(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
<改ざん防止ラベル>
本発明に係る改ざん防止ラベルは、被着体に貼付して使用し、貼付した被着体から取り外した後、再度被着体に貼付して使用した再利用の有無を判定可能な改ざん防止ラベルであって、粘着剤層及び基材が積層され、前記基材の前記粘着剤層側とは反対側の表面に、コードパターンが設けられてなり、前記基材は、その厚さ方向において複数層に分離しないものであり、上方から見下ろしたときに、前記改ざん防止ラベルの周縁部のうち、異なる二点間を結んで、前記コードパターンを二以上の領域に分断するように、前記粘着剤層及び基材、又は前記粘着剤層、基材及びコードパターンに、連続する切れ込みが設けられ、貼付した被着体から前記改ざん防止ラベルを取り外したときに、前記切れ込みを境にして前記コードパターンに不可逆的なずれが生じるようにされていることを特徴とする。
前記改ざん防止ラベルは、従来の二次元コードを利用したものであり、粘着剤層、基材等に簡単な加工を行っただけの簡便な構成で、再利用の有無を容易に判定可能としたものである。従来の二次元コード(コードパターン)は、製造管理情報や製品管理情報を反映させたものであるのに対し、前記改ざん防止ラベルは、この二次元コードを改ざん防止の手段としている点で、従来の改ざん防止ラベルとは全く相違するものである。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、本発明に係る改ざん防止ラベルの第1実施形態を模式的に例示する図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のI−I線における断面図、(c)は側面図である。
ここに示す改ざん防止ラベル1は、粘着剤層12及び基材13が積層され、基材13の粘着剤層12側とは反対側の表面13aに、コードパターン14が設けられてなる。そして、粘着剤層12の基材13側とは反対側の表面(裏面)12bには、剥離材11が設けられている。すなわち、改ざん防止ラベル1は、剥離材11、粘着剤層12、基材13及びコードパターン14がこの順に積層されてなるものである。なお、
図1(b)では、コード141のうち、この断面上に存在せずにこの断面よりも奥側に存在するものを、断面上に存在するものと区別し易くするために、色の濃さ(柄)を変えて表示している。また、本明細書において、コードパターンとは、個々のコードのパターン(形状)ではなく、コードが全体として示すパターンを意味する。
【0012】
コードパターン14は、複数個の黒色のコード141が白色の基材13上に設けられていることで、形成されている。より具体的には、コード141は、これを上方から見下ろしたときに(平面視にて)、すべて同一形状(四角形状)で且つ同一の大きさであり、隣り合うもの同士において4つの頂点(角部)だけが互いに接するように間隔をあけて配置されている。そして、コードパターン14は、上方から見下ろしたときに、黒色四角形と白色四角形とが交互に配置されているかのような升目状のパターンを形成しており、黒色1色(単色)で構成されている。
【0013】
コードパターン14は、1色以外に、2色以上で構成されていてもよく、黒色以外の色が含まれていてもよい。
【0014】
コード141は、その色に対応する顔料等の着色剤を含有し、前記着色剤は、公知のものでよく、特に限定されない。
【0015】
コードパターン14において、コード141の配置形態は、
図1に示すものに限定されず、例えば、複数個のコード141のうちの一部の個数のものが、隣り合うもの同士において外縁(辺)が互いに接するように間隔をあけずに配置されていることで、一部のコード141において、同方向の2辺の長さが2倍以上になったものが配置されたようになっていてもよい。
【0016】
コードの形状は、例えば、三角形、五角形、六角形等の四角形以外の多角形状であってもよいし、多角形状以外の他の形状であってもよい。また、コードの形状及び大きさは、いずれも、すべて同じであってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみが同じであってもよい。そして、コードパターン14の形状も、各コードの形状にあわせて、非升目状であってもよい。
【0017】
コードパターン14は、ここでは、13個のコード141からなるものであるが、コードパターン14を構成するコード141の数はこれに限定されない。ただし、コードパターン14を構成するコード141の数は8〜40000個であることが好ましい。
【0018】
さらに、改ざん防止ラベル1には、切れ込み10が設けられている。切れ込み10は、粘着剤層12、基材13及びコードパターン14(コード141)に、連続して設けられている。そして、改ざん防止ラベル1を上方(コードパターン14側)から見下ろしたときに(平面視にて)、この切れ込み10は、改ざん防止ラベル1の周縁部1cのうち、異なる二点間、すなわち、第1周縁部1c1上の一点と第3周縁部1c3上の一点との間を結んで、コードパターン14を二つの領域に分断するように、設けられている。より詳細には、以下のとおりである。
【0019】
図1(b)に示すように、切れ込み10は、粘着剤層12から基材13へ、さらに基材13からコードパターン14(コード141)へと、一繋がりに連続して設けられている。そして、切れ込み10は、粘着剤層12、基材13及びコードパターン14のいずれにおいても、これらの厚さ方向において貫通して設けられており、粘着剤層12の裏面12bから、コードパターン14の基材13側とは反対側の表面14aへかけて連続して設けられている。なお、ここでは、他のものと区別し易くするために、切れ込み10を点線で表示しているが、実際の切れ込み10は、必ずしもこのように間欠的に設けられていなくてもよく(連続的に設けられていてもよく)、後述するように、適当な外力を加えたとき(すなわち、改ざん防止ラベル1を被着体から取り外すとき)に、ここを境にコードパターン14にずれが生じるように形成されていればよい。
【0020】
また、切れ込み10は、粘着剤層12、基材13及びコードパターン14のいずれにおいても、これらの厚さ方向において、必ずしも貫通して設けられていなくてもよく、改ざん防止ラベル1を被着体から取り外すときに、ここを境にコードパターン14にずれが生じるように形成されていればよい。ただし、本実施形態においては、粘着剤層12、基材13及びコードパターン14のいずれにおいても、これらの厚さ方向における切れ込み10の長さは、これら(粘着剤層12、基材13、コードパターン14)の厚さの90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましく、100%であることが特に好ましい。切れ込み10の長さの前記割合が前記下限値以上であることで、改ざん防止ラベル1を被着体から取り外すときに、より容易にコードパターン14にずれが生じる。
【0021】
さらに、切れ込み10は、
