(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、GPSも無線通信機能も搭載されていない装置は、自装置の位置を推定することができなかった。
【0008】
そこで、本発明は、位置特定機能も無線通信機能も搭載されていない装置において、自装置の位置を推定することができる通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の通信システムは、無線中継装置と、有線通信装置と、を備えている。中継装置は、例えば無線アクセスポイントや無線ルータ等である。有線通信装置は、例えばルータやサーバ、PC等である。
【0010】
有線通信装置は、有線通信機能を介して無線中継装置の識別情報を取得する第1識別情報取得手段と、第1識別情報取得手段で取得した識別情報に基づいて、識別情報と位置情報とが対応付けられた位置情報テーブルから、無線中継装置の位置情報を取得する位置情報取得手段と、を備えている。
【0011】
識別情報は、例えばMACアドレスである。位置情報テーブルは、例えば、無線中継装置の識別情報と位置情報とが対応付けて登録されたデータベースに蓄積されている。位置情報取得手段手段は、取得した識別情報で当該データベースを読み出すことで無線中継装置の位置を取得することができる。
【0012】
そして、有線通信装置は、位置情報取得手段で取得した位置情報を自身の位置情報とみなして出力する位置情報出力手段を備えている。このようして、位置特定機能も無線通信機能も搭載されていない有線通信装置であっても、自身の位置を推定することができ、自装置の位置情報として出力することが可能になる。
【0013】
なお、本発明の通信システムは、無線通信端末をさらに備えた態様も可能である。無線通信端末は、例えばスマートフォン等の情報処理装置からなる。
【0014】
無線通信端末は、無線通信機能を介して無線中継装置の識別情報を取得する第2識別情報取得手段を備えている。また、無線通信端末は、無線中継装置の位置を推定する位置推定手段を備えている。
【0015】
例えば、無線中継装置の識別情報と位置情報とが対応付けて登録されたデータベースが既に存在する場合、位置推定手段は、取得した識別情報で当該データベースを読み出すことで無線中継装置の位置を推定することができる。無線通信端末が自装置の位置を特定する機能(例えばGPS)を有する場合、位置推定手段は、当該位置特定機能で特定した自装置の位置と、無線中継装置が出力するビーコン信号の受信電波強度と、に基づいて無線中継装置の位置を推定することも可能である。電波強度は、距離の二乗に反比例するため、無線中継装置と無線通信端末との距離に関する情報に変換することができる。特に、無線通信端末は、少なくとも3箇所の位置で無線中継装置と無線通信を行うことで、三角測量により無線中継装置の位置を正確に推定することができる。
【0016】
そして、無線通信端末は、推定した無線中継装置の位置と、取得した無線中継装置の識別情報と、を対応付けて位置情報テーブルとして出力する。
【0017】
なお、無線通信端末が、自装置の位置と、ビーコン信号の受信電波強度と、を無線中継装置に送信し、無線中継装置が、無線通信端末から受信した無線通信端末の位置およびビーコン信号の受信電波強度に基づいて自装置の位置を推定してもよい。この場合、無線通信端末が、推定した自装置の位置と、自装置の識別情報と、を対応付けて位置情報テーブルとして出力する。
【0018】
以上のようにして有線通信装置が推定した自装置の位置情報は、例えば、複数の有線通信装置と接続されるセンタ装置(センタルータ)に送信される。センタ装置は、各有線通信装置に位置情報要求を送信する位置情報要求手段と、当該位置情報要求に対応する位置情報を受信する位置情報受信手段と、を備えている。センタ装置は、受信した位置情報に基づいて、例えば地図上に各有線通信装置を表示する。これにより、ネットワーク管理者は、広域に分散された各有線通信装置の位置を視覚的に把握することができる。
【0019】
なお、位置情報取得手段は、無線中継装置に位置情報テーブルを参照させることにより、無線中継装置の位置情報を取得する態様とすることも可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の通信システムは、位置特定機能も無線通信機能も搭載されていない装置であっても、自装置の位置を推定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本実施形態に係る通信システムの構成を示す概略図である。通信システムは、インターネット200を介して接続されたルータ1、ルータ13A、ルータ13B、ルータ13C、およびデータベース50を備えている。
