特許第6409243号(P6409243)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6409243
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】実験動物の視機能評価装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 67/00 20060101AFI20181015BHJP
【FI】
   A01K67/00 D
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-165505(P2014-165505)
(22)【出願日】2014年8月15日
(65)【公開番号】特開2016-41030(P2016-41030A)
(43)【公開日】2016年3月31日
【審査請求日】2017年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】593006630
【氏名又は名称】学校法人立命館
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】小池 千恵子
(72)【発明者】
【氏名】天野 晃
(72)【発明者】
【氏名】下ノ村 和弘
【審査官】 竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−135854(JP,A)
【文献】 特開2014−104244(JP,A)
【文献】 特表2013−500834(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0025611(US,A1)
【文献】 特開2013−005746(JP,A)
【文献】 特開2009−131175(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3109472(JP,U)
【文献】 特開2011−087609(JP,A)
【文献】 特開2011−015788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 67/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実験動物を収容するケージと、
前記ケージ内に設けられる視覚刺激提示領域内の異なる位置にそれぞれ異なる視覚刺激を提示する視覚刺激提示手段と、
前記いずれかの視覚刺激の提示位置に前記実験動物が接触したことを検出する接触検出手段と、
前記視覚刺激提示領域とは異なる前記ケージ内の領域である報酬供給領域で、前記実験動物に対して報酬を供給する供給口を有する報酬供給手段と、
前記実験動物が前記供給口に接近したこと又は到達したことを検出する実験動物検出手段と、
前記報酬供給領域から前記視覚刺激の提示位置が見える状態で、前記実験動物の前記報酬供給領域側から前記視覚刺激提示領域側への移動を阻止する開閉可能な仕切り部材と、
前記仕切り部材を閉鎖させ、前記実験動物を前記報酬供給領域側に待機させた状態で、前記視覚刺激提示手段によって前記それぞれの視覚刺激を提示させ、所定時間経過後、前記仕切り部材を開放させる視覚刺激提示工程と、前記接触検出手段によって前記実験動物が前記いずれかの視覚刺激の提示位置に接触したことが検出されると、前記視覚刺激提示手段によって前記それぞれの視覚刺激を消灯させ、前記実験動物が予め学習させた正解の視覚刺激の提示位置に接触したか否かを判定する判定工程と、前記実験動物が前記正解の視覚刺激の提示位置に接触したと判定した場合には、前記報酬供給手段によって前記報酬を前記供給口に供給させ、前記実験動物が前記正解の視覚刺激の提示位置とは異なる提示位置に接触したと判定した場合には、前記報酬を前記供給口に供給させず、前記実験動物検出手段によって前記実験動物が前記供給口に接近したこと又は到達したことを検出すると、前記仕切り部材を閉鎖させる報酬供給工程と、を所定回数に到達するまで繰り返し実行し、前記判定工程の結果に基づいて前記実験動物の視機能を評価する制御手段と、を備えることを特徴とする実験動物の視機能評価装置。
【請求項2】
前記視覚刺激提示手段は、前記視覚刺激として、点灯光、点滅光、画像パターン、又は消灯状態を提示することを特徴とする請求項1に記載の実験動物の視機能評価装置。
【請求項3】
前記視覚刺激提示手段は、画素ピッチが0.2715mm/pixel以下で、リフレッシュレートが120Hz以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の実験動物の視機能評価装置。
【請求項4】
前記視覚刺激提示手段は、1Hz以上500Hz以下の周波数で点滅させる前記点滅光を提示することを特徴とする請求項2に記載の実験動物の視機能評価装置。
