(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記変換部は、前記複数の基準色情報と前記複数の調整色情報とを用いて第2の係数を算出し、前記第2の係数に基づいて前記輝度情報を生成する請求項4に記載の撮像装置。
基準撮像素子が基準入射光に基づいて生成した複数の基準色情報と前記撮像素子が基準入射光に基づいて生成した複数の調整色情報とを用いて算出された、第2の係数を記憶する記憶部をさらに備え、
前記変換部は、前記第2の係数に基づいて前記輝度情報を生成する請求項1から3のいずれかに記載の撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本願発明による一実施形態である撮像装置及び輝度信号生成方法について図を用いて説明する。
図1は、撮像装置の第1の実施形態である一眼レフ型デジタルカメラ10を示す。まず、
図1を用いて一眼レフ型デジタルカメラ10の構成について説明する。
【0021】
一眼レフ型デジタルカメラ10は、本体12と、本体12に着脱自在な交換レンズ14とを備える。
【0022】
本体12は、その内部に、ペンタゴナルダハプリズム(以下、ペンタプリズムという)16、ファインダースクリーン17、クイックリターンミラー18、第1の撮像素子を成す撮像用CMOS22、第2の撮像素子を成す測光用CMOS23、変換部及び露光制御部を成すシステムコントロール回路30、表示部33、記録媒体であるメモリカード40、及びレリーズ釦41を主に備える。
【0023】
交換レンズ14は、撮影光学系15を主に備える。撮影光学系15は複数の光学レンズから成り、撮像用CMOS22に被写体像を結像させる。
【0024】
クイックリターンミラー18は、光を反射する反射面を有する薄板であって、反射面が撮影光学系15を向くように、撮影光学系15から撮像用CMOS22への光路上に設けられる。クイックリターンミラー18は、所定の軸回りに回動することにより、光路上に出入可能である。
【0025】
ファインダースクリーン17は、半透明の平板であって、光路、及びクイックリターンミラー18の回動軸と平行に設けられる。一眼レフ型デジタルカメラ10を横位置で構えた状態において、ファインダースクリーン17は、クイックリターンミラー18の重力方向上方に位置する。
【0026】
撮像用CMOS22の前方に、シャッタ幕20が設けられる。シャッタ幕20は、例えばフォーカルプレーンシャッターであって、光路を開閉する。
【0027】
ペンタプリズム16は、一眼レフ型デジタルカメラ10を横位置で構えた状態において、ファインダースクリーン17の重力方向上方に位置する。
【0028】
測光用CMOS23は、ペンタプリズム16の後方、すなわち、撮影光学系15とは反対の方向に設けられる。
【0029】
クイックリターンミラー18が光路上、すなわち撮影光学系15と撮像用CMOS22との間に位置するとき、撮影光学系15を経た被写体像は、クイックリターンミラー18により反射されて、ファインダースクリーン17に導かれ、一部がファインダースクリーン17に結像し、他方がファインダースクリーン17を透過してペンタプリズム16に入射する。ファインダースクリーン17を透過した被写体像は、測光用CMOS23に受光される。測光用CMOS23は、受光した被写体像を撮像し、被写体像に基づいて複数の第2の色情報を生成する。複数の第2の色情報は、赤色、緑色、及び青色の輝度を表す情報、すなわちRGBによって表される情報である。
【0030】
クイックリターンミラー18が光路上から出ているとき、すなわち撮影光学系15と撮像用CMOS22との間に位置せず、ファインダースクリーン17を覆うように配置されているとき、撮影光学系15を経た被写体像は、シャッタ幕20を経て、撮像用CMOS22に結像する。撮像用CMOS22は、入射した被写体像を撮像し、被写体像に基づいて複数の第1の色情報を生成する。複数の第1の色情報は、赤色、緑色、及び青色の輝度を表す情報、すなわちRGB色空間によって表される情報である。
【0031】
撮像用CMOS22及び測光用CMOS23が生成した色情報は、信号処理回路25により、所定の処理が施された後、システムコントロール回路30に伝送される。
【0032】
