(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記有機無機ハイブリッド粒子前駆体が、ケイ素原子に結合した加水分解性基を4個有する加水分解性シラン化合物もしくはその部分加水分解縮合物と、ケイ素原子に結合した加水分解性基を3個以上有しかつケイ素原子に結合した有機基を有する加水分解性オルガノシラン化合物もしくはその部分加水分解縮合物との混合物、または、該混合物の部分加水分解縮合物からなる、請求項1から8のいずれか1項に記載の多孔質有機無機ハイブリッド粒子の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本実施形態における例示が本発明を限定することはない。
【0015】
本発明の一実施形態による多孔質有機無機ハイブリッド粒子の製造方法としては、微小孔部が形成される隔壁で区画された流路を流れる水性液体に、有機無機ハイブリッド粒子前駆体を含む有機液体を、多孔質部材を通過させた後に隔壁に形成される微小孔部を通して、エマルションを作製する工程、及び有機無機ハイブリッド粒子前駆体を含むエマルション液滴を固形化して多孔質有機無機ハイブリッド粒子を形成する工程を含み、隔壁と多孔質部材との間隔が1cm以下であることを特徴とする。
【0016】
このような多孔質有機無機ハイブリッド粒子の製造方法によれば、有機無機ハイブリッド粒子前駆体を含むO/W型エマルションを長期にわたって安定して作製して、粒子径が均一な多孔質有機無機ハイブリッド粒子を長期にわたって安定して製造することができる。
【0017】
隔壁で区画された流路を流れる水性液体に、この隔壁に形成される微小孔部を通して、有機無機ハイブリッド粒子前駆体を含む有機液体を押し出すことで、水性液体を連続相とし、有機無機ハイブリッド粒子前駆体を含む有機液体を分散相とし、連続相中に均一な大きさの分散相液滴が分散したO/W型エマルションを作製することができる。
【0018】
「エマルション作製工程」
本実施形態では、微小孔部が形成される隔壁で区画された流路を流れる水性液体に、有機無機ハイブリッド粒子前駆体を含む有機液体を、多孔質部材を通過させた後に隔壁に形成される微小孔部を通して、エマルションを作製する。
【0019】
分散相が経時的に流れにくくなり長期にわたって均一なエマルションを得ることができない問題に対して、分散相を多孔質部材に通過させた後に隔壁の微小孔部に通すことで、長期にわたり安定して均一な粒径のエマルションを製造することが可能となる。結果として、長期にわたり安定して均一な粒径の多孔質有機無機ハイブリッド粒子を得ることができる。
また、多孔質部材を設けることで、隔壁の微小孔部を通過する分散相が流れにくくなる現象を防止することができ、分散相を安定して供給することができる。
【0020】
多孔質部材は、有機液体の流れ方向に対し、微小孔部が形成された隔壁の上流側に配置することができる。隔壁と多孔質部材との間隔は、1cm以内であり、好ましくは0.5cm以内であり、より好ましくは0.2cm以内である。一層好ましい構成では、この距離は0cmであり、隔壁と多孔質部材とを隣接して配置することができる。これによって、有機無機ハイブリッド粒子前駆体を含む有機液体の特性が、多孔質部材の内部でせん断力などの影響をうけたあとも、隔壁と多孔質部材との間隔が1cm以内であることで、経時的に何らかの変化が生じることを防止し、有機液体が隔壁の微小孔部に流れにくくなる現象を防止あるいは低減することができる。
【0021】
多孔質部材の材質としては、例えば、ガラス等の無機材料、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、MCE(セルロース混合エステル)等の樹脂材料を用いることができる。
【0022】
多孔質部材としては上記材質からなる発泡体、繊維フィルター、メンブレンフィルター等を用いることができる。なかでもガラス繊維フィルターが好ましい。
【0023】
多孔質部材の目開径としては、通常0.1μm以上とすることができ、好ましくは0.3μm以上である。小さすぎる場合には、供給する分散相中の除去する必要のない異物まで捕捉してしまい分散相の流路抵抗が上昇し安定して製造できなくなることがある。
【0024】
一方、多孔質部材の目開径は、通常10μm以下とすることができ、好ましくは5μm以下であり、より好ましくは3μm以下である。
【0025】
ここで、多孔質部材の目開径は、保留粒子径によって測定することができる。
【0026】
多孔質部材の厚さは、通常30〜1000μmであり、好ましくは50〜500μmである。
【0027】
水性液体が流れる流路としては、水性液体の流れ方向に直交する断面形状(以下、流路の断面形状と称することがある。)は特に限定されず、四角形、円形、その他多角形等の形状であってよい。また、流路の断面形状の長手方向としては0.1〜10mmとすることができ、短手方向としては0.01〜10mmとすることができる。また、流路の長さは、水性液体の流れ方向に対して微小孔部が形成される区間であり、1〜300mmとすることができる。
【0028】
有機液体が押し出される微小孔部としては、隔壁に流路あたり1個または複数個で形成することができ、好ましくは1000個以上であり、より好ましくは5000個以上である。
【0029】
微小孔部としては、有機液体の流れ方向に直交する断面形状(以下、微小孔部の断面形状と称することがある。)は特に限定されず、四角形、円形、楕円、三角形、多角形等の形状であってよい。
【0030】
微小孔部は、隔壁に対して垂直方向に形成される貫通孔とすることができる。また、隔壁に対して傾斜して形成されてもよく、入口側の孔径を大きくし出口側の孔径を小さくしてもよい。
微小孔部の開口部の直径は、有機液体の流れ方向に対して下流側の開口部、すなわち有機液体の出口側の開口部で、1〜50μmであることが好ましく、より好ましくは1〜10μmである。
【0031】
流路を流れる水性液体の流速は、0.01〜10m/sであることが好ましく、より好ましくは0.4〜5m/sである。
【0032】
流路中を流れる水性液体のレイノルズ数は5000以下とすることが好ましく、より好ましくは3000以下である。
【0033】
ここで、流路の断面が円形である場合のレイノルズ数は式(1)で計算され、流路の内径Dは流路の断面における最小径を使用する。ここで、D(流路の内径:m)、u(平均流速:m/s)、ρ(流体密度:kg/m
