(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2リクエスト信号の長さは、前記車載器に対応する1又は複数の携帯機の探索、認証及び制御対象の解錠までの処理が、前記1回のキック操作に対応する期間内で終わるように定めた長さである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯機認証システム。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0023】
図1は、携帯機認証システム1を示す構成図である。同図に示される携帯機認証システム1は、小型車両などに適用され、同小型車両の施錠時の利用を制限する。携帯機認証システム1は、機械的な鍵を使わずに、携帯機200を認証することで、車両の施錠、解錠、エンジン始動等の制御対象にあたる装置を駆動させることができる。
【0024】
例えば、小型車両であるスクータVの車体フレームには、エンジンEおよび変速機(不図示)を含むパワーユニットPが揺動可能に支承され、パワーユニットPによって駆動される後輪WFが該パワーユニットPの後部に軸支される。パワーユニットPは、施錠状態にある場合、駆動が制限される(駆動制限状態)。スクータVの車体フレームの前部には、ハンドルHが設けられており、ハンドルHは、連結軸を介して前輪WRの向きを調整可能に支持される。ハンドルHは、施錠状態にある場合、上記の連結軸の回転がハンドルロック部17により制限される。ハンドルロック部17は、連結軸の回転を制限する機構を含むアクチュエータ部18を備える。
【0025】
なお、パワーユニットPには、キックペダル6の踏込み操作により、パワーユニットPに含まれる発電機Gを駆動し得るキック作動手段7が設けられる。例えば、スクータVは、バッテリ上がりが生じた場合に、キック作動手段7のキック動作により発電して得られた電力を利用することができる。
【0026】
スクータVには、バッテリBが搭載されており、バッテリBの充電状態(端子電圧)に応じて、パワーユニットPの始動方法が切り替わる。
【0027】
バッテリBには、発電機Gが発電した電力が変換部8を介して供給される。エンジンEが駆動されている場合には、エンジンEによって発電機Gが駆動される。例えば、キック作動手段7のキックペダル6を踏込み操作することにより発電機Gから出力される電力によりバッテリBが充電される。この場合、変換部8は整流器とレギュレータとして機能する。
【0028】
さらに、バッテリBに蓄えた電力を発電機Gに供給して、発電機GをエンジンEのスターターとして用いてもよい。この場合、変換部8は、発電機Gをモーターとして機能させるように電力を供給する。
【0029】
また、エンジンEが備える点火プラグ(不図示)には、メインリレー(MRY)12の状態に応じて、点火回路13から点火電力が供給される。
【0030】
ところで、たとえば携帯機200がスクータVに対応する正規のものであると照合された場合、車載器100は、各種制限状態を解除する。各種制限状態には、ハンドルHの施錠、パワーユニットPの駆動制限が含まれる。
【0031】
(車載器100の構成)
車載器100は、電源部20と、制御部30と、送信部41と、受信部42と、駆動回路部43と、入力回路部44と、メインスイッチ状態取得部45と、メインリレー駆動部46とを備える。さらに、車載器100は、スターター駆動部47を備えるように構成してもよい。
【0032】
電源部20は、バッテリBまたは発電機Gを電源とし、バッテリBの端子電圧を、電圧+Vregを基準に安定化して制御部30等の各部に供給する。制御部30等の各部は、安定化された直流電圧をそれぞれの電源にする。電源部20は、バッテリBの端子電圧の予め定められた閾値電圧VTH以下の電圧低下を監視して、検出結果を出力する。
【0033】
送信部41は、携帯機200を呼び出すリクエスト信号を送信する。送信部41から送信される信号をLF信号という場合がある。リクエスト信号(LF信号)には、携帯機200を特定する識別情報が含まれる。
【0034】
受信部42は、上記のリクエスト信号の送信に対応する少なくとも1の携帯機200からのアンサー信号を受信する携帯機200から送信される信号を受信する。携帯機200から送信され、受信部42が受信する信号をRF信号という。RF信号の搬送周波数は、前述のLF信号の搬送周波数に対して比較的高い。
【0035】
駆動回路部43は、メインスイッチ11の導通状態でアクチュエータ部18を駆動する。なお、アクチュエータ部18は、車両の走行を不能とするためにハンドルHをロックするハンドルロック部17に含まれ、ハンドルロック部17の施錠および解錠状態を切換える。
【0036】
入力回路部44は、起動スイッチ16からの信号を受け付ける。
【0037】
メインスイッチ状態取得部45は、乗員の操作に応じて導通することを可能としたメインスイッチ11の導通状態を取得する。
【0038】
メインリレー駆動部46は、制御部30の制御により、メインリレー14のオン状態とオフ状態とを切換える。
【0039】
スターター駆動部47は、制御部30からの制御により、パワーユニットPを始動させるための駆動信号を供給する。例えば、スターター駆動部47は、発電機GをエンジンEのスターターとして利用する際の駆動信号を変換部8に供給する。
【0040】
制御部30は、始動制御部31と、通信制御部32と、判定部33と、駆動制御部34と、記憶部35とを備える。始動制御部31と、通信制御部32と、判定部33と、駆動制御部34とのうち一部または全部は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがプログラムを実行することにより機能するソフトウェア機能部である。また、これらのうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア機能部であってもよい。また、記憶部35は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等で実現される。プロセッサが実行するプログラムは、予め記憶部35に格納されていてもよいし、外部装置からダウンロードされてもよい。また、プログラムを格納した可搬型記憶媒体が図示しないドライブ装置に装着されることで記憶部35にインストールされてもよい。
