特許第6409271号(P6409271)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6409271
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】非接触電力伝送システム及び受電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20181015BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20181015BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20181015BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20181015BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20181015BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20181015BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20181015BHJP
【FI】
   H02J7/00 301D
   H02J50/12
   H02J50/40
   H02J50/80
   B60M7/00 X
   B60L5/00 B
   B60L11/18 C
【請求項の数】6
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2013-249372(P2013-249372)
(22)【出願日】2013年12月2日
(65)【公開番号】特開2015-107026(P2015-107026A)
(43)【公開日】2015年6月8日
【審査請求日】2016年11月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】比嘉 孝治
【審査官】 坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−240132(JP,A)
【文献】 特開2011−125186(JP,A)
【文献】 特開2013−172499(JP,A)
【文献】 特開2013−240130(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/086048(WO,A1)
【文献】 特開2013−138526(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/069089(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
B60L 5/00
B60L 11/18
B60M 7/00
H02J 50/12
H02J 50/40
H02J 50/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電源部から交流電力が入力される1次側コイルを有する複数の送電装置と、
前記1次側コイルに入力される前記交流電力を非接触で受電可能な2次側コイルを有する受電装置と、
を備えた非接触電力伝送システムにおいて、
前記受電装置は、通信可能な前記送電装置を把握する把握部を備え、
前記非接触電力伝送システムは、前記把握部によって前記送電装置が複数把握された場合には、前記把握部によって把握された前記複数の送電装置のうちの一つを対象送電装置に選んで、前記対象送電装置と前記受電装置との間で電力伝送を行うことが可能か否かを判定する伝送判定部を備え、
前記伝送判定部は、
前記対象送電装置の前記1次側コイルに対して、前記2次側コイルで受電されるか判定するための1回目の交流電力として第1識別用電力が第1期間に亘って前記第1電源部から入力されるように前記対象送電装置を制御し、前記第1識別用電力が前記1次側コイルに入力されている場合に前記2次側コイルによって交流電力が受電されているか否かを判定する第1受電判定と、
前記第1受電判定により交流電力が受電されていると判定された場合に、再度、前記対象送電装置の前記1次側コイルに対して、前記2次側コイルで受電されるか判定するための2回目の交流電力として第2識別用電力が第2期間に亘って前記第1電源部から入力されるように前記対象送電装置を制御し、前記第2識別用電力が前記1次側コイルに入力されている場合に前記2次側コイルによって交流電力が受電されているか否かを判定する第2受電判定と、を行うものであり、
前記第2受電判定により前記2次側コイルによって交流電力が受電されていると判定された場合には、前記電力伝送が行われると判定する一方、前記第2受電判定により前記2次側コイルによって交流電力が受電されていないと判定された場合には、前記電力伝送が行われないと判定するものであり、
前記第1識別用電力の入力開始タイミングから、前記第2識別用電力の入力開始タイミングまでの期間は、前記複数の送電装置ごとに異なっていることを特徴とする非接触電力伝送システム。
【請求項2】
前記第1期間は、前記複数の送電装置において同一であり、
前記第1識別用電力の入力終了タイミングから、前記第2識別用電力の入力開始タイミングまでのインターバル期間は、前記複数の送電装置ごとに異なっている請求項1に記載の非接触電力伝送システム。
【請求項3】
前記インターバル期間は、前記送電装置の固有情報に基づいて決定されている請求項2に記載の非接触電力伝送システム。
【請求項4】
前記複数の送電装置は第1送電装置及び第2送電装置を有し、
前記第1送電装置の第1インターバル期間と、前記第2送電装置の第2インターバル期間との差は、前記第2期間よりも長い請求項2又は請求項3に記載の非接触電力伝送システム。
【請求項5】
前記複数の送電装置はそれぞれ、無線通信を行う送電側通信部を備え、
前記受電装置は、無線通信を行う受電側通信部を備え、
前記非接触電力伝送システムは、前記対象送電装置と前記受電装置とを、前記送電側通信部及び前記受電側通信部を介する接続が確立された接続状態に設定する接続状態設定部を備え、
前記接続状態に設定された前記対象送電装置は、前記接続状態が解除されるまで、他の前記受電装置と前記接続状態となることが規制されており、
前記伝送判定部は、前記接続状態設定部による設定が行われたことに基づいて、前記接続状態に設定された前記対象送電装置と前記受電装置との間で電力伝送が行われるか否かを判定するものである請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の非接触電力伝送システム。
【請求項6】
第1電源部から交流電力が入力される1次側コイル、及び、無線通信を行う送電側通信部を有する送電装置から非接触で交流電力を受電可能な受電装置において、
前記1次側コイルに入力される前記交流電力を受電可能な2次側コイルと、
通信可能な前記送電装置を把握する把握部と、
前記把握部によって前記送電装置が複数把握された場合には、前記把握部によって把握された前記複数の送電装置のうちの一つを対象送電装置に選んで、前記対象送電装置と前記受電装置との間で電力伝送を行うことが可能か否かを判定する伝送判定部と、を備え、
前記伝送判定部は、
前記対象送電装置の前記1次側コイルに対して、前記2次側コイルで受電されるか判定するための1回目の交流電力として第1識別用電力が第1期間に亘って前記第1電源部から入力されるよう前記対象送電装置に対して指示し、前記第1識別用電力が前記1次側コイルに入力されている場合に前記2次側コイルによって交流電力が受電されているか否かを判定する第1受電判定と、
前記第1受電判定により前記2次側コイルによって交流電力が受電されていると判定された場合に、再度、前記対象送電装置の前記1次側コイルに対して、前記2次側コイルで受電されるか判定するための2回目の交流電力として第2識別用電力が第2期間に亘って前記第1電源部から入力されるよう前記対象送電装置に対して指示し、前記第2識別用電力が前記1次側コイルに入力されている場合に前記2次側コイルによって交流電力が受電されているか否かを判定する第2受電判定と、を行うものであり、
前記第2受電判定により前記2次側コイルによって交流電力が受電されていると判定された場合には、前記電力伝送が行われると判定する一方、前記第2受電判定により前記2次側コイルによって交流電力が受電されていないと判定された場合には、前記電力伝送が行われないと判定するものであり、
前記第1識別用電力の入力開始タイミングから、前記第2識別用電力の入力開始タイミングまでの期間は、前記複数の送電装置ごとに異なっていることを特徴とする受電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触電力伝送システム及び受電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電源コードや送電ケーブルを用いない非接触電力伝送システムとして、例えば、交流電力が入力される1次側コイルを有する送電装置と、1次側コイルから非接触で交流電力を受電可能な2次側コイルを有する受電装置とを備えているものが知られている(例えば特許文献1参照)。かかる非接触電力伝送システムにおいては、例えば1次側コイルと2次側コイルとが磁場共鳴することにより、送電装置から受電装置に非接触で交流電力が伝送される。受電装置によって受電された交流電力は、例えば当該受電装置が搭載された車両の車両用バッテリの充電に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−106136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、公共施設の駐車場等、複数の車両が駐車され得る場所においては、送電装置が複数設けられる場合がある。この場合、複数の送電装置のうちいずれの送電装置と受電装置との間で電力伝送が行われるかを把握する必要が生じる。
【0005】
