(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記付勢部は、前記タンク本体の周方向に沿って複数設けられるとともに、それぞれの前記付勢部は、一端にウェイト部材が設けられ、他端に前記摺動体が連結され、前記タンク本体の前記内周面側に接離する方向における前記摺動体の変位に応じて揺動するカウンタウェイトにより構成され、
前記駆動部は、前記カウンタウェイトの揺動に応じて、前記シール部材を前記タンク本体の前記内周面に接触させる
請求項1又は2に記載の貯留タンク。
前記駆動部は、前記カウンタウェイトの揺動に応じて前記摺動体における前記浮屋根の前記外縁部からの離間距離が閾値を超えたことを検知したときに、前記シール部材を前記タンク本体の前記内周面に接触させるスイッチを備える
請求項3に記載の貯留タンク。
前記駆動部は、前記摺動体における前記浮屋根の前記外縁部からの離間距離が閾値を超えた場合に、前記カウンタウェイトの揺動動作に連動して前記シール部材を前記タンク本体の前記内周面に接触させるシール部材駆動機構を備える
請求項3に記載の貯留タンク。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された構成においては、地震時等に、膨張させた浮屋根の外皮がタンク本体の内周面から離れてしまうほど浮屋根が変位した場合、浮屋根の外周部とタンク本体の内周面との間から流体が漏れ出てしまう。
これに対し、浮屋根が大きく変位した場合にも浮屋根の外周部とタンク本体の内周面との間に隙間が生じないよう、浮屋根の外周部をタンク本体の内周面に対して強く押し付けることが考えられる。しかし、これでは浮屋根の外周部とタンク本体の内周面との間の摩擦力が大きくなる。すると、タンク本体内の流体の変動に追従して浮屋根が変位しにくくなってしまう。
【0008】
これに対し、特許文献2に開示された構成においては、地震による揺動を検出したときに加圧用伸縮バッグが膨張することによって、浮屋根の外周部とタンク本体の内周面との間に隙間が生じるのを抑えることができる。また、通常時においては、加圧用伸縮バッグは縮んでいるので、浮屋根の外周部とタンク本体の内周面との間の摩擦力が過度に高まることもなく、浮屋根の変位を妨げるのを抑えることができる。
しかし、このような構成においては、シール材と浮屋根の外周部との間に、加圧用伸縮バッグを設ける必要がある。したがって、既設の貯留タンクに加圧用伸縮バッグを追設して特許文献2に開示されたような構成を実現しようとしても、シール材を浮屋根から取り外した後、シール材と浮屋根との間に加圧用伸縮バッグを取り付け、さらにシール材を再び取り付けなければならない。したがって、既設の貯留タンクに対し、シール材と浮屋根の外周部との間に加圧用伸縮バッグを追設するのは困難である。
【0009】
そこでなされた本発明の目的は、通常時には浮屋根の動作を妨げるのを抑えつつ、地震発生時等には浮屋根とタンク本体との隙間から流体が漏れるのを確実に抑え、しかも既存の貯留タンクに対して容易に追設することのできる貯留タンクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
この発明に係る貯留タンクは、上下方向に延びる有底筒状をなしたタンク本体と、前記タンク本体内に貯留された流体を上方から覆う浮屋根と、前記浮屋根の外縁部と前記タンク本体の内周面との間に配置され、前記タンク本体の前記内周面に対して上下方向に摺動可能とされた摺動体、及び前記摺動体を前記タンク本体の前記内周面側に向かって付勢する付勢部を有し、前記外縁部と前記内周面との間をシールする一次シール部と、前記一次シール部の下方に設けられて、前記タンク本体の前記内周面に接触することで前記外縁部と前記内周面との間をシールするシール部材、及び前記摺動体における前記浮屋根の前記外縁部からの離間距離が閾値を超えた場合にのみ前記シール部材を前記タンク本体の前記内周面に接触させる駆動部を備えた二次シール部と、を備える。
【0011】
このような構成によれば、貯留タンクは、一次シール部において、摺動体が付勢部材によってタンク本体の内周面側に向かって付勢されることで、浮屋根の外縁部とタンク本体の内周面との間がシールされ、タンク本体内に貯留された流体が漏れるのを防ぐ。また、浮屋根が流体の増減等によってタンク本体内で上下動するときには、摺動体がタンク本体の内周面に沿って摺動することで、シール状態を維持する。
また、地震時等にタンク本体内で、浮屋根の外縁部がタンク本体内の内周面に接離する方向に変位することがある。これにより、浮屋根の変位にともなって、付勢部材に付勢された摺動体は、浮屋根の外縁部からの離間距離が変動する。地震が強大であると、摺動体がタンク本体の内周面から離間してしまうことがある。そこで、摺動体の浮屋根の外縁部からの離間距離が、予め設定した閾値を超えた場合、駆動部により、シール部材をタンク本体の内周面に接触させる。これによって、二次シール部のシール部材によって、浮屋根の外縁部とタンク本体の内周面との間がシールされ、タンク本体内の流体が漏れるのを防ぐことができる。
この二次シール部は、摺動体における浮屋根の外縁部からの離間距離が閾値を超えた場合にのみシール部材をタンク本体の内周面に接触させる。したがって、強大な地震等が発生していない通常時においては、一次シール部のみによって浮屋根の外縁部とタンク本体の内周面との間がシールされる。これにより、通常時においては、浮屋根のタンク本体内での上下動が、二次シール部における摩擦力によって妨げられることが無い。
さらに、二次シール部は、一次シール部の下方に設けられているので、既存の貯留タンクに対して二次シール部を追設する場合であっても、一次シール部と浮屋根との間に二次シール部を設ける必要が無い。
【0012】
また、この発明に係る貯留タンクは、上記貯留タンクにおいて、前記シール部材が、前記タンク本体の周方向に沿って複数設けられ、前記駆動部は、前記タンク本体の周方向の少なくとも一部の部位で前記摺動体における前記浮屋根の前記外縁部からの離間距離が閾値を超えた場合に、前記閾値を超えた部位に設けられた前記シール部材を前記タンク本体の前記内周面に接触させるようにしてもよい。
このように構成することで、タンク本体の周方向の何れかの部位で、摺動体がタンク本体の内周面から離れそうになったときに、その部位でシール部材をタンク本体の内周面に接触させることで、浮屋根の外縁部とタンク本体の内周面との間が迅速にシールされる。
【0013】
また、この発明に係る貯留タンクは、上記貯留タンクにおいて、前記付勢部が、前記タンク本体の周方向に沿って複数設けられるとともに、それぞれの前記付勢部は、一端にウェイト部材が設けられ、他端に前記摺動体が連結され、前記タンク本体の前記内周面側に接離する方向における前記摺動体の変位に応じて揺動するカウンタウェイトにより構成され、前記駆動部は、前記カウンタウェイトの揺動に応じて、前記シール部材を前記タンク本体の前記内周面に接触させるようにしてもよい。