【0041】
例えば、記憶部35は、制御部30の各部を機能させるためのプログラム、及び、車載器100に対応する1又は複数の携帯機200の識別情報などを保持する。本実施形態の場合、記憶部35には、携帯機210と携帯機220と携帯機230と携帯機240の複数の携帯機200の識別情報が記憶されているものとする。
【0042】
始動制御部31(要求検知部)は、リクエスト信号の送信要求を検知する。リクエスト信号の送信要求は、例えば、起動スイッチ16の操作などに起因する。リクエスト信号には、第1リクエスト信号と第2リクエスト信号のように種別の異なるものが含まれる。第1リクエスト信号と第2リクエスト信号のそれぞれを、以下の説明でパターンLFP1とパターンLFP2ということがある。
【0043】
通信制御部32(送信制御部)は、車載器100の通信状態に応じたリクエスト信号(携帯機探索信号)を送信する。例えば、通信制御部32は、通信可能性に基づいて定められる状態の違いにより、異なる処理を実施する。例えば、通信可能な状態を第1通信可能状態とし、通信不可能な状態を第2通信可能状態とする。第2通信可能状態には、バッテリBの端子電圧が規定の閾値電圧VTHに比べ不足した状態が含まれる。
【0044】
通信制御部32は、特定の携帯機200の識別情報と認証処理用データとを含めて送信するリクエスト信号(第1リクエスト信号)を送信可能な第1通信可能状態にあり、前記リクエスト信号の送信要求が検知された場合に、記憶部35に保持されている識別情報に対応する第1リクエスト信号を、送信部41から順次送信させる。例えば、第1通信可能状態とは、リクエスト信号の送信要求に応じてリクエスト信号を送信可能な電力がバッテリBに蓄えられている状態とする。第2通信可能状態とは、リクエスト信号の送信要求に応じてリクエスト信号を送信可能な電力がバッテリBに蓄えられていない状態とする。
【0045】
一方、通信制御部32は、前記第1リクエスト信号を送信できない通信不可能状態にあり、車載器100に電力を供給する発電機Gを駆動するキック作動手段7により第2通信可能状態にされた場合、特定の携帯機200の探索及び認証を行うための第2リクエスト信号を送信部41から送信させる。
【0046】
判定部33は、受信部42が受信したアンサー信号の解読結果に基づいて、前記アンサー信号に対応する携帯機200が車載器100に対応するものであるか否かを、前記第2通信可能状態が継続する期間内に判定する。
【0047】
駆動制御部34は、判定部33の判定により、携帯機200が車載器100に対応するものであると判定された場合、ハンドルのロック状態を解除し、エンジンEの始動制限を解除する。例えば、駆動制御部34は、駆動回路部43を介してハンドルロック部17のアクチュエータ部18を駆動させて、ハンドルのロック状態を解除する。駆動制御部34は、スターター駆動部47を介して、発電機Gを駆動させることで、エンジンEを始動させる。
【0048】
(携帯機200の構成)
携帯機200は、車載器100により認証される。車載器100の記憶部35には、携帯機210と携帯機220と携帯機230と携帯機240の複数の携帯機200の識別情報が記憶されている。携帯機210は、携帯機受信部211と、携帯機送信部212と、携帯機制御213と、を備える。携帯機受信部211は、車載器100が送信する第1リクエスト信号と第2リクエスト信号との何れかを含むリクエスト信号を受信する。携帯機送信部212は、携帯機制御部213の制御によりアンサー信号を送信する。携帯機制御部213は、携帯機受信部211により受信したリクエスト信号から、自携帯機200が車載器100に対応する携帯機200であると判定した場合、前記受信したリクエスト信号に応じたアンサー信号を携帯機送信部212から送信させる。
【0049】
なお、携帯機受信部211と、携帯機送信部212と、携帯機制御213とのうち一部または全部は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがプログラムを実行することにより機能するソフトウェア機能部としてもよい。また、これらのうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア機能部であってもよい。また、携帯機制御213が記憶部(不図示)を備えていてもよく、同記憶部がROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等で実現される。プロセッサが実行するプログラムは、予め上記記憶部に格納されていてもよいし、外部装置からダウンロードされてもよい。また、プログラムを格納した可搬型記憶媒体が図示しないドライブ装置に装着されることで上記記憶部にインストールされてもよい。
【0050】
(リクエスト信号のフレーム構造)
図2と
図3を参照して、本実施形態のLF通信にて送信するリクエスト信号のフレーム構造について説明する。
図2は、本実施形態のLF通信にて送信する第1リクエスト信号のフレーム構造を示す説明図である。
図3は、本実施形態のLF通信にて送信する第2リクエスト信号のフレーム構造を示す説明図である。
【0051】
図2に示されるパターンLFP1のフレーム(第1フレーム構造)は、通常動作時などの第1通信可能状態のLF通信において用いられるものである。パターンLFP1の伝送に要する時間をTLFP1として示す。例えば、パターンLFP1は、少なくともトレーニングデータTDと、フレームヘッダFH1と、携帯機識別情報IDkなどの各データを含む。さらに、パターンLFP1は、誤り訂正情報ECC1などの各データ、上記の各データの他に認証情報AUDを含めてもよい。