本発明の目的は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、電力伝送が行われる送電装置と受電装置との組み合わせを好適に把握できる非接触電力伝送システム及び受電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する非接触電力伝送システムは、第1電源部から交流電力が入力される1次側コイルを有する複数の送電装置と、前記1次側コイルに入力される前記交流電力を非接触で受電可能な2次側コイルを有する受電装置と、を備えた非接触電力伝送システムにおいて、前記受電装置は、通信可能な前記送電装置を把握する把握部を備え、前記非接触電力伝送システムは、前記把握部によって前記送電装置が複数把握された場合には、前記把握部によって把握された前記複数の送電装置のうちの一つを対象送電装置に選んで、前記対象送電装置と前記受電装置との間で電力伝送を行うことが可能か否かを判定する伝送判定部を備え、前記伝送判定部は、前記対象送電装置の前記1次側コイルに対して、前記2次側コイルで受電されるか判定するための1回目の交流電力として第1識別用電力が第1期間に亘って前記第1電源部から入力されるように前記対象送電装置を制御し、前記第1識別用電力が前記1次側コイルに入力されている場合に前記2次側コイルによって交流電力が受電されているか否かを判定する第1受電判定と、前記第1受電判定により交流電力が受電されていると判定された場合に、再度、前記対象送電装置の前記1次側コイルに対して、前記2次側コイルで受電されるか判定するための2回目の交流電力として第2識別用電力が第2期間に亘って前記第1電源部から入力されるように前記対象送電装置を制御し、前記第2識別用電力が前記1次側コイルに入力されている場合に前記2次側コイルによって交流電力が受電されているか否かを判定する第2受電判定と、を行うものであり、前記第2受電判定により前記2次側コイルによって交流電力が受電されていると判定された場合には、前記電力伝送が行われると判定する一方、前記第2受電判定により前記2次側コイルによって交流電力が受電されていないと判定された場合には、前記電力伝送が行われないと判定するものであり、前記第1識別用電力の入力開始タイミングから、前記第2識別用電力の入力開始タイミングまでの期間は、前記複数の送電装置ごとに異なっていることを特徴とする。
【0007】
かかる構成によれば、伝送判定部によって、複数の送電装置のうちいずれかを対象送電装置とする第1識別用電力を用いた第1受電判定が行われ、当該第1受電判定の判定結果が肯定判定である場合に、第2識別用電力を用いた第2受電判定が行われる。そして、第2受電判定の判定結果が肯定判定である場合に、対象送電装置と受電装置との間で電力伝送が行われると判定される。これにより、電力伝送が行われる組み合わせを好適に把握できる。
【0008】
ここで、第1識別用電力の入力開始タイミングから第2識別用電力の入力開始タイミングまでの期間は複数の送電装置ごとに異なっている。これにより、仮に2つの1次側コイルに対して同時に第1識別用電力が入力されることに起因して、第1受電判定の判定結果が誤って肯定判定となった場合であっても、第2識別用電力の入力開始タイミングが異なることにより、第2受電判定の判定結果が否定判定となり得る。よって、伝送判定部の判定精度の向上を図ることができる。
【0009】
上記非接触電力伝送システムについて、前記第1期間は、前記複数の送電装置において同一であり、前記第1識別用電力の入力終了タイミングから、前記第2識別用電力の入力開始タイミングまでのインターバル期間は、前記複数の送電装置ごとに異なっているとよい。かかる構成によれば、第1期間を変動させる必要がないため、第1期間を変動させることによる不都合、例えば第1期間を変動させるために第1期間が長くなり、その結果第1受電判定に要する時間が長くなったり無駄な電力消費が大きくなったりすることを抑制できる。
【0010】
上記非接触電力伝送システムについて、前記インターバル期間は、前記送電装置の固有情報に基づいて決定されているとよい。かかる構成によれば、インターバル期間は、送電装置の固有情報に基づいて決定されている。これにより、複数の送電装置ごとにインターバル期間を容易に異ならせることができる。
【0011】
上記非接触電力伝送システムについて、前記複数の送電装置は第1送電装置及び第2送電装置を有し、前記第1送電装置の第1インターバル期間と、前記第2送電装置の第2インターバル期間との差は、前記第2期間よりも長いとよい。かかる構成によれば、仮に各送電装置の1次側コイルに対する第1識別用電力の入力終了タイミングが同一であっても、第1送電装置の1次側コイルに第2識別用電力が入力される時間と、第2送電装置の1次側コイルに第2識別用電力が入力される時間とは、重ならないようになっている。これにより、第2識別用電力が入力される時間が一部重なることに起因する第2受電判定の誤判定を抑制できる。
【0012】
上記非接触電力伝送システムについて、前記複数の送電装置はそれぞれ、無線通信を行う送電側通信部を備え、前記受電装置は、無線通信を行う受電側通信部を備え、前記非接触電力伝送システムは、前記対象送電装置と前記受電装置とを、前記送電側通信部及び前記受電側通信部を介する接続が確立された接続状態に設定する接続状態設定部を備え、前記接続状態に設定された前記対象送電装置は、前記接続状態が解除されるまで、他の前記受電装置と前記接続状態となることが規制されており、前記伝送判定部は、前記接続状態設定部による設定が行われたことに基づいて、前記接続状態に設定された前記対象送電装置と前記受電装置との間で電力伝送が行われるか否かを判定するものであるとよい。かかる構成によれば、対象送電装置と受電装置とが接続状態に設定されたことに基づいて、伝送判定部による判定が行われる。接続状態となった対象送電装置は、接続状態が解除されるまで、他の受電装置と接続状態となることが規制されている。これにより、例えば1つの送電装置と複数の受電装置とを対象とする伝送判定部による判定が行われることがない。よって、伝送判定部の誤判定を抑制できる。
【0013】
上記目的を達成する受電装置は、第1電源部から交流電力が入力される1次側コイル、及び、無線通信を行う送電側通信部を有する送電装置から非接触で交流電力を受電可能な受電装置において、前記1次側コイルに入力される前記交流電力を受電可能な2次側コイルと、通信可能な前記送電装置を把握する把握部と、前記把握部によって前記送電装置が複数把握された場合には、前記把握部によって把握された前記複数の送電装置のうちの一つを対象送電装置に選んで、前記対象送電装置と前記受電装置との間で電力伝送を行うことが可能か否かを判定する伝送判定部と、を備え、前記伝送判定部は、前記対象送電装置の前記1次側コイルに対して、前記2次側コイルで受電されるか判定するための1回目の交流電力として第1識別用電力が第1期間に亘って前記第1電源部から入力されるよう前記対象送電装置に対して指示し、前記第1識別用電力が前記1次側コイルに入力されている場合に前記2次側コイルによって交流電力が受電されているか否かを判定する第1受電判定と、前記第1受電判定により前記2次側コイルによって交流電力が受電されていると判定された場合に、再度、前記対象送電装置の前記1次側コイルに対して、前記2次側コイルで受電されるか判定するための2回目の交流電力として第2識別用電力が第2期間に亘って前記第1電源部から入力されるよう前記対象送電装置に対して指示し、前記第2識別用電力が前記1次側コイルに入力されている場合に前記2次側コイルによって交流電力が受電されているか否かを判定する第2受電判定と、を行うものであり、前記第2受電判定により前記2次側コイルによって交流電力が受電されていると判定された場合には、前記電力伝送が行われると判定する一方、前記第2受電判定により前記2次側コイルによって交流電力が受電されていないと判定された場合には、前記電力伝送が行われないと判定するものであり、前記第1識別用電力の入力開始タイミングから、前記第2識別用電力の入力開始タイミングまでの期間は、前記複数の送電装置ごとに異なっていることを特徴とする。
【0014】
かかる構成によれば、伝送判定部によって、複数の送電装置のうちいずれかを対象送電装置とする第1識別用電力を用いた第1受電判定が行われ、当該第1受電判定の判定結果が肯定判定である場合に、第2識別用電力を用いた第2受電判定が行われる。そして、第1識別用電力の入力開始タイミングから第2識別用電力の入力開始タイミングまでの期間は複数の送電装置ごとに異なっている。これにより、仮に2つの1次側コイルに対して同時に第1識別用電力が入力されることに起因して、第1受電判定の判定結果が誤って肯定判定となった場合であっても、第2識別用電力の入力開始タイミングが異なることにより、第2受電判定の判定結果が否定判定となり得る。よって、伝送判定部の判定精度の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、電力伝送が行われる送電装置と受電装置との組み合わせを好適に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】非接触電力伝送システムの概要を示す斜視図。
図2】非接触電力伝送システムの電気的構成を示すブロック図。
図3】第1のケースを示すタイミングチャートであり、(a)は第1受電装置の受電態様を示し、(b)は第1送電装置の送電態様を示し、(c)は第2送電装置の送電態様を示し、(d)は第2受電装置の受電態様を示す。
図4】第1のケースを示す模式図。
図5】第2のケースを示す模式図。
図6】第2のケースを示すタイミングチャートであり、(a)は第1受電装置の受電態様を示し、(b)は第2受電装置の受電態様を示し、(c)は第1送電装置の送電態様を示し、(d)は第2送電装置の送電態様を示す。
図7】第3のケースを示すタイミングチャートであり、(a)は第1受電装置の受電態様を示し、(b)は第2受電装置の受電態様を示し、(c)は第1送電装置の送電態様を示し、(d)は第2送電装置の送電態様を示す。
図8】第4のケースを示すタイミングチャートであり、(a)は第1受電装置の受電態様を示し、(b)は第2受電装置の受電態様を示し、(c)は第1送電装置の送電態様を示し、(d)は第2送電装置の送電態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、非接触電力伝送システムを車両に適用した一実施形態について説明する。
図1に示すように、非接触電力伝送システム10は、非接触で電力伝送が可能な送電装置11(充電スタンド)及び受電装置12(車両側装置)を備えている。受電装置12は、車両Cに搭載されている。
【0018】