システムコントロール回路30は、一眼レフ型デジタルカメラ10の動作を制御する回路であって、データを記憶する記憶部であるROM36を有し、信号処理回路25、周辺制御回路32、表示部33、AFモータ35、及びメモリカード40に接続される。
【0033】
システムコントロール回路30は、信号処理回路25から色情報を受信し、色情報に基づいて、被写体に撮影光学系15の焦点が合致しているかを判断し、露出を決定し、スルー画像を作成する。スルー画像は表示部33に表示される。
【0034】
周辺制御回路32は、システムコントロール回路30からの指示に基づいて、シャッタ幕20、撮像用CMOS22、及び測光用CMOS23の動作を制御する。
【0035】
AFモータ35は、システムコントロール回路30からの指示に基づいて、撮影光学系15を駆動して撮影光学系15の焦点を被写体に合致させる。
【0036】
表示部33は、メモリカード40に記憶されている撮影画像及びスルー画像を表示可能である。
【0037】
撮像用CMOS22及び測光用CMOS23の前面には、カラーフィルタが取り付けられる。カラーフィルタは、赤色の波長を有する光を透過する赤色フィルタR、緑色の波長を有する光を透過する緑色フィルタG、及び青色の波長を有する光を透過する青色フィルタBを備える。
【0038】
ユーザがファインダースクリーン17を介して被写体を撮影する場合について説明する。以下、この場合の撮影手法を光学ファインダーモードと呼ぶ。この場合、システムコントロール回路30は、測光用CMOS23から受信した第2の色信号を用いて露出を決定する。そして、決定した露出に応じて撮像用CMOS22に撮像を行わせ、信号処理回路25を介して撮像用CMOS22から第1の色情報を受信し、得られた第1の色情報を用いて撮影画像を作成する。そして、メモリカード40に撮影画像を記録させる。第2の色信号を用いて露出を決定するとき、システムコントロール回路30は、第2の色情報を、YCbCr色空間の色情報に変換し、変換された色情報のうちYの輝度に基づいて測光を行い、露出を決定する。なお、第1の色情報を変換して得られるYの輝度は第1の輝度情報であり、第2の色情報を変換して得られるYの輝度は第2の輝度情報である。
【0039】
次に、ユーザが表示部33に表示されたスルー画像を参照して被写体を撮影する場合について説明する。以下、この場合の撮影手法をライブビューモードと呼ぶ。まず、スルー画像を表示部33に表示する処理について説明する。スルー画像を表示部33に表示するとき、システムコントロール回路30は、撮像用CMOS22に撮像を行わせ、信号処理回路25を介して撮像用CMOS22から第1の色情報を受信し、得られた第1の色情報を用いてスルー画像を作成する。そして、表示部33にスルー画像を表示させる。第1の色情報を用いてスルー画像を作成するとき、システムコントロール回路30は、第1の色情報をYCbCr色空間の色情報に変換し、変換された色情報のうちYの輝度(輝度情報)に基づいて測光を行って露出を決定し、スルー画像を作成する。表示部33に表示されたスルー画像を参照して被写体を撮影するとき、システムコントロール回路30は、撮像用CMOS22に撮像を行わせ、信号処理回路25を介して撮像用CMOS22から第1の色情報を受信し、得られた第1の色情報を用いて露出を決定する。そして、決定した露出に応じて撮像用CMOS22に撮像を行わせ、信号処理回路25を介して撮像用CMOS22から第1の色情報を受信し、得られた第1の色情報を用いて撮影画像を作成する。そして、メモリカード40に撮影画像を記録させる。第1の色情報を用いてスルー画像を作成するとき、システムコントロール回路30は、第1の色情報をYCbCr色空間の色情報に変換し、変換された色情報のうちYの輝度(輝度情報)に基づいて測光を行い、露出を決定する。
【0040】
次に、
図2を用いて、撮像用CMOS22が備えるカラーフィルタについて説明する。
図2に示すカラーフィルタは、いわゆるベイヤー配列に従って、赤色フィルタR、緑色フィルタG、及び青色フィルタBを並べたものである。緑色フィルタGの数は、赤色フィルタR及び青色フィルタBの数の2倍である。
【0041】
次に、
図3を用いて、測光用CMOS23が備えるカラーフィルタについて説明する。