【0052】
図3に示されるパターンLFP2のフレーム(第2フレーム構造)は、バッテリBの電圧低下時などの第2通信可能状態のLF通信において用いられるものである。パターンLFP2の伝送に要する時間をTLFP2として示す。例えば、パターンLFP2は、少なくともトレーニングデータTDと、フレームヘッダFH2と、携帯機識別情報IDkなどの各データを含む。さらに、パターンLFP2は、誤り訂正情報ECC2などのデータを含めてもよい。
【0053】
上記の
図2と
図3に示した各フレームの要素について纏めて説明する。
【0054】
トレーニングデータTDは、パターンLFP1を送信する際に最初に送信されるように配置されている。トレーニングデータTDには、携帯機がパターンLFP1を受信する際に携帯機受信部211の調整に要する信号パターンが割り付けられる。
【0055】
フレームヘッダFH1又はフレームヘッダFH2は、例えばトレーニングデータTDの次に送信するように配置されている。フレームヘッダFH1又はフレームヘッダFH2には、携帯機受信部211がトレーニングデータTDによるトレーニングを終えた後に、各種情報を抽出する際に指標とする信号パターンと、パターン種別を識別する情報が含まれる。つまり、フレームヘッダは、パターンLFP2とパターンLFP1とを識別する情報を含む。
【0056】
携帯機識別情報IDkは、パターンLFP1又はパターンLFP2の宛先にあたる携帯機kを特定する識別情報である。ここで、kは、例えば、車載器に携帯機が登録されている順を示し、1以上の自然数とする。
【0057】
誤り訂正情報ECC1は、パターンLFP1において、受信した携帯機識別情報IDkなどの各データの誤り検出や誤り訂正を行うための情報である。誤り訂正情報ECC2は、パターンLFP2において、受信した携帯機識別情報IDkなどの各データの誤り検出や誤り訂正を行うための情報である。誤り訂正情報ECC1と誤り訂正情報ECC2のそれぞれは、パターンの種類ごとに、誤り検出や誤り訂正の対象範囲、及び、誤り検出や誤り訂正の手法などを適宜定めることができる。
【0058】
パターンLFP1に含まれる認証情報AUDは、例えば、暗号処理に必要とされる情報(暗号鍵、暗号文など)を示す。認証情報AUDを利用して、暗号処理に必要とされる情報を送るようにしてもよい。暗号処理の方法には、一般的なアルゴリズムを適用することができる。暗号処理は、車載器100において暗号化された情報を、携帯機200により復号化され、復号化された情報の判定を携帯機200と車載器100の何れかで実施するようにしてもよい。
【0059】
認証情報AUDは、複数に分割できるようにしてもよい。例えば、複数に分割する方法として、同図に示すように認証情報AUD1と認証情報AUD2とを時分割にする方法が挙げられる。ここで、認証情報AUD1と認証情報AUD2とを利用して、暗号化された情報を送る一例を示す。例えば、認証情報AUD1を送出する期間の値(TAUD1)と認証情報AUD2を送出する期間の値(TAUD2)を、車載器100から携帯機に送信する暗号データにしてもよい。
【0060】
上記のように、認証情報AUD1と認証情報AUD2とを時分割にして送信する際に、認証情報AUD1の期間と認証情報AUD2の期間とを識別可能にする下記の何れかの方法が挙げられる。
【0061】
(1)認証情報AUD1の期間の受信信号強度値(RSSI)と認証情報AUD2の期間の受信信号強度値が異なる値になるように、車載器100の送信電力を調整する。
【0062】
(2)認証情報AUD1の期間の搬送波周波数と認証情報AUD2の期間の搬送波周波数を切り替える。
【0063】
(3)認証情報AUD1の期間に送信するデータと認証情報AUD2の期間に送信するデータが異なるようにそれぞれのデータを規定する。例えば、前者を「1」にして、後者を「0」にする。
【0064】
(4)上記(3)の例示を下記のように代える。例えば、元のデータから規定の擬似乱数を生成する演算式によりスクランブルしたデータを用いて、前者をスクランブルさせた「1」にして、後者をスクランブルさせた「0」にする。なお、送信の都度、演算式によりスクランブルデータを生成するのに代えて、予め生成されたデータを記憶部35に記憶させるようにしてもよく、特定の分割した情報ごとに秘匿された情報を備えるようにしてもよい。
【0065】
なお、上記(1)から(4)のデータの割り付け例は一例であり、前者と後者を入れ替えてもよく、それぞれの値を異なる値を規定してもよい。
【0066】
上記のように構成されたパターンLFP1とパターンLFP2とを対比すると、パターンLFP1(本照合信号)は、パターンLFP2(携帯機探索信号)よりデータ長が長く、少なくとも認証用コードを含むという構成にしてもよい。
【0067】
(車載器100の起動時の処理)
図4を参照して、本実施形態の車載器の起動時の処理について説明する。同図は、本実施形態の車載器の起動時の処理の手順を示すフローチャートである。
【0068】
制御部30は、初期化処理を実施する。例えば、初期化処理には、制御部30の周辺部にあたる入出力ポートの設定処理や受信部42の初期状態の調整等の処理などが含まれる(ステップSU10)。
【0069】
始動制御部31は、起動スイッチ16がオフ(遮断)状態であるか否かを判定する(ステップSU20)。ステップSU20における判定により、起動スイッチ16がオフ(遮断)状態であると判定された場合(ステップSU20:No)、制御部30は、ステップSU40の処理に進ませる。ステップSU20における判定により、起動スイッチ16がオフ(遮断)状態であると判定された場合(ステップSU20:Yes)、制御部30は、キック始動用認証処理を実施する(ステップSU30)。
【0070】