3)、μ(流体粘度:Pa・s)である。
【0034】
レイノルズ数(−)=D・u・ρ/μ ・・・(1)
【0035】
また、流路の断面が円形でない場合のレイノルズ数は式(2)で計算される。ここで、Deは相当直径(m)=4×流路の断面積(m
2)/流路断面の流体に接する周長(m)であり、u、ρ、μは式(1)と同様である。
【0036】
レイノルズ数(−)=De・u・ρ/μ ・・・(2)
【0037】
微小孔部を流れる有機液体の流速は、微小孔部1孔あたり5m/s以下であることが好ましく、より好ましくは3m/s以下であり、さらに好ましくは0.1m/s以下である。
【0038】
乳化工程では、分散相である有機無機ハイブリッド粒子前駆体を含む有機液体を加温して行うことができる。これによって、有機液体の粘度が低下し、微小孔部を通過する圧力を低下させて、有機液体を安定供給することができる。加温の温度としては、25〜80℃とすることができ、好ましくは25〜40℃である。
【0039】
本実施形態では、流路は少なくとも微小孔部が形成される領域の表面が親水性であることが好ましい。
これによって、有機無機ハイブリッド粒子前駆体を含む有機液体が微小孔部を通過する際に、隔壁からの液離れを促進することができ、エマルション液滴径を均一化して、結果として均一な粒子径の多孔質有機無機ハイブリッド粒子を得ることができる。この領域が疎水性であると、有機液体が微小孔部を通過する際に、微小孔部の開口縁から隔壁面に沿って流れて、エマルション液滴径が粗大化することがあり、多孔質有機無機ハイブリッド粒子の粒子径が不均一になることがある。
【0040】
流路の表面は、少なくとも微小孔部が形成される領域で親水性であればよく、流路の表面全体を親水性としてもよく、微小孔部が形成される領域を含む面を親水性としてもよい。例えば、流路の断面形状が四角形であって四面で流路が形成されて、一面に微小孔部が形成される場合は、親水性の部分は、微小孔部が形成される領域のみでもよく、微小孔部が形成される一面全体を親水性としてもよく、四面全部を親水性としてもよい。
【0041】
ここで、流路表面に対し、水性液体の親和性が有機液体の親和性よりも高い場合を親水性とし、有機液体の親和性が水性液体の親和性よりも高い場合を
親油性とする。
【0042】
流路表面が親水性である場合、有機液体が微小孔部より流路に押し出されるときに、有機液体の液滴が流路表面から離れて流路中の水性液体に分散されて均一なエマルションを得ることができる。
一方、流路表面が親油性である場合、有機液体が微小孔部より流路に押し出されるときに、有機液体の液滴が流路表面をつたわって流れ、エマルションが不均一化することがある。
【0043】
親水性の評価は、流路表面に連続相となる水性液体及び分散相となる連続相をそれぞれ滴下した際に形成される液滴と流路表面との接触角を測定することで行うことができる。
流路表面に対して、水性液体の接触角が、有機液体の接触角よりも小さい場合に、流路表面が親水性であることを確認することができる。
【0044】
流路表面を親水化処理する方法としては、例えば、流路表面を、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、スルホン基、リン酸基等の親水基を有する誘導体やシランカップリング剤によって処理して親水化する方法がある。
【0045】
例えば、流路表面に親水性コート剤を塗工することで、流路表面を親水性とすることができる。この親水性コート剤としては、メタクリル樹脂系コート剤、シリカ系コート剤、チタニア系コート剤等を用いることができる。好ましくはメタクリル樹脂系コート剤を用いることで、容易に無機物表面に適切な膜厚で十分な耐摩擦性、耐薬品性を有する親水化処理を施すことができる。
【0046】
メタクリル樹脂系コート剤としては、メタクリル樹脂の主鎖に親水性基が分岐鎖として結合し、無機物表面等と化学結合を形成する官能基が末端に結合したものを用いることができる。親水性基としては、上記した通りである。無機物表面等と化学結合を形成する官能基としては、トリシラノール基、シラノール基、メトキシ基、エトキシ基、アセトキシ基、トリクロロシラン基、ジクロロシラン基、トリクロロシラン基等を挙げることができる。分岐鎖を含めた主鎖の質量平均分子量(Mw)としては、1000〜50000とすることができ、例えば、5000〜30000である。
【0047】
また、流路表面をアルカリ性溶液あるいは酸性溶液によって処理することで、流路表面を親水性とすることができる。アルカリ性溶液としては、例えば、NaOH、KOH、Ca(OH)
2等の水溶液を用いることができる。酸性溶液としては、HCl、H
2SO
4、HNO
3がある。これら溶液に流路表面を浸漬して、任意に超音波処理をすることで、流路表面を親水性とすることができる。
【0048】
また、流路表面を親水性にする他の例としては、流路を親水性材料によって作製する方法がある。親水性材料としては、ガラス等を用いることができる。
【0049】
「乳化装置」
本実施形態の乳化工程について
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は、本実施形態の乳化工程に用いることが可能な乳化装置の一例の概略断面図である。
図2は、
図1に示す乳化装置を備えるシステムの一例の説明図である。
【0050】
図1に示す乳化装置
10において、1及び5はアクリル樹脂製
板、2は多孔質部材、3は複数の微小孔部3aが形成されたステンレス鋼板、4は流路4aを形成したステンレス鋼板である。乳化装置10は、アクリル樹脂製
板1、多孔質部材2、ステンレス鋼板3、ステンレス鋼板4及びアクリル樹脂製
板5がこの順で積層されて構成される。
【0051】
図2に示す乳化システムにおいて、乳化装置10は
図1に示す通りであり、20は有機液体(分散相)供給装置を示し、30は水性液体(連続相)供給装置を示し、40はエマルション貯留槽を示す。
【0052】
有機液体供給装置20は、有機液体を乳化装置10に供給し、多孔質部材2を通過させた後に微小孔部3aを通して流路4aに供給する装置であり、有機液体貯留槽21、及び有機液体を乳化装置10に供給するための送液装置22を備える。また、有機液体供給装置20は、乳化装置10の多孔質部材2及び隔壁の微小孔部3aを目詰まりさせうる固形物を除去するための精密フィルター23、乳化装置10への有機液体供給圧力を測定する圧力計24を必要に応じて備えることができる。