送電装置11は、車両Cが駐車可能な複数の駐車スペースS1,S2に対応させて複数設置されている。この場合、説明の便宜上、第1駐車スペースS1付近に設置されている送電装置11を第1送電装置11aといい、第2駐車スペースS2付近に設置されている送電装置11を第2送電装置11bという。各送電装置11a,11bは同一である。
【0019】
図2に示すように、第1送電装置11aは、予め定められた周波数の交流電力を出力可能な第1電源部21aを備えている。第1電源部21aは、インフラとしての系統電源Eから入力される系統電力を交流電力に変換し、変換された交流電力を出力する。そして、第1送電装置11aは、第1電源部21aから出力される交流電力が入力される第1の1次側コイル(送電部)22aを備えている。
【0020】
第1送電装置11aは、当該第1送電装置11aの各種制御を行う送電側制御部としての第1送電側コントローラ23aと、無線通信を行う第1送電側通信部24aとを備えている。第1送電側コントローラ23aは、第1送電側通信部24aから信号が入力されるものであって、第1送電側通信部24aから所定の信号が送信されるよう第1送電側通信部24aを制御する。
【0021】
第2送電装置11bは、第1送電装置11aと同様に、第2電源部21b、第2の1次側コイル22b、第2送電側コントローラ23b及び第2送電側通信部24bを備えている。これらの構成は、第1送電装置11aの各構成と同一であるため、説明を省略する。
【0022】
ここで、図1に示すように、各1次側コイル22a,22bは、各駐車スペースS1,S2にそれぞれ1つずつ配置されている。詳細には、第1の1次側コイル22aは第1駐車スペースS1に配置されており、第2の1次側コイル22bは第2駐車スペースS2に配置されている。
【0023】
受電装置12は、各1次側コイル22a,22bのいずれかから非接触で交流電力を受電可能な2次側コイル(受電部)31を備えている。各1次側コイル22a,22bと2次側コイル31とは磁場共鳴可能に構成されている。例えば、各1次側コイル22a,22bにはそれぞれ、直列又は並列に1次側コンデンサ(図示略)が接続されており、共振回路が形成されている。同様に、2次側コイル31には、直列又は並列に2次側コンデンサ(図示略)が接続されており、共振回路が形成されている。そして、第1の1次側コイル22aを含む共振回路、第2の1次側コイル22bを含む共振回路、及び2次側コイル31を含む共振回路の共振周波数は同一に設定されている。
【0024】
かかる構成によれば、2次側コイル31が、各1次側コイル22a,22bのいずれかと磁場共鳴可能な位置に配置されている状況において、当該磁場共鳴可能な1次側コイルに交流電力が入力された場合、当該1次側コイルを含む共振回路と、2次側コイル31を含む共振回路とが磁場共鳴する。これにより、2次側コイル31は、非接触で上記1次側コイルから交流電力を受電する。なお、各電源部21a,21bから出力される交流電力の周波数は、上記各共振回路の共振周波数と同一又はそれに近づくように設定されているとよい。
【0025】
図1に示すように、2次側コイル31は、各1次側コイル22a,22bのいずれかと対向配置が可能な位置、詳細には車両Cの底部に配置されている。車両Cが各駐車スペースS1,S2のいずれかに駐車された場合には、2次側コイル31は、駐車された駐車スペースに設置されている1次側コイルと対向して、当該1次側コイルと磁場共鳴可能な位置に配置される。
【0026】
図2に示すように、受電装置12は、2次側コイル31によって受電された交流電力を整流する整流器32と、整流器32によって整流された直流電力が入力される車両用バッテリ33とを備えている。これにより、車両用バッテリ33が充電される。
【0027】
また、受電装置12は、2次側コイル31によって受電された交流電力(以降単に受電電力という)を検知する検知部34を備えている。検知部34は、その検知結果を、受電装置12に設けられた受電側制御部としての受電側コントローラ35に送信する。これにより、受電側コントローラ35は、受電電力を把握できる。つまり、受電側コントローラ35は、検知部34の検知結果に基づいて、受電電力の電力値、受電電力が検知されたタイミング(時間)等の受電電力のパターンを把握するものである。
【0028】
また、受電装置12は、車両用バッテリ33の充電状態(SOC)を検出し、その検出結果を受電側コントローラ35に送信するSOCセンサ(図示略)を備えている。これにより、受電側コントローラ35は、車両用バッテリ33の充電状態を把握できる。
【0029】
受電装置12は、無線通信を行うものであって、各送電側通信部24a,24bと信号のやり取りが可能な受電側通信部36を備えている。受電側コントローラ35は、受電側通信部36から信号が入力されるものであって、所定の信号が送信されるよう受電側通信部36を制御する。
【0030】
なお、各送電側通信部24a,24b及び受電側通信部36の無線通信可能範囲は、第1駐車スペースS1及び第2駐車スペースS2よりも広く設定されている。このため、複数の送電装置11が設置されている本実施形態では、複数の送電装置11が受電側通信部36の無線通信可能範囲に含まれる。つまり、受電側通信部36は、複数の送電装置11の送電側通信部(第1送電側通信部24a及び第2送電側通信部24b)と無線通信可能となる。なお、各通信部24a,24b,36の通信方式としては、例えばBluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)及びWi−fi等が考えられる。
【0031】
本実施形態の非接触電力伝送システム10は、電力伝送が行われる送電装置11と受電装置12との組み合わせを把握する構成を備えている。当該構成について以下詳細に説明する。
【0032】
図2に示すように、受電側コントローラ35は、自身の周囲に存在する送電装置11を把握する把握部41を備えている。把握部41は、予め定められた応答要求信号として探索信号がブロードキャストで送信されるよう受電側通信部36を制御する。送電側コントローラ23a,23bは、送電側通信部24a,24bによって上記探索信号が受信された場合、接続継続状態か否かを判定する。送電側コントローラ23a,23bは、接続継続状態でない場合には、送電装置11a,11bに関する情報である送電装置11a,11bの識別情報が含まれた探索応答信号が受電側通信部36に向けて送信されるよう送電側通信部24a,24bを制御する。一方、送電側コントローラ23a,23bは、接続継続状態である場合には探索応答信号が送信されないよう送電側通信部24a,24bを制御する。接続継続状態については後述する。
【0033】
かかる構成において、把握部41は、受電側通信部36によって受信された探索応答信号に基づいて、当該受電側通信部36と無線通信可能な送電側通信部を有する送電装置11を把握し、当該送電装置11のリストを作成する。
【0034】
なお、本実施形態では、第1送電装置11aが有する第1の1次側コイル22aの数は1つである。つまり、第1送電装置11aと第1の1次側コイル22aとは1対1で対応している。このため、第1送電装置11aの識別情報は、第1の1次側コイル22aに関する情報とも言える。第2送電装置11bの識別情報についても同様である。
【0035】
受電側コントローラ35は、把握部41によって複数の送電装置11が把握された場合には、上記複数の送電装置11のうち未接続状態の1の送電装置11と受電装置12とを、当該1の送電装置11の送電側通信部と受電側通信部36とを介する接続が確立された接続状態(又は通信確立状態)に設定する接続状態設定部42を備えている。なお、未接続状態とは、接続状態でもなく接続継続状態でもない状態である。
【0036】
接続状態設定部42は、複数の送電装置11のうち1の送電装置11として例えば第1送電装置11aを選択する。そして、接続状態設定部42は、受電側通信部36を用いて、選択された第1送電装置11aの第1送電側通信部24aに対して接続要求信号を送信する。
【0037】
第1送電側コントローラ23aは、第1送電側通信部24aによって上記接続要求信号が受信された場合、第1送電装置11aが接続状態か未接続状態かを判定する。第1送電側コントローラ23aは、第1送電装置11aが未接続状態である場合には、第1送電装置11aを、受電装置12と接続された接続状態に設定するとともに、第1送電側通信部24aを用いて接続状態応答信号を送信する。接続状態設定部42は、受電側通信部36によって接続状態応答信号が受信されることにより、受電装置12を第1送電装置11aと接続された接続状態に設定する。これにより、第1送電装置11aと受電装置12との間で、受電電力に関する情報等のやり取りが可能となる。
【0038】
換言すれば、接続状態とは、受電電力に関する情報のやり取りが可能となる状態であるとも言える。また、接続状態とは、第1送電装置11aと受電装置12とが、第1送電側通信部24a及び受電側通信部36を介して互いに情報のやり取りを行うことを確立(認証)したペアリング状態であるとも言える。
【0039】
なお、接続状態設定部42は、接続状態となったことに基づいて、所定の記憶領域に、接続状態であることを示すフラグを設定する。これにより、受電側コントローラ35は、上記フラグの有無を確認することにより、接続状態であるか否かを把握できる。同様に、第1送電側コントローラ23aは、接続状態となったことに基づいて、所定の記憶領域に、接続状態であることを示すフラグを設定する。
【0040】
一方、第1送電側コントローラ23aは、第1送電装置11aが既に接続状態である場合には、第1送電側通信部24aを用いて接続を拒否する接続拒否信号を受電側通信部36に送信する。ここで、第1送電装置11aが接続状態である場合、当該第1送電装置11aは、接続要求信号を送信した受電装置12とは別の受電装置12と接続状態となっていることを意味する。つまり、第1送電装置11aは、同時に複数の受電装置12と接続状態となることが規制されている。
【0041】
接続状態設定部42は、受電側通信部36によって接続拒否信号が受信された場合には、把握部41によって把握された複数の送電装置11のうち別の送電装置11(例えば第2送電装置11b)と接続状態となるための処理(接続要求)を実行する。つまり、接続状態設定部42は、把握部41によって把握された複数の送電装置11のうち未接続状態の送電装置11が見つかるまで順次接続要求を行う。