このような構成において、カウンタウェイトは、ウェイト部材の荷重によって摺動体をタンク本体の内周面側に向かって付勢する。地震発生時に摺動体がタンク本体内の内周面に接離する方向に摺動体が変位したときには、カウンタウェイトが連動して揺動する。駆動部においては、このカウンタウェイトの揺動に応じ、摺動体における浮屋根の外縁部からの離間距離が閾値を超えた場合に、シール部材をタンク本体の内周面に接触させることができる。
ここで、例えば浮屋根の変位を加速度計等で検出した場合には、タンクの周方向の、どの部位で摺動体がタンク本体の内周面から離れるかを特定するのは困難である。これに対し、上記構成のように周方向複数個所に設けたカウンタウェイトを用いることで、摺動体がタンク本体の内周面から離れそうになったときに、その部位のカウンタウェイトが揺動してシール部材をタンク本体の内周面に接触させるので、浮屋根の外縁部とタンク本体の内周面との間を確実にシールすることができる。
【0014】
また、この発明に係る貯留タンクは、上記貯留タンクにおいて、前記駆動部が、前記カウンタウェイトの揺動に応じて前記摺動体における前記浮屋根の前記外縁部からの離間距離が閾値を超えたことを検知したときに、前記シール部材を前記タンク本体の前記内周面に接触させるスイッチを備えるようにしてもよい。
このように構成することで、摺動体における浮屋根の外縁部からの離間距離が閾値を超えたことをスイッチで検知したときに、シール部材をタンク本体の内周面に確実に接触させることができる。
【0015】
また、この発明に係る貯留タンクは、上記貯留タンクにおいて、前記駆動部が、前記摺動体における前記浮屋根の前記外縁部からの離間距離が閾値を超えた場合に、前記カウンタウェイトの揺動動作に連動して前記シール部材を前記タンク本体の前記内周面に接触させるシール部材駆動機構を備えるようにしてもよい。
このように構成することで、摺動体における浮屋根の外縁部からの離間距離が閾値を超えた場合に、カウンタウェイトの揺動動作によって連動するシール部材駆動機構の機械的な動作によって、シール部材をタンク本体の内周面に確実に接触させることができる。
このような構成では、電気的な配線等を用いる必要が無いので、貯留タンクを防爆仕様とする必要が無く、低コスト化を図ることができる。
【0016】
また、この発明に係る貯留タンクは、上記貯留タンクにおいて、前記二次シール部は、前記浮屋根の前記外縁部に設けられ、可撓性を有するとともに中空に形成された前記シール部材としてのバッグと、前記バッグを膨張させて前記タンク本体の前記内周面に接触させるため、前記バッグ内に充填する充填体を収容したボンベと、前記ボンベから前記バッグへの前記充填体の供給を断続する開閉弁と、を備え、前記駆動部は、前記開閉弁を開くことで前記バッグに前記充填体を充填して膨張させ、前記タンク本体の前記内周面に接触させてもよい。
このように構成することで、摺動体における浮屋根の外縁部からの離間距離が閾値を超えた場合に、駆動部が開閉弁を開く。すると、ボンベからバッグに充填材が充填されてバッグが膨張し、タンク本体の内周面に接触する。これによって、バッグがシール部材として機能し、浮屋根の外縁部とタンク本体の内周面との間をシールすることができる。
【0017】
また、この発明に係る貯留タンクは、上記貯留タンクにおいて、前記二次シール部は、前記浮屋根の前記外縁部に設けられたホルダと、前記ホルダに、前記タンク本体の前記内周面に向かって移動可能に保持された前記シール部材としての弾性部材と、前記弾性部材を前記タンク本体の前記内周面に向かって付勢する付勢部材と、前記弾性部材の前記タンク本体の前記内周面側への移動を規制するストッパと、を備え、前記駆動部は、前記ストッパによる前記弾性部材の移動の規制を解除することで前記弾性部材を前記タンク本体の前記内周面に接触させてもよい。
このように構成することで、摺動体における浮屋根の外縁部からの離間距離が閾値を超えた場合に、駆動部は、ストッパによるシール部材の移動の規制を解除する。すると、付勢部材によって付勢されたシール部材が、タンク本体の内周面に向かって移動する。このシール部材がタンク本体の内周面に接触することで、浮屋根の外縁部とタンク本体の内周面との間をシールすることができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明に係る貯留タンクによれば、通常時には浮屋根の動作を妨げるのを抑えつつ、地震発生時等には浮屋根とタンク本体との隙間から流体が漏れるのを確実に抑え、しかも既存の貯留タンクに対して容易に追設することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明による貯留タンクを実施するための形態を説明する。しかし、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではない。
【0021】
(第1の実施形態)
図1は、この発明の第1の実施形態に係る貯留タンクの全体構成を示す立断面図である。
図1に示すように、貯留タンク10は、タンク本体11と、浮屋根20と、を備えている。
【0022】
タンク本体11は、例えば平面視円形で、地盤G上に設けられた底盤部13から上方に向かって延び、上方に開口した筒状壁14と、筒状壁14の上部を閉塞する屋根部15と、を備えている。このようにして、タンク本体11は、上下方向に延びる有底筒状をなしている。このタンク本体11内は、その内部に、各種のガス状態または液体状態の収容流体(流体)100が貯留される収容空間11Sを有している。
【0023】
タンク本体11の下部には、収容空間11S内に収容流体100を出し入れする配管16が接続されている。
また、屋根部15の下面には、浮屋根20を必要に応じて昇降させるためのリフト装置17が設けられている。
また、タンク本体11の上部には、収容空間11S内の換気を図る換気塔18と、収容流体100が所定圧力以上となったときにタンク本体11外に放散する防爆仕様用のガス放散管19と、が設けられている。
また、タンク本体11は、後述するシール液Lをタンク本体11の下部から一次シール部30(
図2参照)に循環させるシール液循環部(図示無し)を備えている。
【0024】
浮屋根20は、タンク本体11内に収容された収容流体100を上方から覆うよう、タンク本体11内に設けられる。浮屋根20は、その自重によってタンク本体11内の収容流体100に対して荷重を加えることで収容流体100を加圧する。また、この浮屋根20は、タンク本体11内における収容流体100の増減に追従して上下動する。
【0025】
図2は、浮屋根の外縁部とタンク本体の内周面との間に設けられたシール部の構成を示す断面図である。
図1、
図2に示すように、浮屋根20は、浮屋根本体21と、ウェイト部22と、シール部23と、を備えている。
浮屋根本体21は、上方に向かって膨出したドーム状をなしている。なお、浮屋根本体21の形状はドーム状に限定されず、平板状であってもよい。このような浮屋根本体21は、タンク本体11の筒状壁14の内径よりも所定寸法小さな外径で形成されている。
【0026】