図3に示すカラーフィルタは、緑色フィルタGの数が赤色フィルタR及び青色フィルタBの数の2倍になるように並べたものである。n行目には赤色フィルタRが並べられ、n+1行目及びn+2行目には緑色フィルタGが並べられ、n+3行目には青色フィルタBが並べられる(nは1以上の整数)。これにより、隣接画素どうしの画素値を容易に加算できる。
【0042】
次に、
図4から9を用いて、分光感度を補正する手段について説明する。分光感度は、入射光に含まれる特定の波長(λ)における、入射光の強度と撮像用CMOS22の出力値との比である。
【0043】
図4は、撮像用CMOS22の分光感度特性と、YCbCr色空間におけるYの分光感度特性とを示したグラフである。赤色の波長における分光感度特性を曲線R1で示し、緑色の波長における分光感度特性を曲線G1で示し、青色の波長における分光感度特性を曲線B1で示し、Yの分光感度特性を曲線Y1で示す。分光感度特性Y1は、第1の色情報を変換して得られたものである。ここで、分光感度特性Y1は、以下の式によって求められる。
Y1=a*Rv1+b*Gv1+c*Bv1
ここで、値Rv1、Gv1、及びBv1は、それぞれ赤色、緑色、及び青色の分光感度である。また、係数a、b、及びcは、既定の係数であって、予め定められている。
【0044】
図5は、測光用CMOS23の分光感度特性と、YCbCr色空間におけるYの分光感度特性とを示したグラフである。赤色の波長における分光感度特性を曲線R2で示し、緑色の波長における分光感度特性を曲線G2で示し、青色の波長における分光感度特性を曲線B2で示し、Yの分光感度特性を曲線Y2で示す。分光感度特性Y2は、第2の色情報を変換して得られたものである。ここで、分光感度特性Y2は、以下の式によって求められる。
Y2=a*Rv2+b*Gv2+c*Bv2
ここで、値Rv2、Gv2、及びBv2は、それぞれ赤色、緑色、及び青色の分光感度である。また、係数a、b、及びcは、
図4で用いたものと同じ値である。
【0045】
図4と
図5とを参照すると、赤色、緑色、及び青色の分光感度特性が、撮像用CMOS22と測光用CMOS23とにおいて異なることがわかる。すなわち、撮像用CMOS22と測光用CMOS23とは、分光感度特性が互いに異なる。そのため、赤色、緑色、及び青色の分光感度特性に基づいて算出される分光感度特性Y1及びY2もまた大きく異なる。
【0046】
ここで、前述のように、撮影画像の露出は、光学ファインダーモードでは分光感度特性Y2を用いて決定される一方で、ライブビューモードでは分光感度特性Y1を用いて決定される。そのため、撮像用CMOS22と測光用CMOS23との分光感度特性が互いに異なると、撮影画像の露出がモードによって異なってしまうおそれがある。つまり、ユーザがファインダースクリーン17を参照して撮影した場合とスルー画像を参照して撮影した場合とでは、異なる露出の撮影画像を得るおそれがある。
【0047】
これを防止するため、第1の色情報及び第2の色情報に所定の第1の係数を乗じて、撮像用CMOS22と測光用CMOS23の分光感度特性を互いに近似させる。この手段について
図6から9を用いて説明する。
【0048】
まず、撮像用CMOS22と測光用CMOS23の分光感度特性を直接的に互いに近似させる手段について、
図6及び7を用いて説明する。
【0049】
図6は、撮像用CMOS22の分光感度特性と、YCbCr色空間におけるYの分光感度特性とを示したグラフである。赤色、緑色、及び青色の波長における分光感度特性は
図4と同様である。Yの分光感度特性Y1’は、第1の色情報を第1の係数を用いて変換して得られたものである。ここで、分光感度特性Y1’は、以下の式によって求められる。
Y1’=a1’*Rv1+b1’*Gv1+c1’*Bv1
ここで、値Rv1、Gv1、及びBv1は、それぞれ赤色、緑色、及び青色の分光感度である。また、係数a1’、b1’、及びc1’は、第1の係数に含まれる。
【0050】
図7は、測光用CMOS23の分光感度と、YCbCr色空間におけるYの分光感度特性とを示したグラフである。赤色、緑色、及び青色の波長における分光感度特性は
図5と同様である。Yの分光感度特性Y2’で示す。分光感度特性Y2’は、第2の色情報を変換して得られたものである。ここで、分光感度特性Y2’は、以下の式によって求められる。