【0042】
なお、接続状態設定部42は、把握部41によって把握された複数の送電装置11のうち全てに対して接続要求を行ったにも関わらず、接続状態とならなかった場合(接続が拒否された場合)には、所定期間を隔てて再度各送電装置11に対して順次接続要求を行う。そして、接続状態設定部42は、全送電装置11に対する接続要求を複数回行ったにも関わらず、接続状態とならなかった場合には、エラーであると判定する。
【0043】
ちなみに、接続状態設定部42は、把握部41によって作成されたリストに対して、各送電装置11の状態の設定及び更新を行うとよい。例えば、接続状態設定部42は、まず初期状態として、リストの各送電装置11を未接続中と設定する。そして、接続状態設定部42は、接続要求が拒否された送電装置11を保留中と更新し、接続状態に設定されその後当該接続状態が解除された送電装置11を伝送判定済みと更新してもよい。なお、接続状態設定部42は、保留中の送電装置11に対しては、状況によっては再度接続要求を行う場合があるが、伝送判定済みの送電装置11に対しては、再度接続要求を行わない。
【0044】
受電側コントローラ35は、接続状態設定部42によって接続状態に設定されたことに基づいて、当該接続状態に設定された1の送電装置11(例えば第1送電装置11a)と受電装置12との間で電力伝送が行われるか否かの伝送判定を行う伝送判定部43を備えている。接続状態に設定された送電装置11が対象送電装置に対応する。
【0045】
伝送判定部43は、受電側通信部36を用いて、接続状態の第1送電装置11aの第1の1次側コイル22aに識別用電力が入力されるよう第1送電側通信部24aに対して送電要求信号(指示信号)を送信する。
【0046】
第1送電側コントローラ23aは、第1送電側通信部24aによって上記送電要求信号が受信された場合に、交流電力として識別用電力が予め定められた第1期間T1に亘って第1の1次側コイル22aに入力されるよう第1電源部21aを制御する。
【0047】
伝送判定部43は、検知部34の検知結果に基づいて、第1の1次側コイル22aに識別用電力が入力されている状況において交流電力を受電しているか否かを判定する。
詳細には、伝送判定部43は、第1の1次側コイル22aに識別用電力が入力されている状況において2次側コイル31にて交流電力が受電されていない場合、今回接続状態となった1の送電装置11(第1送電装置11a)と受電装置12との間で電力伝送が行われないと判定する。
【0048】
ちなみに、「交流電力が受電されている場合」とは、例えば検知部34によって、予め定められた閾値以上の電力値の交流電力が検知されている場合等が考えられる。この場合、閾値は、例えば、識別用電力の電力値に対して、予め定められた閾値効率を乗算した値等であってもよい。
【0049】
なお、上記一連の処理、すなわち第1の1次側コイル22aに識別用電力を入力させ、当該識別用電力が第1の1次側コイル22aに入力されている場合に2次側コイル31によって交流電力が受電されているか否かを判定する処理を第1受電判定という。
【0050】
一方、伝送判定部43は、第1受電判定により交流電力が受電されていると判定された場合、第2受電判定を行う。詳細には、伝送判定部43は、識別用電力が第2期間T2に亘って第1の1次側コイル22aに入力されるように第1送電側コントローラ23aを指示し、2次側コイル31にて交流電力が受電されているか否かを判定する。なお、本実施形態では、第1期間T1と第2期間T2とは同一である。
【0051】
ここで、伝送判定部43は、1回目の識別用電力の入力終了タイミングから、2回目の識別用電力の入力開始タイミングまでの第1インターバル期間Ti1を、対象送電装置である第1送電装置11aの固有情報23aaに基づいて決定する。そして、伝送判定部43は、1回目の識別用電力の入力終了タイミングから第1インターバル期間Ti1が経過したタイミングで2回目の識別用電力が入力されるよう第1送電側コントローラ23aを指示する。詳細には、伝送判定部43は、1回目の識別用電力の入力終了タイミングから第1インターバル期間Ti1が経過したタイミングで2回目の送電要求信号が送信されるようにする。
【0052】
なお、送電側コントローラ23a,23bは、送電装置11a,11bの固有情報23aa,23bbを備えている。伝送判定部43は、第1受電判定を実行する前段階にて、接続状態の送電装置11(第1送電装置11a又は第2送電装置11b)から固有情報(固有情報23aa又は固有情報23bb)を取得しておく。そして、伝送判定部43は、当該固有情報を用いてインターバル期間(第1インターバル期間Ti1又は第2インターバル期間Ti2)を決定する。
【0053】
なお、固有情報は、対象送電装置となる送電装置11(接続状態に設定される送電装置11)ごとに異なっていれば任意であるが、例えば送電装置11の識別情報や、送電側通信部24a,24bが受電側通信部36と通信を行うのに用いるチャネル情報等が考えられる。また、PANIDやSSIDなどの通信ID情報であってもよい。
【0054】
また、対象送電装置が第1送電装置11aである場合の第1インターバル期間Ti1と、第2送電装置11bに対応する第2インターバル期間Ti2との差は、第2期間T2よりも長くなるように設定されている。なお、第1期間T1は、各送電装置11に関わらず同一である。
【0055】
伝送判定部43は、第2受電判定により交流電力が受電されていると判定された場合には、今回接続状態となった1の送電装置11(第1送電装置11a)と受電装置12との間で電力伝送が行われると判定する。一方、伝送判定部43は、第2受電判定により交流電力が受電されていないと判定された場合には、今回接続状態となった1の送電装置11と受電装置12との間で電力伝送が行われないと判定する。
【0056】
つまり、本実施形態では、伝送判定部43は、第1受電判定及び第2受電判定の双方において2次側コイル31にて交流電力が受電されていると判定された場合に、今回接続状態となった1の送電装置11と受電装置12とが電力伝送が行われる組み合わせであると判定する。
【0057】
伝送判定部43による伝送判定は、接続状態設定部42による接続状態の設定が行われたことに基づいて実行されることに着目すれば、接続状態の設定は、伝送判定を行うための条件であるとも言える。
【0058】
図2に示すように、受電側コントローラ35は、伝送判定部43の判定結果に基づいて、接続状態の継続又は解除を行う継続判定部44を備えている。
継続判定部44は、伝送判定部43により接続状態の1の送電装置11(例えば第1送電装置11a)及び受電装置12間で電力伝送が行われると判定された場合には、接続状態を継続する。詳細には、継続判定部44は、受電側通信部36を用いて、接続状態の継続を要求する継続要求信号を第1送電側通信部24aに送信する。第1送電側コントローラ23aは、第1送電側通信部24aによって継続要求信号が受信された場合に、現状の接続状態を継続すると決定するともに、第1送電側通信部24aを用いて継続応答信号を受電側通信部36に送信する。継続判定部44は、受電側通信部36によって継続応答信号が受信された場合に、接続状態を継続すると決定する。
【0059】
なお、以降の説明において、継続判定部44により接続状態を継続することが判定された状態を接続継続状態とする。また、第1送電側コントローラ23a及び受電側コントローラ35の継続判定部44は、接続状態を継続すると決定した場合に、接続状態を示すフラグを消去し、所定の記憶領域に、接続継続状態を示すフラグを設定する。これにより、第1送電側コントローラ23a及び受電側コントローラ35は、接続継続状態か否かを把握できる。
【0060】
つまり、送電装置11及び受電装置12は、接続状態、接続継続状態、又は、接続状態でもなく接続継続状態でもない未接続状態の3つの状態となり得る。そして、送電側コントローラ23a,23b及び受電側コントローラ35は、現在の状態が上記3つの状態(未接続状態、接続状態、接続継続状態)のいずれであるかを把握可能に構成されている。
【0061】
一方、継続判定部44は、伝送判定部43により第1送電装置11a及び受電装置12間で電力伝送が行われないと判定された場合には、接続状態を解除して、第1送電装置11a及び受電装置12を未接続状態に設定する。詳細には、継続判定部44は、第1送電装置11aとの接続を解除するとともに接続状態を示すフラグを消去する。そして、継続判定部44は、受電側通信部36を用いて、接続状態の解除を要求する解除要求信号を第1送電側通信部24aに送信する。第1送電側コントローラ23aは、第1送電側通信部24aによって解除要求信号が受信された場合に、受電装置12との接続状態を解除し、接続状態を示すフラグを消去する。
【0062】
非接触電力伝送システム10は、継続判定部44により接続状態を継続すると判定された場合に、予め定められた終了条件が成立するまで、接続継続状態の送電装置11(例えば第1送電装置11a)と受電装置12との間で電力伝送が行われるように構成されている。
【0063】
詳細には、受電側コントローラ35は、受電側通信部36を用いて、交流電力として識別用電力よりも電力値が大きい充電用電力を要求する充電要求信号を第1送電側通信部24aに送信する。第1送電側コントローラ23aは、第1送電側通信部24aによって充電要求信号が受信された場合に、第1の1次側コイル22aに対して充電用電力が入力されるよう第1電源部21aを制御する。これにより、第1送電装置11aから受電装置12に向けて充電用電力が伝送され、車両用バッテリ33が充電される。
【0064】
受電側コントローラ35は、充電用電力による電力伝送が行われている間、定期的に受電電力の電力値を把握し、その把握結果に関する情報を、受電側通信部36を用いて第1送電側通信部24aに送信する。第1送電側コントローラ23aは、第1送電側通信部24aによって上記情報が受信された場合に、受電電力の電力値が所望の電力値となるように第1電源部21aを制御する。つまり、車両用バッテリ33の充電中、第1送電側通信部24a及び受電側通信部36を介して、情報のやり取りが行われる。
【0065】
また、受電側コントローラ35は、終了条件が成立しているか否かを判定し、終了条件が成立している場合には、受電側通信部36を用いて、充電終了を要求する充電終了要求信号を第1送電側通信部24aに送信する。第1送電側コントローラ23aは、第1送電側通信部24aによって充電終了要求信号が受信された場合に、充電用電力の出力が停止するよう第1電源部21aを制御する。
