(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
当該装置本体の移動方向及び移動量を連続的に検出して、所定地点の位置データに前記移動方向及び移動量を積算していくことで移動経路の各地点の位置を測定する第2測位手段を更に備え、
前記制御手段は、
前記第2測位手段による測定結果に基づいて、前記第1測位手段を起動させるタイミングを制御することを特徴とする請求項1に記載の測位装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明について、図面を用いて具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
本実施形態の測位装置100は、ユーザに携帯所持(例えば、腕に装着)され、GPSによる測位(GPS測位)と、自律航法用センサを用いた測位(自律航法測位)とを併用して、ユーザの移動経路L(
図3参照)の軌跡を表わす一連の位置データを逐次記憶していく装置である。
【0012】
図1は、本発明を適用した一実施形態の測位装置100の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、測位装置100は、中央制御部1と、GPS処理部2と、センサ部3と、自律航法制御処理部4と、データ記憶部5と、GPS制御部6と、移動時間算出部7と、計時部8と、表示部9と、操作入力部10と、電源部11等を備えている。
また、中央制御部1、GPS処理部2、センサ部3、自律航法制御処理部4、データ記憶部5、GPS制御部6、移動時間算出部7、計時部8、表示部9及び電源部11は、バスライン12を介して接続されている。
【0013】
中央制御部1は、測位装置100の各部を統括的に制御する。具体的には、中央制御部1は、図示は省略するが、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えている。そして、中央制御部1は、測位装置100用の各種処理プログラムに従って各種の制御動作を行い、必要に応じてその制御動作の結果を表示部9に表示させる。その際に、CPUは、RAM内の格納領域内に各種処理結果を格納させ、必要に応じてその処理結果を表示部9に表示させる。
RAMは、例えば、CPUにより実行される処理プログラム等を展開するためのプログラム格納領域や、入力データや上記処理プログラムが実行される際に生じる処理結果等を格納するデータ格納領域などを備える。
ROMは、コンピュータ読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されたプログラム、具体的には、測位装置100で実行可能なシステムプログラム、当該システムプログラムで実行可能な各種処理プログラムや、これら各種処理プログラムを実行する際に使用されるデータ等を記憶する。例えば、ROMには、自律航法測位とGPS測位とにより移動経路L上の各地点の位置データを取得していく測位処理のプログラムが記憶されている。
【0014】
GPS処理部(第1測位手段)2は、GPS(Global Positioning System)衛星(測位衛星)Sから送信された信号を受信して、当該装置本体の位置を測位する。
すなわち、GPS処理部2は、GPS衛星Sから送信されたデータを受信アンテナ2aを介して受信する。具体的には、受信アンテナ2aは、地球低軌道に打ち上げられた複数のGPS衛星(測位衛星;
図1には一つのみ図示)Sから送信されるGPS信号(例えば、アルマナック(概略軌道情報)やエフェメリス(詳細軌道情報)など)を所定のタイミングで受信する。そして、受信アンテナ2aは、受信したGPS信号をGPS処理部2に出力する。
【0015】
GPS処理部2は、受信アンテナ2aを介して受信されるGPS信号の復調処理を行って、GPS衛星Sの各種送信データを取得する。そして、GPS処理部2は、取得された送信データに基づいて、所定の測位演算を行うことで、当該装置本体の絶対的な2次元の現在位置(緯度、経度)を測位して当該位置に係る位置データ(例えば、緯度、経度の座標情報)を測位結果として取得する。