図1(a)及び(c)に示すように、改ざん防止ラベル1の周縁部1cのうち、第1周縁部1c1と第3周縁部1c3との間を結んで、コードパターン14を二つの領域に分断するように設けられている。また、切れ込み10は、改ざん防止ラベル1の周縁部1cのうち、第2周縁部1c2及び第4周縁部1c4に対して平行に設けられている。第1周縁部1c1及び第3周縁部1c3は、改ざん防止ラベル1の周縁部1cの4つの領域のうち、互いに平行な領域であり、
図1(a)のように平面視した状態では、互いに対向する平行な辺となる領域である。第2周縁部1c2及び第4周縁部1c4も同様に、互いに平行な領域であり、
図1(a)のように平面視した状態では、互いに対向する平行な辺となる領域である。第1周縁部1c1、第2周縁部1c2、第3周縁部1c3及び第4周縁部1c4がこの順に角部を形成しながら連なる(接続する)ことで、周縁部1cが構成されている。
【0022】
また、切れ込み10は、第1周縁部1c1及び第3周縁部1c3のいずれにおいても、粘着剤層12の側面12c及び基材13の側面13cにおいて、一繋がりに連続して設けられている。そして、第1周縁部1c1側又は第3周縁部1c3側から改ざん防止ラベル1を見たときに、これら周縁部よりも奥側に位置するコード141の側面141cにも、粘着剤層12及び基材13へ一繋がりとなっている(図示略)切れ込み10が設けられている。
【0023】
なお、ここでは、切れ込み10が、粘着剤層12、基材13及びコードパターン14に連続して設けられている場合を示していているが、切れ込み10は、コードパターン14には設けられていなくてもよい。例えば、切れ込み10は、改ざん防止ラベル1を上方(コードパターン14側)から見下ろしたときに(平面視にて)、コード141の側面141cに重なる位置において、粘着剤層12及び基材13に設けられ、コード141には設けられていなくてもよい。
【0024】
さらに、改ざん防止ラベル1において、切れ込み10は、例えば、改ざん防止ラベル1の第1周縁部1c1と第3周縁部1c3との間を結んで、第2周縁部1c2及び第4周縁部1c4に対して非平行に設けられていてもよい。また、切れ込み10は、改ざん防止ラベル1の第1周縁部1c1と第3周縁部1c3との間ではなく、第2周縁部1c2と第4周縁部1c4との間を結んで、第1周縁部1c1及び第3周縁部1c3に対しては平行又は非平行に、そしてコード141に対してはこれを分断しないように又は分断するようにして、コードパターン14を二つの領域に分断するように設けられていてもよい。
【0025】
切れ込み10は、粘着剤層12から連続して剥離材11に設けられていてもよく、この場合、切れ込み10は、剥離材11の厚さ方向においては、貫通せずに設けられる。上述のように、粘着剤層12において所定の長さの切れ込み10を形成する場合には、後述する改ざん防止ラベル1の製造方法において、剥離材11にも切れ込み10が形成される場合がある。そして、このように剥離材11に切れ込み10が形成されていても、本発明がその効果を奏する妨げとはならない。
【0026】
切れ込み10は、ここに示すように、隙間(スリット)を形成せずに設けられていてもよい(換言すると切れ込み10を境にして隣接する層同士が接触していてもよい)し、切れ込み10を境にして隣接する層同士の間に隙間を形成して設けられていてもよい(換言すると切れ込み10を境にして隣接する層同士が接触していなくてもよい)。隙間を形成して設けられている場合、その幅(スリットの幅)は、5mm以下であることが好ましい。
【0027】
このように切れ込み10が設けられていることにより、改ざん防止ラベル1は、剥離材11が剥離された状態では、適当な外力を加えたときに、切れ込み10を境にして、二つに完全に分断可能となっている。
【0028】
改ざん防止ラベル1を上方から見下ろしたときのコードパターン14の表面14aの面積(コード141の表面141aの総面積)は、0.4〜10cm
2であることが好ましく、1〜8cm
2であることがより好ましい。コードパターン14の表面14aの面積が前記下限値以上であることで、コードパターン14の読み取り機による読み取りがより容易となる。また、コードパターン14の表面14aの面積が前記上限値以下であることで、コードパターン14が過剰な大きさとなることが抑制される。
【0029】
コード141の1個あたりの表面141aの面積は、1〜50mm
2であることが好ましく、2〜25mm
2であることがより好ましい。コード141の前記面積が前記下限値以上であることで、コードパターン14の読み取り機による読み取りがより容易となる。また、コード141の前記面積が前記上限値以下であることで、コードパターン14が過剰な大きさとなることが抑制される。
【0030】
コード141の厚さ(コードパターン14の厚さ)は特に限定されないが、0.5〜50μmであることが好ましく、1〜30μmであることがより好ましい。コード141の厚さが前記下限値以上であることで、コード141の構造がより安定して維持され、コード141の厚さが前記上限値以下であることで、改ざん防止ラベル1をより薄層化できる。なお、ここでは、コード141の厚さがすべて同じである場合を示しているが、本発明においては、コード141の厚さがすべて異なっていてもよく、一部のみ同じであってもよい。
【0031】
基材13は、その厚さ方向において複数層に分離しないものである。本明細書において、「基材がその厚さ方向において複数層に分離しない」とは、改ざん防止ラベルを被着体から取り外す(剥がし取る)ことも含めて、通常取り扱う条件下において、基材13がその厚さ方向において二層以上に分離しないことを意味する。
基材13がその厚さ方向において複数層に分離するものであると、分離して生じた、コードパターン14を備えた上層部は、その分離面(コードパターン14を備えている側とは反対側の面)に粘着剤層等を設けることで、コードパターン14を損なわないまま被着体に貼付することが可能となり、再利用が可能となってしまう。しかし、基材13は、その厚さ方向において複数層に分離しないものなので、改ざん防止ラベル1はこのような再利用が防止される。
【0032】
基材13の材質は、上記の条件を満たすものであれば特に限定されないが、樹脂を含むものが好ましく、樹脂のみであってもよい。
前記樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)等のポリエステル;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)等のポリオレフィン;ポリイミド等が例示できる。
基材13の色は特に限定されないが、少なくとも基材13の粘着剤層12側とは反対側の表面13aが白色であることが好ましく、基材13全体が白色であってもよい。
【0033】
基材13の材質は、一種のみでもよし、二種以上でもよく、二種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