【請求項5】
前記ケージ内の画像を撮像する撮像手段を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の視機能評価装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記撮像手段によって取得した画像を用いて、前記画像上の前記実験動物の移動軌跡と、前記視覚刺激の提示位置及び提示期間を求めることを特徴とする請求項5に記載の実験動物の視機能評価装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記画像上の前記移動軌跡と、前記提示位置及び前記提示期間に基づいて、前記実験動物が前記接触検出手段に接触して、前記視覚刺激が消灯する際の前記実験動物の位置を求めることにより、前記判定工程において前記実験動物が前記正解の視覚刺激の提示位置に接触したか否かを判定することを特徴とする請求項6に記載の実験動物の視機能評価装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記撮像手段によって取得した画像を用いて、前記画像上の前記実験動物の頭部の方向と、前記視覚刺激の提示位置及び提示期間を求めて、前記頭部の方向と、前記提示位置及び前記提示期間に基づいて、前記実験動物が前記視覚刺激提示工程において前記視覚刺激を確認しているか否かを判定することを特徴とする請求項5に記載の実験動物の視機能評価装置。
【請求項9】
前記実験動物は、マウス、ラット、又はモルモットであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の実験動物の視機能評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実験動物の認知に基づいた視機能の評価を行うための視機能評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、網膜再生に関する研究が急速に進められているが、中枢神経系では特定の細胞を再生できても正しい回路が形成されなければ機能再生は不可能である。網膜疾患の患者では網膜そのものの機能低下に加えて、視覚野等への経路を含む脳神経系に二次的な異常が引き起こされる場合もあり、視機能再生の検証には網膜のみならず、実際に見えたと認知できるかどうかが重要となる。
【0003】
一方で、視覚刺激に対する網膜や脳のレベルでの神経活動の解析手法として、従来からパッチクランプ、網膜電位図、視覚誘発電位といった電気生理学的解析が行われている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。特許文献1では、被検者の左右の被検眼の一方に光刺激を与えて生じる網膜電位の変動を、対応する眼球非接触型の電極により検出すると同時に、光刺激されていない他方の被検眼の電位を、対応する眼球非接触型の電極によって検出し、それらの同時に検出される二つの電位検出信号の差分を求めて、網膜電位記録信号として取り出し、それに基づいて、光刺激が与えられた一方の被検眼の網膜電位波形を求めて、網膜電位図として記録することにより、ノイズ信号を低減して精度良く網膜電位を測定することができる網膜電位測定装置が開示されている。特許文献2では、点滅光が点滅しているにもかかわらず連続して点灯しているように視認される程度の点滅周波数で光源を点滅させることにより、点滅光の眩しさやちらつき感を抑制して観察者の負担を大幅に軽減することができる視覚誘発電位信号検出システムが開示されている。
【0004】
また、従来から空腹又は口渇状態のマウス等の実験動物に対して、異なる刺激を与え、正反応時に餌や水等の報酬を与えることにより、刺激を弁別させるための学習を行わせるオペラント学習実験装置を用いた脳内神経活動の神経生理学的な解析が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−087609号公報
【特許文献2】特開2011−015788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1や特許文献2のような電気生理学的解析では、視覚刺激に対する神経活動を計測することはできても、実際にその刺激を認定できている否かは、言葉を話すことができない実験動物では明らかにすることができなかった。また、オペラント学習実験装置を用いて、実験動物に異なる刺激を弁別させ、その際の脳内神経活動の神経生理学的な解析を行うものはあるが、実験動物に対して異なる視覚刺激を提示し、認知に基づいて実験動物がそれらを正しく弁別できているか否かを評価できるような装置はこれまでになかった。
