特許第6409270号(P6409270)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6409270
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】化粧料用容器および化粧料製品
(51)【国際特許分類】
   A45D 33/00 20060101AFI20181015BHJP
【FI】
   A45D33/00 625C
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-247397(P2013-247397)
(22)【出願日】2013年11月29日
(65)【公開番号】特開2015-104478(P2015-104478A)
(43)【公開日】2015年6月8日
【審査請求日】2016年9月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000224
【氏名又は名称】特許業務法人田治米国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上野 知美
(72)【発明者】
【氏名】竹内 順子
【審査官】 青木 正博
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−199703(JP,U)
【文献】 特許第4431188(JP,B1)
【文献】 実開昭63−088216(JP,U)
【文献】 特開2013−094481(JP,A)
【文献】 特開2011−055889(JP,A)
【文献】 実開昭62−204502(JP,U)
【文献】 実開昭58−084009(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0104927(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0226773(US,A1)
【文献】 米国特許第4962626(US,A)
【文献】 米国特許第4446879(US,A)
【文献】 米国特許第4337859(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の把持部を有する化粧料塗布具を収容するための塗布具収容室と、化粧料を収容するための化粧料収容室とを有する化粧料用容器であって、塗布具収容室は、化粧料塗布具の把持部を載置する台座を有し、該台座における化粧料塗布具の載置面が、台座に載置されたときの化粧料塗布具の把持部の短手方向に傾斜しており、該傾斜した載置面では塗布具収容室の底面からの高さが、化粧料収容室側で低く、化粧料収容室の反対側で高く、該載置面の前記短手方向の長さが、化粧料塗布具の把持部の同方向の長さよりも長く、該載置面よりも急峻な斜面を、載置面の塗布具収容室側に有する化粧料用容器。
【請求項2】
棒状の把持部を有する化粧料塗布具を収容するための塗布具収容室と、化粧料を収容するための化粧料収容室とを有する化粧料用容器であって、塗布具収容室は、化粧料塗布具の把持部を載置する台座を有し、該台座における化粧料塗布具の載置面が、台座に載置されたときの化粧料塗布具の把持部の短手方向に傾斜しており、該傾斜した載置面では塗布具収容室の底面からの高さが、化粧料収容室側で低く、化粧料収容室の反対側で高く、該載置面の前記短手方向の長さが、化粧料塗布具の把持部の同方向の長さよりも長く、該載置面が複数の段部を有する化粧料用容器。
【請求項3】
台座が複数の載置面を有し、複数の化粧料塗布具を載置可能とする請求項1又は2記載の化粧料用容器。
【請求項4】
台座が塗布具収容室に着脱可能に設けられている請求項1〜3のいずれかに記載の化粧料用容器。
【請求項5】
台座が、把持部の長手方向に離間して形成された一対の載置面を有する請求項1〜4のいずれかに記載の化粧料用容器。
【請求項6】
化粧料塗布具の把持部が台座に載置された場合に、化粧料塗布具の塗布体が塗布具収容室の底面から浮いている請求項1〜のいずれかに記載の化粧料用容器。
【請求項7】
塗布具収容室に収容される化粧料塗布具を備え、該化粧料塗布具の把持部は断面が扁平形状である請求項1〜のいずれかに記載の化粧料用容器。
【請求項8】
請求項1〜のいずれかに記載の化粧料容器において、化粧料収容室に化粧料が収容され、塗布具収容室に化粧料塗布具が収容されている化粧料製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料塗布具の収容室を有する化粧料用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