二種以上の材質からなるものとしては、二種以上の樹脂からなるアロイ(ポリマーアロイ)や、樹脂層上にアルミニウム等の金属層が蒸着等によって設けられたものが例示できる。
また、前記樹脂は、発泡ポリエチレンテレフタレート等、発泡体であってもよい。
【0034】
基材13の厚さは特に限定されないが、基材13はフィルム状又はシート状であることが好ましく、その場合、基材13の厚さは、1〜125μmであることが好ましく、2〜50μmであることがより好ましい。
【0035】
基材13は、単層からなるものでもよいし、二層以上の複数層からなるものでもよい。基材13が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが異なっていてもよい。そして、複数層が互いに異なる場合、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。ここで、複数層が互いに異なるとは、各層の材質及び厚さの少なくとも一方が互いに異なることを意味する。
なお、基材13が複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、上記の好ましい基材13の厚さとなるようにするとよい。
【0036】
基材13が二層以上の複数層からなる場合、基材13は、各層がその厚さ方向において複数層に分離せず、かつ層間分離しないものであればよい。
【0037】
これらの中でも、基材13は、樹脂を含む単層のものが特に好ましい。
【0038】
基材13は、その厚さ方向において複数層に分離しないために、層間強度が25N/25mm以上であることが好ましく、30N/25mm以上であることがより好ましい。ここで、「基材の層間強度」とは、下記方法で測定されたものを意味する。
(基材の層間強度の測定方法)
粘着剤層12及び基材13の積層物を、粘着剤層12を介して被着体に貼付し、さらに基材13の粘着剤層12側とは反対側の表面に、アクリル系強粘着剤(リンテック社製「PAT1」)を用いて厚さ20μmの試験粘着剤層を形成し、さらにこの試験粘着剤層上に、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート製の試験基材を貼付して、被着体上に粘着剤層12、基材13、試験粘着剤層及び試験基材がこの順に積層されてなる積層構造を形成する。次いで、この積層構造において、前記試験基材及び試験粘着剤層を引き剥がし、基材13がその厚さ方向において層間剥離したときの剥離力を層間強度とする。ただし、粘着剤層12と被着体との間、又は基材13と試験粘着剤層との間で剥離が生じた場合には、基材13はその厚さ方向において複数層に分離しないものと判断する。なお、上記の「基材13のその厚さ方向における層間剥離」、「粘着剤層12と被着体との間の剥離」、「基材13と試験粘着剤層との間の剥離」とは、対象となる部位が一体となった状態から、完全に二つに分離した状態になることを意味する。
【0039】
粘着剤層12は、公知のものでよく、これを構成する粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリオレフィン系粘着剤等が例示できる。これら粘着剤は、エマルション型、溶剤型及び無溶剤型のいずれでもよい。
【0040】
粘着剤層12の厚さは、特に限定されないが、5〜50μmであることが好ましく、10〜25μmであることがより好ましい。粘着剤層12の厚さが前記下限値以上であることで、改ざん防止ラベル1を被着体に貼付する際の高い粘着力が確保でき、粘着剤層12の厚さが前記上限値以下であることで、改ざん防止ラベル1をより薄層化できる。
【0041】
粘着剤層12の基材13に対する密着力は、改ざん防止ラベル1を目的とする被着体から取り外す(剥がし取る)ときに、粘着剤層12全体が被着体の表面上に残ることを抑制可能な値であることが好ましい。
【0042】
剥離材11は、後述するように、被着体への貼付時には剥離されるものであるが、改ざん防止ラベル1の製造時や保存時には、使用することが好ましいものである。
剥離材11は、公知のものでよく、紙基材又はフィルム基材の表面に剥離層が設けられたものが例示できる。
【0043】
前記紙基材としては、ポリエチレンラミネート紙、ポリプロピレンラミネート紙、クレーコート紙、樹脂コート紙、グラシン紙、上質紙等の各種紙材が例示できる。
前記フィルム基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリレート等の各種樹脂フィルムが例示できる。
【0044】
剥離材11としては、紙基材又はフィルム基材に填料等の充填剤を含有させた合成紙又はフィルムも例示でき、必要に応じて、これら合成紙又はフィルムの表面に剥離層が設けられていてもよい。
【0045】
前記剥離層としては、シリコーン系樹脂、長鎖アルキル系樹脂、フッ素系樹脂等の剥離剤を含有するものが例示できる。
【0046】
剥離材11の厚さは特に限定されず、適宜調節すればよい。
【0047】
ここでは、改ざん防止ラベル1として、
図1(b)から明らかなように、基材13上のコードパターン14が設けられていない領域が露出されている例を示しているが、基材13上の前記露出部の一部又はすべてに、例えば、コード141とは異なる色のコード(図示略)が設けられていてもよい。
【0048】
改ざん防止ラベル1は、以下のような作用により、その再利用の有無を判定できる。
図2は、
図1に示す改ざん防止ラベル1の使用時の作用を模式的に説明するための平面図である。なお、
図2に示す構成要素のうち、
図1に示すものと同じものには、
図1の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。これは、
図3以降の図においても同様である。
【0049】
改ざん防止ラベル1は、剥離材11を剥離させた後、露出された粘着剤層12により、
図2(a)に示すように、目的とする被着体である被着体9の表面9a上に貼付される。これが通常の改ざん防止ラベル1の使用形態である。
【0050】
改ざん防止ラベル1は、上述のように切れ込み10によってコードパターン14が分断されており、且つ基材13がその厚さ方向において複数層に分離しないものであるため、改ざん防止ラベル1を被着体9から取り外す(剥がし取る)と、切れ込み10を境にしてコードパターン14にずれが生じる。これは、切れ込み10が、第1周縁部1c1と第3周縁部1c3との間を結んで設けられているからである。このとき生じるコードパターン14のずれは、不可逆的なものであり、一度生じた後は、人為的な操作を何も加えなかった場合に元の状態に戻すことができないものであり、人為的な操作を加えたとしても、元の状態に戻すことが困難なものである。なお、ここで「切れ込みを境にしてコードパターンにずれが生じる」とは、例えば、切れ込みを境にして分断されたコードパターン同士の間に新たに隙間が生じたり、元々切れ込みが隙間(スリット)を形成して設けられていた場合に、この隙間が広がったり、分断されたコードパターン同士が部分的に重なったり、分断されたコードパターンが折れ曲がったりすることなど、切れ込みの存在によって、コードパターンが当初の状態に維持されていないことを意味する。