図2に示すように、ウェイト部22は、平面視円環状で、浮屋根本体21の外縁部21sに一体に設けられている。このウェイト部22は、例えばコンクリート製で、浮屋根20によって収容流体100に所定の荷重を印加できるよう、その重量が設定されている。
【0027】
浮屋根本体21の外縁部21s上には、上方に向かって延びる支柱27が設けられている。この支柱27には、タンク本体11の筒状壁14の内周面14aに突き当たるガイドローラ28が設けられている。これにより、浮屋根20がタンク本体11内で上下動するときに、ガイドローラ28が筒状壁14の内周面14aに沿って回動することで、浮屋根20の上下動を円滑にガイドする。
【0028】
シール部23は、一次シール部30と、二次シール部50Aと、を備えている。
一次シール部30は、ウェイト部22の外周面に設けられた摺動体31と、浮屋根本体21の外縁部21sに対して径方向外方に位置する筒状壁14の内周面14aに向かって摺動体31を付勢する付勢部32と、シール液Lと、を備えている。
【0029】
摺動体31は、筒状壁14の内周面14aに対向して配置されて鉛直面内に位置するベース板33に支持されている。ベース板33は、浮屋根本体21の外縁部21sから径方向外方に向かって延びるステー35に、ロッド36を介して吊下されている。
【0030】
摺動体31は、例えばゴム系材料からなり、ベース板33から筒状壁14の内周面14aに向かって延び、その先端部が筒状壁14の内周面14aに摺動可能に設けられている。この実施形態において、摺動体31は、上下方向に間隔をあけて二個一対でベース板33に設けられている。
このような摺動体31、および摺動体31を支持するベース板33は、タンク本体11の周方向に沿って連続し、平面視すると円弧状(円環状)をなしている。
【0031】
また、ベース板33の下端部と、ウェイト部22の外周面22sとの間には、耐油性および可撓性を有したキャンバス地等からなる膜体37が設けられている。
上記摺動体31と膜体37とによって、浮屋根本体21の外縁部21sに設けられたウェイト部22とタンク本体11の筒状壁14の内周面14aとの間を閉塞している。
【0032】
付勢部32は、ベース板33に支持された摺動体31を筒状壁14の径方向に沿って内周面14aに接離する方向に移動可能とするリンク機構38と、リンク機構38を作動させるカウンタウェイト39と、を備える。
【0033】
リンク機構38は、ベース板33とウェイト部22の外周面22sとの間に設けられている。リンク機構38は、ウェイト部22の外周面22sに固定されたブラケット38aと、ブラケット38aにピン38bを介して筒状壁14の径方向を含む鉛直面内で回動自在に設けられたリンクプレート38cと、リンクプレート38cにピン38dを介して回動自在に連結されたリンクアーム38eと、を備えている。リンクアーム38eは、ベース板33に、ピン38fを介して回動自在に連結されている。
【0034】
カウンタウェイト39は、浮屋根本体21の外縁部21s上に設けられている。カウンタウェイト39は、ウェイト部22上に固定されたブラケット39aと、ブラケット39aにピン39bを介して筒状壁14の径方向を含む鉛直面内で回動自在に設けられたウェイトロッド39cと、ウェイトロッド39cにおいて筒状壁14の径方向内側の端部に設けられたウェイト部材39dと、を備えている。ウェイトロッド39cにおいて筒状壁14の径方向外側の端部とリンク機構38のリンクプレート38cは、連結ワイヤ39eを介して連結されている。
【0035】
このような付勢部32は、タンク本体11の筒状壁14の周方向に間隔をあけて複数組が設けられている。各付勢部32は、カウンタウェイト39のウェイト部材39dの荷重によって、連結ワイヤ39eを上方に引き上げる方向の力Fをリンクプレート38cに作用させる。これによって、リンクプレート38cは、リンクアーム38eを介し、ベース板33を筒状壁14の内周面14aに向かって押圧する。これによって、付勢部32は、ベース板33に支持された摺動体31の先端部がタンク本体11の筒状壁14の内周面14aに押圧され、摺動体31と筒状壁14の内周面14aとの間のシール性が確保されている。
【0036】
シール液Lは、摺動体31と膜体37とによって閉塞された、ウェイト部22と筒状壁14の内周面14aとの間の空間に貯留されている。シール液Lは、例えば油等からなる。このシール液Lにより、浮屋根本体21の外縁部21sとタンク本体11の筒状壁14の内周面14aとの間のシール性が確保されている。
【0037】
二次シール部50Aは、一次シール部30の下方に設けられている。二次シール部50Aは、ゴム等の可撓性を有した中空袋状のバッグ(シール部材)51Aと、バッグ51A内に注入する窒素等の不活性ガス等の充填体が充填されたボンベ52と、バッグ51Aとボンベ52とを接続する接続配管53と、接続配管53に設けられた開閉弁54Aと、開閉弁54Aを開閉動作させる駆動部55Aと、を備える。
【0038】
バッグ51Aは、一次シール部30のベース板33に、耐油性を有したキャンバス地等の可撓性を有した材料からなる吊り膜56を介して吊下されている。吊り膜56は、タンク本体11の筒状壁14の内周面14aに沿った周方向に連続する帯状に形成されている。
この実施形態において、バッグ51Aは、タンク本体11の筒状壁14の周方向に沿って連続する平面視円環状のチューブ状をなしている。
【0039】
ボンベ52は、ウェイト部22の下面にブラケット57を介して固定されている。
開閉弁54Aは、この実施形態において、電気信号によって開閉動作する電磁弁である。
【0040】
駆動部55Aは、ウェイト部22上に設けられたスイッチ58と、スイッチ58と開閉弁54Aとを電気的に接続する配線59と、を備えている。
スイッチ58は、一次シール部30のカウンタウェイト39のウェイト部材39dの下方に配置されている。カウンタウェイト39のウェイトロッド39cが揺動し、ウェイト部材39dが下降してスイッチ58に接触すると、スイッチ58は、ON状態とOFF状態との間で切り替わる。スイッチ58は、ON状態とOFF状態との間で切り替わると、所定の電気信号を出力する。スイッチ58から出力された電気信号は、配線59を介して開閉弁54Aに伝達される。開閉弁54Aは、スイッチ58から伝達された電気信号に応じ、開状態と閉状態との間で切り替わる。
【0041】
上記のボンベ52、接続配管53、開閉弁54A、および駆動部55Aは、タンク本体11の筒状壁14の周方向に沿って間隔をあけて複数組が設けられている。
【0042】
このような二次シール部50Aにおいて、バッグ51Aは、通常時は充填体が充填されておらず萎んでおり、タンク本体11の筒状壁14の内周面14aとは非接触状態とされている。
【0043】
図3は、地震等により、浮屋根本体がタンク本体内で径方向に変位したときのシール部の状態を示す断面図である。
図4は、地震等により、浮屋根本体がタンク本体内で径方向に変位し、一次シール部の摺動体がタンク本体の内周面から離れたときの二次シール部の状態を示す断面図である。