アイシャドウ、アイブロー、チーク等の化粧料に用いられる化粧料用容器として、化粧料を収容する化粧料収容室と、その化粧料の塗布に使用する化粧料塗布具を収容する塗布具収容室とを有するものが普及している。
このような化粧料用容器は、携帯しやすいように小型化されているので、塗布具収容室は狭くなっている。そのため、化粧料塗布具を塗布具収容室から取り出すことは容易でない。
【0003】
そこで、塗布具収容室の側壁面に斜面を突設し、化粧料塗布具を塗布具収容室から取り出すときには、この斜面と反対側の塗布具収容室側壁と化粧料塗布具との間に指を入れ、その指で化粧料塗布具を斜面側に押しつけ、化粧料塗布具が斜面を乗り上がるようにすることが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許4431188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、塗布具収容室の側壁面に斜面を突設しても、塗布具収容室に収容した化粧料塗布具と、塗布具収容室側壁との間に指を入れにくいために、依然として塗布具収容室から化粧料塗布具を取り出すことは容易でない。また、塗布具収容室の底面に載置されている化粧料塗布具を斜面側に引き寄せても、化粧料塗布具が斜面に突っかかり、化粧料塗布具が取り出し難い場合がある。
【0006】
このような従来技術に対し、本発明が解決しようとする課題は、化粧料塗布具を収容する塗布具収容室を備えた化粧料用容器において、塗布具収容室からの化粧料塗布具の取り出しを容易にすることに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、塗布具収容室が、棒状の把持部を有する化粧料塗布具を収容する場合に、塗布具収容室の底面に、化粧料塗布具を載置する台座を設け、台座に載置された化粧料塗布具の把持部の短手方向に台座の載置面を傾斜させると、把持部を台座の載置面で滑らせて引き上げることで容易に化粧料塗布具を収納室から取り出せることを見出し、かかる台座を有する本発明を完成させた。
【0008】
即ち、本発明は、棒状の把持部を有する化粧料塗布具を収容するための塗布具収容室と、化粧料を収容するための化粧料収容室とを有する化粧料用容器であって、塗布具収容室は、化粧料塗布具の把持部を載置する台座を有し、該台座における化粧料塗布具の載置面が、台座に載置された化粧料塗布具の把持部の短手方向に傾斜している化粧料用容器を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、化粧料塗布具を塗布具収容室に収容する化粧料用容器において、塗布具収容室からの化粧料塗布具の取り出しが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施例を示す化粧料用容器1Aの(a)斜視図及び(b)断面図である。
図2図2は、(a)実施例及び(b)従来技術における、化粧料塗布具の取り出し状態を示す、化粧料用容器の断面図である。
図3図3は、化粧料用容器の変形態様の断面図である。
図4図4は、本発明の別の実施例を示す化粧料用容器1Bの斜視図である。
図5図5は、本発明の別の実施例を示す化粧料用容器1Cの(a)斜視図及び(b)断面図である。
図6図6は、本発明の別の実施例を示す化粧料用容器1Dの斜視図である。
図7図7は、本発明の別の実施例を示す化粧料用容器1Eの斜視図である。
図8図8は、本発明の別の実施例を示す化粧料用容器1Fの(a)斜視図及び(b)断面図である。
図9図9は、本発明の別の実施例を示す化粧料用容器1Gの(a)斜視図及び(b)断面図である。
図10図10は、本発明の別の実施例を示す化粧料用容器1Hの(a)斜視図及び(b)断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明を具体的に説明する。なお、各図中、同一符号は、同一又は同等の構成要素を表している。
【0012】
図1は、本発明の一実施例の化粧料用容器1Aの(a)斜視図及び(b)X−X断面図である。この化粧料用容器1Aは、コンパクトケース型の化粧料用容器であって、薄型の容器本体2に、アイシャドウ、アイブロー、チーク等のケーキ状の化粧料Aを収容する化粧料収容室3と、化粧料Aの塗布に使用する化粧料塗布具10を収容する塗布具収容室4を備えている。化粧料用容器1Aは、化粧料Aを化粧料収容室3に収容し、化粧料塗布具10を塗布具収容室4に収容し、化粧料製品となる。
【0013】