【0051】
改ざん防止ラベル1は、被着体9から取り外されて、コードパターン14にずれが生じた変質ラベル1’となる。変質ラベル1’は、その基材13の粘着剤層12側の表面等に新たに粘着剤を塗布し、当初の被着体9とは異なる被着体8の表面8a上に貼付して再利用した場合には、
図2(b)に示すように、当初のコードパターン14とは異なる変質コードパターン14’を備えたものとなる。
そして、変質コードパターン14’は、当初のコードパターン14としては認識されないため、コードパターン14を初期情報として取得しておき、この初期情報取得後に変質コードパターン14’を最新情報として取得して、これら情報を比較すれば、最新情報が初期情報と異なるために、改ざん防止ラベル1は再利用されていると判定できる。
【0052】
改ざん防止ラベル1は、被着体9から取り外す(剥がし取る)ときの方向がいずれであっても、切れ込み10を境にしてコードパターン14にずれが生じる。例えば、前記方向が、第1周縁部1c1及び第3周縁部1c3、並びに第2周縁部1c2及び第4周縁部1c4のいずれかに対して平行な方向であっても、また非平行な方向であっても、改ざん防止ラベル1は、切れ込み10を境にしてコードパターン14にずれが生じる。ただし、
図2(b)に示すコードパターン14のずれは、改ざん防止ラベル1を被着体9から取り外すときの方向が、第1周縁部1c1及び第3周縁部1c3に対して平行な方向である場合に、より顕著に生じる。
【0053】
(第2実施形態)
図3は、本発明に係る改ざん防止ラベルの第2実施形態を模式的に例示する断面図である。
ここに示す改ざん防止ラベル2は、
図1に示す改ざん防止ラベル1のコードパターン14上に、さらに粘着剤層15及び被覆層16がこの順に積層されてなるものである。なお、本実施形態では、コードパターン14上の粘着剤層15を、剥離材11及び基材13間の粘着剤層12と区別するために、第2粘着剤層15と称し、剥離材11及び基材13間の粘着剤層12を第1粘着剤層12と称する。
改ざん防止ラベル2は、第2粘着剤層15及び被覆層16が設けられている点以外は、改ざん防止ラベル1と同じである。
【0054】
被覆層16は、コードパターン14を保護すると共に、改ざん防止ラベル2の製造を容易とするものである。改ざん防止ラベル2の製造方法については、後ほど説明する。また、第2粘着剤層15は、被覆層16をコードパターン14上に固着させると共に、改ざん防止ラベル1を被着体から取り外したときに、切れ込み10を境にしてコードパターン14にずれが生じた状態をより安定して維持するものである。
改ざん防止ラベル2は、第2粘着剤層15及び被覆層16を備えたまま用いてもよいし、第2粘着剤層15及び被覆層16を取り除いて用いてもよく、目的に応じて適宜選択すればよい。第2粘着剤層15及び被覆層16を取り除いた場合の改ざん防止ラベル2は、改ざん防止ラベル1と実質同等である。
【0055】
第2粘着剤層15及び被覆層16は、取り除かずにそのまま用いる場合には、透明性を有する必要があり、このようにすることで、改ざん防止ラベル2において、被覆層16及び第2粘着剤層15を介して、コードパターン14が認識可能となる。
第2粘着剤層15及び被覆層16は、取り除いて用いる場合には、透明性を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0056】
第2粘着剤層15は、透明性を有することがある点以外は、材質、厚さ等、すべての構成を第1粘着剤層12と同様とすることができる。
ただし、第2粘着剤層15のコードパターン14又は基材13に対する粘着力は、10N/25mm以下であることが好ましく、7N/25mm以下であることがより好ましい。
また、第2粘着剤層15のコードパターン14又は基材13に対する粘着力は、3N/25mm以上であることが好ましく、5N/25mm以上であることがより好ましい。前記粘着力が前記下限値以上であることで、改ざん防止ラベル1において、第2粘着剤層15及び被覆層16の積層構造がより安定して維持される。また、改ざん防止ラベル1を被着体から取り外したときに、切れ込み10を境にしてコードパターン14にずれが生じた状態をより安定して維持できる。
第2粘着剤層15のコードパターン14又は基材13に対する粘着力は、コードパターン14上に第2粘着剤層15及び被覆層16をこの順に積層した後、剥離材11を剥離させた改ざん防止ラベル2を、第1粘着剤層12を介してSUS板に貼付して、標準環境下で24時間放置した後、このように貼付時間を設定した点以外は、JIS Z 0237の測定条件(剥離角度180°)に準拠して測定できる。ここで、第2粘着剤層15の粘着力とは、被覆層16と共に第2粘着剤層15をコードパターン14又は基材13から剥離させる場合の粘着力を意味する。
【0057】
使用時に第2粘着剤層15及び被覆層16を取り除かない場合、第2粘着剤層15の厚さは5〜50μmであることが好ましく、10〜25μmであることがより好ましい。取り除かない場合の第2粘着剤層15の厚さが前記下限値以上であることで、第2粘着剤層15を設けたことによる効果がより顕著に得られる。また、取り除かない場合の第2粘着剤層15の厚さが前記上限値以下であることで、第2粘着剤層15及び被覆層16を介してのコードパターン14の認識がより容易となる。
使用時に第2粘着剤層15及び被覆層16を取り除く場合、第2粘着剤層15の厚さは特に限定されず、例えば、使用時に第2粘着剤層15及び被覆層16を取り除かない場合と同様としてもよい。
【0058】
被覆層16は、樹脂からなるものが好ましく、前記樹脂としてはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)等のポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン等が例示でき、透明性を有する必要の有無に応じて、適した材質で構成すればよい。
【0059】
被覆層16の厚さは特に限定されないが、被覆層16はフィルム状であることが好ましく、改ざん防止ラベル2の使用時における被覆層16の取り除きの有無によらず、被覆層16の厚さは2〜100μmであることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましい。被覆層16の厚さが前記下限値以上であることで、被覆層16を設けたことによる効果がより顕著に得られる。また、被覆層16の厚さが前記上限値以下であることで、改ざん防止ラベル1をより薄層化でき、さらに改ざん防止ラベル2の使用時に第2粘着剤層15及び被覆層16を取り除かない場合には、第2粘着剤層15及び被覆層16を介してのコードパターン14の認識がより容易となる。
【0060】