図3に示すように、地震等により、浮屋根本体21がタンク本体11内で径方向に変位すると、タンク本体11の筒状壁14の内周面14aに対して突き当たった摺動体31が、タンク本体11の筒状壁14の内周面14aに対して接離する方向に相対変位する。浮屋根本体21の外縁部21sが筒状壁14の内周面14aから離間する方向に変位すると、付勢部32のカウンタウェイト39のウェイト部材39dによって付勢された摺動体31は、筒状壁14の内周面14a側に変位する。
【0044】
このとき、地震の震度が強大である場合、
図4に示すように、摺動体31が、リンク機構38による移動ストロークの上限に到達し、筒状壁14の内周面14aから離間することがある。
弁駆動部55Aは、摺動体31が、リンク機構38による移動ストロークの限界に到達して筒状壁14の内周面14aから離間するに先立ち、
図3に示すように、浮屋根本体21の外縁部21sからの摺動体31の離間距離が予め設定した閾値Dを超えると、カウンタウェイト39のウェイトロッド39cがスイッチ58に接触するようになっている。
ウェイトロッド39cがスイッチ58に接触し、スイッチ58が切り替わると、開閉弁54Aが開いてボンベ52から接続配管53を介して充填体が充填され、バッグ51Aが膨張する。
ここで、この実施形態では、駆動部55Aは、タンク本体11の筒状壁14の周方向に沿って間隔をあけて複数組が設けられているが、これら複数組の駆動部55Aのうちの少なくとも一つにおいてスイッチ58が切り替わったときには、全ての開閉弁54Aが開いてバッグ51Aの全周を膨張させるのが好ましい。
【0045】
このようにしてバッグ51Aが膨張すると、
図4に示すように、摺動体31が筒状壁14の内周面14aから離間しても、膨張したバッグ51Aがタンク本体11の筒状壁14の内周面14aに密着する。このとき、バッグ51Aとベース板33との間は吊り膜56によって閉塞される。また、ベース板33と浮屋根本体21の外縁部21sのウェイト部22との間は、一次シール部30の膜体37によって閉塞状態が維持されている。これにより、シール液Lは、バッグ51Aと吊り膜56と膜体37との上方に留まる。
【0046】
このようにして、地震等により浮屋根本体21が変位し、一次シール部30の摺動体31がタンク本体11の筒状壁14の内周面14aから離れても、二次シール部50Aのバッグ51Aが膨張することで、浮屋根本体21の外縁部21sとタンク本体11の筒状壁14の内周面14aとの間の閉塞状態が維持される。
【0047】
また、地震等がおさまった後には、バッグ51Aから充填体を抜いてバッグ51Aを窄ませることで、二次シール部50Aは再利用することができる。
【0048】
上述したような貯留タンク10によれば、貯留タンク10は、一次シール部30において、摺動体31が付勢部32によってタンク本体11の内周面14a側に向かって付勢されることで、浮屋根20の外縁部21sとタンク本体11の内周面14aとの間がシールされ、タンク本体11内に貯留された収容流体100が漏れるのを防ぐ。また、浮屋根20が収容流体100の増減等によってタンク本体11内で上下動したときには、摺動体31がタンク本体11の内周面14aに沿って摺動することで、シール状態を維持する。
また、地震が強大であると、摺動体31がタンク本体11の内周面14aから離間してしまうことがある。そこで、摺動体31の浮屋根20の外縁部21sからの離間距離が、予め設定した閾値Dを超えた場合、バッグ51Aを駆動部55Aによってタンク本体11の内周面14aに接触させる。これによって、二次シール部50Aのバッグ51Aによって、浮屋根20の外縁部21sとタンク本体11の内周面14aとの間がシールされ、タンク本体11内の収容流体100が漏れるのを防ぐことができる。
【0049】
この二次シール部50Aは、摺動体31における浮屋根20の外縁部21sからの離間距離が閾値Dを超えた場合にのみバッグ51Aをタンク本体11の内周面14aに接触させる。したがって、強大な地震等が発生していない通常時においては、一次シール部30のみによって、浮屋根20の外縁部21sとタンク本体11の内周面14aとの間がシールされる。これにより、通常時においては、浮屋根20のタンク本体11内での上下動が、二次シール部50Aにおける摩擦力によって妨げられることが無い。
【0050】
さらに、二次シール部50Aは、一次シール部30の下方に設けられているので、既存の貯留タンク10に対して二次シール部50Aを追設する場合であっても、一次シール部30と浮屋根20との間に二次シール部50Aを設ける必要が無い。
【0051】
したがって、通常時には浮屋根20の動作を妨げるのを抑えつつ、地震発生時等には浮屋根20とタンク本体11との隙間から収容流体100が漏れるのを確実に抑え、しかも既存の貯留タンク10に対して容易に追設することが可能となる。
【0052】
また、一次シール部30の摺動体31がタンク本体11の内周面14aに突き当たった状態のときに、浮屋根20の外縁部21sからの摺動体31の離間距離が閾値Dを超えるようにすることで、一次シール部30によるシール状態から二次シール部50Aによるシール状態へと、途切れなく移行させることができる。したがって、強大な地震等が発生した場合であっても、浮屋根20の外縁部21sとタンク本体11の内周面14aとの間が常にシールされ、タンク本体11内の収容流体100が漏れるのを確実に防ぐことができる。
【0053】
また、付勢部32が、タンク本体11の内周面14a側に接離する方向における摺動体31の変位に応じて揺動するカウンタウェイト39により構成され、駆動部55Aは、カウンタウェイト39の揺動に応じて、バッグ51Aをタンク本体11の内周面14aに接触させる。
このような構成において、地震発生時に摺動体31がタンク本体11内の内周面14aに接離する方向に摺動体31が変位したときには、カウンタウェイト39が連動して揺動する。駆動部55Aにおいては、このカウンタウェイト39の揺動に応じ、摺動体31における浮屋根20の外縁部21sからの離間距離が閾値Dを超えた場合に、バッグ51Aをタンク本体11の内周面14aに接触させることができる。
ここで、例えば浮屋根20の変位を加速度計等で検出した場合には、タンクの周方向の、どの部位で摺動体31がタンク本体11の内周面14aから離れるかを特定するのは困難である。これに対し、周方向複数個所に設けたカウンタウェイト39を用いることで、摺動体31がタンク本体11の内周面14aから離れそうになったときに、その部位のカウンタウェイト39が揺動してバッグ51Aをタンク本体11の内周面14aに接触させ、浮屋根20の外縁部21sとタンク本体11の内周面14aとの間をシールすることができる。
【0054】
また、駆動部55Aが、カウンタウェイト39の揺動に応じて摺動体31における浮屋根20の外縁部21sからの離間距離が閾値Dを超えたことを検知したときに、バッグ51Aをタンク本体11の内周面14aに接触させるスイッチ58を備える。
このように構成することで、摺動体31における浮屋根20の外縁部21sからの離間距離が閾値Dを超えたことをスイッチ58で検知したときに、バッグ51Aをタンク本体11の内周面14aに確実に接触させることができる。