【0007】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、実験動物の視覚認知機能が正常か否かを評価することができる実験動物の視機能評価装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の実験動物の視機能評価装置は、実験動物を収容するケージと、前記ケージ内に設けられる視覚刺激提示領域内の異なる位置にそれぞれ異なる視覚刺激を提示する視覚刺激提示手段と、前記いずれかの視覚刺激の提示位置に前記実験動物が接触したことを検出する接触検出手段と、前記視覚刺激提示領域とは異なる前記ケージ内の領域である報酬供給領域で、前記実験動物に対して報酬を供給する供給口を有する報酬供給手段と、前記実験動物が前記供給口に接近したこと又は到達したことを検出する実験動物検出手段と、前記報酬供給領域から前記視覚刺激の提示位置が見える状態で、前記実験動物の前記報酬供給領域側から前記視覚刺激提示領域側への移動を阻止する開閉可能な仕切り部材と、前記仕切り部材を閉鎖させ、前記実験動物を前記報酬供給領域側に待機させた状態で、前記視覚刺激提示手段によって前記それぞれの視覚刺激を提示させ、所定時間経過後、前記仕切り部材を開放させる視覚刺激提示工程と、前記接触検出手段によって前記実験動物が前記いずれかの視覚刺激の提示位置に接触したことが検出されると、前記視覚刺激提示手段によって前記それぞれの視覚刺激を消灯させ、前記実験動物が予め学習させた正解の視覚刺激の提示位置に接触したか否かを判定する判定工程と、前記実験動物が前記正解の視覚刺激の提示位置に接触したと判定した場合には、前記報酬供給手段によって前記報酬を前記供給口に供給させ、前記実験動物が前記正解の視覚刺激の提示位置とは異なる提示位置に接触したと判定した場合には、前記報酬を前記供給口に供給させず、前記実験動物検出手段によって前記実験動物が前記供給口に接近したこと又は到達したことを検出すると、前記仕切り部材を閉鎖させる報酬供給工程と、を所定回数に到達するまで繰り返し実行し、前記判定工程の結果に基づいて前記実験動物の視機能を評価する制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の実験動物の視機能評価装置は、前記視覚刺激提示手段が、前記視覚刺激として、点灯光、点滅光、画像パターン、又は消灯状態を提示することを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の実験動物の視機能評価装置は、前記視覚刺激提示手段は、画素ピッチが0.2715mm/pixel以下で、リフレッシュレートが120Hz以上であることを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の実験動物の視機能評価装置は、前記視覚刺激提示手段は、1Hz以上500Hz以下の周波数で点滅させる前記点滅光を提示することを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載の実験動物の視機能評価装置は、前記ケージ内の画像を撮像する撮像手段を備えることを特徴としている。
【0013】
請求項6に記載の実験動物の視機能評価装置は、前記制御手段が、前記撮像手段によって取得した画像を用いて、前記画像上の前記実験動物の移動軌跡と、前記視覚刺激の提示位置及び提示期間を求めることを特徴としている。
【0014】
請求項7に記載の実験動物の視機能評価装置は、前記制御手段が、前記画像上の前記移動軌跡と、前記提示位置及び前記提示期間に基づいて、前記実験動物が前記接触検出手段に接触して、前記視覚刺激が消灯する際の前記実験動物の位置を求めることにより、前記判定工程において前記実験動物が前記正解の視覚刺激の提示位置に接触したか否かを判定としている。
【0015】
請求項8に記載の実験動物の視機能評価装置は、前記制御手段が、前記撮像手段によって取得した画像を用いて、前記画像上の前記実験動物の頭部の方向と、前記視覚刺激の提示位置及び提示期間を求めて、前記頭部の方向と、前記提示位置及び前記提示期間に基づいて、前記実験動物が前記視覚刺激提示工程において前記視覚刺激を確認しているか否かを判定することを特徴としている。
【0016】
請求項9に記載の実験動物の視機能評価装置は、前記実験動物が、マウス、ラット、又はモルモットであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の実験動物の視機能評価装置によれば、視覚刺激提示手段によって、実験動物に対して、異なる位置にそれぞれ異なる視覚刺激を提示し、接触検出手段によって、実験動物がいずれかの視覚刺激の提示位置に接触したことが検出されると、実験動物が予め学習させた正解の視覚刺激の提示位置に接触したか否かを判定する。これにより、実験動物がそれらの異なる視覚刺激を正しく弁別できているか否かを判定することができ、網膜疾患における薬剤治療の効果や再生医療研究などにおいて、網膜そのものが機能しているかどうかだけでなく、視覚認知機能が正常か否かを評価することができる。