【0016】
センサ部3は、自律航法用センサとして、3軸地磁気センサ3a、3軸加速度センサ3b及び気圧センサ3cを備えている。
【0017】
3軸地磁気センサ3aは、互いに直交する3軸方向の地磁気の大きさをそれぞれ検出する。そして、3軸地磁気センサ3aは、検出された各軸の検出信号を自律航法制御処理部4に出力する。
3軸加速度センサ3bは、自律航法用センサであり、互いに直交する3軸方向の加速度をそれぞれ検出する。そして、3軸加速度センサ3bは、検出された各軸の検出信号を所定の周波数でサンプリングして、自律航法制御処理部4に出力する。
気圧センサ3cは、高低差を求めるために気圧を検出するセンサである。また、気圧センサ3cは、検出された気圧の検出信号を自律航法制御処理部4に出力する。
【0018】
自律航法制御処理部4は、3軸地磁気センサ3a、3軸加速度センサ3b及び気圧センサ3c等により検出された検出データに基づいて、自律航法の測位演算を連続的に行う。
すなわち、自律航法制御処理部4は、例えば、所定のサンプリング周期で3軸地磁気センサ3a及び3軸加速度センサ3bにより検出された検出データを取得して、これらの検出データから測位装置100の移動方向及び移動量を算出していく。
具体的には、自律航法制御処理部4は、例えば、3軸地磁気センサ3aの出力に現れる特有の出力変動パターンを抽出して、ユーザ(装置本体)の移動方向を算出する。
また、自律航法制御処理部4は、3軸加速度センサ3bによる検出結果に基づいて、装置本体の移動量を算出する。すなわち、自律航法制御処理部4は、3軸加速度センサ3bの出力から装置本体が装着された腕の腕振りに係る加速度成分を特定して、当該加速度成分の変化の態様から腕振り回数を算出し、算出された歩数と予め設定済みの歩幅データとを乗算することで、ユーザ(装置本体)の移動量を算出する。
また、自律航法制御処理部4は、これら移動方向と移動量の算出に加えて、気圧センサ3cの出力値の変化から高さ方向の移動量についても算出する。
【0019】
さらに、自律航法制御処理部(第2測位手段)4は、検出データを取得する直前の装置本体の存する位置(例えば、GPS測位されたスタート地点Ps等の基準地点等)の位置データに、算出された移動方向及び移動量からなる相対的なベクトルデータを加算することで、自律航法の測位結果である位置データを算出する。また、自律航法制御処理部4は、当該位置データを所定の時間間隔毎に連続して算出することで、装置本体の位置データを取得する。
また、自律航法測位により算出された移動経路Lに係る一連の位置データは記憶部5に登録される。
【0020】
このように、センサ部3及び自律航法制御処理部4は、当該装置本体の移動方向及び移動量を連続的に検出し、予めGPS処理部2により測位済みの移動経路Lの所定地点の位置データに装置本体の移動方向及び移動量を積算していくことで、移動経路Lの各地点の位置データを取得する。
【0021】
データ記憶部5は、例えば、不揮発性メモリなどにより構成され、位置測定用の制御データ5a、移動予定経路データ5b、移動履歴データ5c、地図データベース5d等が記憶されている。
が記憶されている。
【0022】
制御データ5aは、移動経路L上の各地点の位置データを取得していく測位処理に必要な位置測定用のデータである。すなわち、制御データ5aとしては、例えば、GPS測位により得られた位置データや、直近のGPS測位が行われた基準地点(例えば、スタート地点Ps等)から現在位置までの自律航法測位により求められたトータルの移動量や、予めユーザにより設定入力された平均的な歩幅を表わす歩幅データ等が挙げられる。
【0023】
移動予定経路データ5bは、予め設定されたユーザ(装置本体)の移動予定経路にかかるデータである。すなわち、移動予定経路データ5bは、例えば、地図データベース5dの地図データと対応付けられ、移動予定経路を構成する各地点の座標情報を含む。
また、例えば、事前にユーザが当該装置本体或いは外部機器(図示略)の所定操作を行って、所定の地
図M(