ステップSU20の判定の後、又は、ステップSU30の処理を終えた後、制御部30は、予め定められた期間の待ち時間が経過するまで次の処理の実施を待機するタイマー処理を繰り返し実施する(ステップSU40)。ステップSU40のタイマー処理において、規定の待ち時間(例えば、300ms)が経過した場合(ステップSU40:Yes)、制御部30は、初期化処理を実施する。例えば、初期化処理には、制御部30の周辺部にあたる入出力ポートの設定処理や受信部42の初期状態の調整等の処理などが含まれる(ステップSU50)。ステップSU50の初期化処理を終えた後、制御部30は、通常動作処理を実施する(ステップSU60)。
【0071】
図5を参照して、本実施形態の車載器の「キック始動用認証処理」について説明する。同図は、本実施形態の車載器の「キック始動用認証処理」の手順を示すフローチャートである。
以下の説明において、携帯機210の識別情報を含むパターンLFP2信号をLFP21と示し、携帯機220の識別情報を含むパターンLFP2信号をLFP22と示し、携帯機230の識別情報を含むパターンLFP2信号をLFP23と示し、携帯機240の識別情報を含むパターンLFP2信号をLFP24と示す。また、LFP21に対する携帯機210のアンサー信号をRFA21と示し、LFP22に対する携帯機220のアンサー信号をRFA22と示し、LFP23に対する携帯機230のアンサー信号をRFA23と示し、LFP24に対する携帯機240のアンサー信号をRFA24と示す。なお、LFP21からLFP24(第2リクエスト信号)とRFA21からRFA24とを用いた通信を、「キック用認証通信」という。
【0072】
上記と同様に、携帯機210の識別情報を含むパターンLFP1信号をLFP11と示し、携帯機220の識別情報を含むパターンLFP1信号をLFP12と示し、携帯機230の識別情報を含むパターンLFP1信号をLFP13と示し、携帯機240の識別情報を含むパターンLFP1信号をLFP14と示す。また、LFP11に対する携帯機210のアンサー信号をRFA11と示し、LFP12に対する携帯機220のアンサー信号をRFA12と示し、LFP13に対する携帯機230のアンサー信号をRFA13と示し、LFP14に対する携帯機240のアンサー信号をRFA14と示す。なお、LFP11からLFP14(本照合信号、第1リクエスト信号)とRFA11からRFA14(本照合アンサー)とを用いた通信を、「スマート認証通信」という。
【0073】
制御部30は、携帯機210に対するキック用認証通信を開始して、送信部41からLFP21を送信し、LFP21を送信した後、RFA21の受信を待機するとともに、受信した信号の携帯機を識別する(ステップSU311)。判定部33は、識別した携帯機が携帯機210であるとする認証が成功したか否かを判定する(ステップSU312)。ステップSU312の判定により、認証が成功なかったと判定した場合(ステップSU312:No)、制御部30は、ステップSU320の処理に進む。
【0074】
ステップSU312の判定により、認証が成功したと判定した場合(ステップSU312:Yes)、制御部30は、携帯機210に対するスマート認証通信を開始する。例えば、制御部30は、送信部41からLFP11を送信し、LFP11を送信した後、RFA11の受信を待機するとともに、受信した信号から、携帯機の識別と受信したデータが正規のものであるか識別する(ステップSU313)。判定部33は、携帯機210に対するスマート認証通信が成功したか否かを判定する(ステップSU314)。
【0075】
ステップSU314の判定により、スマート認証通信が成功したと判定した場合(ステップSU314:Yes)、制御部30は、開錠処理をして(ステップSU315)、処理を終了する。ステップSU314の判定により、スマート認証通信が成功しなかったと判定した場合(ステップSU314:No)、処理を終了する。
【0076】
一方、ステップSU312の判定により、認証が成功なかったと判定した場合(ステップSU312:No)、制御部30は、携帯機220が記憶部35に登録されているか否かを判定する(ステップSU320)。ステップSU320の判定により、携帯機220が登録されていないと判定した場合(ステップSU320:No)、処理を終了する。ステップSU320の判定により、携帯機220が登録されていると判定した場合(ステップSU320:Yes)、次の処理をする。
【0077】
制御部30は、携帯機220に対するキック用認証通信を開始して、送信部41からLFP22を送信し、LFP22を送信した後、RFA22の受信を待機するとともに、受信した信号の携帯機を識別する(ステップSU321)。判定部33は、識別した携帯機が携帯機220であるとする認証が成功したか否かを判定する(ステップSU322)。ステップSU322の判定により、認証が成功なかったと判定した場合(ステップSU322:No)、制御部30は、ステップSU330の処理に進む。
【0078】
ステップSU322の判定により、認証が成功したと判定した場合(ステップSU322:Yes)、制御部30は、携帯機220に対するスマート認証通信を開始する。例えば、制御部30は、送信部41からLFP12を送信し、LFP12を送信した後、RFA12の受信を待機するとともに、受信した信号から、携帯機の識別と受信したデータが正規のものであるか識別する(ステップSU323)。判定部33は、携帯機220に対するスマート認証通信が成功したか否かを判定する(ステップSU324)。
【0079】
ステップSU324の判定により、スマート認証通信が成功したと判定した場合(ステップSU324:Yes)、制御部30は、前述のステップSU315の開錠処理をして、処理を終了する。ステップSU324の判定により、スマート認証通信が成功しなかったと判定した場合(ステップSU324:No)、処理を終了する。
【0080】