【0053】
水性液体供給装置30は、水性液体を乳化装置10に供給し、連続相供給部5aから流路4aに供給する装置であり、水性液体貯留槽31、及び水性液体を乳化装置10に供給するための送液装置32を備える。
有機液体用送液装置22及び水性液体用送液装置32には、例えば、ギヤポンプ、ダイヤフラム型ポンプ、プランジャーポンプ、ローラーポンプ等のポンプや、高圧ガスを用いた圧送方法等を用いることができる。
【0054】
図2に示す乳化システムでは、連続相である水性液体が連続相供給部5aから供給され流路4aを流れ、分散相である有機無機ハイブリッド粒子前駆体を含む有機液体が分散相供給部1aから供給され、多孔質部材2を通過した後に、微小孔部3aを介して水性液体に圧入され、流路4aにおいてO/W型エマルションが作製され、エマルション排出部5bから排出される。エマルション排出部5bから排出されるエマルションは、エマルション貯留槽40に貯留される。
【0055】
精密フィルター23を分散相である有機無機ハイブリッド粒子前駆体を含む有機液体が乳化装置10に供給される前の経路に配置することで、乳化装置10に供給される前に有機液体から固形物を除去して、乳化装置10内での目詰まりを防止することができる。
圧力計24を分散相である有機無機ハイブリッド粒子前駆体を含む有機液体が乳化装置10に供給される前の経路に配置することで、乳化装置10に供給される有機液体の圧力を測定して、供給圧力を適正にすることができる。
【0056】
ステンレス鋼板3には微小孔部3aをレーザー加工、プレス加工、切削加工等を用いて作製することができる。ステンレス鋼板4には流路4aをエッチング処理、プレス加工、切削加工等を用いて作製することができる。
【0057】
図1に示す例では、水性液体の流路4aを隔壁で区画して形成し、隔壁の厚さ方向に貫通した微小孔部3aを通して有機液体を圧入する。これにより、有機液体と水性液体とが直交流で混合するため、水性液体の流れによりエマルション液滴が切り離される効果が得られやすくなるため、粒子径の均一な多孔質有機無機ハイブリッド粒子を安定して得ることができる。
【0058】
ステンレス鋼板4の流路4aは、複数本の流路4aが水性液体の流れ方向に沿って形成されていてもよい。
【0059】
また、微小孔部は1流路あたりに複数設けた方が好ましい。この場合、微小孔部は、有機液体の流路上に、微小孔部の断面形状に外接する円の直径の1/2以上の間隔を設けて複数個設置するのが好ましい。さらに好ましくは微小孔部の断面形状に外接する円の直径以上の間隔を設ける。外接する円の直径の1/2より短い間隔しか設けずに微小孔部を設置すると、エマルションの液滴が合一し、その結果、液滴径が不均一になる可能性があるため好ましくない。ただし、合一しない範囲でなるべく密接して設置したほうが、生産性を向上できるので好ましい。
【0060】
本実施形態において、微小孔部が設けられる隔壁の材料としては、有機無機ハイブリッド粒子前駆体を含む有機液体及び水性液体に対する耐性を有するものを使用することが好ましい。金属を主体とするものであると加工性及び強度に優れるため好ましいが、その他、樹脂を主体とするものも好適に用いられる。樹脂としては、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリエステル及びフッ素樹脂からなる1種以上を用いると加工性、寸法安定性に優れるため好ましい。また、ガラス、金属シリコン、セラミック等の無機材料を用いて隔壁を作製することも可能である。
【0061】
多孔質部材2は、
図1に示すように、分散相である有機無機ハイブリッド粒子前駆体を含む有機液体の流れ方向に対しステンレス鋼板3の上流側の面に隣接して配置する。また、多孔質部材2は、ステンレス鋼板3の流路4a側でない面、すなわち有機無機ハイブリッド粒子前駆体を含む有機液体の流れ方向に対してステンレス鋼板3の上流側の面から1cm以内の位置で離して配置してもよい。
【0062】
ステンレス鋼板3は、流路4aに対向する面のうち、少なくとも微小孔部3aが形成される領域の表面が親水性であることが好ましく、より好ましくは流路4aに対向する面全面が親水性である。
【0063】
ステンレス鋼板3及び4の親水化処理としては、上記した方法を用いることができる。
好ましくは、親水性コート剤を塗工する。
【0064】
「分散相」
本実施形態では、有機無機ハイブリッド粒子前駆体を含む有機液体を分散相として用いる。
【0065】
有機無機ハイブリッド粒子前駆体は、有機成分及び無機成分をともに含み、固形化することで多孔質有機無機ハイブリッド粒子を形成することが可能な材料である。その詳細は後述する。
【0066】
分散相である有機無機ハイブリッド粒子前駆体を含む有機液体全体に対し、有機無機ハイブリッド粒子前駆体は、50〜90質量%で配合することができ、好ましくは70〜85質量%である。
【0067】
有機無機ハイブリッド粒子前駆体を含む有機液体は、固形化によって沈殿物を形成することができるものであれば、いずれも適用可能である。
【0068】
有機液体としては、特に限定されず、水性液体に溶解性の低いもの、好ましくは不溶性のものを使用することができ、例えば、以下に挙げるもののうち1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0069】
脂肪族炭化水素類;n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、イソヘプタン、n−オクテン、イソオクテン、ノナン、デカン等。
脂環式炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘキセン等。
芳香族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、クメン、メシチレン、テトラリン、スチレン等。
エーテル類;プロピルエーテル、イソプロピルエーテル等。
エステル類;酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−
ブチル、酢酸イソ
ブチル、酢酸−n−アミル、酢酸イソアミル、乳酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸ブチル等。
【0070】