図3参照)内における当該装置本体の移動予定経路(例えば、ジョギングコース等)を設定することで、移動予定経路データ5bが生成される。このとき、ユーザは、移動予定経路上にて、GPS処理部2により位置が測定される測位予定地点(例えば、スタート地点Ps、1Km地点P1、2Km地点P2、ゴール地点Pg等)も併せて指定する。
なお、外部機器を用いて移動予定経路データ5bが生成される場合には、所定の通信手段(例えば、Bluetooth(登録商標)等の短距離無線通信やUSB端子等を利用した有線通信)を利用して当該装置本体に移動予定経路データ5bが転送されて、データ記憶部5に記憶されるのが好ましい。
このように、データ記憶部5は、GPS処理部2により位置が測定される測位予定地点を登録する登録手段を構成している。
【0024】
移動履歴データ5cは、装置本体の移動の際の測位処理によって取得された移動経路Lに沿った一連の位置データが順次登録されるものである。すなわち、測位処理では、GPS測位や自律航法測位により測定された移動経路L上の各地点の位置データが取得されることで移動履歴データ5cが形成される。
また、移動履歴データ5cには、例えば、一連の位置データに付随して、位置データの取得順序を表わすインデックスナンバー「No.」、位置データが取得されたときの時刻を表わす時刻データ等がそれぞれ登録されるようになっている。
【0025】
地図データベース5dは、例えば、所定範囲内の地
図Mを表示部9に表示するための地図データが位置座標と対応付けて記憶されている。すなわち、地図データベース5dは、都道府県や市町村等の行政区画、番地等の住所情報や、建物、施設、店舗、公園、鉄道に関する情報、地形情報、道路情報等を表す地図データと、緯度、経度、高度等の座標情報とが対応付けられている。
なお、上記した地図データベース5dは、一例であってこれに限られるものではなく、当該データベースに記憶される情報の内容等は適宜任意に変更可能である。
【0026】
GPS制御部6は、GPS処理部2の駆動を制御する。
具体的には、GPS制御部6は、時間推定部6aと、タイミング特定部6bとを具備している。
【0027】
時間推定部6aは、当該装置本体の存する位置から測位予定地点までの移動にかかる移動時間を推定する。
すなわち、時間推定部(推定手段)6aは、自律航法制御処理部4による測定結果(自律航法測位)に基づいて、移動予定経路データ5bに規定されている測位予定地点までの移動にかかる移動時間を推定する。具体的には、時間推定部6aは、例えば、当該装置本体の移動の際に自律航法制御処理部4により各地点の位置データが算出される毎に、当該装置本体の基準地点(例えば、スタート地点Ps)から位置データが算出された地点までの移動の際の平均速度を算出する。また、時間推定部6aは、算出された平均速度に基づいて、位置データが算出された地点から移動予定経路上に規定されている次の測位予定地点(例えば、1Km地点P1)までの距離を算出する。そして、時間推定部6aは、算出された平均速度と次の測位予定地点までの距離に基づいて、次の測位予定地点までの移動にかかる移動時間を算出する。
【0028】
タイミング特定部6bは、GPS処理部2の駆動(例えば、起動や停止)タイミングを特定する。
すなわち、タイミング特定部(特定手段)6bは、時間推定部6aにより推定された移動時間とGPS処理部2の起動にかかる起動時間とに基づいて、GPS処理部2を起動させるタイミングを特定する。具体的には、タイミング特定部6bは、時間推定部6aにより推定された移動時間を取得するとともに、予め所定の記憶手段(例えば、RAM等)に記憶されている停止状態のGPS処理部2が起動してGPS測位を行うことができる状態になるまでにかかる起動時間を取得する。そして、タイミング特定部6bは、時間推定部6aにより推定された移動時間とGPS処理部2の起動にかかる起動時間とを比較して、その結果に応じてGPS処理部2を起動させるタイミングとなったか否かを判定する。
ここで、例えば、時間推定部6aにより推定された移動時間の方がGPS処理部2の起動にかかる起動時間よりも長ければ如何なるタイミングでタイミングがGPS処理部2を起動させても良いが、GPS処理部2による電力消費量の低減を図る上では、移動時間と起動時間とが略一致するタイミングが好ましい。なお、移動時間の推定誤差等を考慮して、タイミング特定部6bは、起動時間に所定の時間を加算した時間と移動時間とが略一致するタイミングを特定しても良い。