また、容器本体2には、ヒンジで蓋5が接合されている。蓋5に設けられた係着リブ7aが、容器本体2に設けられた被係止部7bと着脱可能に係止することで蓋5が閉じる。化粧料用容器1Aの使用時における手前側の面にはボタン7が設けられており、ボタン7を塗布具収容室4側に押圧することで係着リブ7aと被係止部7bとの係止状態が解除される。
【0014】
化粧料塗布具10は、断面が扁平な直棒状の把持部11と、把持部の両端部に形成された塗布体12,13を有している。ここで、把持部11の扁平な断面形状としては、矩形、楕円、扁平な円等をあげることができ、アスペクト比(長径と短径の比)が11:10以上であることが好ましく、6:5以上がより好ましい。把持部11の断面形状を扁平とすることにより、化粧料塗布具10を収容する化粧料用容器の薄型化の要請に応じることができるので好ましい。
【0015】
化粧料塗布具10が塗布具収容室4の底面に直接載置されていると、把持部11を指で摘んで塗布具収容室4から化粧料塗布具10を取り出すことは容易でないが、この化粧料用容器1Aの塗布具収容室4には、後述するように、載置面21が傾斜した台座20Aが設けられているので、塗布具収容室4からの化粧料塗布具10の取り出しが容易となり、この取り出しやすさは把持部11の断面が扁平な場合に顕著となる。したがって、化粧料塗布具10の把持部11の断面が扁平であると本発明の意義が高い。
【0016】
なお、本発明の化粧料用容器が収容する化粧料塗布具の把持部の断面形状は、扁平に限られず、例えば、真円、正方形、三角形その他の多角形とすることができる。
【0017】
塗布体12,13の形成材料に特に制限はなく、例えば、スポンジ、フロッキー加工した樹脂材料、刷毛等から形成することができる。塗布体12,13は、それぞれ異なる材質のものを用いてもよく、また異なる形状や大きさに形成していてもよい。また、塗布体は把持部11の一端にのみ形成してもよい。
【0018】
この化粧料用容器1Aは、化粧料塗布具10の塗布具収容室4の底面6に、化粧料塗布具10の把持部11を載置する台座20Aを有している。そのため、化粧料塗布具10が塗布具収容室4に収納された状態で、把持部11は塗布具収容室4の底面6に直接載置されておらず、塗布具収容室4の底面6よりも高い位置にある。これにより、塗布具収容室4に収容されている化粧料塗布具10の取り出し時に、化粧料塗布部10の把持部11に指を掛けやすくなる。
【0019】
また、化粧料塗布具10が塗布具収容室4に収容された状態で、塗布体12、13も塗布具収容室4の底面6から浮いており、底面6に接していないことが好ましい。これにより、化粧料の付着した塗布体12、13で塗布具収容室4が汚れることを抑制することができる。
【0020】
台座20Aにおいて、化粧料塗布具10の載置面21は、台座20Aに載置された化粧料塗布具10の把持部11の短手方向に傾斜した面を有している。
【0021】
即ち、化粧料塗布具10を台座20Aに載置した場合、台座20Aの載置面21は、化粧料塗布具10の把持部11の長手方向D1と平行であり、かつこの載置面21は、塗布具収容室4の底面6に対して傾斜している。要するに、載置面21は、化粧料塗布具10の把持部11の長手方向D1には傾斜しておらず、短手方向に傾斜している。
【0022】
より具体的には、載置面21は平坦で、その傾斜は、塗布具収容室4の底面6から載置面21までの高さが、化粧料収容室3側で低く、化粧料収容室3と反対側(ボタン7側)で高い。ここで、化粧料収容室3側の載置面21の底面6からの高さは、塗布具収容室4の深さの0%以上50%以下が好ましく、化粧料収容室3と反対側では塗布具収容室4の深さの80%以上100%以下が好ましい。
【0023】
また、この傾斜に関し、塗布具収容室4の底面6と載置面21とのなす角度θ1(図1(b))は、10°以上60°以下であることが好ましく、特に30°以上50°以下であることが好ましい。
【0024】
載置面21の大きさは、そこに載置する把持部11の長手方向の長さについて、把持部11の長さの30%以上100%以下が好ましく、特に60%以上80%以下が好ましい。ただし、塗布体12、13の大きさが把持部11の断面に比して小さく、台座20Aに化粧料塗布具10を載置した場合に、載置面21の平面に塗布体12、13が接しない場合には、載置面21の長さは、把持部11の長さによらず、塗布具収容室4の全長であってもよい。
【0025】
化粧料塗布具10を塗布具収容室4から取り出すときには、図2(a)に示すように、化粧料塗布具10の把持部11を指で軽く押さえ、次いで、把持部11を載置面21上で滑らせるように矢印方向に引き上げる。これにより、容易に化粧料塗布具10を塗布具収容室4から取り出すことができる。また、この取り出し方法によれば、塗布体12、13に手が触れないので、化粧料塗布具10の取り出しにより手が不用に汚れることを防止できる。