被覆層16は、単層からなるものでもよいし、二層以上の複数層からなるものでもよく、複数層からなる場合には、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、各層の合計の厚さは、上記の好ましい被覆層16の厚さとなるようにするとよい。
【0061】
ここでは、改ざん防止ラベル2として、
図3から明らかなように、基材13上のコードパターン14が設けられていない領域において、第2粘着剤層15との間で何も設けられておらず、前記領域が空隙部となっている例を示している。
図3においては、色の濃さ(柄)を変えて表示し、断面表示していない二つのコード141は、この断面図においては、断面よりも奥側に存在しているものであり、この断面図にこれら二つのコード141が示されているのは、基材13上のコードパターン14が設けられていない領域が空隙部となっているからに他ならない。コード141を上方から見下ろすように改ざん防止ラベル2を平面視した場合、第2粘着剤層15及び被覆層16の図示を省略すれば、このときの平面図は、
図1(a)と同じものになる。この平面図(
図1(a))において、基材13上のコード141が設けられていない領域において、基材13の表面が露出表示されていることからも、この領域が空隙部であることが判る。
【0062】
一方、改ざん防止ラベル2は、基材13上のコードパターン14が設けられていない上述の領域(空隙部)の一部又はすべてに、例えば、第2粘着剤層15がせり出して設けられて(充填されて)いてもよく、コード141とは異なる色のコード(図示略)が設けられていてもよい。
【0063】
改ざん防止ラベル2は、改ざん防止ラベル1と同様の作用を発現する。このとき、被着体の表面上に貼付された改ざん防止ラベル2を、被着体から取り外した(剥がし取った)ときには、得られた変質ラベルは、改ざん防止ラベル1の場合と同様に、
図2(b)に示すような、当初のコードパターン14とは異なる変質コードパターン14’を備えたものとなる。そして、第2粘着剤層15及び被覆層16を取り除かずに改ざん防止ラベル2を用いた場合には、取り外されて得られた欠損ラベルには、第2粘着剤層15及び被覆層16がそのまま残る。
【0064】
(第3実施形態)
図4は、本発明に係る改ざん防止ラベルの第3実施形態を模式的に例示する図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のII−II線における断面図、(c)は側面図である。
ここに示す改ざん防止ラベル3は、
図1に示す改ざん防止ラベル1の切れ込み10とは異なる位置に、切れ込み30が設けられているものである。
【0065】
より具体的には、切れ込み30は、
図4(a)及び(c)に示すように、改ざん防止ラベル3の周縁部3cのうち、角部である第1周縁部3c1及び第4周縁部3c4の接続部と、角部である第2周縁部3c2及び第3周縁部3c3の接続部との間を結んで、コードパターン14を二つの領域に分断するように設けられている。また、切れ込み30は、前記角部では共に、第1粘着剤層12の側面12c、基材13の側面13c及びコード141の側面141cにおいて、一繋がりに連続して設けられている。そして、切れ込み30は、改ざん防止ラベル3を上方(コードパターン14側)から見下ろしたときに(平面視にて)、コード141に対しては、これを2分割するように設けられている。ただし、
図4(c)では、切れ込み30を改ざん防止ラベル3の周縁部3cと区別し易くするために、前記周縁部3cから僅かに離間させて示している。
【0066】
改ざん防止ラベル3は、切れ込み10に代えて切れ込み30が設けられている点以外は、改ざん防止ラベル1と同じである。周縁部3cは、第1周縁部3c1、第2周縁部3c2、第3周縁部3c3及び第4周縁部3c4がこの順に角部を形成しながら連なる(接続する)ことで、構成されている。
【0067】
改ざん防止ラベル3においては、例えば、切れ込み30は、周縁部3cの角部である第1周縁部3c1及び第2周縁部3c2の接続部と、周縁部3cの角部である第3周縁部3c3及び第4周縁部3c4の接続部との間を結んで、コードパターン14を二つの領域に分断するように設けられていてもよい。
【0068】
改ざん防止ラベル3は、改ざん防止ラベル1と同様の作用を発現する。
図5は、
図4に示す改ざん防止ラベル3の使用時の作用を模式的に説明するための平面図である。
【0069】
改ざん防止ラベル3は、剥離材11を剥離させた後、露出された粘着剤層12により、
図5(a)に示すように、目的とする被着体である被着体9の表面9a上に貼付される。
改ざん防止ラベル3は、上述のように切れ込み30によってコードパターン14が分断されており、且つ基材13がその厚さ方向において複数層に分離しないものであるため、改ざん防止ラベル3を被着体9から取り外す(剥がし取る)と、切れ込み30を境にしてコードパターン14にずれが生じる。これは、切れ込み30が、改ざん防止ラベル3の周縁部3cのうち、前記2つの角部の間を結んで設けられているからである。このとき生じるコードパターン14のずれは、改ざん防止ラベル1の場合と同様に、不可逆的なものである。
【0070】
改ざん防止ラベル3は、被着体9から取り外されて、コードパターン14にずれが生じた変質ラベル3’となる。変質ラベル3’は、その基材13の粘着剤層12側の表面等に新たに粘着剤を塗布し、当初の被着体9とは異なる被着体8の表面8a上に貼付して再利用した場合には、
図5(b)に示すように、当初のコードパターン14とは異なる変質コードパターン14’を備えたものとなる。
そして、変質コードパターン14’は、当初のコードパターン14としては、認識されないため、コードパターン14を初期情報として取得しておき、この初期情報取得後に変質コードパターン14’を最新情報として取得して、これら情報を比較すれば、最新情報が初期情報と異なるために、改ざん防止ラベル3は再利用されていると判定できる。
【0071】
改ざん防止ラベル3は、被着体9から取り外す(剥がし取る)ときの方向がいずれであっても、切れ込み30を境にしてコードパターン14にずれが生じる。例えば、前記方向が、第1周縁部3c1及び第3周縁部3c3、並びに第2周縁部3c2及び第4周縁部3c4のいずれかに対して平行な方向であっても、また非平行な方向であっても、改ざん防止ラベル3は、切れ込み30を境にしてコードパターン14にずれが生じる。ただし、
図5(b)に示すコードパターン14のずれは、改ざん防止ラベル3を被着体9から取り外すときの方向が、コードパターン14を上方から見下ろしたときの切れ込み30に対して直交する方向である場合に、より顕著に生じる。
【0072】
(第4実施形態)
図6は、本発明に係る改ざん防止ラベルの第4実施形態を模式的に例示する断面図である。
ここに示す改ざん防止ラベル4は、
図4に示す改ざん防止ラベル3のコードパターン14上に、さらに粘着剤層(第2粘着剤層)15及び被覆層16がこの順に積層されてなるものであり、剥離材11及び基材13間の粘着剤層12は第1粘着剤層である。