本実施形態では、エマルションを固形化した後の多孔質有機無機ハイブリッド粒子と有機液体とは通常固液分離される。分離後の多孔質有機無機ハイブリッド粒子に付着又は吸着している有機液体は、濾過操作、洗浄操作、乾燥操作などにより分離することが好ましい。
【0071】
「連続相」
連続相である水性液体としては、上記有機液体に対して溶解度が低いものであることが好ましく、より好ましくは不溶性のものであり、例えば水を主成分とする液体である。
【0072】
本実施形態では、O/W型エマルションの形成にあたり、乳化剤として界面活性剤を連続相である水性液体中に添加することが好ましい。界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤等を用いることができ、具体例を以下に示す。
【0073】
ノニオン系界面活性剤:
ソルビタン脂肪酸エステル系;ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンジオレエート、ソルビタントリオレエート等。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレ
エー
ト等。
ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル系;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等。
ポリオキシエチレン脂肪族エステル系;ポリオキシエチレングリコールモノラウレート、ポリオキシエチレングリコールモノステアレート、ポリオキシエチレングリコールモノオレ
エート等。
グリセリン脂肪酸エステル系;ステアリン酸モノグリセライド、オレイン酸モノグリセライド等。
その他;ショ糖脂肪酸エステル系、ポリグリセリン脂肪酸エステル系
、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油系等。
【0074】
アニオン系界面活性剤;高級アルキル硫酸エステル塩、脂肪酸石けん、アルキルエーテル硫酸エステル塩、高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、N−アシルサルコシン酸塩、スルホコハク酸塩、リン酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩。
N−アシルアミノ酸系のアニオン系界面活性剤;N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ラウロイル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸・硬化牛脂脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸カリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸、N−ステアロイル−L−グルタミン酸、N−ラウロイル−L−アスパラギン酸ナトリウム等。
【0075】
カチオン系界面活性剤:アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩等。
【0076】
両性界面活性剤:イミダゾリン系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤等。
【0077】
上記した界面活性剤は、単独でまたは組み合わせて用いることができる。
【0078】
界面活性剤の使用量は、界面活性剤の種類、界面活性剤の親水性あるいは疎水性の程度を表す指標であるHLB(Hydrophile−lipophile balance)、目的とする多孔質有機無機ハイブリッド粒子の粒子径などの条件により異なるが、上記水性液体中に0.05〜5%、好ましくは1〜3%、より好ましくは1〜2%で含有させるのが好ましい。0.05%未満であると、エマルションが不安定になるおそれがある。また、5%を超えると、製品である多孔質有機無機ハイブリッド粒子に付着する界面活性剤の量が多くなり好ましくない。
【0079】
有機無機ハイブリッド粒子前駆体を含む有機液体と水性液体との室温(20〜23℃)における体積比は、得られるエマルション中のO/W比として0.01〜1とすることができ、好ましくは0.05〜0.5である。
【0080】
「固形化工程」
次に、有機無機ハイブリッド粒子前駆体を含むエマルション液滴を固形化して多孔質有機無機ハイブリッド粒子を形成する工程について説明する。
【0081】
この固形化工程では、エマルション液滴の1滴から多孔質有機無機ハイブリッド粒子1粒を製造する方法がある。この場合では、球状である有機液体のエマルション液滴は、この球状を保持したまま固形化され、球状の多孔質有機無機ハイブリッド粒子のゲルを得ることができる。
【0082】
次に、固形化された多孔質有機無機ハイブリッド粒子は、反応系を静置して、多孔質有機無機ハイブリッド粒子を含む有機液体の相と水性液体の相とに2相分離させて、多孔質有機無機ハイブリッド粒子を含む有機液体を分離することができる。回収後、多孔質有機無機ハイブリッド粒子に付着している有機液体や界面活性剤等を除去するために、洗浄することが好ましい。
【0083】
回収後の多孔質有機無機ハイブリッド粒子は、乾燥することが好ましい。乾燥は、60〜120℃で3〜24時間で行うことができる。
【0084】
「多孔質有機無機ハイブリッド粒子」
上記した方法によって、粒子径が均一な多孔質有機無機ハイブリッド粒子を提供することができる。多孔質有機無機ハイブリッド粒子の形状は、エマルション液滴の形状をそのまま保持することができ、球状、好ましくは真球体とすることができる。
【0085】
多孔質有機無機ハイブリッド粒子において、体積基準の粒子径分布の積算量が大きいほうから10%の粒子径(D10)と90%の粒子径(D90)の比(D10/D90)は、コールターカウンター法において、1.8以下とすることができ、好ましくは1.7以下であり、さらに好ましくは1.6以下である。D10/D90は、1に近いほど粒子径が均一であり好ましい。
【0086】
多孔質有機無機ハイブリッド粒子の平均粒子径(D50)としては、1μm〜100μmとすることができ、好ましくは5μm〜60μmである。
【0087】
ここで、多孔質有機無機ハイブリッド粒子のD50、D10、D90はベックマン・コールター社製「Multisizer III」等を用いて測定することができる。
【0088】