【0026】
これに対し、図2(b)に示すように、塗布具収容室4の壁面に斜面23が突設されていても、化粧料塗布具10が塗布具収容室4の底面6に直接載置されている場合には、指で矢印方向に把持部11を引き寄せても、把持部11が斜面23に突き当たり、そこに引っかかってしまい、化粧料塗布具10の取り出しが難しくなる。
【0027】
また、図2(a)に示すように、台座20Aは、化粧料塗布具10の把持部11を載置する傾斜した載置面21に加えて、塗布具収容室4内の化粧料収容室3側の壁面から、塗布具収容室4の中央部側に突出した斜面22を有する。この斜面22は急峻であり、ここには化粧料塗布具10の把持部11を載置することはできない。しかしながら、この斜面22があることにより、塗布具収容室4から化粧料塗布具10を取り出すときに指を入れる位置での台座20Aの開き角θ2が、斜面22が無い場合(図3)に比して大きくなる。これにより、塗布具収容室4からの化粧料塗布具10の取り出しがいっそう容易となる。ここで、開き角θ2は、傾斜している載置面21と、該載置面21の下側端部が当接する斜面22とで挟まれる角度である。
【0028】
一方、化粧料塗布具10の把持部11の断面が十分大きい場合には、図3に示す台座20A’のように、塗布具収容室4の化粧料収容室3側の側壁で、斜面の形成を省略してもよい。
【0029】
なお、台座20Aの形成材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、AS樹脂、ABS樹脂等の合成樹脂が挙げられる。
【0030】
本発明は種々の態様をとることができる。
例えば、上述の化粧料用容器1Aにおいて、台座20Aは、容器本体2に一体成形で設けてもよく、また塗布具収容室4の底面6に固着してもよく、あるいは図4に示す化粧料用容器1Bのように、容器本体2に対して台座20Bを着脱可能としてもよい。着脱可能とするには、例えば、一体成形等でプレート24上に台座20Bを設け、塗布具収容室4にプレート24を嵌入して載置するだけで、台座20Bが塗布具収容室4内の所定の位置に配置されるようにすることができる。この場合、プレート24は、塗布具収容室4の底面6と略同じ形状および大きさにすることが好ましい。台座20Bを備えたプレート24は、外れ難くするため、塗布具収容室4の底面に対して粘着剤等で仮止めしてもよい。
【0031】
このように台座20Bを着脱可能とすると、容器本体2に組み合わせる化粧料塗布具10の寸法を変更する場合に、容器本体2の寸法の変更が不要となり、台座20Bの寸法の変更だけで足りるので好ましい。また、台座20Bを着脱可能とすることは、塗布具収容室4及び台座20Bの洗浄をしたり、台座20Bの色を変更して化粧料用容器1Bの外観や印象を変えることが可能となる点でも好ましい。色を変更する場合、台座20Bの色を、化粧料塗布具10又はその把持部11の色と異ならせることにより、化粧料塗布具10又は把持部11の視認性が向上する。また、使用者の好みに応じて、台座20Bを取り外して使用することも可能となる。
【0032】
図5の化粧料用容器1Cは、容器本体2が有する塗布具収容室4に、複数本の化粧料塗布具10を並列して収容できるように、複数の載置面21a、21bを設けたものである。載置面21aと載置面21bとは、塗布具収容室4において化粧料塗布具10又は把持部11の短手方向に隣接されている。この場合、台座20Cの傾斜した各載置面21a、21bは、個々の化粧料塗布具に対して形成することが好ましい。複数の載置面21a、21bの傾斜角度は、同じでもよく異なってもよい。より具体的には、例えば、載置面21a、21bの傾斜角度を異ならせ、載置面の深さ(載置面の上端部と下端部の、塗布具収容室4の深さ方向の距離)を、載置面の傾斜の上端部が化粧料収容室3と反対側の塗布具収容室4内の壁面に当接している載置面21aでは、塗布具収容室4の深さの80%以上100%以下とし、載置面の傾斜の上端部が塗布具収容室4の中央部にある載置面21bでは塗布具収容室4の深さの50%以上100以下とすることができる。また、各載置面21a、21bは同じ傾斜角度であるが、異なる高さとしてもよい。各載置面21a、21bの把持部11の長手方向の長さを異ならせてもよい。
【0033】
図6の化粧料用容器1Dは、化粧料塗布具10の把持部11を台座20Dに載置するにあたり、台座20Dが把持部11の両端部で化粧料塗布具10を支持するように、台座20Dが、一対の傾斜した載置面21a、21bを把持部11の長手方向に離間して有するようにしたものである。これにより、離間した載置面21a、21bの間では、塗布具収容室4の底面6と把持部11との間に空間が存在するので、把持部11を指で摘むときに、この空間内に指を挿入することができ、把持部11を摘みやすくなる。