一方、ステップSU322の判定により、認証が成功なかったと判定した場合(ステップSU322:No)、制御部30は、携帯機230が記憶部35に登録されているか否かを判定する(ステップSU330)。ステップSU330の判定により、携帯機230が登録されていないと判定した場合(ステップSU330:No)、処理を終了する。ステップSU330の判定により、携帯機230が登録されていると判定した場合(ステップSU330:Yes)、次の処理をする。
【0081】
制御部30は、携帯機230に対するキック用認証通信を開始して、送信部41からLFP23を送信し、LFP23を送信した後、RFA23の受信を待機するとともに、受信した信号の携帯機を識別する(ステップSU331)。判定部33は、識別した携帯機が携帯機230であるとする認証が成功したか否かを判定する(ステップSU332)。ステップSU332の判定により、認証が成功なかったと判定した場合(ステップSU332:No)、制御部30は、ステップSU330の処理に進む。
【0082】
ステップSU332の判定により、認証が成功したと判定した場合(ステップSU332:Yes)、制御部30は、携帯機230に対するスマート認証通信を開始する。例えば、制御部30は、送信部41からLFP13を送信し、LFP13を送信した後、RFA13の受信を待機するとともに、受信した信号から、携帯機の識別と受信したデータが正規のものであるか識別する(ステップSU333)。判定部33は、携帯機230に対するスマート認証通信が成功したか否かを判定する(ステップSU334)。
【0083】
ステップSU334の判定により、スマート認証通信が成功したと判定した場合(ステップSU334:Yes)、制御部30は、前述のステップSU315の開錠処理をして、処理を終了する。ステップSU334の判定により、スマート認証通信が成功しなかったと判定した場合(ステップSU334:No)、処理を終了する。
【0084】
一方、ステップSU332の判定により、認証が成功なかったと判定した場合(ステップSU332:No)、制御部30は、携帯機240が記憶部35に登録されているか否かを判定する(ステップSU340)。ステップSU340の判定により、携帯機240が登録されていないと判定した場合(ステップSU340:No)、処理を終了する。ステップSU340の判定により、携帯機240が登録されていると判定した場合(ステップSU340:Yes)、次の処理をする。
【0085】
制御部30は、携帯機240に対するスマート認証通信を開始する。例えば、制御部30は、送信部41からLFP14を送信し、LFP14を送信した後、RFA14の受信を待機するとともに、受信した信号から、携帯機の識別と受信したデータが正規のものであるか識別する(ステップSU343)。判定部33は、携帯機240に対するスマート認証通信が成功したか否かを判定する(ステップSU344)。
【0086】
ステップSU344の判定により、スマート認証通信が成功したと判定した場合(ステップSU344:Yes)、制御部30は、前述のステップSU315の開錠処理をして、処理を終了する。ステップSU344の判定により、スマート認証通信が成功しなかったと判定した場合(ステップSU344:No)、処理を終了する。
【0087】
上記とおり、制御部30は、携帯機200を探索できない場合には、複数の携帯機のうちの他の1つの携帯機を探索する携帯機探索信号をLFP21からLFP23(他の第2リクエスト信号)として送信し、携帯機からのアンサー信号の受信を待機する処理を、車載器100に対応する携帯機200の個数に基づいて定められた回数分繰り返す。
【0088】
図6を参照して、本実施形態の携帯機の処理について説明する。同図は、本実施形態の携帯機の処理の手順を示すフローチャートである。以下、携帯機210を例示して説明する。
【0089】
携帯機受信部211は、LF信号を受信する(ステップSF31)。携帯機制御部213は、受信したLF信号のパターンを判定する(ステップSF32)。
【0090】
ステップSF32における判定により、受信したLF信号のパターンがパターンLFP1と判定された場合、携帯機制御部213は、パターンLFP1の受信処理をする(ステップSF33)。携帯機制御部213は、パターンLFP1に含まれる携帯機の識別番号と自機に割り付けられている識別番号とを照合し、照合が成功したか否かを判定する(ステップSF34)。ステップSF34における照合の結果、照合が不成功であったと判定した場合(ステップSF34:No)、処理を終える。
【0091】
一方、ステップSF34における照合の結果、照合が成功したと判定した場合(ステップSF34:Yes)、携帯機制御部213は、パターンLFP1から秘匿情報を抽出する例えば、秘匿情報とは、認証情報AUDとして車載器100から送られた暗号鍵、暗号文などの情報を含めてもよい(ステップSF35)。携帯機制御部213は、パターンLFP1に対するアンサー処理を携帯機送信部212から送信させて、処理を終える(ステップSF36)。
【0092】
さらに、ステップSF32における判定により、受信したLF信号のパターンがパターンLFP2と判定された場合、携帯機制御部213は、パターンLFP2の受信処理をする(ステップSF37)。携帯機制御部213は、パターンLFP2に含まれる携帯機の識別番号と自機に割り付けられている識別番号とを照合し、照合が成功したか否かを判定する(ステップSF38)。ステップSF38における照合の結果、照合が不成功であったと判定した場合(ステップSF38:No)、処理を終える。
【0093】
一方、ステップSF38における照合の結果、照合が成功したと判定した場合(ステップSF38:Yes)、携帯機制御部213は、パターンLFP2に対するアンサー処理を携帯機送信部212から送信させて、処理を終える(ステップSF39)。
【0094】
図7と
図8を参照して、携帯機認証システム1の処理について説明する。
図7は、第1の条件に基づいた携帯機認証システム1の処理を示すタイミングチャートである。