「多孔質有機無機ハイブリッド粒子およびその前駆体」
本実施形態によれば、多孔質有機無機ハイブリッド粒子としてケイ素原子に結合した有機基を有するポリシロキサンの多孔質粒子を好ましく製造することができる。ケイ素原子に結合している有機基は、ケイ素原子に結合する末端原子が炭素原子である有機基を意味する。
このケイ素原子に結合した有機基を有するポリシロキサンにおける(有機基が結合していないケイ素原子)/(有機基が結合したケイ素原子)の比は、0.5〜20が好ましく、0.5〜5がより好ましく、1〜4が特に好ましい。
なお、以下、「ケイ素原子に結合した有機基を有するポリシロキサン」を「ポリシロキサン(A)」ともいう。
【0089】
ポリシロキサン(A)における有機基が結合したケイ素原子としては、Si−R
aまたはSi−R
b−Siが好ましい。R
aは1価の有機基であり、R
bは2価の有機基である。ポリシロキサン(A)におけるケイ素原子は、有機基に結合する結合手を除き、そのほとんどが酸素原子に結合してシロキサン結合(Si−O−Si結合)を形成している。
ポリシロキサン(A)は、SiO
4/2単位とケイ素原子に結合した有機基を有するシロキサン単位を有する。ケイ素原子に結合した有機基を有するシロキサン単位としては、R
aSiO
3/2単位、(R
a)
2SiO
2/2単位、R
b[SiO
3/2]
2単位などが挙げられる。なお、R
b[SiO
3/2]
2単位の2つのケイ素原子は、いずれも、有機基が結合したケイ素原子とみなす。
R
aとしては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基またはアリール基を有するアルキル基等が挙げられる。アルキル基は直鎖状であっても分岐状であってもよい。シクロアルキル基としては5または6員環のシクロアルキル基が好ましい。アリール基としてはフェニル基が好ましい。R
aとしては、炭素数6以下のアルキル基が好ましく、炭素数4以下のアルキル基がより好ましい。
R
bとしては、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、炭素原子間にシクロアルキレン基またはアリーレン基を有するアルキレン基等が挙げられる。アルキレン基は直鎖状であっても分岐状であってもよい。シクロアルキレン基としては5または6員環のシクロアルキレン基が好ましい。アリーレン基としてはフェニレン基が好ましい。R
bとしては、炭素数8以下のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基がより好ましい。
ポリシロキサン(A)において、ケイ素原子に結合した有機基を有するシロキサン単位としては、R
aを有する上記シロキサン単位とR
bを有する上記シロキサン単位の少なくともいずれかを含み、両単位を含んでいてもよい。
特に、SiO
4/2単位とR
b[SiO
3/2]
2単位とを有するポリシロキサン(A)はアルカリ耐性が高く、ポリシロキサン(A)として好ましく用いることができる。
【0090】
ポリシロキサン(A)は、加水分解性基を有するシラン化合物(以下、加水分解性シランともいう)の加水分解重縮合で得られる。前記SiO
4/2単位はケイ素原子に加水分解性基が4個結合したシラン化合物から得られる。同様に、R
aSiO
3/2単位はケイ素原子にR
a1個と加水分解性基3個が結合したシラン化合物から、(R
a)
2SiO
3/2単位はケイ素原子にR
a2個と加水分解性基2個が結合したシラン化合物から、R
b[SiO
3/2]
2単位はR
bに結合した2個のケイ素原子のそれぞれに3個の加水分解性基が結合したシラン化合物から得られる。また、これら加水分解性シランは、あらかじめ部分的に加水分解重縮合させて得た部分縮合物をポリシロキサン(A)の製造原料として使用することができる。この部分縮合物は2種以上の加水分解性シランの混合物から得ることもできる。さらに、加水分解性シランと部分縮合物の混合物や2種以上の部分縮合物の混合物から縮合度を高めた部分縮合物を得ることもできる。
加水分解性基としては、アルコキシ基、アシルオキシ基、塩素原子、アミノ基、イソシアネート基等が挙げられる。加水分解性基としては、アルコキシ基、アシルオキシ基および塩素原子が好ましく、炭素数8以下のアルコキシ基および炭素数8以下のアシルオキシ基がより好ましく、炭素数3以下のアルコキシ基が特に好ましい。
ポリシロキサン(A)粒子を得るための有機無機ハイブリッド粒子前駆体は、上記の加水分解性シランやその部分縮合物からなる。以下、加水分解性基がアルコキシ基であるシラン化合物を例にポリシロキサン(A)粒子を得るための有機無機ハイブリッド粒子およびその前駆体を説明する。なお、ポリシロキサン(A)粒子を得るための有機無機ハイブリッド粒子前駆体を、以下、前駆体(A)ともいう。
【0091】
ポリシロキサン(A)におけるSiO
4/2単位は、テトラアルコキシシランやその部分縮合物から形成される。アルコキシ基の炭素数は3以下が好ましい。また、4個のアルコキシ基は同一でなくてもよいが、入手が容易などの理由で4個のアルコキシ基は同一であることが好ましい。
テトラアルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン等が挙げられる。
【0092】
ポリシロキサン(A)におけるR
aSiO
3/2単位や(R
a)
2SiO
3/2単位等は、R
a基を有するアルコキシシランやその部分重縮合物から形成される。
R
a基を有するアルコキシシランとしては、例えば、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
(R
a)
nSi(OR
1)
4−n・・・(1)
式(1)において、R
aは前記の1価の有機基を表し、R
1はアルキル基を表し、nは1〜3の整数を表す。
アルコキシの炭素数、すなわち、R
1の炭素数は3以下が好ましい。
nは2または3であることが好ましく、3が特に好ましい。nが3の場合は前記R
aSiO
3/2単位が形成され、nが2の場合は(R
a)
2SiO
3/2単位が形成される。
【0093】
nが1のアルコキシシランの具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ペンチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン等。
【0094】
