に示す構成は、パネル20の下辺に形成された取付け片23Bの切欠き24Bとダイアライザー30の透析液流入管部34に形成されたフランジ部40Bの場合においても同様となっている。
【0021】
このような構成において、ダイアライザー30のパネル20に対する固定は、ダイアライザー30の各フランジ部40A、40Bの環状溝41A、41Bに、パネル20の対応する取付け片23A、23Bの切欠き24A、24Bの内周部を係合させ、狭窄部25A、25Bを乗り上げて切欠き24A、24B内に嵌め込ませることによってなされるようになっている。このように切欠き24A、24Bに嵌め込まれたフランジ部40A、40Bは、狭窄部25A、25Bによって切欠き24A、24Bから容易に外れないように構成されるようになる。また、フランジ部40A、40Bは、その環状溝41A、41Bに取付け片23A、23Bの切欠き24A、24Bの内周部が係合され、その軸方向への変位が規制されるようになる。このため、ダイアライザー30をパネル20に容易にかつ信頼性よく取り付けることができるようになる。
【0022】
図1に戻り、パネル20のダイアライザー30よりも一方の側(図中右側)の領域において、たとえば、その側辺の中央において、ダイアライザー30側に若干切欠かれた切欠き部24が形成されている。切欠き部24の上下のパネル20の幅狭の部分のそれぞれには樹脂材からなる連結部(第1連結部)50、連結部(第2連結部)51が形成されている。連結部50、連結部51は、筒状部材からなり、パネル20を構成するシート21、22に挟持されて(
図2参照)、同軸上に配置されている。連結部50は、拡大図である
図7に示すように、パネル20の上辺側において外付けチューブ(第2チューブ)601が挿入されるようになっており、切欠き部24側においてポンプチューブ(第1チューブ)61が挿入されるようになっている。
図8(a)は
図7のE−E線における断面図、
図8(b)は
図7のF−F線における断面図である。連結部50は、
図8(b)に示すように、外付けチューブ601側において、小さな外径rをなすとともに該外付けチューブ601が挿入できる内径を有し、ポンプチューブ61側において、大きな外径Rをなすとともに該ポンプチューブ61が挿入できる内径を有するようになっている。そして、連結部50は、その軸方向のほぼ中央にくびれ50Aを有する形状となっている。このような形状からなる連結部50は、シート21、22に挟持され、中心軸をパネル20を含む面内に位置づけて配置されることにより、軸方向の変位を信頼性よく規制できる効果を奏する。連結部51は、連結部50とほぼ同様の構成となっており、その大径側がパネル20の切欠き部24側に、小径側がパネル20の下辺側になるように配置されている。連結部51のパネル20の下辺側の端面には外付けチューブ(第3チューブ)602が挿入されるようになっている。
【0023】
これにより、
図1に示すように、パネル20の切欠き部24には、ポンプチューブ61が配置できるようになる。なお、このポンプチューブ61は、チューブポンプの一構成部材となり、該ポンプチューブの駆動により、ポンプチューブ61内の流体を一方向へ送出させることができるようになっている。ポンプチューブより送出された血液又は透析液は血液流入管部31又は透析液流入管部34を介してダイアライザー30内へ送り込まれることとなる。なお、
図9は、チューブポンプの概略を示す模式図である。
図9において、ポンプチューブ61に隣接して回転体62が配置され、この回転体62にはその周方向に沿って複数(たとえば4個)のローラ63が備えられている。回転体62が回転することにより、各ローラ63が順次ポンプチューブ61の長手方向の一部を押圧させながら一方向に移動するようになる。このため、ポンプチューブ61内に発生する負圧によってポンプチューブ61内の流体が同方向に送出されるようになる。
【0024】
図1に戻り、パネル20のポンプチューブ61とダイアライザー30の間の領域において、パネル20の上辺から下辺にかけて延在する中空流路70が形成されている。中空流路70は、
図1のG−G線における断面図である
図10に示すように、2つのシート21、22の貼りあわせで形成されるパネル20において、一方のシート21のうち中空流路70を形成する領域に他方のシート22との間に隙間を有するように凹陥部(たとえば断面が半円弧状)を形成し、他方のシート22のうち中空流路70を形成する領域に一方のシート21との間に隙間を有するように凹陥部(たとえば断面が半円弧状)を形成することによって、構成できるようになっている。
【0025】
なお、中空流路70は、その経路の途中において、平面的に比較的大きな領域を有する中空室71が形成され、この中空室71からパネル20の一方の辺(たとえば
図1では上辺)にかけて他の中空流路70’が形成されている。これにより、中空流路70、70’は、流体の流れを変えることによって、分岐流路あるいは合流流路として構成できるようになっている。
【0026】
パネル20面における中空流路70、70’の各端部には、中空流路70、70’と同軸に配置される筒状部材からなる連結部73(
図2参照)、連結部74(
図2参照)、連結部75が各シート21、22(
図2参照)に挟持されて配置されている。連結部73、連結部74、連結部75のパネル20の上辺、下辺とほぼ面一になる端面には、外付けチューブ(図示せず)が挿入される内径を有するようになっている。
【0027】
図1に示すように、パネル20のダイアライザー30よりも他方の側(図中左側)の領域において、該ダイアライザー30に隣接して開口部25が形成されている。開口部25の上下のパネル20の幅狭の部分のそれぞれには連結部(第1連結部)76、連結部(第2連結部)77が形成されている。連結部76は連結部50と、連結部77は連結部51とほぼ同様の構成からなり、パネル20を構成するシート21、22に挟持されている(
図2参照)。
【0028】
