【実施例】
【0030】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前記、後記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、実施例及び比較例中における分析または評価は、以下のようにして行った。
【0031】
<粉末X線回折測定>
合成した多孔性金属錯体について、粉末X線回折装置(ブルカー・エイエックスエス株式会社製「NEW D8 ADVANCE」)を用いて、対称反射法で測定した。測定条件を以下に示す。
1)X線源:CuKα(λ=1.5418Å)40kV 200mA
2)ゴニオメーター:縦型ゴニオメーター
3)検出器:シンチレーションカウンター
4)回折角(2θ)範囲:3〜90°
5)スキャンステップ:0.05°
6)積算時間:0.5秒/ステップ
7)スリット:発散スリット=0.5°、受光スリット=0.15mm、散乱スリット=0.5°
【0032】
<窒素・二酸化炭素吸着測定>
<比表面積、細孔容積測定>
多孔性金属錯体サンプルを約100mg採取し、120℃で12時間真空乾燥した後、秤量した。高機能比表面積/細孔分布測定装置(Micromeritics社製「ASAP2020」)または自動比表面積/細孔分布測定装置(日本BEL株式会社製「BELSORP−miniII」)を使用し、液体窒素の沸点(−195.8℃)における窒素ガスまたは固形二酸化炭素の昇華点(−78.5℃)における二酸化炭素ガスの吸着量を相対圧が0.02〜0.95の範囲で徐々に高めながら40点測定し、前記サンプルの吸着等温線を作製した。解析ソフトウェア(Micromeritics社製「ASAP 2020 V3.04」)または日本BEL株式会社製「BELMasterTM」)を用い、相対圧0.02〜0.15での結果をBETプロットし、重量当たりのBET比表面積(m
2/g)を求めた。また、相対圧0.95のデータより全細孔容積[cc/g]を求めた。
【0033】
<水分吸着率測定>
多孔性金属錯体を120℃で12時間真空乾燥し、吸着水などを除去した。これをサンプル管に入れ重量を測定し、温度30℃、相対湿度60%に設定した恒温恒湿器(ナガノサイエンス株式会社製、LH33−12P)中、3時間静置した後の重量を測定した。水分吸着率は、下記式(i);
水分吸着率(%)={(3時間静置後の重量−3時間静置前の重量)/(3時間静置前の重量)}×100 ・・・(i)
に基づき算出した。
【0034】
<透過型電子顕微鏡(TEM)観察>
透過型電子顕微鏡(日立製作所製「HT7700」)を用いて、得られた貴金属担持多孔性金属錯体を観察した。
【0035】
<平均粒子径の測定方法>
貴金属触媒の粒子径は、前記TEM観察の結果を基に測定した。任意の100個の貴金属触媒の粒子径の平均値を平均粒子径とした。
【0036】
<アルデヒド類ガス流通系試験>
多孔性金属錯体0.088ccをカラムに充填し、試験ガスを0.2L/minで流通させた。試料の入口・出口でのガス濃度を、一定時間毎にホルムアルデメータhtV(株式会社ジェイエムエス)を用いて測定し、その比から除去率を算出した。ホルムアルデヒド供給量(濃度、流量、温度から計算)に対する除去率の曲線を積分することにより、ホルムアルデヒド除去量[mg]を求め、これを試料の重量で割ることにより、除去容量[mg/g]を算出した。この除去容量が10mg/gの時の除去率を求めた。なお、試料としては、120℃で12時間真空乾燥し、吸着物質を除去したものを使用した。評価条件の詳細を以下に示す。
1)測定雰囲気:25℃、50%RH空気下
2)圧力:常圧
3)試験ガス組成:ホルムアルデヒド濃度3ppm(25℃、50%RH空気希釈)
4)空間速度:1,350,000hr
−1
5)平均粒子径:1〜5μm
【0037】
<実施例1>
≪多孔性金属錯体への0.1重量%Ptの担持≫
Alと1,4−ナフタレンジカルボン酸から形成された多孔性金属錯体Al(OH)(1,4−NDC)・2H
2Oを、DMF中、120℃で合成した。得られた多孔性金属錯体について、粉末X線回折測定により同定し、二酸化炭素吸着測定により物性評価を行った。BET比表面積は350m