nが2のアルコキシシランの具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジ−n−オクタデシルジメトキシシラン、ジ−n−オクタデシルジエトキシシラン等。
【0095】
ポリシロキサン(A)におけるR
b[SiO
3/2]
2単位は、R
b[SiO
3/2]
2単位を形成するアルコキシシランやその部分重縮合物から形成される。
R
b[SiO
3/2]
2単位を形成するアルコキシシランとしては、下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
(R
2O)
3Si−R
b−Si(OR
3)
3・・・(2)
式(2)において、R
bは前記の2価の有機基を表し、R
2およびR
3は同一または異なるアルキル基を表す。
アルコキシの炭素数、すなわち、R
2およびR
3それぞれの炭素数は3以下が好ましい。
【0096】
式(2)で表されるアルコキシシランの具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、ビス[2−(トリメトキシシリル)エチル]ベンゼン、ビス[2−(トリエトキシシリル)エチル]ベンゼン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)プロパン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)プロパン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン(BTEE)、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン。
【0097】
ポリシロキサン(A)粒子を得るための前駆体(A)は、前記加水分解性シランやその部分重縮合物からなる。なお、前記R
a基を有するアルコキシシランとR
b[SiO
3/2]
2単位を形成するアルコキシシランとを、以下、オルガノアルコキシシランと総称する。
前駆体(A)としては、例えば、テトラアルコキシシランとオルガノアルコキシシランとの組合せ、テトラアルコキシシランの部分重縮合物とオルガノアルコキシシランとの組合せ、テトラアルコキシシランとオルガノアルコキシシランの部分重縮合物との組合せ、テトラアルコキシシランの部分重縮合物とオルガノアルコキシシランの部分重縮合物との組合せ、などが挙げられる。また、例えば、テトラアルコキシシランとオルガノアルコキシシランの混合物の部分重縮合物、テトラアルコキシシランの部分重縮合物とオルガノアルコキシシランの混合物の部分重縮合物、なども前駆体(A)として使用できる。
上記テトラアルコキシシランおよびオルガノアルコキシシランは、それぞれ、2種以上の組合せであってもよい。上記各種部分重縮合物もまた、それぞれ、重合度の異なる同種の部分重縮合物の組合せなどの異なる部分重縮合物の組合せであってもよい。
【0098】
前駆体(A)におけるテトラアルコキシシラン(またはその部分重縮合物)とオルガノアルコキシシラン(またはその部分重縮合物)の組合せ等において、その組み合わせ割合は前駆体(A)における(有機基が結合していないケイ素原子)/(有機基が結合したケイ素原子)の比は、前記ポリシロキサンにおける(有機基が結合していないケイ素原子)/(有機基が結合したケイ素原子)の比と等しくなる割合であることが好ましい。
【0099】
多孔質有機無機ハイブリッド粒子の製造方法の一例としては、前駆体(A)を含む有機液体を用いてエマルションを作製し、その後、加水分解・重縮合とともにゲル化して、ポリシロキサン(A)の多孔質粒子を得る方法が挙げられる。
【0100】
また、ポリシロキサン(A)の多孔質粒子の製造方法の別の例としては、テトラアルコキシシランとオルガノアルコキシシランを有機液体中で酸触媒下にて予備重合して部分重縮合物を含む有機液体を作製し、この有機液体を用いてエマルションを作製し、その後、ゲル化して、ポリシロキサン(A)の多孔質粒子を得ることができる。この場合、テトラアルコキシシランとオルガノアルコキシシランの部分重縮合物を別に用意しておいて、この部分重縮合物を有機液体に添加して、部分重縮合物を含む有機液体を作製してもよい。
予備重合において、酸触媒としては塩酸等を用いることができ、重合溶媒としてはエタノール等の有機溶媒を用いることができる。
【0101】
得られるポリシロキサン(A)は、ポリシロキサン(A)は、4価のSiO
4/2単位とケイ素原子に結合した有機基を有するシロキサン単位を有する。ケイ素原子に結合した有機基を有するシロキサン単位は、3価のR
aSiO
3/2単位や6価のR
b[SiO
3/2]
2単位などからなる。これらポリシロキサン(A)は3価以上の単位からなり、場合によりさらに2価の単位を含む。したがって、ポリシロキサン(A)は3次元の網状重合体である。ポリシロキサン(A)中の一部のケイ素原子には加水分解性基の加水分解により生成した水酸基が結合していると考えられるが、加水分解性基が残存していることは少ないと考えられる。
【0102】
好ましい具体例としては、BTEEとテトラエトキシシランとを前駆体(A)として用いることで、加水分解・重縮合によってポリシロキサン(A)からなる多孔質有機無機ハイブリッド粒子を得ることができる。また、BTEEとテトラエトキシシランとを酸触媒下にて予備重合して得られる部分重縮合物を前駆体(A)として用いることができる。この場合、TEOS/BTEEのモル比は1〜10であることが好ましい。
【0103】
上記した前駆体(A)とともに、その他の前駆体化合物を用いてもよい。その他の前駆体化合物としては、ケイ酸ナトリウム、コロイダルシリカ、金属アルコキシド、分子構造中に有機鎖を有する金属アルコキシド等を挙げることができる。ここで、金属アルコキシドは、上記したアルコキシシラン以外である。
【0104】
上記したアルコキシシラン以外の金属アルコキシドとしては、例えば
、ナトリウムエトキシド、LiOCH
3、NaOCH
3、Cu(OCH
3)
2、Ca(OCH
3)
2、Sr(OC
2H
5)
2、Ba(OC
2H
5)
2、Zn(OC
2H
5)
2、B(OCH
3)
3、Ga(OC
2H
5)
3、Y(OC
4H
9)
3、Ge(OC
2H
5)
4、Pb(OC
4H
9)
4、P(OCH
3)
3、Sb(OC
2H
5)
3、VO(OC
2H
5)
3、Ta(OC
3H
7)
5、W(OC