改ざん防止ラベル4は、第2粘着剤層15及び被覆層16が設けられている点以外は、改ざん防止ラベル3と同じであり、第2粘着剤層15及び被覆層16は、改ざん防止ラベル2における第2粘着剤層15及び被覆層16と、構成及び作用が同じものである。
【0073】
ここでは、改ざん防止ラベル4として、
図6から明らかなように、基材13上のコードパターン14が設けられていない領域において、第2粘着剤層15との間で何も設けられておらず、前記領域が空隙部となっている例を示している。この空隙部は、例えば、
図3に示す改ざん防止ラベル2における空隙部と同様のものである。コード141を上方から見下ろすように改ざん防止ラベル4を平面視した場合、第2粘着剤層15及び被覆層16の図示を省略すれば、このときの平面図は、
図4(a)と同じものになる。そして、改ざん防止ラベル4は、改ざん防止ラベル2と同様に、前記空隙部(基材13上のコードパターン14が設けられていない領域)の一部又はすべてに、例えば、第2粘着剤層15がせり出して設けられて(充填されて)いてもよく、コード141とは異なる色のコード(図示略)が設けられていてもよい。
【0074】
改ざん防止ラベル4は、改ざん防止ラベル3と同様の作用を発現する。このとき、被着体の表面上に貼付された改ざん防止ラベル4を、被着体から取り外した(剥がし取った)ときには、得られた変質ラベルは、改ざん防止ラベル3の場合と同様に、
図5(b)に示すような、当初のコードパターン14とは異なる変質コードパターン14’を備えたものとなる。そして、第2粘着剤層15及び被覆層16を取り除かずに改ざん防止ラベル4を用いた場合には、取り外されて得られた欠損ラベルには、第2粘着剤層15及び被覆層16がそのまま残る。
【0075】
(第5実施形態)
図7は、本発明に係る改ざん防止ラベルの第5実施形態を模式的に例示し、さらにその使用時の作用を模式的に説明するための平面図である。
【0076】
図7(a)に示す改ざん防止ラベル5は、
図1に示す改ざん防止ラベル1におけるコードパターン14とは異なるコードパターン54が設けられているものである。
より具体的には、コードパターン54は、複数個の黒色のコード541が基材13上に設けられていることで、形成されている。コード541は、これを上方から見下ろしたときに(平面視にて)、すべて同一形状(円形状、ドット状)で且つ同一の大きさであり、すべてが互いに接触せずに配置されている。そして、コードパターン54は、1色(単色)で構成されている。
【0077】
一方、切れ込み50は、改ざん防止ラベル5の周縁部5cのうち、第1周縁部5c1と第3周縁部5c3との間を結んで、コードパターン54を二つの領域に分断するように設けられており、同時に1列4個のコード541をそれぞれ分断するように設けられている。
【0078】
改ざん防止ラベル5は、上記の点以外は、改ざん防止ラベル1と同じである。周縁部5cは、第1周縁部5c1、第2周縁部5c2、第3周縁部5c3及び第4周縁部5c4がこの順に角部を形成しながら連なる(接続する)ことで、構成されている。
例えば、改ざん防止ラベル5においても、改ざん防止ラベル1における切れ込み10と同様に、切れ込み50の形成位置を適宜調節でき、改ざん防止ラベル1におけるコード141と同様に、コード541の配置形態、サイズ、色等を適宜調節できる。
【0079】
改ざん防止ラベル5は、改ざん防止ラベル1と同様に、剥離材11を剥離させた後、露出された粘着剤層12により、目的とする被着体の表面上に貼付される。
改ざん防止ラベル5は、上述のように切れ込み50によってコードパターン54が分断されており、且つ基材13がその厚さ方向において複数層に分離しないものであるため、改ざん防止ラベル5を被着体から取り外す(剥がし取る)と、切れ込み50を境にしてコードパターン54に不可逆的なずれが生じて、変質ラベル5’となる。変質ラベル5’は、その基材13の粘着剤層12側の表面等に新たに粘着剤を塗布し、当初の被着体とは異なる被着体の表面上に貼付して再利用した場合には、
図7(b)に示すように、当初のコードパターン54とは異なる変質コードパターン54’を備えたものとなる。
そして、変質コードパターン54’は、当初のコードパターン54としては、認識されないため、コードパターン54を初期情報として取得しておき、この初期情報取得後に変質コードパターン54’を最新情報として取得して、これら情報を比較すれば、最新情報が初期情報と異なるために、改ざん防止ラベル5は再利用されていると判定できる。
【0080】
(第6実施形態)
本発明に係る改ざん防止ラベルの第6実施形態は、
図7に示す改ざん防止ラベル5のコードパターン54上に、さらに粘着剤層(第2粘着剤層)及び被覆層がこの順に積層されてなるものであり、剥離材11及び基材13間の粘着剤層は第1粘着剤層である(図示略)。
本実施形態の改ざん防止ラベルは、第2粘着剤層及び被覆層が設けられている点以外は、改ざん防止ラベル5と同じであり、第2粘着剤層及び被覆層は、改ざん防止ラベル2における第2粘着剤層15及び被覆層16と、構成及び作用が同じものである。
【0081】
本実施形態の改ざん防止ラベルも、先に説明した改ざん防止ラベル2及び改ざん防止ラベル4の場合と同様に、基材上のコードパターンが設けられていない領域において、第2粘着剤層との間で何も設けられておらず、前記領域が空隙部となっていてもよいし、前記領域の一部又はすべてに、例えば、第2粘着剤層がせり出して設けられて(充填されて)いてもよく、異なる色のコードが設けられていてもよい。
【0082】
本実施形態の改ざん防止ラベルは、改ざん防止ラベル5と同様の作用を発現し、貼付された被着体から取り外した(剥がし取った)ときには、得られた変質ラベルは、当初のコードパターンとは異なる変質コードパターンを備えたものとなる。そして、第2粘着剤層及び被覆層を取り除かずに本実施形態の改ざん防止ラベルを用いた場合には、取り外されて得られた欠損ラベルには、第2粘着剤層及び被覆層がそのまま残る。
【0083】
上述の第1〜第6実施形態では、コードが可視光線で識別できる色で構成されたものについて説明したが、本発明においては、コードパターンを構成するコードの一部又はすべて(1個又は2個以上のコード)が、例えば赤外線吸収インク等で形成された、可視光線で識別できない色で構成されていてもよい。
【0084】
(その他の実施形態)
ここまでは、コードが四角形状又はドット状であるコードパターンを備えた改ざん防止ラベルについて主に説明したが、本発明に係る改ざん防止ラベルにおいて、コードパターンは二次元コードであれば特に限定されない。
本発明におけるコードパターンで具体的なものとしては、Microsoftタグ(Microsoft社)、カラーコード(Colorzip社)、カメレオンコード(シフト社)等のカラーバーコード;QRコード(登録商標)、SPコード、CPコード、Veriコード、Maxiコード、DataMatrix、AztecCode等のマトリックス式二次元コード;PDF417、Code49等のスタック式二次元コード;グリッドマーク(グリッドマーク社)、Zコード(トッパンTDKレーベル社)等のドットコード等が例示できるが、これらに限定されない。