【0095】
同図には、(a)バッテリ電圧、(b)制御部起動、(c)制御部初期化処理、(d)メインスイッチ、(e)メインスイッチ判定値、(f)LF送信、(g)携帯機処理、(h)RF受信、(i)RFデータ判定、(j)ソレノイド制御、及び、(k)開錠の各状態が示される。
【0096】
同図に示す処理に係る条件(第1の条件)は以下の通りである。車載器100に4つの携帯機200(携帯機210と携帯機220と携帯機230と携帯機240)が登録されている。登録されている順は、携帯機210、携帯機220、携帯機230、携帯機240の順である。車載器100は、上記の順で携帯機200の認証処理を実施する。車載器100の近傍には、応答可能な携帯機210と携帯機220とが存在せず、応答可能な携帯機230が存在し、携帯機240の存在が任意である。
【0097】
時刻t1にキック動作が行われる。キック作動手段7の作用によりバッテリBの電圧(バッテリ電圧)が予め定められた閾値電圧に達したことを電源部20が検出する(時刻t10)。時刻t1以降時刻t30までの間、バッテリBの電圧(バッテリ電圧)は、予め定められた閾値電圧を確保でき、その時間をTMAXとする。
【0098】
時刻t10の後、制御部30に対して制御部起動が指示(「制御部起動:オン(ON)」)される。前記指示に応じて、制御部30は制御部初期化処理を実施して時刻t15までに終了する。制御部30は、メインスイッチ11が、オフ(OFF)の状態にあることを検出し、メインスイッチの判定結果(メインスイッチ判定値)をオフ(OFF)のまま継続する。
【0099】
制御部30は、制御部30に登録されている携帯機に応じたLF信号を下記のように順に送信する。
【0100】
時刻t211において、車載器100は、LFP21の送信を開始する。LFP21を受信できる範囲に携帯機210が存在しない場合、時刻t212以降に携帯機210からのアンサー信号が車載器100には届かない。受信部42により前記アンサー信号を受信できず、制御部30は、携帯機210が存在しないことを検知する。
【0101】
時刻t221において、車載器100は、LFP22の送信を開始する。LFP22を受信できる範囲に携帯機220が存在しない場合、時刻t222以降に携帯機220からのアンサー信号が車載器100には届かない。受信部42により前記アンサー信号を受信できず、制御部30は、携帯機220が存在しないことを検知する。
【0102】
時刻t231において、車載器100は、LFP23の送信を開始する。LFP23を受信できる範囲に携帯機230が存在し、携帯機230は、LFP23を受信する。携帯機230は、時刻t232以降に携帯機230からのアンサー信号(RFA23)の送信を開始する。車載器100は、受信部42によりアンサー信号(RFA23)を受信する。
【0103】
時刻t233において、車載器100は、受信したアンサー信号(RFA23)に基づいて携帯機230の認証(RFデータ判定)を実施する。車載器100は、携帯機230の認証が成功した場合、「スマート認証通信」を開始する。
【0104】
携帯機230の「スマート認証通信」として、時刻t131において、車載器100は、LFP13の送信を開始する。携帯機230は、LFP13を受信する。携帯機230は、時刻t132以降に携帯機230からのアンサー信号(RFA13)の送信を開始する。車載器100は、受信部42によりアンサー信号(RFA13)を受信する。
【0105】
時刻t133において、車載器100は、受信したアンサー信号(RFA13)に基づいて携帯機230の認証(RFデータ判定)を実施する。車載器100は、携帯機230の認証が成功した場合(時刻t134)、制御部30(駆動制御部34)は、各部のソレノイドを駆動させて各部の施錠状態を開錠するように制御する。時刻t135以降かつ時刻t30までの期間内に各部の施錠状態が開錠される。
【0106】
上記のとおり、制御部30(通信制御部32)は、複数の携帯機200のうちの1つの携帯機200を探索する携帯機探索信号を一の第2リクエスト信号として送信した後、当該携帯機200からのアンサー信号の受信を受信部42に待機させる。当該携帯機200からのアンサー信号が予め定められた時間内に受信しなかった場合、制御部30は、複数の携帯機200のうちの他の1つの携帯機200を探索する携帯機探索信号を他の第2リクエスト信号として送信する。さらに、制御部30は、携帯機200からのアンサー信号の受信を待機する処理を、車載器100に対応する携帯機200の個数に基づいて定められた回数分繰り返すようにした。例えば、制御部30は、アンサー信号RFA23を受信した場合、アンサー信号RFA23を送信した携帯機230に、携帯機探索信号よりデータ長が長く、少なくとも認証用コードを含むパターンLFP13など(本照合信号)を送信する。前記アンサー信号RFA23を送信した携帯機230は、送信されたパターンLFP13(本照合信号)を受信して、パターンLFP13に対応するアンサー信号RFA13(本照合アンサー信号)を送信する。受信部42がアンサー信号RFA13(本照合アンサー信号)を受信して、判定部33がアンサー信号RFA13(本照合アンサー信号)に基づいて当該携帯機200の認証を行うようにする。
【0107】
これにより、1回のキック動作によるバッテリBの電圧が、各部を機能させるのに十分な電圧が継続して維持されている期間(TMAX)内に、車載器100は、各部の施錠状態を開錠するように制御できる。
【0108】
図8は、第2の条件に基づいた携帯機認証システム1の処理を示すタイミングチャートである。
【0109】
同図には、(a)バッテリ電圧、(b)制御部起動、(c)制御部初期化処理、(d)メインスイッチ、(e)メインスイッチ判定値、(f)LF送信、(g)携帯機処理、(h)RF受信、(i)RFデータ判定、(j)ソレノイド制御、及び、(k)開錠の各状態が示される。
【0110】