【0055】
また、二次シール部50Aが、浮屋根20の外縁部21sに設けられ、可撓性を有した中空のバッグ51Aと、バッグ51Aを膨張させてタンク本体11の内周面14aに接触させるため、バッグ51A内に充填する充填体を収容したボンベ52と、ボンベ52からバッグ51Aへの充填体の供給を断続する開閉弁54Aと、を備え、駆動部55Aは、開閉弁54Aを開くことでバッグ51Aをタンク本体11の内周面14aに接触させる。
このように構成することで、摺動体31における浮屋根20の外縁部21sからの離間距離が閾値Dを超えた場合に、駆動部55Aが開閉弁54Aを開く。すると、ボンベ52からバッグ51Aに充填材が充填されてバッグ51Aが膨張し、タンク本体11の内周面14aに接触する。これによって、バッグ51Aがバッグ51Aとして機能し、浮屋根20の外縁部21sとタンク本体11の内周面14aとの間をシールすることができる。
【0056】
(第2の実施形態)
次に、本発明にかかる貯留タンクの第2の実施形態について説明する。なお、以下に説明する第2の実施形態においては、上記第1の実施形態と共通する構成については図中に同符号を付してその説明を省略する。
図5は、第2の実施形態における貯留タンクにおいて、二次シール部を構成するバッグの構成を示す平面図である。
図5に示すように、この実施形態における貯留タンク10は、タンク本体11の筒状壁14の内周面14aと浮屋根本体21の外縁部21sとの間に、シール部23を備えている。この実施形態において、シール部23は、上記第1の実施形態と同様の一次シール部30(
図2参照)と、以下に示すような二次シール部50Bと、を備えている。
【0057】
二次シール部50Bは、ゴム等の可撓性を有した袋状のバッグ(シール部材)51Bと、バッグ51B内に注入する窒素等の不活性ガス等の充填体が充填されたボンベ52と、バッグ51Aとボンベ52とを接続する接続配管53と、接続配管53に設けられた開閉弁54A(
図2参照)と、開閉弁54Aを開閉動作させる駆動部55A(
図2参照)と、を備える。
【0058】
バッグ51Bは、タンク本体11の筒状壁14の周方向に沿って、複数個が配列されることで、全体として平面視円環状をなしている。各バッグ51Bは、それぞれ、ボンベ52、接続配管53、開閉弁54A(
図2参照)、および駆動部55A(
図2参照)を備えている。
【0059】
このような構成においては、複数組が設けられた駆動部55Aのいずれか一つでウェイトロッド39cがスイッチ58に接触し、スイッチ58が切り替わると、スイッチ58に接続された開閉弁54Aのみが開く。これによって、周方向に沿って複数組が設けられたバッグ51Bのうち、摺動体31が筒状壁14の内周面14aから離間した部位のバッグ51Bのみに、ボンベ52から接続配管53を介して充填体が充填される。
【0060】
このようにしてバッグ51Bが膨張することで、
図4に示すように、摺動体31が筒状壁14の内周面14aから離間した部位において、バッグ51Bがタンク本体11の筒状壁14の内周面14aに密着する。
これによって、シール液Lは、バッグ51Bと吊り膜56と膜体37との上方に留まる。ので、浮屋根本体21の外縁部21sとタンク本体11の筒状壁14の内周面14aとの間の閉塞状態が維持される。
【0061】
上述したような貯留タンク10によれば、バッグ51Bが、タンク本体11の周方向に沿って複数設けられ、駆動部55Aは、タンク本体11の周方向の少なくとも一部の部位で摺動体31における浮屋根20の外縁部21sからの離間距離が閾値Dを超えた場合に、閾値Dを超えた部位に設けられたバッグ51Bをタンク本体11の内周面14aに接触させる。
このように構成することで、タンク本体11の周方向の何れかの部位で、摺動体31がタンク本体11の内周面14aから離れそうになったときに、その部位でバッグ51Bをタンク本体11の内周面14aに接触させることで、浮屋根20の外縁部21sとタンク本体11の内周面14aとの間が迅速にシールされる。
【0062】
また、上記第1の実施形態と同様、摺動体31の浮屋根20の外縁部21sからの離間距離が予め設定した閾値Dを超えた場合、二次シール部50Bのバッグ51Bによって、浮屋根20の外縁部21sとタンク本体11の内周面14aとの間がシールされ、タンク本体11内の収容流体100が漏れるのを防ぐことができる。
この二次シール部50Bは、摺動体31における浮屋根20の外縁部21sからの離間距離が閾値Dを超えた場合にのみバッグ51Bをタンク本体11の内周面14aに接触させる。したがって、通常時においては、浮屋根20のタンク本体11内での上下動が、二次シール部50Bにおける摩擦力によって妨げられることが無い。
さらに、二次シール部50Bは、一次シール部30の下方に設けられているので、既存の貯留タンク10に対して二次シール部50Bを追設する場合であっても、一次シール部30と浮屋根20との間に二次シール部50Bを設ける必要が無い。
その結果、通常時には浮屋根20の動作を妨げるのを抑えつつ、地震発生時等には浮屋根20とタンク本体11との隙間から収容流体100が漏れるのを確実に抑え、しかも既存の貯留タンク10に対して容易に追設することが可能となる。
【0063】
なお、この実施形態では、バッグ51Bを、タンク本体11の筒状壁14の周方向に沿って複数個配列することで、全体として平面視円環状をなしているようにしたが、これに限らない。上記第1実施形態で示したバッグ51Aのように、タンク本体11の筒状壁14の周方向に沿って連続する平面視円環状のチューブから構成し、このチューブを、周方向に間隔をあけて設けた複数の隔壁によって周方向に複数に区切るようにしてもよい。これによって、上記第2実施形態で示したような、周方向に複数のバッグ51Bを備えたのと実質的に同様の構成を実現することができる。
【0064】
また、上記第2の実施形態では、複数組が設けられた駆動部55Aのいずれか一つでウェイトロッド39cがスイッチ58に接触したときに、全ての開閉弁54Aを開き、全てのバッグ51Bを膨張させるようにしてもよい。
【0065】
(第3の実施形態)
次に、本発明にかかる貯留タンクの第3の実施形態について説明する。なお、以下に説明する第3の実施形態においては、上記第1、第2の実施形態と共通する構成については図中に同符号を付してその説明を省略する。
【0066】
図6は、第3の実施形態における貯留タンクにおいて、シール部の構成を示す断面図である。
図7は、第3の実施形態におけるシール部において、地震等により、浮屋根本体がタンク本体内で径方向に変位し、一次シール部の摺動体がタンク本体の内周面から離れたときの二次シール部の状態を示す断面図である。
図6に示すように、この実施形態における貯留タンク10は、タンク本体11の筒状壁14の内周面14aと浮屋根本体21の外縁部21sとの間に、シール部23を備えている。この実施形態において、シール部23は、上記第1の実施形態と同様の一次シール部30(
図2参照)と、以下に示すような二次シール部50Cと、を備えている。