Y2’ =a2’*Rv2+b2’*Gv2+c2’*Bv2
ここで、値Rv2、Gv2、及びBv2は、それぞれ赤色、緑色、及び青色の分光感度である。また、係数a2’、b2’、及びc2’は、第1の係数に含まれる。
【0051】
この手段における第1の係数は、分光感度特性Y1’と分光感度特性Y2’とが近似するように、予め撮像用CMOS22と測光用CMOS23との分光感度特性を測定して決定され、ROM36に記憶される。システムコントロール回路30は、ROM36に記憶されている第1の係数を読み出して、第1の色情報及び第2の色情報を補正する。
【0052】
これにより、分光感度特性Y1’と分光感度特性Y2’とが近似するため、撮像用CMOS22を用いた測光結果と、測光用CMOS23を用いた測光結果とを近似させることができる。
【0053】
他方、撮像用CMOS22と測光用CMOS23の分光感度特性を標準比視感度に近似させ、結果として撮像用CMOS22と測光用CMOS23の分光感度特性を互いに近似させることも可能である。この手段について
図8及び9を用いて説明する。
【0054】
図8は、撮像用CMOS22の分光感度特性と、YCbCr色空間におけるYの分光感度特性とを示したグラフである。赤色、緑色、及び青色の波長における分光感度特性は
図4と同様である。Yの分光感度特性Y1”は、第1の色情報を第1の係数を用いて変換して得られたものである。ここで、分光感度特性Y1”は、以下の式によって求められる。
Y1”=a1”*Rv1+b1”*Gv1+c1”*Bv1
ここで、係数a1”、b1”、及びc1”は、第1の係数に含まれる。
【0055】
図9は、測光用CMOS23の分光感度と、YCbCr色空間におけるYの分光感度特性とを示したグラフである。赤色、緑色、及び青色の波長における分光感度特性は
図5と同様である。Yの分光感度特性Y2”で示す。分光感度特性Y2”は、第2の色情報を変換して得られたものである。ここで、Y2”は、以下の式によって求められる。
Y2”=a2”*Rv2+b2”*Gv2+c2”*Bv2
ここで、係数a2”、b2”、及びc2”は、第1の係数に含まれる。
【0056】
この手段における第1の係数は、分光感度特性Y1”と分光感度特性Y2”とが標準比視感度に近似するように、予め撮像用CMOS22と測光用CMOS23との分光感度特性を測定して決定され、ROM36に記憶される。システムコントロール回路30は、ROM36に記憶されている第1の係数を読み出して、第1の色情報及び第2の色情報を補正する。
【0057】
これにより、分光感度特性Y1”と分光感度特性Y2”とが標準比視感度に近似し、これにより撮像用CMOS22と測光用CMOS23の分光感度特性が互いに近似するため、撮像用CMOS22を用いた測光結果と、測光用CMOS23を用いた測光結果とを近似させることができる。さらに、分光感度特性Y1”と分光感度特性Y2”とが標準比視感度に近似するため、人間の目の特性に近い測光結果を得ることができる。これにより、輝度計による測光結果に近い測光値を得ることができる。
【0058】
次に、
図10から14を参照して、基準撮像素子を用いて撮像用CMOS22の個体差及び測光用CMOS23の個体差を補正する手段について説明する。基準撮像素子は、撮像用CMOS22又は測光用CMOS23と同様の構成を有し、かつ良好な分光感度特性を有するCMOSである。この手段は、撮像用CMOS22及び測光用CMOS23のいずれにおいても適用されうるが、以下は撮像用CMOS22を一例として説明する。
【0059】
図10は、基準撮像素子の分光感度特性を示したグラフである。赤色の波長における分光感度特性を曲線R1で示し、緑色の波長における分光感度特性を曲線G1で示し、青色の波長における分光感度特性を曲線B1で示す。
【0060】
図11は、撮像用CMOS22の分光感度特性を示したグラフである。赤色の波長における分光感度特性を曲線R2で示し、緑色の波長における分光感度特性を曲線G2で示し、青色の波長における分光感度特性を曲線B2で示す。
【0061】
図10と
図11とを参照すると、赤色、緑色、及び青色の分光感度特性が、基準撮像素子と撮像用CMOS22とにおいて異なることがわかる。より詳細に説明すると、撮像用CMOS22は基準撮像素子に対して、赤色の分光感度特性R2が高く、緑色の分光感度特性G2が少々高く、青色の分光感度特性B2が低い。そのため、基準撮像素子の分光感度特性に基づいて算出したYの輝度に基づいて測光を行うと、正確な測光値を得ることができないおそれがある。