【0029】
そして、タイミング特定部6bによりGPS処理部2を起動させるタイミングとなったと判定されると、GPS制御部6は、GPS処理部2の駆動に必要な電圧の電源部11からの印加を指示する信号を電源部11に出力する。これにより、電源部11は、GPS処理部2に対する電源供給を開始し、GPS処理部2は、起動動作を行った後、所定の時間間隔毎にGPS測位を行う(
図4(a)参照)。
このように、GPS制御部(制御手段)6は、当該装置本体の移動の際に、データ記憶部5に登録されている測位予定地点でのGPS処理部2による測定(GPS測位)に間に合うようにGPS処理部2を起動させるタイミングを制御する。また、GPS制御部6は、自律航法制御処理部4による測定結果(自律航法測位)に基づいて(特に、例えば、推定された移動時間を利用して)、GPS処理部2を起動させるタイミングを制御する。
【0030】
また、GPS制御部6は、GPS処理部2による測位予定地点での位置の測定(GPS測位)後に、当該GPS処理部2の駆動を停止させるタイミングを制御する。
具体的には、GPS制御部6は、GPS処理部2によるGPS測位の結果を取得して、GPS測位された位置が測位予定地点の座標と一致するか否かを判定する。そして、GPS測位された位置が測位予定地点の座標と一致すると判定されると、GPS制御部6は、GPS処理部2を停止させるタイミングとなったと判定して、GPS処理部2に対する電源部11からの電源供給の停止を指示する信号を電源部11に出力する。これにより、電源部11は、GPS処理部2に対する電源供給を停止して、GPS処理部2は、駆動を停止させる(
図4(a)参照)。
【0031】
移動時間算出部7は、複数の測位予定地点間の移動にかかった時間を算出する。
すなわち、移動時間算出部(算出手段)7は、GPS処理部2により複数の測位予定地点の各々にて位置が測定された時刻に基づいて、複数の測位予定地点間の移動にかかった時間をそれぞれ算出する。具体的には、移動時間算出部7は、GPS処理部2により各測位予定地点にてGPS測位された際に計時部8により計時された時刻にかかる時刻情報を取得して、複数の測位予定地点(例えば、スタート地点Psから1Km地点P1、1Km地点P1から2Km地点P2等)間の移動にかかった時間(例えば、ラップタイム)をそれぞれ算出する。算出された時間にかかる時間データは、例えば、データ記憶部5に出力されて移動履歴データ5cに格納される。
【0032】
計時部8は、図示は省略するが、例えば、タイマや計時回路等を備えて構成され、現在の時刻を計時して時刻情報を取得する。そして、計時部8は、取得した時刻情報をメモリに出力する。
なお、計時部8は、取得した時刻情報に基づいて、日付や曜日等の暦を特定しても良い。
【0033】
表示部9は、例えば、液晶表示パネルであり、各種の情報や画像等の表示用の画像データを読み出して表示画面に表示する。
【0034】
操作入力部10は、ユーザによる所定操作に基づいて、当該測位装置100本体に対して各種指示を入力する。具体的には、操作入力部10は、例えば、電源ボタン、上下左右のカーソルボタン、決定ボタン(何れも図示略)等を備えている。
【0035】
電源部11は、当該装置本体を構成する各部に電源を供給する。
すなわち、電源部11は、電源を供給する電源供給手段を構成し、例えば、各種方式の充電池(例えば、リチウムイオン電池、ニッケル・水素充電池等)を具備している。
【0036】
<測位処理>
次に、本実施形態の測位装置100による測位処理について
図2〜
図4を参照して説明する。
図2は、測位処理に係る動作の一例を示すフローチャートである。また、
図3は、測位処理にかかる移動経路Lを模式的に示す図である。また、
図4は、測位処理におけるGPS処理部2の動作態様を模式的に示す図である。
なお、
図3においては、移動予定経路と移動経路Lは略等しいものとし、自律航法測位のみが行われる区間を一点鎖線で模式的に表し、GPS測位が併用して行われる区間を二点鎖線で模式的に表している。