【0085】
<改ざん防止ラベルの製造方法>
本発明に係る改ざん防止ラベルは、例えば、粘着剤層(第1粘着剤層)及び基材を積層する工程(以下、「積層工程」と略記することがある)と、前記基材の前記粘着剤層側とは反対側の表面に、コードパターンを形成する工程(以下、「コードパターン形成工程」と略記することがある)と、上方から見下ろしたときに、前記粘着剤層及び基材の周縁部のうち、異なる二点間を結んで、前記コードパターンを二以上の領域に分断するように、前記粘着剤層及び基材、又は前記粘着剤層、基材及びコードパターンに、連続する切れ込みを形成する工程(以下、「切れ込み形成工程」と略記することがある)と、を有する製造方法で製造できる。
以下、
図1に示す改ざん防止ラベル1を例に挙げて、その製造方法について説明する。
図8は、
図1に示す改ざん防止ラベル1の製造方法を模式的に説明するための断面図である。
【0086】
(積層工程(第1積層工程))
前記積層工程(後述する「第2積層工程」と区別するために「第1積層工程」と称することがある)では、
図8(a)に示すように、基材13の一方の表面(裏面)13bに、粘着剤層12を積層する。
粘着剤層12は、基材13の裏面13bに粘着剤組成物を塗布し、乾燥させることで形成できる。また、剥離材の剥離層表面に前記粘着剤組成物を塗布し、乾燥させることで形成した粘着剤層を、基材13の裏面13bに貼合することでも粘着剤層12を形成できる。この場合、剥離材として上述の剥離材11を用いた場合には、この剥離材11は取り除く必要はなく、剥離材11以外の剥離材を用いた場合には、この剥離材は取り除く。
図8(a)では、剥離材11を設けた場合を示している。
【0087】
前記粘着剤組成物としては、粘着剤層12を構成する前記粘着剤、溶媒又は分散媒、及び必要に応じてその他の成分が配合されてなるものが例示できる。
前記溶媒又は分散媒としては、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル;メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;アルコール;水等が例示できる。
【0088】
粘着剤組成物の基材13又は剥離材への塗布は、公知の方法で行えばよく、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ロールナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ナイフコーター、スクリーンコーター、マイヤーバーコーター、キスコーター等の各種コーターを用いる方法が例示できる。
【0089】
粘着剤組成物の基材13又は剥離材への塗布量は、適宜調節すればよいが、粘着剤の塗布量が1〜100g/m
2となる塗布量であることが好ましい。
【0090】
粘着剤組成物の乾燥条件は、特に限定されないが、温度は40〜150℃であることが好ましく、時間は20秒〜5分であることが好ましい。
【0091】
粘着剤層12は、剥離材上に上記の条件で粘着剤層を形成した後、この粘着剤層を基材13に貼合することで形成することが好ましい。
【0092】
(コードパターン形成工程)
前記製造方法では、
図8(b)に示すように、積層工程の終了後に、基材13の粘着剤層12側とは反対側の表面13aに、コードパターン14を形成するコードパターン形成工程を行う。
【0093】
コードパターン14は、基材13の表面13aに、コード組成物を塗布し、乾燥させて、コード141をそれぞれ目的の箇所に形成することで形成できる。
コード141は、印刷法で形成することが好ましい。
前記印刷法は、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法や、UV−インクジェット方式、電子写真方式等のデジタル印刷方式であることが好ましい。
【0094】
前記コード組成物としては、各コードに対応した着色剤、溶媒又は分散媒、及び必要に応じてその他の成分が配合されてなるものが例示でき、前記印刷法では、これらの方法に適した各種インク組成物を使用できる。
前記溶媒又は分散媒としては、前記粘着剤組成物における溶媒又は分散媒と同様のものが例示できるが、これらに限定されない。
着色剤以外の成分でコードを目的とする色に調節できる場合には、コード組成物に着色剤を配合しなくてもよい。
【0095】
(切れ込み形成工程)
前記製造方法では、
図8(c)に示すように、コードパターン形成工程の終了後に、上方(コードパターン14側)から見下ろしたときに、粘着剤層12及び基材13の周縁部(第1粘着剤層12の側面12c及び基材13の側面13c)のうち、異なる二点間を結んで、コードパターン14を二以上の領域に分断するように、粘着剤層12、基材13及びコードパターン14に、連続する切れ込み10を形成する切れ込み形成工程を行う。
切れ込み10は、トムソン刃、ピナクル刃、ダイカットロール等を用いることで形成できる。
これらの工程を行うことにより、改ざん防止ラベル1が得られる。
【0096】
なお、
図8(a)に示すものとは異なり、粘着剤層12の形成時に剥離材11を設けなかった場合には、別途、粘着剤層12の裏面12b上に剥離材11を設ける(貼付する)ことが好ましく、剥離材11を設ける時期は特に限定されない。ただし、上述のように、粘着剤層12、基材13及びコードパターン14に切れ込み10を形成する前までに、粘着剤層12の裏面12b上に剥離材11を設けることが好ましい。このようにすることで、剥離材11が支持体としても機能して、切れ込み10を安定して形成でき、また、切れ込み10が形成された粘着剤層12、基材13及びコードパターン14の積層構造がより安定して維持される。
【0097】
本発明に係る改ざん防止ラベルのうち、コードパターン上に、さらに第2粘着剤層及び被覆層がこの順に積層されてなるものは、上述の製造方法(以下、他の製造方法と区別するため「製造方法1」と称する)に次いで、さらに、コードパターン上に、第2粘着剤層及び被覆層を積層する工程(以下、製造方法1における積層工程と区別するために「第2積層工程」と称し、製造方法1における積層工程を「第1積層工程」と称する)を有する製造方法(以下、「製造方法2」と称する)で製造できる。
以下、
図3に示す改ざん防止ラベル2を例に挙げて、その製造方法について説明する。
図9は、
図3に示す改ざん防止ラベル2の製造方法を模式的に説明するための断面図である。
【0098】
(第2積層工程)
第2積層工程では、製造方法1で得られた改ざん防止ラベル1のコードパターン14上に、第2粘着剤層15及び被覆層16を順次積層することは、通常困難である。そこで、まず、
図9(a)に示すように、剥離材21の剥離層表面に、第2粘着剤層15を積層する。
第2粘着剤層15は、剥離材21の剥離層表面に第2粘着剤組成物を塗布し、乾燥させることで形成でき、例えば、第1積層工程での第1粘着剤層12の場合と同様の方法で形成できる。剥離材21は、改ざん防止ラベル1における剥離材11と同じものでもよいし、剥離材11以外の公知のものでもよい。