2H
5)
6、La(OC
3H
7)
3、Nd(OC
2H
5)
3、Ti(OCH
3)
4、Ti(OC
2H
5)
4、Ti(iso−OC
3H
7)
4、Ti(OC
4H
9)
4、Zr(OCH
3)
4、Zr(OC
2H
5)
4、Zr(OC
3H
7)
4、Zr(OC
4H
9)
4、Al(OCH
3)
3、Al(OC
2H
5)
3、Al(iso−OC
3H
7)
3、Al(OC
4H
9)
3、La[Al(iso−OC
3H
7)
4]
3、Mg[Al(iso−OC
3H
7)
4]
2、Mg[Al(sec−OC
4H
9)
4]
2、Ni[Al(iso−OC
3H
7)
4]
2、(C
3H
7O)
2Zr[Al(OC
3H
7)
4]
2、Ba[Zr
2(OC
2H
5)
9]
2等を用いることができる。
【0105】
分散相である前駆体(A)を含む有機液体全体に対し、その他の前駆体化合物は、50質量%以下で配合することができ、好ましくは20質量%以下である。
【0106】
前駆体(A)を含む有機液体を用いてエマルションを作製した後、得られたエマルションに、触媒を添加することで、前駆体(A)を加水分解・重縮合させてポリシロキサン(A)からなる真球状の多孔質粒子を形成することができる。
【0107】
触媒としては、アンモニア、NaOH、R
2NH(ここで、2つのRは、それぞれ独立して水素、炭素数1〜3の飽和または不飽和の炭化水素基であり置換基を有していてもよく、2つのRのうち1つは炭化水素基である。)に代表されるアミン類等を挙げることができる。
【実施例】
【0108】
以下、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0109】
(例1)
(1)分散相及び連続相の調製
TEOS(テトラエトキシシラン)とBTEE(1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン)を4:1のモル比にて混合し、酸触媒下にて予備重合し、前駆体(A)を得た。
酸触媒としては塩酸を用いた。重合溶媒にはエタノールを用いた。
得られた前駆体(A)に分散相全体の濃度が19質量%となるようにトルエンを混合し、分散相とした。
【0110】
連続相として、水(H
2O、密度1000[Kg/m
3])を使用し、あらかじめ界面活性剤としてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルを水に1.7[%]溶解したものを調整した。
【0111】
(2)乳化装置の作製
分散相と連続相とを乳化するために用いた乳化装置を
図1に示す。
【0112】
図1に示す乳化装置では、1は分散相供給部1aを有するアクリル樹脂製板であり、2は多孔質部材であり、3は微小孔部3aが形成された
ステンレス鋼板であり、4は流路4aが形成された
ステンレス鋼板であり、5は連続相供給部5a及びエマルション排出部5bを有するアクリル樹脂製板である。
【0113】
アクリル樹脂製板1、多孔質部材2、ステンレス鋼板3、ステンレス鋼板4及びアクリル樹脂製板5をこの順で積層し、クランプにて4辺を均等な力で締め付け固定した。
このとき、ステンレス鋼板3に形成した微小孔部3aの配列の幅方向及び長手方向を、それぞれステンレス鋼板4に形成した流路4aの幅方向及び長さ方向に合わせ、微小孔部3aの配列が流路4aの中心部に位置するように設置した。
また、アクリル樹脂製板5の連続相供給部5a及びエマルション排出部5bがステンレス鋼板4の流路4aに対向して位置するように設置した。
【0114】
多孔質部材2としては、厚さ190μmで目開径0.5μmのガラス繊維ろ紙「GC−50」(アドバンテック東洋株式会社製)を用いた。
【0115】
ステンレス鋼板3は、レーザー加工により、排出口側の面から見える孔の直径で8μmの円形状である微小孔部3aを1流路4aあたり、横38個×縦304個=合計11552個で加工した。流路4aは後述の通り24本であるので、微小孔部3aは合計277248個である。
ステンレス鋼板3には、流路4aに対向する表面に、メタクリル系親水性有機コート剤(大阪有機化学工業株式会社製「LAMBIC−107」)の1質量%水溶液を用いて、この水溶液にステンレス鋼板3をディップコートし、その後に100℃及び2時間で乾燥させ、表面の親水化処理を行った。ディップコートをすることで、ステンレス鋼板3の全面に親水性有機コート剤を塗布することができる。
【0116】
ステンレス鋼板4は、エッチングにて流路4aが24本並列で配置されるように加工した。24本の流路4aは、それぞれ1.7mm(幅)×0.05mm(深さ)×22mm(長)である。ここで、流路4aの長さLは、ステンレス鋼板3及び5が対向して深さ0.05mmとなる部分の長さであり、
図1においてLで示す。
【0117】
この乳化装置では、連続相が連続相供給部5aから供給されエマルション排出部5bから排出されるように流路4aを流れ、分散相が分散相供給部1aから供給され多孔質部材2を介して微小孔部3aを通過して連続相中に圧入される。
【0118】
上記した乳化装置は、
図2に示す乳化装置10として、乳化システムに備えて用いた。
【0119】
図2に示す乳化システムでは、分散相である有機液体貯留槽21から有機液体用送液装置であるポンプ22によって乳化装置10に分散相が供給される。また、連続相である水性液体貯留槽31から水性液体用送液装置であるポンプ32によって乳化装置10に連続相が供給される。乳化装置10から排出されるエマルションは、エマルション貯留槽40に貯留される。
【0120】
分散相の供給経路では、精密フィルター23によって分散相から固形物を除去し、多孔質部材2及びステンレス鋼板3の微小孔部3aの目詰まりを防止した。精密フィルター23には、アドバンテック東洋株式会社製「CCS−020−D1B」(フィルター径0.20μm)を用いた。
また、分散相の供給経路では、圧力計24によって圧力を測定した。
【0121】
(3)乳化工程
上記(2)で作製した乳化装置を垂直に置いて使用し、連続相供給部5aより上記(1)で調製した界面活性剤水溶液からなる連続相を供給し、分散相供給部1aより上記(1)で調製した分散相を供給することで、分散相が界面活性剤水溶液中に分散したO/W型エマルションを連続的に作製した。作製されたエマルションはエマルション排出部5aより回収した。
【0122】