パネル20の開口部25には、一端が連結部76に挿入され他端が連結部77に挿入されるポンプチューブ(第1チューブ)78が配置されている。また、連結部76のパネル20の上辺側の端面には外付けチューブ(第2チューブ)603が、連結部77のパネル20の下辺側の端面には外付けチューブ(第3チューブ)604が挿入されるようになっている。ポンプチューブ78は、上記のポンプチューブ61と同様に、チューブポンプの一構成部材となり、該チューブポンプの駆動により、ポンプチューブ78内の流体を一方向へ送出させることができるようになっている。これにより、ポンプチューブより送出された血液又は透析液は血液流入管部31又は透析液流入管部34を介してダイアライザー30内へ送り込まれることとなる。
【0029】
また、パネル20の該ポンプチューブ78より外方の領域には、パネル20の上辺から下辺に延在する中空流路80、90が並設されている。これら中空流路80、90はいずれも同様の構成となっている。
【0030】
ここで、中空流路80は、上述の中空流路70と比較して、分岐流路あるいは合流流路となっていない直線流路であり、パネル20の上辺、下辺に形成される連結部(第1連結部)81、連結部(第2連結部)82は、それぞれ、中央にくびれを有する連結部50とほぼ同様の構成のものを用いている。そして、
図3に示すように、連結部81と連結部82との間には樹脂材からなるチューブ(第1チューブ)83によって連結され、このチューブ83は、連結部81、連結部82とともにシート21、22によって挟持されるようになっている。これにより、中空流路80の内径は、連結部81および連結部82の外径の大きな端部の径に合わせられ、中空流路70の内径よりも大きくなっている。連結部81には外付けチューブ(第2チューブ)605が、また、連結部82には外付けチューブ(第3チューブ)606が挿入されるようになっている。
【0031】
このように構成された血液浄化回路パネル10は、パネル20上において、外付けチューブを用いて、ダイアライザー30、チューブポンプ等を含む血液浄化回路を構成(搭載)することができるようになる。
なお、シート21、22、各連結部等は、樹脂材で形成されていることを示したが、たとえば、ポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、スチレン−ブタジエンコポリマー(SBC)、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、塩化ビニル樹脂、スチレン系エラストマー、フッ素樹脂、ポリサルフォン等から選定することができる。
さらに、連結部50、51は、予め射出成形等により樹脂材で形成され、チューブとの接着ができ、シート21、22に挟み込まれた状態で一体に溶着固定されることが好ましい。そのため、連結部を構成する樹脂材としては、たとえば、ポリカーボネート、塩化ビニル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)等から選定することができる。
【0032】
(実施形態2)
実施形態1に示したパネル20の取付け片23A、23Bに形成した切欠き24A、24Bは、その垂直辺から水平方向に切り欠いた形状としたものである。しかし、取付け片23Aを例に示す場合、たとえば
図11に示す形状とするようにしてもよい。すなわち、
図11に示すように、切欠き24Aは、取付け片23Aの垂直辺から水平方向へ切り欠かれた後に、さらに下垂方向へ切り欠いた逆‘L’状の形状とするようにしてもよい。下垂方向へ切り欠かれた切欠き24Aは、その奥行側の内周部が半円弧状をなし、水平方向から下垂方向への屈曲部には、切欠きの幅を狭める狭窄部25Aが形成されている。
【0033】
このようにした場合でも、フランジ部40Aの環状溝41Aに取付け片23Aの切欠き24Aの内周部が係合され、凸部24Aを乗り上げて切欠き24A内に嵌め込まれるようになり、切欠き24Aに嵌め込まれたフランジ部40Aは、凸部24Aによって切欠き24Aから容易に外れないように構成される。
【0034】
(実施形態3)
実施形態1では、パネル20の取付け片23A、23Bにおけるダイアライザー30の透析液流入管部34、透析液流出管部35の取付けは、フランジ部40A、40Bを介して行うようにしたものである。しかし、これに限定されることはなく、フランジ部40A、40Bが形成されていない透析液流入管部34、透析液流出管部35において取り付けるようにしてもよい。
図12は、このような実施形態を示し、
図6に対応づけて描いた図である。
図12に示すように、パネル20の取付け片23Aは、ダイアライザー30とフランジ部40Aの間の透析液流出管部35に嵌め込まれるようになっている。この場合の取付け片23Aの切欠き24Aは、たとえば
図3に示したように狭窄部25Aを有し、透析液流出管部35が取付け片23Aの狭窄部25Aを乗り上げて該切欠き24A内に嵌め込まれるようになっている。そして、フランジ部40Aは、パネル20の取付け片23Aが透析液流出管部35から外れるのを回避できるようになっている。
【0035】
(実施形態4)
実施形態1に示した連結部(たとえば連結部50)は、
図8(b)に示したように、その軸方向のほぼ中央にくびれ50Aを有する形状としたものである。しかし、これに限定されることはなく、連結部の少なくとも外周面の外径が一端から他端にかけてテーパを有するような形状となっていてもよい。
図13は、このような連結部の構成を示し、
図8(b)と対応づけて描いた図である。
図13に示すように、たとえば連結部50’は、ポンプチューブ61から外付けチューブ601にかけてたとえば外形及び内径がいずれも小となるテーパ50A’、50B’を有する形状となっている。このような形状からなる連結部50’は、シート21、22に挟持されることにより、軸方向の変位を信頼性よく規制できる効果を奏する。
【0036】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。