同図に示す処理に係る条件(第2の条件)は以下の通りである。車載器100に4つの携帯機200(携帯機210と携帯機220と携帯機230と携帯機240)が登録されている。登録されている順は、携帯機210、携帯機220、携帯機230、携帯機240の順である。携帯機100は、上記の順で携帯機200の認証処理を実施する。車載器100の近傍には、応答可能な携帯機210と携帯機220と携帯機230とが存在せず、応答可能な携帯機240が存在する。
【0111】
同図において、時刻t1にキック動作が行われた後、バッテリBの電圧(バッテリ電圧)が予め定められた閾値電圧に維持されている期間(TMAX、時刻t10から時刻t30までの期間)は、前述の
図7と同じである。また、時刻t1以降時刻tt232までの間の状態の遷移も、前述の
図7と同じである。
【0112】
本条件のもとでは、時刻t231において、車載器100は、LFP23の送信を開始する。LFP23を受信できる範囲に携帯機230が存在しないため、時刻t232以降に携帯機230からのアンサー信号が車載器100には届かない。受信部42により前記アンサー信号を受信できず、制御部30は、携帯機230が存在しないことを検知する。
【0113】
上記のとおり、携帯機210と携帯機220と携帯機230の各携帯機からの応答がないことを、車載器100の制御部30は、既に検知している。この段階で、検出されるべき携帯機は、携帯機240しかない。そこで、検索順位が最下位になるように登録されている携帯機240については、LFP24を送信せずに、直接LFP14を送信する。要するに、時刻t232から時間TLFW2が経過するまでの間に、アンサー信号が受信できない場合、時刻t141において、車載器100は、携帯機240に対する「スマート認証通信」を開始する。
【0114】
時刻t141から時刻t145までの説明は、前述の
図7における時刻t131から時刻t135までの説明に対応する。「スマート認証通信」の対象が、携帯機240に対するものである点が異なる。
この点については、登録されている複数の携帯機210〜240のうち検索順位が最下位の携帯機240へのLFP240を省略しても携帯機240の有無によって後の通信に及ぼす時間的影響がない。そこで、スマート認証通信を完了するまで最も時間がかかるケースになる携帯機240のスマート認証を実施するケースでは、携帯機240へのLFP24の送信を省略することでスマート認証通信を完了するまでの時間を短くしている。
【0115】
上記のとおり、上記の条件の場合においても、1回のキック動作によるバッテリBの電圧が、各部を機能させるのに十分な電圧が継続して維持されている期間(TMAX)内に、車載器100は、各部の施錠状態を開錠するように制御できる。
【0116】
図9と
図10を参照して、バッテリBの電圧が十分高く、キック動作を必要としない場合の動作について説明する。
図9と
図10は、バッテリBの電圧が十分高く、キック動作を必要としない場合の動作を示すタイミングチャートである。
【0117】
同図には、(a)起動スイッチ、(b)制御部起動、(c)制御部初期化処理、(d)メインスイッチ、(e)メインスイッチ判定値、(f)LF送信、(g)携帯機処理、(h)RF受信、(i)RFデータ判定、(j)ソレノイド制御、及び、(k)開錠の各状態が示される。
【0118】
図9に示す処理に係る条件(第3の条件)は以下の通りである。車載器100に4つの携帯機200(携帯機210と携帯機220と携帯機230と携帯機240)が登録されている。登録されている順は、携帯機210、携帯機220、携帯機230、携帯機240の順である。携帯機100は、上記の順で携帯機200の認証処理を実施する。車載器100の近傍には、応答可能な携帯機210が存在し、携帯機220と携帯機230と携帯機240の存在が任意である。なお、バッテリBの電圧が十分高く、車載器100は、キック動作を必要とせずに、起動スイッチ16の操作により各部の施錠状態を開錠する。
【0119】
時刻t20に起動スイッチ16の操作の検出(0V)により、制御部30に対して制御部起動が指示(「制御部起動:オン(ON)」)される。前記指示に応じて、制御部30は制御部初期化処理を実施して時刻t25までに終了する。制御部30は、メインスイッチ11が、オフ(OFF)の状態にあることを検出し、メインスイッチの判定結果(メインスイッチ判定値)をオフ(OFF)のまま継続する。
【0120】
制御部30は、制御部30に登録されている携帯機に応じたLF信号を下記のように順に送信する。
【0121】
車載器100は、「スマート認証通信」を開始する。
【0122】
携帯機210の「スマート認証通信」として、時刻t111において、車載器100は、LFP11の送信を開始する。携帯機210は、LFP11を受信する。携帯機210は、時刻t112以降に携帯機210からのアンサー信号(RFA11)の送信を開始する。車載器100は、受信部42によりアンサー信号(RFA11)を受信する。
【0123】
時刻t113において、車載器100は、受信したアンサー信号(RFA11)に基づいて携帯機210の認証(RFデータ判定)を実施する。車載器100は、携帯機210の認証が成功した場合(時刻t114)、制御部30(駆動制御部34)は、各部のソレノイドを駆動させて各部の施錠状態を開錠するように制御する。時刻t135以降かつ時刻t30までの期間内に各部の施錠状態が開錠される。
【0124】
上記のとおり、バッテリBの電圧が、各部を機能させるのに十分な電圧が継続している内に、車載器100は、各部の施錠状態を開錠するように制御できる。
【0125】
図10に示す処理に係る条件(第4の条件)は以下の通りである。車載器100に4つの携帯機200(携帯機210と携帯機220と携帯機230と携帯機240)が登録されている。登録されている順は、携帯機210、携帯機220、携帯機230、携帯機240の順である。携帯機100は、上記の順で携帯機200の認証処理を実施する。車載器100の近傍には、応答可能な携帯機210と携帯機220と携帯機230とが存在せず、携帯機240が存在する。なお、バッテリBの電圧が十分高く、車載器100は、キック動作を必要とせずに、起動スイッチ16の操作により各部の施錠状態を開錠する。