【0037】
図2に示すように、先ず、データ記憶部5は、例えば、予めユーザによる当該装置本体或いは外部機器(図示略)の所定操作に基づいて設定された、GPS処理部2により位置が測定される測位予定地点の座標情報を含む移動予定経路データ5bを取得して登録する(ステップS1)。
【0038】
その後、移動予定経路のスタート地点Psにて、GPS制御部6は、GPS処理部2を起動させて、GPS処理部2は、当該装置本体の位置を測位するGPS測位を行う(ステップS2)。具体的には、GPS制御部6は、GPS処理部2の駆動に必要な電圧の電源部11からの印加を指示する信号を電源部11に出力し、電源部11は、GPS処理部2に対する電源供給を開始する。そして、GPS処理部2は、起動動作を行って、所定の時間間隔毎にGPS測位を行う。
【0039】
次に、GPS制御部6は、GPS処理部2によるGPS測位の結果を取得して、GPS測位された位置と移動予定経路データ5bに設定されているスタート地点Psの座標と一致するか否かを判定する(ステップS3)。
ここで、GPS測位された位置がスタート地点Psの座標と一致しないと判定されると(ステップS3;NO)、GPS制御部6は、GPS測位された位置がスタート地点Psの座標と一致すると判定(ステップS3;YES)されるまで所定の時間間隔で繰り返し実行する。
【0040】
ステップS3にて、GPS測位された位置がスタート地点Psの座標と一致すると判定されると(ステップS3;YES)、GPS制御部6は、GPS処理部2に対する電源部11からの電源供給の停止を指示する信号を電源部11に出力し、電源部11は、GPS処理部2に対する電源供給を停止して、GPS処理部2は、駆動を停止させる(ステップS4)。
また、GPS測位されたスタート地点Psの位置データは、データ記憶部5に出力されて、移動履歴データ5cに登録される。
【0041】
そして、自律航法制御処理部4は、センサ部3からの検出データに基づいて測位装置100の移動方向及び移動量を算出していく自律航法測位を開始させる(ステップS5)。すなわち、自律航法制御処理部4は、GPS測位されたスタート地点Psの位置データに、算出された移動方向及び移動量からなる相対的なベクトルデータを加算して自律航法の測位結果である位置データを算出する。また、自律航法制御処理部4は、移動予定経路データ5bに基づいて、自律航法測位された地点を移動予定経路上で照合する処理を行う。
【0042】
次に、当該装置本体の移動の際に、時間推定部6aは、自律航法制御処理部4により自律航法測位された地点から、移動予定経路データ5bに規定されている測位予定地点までの移動にかかる移動時間を算出する(ステップS6)。具体的には、時間推定部6aは、例えば、当該装置本体のスタート地点Psから位置データが算出された地点までの移動の際の平均速度を算出するとともに、算出された平均速度に基づいて、位置データが算出された地点から移動予定経路上に規定されている次の測位予定地点(例えば、1Km地点P1)までの距離を算出する。そして、時間推定部6aは、算出された平均速度と次の測位予定地点までの距離に基づいて、次の測位予定地点までの移動にかかる移動時間を算出する。
【0043】
タイミング特定部6bは、時間推定部6aにより推定された移動時間と、予め所定の記憶手段(例えば、RAM等)に記憶されているGPS処理部2の起動時間とを比較して、その結果に応じてGPS処理部2を起動させるタイミングとなったか否かを判定する(ステップS7)。
ここで、GPS処理部2を起動させるタイミングとなっていないと判定されると(ステップS7;NO)、タイミング特定部6bは、自律航法制御処理部4により自律航法測位される毎に、GPS処理部2を起動させるタイミングとなったと判定(ステップS7;YES)されるまで繰り返し実行する。
【0044】
ステップS7にて、GPS処理部2を起動させるタイミングとなったと判定されると(ステップS7;YES)、GPS制御部6は、GPS処理部2を起動させて、GPS処理部2は、当該装置本体の位置を測位するGPS測位を行う(ステップS8)。具体的には、GPS制御部6は、GPS処理部2の駆動に必要な電圧の電源部11からの印加を指示する信号を電源部11に出力し、電源部11は、GPS処理部2に対する電源供給を開始する。そして、GPS処理部2は、起動動作を行って、所定の時間間隔毎にGPS測位を行う。