連続相の供給量は1流路4aあたり125[mL/H]であり、流路4aにおける流れ方向の流速(線速)は0.41m/sであった。
分散相の供給量は273[mL/H]であり、微小孔部3aにおける流れ方向の流速(線速)は1孔あたり0.0054m/sであった。実験は室温で行い、分散相のみ40℃に加温して供給した。
【0123】
流路の相当直径97.1[μm]、連続相の線速0.41m/s、連続相である界面活性剤水溶液の粘度0.00045[Pa・s]から、下記式(2a)によって連続相のレイノルズ数を計算したところ、40であった。
【0124】
レイノルズ数(−)=De・u・ρ/μ・・・(2a)
Deは相当直径であり、u(平均流速:m/s)であり、ρ(流体密度:kg/m
3)であり、μ(流体粘度:Pa・s)である。
【0125】
(4)ゲル化工程
上記乳化工程で得られたエマルションに、28質量%のアンモニア水(NH
4OH)を加え、23℃で20時間静置することで、エマルション液滴をゲル化させた。得られたスラリーを濾過し、メタノールで洗浄した。次いで、生成物を80℃で一晩乾燥させ、ポリシロキサン(A)からなる球状の多孔質粒子を得た。
【0126】
(評価)
上記した例1について、乳化時間に対して、D50、D10/90、分散相供給圧力、及び初期流量に対する分散相流量の比(分散相流量/初期流量)を評価した。評価結果を表1に示す。各評価は、乳化初期(乳化開始から5分以内)、乳化開始から2時間後、乳化開始から4時間後で評価した。
【0127】
D10、D90及びD50は、各乳化時間経過後にエマルションをゲル化した後に、ポリシロキサン(A)からなる球状多孔質粒子をベックマン・コールター社製「Multisizer III」にて測定した。測定したD10及びD90からD10/D90を求めた。
分散相供給圧力は、圧力計「GP−M001」(株式会社キーエンス製)により測定した。
【0128】
例1では、乳化開始から4時間経過しても、乳化初期と同等のD50及びD10/90の無機有機ハイブリッド粒子が得られた。また、乳化開始後4時間経過しても、分散相供給圧力の上昇を防止することができ、分散相流量/初期流量の低下を防止することができた。
【0129】
図3に、得られた球状多孔質粒子の乳化開始後10時間後の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(1000倍)を示す。この写真より、球状多孔質粒子はほぼ真球状であった。
【0130】
(例2)
多孔質部材2を厚さ260μmで目開径1.2μmのガラス繊維ろ紙「Whatman GF/C」(GEヘルスケア・ジャパン株式会社製)に変えた以外は、上記した例1と同様にして行った。
上記した例1と同様に評価を行い、結果を表1に併せて示す。
【0131】
例2では、乳化開始から4時間経過しても、乳化初期と同等のD50及びD10/90の無機有機ハイブリッド粒子が得られた。また、乳化開始後4時間経過しても、分散相供給圧力の上昇を防止することができ、分散相流量/初期流量の低下を防止することができた。
【0132】
(例3)
多孔質部材2を厚さ150μmの目開径0.8μmのセルロース混合エステル(MCE)タイプメンブレンフィルター「A080A」(アドバンテック東洋株式会社製)に変えた以外は、上記した例1と同様にして行った。
上記した例1と同様に評価を行い、結果を表1に併せて示す。
【0133】
例3では、乳化開始から4時間経過しても、乳化初期と同等のD50及びD10/90の無機有機ハイブリッド粒子が得られた。また、例1及び例2に比べ、分散相供給圧力が上昇し、分散相流量/初期流量が低下した。これは、例3では多孔質部材2にセルロース混合エステルタイプメンブレンフィルターを用いており、時間経過によって多孔質部材2に分散相が多少目詰まりしたためと考えられる。
【0134】
(例4)
多孔質部材2を設けない以外は、上記した例1と同様にして行った。
上記した例1と同様に評価を行い、結果を表1に併せて示す。
【0135】
例4では、乳化開始から4時間経過後に、D50が25%増加した。また、分散相供給圧力が上昇し、分散相流量/初期流量が低下した。このように、分散相供給圧力が上昇しているにもかかわらず、分散相流量は低下していることから、乳化初期に比べ、時間経過によって分散相が微小孔部3aの微小な孔部を流れにくい状態に変化し、D50が増加したと考えられる。この問題は、例1〜例3のように多孔質部材2を設けることで改善できる。
【0136】
(例5)
(1)分散相及び連続相の調製
TEOS(テトラエトキシシラン)とBTEE(1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン)を8:1のモル比にて混合し、酸触媒下にて予備重合し、前駆体(A)を得た。
酸触媒としては塩酸を用いた。重合溶媒にはエタノールを用いた。
得られた前駆体(A)に分散相全体の濃度が19質量%となるようにトルエンを混合し、分散相とした。
【0137】
連続相は上記した例1と同様に調整した。
【0138】
(2)乳化装置の作製
分散相と連続相とを乳化するために用いた乳化装置は、以下の点を除いて、上記した例1と共通し、
図1に示す通りである。
【0139】
多孔質部材2に、厚さ75μmで目開径0.5μmのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)タイプメンブレンフィルター「T050A」(アドバンテック東洋株式会社製)を用いた。
【0140】
乳化工程及びゲル化工程は上記した例1と同様にして行った。
【0141】
上記した例1と同様に評価を行い、結果を表1に併せて示す。
【0142】
例5では、乳化開始から4時間経過しても、乳化初期と同等のD50及びD10/90の無機有機ハイブリッド粒子が得られた。
【0143】
(例6)
多孔質部材2を設けない以外は、上記した例5と同様にして行った。
上記した例1と同様に評価を行い、結果を表1に併せて示す。
【0144】
例6では、乳化開始から4時間経過後に、D10/D90が100%増加した。また、分散相供給圧力が上昇し、分散相流量/初期流量が低下した。このように、分散相供給圧力が上昇しているにもかかわらず、分散相流量は低下していることから、乳化初期に比べ、時間経過によって分散相が微小孔部3aの微小な孔部を流れにくい状態に変化し、D10/D90が増加したと考えられる。この問題は、例5のように多孔質部材2を設けることで改善できる。
【0145】
【表1】