【0066】
ここで、終了条件とは、例えば車両用バッテリ33の充電状態(SOC)が満充電状態(充電終了契機状態)となった場合、又は、電力伝送に何らかの支障が生じた場合等が考えられる。
【0067】
また、終了条件としてはこれに限られず、例えば各送電装置11a,11bに終了スイッチが設けられている構成においては、終了条件として終了スイッチが操作された場合を採用してもよい。この場合、送電側コントローラ23a,23bが、終了スイッチが操作されたか否かの判定を行うとよい。つまり、終了条件は任意であり、且つ、終了条件が成立したか否かの判定の実行主体は、受電側コントローラ35であってもよいし、送電側コントローラ23a,23bであってもよい。
【0068】
非接触電力伝送システム10は、継続判定部44により接続状態が解除された場合には、把握部41によって把握された複数の送電装置11のうち、接続状態が解除された1の送電装置11(伝送判定済みの送電装置11)とは別の送電装置11と受電装置12とが、電力伝送が行われる組み合わせであるか否かを判定するよう構成されている。
【0069】
詳細には、接続状態設定部42は、継続判定部44により接続状態が解除された場合に、接続状態が解除された送電装置11(例えば第1送電装置11a)とは別の未接続状態の送電装置11(例えば第2送電装置11b)と受電装置12とを接続状態に設定する。そして、伝送判定部43は、新たに設定された接続状態の第2送電装置11bと受電装置12との間で電力伝送が行われるか否かの判定(第1受電判定及び第2受電判定)を行う。継続判定部44は、第2送電装置11bと受電装置12とを対象とする伝送判定部43の判定結果に基づいて、第2送電装置11bと受電装置12との接続状態を継続するか否かを判定する。これらの具体的な構成については、第1送電装置11aと受電装置12とが接続状態である場合と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0070】
ちなみに、接続状態設定部42は、継続判定部44により接続状態が解除されたことに基づいて、新たな接続状態の設定(接続要求)を行うよう構成されている。つまり、受電装置12は、同時に複数の送電装置11と接続状態となることが規制されている。
【0071】
ここで、既に説明した通り、把握部41は、接続応答信号に基づいて、送電装置11を把握する。当該接続応答信号は、接続継続状態でない場合には送信される一方、接続継続状態である場合には送信されない。このため、把握部41としては、複数の送電装置11のうち、受電側通信部36と無線通信が可能な送電側通信部を有し、且つ、接続継続状態以外のもの(未接続状態又は接続状態であるもの)を把握する。なお、受電側通信部36と無線通信が可能な送電側通信部とは、受電側通信部36に対して予め定められた特定距離(受電側通信部36が通信可能な距離)内に存在するものであるとも言える。
【0072】
なお、接続状態設定部42は、把握部41によって把握された送電装置11が1つである場合には、その把握された送電装置11と受電装置12とを接続状態に設定する。そして、伝送判定部43は、当該接続状態となった送電装置11及び受電装置12間で電力伝送が行われるか否かを判定する。そして、継続判定部44は、伝送判定部43の判定結果が肯定判定である場合(第2受電判定において2次側コイル31に交流電力が受電された場合)には、接続状態を継続し、充電用電力を用いた電力伝送処理を実行する。
【0073】
次に本実施形態の作用について図3図8を用いて説明する。なお、図3及び図6図8においては、各1次側コイル22a,22b及び2次側コイル31a,31bに入力される電力値の態様を示すとともに、通信態様を矢印で示す。この場合、図示の都合上、一部の矢印については、同一タイミングであっても適宜ずらして示す。例えば、図3等において、送電要求信号が送信されるタイミングと識別用電力が入力されるタイミングとは、ずれているが、実際にはほぼ同一である。
【0074】
さらに、図3及び図6図8においては、各送電装置11a,11b及び各受電装置12a,12bの状態(未接続状態、接続状態、接続継続状態)を合わせて示す。詳細には、接続状態である期間を二点鎖線の矢印で示し、接続継続状態である期間を一点鎖線の矢印で示す。なお、一点鎖線の矢印及び二点鎖線の矢印が記載されていない期間は、未接続状態である。
【0075】
まず、第1のケース(場合)として、図4に示すように、第1駐車スペースS1に第1車両C1が配置された場合を想定する。この場合、第1車両C1が第1駐車スペースS1に配置されたタイミングでは、各送電装置11a,11bは未接続状態であったものとする。そして、第1車両C1に搭載された受電装置12(以降第1受電装置12aという)への電力伝送中に、受電装置12(以降第2受電装置12bという)が搭載された第2車両C2が第2駐車スペースS2に配置されたものとする。
【0076】
なお、説明の便宜上、以降の説明において、第1受電装置12aが有する2次側コイル31、受電側コントローラ35及び受電側通信部36を、第1の2次側コイル31a、第1受電側コントローラ35a及び第1受電側通信部36aとする。第2受電装置12bが有する2次側コイル31、受電側コントローラ35及び受電側通信部36を、第2の2次側コイル31b、第2受電側コントローラ35b及び第2受電側通信部36bとする。
【0077】
図3に示すように、第1車両C1が第1駐車スペースS1に配置された場合、まずt1のタイミングにて、第1受電装置12a(第1受電側コントローラ35a)の把握部41による送電装置11の把握が行われる。詳細には、探索信号がブロードキャストで送信される。この場合、各送電装置11a,11bは、接続継続状態ではない(未接続状態である)ため、各送電側通信部24a,24bから探索応答信号が送信される。これにより、把握部41によって、各送電装置11a,11bが把握される。
【0078】
その後、図3(a)及び図3(c)に示すように、t2のタイミングで、第1受電装置12aの接続状態設定部42は、各送電装置11a,11bのうち第2送電装置11bを選択し、第2送電装置11bに対して接続要求を行う。この場合、第2送電装置11bは、接続状態ではない(未接続状態である)ため、接続要求に応じる。これにより、第1受電装置12aと第2送電装置11bとが接続状態となる。
【0079】
その後、t3のタイミングで、第1受電側通信部36aから第2送電側通信部24bに向けて送電要求信号が送信される。これにより、第2の1次側コイル22bに識別用電力が第1期間T1に亘って入力される。この場合、第1受電装置12aの伝送判定部43によって、第1期間T1中に第1の2次側コイル31aにて交流電力が受電されているか否かの判定(第1受電判定)が行われる。
【0080】
ここで、本第1のケースでは、第1駐車スペースS1に第1車両C1が駐車されているため、第2の1次側コイル22bに識別用電力が入力された場合であっても、第1の2次側コイル31aには、交流電力は受電されない又は無視できる程度に小さい。このため、第1受電判定の判定結果は、第1の2次側コイル31aには交流電力が受電されていないことを示す否定判定となる。すると、t4のタイミングにて、第1受電装置12aと第2送電装置11bとの接続状態が解除される。
【0081】
第1受電装置12aと第2送電装置11bとの接続状態が解除されたことにより、第1受電装置12aは他の未接続状態の送電装置11(第1送電装置11a)と接続状態となることが可能となる。このため、図3(a)及び図3(b)に示すように、t5のタイミングにて、第1受電装置12aの接続状態設定部42は、第1送電装置11aに対して接続要求を行い、第1受電装置12aと第1送電装置11aとが接続状態となる。
【0082】
そして、t6のタイミングにて、第1受電側通信部36aから第1送電側通信部24aに向けて送電要求信号が送信される。これにより、第1の1次側コイル22aに識別用電力が第1期間T1に亘って入力される。そして、第1受電装置12aの伝送判定部43によって、第1受電判定が行われる。
【0083】
ここで、図3(a)及び図3(b)に示すように、第1の1次側コイル22aに識別用電力が入力されている場合、第1の2次側コイル31aによって識別用電力に対応した交流電力が受電される。これにより、第1受電装置12aの伝送判定部43の第1受電判定の判定結果は、第1の2次側コイル31aによって交流電力が受電されていることを示す肯定判定となる。
【0084】
第1受電判定の判定結果が肯定判定となった場合、第2受電判定が行われる。詳細には、t7のタイミングで、再度送電要求信号が送信される。これにより、再度識別用電力が第1の1次側コイル22aに第2期間T2に亘って入力される。この場合、1回目の識別用電力の入力終了タイミングから、2回目の識別用電力の入力開始タイミング(2回目の送電要求信号の送信タイミング)までの第1インターバル期間Ti1は、第1送電装置11aの固有情報23aaに基づいて決定される。
【0085】
また、第1の1次側コイル22aに再度識別用電力が入力された場合、第1の2次側コイル31aにて再度交流電力が受電されるため、第2受電判定の判定結果も肯定判定となる。
【0086】
第2受電判定の判定結果が肯定判定となったことに基づいて、第1受電装置12aと第1送電装置11aとが、電力伝送が行われる組み合わせであると判定される。この場合、t8のタイミングで、接続継続状態の設定に係る処理が行われ、第1受電装置12aと第1送電装置11aとが接続継続状態となる。
【0087】
接続継続状態となった後は、終了条件が成立するまで本格的な電力伝送が行われる。詳細には、t9のタイミングで、第1の1次側コイル22aに充電用電力が入力される(第1電源部21aから充電用電力が出力される)。そして、第1の2次側コイル31aによって、充電用電力に対応する交流電力が受電され、当該交流電力は車両用バッテリ33の充電に用いられる。
【0088】
かかる状態において、第2車両C2が第2駐車スペースS2に配置される。そして、図3(d)に示すように、t10のタイミングにて、第2受電装置12b(第2受電側コントローラ35b)の把握部41による把握が行われる。詳細には、第2受電側通信部36bから探索信号がブロードキャストで送信される。
【0089】