【0018】
また、本発明に係る実験動物の視機能評価装置では、報酬供給領域から視覚刺激の提示位置が見える状態で、実験動物の報酬供給領域側から視覚刺激提示領域側への移動を阻止する開閉可能な仕切り部材を備えており、仕切り部材を閉鎖させ、実験動物を報酬供給領域側に待機させた状態で、視覚刺激を提示させ、所定時間経過後、仕切り部材を開放させるので、仕切り部材前で実験動物が視覚刺激を確認しているかどうか、さらに仕切り部材の解放後、実験動物の正解の視覚刺激への移動ルートを確認することにより、視覚刺激を認知した上で正解の視覚刺激に接触しに行っているかを評価することができる。また、仕切り部材の位置を変えることによって、実験動物から視覚刺激までを様々な距離で一定に保つことができるので、実験動物の視力についても同時に評価することができる。
【0019】
請求項2に記載の実験動物の視機能評価装置によれば、視覚刺激提示は、視覚刺激として、点灯光と、点滅光又は消灯状態を提示した場合、実験動物がこれらを認知に基づいて弁別できているか判定することができるので、光が点いたという情報を脳に伝えるON型経路と、光が消えたという情報を脳に伝えるOFF型経路が正しく働いているかどうかを評価することができる。また、視覚刺激提示は、視覚刺激として、画像パターンを提示した場合、仕切り部材によって、画像パターンまでの距離を制御することで、実験動物の視力(空間分解能)についてより適切な評価を行うことができると共に、実験動物の画像パターンに対する視覚認知に基づく行動(視覚イメージ形成応答)についても評価することができる。
【0020】
請求項3に記載の実験動物の視機能評価装置によれば、画素ピッチが0.2715mm/pixel以下で、リフレッシュレートが120Hz以上であるので、高解像度・高分解能な視覚刺激を提示することができ、より複雑なイメージ形成応答の評価を行うことができる。
【0021】
請求項4に記載の実験動物の視機能評価装置によれば、視覚刺激提示手段は、1Hz以上500Hz以下の周波数で点滅光を提示するので、実験動物の時間分解能を詳細に評価することができる。
【0022】
請求項5に記載の実験動物の視機能評価装置によれば、ケージ内の画像を撮像する撮像手段を備えているので、ケージ内の実験動物の様子をケージの外部から容易に確認したり、撮像した画像を用いて様々な評価を行うことができる。
【0023】
請求項6に記載の実験動物の視機能評価装置によれば、撮像手段によって取得した画像を用いて、画像上の実験動物の移動軌跡と、視覚刺激の提示位置及び提示期間を求めるので、視覚刺激を提示している際等、各工程における実験動物の行動を選択的に解析することができる
【0024】
請求項7に記載の実験動物の視機能評価装置によれば、制御手段は、画像上の移動軌跡と、提示位置及び提示期間に基づいて、実験動物が接触検出手段に接触して、視覚刺激が消灯する際の実験動物の位置を求める。これにより、制御手段では、実験動物がいずれの提示位置に接触したかを求めることができるので、判定工程において実験動物が正解の視覚刺激の提示位置に接触したか否かを撮像手段によって取得した画像から適切に判定することができる。
【0025】
請求項8に記載の実験動物の視機能評価装置によれば、制御手段は、撮像手段によって取得した画像を用いて、画像上の実験動物の頭部の方向と、視覚刺激の提示位置及び提示期間を求めて、実験動物が視覚刺激提示工程において視覚刺激を確認しているか否かを判定するので、実験動物が視覚刺激を確認した後に、正解の視覚刺激に接触しているか否かを確認することができ、より適切に視覚刺激を正しく弁別できているか否かを評価することができる。
【0026】
請求項9に記載の実験動物の視機能評価装置によれば、実験動物は、マウス、ラット、又はモルモットであるので、比較的容易に学習させることができ、視機能の評価を適切に行い易い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態に係る視機能評価装置の一例を示す概略平面図である。
図2】本発明の実施形態に係る視機能評価装置のケージ内の一例を示す概略側面図である。
図3】実験動物の頭部方向の検出について説明するための概略説明図である。
図4】視覚刺激の提示期間の一例を示すグラフである。
図5】本発明の実施形態に係る視機能評価装置による処理動作の一例について説明するための概略説明図である。