【0045】
そして、GPS制御部6は、GPS処理部2によるGPS測位の結果を取得して、GPS測位された位置と移動予定経路データ5bに設定されている測位予定地点(例えば、1Km地点P1等)の座標と一致するか否かを判定する(ステップS9)。
ここで、GPS測位された位置が測位予定地点の座標と一致しないと判定されると(ステップS9;NO)、GPS制御部6は、GPS測位された位置が測位予定地点の座標と一致すると判定(ステップS9;YES)されるまで所定の時間間隔で繰り返し実行する。
【0046】
ステップS9にて、GPS測位された位置が測位予定地点の座標と一致すると判定されると(ステップS9;YES)、GPS制御部6は、GPS処理部2に対する電源部11からの電源供給の停止を指示する信号を電源部11に出力し、電源部11は、GPS処理部2に対する電源供給を停止して、GPS処理部2は、駆動を停止させる(ステップS10)。
その後、GPS制御部6は、当該装置本体が測位予定地点を通過した旨を表示させるための指示を表示部9に出力して、表示部9は、測位予定地点を通過した旨を表示して報知する(ステップS11)。このとき、移動時間算出部7は、計時部8により計時された時刻に基づいて、複数の測位予定地点(例えば、スタート地点Psから1Km地点P1等)間の移動にかかった時間(例えば、ラップタイム)をそれぞれ算出し、表示部9は、算出された移動にかかった時間を併せて表示して報知しても良い。
また、GPS処理部2は、GPS測位された測位予定地点の位置データをデータ記憶部5に出力し、データ記憶部5は、測位予定地点の位置データを移動履歴データ5cに登録する。
【0047】
なお、ステップS11における測位予定地点を通過した旨の報知の態様は、一例であってこれに限られるものではなく、例えば、振動等により報知する態様であっても良い。
【0048】
続けて、GPS制御部6は、移動予定経路データ5bに基づいて、GPS処理部2によるGPS測位された直近の測位予定地点が最後にGPS測位されるべき測位予定地点(例えば、ゴール地点Pg等)であるか否かを判定する(ステップS12)。
ここで、直近の測位予定地点が最後にGPS測位されるべき測位予定地点でないと判定されると(ステップS12;NO)、GPS制御部6は、処理をステップS6に戻し、ステップS6以降の各処理を実行する。すなわち、当該装置本体の移動の際に、自律航法制御処理部4により自律航法測位が常時行われ、移動予定経路データ5bに設定されている測位予定地点(例えば、2Km地点P2やゴール地点Pg等)でのGPS測位に間に合うようにGPS処理部2を起動させて、GPS処理部2によるGPS測位が行われる。
【0049】
ステップS12にて、直近の測位予定地点が最後にGPS測位されるべき測位予定地点(例えば、ゴール地点Pg等)であると判定されると(ステップS12;YES)、当該測位処理が終了する。
【0050】
以上のように、本実施形態の測位装置100によれば、当該装置本体の移動の際に、登録されている測位予定地点でのGPS測位に間に合うようにGPS処理部2を起動させるタイミングを制御するので、GPS測位が不要な地点ではGPS処理部2を動作させる必要がなくなり、省電力化を図ることができる。すなわち、GPS測位が必要な地点でのみ、電力消費量が大きいGPS処理部2を駆動させるだけで良く、省電力化を図りつつ測位予定地点における測位を適正に行うことができる。
【0051】
また、当該装置本体の移動方向及び移動量を連続的に検出して、所定地点の位置データに移動方向及び移動量を積算していくことで移動経路Lの各地点の位置を測定(自律航法測位)し、当該自律航法測位による測定結果に基づいて、GPS処理部2を起動させるタイミングを制御するので、自律航法測位とGPS測位を併用して、省電力化及び測位予定地点における正確な測位を行うことができる。具体的には、自律航法測位による測定結果に基づいて、測位予定地点までの移動にかかる移動時間を推定し、推定された移動時間とGPS処理部2の起動にかかる起動時間とに基づいて、GPS処理部2を起動させるタイミングを特定することができ、これにより、GPS測位が必要な地点でのみGPS処理部2を駆動させることができることとなって、省電力化を図りつつ測位予定地点における測位を適正に行うことができる。