【0034】
図7の化粧料用容器1Eは、図1の化粧料用容器1Aにおいて、載置面21に抉り25を形成した台座20Eを設けたものである。この抉り25は、平面視半円状で、最大幅W(即ち、台座20に載置する化粧料塗布具10の把持部11の長手方向についての抉り25の最大長)は10mm以上が好ましく、15mm以上がより好ましい。抉り25の深さは、載置面21の上端部の底面6からの高さの20%以上100%以下とすることが好ましい。また、図4に示した別体とする場合には、プレート24の上面(底面6に相当)からの載置面21の上端部の高さに対して20%以上100%以下とすることが好ましい。これにより、指先を把持部11の中央部から下方に挿入し易くなり、化粧料塗布具10の取り出しが容易となる。
【0035】
図8の化粧料用容器1Fは、図1の化粧料用容器1Aにおいて、載置面21に複数の段部26を有する台座20Fを設けたものである。この場合、個々の段部の高さL1と奥行きL2は、複数の段部26を有する載置面21で把持部11を滑らせて引き上げることを可能とする点から、高さL1を2mm以下、特に0.5mm以上1.5mm以下とすることが好ましい。また、奥行きL2を3mm以下、特に0.5mm以上2mm以下とすることが好ましい。適度に細かい段部を設けることにより、載置面21で把持部11を滑らせて引き上げるときのずり落ちを防止することができる。
【0036】
図9の化粧用容器1Gは、図5の化粧料用容器1Cにおいて、載置面21a、21bをそれぞれ下に凹に湾曲させた台座20Gを設けたものである。この台座20Gによれば、図9(b)に示すように、把持部11を引き上げていくと、湾曲している載置面21a、21bに沿って把持部11がスムーズに移動し、ボタン7側(化粧料用容器1Cの使用時における手前側)の載置面21a、21bの上側端部において把持部11を摘み上げやすくなる。特に把持部11の断面が扁平であると、引き上げ方向に上向きになるので、把持部11を摘み上げやすくなる。
図9の化粧用容器1Gは、更に、化粧料収容室3側の載置面21bよりも、化粧料収容室3から離れた方(ボタン7に近い方)の載置面21aにおいて、湾曲を大きく深くしているので、2つの化粧料塗布具10が並置されていても、各化粧料塗布具10間に指を入れ易くなり、化粧料収容室3側の載置面21bに置かれた化粧料塗布具10を引き上げる際に、ボタン7に近い方の載置面21aの化粧料塗布具10に引っかかることを防ぐことができる。
【0037】
図10の化粧用容器1Hは、図1の化粧料用容器1Aにおいて、載置面21を上に凸に湾曲させた台座20Hを設けたものである。これにより、図10(b)に示すように、載置面21上で把持部11の断面の向きを変えやすくなることで、把持部11の引き上げ直後に把持部11の扁平な断面が引き上げ方向に上向きになり、把持部11を摘み上げやすくなる。
【0038】
なお、本発明は上述の実施例に限定されることなく種々の変更が可能であり、台座は、化粧料塗布具10の把持部11を斜面で載置できる種々の形状をとることができる。例えば、図4においてはプレート24は用いずに塗布具収容室4の底面6に係止用凹部等を設け、台座のみを着脱可能としてもよい。
また、上述した種々の態様は、適宜組み合わせることができる。例えば、図5の形態において、手前側(ボタン7側)の載置面21aに、図7の抉り25を設けてもよい。また、図5の形態において、台座20Cを図4のように着脱可能としてもよい。
【0039】
また、蓋5の開閉は、ボタン7により係止状態を解除する形態に限らず、例えば容器本体2の切欠き部に指をいれて開ける形態や、容器本体2と蓋5を磁石で係止可能とする形態などボタン7を用いないタイプとしてもよい。また、化粧料用容器、容器本体2にヒンジで蓋5を開閉するよう固定する形態に限らず、引き出しタイプの蓋を設けてもよい。また、化粧料用容器はコンパクトケース型に限らない。例えば、ジャー容器の中蓋にスパチュラ等の化粧料塗布具の収納室を設け、その収納室に本発明が使用する台座を設けてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H 化粧料用容器
2 容器本体
3 化粧料収容室
4 塗布具収容室
5 蓋
6 底面
7 ボタン
10 化粧料塗布具
11 把持部
12 塗布体
13 塗布体
20A、20B、20C、20D、20E、20F、20G、20H 台座
21 載置面
22 斜面
23 斜面
24 プレート
25 抉り
26 段部
A 化粧料
D1 把持部の長手方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10