図6】本発明の実施形態に係る視機能評価装置による処理動作の一例について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る実験動物の視機能評価装置の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本発明に係る視機能評価装置1は、実験動物の認知に基づいた視機能の評価を行うための視機能評価装置であって、図1及び図2に示すように、実験動物2を収容するケージ3と、視覚刺激41a、41bを提示するディスプレイ(視覚刺激提示手段)4と、ディスプレイ4に提示された視覚刺激41a、41bの提示位置に実験動物が接触したことを検出するタッチパネルセンサ(接触検出手段)5と、実験動物に対して報酬を供給する供給口61を有する報酬供給手段6と、実験動物が供給口61に接近又は到達したことを検出する赤外線センサ(実験動物検出手段)7と、ケージ3内の視覚刺激41a、41bが提示される側の領域である視覚刺激提示領域31と、報酬が供給される側の領域である報酬供給領域32とを仕切る仕切り部材8と、ケージ3内の画像を撮像するビデオカメラ(撮像手段)9と、各部の制御やビデオカメラ9によって取得した画像を用いた画像処理等を行う制御装置(制御手段)10とを備えている。視機能評価装置1による視機能の評価に用いられる実験動物2は、特に限定されるものではないが、例えば、従来からオペラント学習に一般的に用いられているマウス、ラット、又はモルモット等を好適に用いることができる。
【0029】
ケージ3は、内部に実験動物2を収容するためのチャンバであって、例えば、実験動物2に対して、外部の音等を遮断するように防音箱(不図示)の中に設置して用いるようにしても良い。ケージ3内には、図1に示すように、実験動物2の余計な行動を抑制するために、両側に供給口61に向かって間が狭くなるように壁33が配置されている。
【0030】
ディスプレイ4は、図1及び図2に示すように、視覚刺激提示領域31側に設けられており、実験動物2に対して異なる位置にそれぞれ異なる視覚刺激41a、41bを提示するものである。このディスプレイ4は、例えば、制御装置10からLED42a、42bの点灯命令及び消灯命令の2種類の信号を受信し、視覚刺激として、点灯光と、点滅光又は消灯状態を提示できるように構成されている。ディスプレイ4としては、実験動物2に対してはっきりとした視覚刺激を提示できるように、高い時間分解能及び空間分解能を有する画素ピッチが0.2715mm/pixel以下、解像度が1920×1080以上、リフレッシュレートが120Hz以上のLCD(液晶ディスプレイ)等を用いることができる。また、視覚刺激を提示する視覚刺激提示手段は、ディスプレイ4に限定されるものではなく、視覚刺激を提示することができるものであれば良く、例えば、LED等の光源を異なる位置にそれぞれ設けておいて、これらの光源を制御装置10からの信号に基づいて、点灯させたり、点滅させたりすることによって視覚刺激を提示するようにしても良い。また、制御装置10からの信号に応じて、例えば、視覚刺激として実験動物2に対して1Hz以上500Hz以下の様々な周波数の点滅光に調節して提示できるように構成することができる。これにより、実験動物2の時間分解能を詳細に評価することができる。尚、図1では、白で表わされている視覚刺激41aが点灯光を示しており、黒く塗り潰している視覚刺激41bが消灯状態を示している。本実施形態に係る視機能評価装置1では、視覚刺激として、点灯光、点滅光、又は消灯状態を提示する例を示しているが、ディスプレイ4が提示する視覚刺激は、これらに限定されるものではなく、制御装置10からの信号に基づいて、他の画像パターンを視覚刺激として提示するようにしても良い。画像パターンとしては、例えば、実験動物2の視力を評価するような場合には、水平又は垂直の縞模様の画像パターンを提示することが好ましい。また、その他の様々な色や形の平面図形、立体図形、錯視図形等の画像パターンをディスプレイ4に提示するようにしても良い。
【0031】
また、視機能評価装置1では、視覚刺激41a、41bを提示するディスプレイ4の前に、タッチパネルセンサ5が設けられており、実験動物2が視覚刺激41a、41bのいずれかの提示位置に接触したことを検出できるようになっている。タッチパネルセンサ5では、実験動物2が接触したことを検出すると、その検出信号を制御装置10へと送る。制御装置10では、タッチパネルセンサ5からの検出信号が入力されると、実験動物2が視覚刺激41a、41bのいずれかを選択したものと判断し、ディスプレイ4の視覚刺激41a、41bの双方を消灯させる。尚、詳しくは図示しないが、タッチパネル5の前には、視覚刺激41a、41bの提示位置に合わせて開口が形成されている窓枠が設けられており、実験動物2が視覚刺激41a、41bの提示位置以外に接触してもタッチパネル5は反応しないように構成されている。
【0032】
報酬供給手段6は、実験動物に対して報酬を与えるためのものであって、図1に示すように、制御装置10からの動作信号に基づいて、ポンプ62を駆動させ、不図示の貯蔵部からチューブを介して報酬をケージ内3の報酬供給領域32側に配置される供給口61へと送り出すように構成されている。報酬としては、例えば、空腹状態の実験動物2を用いる場合には餌を報酬として与え、口渇状態の実験動物2を用いる場合には水等の飲料を報酬として与えるようにすれば良い。