さらに、GPS処理部2による測位予定地点での位置の測定後に、当該GPS処理部2を停止させるタイミングを制御するので、電力消費量が大きいGPS処理部2の駆動タイミングをより緻密に制御することができ、省電力化をより適正に図ることができる。
【0052】
また、所定の地
図M内における当該装置本体の移動予定経路上に測位予定地点を簡便に設定することができる。また、複数の測位予定地点の各々にて位置が測定された時刻に基づいて、複数の測位予定地点間の移動にかかった時間をそれぞれ算出するので、例えば、ジョギング等にてラップタイムの計測を適正に行うことができ、使い勝手をより向上させることができる。
【0053】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、上記実施形態にあっては、測位予定地点でのGPS処理部2によるGPS測位の後、当該測位予定地点での位置データ及び移動予定経路データ5bに基づいて、自律航法測位された位置データを補正しても良い。また、自律航法測位の精度の向上を図る上で、測位予定地点間で定期的にGPS処理部2を駆動させても良く(
図4(b)参照)、これにより、自律航法測位された位置データをGPS処理部2によるGPS測位の結果を利用して適正に補正することができ、タイミング特定部6bによるGPS処理部2を起動させるタイミングとなったか否かの判定をより精度良く行うことができる。
【0054】
また、上記実施形態にあっては、測位処理にて自律航法測位を常時行うようにしたが、一例であって必ずしも自律航法測位を行う必要はなく、自律航法制御処理部4を具備するか否かは適宜任意に変更可能である。すなわち、例えば、予めユーザ(装置本体)の移動速度が判明している場合には、当該移動速度からGPS処理部2を起動させるタイミングを演算により特定して、スタート地点Psから所定時間経過後にGPS処理部2を起動させて測位予定地点にてGPS測位を行うようにしても良い。
【0055】
さらに、上記実施形態にあっては、測位予定地点までの移動にかかる移動時間を推定し、推定された移動時間とGPS処理部2の起動にかかる起動時間とに基づいて、GPS処理部2を起動させるタイミングを特定するようにしたが、例えば、当該装置本体の移動の際に自律航法測位された位置データを移動予定経路上で照合して、当該自律航法測位された位置から測位予定地点までの距離に基づいて、GPS処理部2を起動させるタイミングを特定するようにしても良い。
【0056】
また、上記実施形態にあっては、複数の測位予定地点(例えば、スタート地点Psから1Km地点P1等)間の移動にかかった時間(例えば、ラップタイム)をそれぞれ算出するようにしたが、一例であって必ずしも複数の測位予定地点間の移動にかかった時間を算出する必要はなく、移動時間算出部7を具備するか否かは適宜任意に変更可能である。
【0057】
また、測位装置100の構成は、上記実施形態に例示したものは一例であり、これに限られるものではない。
【0058】
加えて、上記実施形態にあっては、登録手段、制御手段としての機能を、中央制御部1のCPUの制御下にて、データ記憶部5、GPS制御部6が駆動することにより実現される構成としたが、これに限られるものではなく、中央制御部1によって所定のプログラム等が実行されることにより実現される構成としても良い。
すなわち、プログラムを記憶するプログラムメモリ(図示略)に、登録処理ルーチン、制御処理ルーチンを含むプログラムを記憶しておく。そして、登録処理ルーチンにより中央制御部1のCPUを、測位手段により位置が測定される測位予定地点を登録する手段として機能させるようにしても良い。また、制御処理ルーチンにより中央制御部1のCPUを、当該装置本体の移動の際に、登録されている測位予定地点での測位手段による測定に間に合うように測位手段を起動し、測位予定地点を通過後は測位手段による測位を停止するように測位手段の駆動タイミングを制御する手段として機能させるようにしても良い。