【0023】
ルータ1は、本社等の中核となるセンタ拠点101に設置されたセンタルータ(本発明のセンタ装置に相当する。)である。ルータ13A、ルータ13B、およびルータ13Cは、それぞれ各地の事業所等である拠点102A、拠点102B、および拠点102Cに設置されたエッジルータ(拠点ルータ)である。ルータ13A、ルータ13B、およびルータ13Cは、本発明における有線通信装置に相当する。
【0024】
ルータ1には、ネットワーク管理者が操作して指示を行うための端末20が接続されている。端末20は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)等の情報処理装置からなる。ルータ13Aには、無線アクセスポイント(以下、APと称する。)10A、AP11A、およびAP12Aが接続されている。ルータ13Bには、AP10B、AP11B、およびAP12Bが接続されている。ルータ13Cには、AP10C、AP11C、およびAP12Cが接続されている。本実施形態では、本発明の無線中継装置の一例としてAPを示すが、他にもルータ機能を内蔵した無線ルータ等も本発明の無線中継装置に該当する。また、本実施形態では、本発明の有線通信装置の一例としてルータを示すが、他にもサーバやPC等の装置(位置特定機能も無線通信機能も搭載されていない装置)であれば本発明の有線通信装置に該当する。
【0025】
また、拠点102Aには、無線通信端末20Aが配置され、拠点102Bには、無線通信端末20Bが配置され、拠点102Cには、無線通信端末20Cが配置されている。無線通信端末20A、無線通信端末20B、および無線通信端末20Cは、スマートフォン等の情報処理装置からなる。
【0026】
図2(A)は、ルータ1の構成を示すブロック図であり、
図2(B)は、ルータ13Aの構成を示すブロック図である。ルータ1は、センタルータとして機能し、端末20が接続されている。他のルータ13A、ルータ13B、およびルータ13Cは、APが接続され、拠点ルータとして機能するものである。ただし、これらルータ1、ルータ13A、ルータ13B、およびルータ13Cは、全て同じハードウェア構成を有する。
図2(B)においては代表してルータ13Aの構成を示す。
【0027】
ルータ1、ルータ13A、ルータ13B、およびルータ13Cは、通信制御部150と、ネットワークI/F151と、ネットワークI/F152と、制御部153と、を備えている。通信制御部150は、ネットワークI/F151、ネットワークI/F152、および制御部153に接続される。
【0028】
制御部153は、ROM等の内蔵媒体(不図示)に記憶されているファームウェアプログラムを読み出し、自装置を統括的に制御する。制御部153は、当該ファームウェアプログラムにより、本発明の「第1識別情報取得手段」、「位置情報取得手段」、および「位置情報出力手段」を実現する。また、ルータ1の制御部153は、本発明の「位置情報要求手段」および「位置情報受信手段」を実現する。
【0029】
ネットワークI/F151は、LAN側のインタフェースであり、本発明の「有線通信手段」に相当する。この例では、ネットワークI/F151は、ハブ機能を内蔵し、複数の装置と接続される。
図1(A)に示すように、ルータ1においては、ネットワークI/F151には、端末20が接続される。
図2(B)に示すように、ルータ13Aにおいては、ネットワークI/F151には、AP10A、AP11A、およびAP12Aが接続される。
【0030】