【0033】
赤外線センサ7は、実験動物2が報酬を受け取りに供給口61に接近又は到達したことを検出するためのものであって、例えば、図1及び図2に示すように、供給口61の上方に配置される。赤外線センサ7では、実験動物2が供給口61に接近又は到達したことを検出すると、その検出信号を制御装置10へと送る。制御装置10では、赤外線センサ7からの検出信号が入力されると、仕切り部材8を閉鎖するように駆動させる。
【0034】
仕切り部材8は、実験動物2が報酬供給領域32側から視覚刺激提示領域31側へ移動するのを阻止するためのものであって、報酬供給領域32側にいる実験動物2が視覚刺激41a、41bのそれぞれの提示位置を確認できるように、透明な板状部材によって形成されている。これにより、視覚刺激提示領域31と報酬供給領域32とが仕切られ、実験動物2から視覚刺激41a、41bの提示位置までの距離を一定に保つことができる。この仕切り部材8は、詳しくは図示しないが、モータ等の駆動手段11によって開閉可能に構成されており、制御装置10からの動作信号に基づいて駆動手段11が駆動し、仕切り部材8が開閉動作するようになっている。
【0035】
ビデオカメラ9は、図2に示すように、ケージ3内の視覚刺激提示領域31及び報酬供給領域32の動画像を撮像できるように、ケージ3の上部に配置されている。このビデオカメラ9によって取得された画像は、制御装置10へと送られ、制御装置10では、この画像を用いて、実験動物2の移動軌跡、移動速度、頭部の方向、弁別に要する時間、視覚刺激41a、41bの提示位置及び提示期間等の各種の情報を求めるための画像処理等が行われる。また、詳しくは図示しないが、ビデオカメラ9により暗所での撮像を適切に行うことができるように、近赤外線照明がケージ3の上部に設けられている。尚、近赤外線照明を設ける代わりに、近赤外線照明機能付きのビデオカメラ9を使用するようにしても良い。また、ビデオカメラ9の配置位置及び個数はこれに限定されるものではなく、実験動物2の視機能を評価するための各種の情報を取得した画像から求めることができるように適宜配置されていれば良い。
【0036】
制御装置10は、例えば、コンピュータ等によって構成されるものであって、詳しくは図示しないが、CPU(Central Proceessing Unit)と、各種の制御を行うための処理プログラム等を格納するハードディスクと、ハードディスクに格納される処理プログラムに基づいて、CPUの制御の下、各部の制御やビデオカメラ9によって取得した画像を用いた画像処理等を行う演算処理部と、ハードディスクから読み出された処理プログラムを一時的に記憶したり、CPUの作業領域等として用いられるRAM(Random Access Memory:記憶部)と、ビデオカメラ9によって撮像した画像を表示したり、各種の評価結果等を表示したりする表示部と、操作者が種々のデータや操作指令等の入力を行うために使用される操作部等を備えている。また、これら各部は、例えば、互いにシステムバスに接続され、このシステムバスを介して種々のデータ等が入出力されて、CPUの制御の下、種々の処理が実行される。
【0037】
制御装置10の演算処理部では、ビデオカメラ9によって取得した画像を用いて、画像上の実験動物2の移動軌跡、移動速度、頭部の方向、視覚刺激41a、41bの提示位置及び提示期間等の各種の情報を求めるための画像処理等を行う。
【0038】
制御装置10では、実験動物2の移動軌跡を求める場合には、例えば、ビデオカメラ9によって取得した画像の各フレーム毎の実験動物2の位置を検出し、それらの検出結果をプロットすることで実験動物2の移動軌跡を求めることができる。画像上の実験動物2の位置を求める方法としては、従来公知の画像処理方法を適宜用いることができるが、例えば、ビデオカメラ9によって取得した画像をグレースケール化し、予め取得してRAM等に記憶しておいた背景画像と比較して、背景差分を行った後、差分画像に対して二値化を行うことで、実験動物2の領域を抽出した二値画像を作成する。その後、必要に応じて、実験動物2の特徴的な部分(胴体領域)を抽出するために、例えばモルフォロジー処理を行った後、胴体領域に対して重心計算を行うことにより、胴体中心の位置を求め、この結果を実験動物2の画像上の位置情報として用いる。また、制御装置10では、この求められた各フレーム毎の実験動物2の位置情報に基づいて、実験動物2が1フレームの間に何画素移動したか(pixel/frame)を求めることができる。また、1フレームが対応する時間と、1画素が対応する実際の距離に基づいて、実際の移動速度(mm/s)を算出することができ、これらを微分を施すことにより加速度(mm/s^2)を算出することができる。
【0039】