ここで、第1送電装置11aは接続継続状態となっている。このため、第1送電側通信部24aからは探索応答信号が送信されない。一方、第2送電装置11bは未接続状態であるため、第2送電側通信部24bからは探索応答信号が送信される。
【0090】
すなわち、把握部41によって把握される送電装置11から、接続継続状態のものが除外されている。一方、複数の送電装置11のうち、未接続状態、又は、接続状態であるものが把握部41によって把握される。その後、接続状態の設定等が行われる。
【0091】
t11のタイミングで、終了条件が成立した場合には、第1の1次側コイル22aへの充電用電力の入力が停止される。なお、充電用電力の入力の停止した後は、接続状態を解除してもよいし、第1車両C1が退出(移動)するまで接続状態を継続してもよい。
【0092】
次に、図5及び図6を用いて第2のケースについて説明する。
図5に示すように、第2のケースにおいては、2つの車両C1,C2がほぼ同時に駐車スペースS1,S2に進入し、第1駐車スペースS1に第1車両C1が配置され、第2駐車スペースS2に第2車両C2が配置されたとする。なお、各送電装置11a,11bは各車両C1,C2が進入してくる前は、未接続状態であるとする。
【0093】
かかる構成においては、第1送電装置11a(第1の1次側コイル22a)と第1受電装置12a(第1の2次側コイル31a)との間で電力伝送が行われ、第2送電装置11b(第2の1次側コイル22b)と第2受電装置12b(第2の2次側コイル31b)との間で電力伝送が行われる。
【0094】
図6に示すように、まずt21のタイミングで、第1受電装置12aの把握部41による把握処理が行われ、各送電装置11a,11bが把握される。同様に、t22のタイミングにて、第2受電装置12bの把握部41による把握処理が行われ、各送電装置11a,11bが把握される。
【0095】
その後、図6(a)及び図6(d)に示すように、t23のタイミングで、第1受電装置12aと第2送電装置11bとが接続状態となる。そして、t24のタイミングで、第1受電側通信部36aから第2送電側通信部24bに向けて送電要求信号が送信される。これにより、第2の1次側コイル22bに識別用電力が入力される。
【0096】
ここで、図6(b)及び図6(d)に示すように、t25のタイミングで、第2受電装置12bの接続状態設定部42が第2送電装置11bに対して接続要求を行う。この場合、第2送電装置11bは既に第1受電装置12aと接続状態となっているため、第2送電装置11bは、第2受電装置12bの接続状態設定部42からの接続要求を拒否する。このため、第2受電装置12bと第2送電装置11bとは接続状態とならない。
【0097】
この場合、図6(b)及び図6(c)に示すように、t26のタイミングで、第2受電装置12bの接続状態設定部42は、第1送電装置11aに対して接続要求を行い、第2受電装置12bと第1送電装置11aとが接続状態となる。
【0098】
図6(a)及び図6(d)に示すように、第2の1次側コイル22bに識別用電力が入力されている場合、第1の2次側コイル31aには、交流電力は受電されない。このため、第1受電装置12aの伝送判定部43による第1受電判定の判定結果は否定判定となる。この場合、t27のタイミングにて、第1受電装置12aと第2送電装置11bとの接続状態が解除される。
【0099】
その後、図6(a)及び図6(c)に示すように、t28のタイミングにて、第1受電装置12aの接続状態設定部42は、第1送電装置11aに対して接続要求を行う。この場合、第1送電装置11aは、既に第2受電装置12bと接続状態となっているため、当該接続要求を拒否する。
【0100】
また、図6(b)及び図6(c)に示すように、t29のタイミングで、第2受電側通信部36bから第1送電側通信部24aに向けて送電要求信号が送信され、第1の1次側コイル22aに識別用電力が入力される。この場合、第2の2次側コイル31bには交流電力が受電されない。このため、第2受電装置12bの伝送判定部43による第1受電判定の判定結果は否定判定となる。よって、t30のタイミングで、第2受電装置12bと第1送電装置11aとの接続状態が解除される。
【0101】
その後、図6(a)及び図6(c)に示すように、接続要求が拒否されたt28のタイミングから所定期間を隔てたt31のタイミングにて、第1受電装置12aの接続状態設定部42は、第1送電装置11aに対して再度接続要求を行う。この場合、第1送電装置11aは未接続状態であるため、第1送電装置11aは接続要求に応答する。これにより、第1受電装置12aと第1送電装置11aとが接続状態となる。
【0102】
その後、図6(b)及び図6(d)に示すように、t32のタイミングで、第2受電装置12bと第2送電装置11bとが接続状態となる。そして、図6(a)及び図6(c)に示すように、t33のタイミングで、第1受電側通信部36aから第1送電側通信部24aに向けて送電要求信号が送信され、第1の1次側コイル22aに識別用電力が入力される。この場合、図6(a)に示すように、第1の2次側コイル31aにて識別用電力に対応する交流電力が受電される。このため、第1受電判定の判定結果が肯定判定となり、第2受電判定が行われる。そして、第2受電判定の判定結果が肯定判定となることにより、接続状態が継続される。
【0103】
また、図6(b)及び図6(d)に示すように、t34のタイミングで、第2受電側通信部36bから第2送電側通信部24bに向けて送電要求信号が送信され、第2の1次側コイル22bに識別用電力が入力される。この場合、図6(b)に示すように、第2の2次側コイル31bにて識別用電力に対応する交流電力が受電される。このため、第1受電判定の判定結果が肯定判定となり、第2受電判定が行われる。そして、第2受電判定の判定結果が肯定判定となることにより、接続状態が継続される。
【0104】
以上のように、第2送電装置11bは、第1受電装置12aと接続状態となっている場合において第2受電装置12bから接続要求が行われた場合には、第2受電装置12bからの接続要求を拒否する。つまり、第2送電装置11bは、第1受電装置12aと接続状態となっている場合には、第2受電装置12bと接続状態とならないよう規制されている。そして、拒否された第2受電装置12bは、未接続状態の第1送電装置11aと接続状態となる。
【0105】
その後、電力伝送が行われる組み合わせでないと判定された場合(第1受電判定の判定結果が否定判定である場合)、接続状態が解除される。そして、第1受電装置12aは、第2送電装置11bとは別の第1送電装置11aと接続状態となり、第2受電装置12bは、第1送電装置11aとは別の第2送電装置11bと接続状態となる。そして、伝送判定部43の判定等が行われる。これにより、電力伝送が行われる組み合わせが把握されるまで、接続状態となる対象送電装置を異ならせながら、接続状態の設定から継続判定部44による継続判定までの一連の処理が実行される。
【0106】
次に図7を用いて第3のケースについて説明する。第3のケースは、第2のケースと同様に、2つの車両C1,C2がほぼ同時に駐車スペースS1,S2に進入し、第1駐車スペースS1に第1車両C1が配置され、第2駐車スペースS2に第2車両C2が配置されたものとする。
【0107】
図7に示すように、t41のタイミングで、第1受電装置12aの把握部41による把握処理が実行され、t42のタイミングで、第2受電装置12bの把握部41による把握処理が実行される。
【0108】
その後、図7(a)及び図7(d)に示すように、t43のタイミングで第1受電装置12aと第2送電装置11bとが接続状態となる。また、図7(b)及び図7(c)に示すように、t44のタイミングで、第2受電装置12bと第1送電装置11aとが接続状態となる。
【0109】
そして、t45のタイミングで、第1受電側通信部36aから第2送電側通信部24bに向かう送電要求信号と、第2受電側通信部36bから第1送電側通信部24aに向かう送電要求信号とが同時に送信されたとする。この場合、各1次側コイル22a,22bに識別用電力が同時に入力される。
【0110】
この場合、各2次側コイル31a,31bには、同時に識別用電力に対応する交流電力が受電される。すると、第1受電装置12aとしては、当該第1受電装置12aと接続状態となっている第2送電装置11bから交流電力を受電したと誤認するため、第1受電判定の判定結果は肯定判定となる。同様に、第2受電装置12bにおける第1受電判定の判定結果は肯定判定となる。
【0111】
その後、各受電装置12a,12bにおいて第2受電判定が行われる。この場合、第1送電装置11aの固有情報23aaに基づいて決定される第1インターバル期間Ti1と、第2送電装置11bの固有情報23bbに基づいて決定される第2インターバル期間Ti2とが異なっているため、2回目の送電要求信号の送信タイミングが異なっている。
【0112】
詳細には、図7(b)及び図7(c)に示すように、1回目の識別用電力の入力が終了したt46のタイミングから第1インターバル期間Ti1が経過したt47のタイミングにて第2受電側通信部36bから第1送電側通信部24aに向けて送電要求信号が送信され、第1の1次側コイル22aに2回目の識別用電力が入力される。この場合、第2の2次側コイル31bには交流電力が受電されないため、第2受電判定の判定結果は否定判定となる。このため、t48のタイミングにて、第2受電装置12bと第1送電装置11aとの接続状態が解除される。
【0113】
その後、図7(a)及び図7(d)に示すように、t46のタイミングから第2インターバル期間Ti2が経過したt49のタイミングにて、第1受電側通信部36aから第2送電側通信部24bに向けて2回目の送電要求信号が送信され、第2の1次側コイル22bに2回目の識別用電力が入力される。この場合、第1の2次側コイル31aには交流電力が受電されないため、第2受電判定の判定結果は否定判定となる。このため、t50のタイミングにて、第1受電装置12aと第2送電装置11bとの接続状態が解除される。
【0114】
ここで、各インターバル期間Ti1,Ti2の差は第2期間T2よりも長いため、仮に1回目の識別用電力の入力開始タイミング(入力終了タイミング)が同一であった場合であっても、2回目の識別用電力の入力時間がずれる。つまり、第1の1次側コイル22aへの識別用電力の入力が終了してから、第2の1次側コイル22bへの識別用電力が開始される。これにより、第1の1次側コイル22aに識別用電力が入力される時間と、第2の1次側コイル22bに識別用電力が入力される時間とが一部重なることによって生じ得る第2受電判定の誤認を抑制できる。