ネットワークI/F152は、WAN側のインタフェースであり、インターネット200に接続される。通信制御部150は、ネットワークI/F151およびネットワークI/F152でそれぞれ受信されたデータ(パケット)を解析し、当該データの転送を行う。例えば、ユーザが端末20を用いてルータ13Aに所定のデータを送信する指示を行うと、端末20からルータ1のネットワークI/F151に当該データが送信される。通信制御部150は、ネットワークI/F151で受信されたデータを解析し、当該データに含まれている宛先(IPアドレス等)を参照する。通信制御部150は、当該宛先に基づいて、ネットワークI/F152およびインターネット200を介してルータ13Aに当該データを送信する。ルータ13Aは、ネットワークI/F152で当該データを受信する。ルータ13Aの通信制御部150は、受信したデータを解析し、当該データの転送を行う。なお、通信制御部150は、受信したデータが自装置宛のデータである場合は、当該受信したデータを制御部153に出力する。制御部153は、当該データに応じた処理を行う。
【0031】
次に、
図3は、AP10Aの構成を示すブロック図である。この実施形態では、他のAPも全て同じハードウェア構成を有する。そのため、
図3においては、代表してAP10Aの構成を示し、他のAPの構成については省略する。
【0032】
AP10Aは、通信制御部170と、無線通信部171と、有線通信部172と、制御部173と、を備えている。通信制御部170は、無線通信部171、有線通信部172、および制御部173に接続される。
【0033】
無線通信部171は、無線通信端末20Aと接続され、当該無線通信端末20Aと電波を介してデータの送受信を行う。有線通信部172は、LANケーブル等の有線接続によりルータ13Aとデータの送受信を行う。通信制御部170は、無線通信部171または有線通信部172を介して受信したデータを解析し、当該データに含まれている宛先を参照する。通信制御部170は、当該参照した宛先に基づいて、無線通信部171または有線通信部172を介して受信したデータを転送する。
【0034】
これにより、通信制御部170は、有線通信部172を介して受信したデータを無線通信部171に転送し、無線通信部171を介して受信したデータを有線通信部172に転送することができる。なお、通信制御部170は、受信したデータが自装置宛のデータである場合は、当該受信したデータを制御部173に出力する。制御部173は、当該データに応じた処理を行う。
【0035】
制御部173は、ROM等の内蔵媒体(不図示)に記憶されているファームウェアプログラムを読み出し、AP10Aを統括的に制御する。例えば、制御部173は、通信制御部170および無線通信部171を介して定期的(例えば100ms毎)にビーコンを出力する。ビーコンには、自装置の識別情報(例えばMACアドレスやSSID)が含まれている。制御部173は、これにより、本発明のビーコン信号出力手段を実現する。
【0036】
次に、
図4は、無線通信端末20Aの構成を示すブロック図である。無線通信端末20Aは、スマートフォン等の情報処理装置からなり、多数の機能を有するが、
図4においては主に本発明に関係する構成のみ示し、他の構成については省略する。また、無線通信端末20A、無線通信端末20B、および無線通信端末20Cは、全て同じハードウェア構成を有する。そのため、
図4においては、代表して無線通信端末20Aの構成を示し、他の無線通信端末の構成については省略する。
【0037】
無線通信端末20Aは、制御部180、無線通信部181、およびGPS182を備えている。制御部180は、無線通信部181およびGPS182に接続されている。
【0038】
無線通信部181は、各APと無線通信を行い、各種データを受信する。例えば、無線通信部181は、AP10A、AP11A、およびAP12Aから上述のビーコンを受信する。受信したビーコンは、無線通信部181を介して制御部180に出力される。
【0039】
GPS182は、本発明の位置特定手段に相当し、GPS衛星から受信した各種信号に基づいて自装置の位置(例えば緯度、経度)を特定する。特定された自装置の位置情報は、制御部180に出力される。
【0040】
制御部180は、ROM等の内蔵媒体(不図示)に記憶されているファームウェアプログラムを読み出し、無線通信端末20Aを統括的に制御する。制御部180は、無線通信部181を介してAP10A、AP11A、およびAP12Aからビーコンを受信し、当該ビーコンに含まれているAPの識別情報を取得する。これにより、制御部180は、本発明の「第2識別情報取得手段」を実現する。また、制御部180は、受信したビーコン信号の受信電波強度を計測する。さらに、制御部180は、GPS182を介して取得した自装置の位置情報と、上記ビーコン信号の受信電波強度と、を用いて、各APの位置を推定する。
【0041】