また、制御装置10では、ビデオカメラ9によって取得した画像を用いて、画像上の実験動物2の頭部の方向を各フレーム毎に求める。実験動物2の頭部方向を求める方法としては、まずは画像上の実験動物2の頭部の中心と、実験動物2の鼻先の位置を求める。画像上の実験動物2の鼻先の位置を求める場合は、まず実験動物2の位置を求める場合と同様に、取得した画像をグレースケール化し、背景差分を行った後、差分画像に対して二値化を行うことで、実験動物2の領域を抽出した二値画像を作成し、必要に応じてモルフォロジー処理を行う。その後、図3(a)に示すように、例えば、実験動物の頭部の全長と同程度の大きさの半径rを有する円12を考え、この円12の中心を胴体領域(図3中の白抜き部分)の輪郭に沿って移動させながら、各点において、円12の内側にある胴体領域の面積を計測する。マウス等の実験動物2の場合には、鼻先はある程度細長く伸びている頭部の先端に位置し、且つ大きな曲率を持つ点であることから、円12の内側にある胴体領域面積が最小となる輪郭上の点13を検出することで、その点13を鼻先の位置とする。このように画像上での実験動物2の頭部の大きさに合わせて円12の半径rを設定することで、鼻先以外の部位の小さな突起パターンの誤検出を防ぐことができる。
【0040】
また、画像上の実験動物2の頭部の中心を求める場合は、図3(b)に示すように、検出した画像上の実験動物2の鼻先の点13を中心とする半径rの円12の内側にある胴体領域に対して、重心を計算することにより、頭部の中心の点14を求める。そして、制御装置10では、画像上の鼻先の点13と頭部の中心の点14を通る直線15を考え、この直線15の頭部の中心の点14から鼻先の点13に向かう方向を実験動物2の頭部の方向とする。このような手法を用いることで、比較的少ない計算量で、実験動物2の頭部の方向を安定して正確に求めることできる。
【0041】
また、制御装置10では、画像上の視覚刺激41a、41bの提示位置及び提示期間を求める場合には、各フレーム毎に輝度値を検出する。視覚刺激41a、41bとして点灯光又は点滅光が提示される位置は、画像上の輝度値が高くなるので、各フレーム毎に輝度値を検出することにより、視覚刺激41a、41bの提示位置を求めることができる。また、視覚刺激の提示位置の各フレーム毎の輝度値を検出することで、図4に示すように、視覚刺激の提示期間を求めることができる。図4では、横軸はフレーム数、縦軸は輝度値を表わしている。図4の一番上のグラフの視覚提示期間Tに対応する部分は、視覚刺激として点滅光を提示している場合の一例を示している。このように点滅光の場合には、点灯と消灯を繰り返す不連続光であるので、輝度値が高くなる時と低くなる時が交互に繰り返されるようなグラフになる。一方、図4の真中のグラフの視覚提示期間Tに対応する部分は、視覚刺激として点灯光を提示している場合の一例を示している。点灯光の場合には、視覚提示期間Tの間は、常に点灯している連続光であるので、輝度値は高い状態のままのグラフになる。また、消灯状態の場合には、常に輝度値は低い状態になる。従って、制御装置10では、視覚刺激の提示位置の各フレーム毎の輝度値を検出することにより、視覚刺激の提示期間T及び各提示位置にどのような視覚刺激が提示されているかを検出することができる。
【0042】
また、制御装置10では、このように画像上の実験動物2の頭部の方向と、視覚刺激の提示位置及び提示期間を求められることにより、提示期間内において実験動物2の頭部の方向を示す直線14が視覚刺激の提示位置を通っているかを検出することで、視覚刺激の提示期間において実験動物2が視覚刺激を確認しているか否かを判定することができる。
【0043】
以下、視機能評価装置1による処理動作の流れについて図5及び図6のフローチャートを用いながら説明する。尚、ここでは、ビデオカメラ9によって取得した各フレーム毎の画像を用いて、制御装置10が行う各種の画像処理については上述の通りであるので、その詳細な説明は省略する。
【0044】
まず、視機能評価装置1による評価を行うに当たって、予め視覚刺激への接触と報酬獲得の関連付けを所定期間に渡って学習させたマウス等の実験動物2を用いる。また、報酬としては、例えば、水を与えることとし、実験動物2には、水に対する欲求を高めるために、実験開始の前から給水制限し、口渇状態にする。
【0045】
このような状態の実験動物2を図5(a)に示すように、仕切り部材8が閉鎖された状態のケージ3内の報酬供給領域32側へと投入し、制御装置10からの信号に基づいて、ディスプレイ4に視覚刺激41a、41bを提示する(S101)。尚、図5(a)中の網掛けで示す視覚刺激41aは点滅光を示しており、視覚刺激41bは点灯光を示している。また、ここでは、正解の視覚刺激を点灯光としており、図5(a)の場合には、視覚刺激41bが正解の視覚刺激となる。
【0046】