【0067】
二次シール部50Cは、ゴム等の可撓性を有した袋状のバッグ51Aと、バッグ51A内に注入する窒素等の不活性ガス等の充填体が充填されたボンベ52と、バッグ51Aとボンベ52とを接続する接続配管53と、接続配管53に設けられた開閉弁54C(
図2参照)と、開閉弁54Cを開閉動作させる駆動部(シール部材駆動機構)55Cと、を備える。
【0068】
この実施形態において、開閉弁54Cは、機械的な操作によって開閉状態が切り替わる機械式弁とされている。
【0069】
駆動部55Cは、カウンタウェイト39と、駆動ケーブル60と、を備えている。
駆動ケーブル60は、一端がカウンタウェイト39のウェイトロッド39cに接続され、他端が開閉弁54Cに接続されている。
【0070】
ボンベ52、接続配管53、開閉弁54C、および駆動部55Cは、タンク本体11の筒状壁14の周方向に沿って間隔をあけて複数組が設けられている。
【0071】
このような二次シール部50Cにおいて、バッグ51Aは、通常時は充填体が充填されておらず萎んでおり、タンク本体11の筒状壁14の内周面14aとは非接触状態とされている。
【0072】
図7に示すように、地震等により、浮屋根本体21がタンク本体11内で径方向に変位し、浮屋根本体21の外縁部21sが筒状壁14の内周面14aから離間する方向に変位すると、付勢部32のカウンタウェイト39のウェイト部材39dによって付勢された摺動体31は、筒状壁14の内周面14a側に変位する。
駆動部55Cは、浮屋根本体21の外縁部21sからの摺動体31の離間距離が予め設定した閾値Dを超えると、カウンタウェイト39のウェイトロッド39cが駆動ケーブル60を介して開閉弁54Cを操作し、開閉弁54Cが閉状態から開状態に切り替わる。これにより、ボンベ52から接続配管53を介して充填体が充填され、バッグ51Aが膨張する。
【0073】
膨張したバッグ51Aは、タンク本体11の筒状壁14の内周面14aに密着する。このとき、バッグ51Aとベース板33との間は吊り膜56によって閉塞される。また、ベース板33と浮屋根本体21の外縁部21sのウェイト部22との間は、一次シール部30の膜体37によって閉塞状態が維持されている。これにより、シール液Lは、バッグ51Aと吊り膜56と膜体37との上方に留まる。
【0074】
このようにして、地震等により浮屋根本体21が変位し、一次シール部30の摺動体31がタンク本体11の筒状壁14の内周面14aから離れても、浮屋根本体21の外縁部21sとタンク本体11の筒状壁14の内周面14aとの間の閉塞状態が維持される。
【0075】
上述したような貯留タンク10によれば、駆動部55Cが、摺動体31における浮屋根20の外縁部21sからの離間距離が閾値Dを超えた場合に、カウンタウェイト39の揺動動作によって、バッグ51Aをタンク本体11の内周面14aに接触させる。このように構成することで、摺動体31における浮屋根20の外縁部21sからの離間距離が閾値Dを超えた場合に、カウンタウェイト39の揺動動作による駆動部55Cの機械的な動作によって、バッグ51Aをタンク本体11の内周面14aに確実に接触させることができる。
このような構成では、電気的な配線等を用いる必要が無いので、貯留タンク10を防爆仕様とする必要が無く、低コスト化を図ることができる。
【0076】
また、上記第1の実施形態と同様、摺動体31の浮屋根20の外縁部21sからの離間距離が、予め設定した閾値Dを超えた場合、二次シール部50Cのバッグ51Aによって、浮屋根20の外縁部21sとタンク本体11の内周面14aとの間がシールされ、タンク本体11内の収容流体100が漏れるのを防ぐことができる。
この二次シール部50Cは、摺動体31における浮屋根20の外縁部21sからの離間距離が閾値Dを超えた場合にのみバッグ51Aをタンク本体11の内周面14aに接触させる。したがって、通常時においては、浮屋根20のタンク本体11内での上下動が、二次シール部50Cにおける摩擦力によって妨げられることが無い。
さらに、二次シール部50Cは、一次シール部30の下方に設けられているので、既存の貯留タンク10に対して二次シール部50Cを追設する場合であっても、一次シール部30と浮屋根20との間に二次シール部50Cを設ける必要が無い。
その結果、通常時には浮屋根20の動作を妨げるのを抑えつつ、地震発生時等には浮屋根20とタンク本体11との隙間から収容流体100が漏れるのを確実に抑え、しかも既存の貯留タンク10に対して容易に追設することが可能となる。
【0077】
(第3の実施形態の変形例)
上記第3の実施形態においても、バッグ51Aに代えて、上記第2実施形態で示したように、タンク本体11の筒状壁14の周方向に沿って、複数個のバッグ51B(
図4参照)が配列されることで、全体として平面視円環状をなした構成を採用することが可能である。
【0078】
(第4の実施形態)
次に、本発明にかかる貯留タンクの第4の実施形態について説明する。なお、以下に説明する第4の実施形態においては、上記第1〜第3の実施形態と共通する構成については図中に同符号を付してその説明を省略する。
【0079】
図8は、第4の実施形態における貯留タンクにおいて、シール部の構成を示す断面図である。
図9は、第4の実施形態におけるシール部において、一次シール部の摺動体がタンク本体の内周面から離れたときの二次シール部の状態を示す断面図である。
図8に示すように、この実施形態における貯留タンク10は、タンク本体11の筒状壁14の内周面14aと浮屋根本体21の外縁部21sとの間に、シール部23を備えている。この実施形態において、シール部23は、上記第1の実施形態と同様の一次シール部30と、以下に示すような二次シール部50Dと、を備えている。
【0080】
二次シール部50Dは、一次シール部30の下方に設けられている。二次シール部50Dは、ウェイト部22の下面に支持部材71を介して設けられたホルダ72と、ホルダ72内に設けられた弾性部材73(シール部材)と、付勢部材74と、ストッパ機構(ストッパ)75Dと、ストッパ機構75Dを操作する駆動部76Dと、を備えている。
【0081】
支持部材71は、筒状壁14の周方向に沿って連続し、平面視円環状に設けられている。
また、ホルダ72は、上部ホルダ部材72aと下部ホルダ部材72bとが、上下に間隔をあけて平行に配置されている。上部ホルダ部材72a、および下部ホルダ部材72bは、支持部材71から筒状壁14の径方向外方に向かって延びるとともに、筒状壁14の周方向に沿って連続し、平面視円環状に設けられている。
【0082】
弾性部材73は、ゴム系材料、シリコーン系材料等の弾性を有した材料で形成されている。弾性部材73は、筒状壁14の周方向に沿って一定長連続する平面視円弧状をなしている。このような弾性部材73が、筒状壁14の周方向に複数設けられることで、全体として平面視円環状をなしている。
弾性部材73は、ホルダ72の上部ホルダ部材72aと下部ホルダ部材72bとの間に設けられ、筒状壁14の内周面14aに接離する方向に移動自在に保持されている。
【0083】