電波強度は、距離の二乗に反比例するため、APと自装置との距離に関する情報に変換することができる。例えば、制御部180は、APと自装置との距離が極めて近い(例えば30cm以内である)場合には、自装置の位置とAPの位置が同一であるとみなし、自装置の位置をAPの位置として推定する。また、制御部180は、少なくとも3箇所の位置で自装置の位置情報を取得した場合、それぞれの位置におけるAPとの距離情報に基づいて三角測量により、無線アクセスポイントの位置を正確に推定することができる。
【0042】
なお、APの位置は、例えば無線通信端末20AのユーザがユーザI/F(不図示)を用いて、手動で入力することも可能である。手動で入力する場合、位置情報に建物の名前や階数等の情報を付加することも可能である。
【0043】
これにより、制御部180は、本発明の「位置推定手段」を実現する。そして、制御部180は、推定した各APの位置情報と、取得した各APの識別情報と、を対応付けて位置情報テーブルとして出力する(本発明の位置情報テーブル出力手段を実現する)。なお、無線通信端末側が、GPS182で特定した自装置の位置と、ビーコン信号の受信電波強度と、をAPに送信し、AP側が、無線通信端末から受信した無線通信端末の位置およびビーコン信号の受信電波強度に基づいて自装置の位置を推定してもよい。この場合、APが、推定した自装置の位置と、自装置の識別情報と、を対応付けて位置情報テーブルとして出力する。
【0044】
出力された位置情報テーブルは、データベース50に送信される。無線通信端末20Aとデータベース50との通信は、各AP(例えばAP10A)、ルータ13A、およびインターネット200を介して行われてもよいが、無線通信端末20Aが移動体通信機能を備えている場合には、当該移動体通信機能およびインターネット200を介して行われてもよい。
【0045】
データベース50は、受信した位置情報テーブルを登録する。これにより、データベース50には、各APの位置情報が蓄積される。なお、無線通信端末20AでAPの位置測定を行わずに、データベース50を備えたサーバでAPの位置測定を行ってもよい。その場合、無線通信端末20Aは、APの識別情報、ビーコン信号の受信電波強度、およびビーコン信号を受信した時の無線通信端末の位置情報を、データベース50を備えたサーバに送信する。データベース50を備えたサーバは、推定したAPの位置と、APの識別情報と、を対応付けて位置情報テーブルとして登録する。
【0046】
そして、各拠点に設置された拠点ルータ(例えばルータ13A)は、自装置に接続されているAP(例えばAP10A)から識別情報を取得する。ルータ13Aは、取得した識別情報を用いてデータベース50の位置情報テーブルを参照し、当該AP10Aの位置情報を取得する。ルータ13Aは、取得した位置情報を自身の位置情報とみなして出力する。これにより、GPS等の位置特定機能も無線通信機能も搭載されていないルータ13Aにおいて、自身の位置を推定することができ、自装置の位置情報として出力することが可能になる。出力された各ルータの位置情報は、例えばセンタルータであるルータ1に集約され、ネットワークマップ(例えば
図7を参照)に利用される。また、各ルータは、自装置の位置情報と、自装置のグローバルIPアドレスと、を対応付けてセンタルータ(または所定のデータベース等)に記憶しておいてもよい。ルータは、自装置のグローバルIPアドレスが変更された場合には、記憶されているグローバルIPアドレスを更新する。これにより、各ルータと通信を行う他装置は、当該ルータのグローバルIPアドレスに基づいて、ルータの位置を容易に検索することができる。この場合、ルータのグローバルIPアドレスが頻繁に変更される場合であっても、高精度にルータの位置を推定することができる。
【0047】
次に、
図5は、各種装置の動作を示すフローチャートである。図中の「無線通信端末」は、無線通信端末20Aとして説明するが、他の無線通信端末も同様の動作を行う。「AP」は、AP10Aとして説明するが、他のAPも同様の動作を行う。「拠点ルータ」は、ルータ13Aとして説明するが、他のルータ13Bおよびルータ13Cも同様の動作を行う。「センタルータ」は、ルータ1として説明する。
【0048】
AP10Aは、定期的にビーコンを出力する(S101)。無線通信端末20Aは、当該ビーコンを受信する(S201)。無線通信端末20Aは、ビーコンを受信すると、自装置の位置を特定する(S202)。自装置の位置は、GPS182により特定される。