【0062】
そこで、基準撮像素子の分光感度特性に近づくように、撮像用CMOS22の分光感度特性を補正し、これにより撮像用CMOS22の個体差を補正する。
図12から14を用いて、個体差を補正する手段について説明する。
【0063】
図12及び13は、同一の光源を用いて同一の被写体を撮像したときにおける、基準撮像素子及び撮像用CMOS22の出力値を示すグラフである。すなわち、これらの出力値は基準入射光に基づいて測定される。これらのグラフは、特定の入力波長、つまり特定の色に対する出力値の大きさを示している。
【0064】
図12は基準撮像素子による赤色R、緑色G、及び青色Bの出力値を示す。赤色R、緑色G、及び青色Bの出力値は、基準色情報を成す。基準撮像素子における赤色Rの出力値は3、緑色Gの出力値は5、そして青色Bの出力値は2である。
【0065】
図13は撮像用CMOS22による赤色R、緑色G、及び青色Bの出力値を示す。撮像用CMOS22における赤色Rの出力値は4、緑色Gの出力値は6、そして青色Bの出力値は1である。
【0066】
撮像用CMOS22の分光感度特性に第2の係数を乗じることにより、撮像用CMOS22の個体差を補正する。第2の係数は、基準撮像素子の出力値と撮像用CMOS22の出力値との比である。以下、
図12及び
図13を一例として、これについて説明する。
【0067】
図12と
図13とを参照すると、基準撮像素子の赤色Rの出力値と撮像用CMOS22の赤色Rの出力値との比は3/4であり、緑色Gの出力値の比は5/6であり、青色Bの出力値の比は2/1である。これらの比を撮像用CMOS22の出力値に乗じることによって、撮像用CMOS22の出力値を補正する。補正された赤色Rの出力値Ro’、緑色Gの出力値Go’、及び青色Bの出力値Bo’は以下のようになる。
Ro’=(3/4)*Ro
Go’=(5/6)*Go
Bo’=(2/1)*Bo
ここで、値Ro、Go、及びBoはそれぞれ赤色R、緑色G、及び青色Bの出力値である。
以上から、撮像用CMOS22の補正された分光感度特性Y3は、以下の式によって求められる。
Y3=a*(3/4)*R+b*(5/6)*G+c*(2/1)*B
ここで、値Ro、Go、及びBoはそれぞれ赤色R、緑色G、及び青色Bの出力値であり、係数a、b、及びcは、第1の係数に含まれる。
【0068】
図14に、前述の式によって補正された撮像用CMOS22の出力値を示す。撮像用CMOS22における赤色Rの出力値Roは3、緑色Gの出力値Goは5、そして青色Bの出力値Boは2となり、基準撮像素子の出力値と一致することがわかる。
【0069】
前述の分光感度特性Y1’及び分光感度特性Y2’、又は分光感度特性Y1”及び分光感度特性Y2”は、赤色の分光感度Rv1、Rv2、緑色の分光感度Gv1、Gv2、青色の分光感度Bv1、Bv2の代わりに、赤色Rの出力値Ro’、緑色Gの出力値Go’、及び青色Bの出力値Bo’をそれぞれ用いて算出されうる。
【0070】
ROM36は、同一の光源を用いて同一の被写体を撮像したときにおける、基準撮像素子及び撮像用CMOS22の出力値を予め記憶している。システムコントロール回路30は、これらの出力値をROM36から読み出して、前述の式に基づいて分光感度特性Y3を算出する。これにより、撮像用CMOS22の個体差を補正し、正確な測光結果を得ることができる。
【0071】
次に、
図15を用いて、光学ファインダーモード時における輝度情報生成処理について説明する。光学ファインダーモード時における輝度情報生成処理は、システムコントロール回路30によって実行される。
【0072】
始めのステップS151では、測光用CMOS23が第2の色情報を生成する。
【0073】
次のステップS152では、システムコントロール回路30が、第2の色情報に第2の係数を乗じ、これにより、補正された赤色Rの出力値Ro’、緑色Gの出力値Go’、及び青色Bの出力値Bo’を算出する。
【0074】