2/gであった。水分吸着測定の結果、水分吸着率は20.1重量%であった。この多孔性金属錯体を120℃で12時間真空乾燥させ、室温まで放冷した。この多孔性金属錯体1gをメタノール40mlに分散させ、ここへH
2PtCl
6・6H
2O2.6mgを含むメタノール溶液1mlを加えた。一晩攪拌した後、NaBH
43mgを含むメタノール溶液1mlを滴下し、2時間攪拌を行った。得られた溶液をろ過し、固体をメタノールで洗浄した後、120℃で真空乾燥を行い、Ptが0.1重量%担持された貴金属担持多孔性金属錯体を得た(802mg、収率80%)。粉末X線回折測定及びTEM観察を行った。粉末X線回折測定からは、Ptのパターンが観測されなかったが、TEM観察により、2〜5nmのPt粒子が高分散状態で担持されている様子が観察された。TEM像を
図1に示す。この貴金属担持多孔性金属錯体を用い、アルデヒド類ガス流通系試験を行った。結果を表1に示す。
【0038】
<実施例2>
≪多孔性金属錯体への1重量%Ptの担持≫
実施例1で合成した多孔性金属錯体Al(OH)(1,4−NDC)・2H
2O1gをメタノール40mlに分散させ、ここへH
2PtCl
6・6H
2O26mgを含むメタノール溶液5mlを加えた。一晩攪拌した後、NaBH
424mgを含むメタノール溶液2mlを滴下し、2時間攪拌を行った。得られた溶液をろ過し、固体をメタノールで洗浄した後、120℃で真空乾燥を行い、Ptが1重量%担持された貴金属担持多孔性金属錯体を得た(1.0g、収率98%)。粉末X線回折測定及びTEM観察を行った。粉末X線回折測定からは、Ptのパターンが観測されなかったが、TEM観察により、2〜5nmのPt粒子が高分散状態で担持されている様子が観察された。TEM像を
図2に示す。この貴金属担持多孔性金属錯体を用い、アルデヒド類ガス流通系試験を行った。結果を表1に示す。
【0039】
<実施例3>
≪多孔性金属錯体への0.1重量%Pdの担持≫
実施例1で合成した多孔性金属錯体Al(OH)(1,4−NDC)・2H
2O1gをメタノール40mlに分散させ、ここへPd(NO
3)
22.2mgを含むメタノール溶液3mlを加えた。一晩攪拌した後、NaBH
43.3mgを含むメタノール溶液1mlを滴下し、2時間攪拌を行った。得られた溶液をろ過し、固体をメタノールで洗浄した後、120℃で真空乾燥を行い、Pdが0.1重量%担持された貴金属担持多孔性金属錯体を得た(1.0g、収率100%)。粉末X線回折測定を行ったところ、Pdのパターンが観測されなかったことから、Pd粒子は微粒子化しているといえる。この貴金属担持多孔性金属錯体を用い、アルデヒド類ガス流通系試験を行った。結果を表1に示す。
【0040】
<実施例4>
≪多孔性金属錯体への1重量%Pdの担持≫
実施例1で合成した多孔性金属錯体Al(OH)(1,4−NDC)・2H
2O1gをメタノール40mlに分散させ、ここへPd(NO
3)
221mgを含む水溶液2mlを加えた。一晩攪拌した後、NaBH
430mgを含む水溶液1mlを滴下し、2時間攪拌を行った。得られた溶液をろ過し、固体をメタノールで洗浄した後、120℃で真空乾燥を行い、Pdが1重量%担持された貴金属担持多孔性金属錯体を得た(1.1g、収率100%)。粉末X線回折測定を行ったところ、Pdのパターンが観測されなかったことから、Pd粒子は微粒子化しているといえる。この貴金属担持多孔性金属錯体を用い、アルデヒド類ガス流通系試験を行った。結果を表1に示す。
【0041】
<実施例5>
≪多孔性金属錯体への0.1重量%Agの担持≫
実施例1で合成した多孔性金属錯体Al(OH)(1,4−NDC)・2H
2O1gをメタノール30mlに分散させ、ここへAgNO
31.6mgを含むメタノール溶液1mlを加えた。一晩攪拌した後、NaBH
43mgを含むメタノール溶液1mlを滴下し、2時間攪拌を行った。得られた溶液をろ過し、固体をメタノールで洗浄した後、120℃で真空乾燥を行い、Agが0.1重量%担持された貴金属担持多孔性金属錯体を得た(947mg、収率95%)。粉末X線回折測定を行ったところ、Agのパターンが観測されなかったことから、Ag粒子は微粒子化しているといえる。この貴金属担持多孔性金属錯体を用い、アルデヒド類ガス流通系試験を行った。結果を表1に示す。