【0049】
次に、無線通信端末20Aは、ビーコンの受信電波強度を計測し、APの位置を推定する(S203)。ここでは、AP10Aからビーコンを受信しているため、AP10Aの位置を推定するが、他のAPに関しても同様に位置が推定される。APの位置は、上述したように、計測されたビーコンの受信電波強度と、GPS182で特定した自装置の位置情報と、に基づいて推定される。あるいは、APの位置は、上述したように、例えば無線通信端末20AのユーザがユーザI/F(不図示)を用いて、手動で入力することも可能である。
【0050】
その後、無線通信端末20Aは、推定したAPの位置情報と、ビーコンに含まれているAPの識別情報(例えばMACアドレス)と、を対応付けて位置情報テーブルとしてデータベース50に出力し、当該データベースに登録する処理を行う(S204,S501)。なお、上述のように無線通信端末20AでAPの位置測定を行わずに、データベース50を備えたサーバでAPの位置測定を行う場合、無線通信端末20Aは、APの識別情報と、ビーコン信号の受信電波強度と、ビーコン信号を受信した時の無線通信端末の位置情報を、データベース50を備えたサーバに送信し、データベース50を備えたサーバがAPの位置推定と位置情報テーブルの作成とデータベースへの登録を行う。また、データベースは、インターネット200を介して接続される外部のサーバ上にあってもよいし、各拠点に設置された機器(例えば、無線端末装置やAP)内にあってもよい。各拠点に設置された機器内にデータベースがある場合、特定のユーザ(管理者等)の専用のデータベースとして用いることも可能であるし、他のユーザが参照するためのデータベースとして用いることも可能である。
【0051】
一方、ルータ1は、各拠点に設置された拠点ルータ(ここではルータ13A)に位置情報のリクエスト(位置情報要求)を送信する(S401)。位置情報要求は、ルータ1に接続されている端末20のユーザ(ネットワーク管理者)が、当該端末20を操作して、ルータ1に指示することにより送信される。
【0052】
ルータ13Aは、位置情報要求を受信すると(S301)、自装置に接続されているAP(ここではAP10A、AP11A、およびAP12A)に対して識別情報の取得要求を送信する(S302)。
【0053】
AP10Aは、識別情報取得要求を受信すると(S102)、ルータ13Aに自装置の識別情報を送信する(S103)。ルータ13Aは、各APから送信された識別情報を受信する(S303)。これにより、本発明の「第1識別情報取得手段」が実現される。
【0054】
そして、ルータ13Aは、取得した各APの識別情報でデータベース50の位置情報テーブルを参照する(S304)。データベース50は、識別情報を受信すると(S502)、受信したAPの識別情報に対応付けられている位置情報を送信する(S503)。ルータ13Aは、対応付けられている各APの位置情報を取得する(S305)。これにより、本発明の「位置情報取得手段」が実現される。
【0055】
ルータ13Aは、取得した各APの位置情報を自装置の位置情報とみなして、ルータ1に送信する(S306)。
【0056】
なお、ルータ13Aは、APの位置情報を1つ取得した場合には、当該取得したAPの位置情報をそのまま送信するが、複数のAPの位置情報を取得した場合、これら位置情報の中から1の位置情報を選定して、自装置の位置情報として送信する。例えば、最後に取得したAPの位置情報を自装置の位置情報として送信する。あるいは、複数の位置情報に含まれている緯度、経度の値を加算平均して、自装置の位置とみなして送信する。このようにして、本発明の「位置情報出力手段」を実現する。
【0057】
ルータ1は、各拠点ルータから送信された位置情報を受信する(S402)。受信した位置情報は、例えばネットワークマップに用いられる。なお、各拠点ルータは、ルータ1に対して、自装置に接続されているAPの識別情報だけを送信し、ルータ1が、データベース50の位置情報テーブルを参照することで、各拠点ルータの位置を推定するようにしてもよい。
【0058】