【0115】
次に図8を用いて第4のケースについて説明する。第4のケースは、第2車両C2が第2駐車スペースS2に進入して間もなく、第1車両C1が第1駐車スペースS1に進入したものとする。
【0116】
図8に示すように、t61のタイミングで、第2受電装置12bの把握部41による把握処理が実行され、t62のタイミングで、第1受電装置12aの把握部41による把握処理が実行される。
【0117】
その後、図8(b)及び図8(d)に示すように、t63のタイミングにて、第2受電装置12bと第2送電装置11bとが接続状態となり、t64のタイミングにて、第2受電側通信部36bから第2送電側通信部24bに向けて1回目の送電要求信号が送信される。これにより、第2の1次側コイル22bに対して1回目の識別用電力が入力され、第2の2次側コイル31bにて、識別用電力に対応する交流電力が受電される。そして、t65のタイミングにて、1回目の識別用電力の入力が停止する。
【0118】
その後、図8(a)及び図8(c)に示すように、t66のタイミングにて、第1受電装置12aと第1送電装置11aとが接続状態となり、t67のタイミングにて、第1受電側通信部36aから第1送電側通信部24aに向けて1回目の送電要求信号が送信される。これにより、第1の1次側コイル22aに対して1回目の識別用電力が入力され、第1の1次側コイル22aにて、識別用電力に対応する交流電力が受電される。そして、t68のタイミングにて、1回目の識別用電力の入力が停止する。
【0119】
そして、t68のタイミングから第1インターバル期間Ti1が経過したタイミングであって、t65のタイミングから第2インターバル期間Ti2が経過したタイミングであるt69のタイミングにて、各受電側通信部36a,36bから2回目の送電要求信号が送信される。これにより、各1次側コイル22a,22bに2回目の識別用電力が同時に入力され、各2次側コイル31a,31bによって、識別用電力に対応する交流電力が受電される。この場合、そのまま接続状態が継続され、充電用電力を用いた電力伝送処理が行われる。すなわち、各1次側コイル22a,22bに対して2回目の識別用電力が入力されるタイミングが同一であった場合であっても、誤認等は生じにくい。
【0120】
以上詳述した本実施形態によれば以下の優れた効果を奏する。
(1)受電装置12の受電側コントローラ35は、複数の送電装置11を把握する把握部41を備えている。そして、非接触電力伝送システム10は、把握部41によって複数の送電装置11が把握された場合には、把握部41によって把握された複数の送電装置11のうち対象送電装置(例えば第1送電装置11a)と受電装置12との間で電力伝送が行われるか否かを判定する伝送判定部43を備えている。伝送判定部43は、対象送電装置の1次側コイル(例えば第1の1次側コイル22a)に対して、識別用電力が第1期間T1に亘って入力されるように対象送電装置を制御し、識別用電力が1次側コイルに入力されている場合に2次側コイル31によって交流電力が受電されているか否かを判定する第1受電判定を行う。そして、伝送判定部43は、第1受電判定の判定結果が肯定判定であった場合に、再度、対象送電装置の1次側コイルに対して識別用電力が第2期間T2に亘って入力されるように対象送電装置を制御し、2次側コイル31によって交流電力が受電されているか否かを判定する第2受電判定を行う。そして、第2受電判定の判定結果が肯定判定である場合に、対象送電装置と受電装置12との間で電力伝送が行われると判定される。これにより、電力伝送が行われる組み合わせを好適に把握できる。特に、かかる構成によれば、検知部34の誤検知等によって第1受電判定の判定結果が誤って肯定判定となった場合であっても、第2受電判定の判定結果は否定判定となり得る。よって、伝送判定部43の判定精度の向上を図ることができる。
【0121】
(2)1回目の識別用電力の入力終了タイミングから、2回目の識別用電力の入力開始タイミングまでのインターバル期間Ti1,Ti2は、複数の送電装置11a,11bごとに異なっている。これにより、第3のケースにて示すように、仮に2つの1次側コイル22a,22bに対して同時に1回目の識別用電力が入力されることに起因して、第1受電判定の判定結果が誤って肯定判定となった場合であっても、2回目の識別用電力の入力開始タイミングが異なるため、第2受電判定の判定結果が否定判定となり得る。よって、伝送判定部43の判定精度の向上を図ることができる。
【0122】
(3)特に、1回目の識別用電力の入力開始タイミングから2回目の識別用電力の入力開始タイミングまでの期間を異ならせるために、第1期間T1ではなくインターバル期間Ti1,Ti2を異ならせる構成を採用した。これにより、第1期間T1を異ならせるために第1期間T1が長くなることを抑制できる。よって、第1受電判定に要する時間が長くなったり、無駄な電力消費が大きくなったりすることを抑制できる。
【0123】
(4)インターバル期間Ti1,Ti2は、送電装置11a,11bの固有情報23aa,23bbに基づいて決定されている。これにより、送電装置11a,11bごとにインターバル期間Ti1,Ti2を容易に異ならせることができる。
【0124】
(5)第1送電装置11aの第1インターバル期間Ti1と、第2送電装置11bの第2インターバル期間Ti2との差は、第2期間T2よりも長い。これにより、仮に各1次側コイル22a,22bに対する1回目の識別用電力の入力終了タイミングが同一であっても、各1次側コイル22a,22bに対して2回目の識別用電力が入力される時間が重ならないようになっている。よって、各1次側コイル22a,22bに対して2回目の識別用電力が入力されている時間が重なることに起因する第2受電判定の誤判定を抑制できる。
【0125】
また、上記構成であれば、第2受電判定としては、受電電力を検知したタイミングを考慮する必要がなく、単純に検知されたか否かを判定すればよい。よって、容易に第2受電判定を行うことができる。
【0126】
(6)非接触電力伝送システム10は、対象送電装置として未接続状態の送電装置11(例えば第1送電装置11a)と未接続状態の受電装置12とを、送電側通信部(例えば第1送電側通信部24a)及び受電側通信部36を介する接続が確立された接続状態に設定する接続状態設定部42を備えている。伝送判定部43は、接続状態に設定されたことに基づいて、当該接続状態の送電装置11と受電装置12との間で電力伝送が行われるか否かを判定する。そして、非接触電力伝送システム10は、伝送判定部43による判定結果が肯定判定である場合(電力伝送が行われる場合)には接続状態を継続する一方、伝送判定部43の判定結果が否定判定である場合(電力伝送が行われない場合)には接続状態を解除する継続判定部44を備えている。
【0127】
かかる構成によれば、複数の送電装置11のうち1の送電装置11と受電装置12とが接続状態となってから、伝送判定部43による判定が行われる。そして、伝送判定部43により電力伝送が行われると判定された場合には、接続状態が継続される。これにより、そのまま情報のやり取りを行いながら、接続継続状態となった送電装置11と受電装置12との間で電力伝送を行うことができる。
【0128】
また、接続状態設定部42が接続状態に設定する対象は、未接続状態の送電装置11及び未接続状態の受電装置12である。これにより、接続状態となった送電装置11と受電装置12とは、当該接続状態が解除されるまで、他の装置と接続状態となることが規制される。よって、例えば受電装置12が複数の送電装置11と同時に接続状態となることに起因して、電力伝送が行われる組み合わせを把握することができないという事態を抑制できる。
【0129】
特に、仮に受電装置12が複数の送電装置11と重複して接続状態となり、1の受電装置12から複数の送電装置11に対して送電要求信号が同時に送信されると、複数の1次側コイルに対して同時期に交流電力が入力される。この場合、複数の1次側コイルのうちいずれの1次側コイルから受電しているのか把握するべく、各1次側コイルに入力される交流電力の入力パターン(例えば入力時間等)を異ならせる必要が生じる。すると、制御の煩雑化が懸念される。これに対して、本実施形態では、既に接続状態となっている1の送電装置11と受電装置12との間で電力伝送が行われるか否かを判定すればよいため、制御の容易化を図ることができる。
【0130】
(7)把握部41は、複数の送電装置11のうち、受電側通信部36と無線通信が可能な送電側通信部(例えば第1送電側通信部24a)を有し、且つ、接続継続状態以外のもの(すなわち未接続状態又は接続状態の送電装置11)を把握する。これにより、把握部41の把握対象から、接続継続状態の送電装置11が除外されるため、把握される送電装置11の数を低減することができる。したがって、接続状態の設定及び伝送判定部43による判定の回数の低減を図ることができ、電力伝送が行われる組み合わせを把握するのに要する時間の短縮化を図ることができる。
【0131】
なお、接続継続状態の送電装置11は、既に伝送判定部43による判定により別の受電装置12と電力伝送が行われる組み合わせであると判定されたものであるため、今回の受電装置12と電力伝送が行われる組み合わせとなり得ない。よって、把握対象から除外しても、支障はない。
【0132】
一方、接続状態の送電装置11は、伝送判定部43の判定結果によっては接続状態が解除され得る。そして、当該接続状態の送電装置11は、今回の受電装置12と電力伝送が行われる組み合わせとなり得る。よって、上記のような接続状態の送電装置11も把握対象に含めることによって、電力伝送が行われる組み合わせを好適に把握できる。
【0133】
(8)把握部41は、応答要求信号として探索信号が送信されるよう受電側通信部36を制御する。送電側制御部としての送電側コントローラ23a,23bは、接続継続状態でない状況(未接続状態又は接続状態である状況)において送電側通信部24a,24bによって探索信号が受信された場合には、探索応答信号を受電側通信部36に送信するように送電側通信部24a,24bを制御する。一方、送電側コントローラ23a,23bは、接続継続状態である状況において送電側通信部24a,24bによって探索信号が受信された場合には、探索応答信号を送信しないように送電側通信部24a,24bを制御する。これにより、把握部41によって把握される対象から、接続継続状態の送電装置11が除外される。よって、比較的容易に(7)の効果を得ることができる。