そして、実験動物2が報酬供給領域32側から視覚刺激41a、41bを確認できる状態で報酬供給領域32側に所定時間待機させた後、制御装置10からの信号に基づいて、駆動手段11を駆動させ、図5(b)に示すように、仕切り部材8を開放動作させる(S102)。尚、図5(b)中の二点鎖線は仕切り部材8が開放されている状態を示している。
【0047】
次に、図5(b)に示すように、実験動物2が報酬供給領域32側から視覚刺激提示領域31側へと移動し、視覚刺激41a又は視覚刺激41bのいずれかの提示位置に接触したことをタッチパネルセンサ5が検出すると(S103)と、タッチパネルセンサ5から制御装置10へと検出信号が送られる。
【0048】
制御装置10では、タッチパネルセンサ5からの検出信号が入力されると、実験動物2が視覚刺激41a、41bのいずれかを選択したものと判断し、図5(c)に示すように、ディスプレイ4の視覚刺激41a、41bの双方を消灯させる(S104)。
【0049】
そして、制御装置10では、実験動物2が予め学習させた正解の視覚刺激の提示位置に接触したか否かを判定する(S105)。図5(b)では、視覚刺激41bが正解の視覚刺激となる。制御装置10では、実験動物2が正解の視覚刺激41bの提示位置に接触したか否かをビデオカメラ9によって取得した画像を用いて求めた画像上の実験動物2の移動軌跡と、視覚刺激41a、41bの提示位置及び提示期間に基づいて、実験動物2がタッチパネル5に接触して、視覚刺激41a、41bが消灯する際の実験動物2の位置を求めることにより判定する。制御装置10では、図4に示すように、各フレーム毎の輝度値を検出し、視覚刺激の提示期間を求めているので、視覚刺激41a、41bのいずれが正解の視覚刺激であるかを検出することができる。また、実験動物2がタッチパネル5に接触すると、視覚刺激41a、41bが消灯するので、その際の画像上の視覚刺激41a、41bの提示位置の輝度値は低い状態になる。従って、この際の画像上の実験動物2の位置が正解の視覚刺激41bの提示位置にいるか否かを検出することで、実験動物2が正解の視覚刺激41bに接触したか否かを画像から求めることができる。
【0050】
次に、制御装置10では、実験動物2が正解の視覚刺激41bである点灯光に接触したと判定すると(S105:YES)、動作信号に基づいてポンプ62を駆動させ、図5(c)に示すように、報酬である水をケージ内3の報酬供給領域32側に配置される供給口61へと送り出し、実験動物2に与える(S106)。一方、制御装置10では、実験動物2が不正解の視覚刺激41aである点滅光に接触したと判定すると(S105:NO)、ポンプ62を駆動させることなく、水を供給口61へと送り出さないようにする。
【0051】
その後、実験動物2が赤外線センサ7によって、供給口61に接近又は到達したことが検出されると(S107)、赤外線センサ7から制御装置10へと検出信号が送られる。制御装置10では、赤外線センサ7からの検出信号が入力されると、動作信号に基づいて駆動手段11を駆動させ、仕切り部材8を閉鎖動作させる(S108)。
【0052】
そして、制御装置10では、これらの処理工程が所定の試行回数に到達したか否かを判定する(S109)。ここでは制御装置10は、例えば、実験動物2が赤外線センサ7によって検出された回数をカウントするようにしておき、その回数が所定の試行回数に到達したか否かを判定するようにすれば良い。尚、所定の試行回数は、実験動物2の視機能を評価するために適切な回数に予め設定されるものであり、RAM等に記憶するようにしておけば良い。
【0053】
制御装置10では、所定の試行回数に到達していないと判定すると(S109:NO)、所定の試行回数に到達するまで、再びS101からの処理を繰り返し実行させる。一方、制御装置10は、所定の試行回数に到達したと判定すると(S109:YES)、S105の処理で判定された結果から実験動物2の平均正答率を算出する。これにより、実験動物2が異なる視覚刺激を正しく弁別できているか否かを判定することができ、視覚認知機能が正常か否かを評価することができる。また、視機能評価装置1では、各種の画像処理によって得られた情報から、実験動物2が視覚刺激を確認した後に、正解の視覚刺激に接触しているか否か等を確認することができ、より適切に視覚刺激を正しく弁別できているか否かを評価することができる。
【0054】
尚、本発明の実施の形態は上述の形態に限るものではなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 視機能評価装置
2 実験動物
3 ケージ
4 ディスプレイ(視覚刺激提示手段)
41a、41b 視覚刺激
5 タッチパネルセンサ(接触検出手段)
6 報酬供給手段
61 供給口
7 赤外線センサ(実験動物検出手段)
8 仕切り部材
9 ビデオカメラ(撮像手段)
10 制御装置(制御手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6