【0042】
<実施例6>
≪多孔性金属錯体への0.1重量%Ptの担持≫
Tiと2−アミノテレフタル酸から形成された多孔性金属錯体MIL−125−NH
2を、DMF中、150℃で18時間合成した。得られた多孔性金属錯体について、粉末X線回折測定により同定し、窒素吸着測定により物性評価を行った。BET比表面積は1426m
2/gであった。水分吸着測定の結果、水分吸着率は36.2重量%であった。この多孔性金属錯体を120℃で12時間真空乾燥させ、室温まで放冷した。この多孔性金属錯体0.1gをメタノール5mlに分散させ、ここへ10mM H
2PtCl
6・6H
2Oメタノール溶液0.05mlを加えた。一晩攪拌した後、NaBH
41mgを含むメタノール溶液0.3mlを滴下し、2時間攪拌を行った。得られた溶液をろ過し、固体をメタノールで洗浄した後、120℃で真空乾燥を行い、Ptが0.1重量%担持された貴金属担持多孔性金属錯体を得た(101mg、収率100%)。粉末X線回折測定を行ったところ、Ptのパターンが観測されなかったことから、Pt粒子は微粒子化しているといえる。この貴金属担持多孔性金属錯体を用い、アルデヒド類ガス流通系試験を行った。結果を表1に示す。
【0043】
<比較例1>
≪活性炭への0.1重量%Ptの担持≫
ヤシガラ系活性炭(BET比表面積1500m
2/g、細孔容積0.7cc/g)1gをメタノール40mlに分散させ、ここへH
2PtCl
6・6H
2O2.6mgを含むメタノール溶液1mlを加えた。一晩攪拌した後、NaBH
43mgを含むメタノール溶液1mlを滴下し、2時間攪拌を行った。得られた溶液をろ過し、固体をメタノールで洗浄した後、120℃で真空乾燥を行い、Ptが0.1重量%担持された貴金属担持多孔性金属錯体を得た(996mg、収率99%)。TEM観察により、12〜15nmのPt粒子が状態で担持されている様子が観察された。TEM像を
図3に示す。この貴金属担持多孔性金属錯体を用い、アルデヒド類ガス流通系試験を行った。結果を表1に示す。
【0044】
<比較例2>
≪多孔性金属錯体への0.1重量%Ptの担持≫
Znと2−メチルイミダゾールから形成された多孔性金属錯体(BASF社製「Basolite(登録商標)Z1200」)について、粉末X線回折測定により同定し、窒素吸着測定により物性評価を行った。BET比表面積は1490m
2/gであった。水分吸着測定の結果、水分吸着率は1.8重量%であった。この多孔性金属錯体を120℃で12時間真空乾燥させ、室温まで放冷した。この多孔性金属錯体1gをメタノール40mlに分散させ、ここへH
2PtCl
6・6H
2O2.6mgを含むメタノール溶液1mlを加えた。一晩攪拌した後、NaBH
43mgを含むメタノール溶液1mlを滴下し、2時間攪拌を行った。得られた溶液をろ過し、固体をメタノールで洗浄した後、120℃で真空乾燥を行い、Ptが0.1重量%担持された貴金属担持多孔性金属錯体を得た(1.01g、収率100%)。粉末X線回折測定を行ったところ、Ptのパターンが観測されなかったことから、Ptは微粒子化しているといえる。この貴金属担持多孔性金属錯体を用い、アルデヒド類ガス流通系試験を行った。結果を表1に示す。
【0045】
<比較例3>
≪多孔性金属錯体への0.1重量%Cuの担持≫
実施例1で合成した多孔性金属錯体Al(OH)(1,4−NDC)・2H
2O1gをメタノール30mlに分散させ、ここへCu(NO
3)
2・3H
2O3.8mgを含むメタノール溶液1mlを加えた。一晩攪拌した後、NaBH
43mgを含むメタノール溶液1mlを滴下し、2時間攪拌を行った。得られた溶液をろ過し、固体をメタノールで洗浄した後、120℃で真空乾燥を行い、Cuが0.1重量%担持された金属担持多孔性金属錯体を得た(978mg、収率98%)。粉末X線回折測定を行った。粉末X線回折測定からは、Cuのパターンが観測されなかったことから、Cu粒子は微粒子化しているといえる。この金属担持多孔性金属錯体を用い、アルデヒド類ガス流通系試験を行った。結果を表1に示す。
【0046】
【表1】