図7は、ネットワークマップの一例を示す図である。この例では、ルータ1は、受信した各拠点ルータの位置情報に基づいて、地図上に各拠点ルータを表示する。また、ルータ1は、各拠点ルータの機器情報(機器名やIPアドレス等の情報)を地図上に表示する。機器情報は、位置情報とともにルータ1が収集する。当該地図は、ルータ1に接続されている端末20の表示部に表示される。したがって、ネットワーク管理者は、広域に分散された各拠点ルータの位置を視覚的に把握することができるようになる。
【0059】
次に、
図6は、変形例に係る各種装置の動作を示すフローチャートである。
図5と共通する動作については同一の符号を付し、説明を省略する。
図6においても、図中の「無線通信端末」は、無線通信端末20Aとして説明するが、他の無線通信端末も同様の動作を行う。「AP」は、AP10Aとして説明するが、他のAPも同様の動作を行う。「拠点ルータ」は、ルータ13Aとして説明するが、他のルータ13Bおよびルータ13Cも同様の動作を行う。「センタルータ」は、ルータ1として説明する。
【0060】
図5の例では、拠点ルータがデータベース50にアクセスしてAPの位置情報を取得する態様であったが、
図6の変形例では、APがデータベース50にアクセスして位置情報テーブルを参照することにより、位置情報を取得する態様である。
【0061】
ルータ13Aは、各APから識別情報を取得すると、各APに対して位置情報の取得要求を送信する(S351)。AP10Aは、ルータ13Aから位置情報の取得要求を受信した場合(S151)、自装置の識別情報を用いてデータベース50の位置情報テーブルを参照し(S152)、対応付けられている自装置の位置情報を取得する(S153)。AP10Aとデータベース50の通信は、例えばルータ13Aを介して行われる。そして、AP10Aは、取得した自装置の位置情報をルータ13Aに送信する(S154)。
【0062】
ルータ13Aは、各APから位置情報を受信し(S352)、受信した各APの位置情報を自装置の位置情報とみなして、ルータ1に送信する(S306)。このようにして、本発明の「位置情報出力手段」を実現することも可能である。
【0063】
なお、データベース50は、本発明において必須の構成ではない。例えば、無線通信端末から各拠点ルータに直接、位置情報テーブルを送信する態様であってもよい。
【0064】
また、無線通信端末(およびセンタルータ)の構成も、本発明において必須ではなく、APがビーコン信号を出力することも必須ではない。例えば
図8(
図8において、
図5と共通する処理については同一の符号を付し、説明を省略する。)に示すように、拠点ルータがAPの識別情報を取得して(S301,S102,S103,およびS303)、データベースを参照することによりAPの位置情報を取得し(S304,S502,S503,およびS305)、取得した位置情報を自身の位置情報とみなして出力する(S306)態様とすることも可能である。
【0065】
なお、本発明は、以下の様な種々の応用例に用いることができる。
【0066】
(応用例1)
応用例1は、遠隔地のルータ間で通信を行う場合の最適経路計算に関するものである。遠隔地のルータ間で通信を行う場合、多数のルータを経由してデータ転送を行う。この場合、データ転送時に発生する遅延を最小限とするために、最適経路の計算を行うことが好ましい。このような最適経路の計算は、ルータ間の経路の数が増大するほど、多大な計算コストが必要になる。しかし、本発明では、各ルータの位置が判明しているため、例えば位置の近いルータ同士に経路を絞り込むことで、経路の計算に必要なコストを低減することができる。
【0067】
(応用例2)
応用例2では、各ルータの位置について、緯度、経度に加えて、設置されている建物の名前や階数等の情報を推定する。建物の名前や階数等の情報は、APの位置情報の付加的情報として、事前に各ユーザが手動で入力を行い、データベース50に蓄積する。各ルータは、データベース50からAPの位置情報としてこれら付加的情報も読み出し、自装置が設置されている建物の名前や階層等の情報を出力する。
【0068】
(応用例3)
応用例3では、ルータに変えて、当該ルータに接続されている他のネットワーク機器(例えばネットワークカメラやネットワークプリンタ等)の位置を推定する。各ルータは、センタルータやPC等の他装置からのリクエストに応じて、自装置に接続されているネットワーク機器の識別情報(例えばMACアドレス)を取得し、当該識別情報と位置情報とを対応付けて送信する。これにより、センタルータやPC等の他装置では、各種ネットワーク機器の位置を知ることができる。