付勢部材74は、例えばコイルスプリング等からなり、弾性部材73を、筒状壁14の内周面14aに向かって付勢する。この付勢部材74は、一つの弾性部材73に対し、一つ以上設けられている。
【0084】
ストッパ機構75Dは、弾性部材73を、ホルダ72内に収容された状態に拘束する。ストッパ機構75Dは、駆動部76Dによって電気的に操作されることで、弾性部材73の拘束を解除する。
【0085】
駆動部76Dは、駆動部55A(
図2参照)と同様、ウェイト部22上に設けられたスイッチ58と、スイッチ58とストッパ機構75Dとを電気的に接続する配線59と、を備えている。
スイッチ58は、一次シール部30のカウンタウェイト39のウェイト部材39dの下方に配置されている。カウンタウェイト39のウェイトロッド39cが揺動し、ウェイト部材39dが下降してスイッチ58に接触すると、スイッチ58は、ON状態とOFF状態との間で切り替わる。スイッチ58は、ON状態とOFF状態との間で切り替わると、所定の電気信号を出力する。スイッチ58から出力された電気信号は、配線59を介してストッパ機構75Dに伝達される。ストッパ機構75Dは、スイッチ58から伝達された電気信号に応じ、弾性部材73の拘束を解除する。
【0086】
このような二次シール部50Dにおいて、通常時、弾性部材73は、ホルダ72内に収容され、タンク本体11の筒状壁14の内周面14aとは非接触状態とされている。
【0087】
地震等により、浮屋根本体21がタンク本体11内で径方向に変位すると、タンク本体11の筒状壁14の内周面14aに対して突き当たった摺動体31が、タンク本体11の筒状壁14の内周面14aに対して接離する方向に相対変位する。地震の震度が巨大である場合、
図9に示すように、摺動体31が、リンク機構38による移動ストロークの限界に到達し、筒状壁14の内周面14aから離間することがある。
【0088】
駆動部76Dは、摺動体31が、リンク機構38による移動ストロークの限界に到達して筒状壁14の内周面14aから離間するに先立ち、浮屋根本体21の外縁部21sからの摺動体31の離間距離が予め設定した閾値Dを超えると、カウンタウェイト39のウェイトロッド39cがスイッチ58に接触するようになっている。
ウェイトロッド39cがスイッチ58に接触し、スイッチ58が切り替わると、ストッパ機構75Dによる弾性部材73の拘束が解除され、付勢部材74の付勢力によって、弾性部材73がホルダ72から筒状壁14の内周面14aに接近する方向に突出する。
ここで、駆動部76Dは、タンク本体11の筒状壁14の周方向に沿って間隔をあけて複数組が設けられている。これら複数組の駆動部76Dのうちの少なくとも一つにおいてスイッチ58が切り替わったときには、全てのストッパ機構75Dで弾性部材73の拘束を解除してもよいし、スイッチ58が切り替わった部位の弾性部材73のみの拘束を解除してもよい。
【0089】
弾性部材73が突出すると、摺動体31が筒状壁14の内周面14aから離間しても、弾性部材73がタンク本体11の筒状壁14の内周面14aに密着する。このとき、弾性部材73とウェイト部22との間は、ホルダ72および支持部材71によって閉塞されている。これにより、シール液Lは、弾性部材73、ホルダ72、および支持部材71の上方に留まる。
【0090】
このようにして、地震等により浮屋根本体21が変位し、一次シール部30の摺動体31がタンク本体11の筒状壁14の内周面14aから離れても、二次シール部50Dの弾性部材73が突出することで、浮屋根本体21の外縁部21sとタンク本体11の筒状壁14の内周面14aとの間の閉塞状態が維持される。
【0091】
また、地震等がおさまった後には、弾性部材73をホルダ72内に戻し、ストッパ機構75Dで弾性部材73の移動を拘束することで、二次シール部50Dを再利用することができる。
【0092】
上述したような貯留タンク10によれば、二次シール部50Dは、浮屋根20の外縁部21sに設けられたホルダ72と、ホルダ72に、タンク本体11の内周面14aに向かって移動可能に保持された弾性部材73と、弾性部材73をタンク本体11の内周面14aに向かって付勢する付勢部材74と、弾性部材73のタンク本体11の内周面14a側への移動を規制するストッパ機構75Dと、を備え、駆動部76Dは、ストッパ機構75Dによる弾性部材73の移動の規制を解除することで弾性部材73をタンク本体11の内周面14aに接触させる。
このように構成することで、摺動体31における浮屋根20の外縁部21sからの離間距離が閾値Dを超えた場合に、駆動部76Dは、ストッパ機構75Dによる弾性部材73の移動の規制を解除する。すると、付勢部材74によって付勢された弾性部材73が、タンク本体11の内周面14aに向かって移動する。この弾性部材73がタンク本体11の内周面14aに接触することで、浮屋根20の外縁部21sとタンク本体11の内周面14aとの間をシールすることができる。
【0093】
また、上記第1の実施形態と同様、摺動体31の浮屋根20の外縁部21sからの離間距離が、予め設定した閾値Dを超えた場合、二次シール部50Dの弾性部材73によって、浮屋根20の外縁部21sとタンク本体11の内周面14aとの間がシールされ、タンク本体11内の収容流体100が漏れるのを防ぐことができる。
この二次シール部50Dは、摺動体31における浮屋根20の外縁部21sからの離間距離が閾値Dを超えた場合にのみ弾性部材73をタンク本体11の内周面14aに接触させる。したがって、通常時においては、浮屋根20のタンク本体11内での上下動が、二次シール部50Dにおける摩擦力によって妨げられることが無い。
さらに、二次シール部50Dは、一次シール部30の下方に設けられているので、既存の貯留タンク10に対して二次シール部50Dを追設する場合であっても、一次シール部30と浮屋根20との間に二次シール部50Dを設ける必要が無い。
その結果、通常時には浮屋根20の動作を妨げるのを抑えつつ、地震発生時等には浮屋根20とタンク本体11との隙間から収容流体100が漏れるのを確実に抑え、しかも既存の貯留タンク10に対して容易に追設することが可能となる。
【0094】
(第5の実施形態)
次に、本発明にかかる貯留タンクの第5の実施形態について説明する。なお、以下に説明する第5の実施形態においては、上記第1〜第4の実施形態と共通する構成については図中に同符号を付してその説明を省略する。
【0095】
図10は、第5の実施形態における貯留タンクにおいて、シール部の構成を示す断面図である。
図11は、第5の実施形態におけるシール部において、一次シール部の摺動体がタンク本体の内周面から離れたときの二次シール部の状態を示す断面図である。
図10に示すように、この実施形態における貯留タンク10は、タンク本体11の筒状壁14の内周面14aと浮屋根本体21の外縁部21sとの間に、シール部23を備えている。この実施形態において、シール部23は、上記第1の実施形態と同様の一次シール部30(
図2参照)と、以下に示すような二次シール部50Eと、を備えている。
【0096】