【0059】
同様に、推定手段、特定手段、算出手段についても、中央制御部1のCPUによって所定のプログラム等が実行されることにより実現される構成としても良い。
【0060】
さらに、上記の各処理を実行するためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な媒体として、ROMやハードディスク等の他、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することも可能である。また、プログラムのデータを所定の通信回線を介して提供する媒体としては、キャリアウェーブ(搬送波)も適用される。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
測位衛星から送信された信号を受信して、当該装置本体の存する位置を測定する第1測位手段と、
前記第1測位手段により位置が測定される測位予定地点を登録する登録手段と、
当該装置本体の移動の際に、前記登録手段に登録されている測位予定地点での前記第1測位手段による測定に間に合うように前記第1測位手段を起動し、前記測位予定地点を通過後は前記第1測位手段による測位を停止するように前記第1測位手段の駆動タイミングを制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする測位装置。
<請求項2>
当該装置本体の移動方向及び移動量を連続的に検出して、所定地点の位置データに前記移動方向及び移動量を積算していくことで移動経路の各地点の位置を測定する第2測位手段を更に備え、
前記制御手段は、
前記第2測位手段による測定結果に基づいて、前記第1測位手段を起動させるタイミングを制御することを特徴とする請求項1に記載の測位装置。
<請求項3>
前記制御手段は、
前記第2測位手段による測定結果に基づいて、前記測位予定地点までの移動にかかる移動時間を推定する推定手段と、
前記推定手段により推定された移動時間と前記第1測位手段の起動にかかる起動時間とに基づいて、前記第1測位手段を起動させるタイミングを特定する特定手段とを有することを特徴とする請求項2に記載の測位装置。
<請求項4>
前記測位予定地点は、所定の地図内における当該装置本体の移動予定経路上に設定されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の測位装置。
<請求項5>
前記登録手段は、更に、前記測位予定地点を複数登録し、
前記第1測位手段により前記複数の測位予定地点の各々にて位置が測定された時刻に基づいて、前記複数の測位予定地点間の移動にかかった時間をそれぞれ算出する算出手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の測位装置。
<請求項6>
測位衛星から送信された信号を受信して、当該装置本体の存する位置を測定する測位手段を備える測位装置を用いた測位方法であって、
前記測位手段により位置が測定される測位予定地点を登録する処理と、
当該装置本体の移動の際に、登録されている測位予定地点での前記測位手段による測定に間に合うように前記測位手段を起動し、前記測位予定地点を通過後は前記測位手段による測位を停止するように前記測位手段の駆動タイミングを制御する処理と、
を含むことを特徴とする測位方法。
<請求項7>
測位衛星から送信された信号を受信して、当該装置本体の存する位置を測定する測位手段を備える測位装置のコンピュータを、
前記測位手段により位置が測定される測位予定地点を登録する登録手段、
当該装置本体の移動の際に、前記登録手段に登録されている測位予定地点での前記測位手段による測定に間に合うように前記測位手段を起動し、前記測位予定地点を通過後は前記測位手段による測位を停止するように前記測位手段の駆動タイミングを制御する制御手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。