【0126】
時刻t20に起動スイッチ16の操作の検出(0V)により、制御部30に対して制御部起動が指示(「制御部起動:オン(ON)」)される。前記指示に応じて、制御部30は制御部初期化処理を実施して時刻t25までに終了する。制御部30は、メインスイッチ11が、オフ(OFF)の状態にあることを検出し、メインスイッチの判定結果(メインスイッチ判定値)をオフ(OFF)のまま継続する。
【0127】
時刻t111において、車載器100は、LFP11の送信を開始する。LFP11を受信できる範囲に携帯機210が存在しない場合、時刻t112以降に携帯機210からのアンサー信号が車載器100には届かない。受信部42により前記アンサー信号を受信できず、制御部30は、携帯機210が存在しないことを検知する。
【0128】
時刻t121において、車載器100は、LFP12の送信を開始する。LFP12を受信できる範囲に携帯機220が存在しない場合、時刻t122以降に携帯機220からのアンサー信号が車載器100には届かない。受信部42により前記アンサー信号を受信できず、制御部30は、携帯機220が存在しないことを検知する。
【0129】
時刻t131において、車載器100は、LFP13の送信を開始する。LFP13を受信できる範囲に携帯機230が存在しない場合、時刻t132以降に携帯機230からのアンサー信号が車載器100には届かない。受信部42により前記アンサー信号を受信できず、制御部30は、携帯機230が存在しないことを検知する。
【0130】
時刻t141において、車載器100は、LFP14の送信を開始する。LFP14を受信できる範囲に携帯機140が存在し、携帯機240は、LFP14を受信する。携帯機240は、時刻t142以降に携帯機240からのアンサー信号(RFA23)の送信を開始する。車載器100は、受信部42によりアンサー信号(RFA24)を受信する。
【0131】
時刻t143において、車載器100は、受信したアンサー信号(RFA14)に基づいて携帯機240の「スマート認証通信」を実施する。
【0132】
(各条件にもとでの処理時間についての検討)
【0133】
最初に、前述の
図7と
図8を参照して、施錠解除までに要する処理の時間について検討する。
【0134】
時刻t10から時刻t15までの時間をTD1、時刻t15から時刻t211までの時間をTD2とする。
LFP21とLFP22とLFP23の送信に係る時間をTLFP2とする。送信したLFP21とLFP22とLFP23の応答を待機する期間をTLFW2とする。LFP23に対する応答としてRFA23の受信に掛る時間をTRFP2とする。受信したRFA23の判定に掛る時間をTJ2とする。なお、図示されていないが、LFP21とLFP22に対する応答としてRFA21とRFA22とを受信に掛る期間のそれぞれを、TLFW2とする。
【0135】
LFP13とLFP14の送信に係る時間をTLFP1とする。LFP13とLFP14に対する応答としてRFA23とRFA24の受信に掛る時間をTRFP2とする。受信したRFA13とRFA23の判定に掛る時間をTJ1とする。
【0136】
前述の
図7に示した第1の条件の場合には、下記の式(1)が成り立つように各期間の値を割り付ける。
【0137】
TMAX>(3xTLFP2+2xTLFW2+TRFP2+TJ2)
+(TLFP1+TRFP1+TJ1)+(TD1+TD2+TD3)
・・・(1)
【0138】
前述の
図8に示した第2の条件の場合には、下記の式(2)が成り立つように各期間の値を割り付ける。
【0139】
TMAX>(3xTLFP2+3xTLFW2+TJ2)
+(TLFP1+TRFP1+TJ1)+(TD1+TD2+TD3)
・・・(2)
【0140】
上記の
図7と
図8は、それぞれが3台目と4台目の携帯機が応答した場合を示すものであるが、1台目と2台目の携帯機が応答した場合には、上記の
図7と
図8とに示す場合より短くなることは明らかである。
【0141】
上記の
図7と
図8は、それぞれが3台目と4台目の携帯機が応答した場合を示すものであるが、1台目と2台目の携帯機が応答した場合には、上記の
図7と
図8とに示す場合より短くなることは明らかである。
【0142】
また、上記の
図9と
図10は、「キック用認証通信」を利用せずに「スマート認証通信」のみを利用する場合を示す。特に
図10に示す場合は、上記の第2の条件の場合と同様に4台目の携帯機が応答した場合である。第4の条件に示す場合の4台目の携帯機が応答した場合に掛る時間は、下記の式(3)になる。
【0143】
TMAX<(4xTLFP1+3xTLFW2+TRFP1+TJ1
+(TD1+TD2+TD3)
・・・(3)
【0144】
上記の式(3)において、待機時間をTLFW2と同じと仮定した。
【0145】
上記式(3)と式(2)の右辺の差をとると、下記の式(4)になる。
【0146】
(3x(TLFP1−TLFP2)+TJ2) ・・・(4)
【0147】
上記式(4)の値が大きいほど、本実施形態による時間短縮の効果が大きくなる。このように、本実施形態に係る携帯機認証システムによれば、携帯機200を用いて車載器100に係る各部の装置の使用制限を解除するまでの時間を短縮できる。これにより、キック操作での短い通信可能時間内に、複数の携帯機200に対応したスマート認証処理の実施が可能になる。
【0148】
以上に示したように、携帯機認証システム1であれば、携帯機200を用いて車載器100に係る装置の使用制限を解除する際の利便性を高めることができる。
【0149】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。