二次シール部50Eは、ウェイト部22の下面に支持部材71を介して設けられたホルダ72と、ホルダ72内に設けられた弾性部材73(シール部材)と、付勢部材74と、ストッパ機構(ストッパ)75Eと、ストッパ機構75Eを操作する駆動部76Eと、を備えている。
【0097】
支持部材71は、筒状壁14の周方向に沿って連続し、平面視円環状に設けられている。
また、ホルダ72は、上部ホルダ部材72aと下部ホルダ部材72bとが、上下に間隔をあけて平行に配置されている。上部ホルダ部材72a、および下部ホルダ部材72bは、支持部材71から筒状壁14の径方向外方に向かって延びるとともに、筒状壁14の周方向に沿って連続し、平面視円環状に設けられている。
【0098】
弾性部材73は、ゴム系材料、シリコーン系材料等の弾性を有した材料で形成されている。弾性部材73は、筒状壁14の周方向に沿って一定長連続する平面視円弧状をなしている。このような弾性部材73が、筒状壁14の周方向に複数設けられることで、全体として平面視円環状をなしている。
弾性部材73は、ホルダ72の上部ホルダ部材72aと下部ホルダ部材72bとの間に設けられ、筒状壁14の内周面14aに接離する方向に移動自在に保持されている。
【0099】
付勢部材74は、例えばコイルスプリング等からなり、弾性部材73を、筒状壁14の内周面14aに向かって付勢する。この付勢部材74は、一つの弾性部材73に対し、一つ以上設けられている。
【0100】
ストッパ機構75Eは、弾性部材73を、ホルダ72内に収容された状態に拘束する。ストッパ機構75Eは、駆動部76Eによって機械的に操作されることで、弾性部材73の拘束を解除する。
【0101】
駆動部76Eは、カウンタウェイト39と、駆動ケーブル60と、を備えている。
駆動ケーブル60は、一端がカウンタウェイト39のウェイトロッド39cに接続され、他端がストッパ機構75Eに接続されている。
【0102】
このような二次シール部50Eにおいて、通常時、弾性部材73は、ホルダ72内に収容され、タンク本体11の筒状壁14の内周面14aとは非接触状態とされている。
【0103】
地震等により、浮屋根本体21がタンク本体11内で径方向に変位すると、タンク本体11の筒状壁14の内周面14aに対して突き当たった摺動体31が、タンク本体11の筒状壁14の内周面14aに対して接離する方向に相対変位する。地震の震度が巨大である場合、
図11に示すように、摺動体31が、リンク機構38による移動ストロークの限界に到達し、筒状壁14の内周面14aから離間することがある。
【0104】
駆動部76Eは、摺動体31が、リンク機構38による移動ストロークの限界に到達して筒状壁14の内周面14aから離間するに先立ち、浮屋根本体21の外縁部21sからの摺動体31の離間距離が予め設定した閾値Dを超えると、カウンタウェイト39のウェイトロッド39cが駆動ケーブル60を介してストッパ機構75Eを操作し、ストッパ機構75Eによる弾性部材73の拘束が解除される。すると、付勢部材74の付勢力によって、弾性部材73がホルダ72から筒状壁14の内周面14aに接近する方向に突出する。
ここで、駆動部76Eは、タンク本体11の筒状壁14の周方向に沿って間隔をあけて複数組が設けられている。これら複数組の駆動部76Eのうちの少なくとも一つにおいてスイッチ58が切り替わったときには、全てのストッパ機構75Eで弾性部材73の拘束を解除してもよいし、スイッチ58が切り替わった部位の弾性部材73のみの拘束を解除してもよい。
【0105】
このようにして弾性部材73が突出すると、摺動体31が筒状壁14の内周面14aから離間しても、弾性部材73がタンク本体11の筒状壁14の内周面14aに密着する。このとき、弾性部材73とウェイト部22との間は、ホルダ72および支持部材71によって閉塞されている。これにより、シール液Lは、弾性部材73、ホルダ72、および支持部材71の上方に留まる。
【0106】
このようにして、地震等により浮屋根本体21が変位し、一次シール部30の摺動体31がタンク本体11の筒状壁14の内周面14aから離れても、二次シール部50Eの弾性部材73が突出することで、浮屋根本体21の外縁部21sとタンク本体11の筒状壁14の内周面14aとの間の閉塞状態が維持される。
【0107】
上述したような貯留タンク10によれば、駆動部76Eが、摺動体31における浮屋根20の外縁部21sからの離間距離が閾値Dを超えた場合に、カウンタウェイト39の揺動動作によって、弾性部材73をタンク本体11の内周面14aに接触させる。
このように構成することで、摺動体31における浮屋根20の外縁部21sからの離間距離が閾値Dを超えた場合に、カウンタウェイト39の揺動動作による駆動部76Eの機械的な動作によって、弾性部材73をタンク本体11の内周面14aに確実に接触させることができる。
このような構成では、電気的な配線等を用いる必要が無いので、貯留タンク10を防爆仕様とする必要が無く、低コスト化を図ることができる。
【0108】
また、上記第1の実施形態と同様、摺動体31の浮屋根20の外縁部21sからの離間距離が、予め設定した閾値Dを超えた場合、二次シール部50Eの弾性部材73によって、浮屋根20の外縁部21sとタンク本体11の内周面14aとの間がシールされ、タンク本体11内の収容流体100が漏れるのを防ぐことができる。
この二次シール部50Eは、摺動体31における浮屋根20の外縁部21sからの離間距離が閾値Dを超えた場合にのみ弾性部材73をタンク本体11の内周面14aに接触させる。したがって、通常時においては、浮屋根20のタンク本体11内での上下動が、二次シール部50Eにおける摩擦力によって妨げられることが無い。
さらに、二次シール部50Eは、一次シール部30の下方に設けられているので、既存の貯留タンク10に対して二次シール部50Eを追設する場合であっても、一次シール部30と浮屋根20との間に二次シール部50Eを設ける必要が無い。
その結果、通常時には浮屋根20の動作を妨げるのを抑えつつ、地震発生時等には浮屋根20とタンク本体11との隙間から収容流体100が漏れるのを確実に抑え、しかも既存の貯留タンク10に対して容易に追設することが可能となる。
【0109】
(その他の実施形態)
なお、本発明の貯留タンクは、図面を参照して説明した上述の各実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記各実施形態およびその変形例では、一次シール部30として、シール液L、摺動体31を用いた構成を採用したが、一次シール部30については、他のいかなる構成のシール機構を採用してもよい。
【0110】
さらに、浮屋根20の構造も、適宜変更することが可能である。
また、貯留タンク10の全体構成は、他のいかなる構成であってもよく、例えばタンク本体11は、平面視円形の筒状に限らず、平面視多角形状等であってもよい。
さらに、貯留タンク10で貯蔵する収容流体100は、ガス状、液状のいずれであってもよく、その種類や用途についても、何ら問うものではない。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。