【0134】
(9)接続状態設定部42は、継続判定部44により接続状態が解除された場合には、接続状態が解除された送電装置11(例えば第1送電装置11a)とは別の未接続状態の送電装置11(例えば第2送電装置11b)と未接続状態の受電装置12とを接続状態に設定する。そして、新たに接続状態に設定された送電装置11及び受電装置12を対象とする伝送判定部43による判定、及び、継続判定部44による判定が行われる。これにより、電力伝送が行われる組み合わせが把握されるまで、伝送判定部43及び継続判定部44による判定が順次行われるため、電力伝送が行われる組み合わせを好適に把握できる。
【0135】
(10)非接触電力伝送システム10は、継続判定部44によって接続状態を継続することが判定された場合に、予め定められた終了条件が成立するまで、接続継続状態の送電装置11の1次側コイル(例えば第1の1次側コイル22a)に、識別用電力よりも電力値が大きい送電用電力(充電用電力)が入力されるように構成されている。これにより、電力伝送が行われる組み合わせでないにも関わらず、充電用電力が1次側コイルに入力されることが回避されている。よって、無駄な電力損失を回避することができる。
【0136】
(11)接続状態設定部42は、未接続状態の送電装置11が見つかるまで(接続応答信号が受信されるまで)、把握部41によって把握された複数の送電装置11に対して順次接続要求を行う。これにより、接続状態の送電装置11の接続状態が解除されるのを待つことなく、接続状態を設定でき、伝送判定部43による判定等を行うことができる。これにより、電力伝送が行われる組み合わせを早期に把握できる。
【0137】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 送電側コントローラ23a,23bは、接続継続状態でない状況においてビーコンが定期的に発信され、接続継続状態である状況においてビーコンが定期的に発信されないように送電側通信部24a,24bを制御する構成であってもよい。この場合、受電側コントローラ35の把握部41は、受電側通信部36によってビーコンが受信されたことに基づいて、送電装置11を把握する構成であるとよい。これにより、探索信号の送信を行うことなく、送電装置11を把握できる。
【0138】
○ 接続状態設定部42は、未接続状態の送電装置11が複数存在する場合には、探索応答信号の受信強度が高いものから優先的に接続要求を行う構成であってもよい。これにより、受電装置12に対して近くに存在する送電装置11から順に接続要求を行うことができる。
【0139】
○ 送電装置11は、接続状態から接続継続状態に移行した後に、当該接続継続状態に係る受電装置12とは別の受電装置12から接続要求が行われた場合、接続を拒否するとともに接続継続状態となった旨の通知を行ってもよい。この場合、上記別の受電装置12は、上記通知を受信した場合に、当該通知を行った送電装置11を、接続要求を行う対象から除外してもよい。これにより、無駄な接続要求を回避できる。
【0140】
○ 送電側コントローラ23a,23bが、接続状態設定部42、伝送判定部43及び継続判定部44を備えている構成であってもよい。この場合、受電側コントローラ35は、受電側通信部36を用いて、各種判定に必要な情報(例えば検知部34の検知結果等)を送電側コントローラ23a,23bに送信するとよい。なお、各種要求信号と当該各種要求信号に応答する各種応答信号とのやり取りで接続状態の設定、各種判定等が行われることに着目すれば、送電側コントローラ23a,23bと受電側コントローラ35とが、協同して、接続状態設定部42、伝送判定部43及び継続判定部44を備えているとも言える。
【0141】
○ 1回目の識別用電力(第1識別用電力)の電力値と、2回目の識別用電力(第2識別用電力)の電力値とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、識別用電力の電力値は、充電用電力の電力値よりも小さかったが、これに限られず、同一であってもよい。
【0142】
○ 第1期間T1と第2期間T2とは、同一であってもよいし異なっていてもよい。
○ 第1インターバル期間Ti1と第2インターバル期間Ti2との差は第2期間T2未満であってもよい。この場合であっても、2回目の識別用電力の入力開始タイミングが異なる。よって、2回目の識別用電力の入力開始タイミングと、受電電力の検知開始タイミグとを照合することにより、正しい組み合わせか否かを判定するとよい。
【0143】
○ 送電装置11a,11bの固有情報23aa,23bbに代えて(又は加えて)、受電装置12a,12bの固有情報に基づいてインターバル期間Ti1,Ti2を決定してもよい。
【0144】
○ 検知部34は、2次側コイル31によって受電された交流電力を検知するものであったが、これに限られず、当該交流電力が変換された直流電力を検知する構成であってもよい。
【0145】
○ 実施形態では、1回目の識別用電力は第1期間T1に亘って入力された場合に停止する構成であったが、これに限られず、受電側通信部36から停止要求信号が受信されるまで、識別用電力の入力を継続してもよい。この場合、受電側コントローラ35は、送電要求信号が送信されてから所定期間に亘って交流電力が受電されなかった場合に停止要求信号が送信されるよう受電側通信部36を制御するとよい。
【0146】
○ 各インターバル期間Ti1,Ti2を異ならせる構成に代えて、インターバル期間が各送電装置11に関わらず同一であって、第1期間T1が複数の送電装置11ごとに異なっている構成であってもよい。この場合であっても、1回目の識別用電力の入力開始タイミングが同時であっても、2回目の識別用電力の入力開始タイミングは異なるため、伝送判定部43の誤判定を抑制できる。要は、第1識別用電力の入力開始タイミングから、第2識別用電力の入力開始タイミングまでの期間が、複数の送電装置11ごとに異なっていればよい。
【0147】
○ なお、上記第1期間T1を異ならせる構成においては、当該第1期間T1を固有情報23aa,23bbに基づいて決定するとよい。また、第1送電装置11aに対応する第1期間T1と、第2送電装置11bに対応する第1期間T1との差を第2期間T2よりも長く設定するとよい。
【0148】
○ 第1の1次側コイル22aを含む共振回路(又は第2の1次側コイル22bを含む共振回路)の共振周波数と、2次側コイル31を含む共振回路の共振周波数とは、電力伝送が可能な範囲内で異なっていてもよい。
【0149】
○ 1次側コンデンサ及び2次側コンデンサを省略してもよい。この場合、各1次側コイル22a,22b及び2次側コイル31の寄生容量を用いて磁場共鳴させてもよい。
○ 2次側コイル31によって受電された交流電力を、車両用バッテリ33の充電以外の用途に用いてもよい。
【0150】
○ 受電装置12の搭載対象は任意であり、例えばロボットや電動車いす等に搭載されていてもよい。
○ 送電装置11の数は2つに限られず任意である。
【0151】
○ 第1送電装置11aは、第1の1次側コイル22a及び1次側コンデンサからなる共振回路と、その共振回路と電磁誘導で結合する1次側結合コイルとを有する構成であってもよい。第2送電装置11bについても同様である。また、受電装置12は、2次側コイル31及び2次側コンデンサからなる共振回路と、その共振回路と電磁誘導で結合する2次側結合コイルとを有する構成であってもよい。
【0152】
○ 把握部41は、未接続状態又は接続状態の送電装置11を把握する構成であったが、これに限られず、未接続状態の送電装置11のみを把握する構成であってもよい。詳細には、送電側コントローラ23a,23bは、未接続状態である状況において送電側通信部24a,24bによって探索信号が受信された場合には、探索応答信号を受電側通信部36に送信するように送電側通信部24a,24bを制御する。一方、送電側コントローラ23a,23bは、接続状態又は接続継続状態である状況において送電側通信部24a,24bによって探索信号が受信された場合には、探索応答信号を送信しないように送電側通信部24a,24bを制御してもよい。これにより、未接続状態の送電装置11のみが把握部41によって把握される。
【0153】
要は、把握部41は、把握部41によって把握された複数の送電装置11のうち、受電側通信部36と無線通信が可能な送電側通信部を有し、且つ、接続継続状態を除く少なくとも未接続状態のものを把握するとよい。換言すれば、把握部41の把握対象から少なくとも接続継続状態が除外されていればよい。また、送電側コントローラ23a,23bは、接続継続状態を除く少なくとも未接続状態である状況において送電側通信部24a,24bにて探索信号が受信された場合には、送電側通信部24a,24bから探索応答信号を受電側通信部36に送信するように送電側通信部24a,24bを制御すればよい。
【0154】
○ 送電装置11が複数の1次側コイルを有する構成であってもよい。この場合、送電装置11は、各1次側コイルに入力される交流電力を個別に制御する構成であればよい。
○ 実施形態では、伝送判定部43による判定が行われる前に、接続状態設定部42による接続状態の設定が行われたが、これに限られず、伝送判定部43の判定結果が肯定判定であることに基づいて、接続状態の設定が行われる構成であってもよい。この場合、継続判定部44を省略してもよい。また、接続状態設定部42及び継続判定部44の双方を省略してもよい。つまり、接続状態の設定は必須ではない。
【符号の説明】
【0155】
10…非接触電力伝送システム、11…送電装置、11a…第1送電装置、11b…第2送電装置、12…受電装置、12a…第1受電装置、12b…第2受電装置、22a,22b…1次側コイル、23a,23b…送電側コントローラ、24a,24b…送電側通信部、31(31a,31b)…2次側コイル、35(35a,35b)…受電側コントローラ、36(36a,36b)…受電側通信部、41…把握部、42…接続状態設定部、43…伝送判定部、44…継続判定部、Ti1,Ti2…インターバル期間。
図1
図2
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図8