次のステップS153では、補正された赤色Rの出力値Ro’、緑色Gの出力値Go’、及び青色Bの出力値Bo’を用いて輝度を算出し、これにより分光感度特性Y1’及び分光感度特性Y2’、又は分光感度特性Y1”及び分光感度特性Y2”を得る。そして、処理が終了する。
【0075】
次に、
図16を用いて、ライブビューモード時における輝度情報生成処理について説明する。ライブビューモード時における輝度情報生成処理は、システムコントロール回路30によって実行される。
【0076】
始めのステップS161では、撮像用CMOS22が第1の色情報を生成する。
【0077】
次のステップS162では、システムコントロール回路30が、第1の色情報に第2の係数を乗じ、これにより、補正された赤色Rの出力値Ro’、緑色Gの出力値Go’、及び青色Bの出力値Bo’を算出する。
【0078】
次のステップS163では、補正された赤色Rの出力値Ro’、緑色Gの出力値Go’、及び青色Bの出力値Bo’を用いて輝度を算出し、これにより分光感度特性Y1’及び分光感度特性Y2’、又は分光感度特性Y1”及び分光感度特性Y2”を得る。そして、処理が終了する。
【0079】
本実施形態によれば、撮像用CMOS22を用いた測光結果と、測光用CMOS23を用いた測光結果とを近似させることができる。
【0080】
また、撮像用CMOS22が撮像を行うとき、撮影光学系15から撮像用CMOS22までの光路上には何も設けられていないのに対し、測光用CMOS23が撮像を行うとき、撮影光学系15から測光用CMOS23までの光路には、クイックリターンミラー18、ファインダースクリーン17、及びペンタプリズム16が設けられている。クイックリターンミラー18、ファインダースクリーン17、及びペンタプリズム16の分光特性をも考慮して第1の係数及び第2の係数を決定すれば、より正確に測光を行うことができる。
【0081】
なお、輝度情報生成処理において、ステップS152及びS162を実行せず、ステップS153及びS163において、システムコントロール回路30が、第1の色情報及び第2の色情報を受信して輝度を算出し、分光感度特性Y1’及び分光感度特性Y2’、又は分光感度特性Y1”及び分光感度特性Y2”を得てもよい。
【0082】
第2の実施形態によるコンパクト型デジタルカメラ50ついて、
図17を用いて説明する。本実施形態によるコンパクト型デジタルカメラ50は、第1の実施形態と比較して、撮影光学系15が着脱式でない点、並びにペンタプリズム16、ファインダースクリーン17、及びクイックリターンミラー18を備えない点が主に異なる。以下、第1の実施形態と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略し、相違点について主に説明する。
【0083】
コンパクト型デジタルカメラ50は、本体52を備える。本体52は、その内部に、撮影光学系15、第1の撮像素子を成す撮像用CMOS22、第2の撮像素子を成す測光用CMOS23、変換部及び露光制御部を成すシステムコントロール回路30、表示部33、記録媒体であるメモリカード40、及びレリーズ釦41を主に備える。
【0084】
測光用CMOS23は、本体52の前面、すなわち、被写体に正対し、被写体からの反射光を受光可能となる位置に設けられる。測光用CMOS23は、受光した被写体像を撮像し、被写体像に基づいて複数の第2の色情報を生成する。
【0085】
撮影光学系15を経た被写体像は、シャッタ幕20を経て、撮像用CMOS22に結像する。撮像用CMOS22は、入射した被写体像を撮像し、被写体像に基づいて複数の第1の色情報を生成する。
【0086】
なお、第1及び第2の色情報は、RGBによって表される情報でなく、YCbCrによって表される情報であってもよい。
【0087】
なお、撮像用CMOS22は、
図2に示すベイヤー配列でなく、
図18に示す配列のカラーフィルタを備えてもよい。
図18に示すカラーフィルタは、
図2に示すベイヤー配列が備える緑色フィルタGの半分を、赤外の波長を有する光を透過する赤外フィルタIRで置き換えて得られるフィルタである。また、測光用CMOS23は、
図18に示す配列のカラーフィルタを備えてもよい。
【0088】
また、撮像用CMOS22及び測光用CMOS23が有するカラーフィルタの配列は、前述のものに限定されない。
【0089】
なお、ROM36は、第2の係数を予め記憶してもよい。