【0099】
第2積層工程では、次いで、
図9(b)に示すように、第2粘着剤層15上に被覆層16を積層する。被覆層16は、第2粘着剤層に押圧して貼付することで積層でき、このとき必要に応じて第2粘着剤層を加熱してもよい。
【0100】
第2積層工程では、次いで、
図9(c)に示すように、剥離材21、第2粘着剤層15及び被覆層16の積層物から剥離材21を剥離させた後、第2粘着剤層15の露出面と、製造方法1で得られた改ざん防止ラベル1のコードパターン14と、を向い合せて貼合する。
これらの工程を行うことにより、
図9(d)に示すように、改ざん防止ラベル2が得られる。
【0101】
なお、第2積層工程では、第2粘着剤層15を剥離材21上ではなく、被覆層16上に直接積層して、第2粘着剤層15及び被覆層16の積層物を形成してもよい。
【0102】
ここまでは、
図1に示す改ざん防止ラベル1、及び
図3に示す改ざん防止ラベル2を例に挙げて説明したが、他の改ざん防止ラベルも、その構成にあわせて上述の製造方法を適宜調節して適用することで、製造できる。
【0103】
例えば、
図4に示す改ざん防止ラベル3は、切れ込み10に代えて切れ込み30を形成する、すなわち、切れ込み形成工程において、粘着剤層12、基材13及びコードパターン14に連続する切れ込みを形成する際に、その形成位置を変える点以外は、上述の
図1に示す改ざん防止ラベル1の場合と同じ方法で製造できる。
【0104】
また、
図7に示す改ざん防止ラベル5は、コードパターン14に代えてコードパターン54を形成し、切れ込み10に代えて切れ込み50を形成する点以外は、上述の
図1に示す改ざん防止ラベル1の場合と同じ方法で製造できる。コードパターン54の形成は、四角形状のコード141に代えて、ドット状のコード541を形成する点以外は、改ざん防止ラベル1でのコードパターン形成工程と同じ工程を行えばよい。そして、切れ込み50の形成は、切れ込みを粘着剤層12、基材13及びコードパターン54(コード541)に連続して形成する際に、その形成位置を変える点以外は、改ざん防止ラベル1での切れ込み形成工程と同じ工程を行えばよい。
【0105】
<改ざん防止ラベルの再利用有無の判定方法>
本発明に係る改ざん防止ラベルの再利用有無の判定方法は、上述の本発明に係る改ざん防止ラベルを、前記粘着剤層を介して被着体に貼付し、前記被着体へ貼付前又は貼付直後の前記改ざん防止ラベルのコードパターンから取得した初期情報と、前記初期情報取得後に、被着体上のコードパターンから取得した最新情報とを比較して、前記最新情報が前記初期情報と同じである場合には、前記改ざん防止ラベルは再利用されていないと判定し、前記切れ込みを境にして前記コードパターンにずれが生じていることにより、前記最新情報が前記初期情報と異なる場合には、前記改ざん防止ラベルは再利用されていると判定することを特徴とする。
前記判定方法では、上述の本発明に係る改ざん防止ラベルを用い、そのコードパターンから取得した情報を照合するという簡便なプロセスによって、改ざん防止ラベルの再利用の有無を高精度且つ迅速に判定できる。
【0106】
前記判定方法においては、まず、前記改ざん防止ラベルを、その粘着剤層を介して目的とする被着体に貼付すると共に、被着体へ貼付前又は貼付直後の改ざん防止ラベルのコードパターンから情報(初期情報)を取得する。ここで取得した初期情報は、構成が変化していない当初のコードパターンから取得されたものであり、正確な情報である。
なお、「被着体へ貼付直後の改ざん防止ラベル」とは、被着体へ貼付されてから、取り外す(剥がし取る)、コードパターンを変更するなど、意図的な貼付状態の変更が行われていないことが判明している(保障されている)改ざん防止ラベルを意味しており、これは換言すると、被着体への貼付前から構成が変化していない改ざん防止ラベルのことである。
【0107】
改ざん防止ラベルのコードパターンからの初期情報の取得は、読み取り機を用いて行うことが好ましい。読み取り機を用いることにより、短時間でより高精度に情報を取得でき、取得した情報の管理も容易に行うことができる。また、読み取り機を用いる場合には、コードパターンをより微細に又は複雑にしても、短時間でより高精度に情報を取得できる。
【0108】
読み取り機は、従来の二次元コードの読み取り機と同様の構成とすることができ、例えば、コードパターンの情報を読み取る情報読み取り手段、読み取った情報を伝送する情報伝送手段、伝送された情報を記録し、照合等の処理を行う情報処理手段、情報処理の結果を表示する表示手段等を備えたものが例示できる。
【0109】
次いで、前記判定方法においては、前記初期情報取得後に、さらに、被着体上のコードパターンから情報(最新情報)を取得する。ここで取得した最新情報は、初期情報取得後に時間が経過して、構成の変化の有無が判明していないコードパターンから取得された、最も新しいものであり、正確か不正確かが確定できていない情報である。換言すると、前記最新情報は、被着体へ貼付された改ざん防止ラベルについて、その後、取り外す(剥がし取る)等の意図的な貼付状態の変更が行われていないことが不明な(保障されていない)もののコードパターンから取得されたものである。
【0110】
コードパターンからの最新情報の取得は、初期情報の取得と同様に行えばよい。
【0111】
次いで、前記判定方法においては、前記初期情報と前記最新情報とを比較する。ここで、最新情報が初期情報と同じであれば、改ざん防止ラベルは再利用されていないと判定できる。その理由は、改ざん防止ラベルが被着体から取り外される(剥がし取られる)と、例えば、
図2、5及び7を参照して説明したように、切れ込みを境にしてコードパターンにずれが生じていることにより、最新情報が初期情報とは異なるものになっているからである。このようなコードパターンのずれは、改ざん防止ラベルが被着体から取り外されたときに生じるものであって、このようなコードパターンのずれがない、すなわち、コードパターンに変化がないということは、改ざん防止ラベルが被着体から取り外されておらず、取り外し後に貼付し直すという再利用が行われていないことを意味する。
これに対して、切れ込みを境にしてコードパターンにずれが生じていることにより、最新情報が初期情報とは異なれば、改ざん防止ラベルは被着体から取り外されて、再利用されていると判定できる。
【0112】
本発明に係る改ざん防止ラベルは、上述のように、二次元コードを改ざん防止の手段として利用し、構成が簡便であり、簡便な工程で製造できるため、安価に提供できる。また、本発明に係る判定方法では、前記改ざん防止ラベルを用い、そのコードパターンから取得した情報を照合するという簡便なプロセスによって、改ざん防止ラベルの再利用の有無を高精度且つ迅速に判定できる。したがって、本発明に係る改ざん防止ラベル及び判定方法は、例えば、食品等の大量に流通する汎用品に対して適用するのに好適なものである。