特許第6409353号(P6409353)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6409353
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】吊足場及びそれを用いた据付方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 3/28 20060101AFI20181015BHJP
   G21C 13/00 20060101ALN20181015BHJP
【FI】
   E04G3/28 301E
   !G21C13/00 Q
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-123476(P2014-123476)
(22)【出願日】2014年6月16日
(65)【公開番号】特開2016-3472(P2016-3472A)
(43)【公開日】2016年1月12日
【審査請求日】2017年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】509328928
【氏名又は名称】株式会社日立プラントコンストラクション
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100152261
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 隆弘
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 耕二
(72)【発明者】
【氏名】横川 穣
(72)【発明者】
【氏名】上田 晃嗣
(72)【発明者】
【氏名】黒川 実
【審査官】 兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−207430(JP,A)
【文献】 特開平08−086037(JP,A)
【文献】 実開平03−071051(JP,U)
【文献】 特開平09−209589(JP,A)
【文献】 特開2004−170319(JP,A)
【文献】 特開2011−153421(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0300013(US,A1)
【文献】 特開平04−203007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 1/00−7/34
E04G 27/00
E04H 5/02
G21C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
小部屋の平面視で天井梁とほぼ重なる位置に配置した柱と複数の前記柱と跨るように配置したサポートを仮組みしたフレームと、前記小部屋の床面側で設備機器の搬入作業が可能な高さ位置の前記フレームに取り付け可能とし前記設備機器の据付作業を行う据付作業用足場と、前記小部屋の天井を施工する天井施工用足場と、前記小部屋の壁面の仕上げ作業を行う壁仕上げ用足場を有する構造物を床面と壁面が形成された前記小部屋に搬入して天井を施工した後、一端に前記天井の天井梁のフランジを把持する把持部と、他端に前記柱のフランジと連結可能な第1筒体のフランジ部と、前記第1筒体の軸心に配置され軸回りに回転自在なシャフトと螺合する第2筒体を有する足場サポートを前記フレームの柱に接続し、前記把持部で前記天井梁を把持し、前記フランジ部で前記柱のフランジを連結して前記第2筒体を上下動させて前記フレームを前記天井梁に連結し、前記天井施工用足場と、前記壁仕上げ用足場と、前記フレームの一部を撤去して形成する吊足場であって、
前記吊足場は、前記フレームと、前記足場サポートと、前記据付作業用足場を備えることを特徴とする吊足場。
【請求項2】
フレームに天井施工用足場と、壁仕上げ用足場と、据付作業用足場を着脱可能に仮組みした構造物を床面と壁面が形成された小部屋へ搬入する工程と、
前記天井施工用足場で前記小部屋の天井を施工する工程と、
天井施工後の天井梁に取り付けて前記天井梁に対して水平方向又は垂直方向の取り付け位置を調整可能な足場サポートを前記フレームの柱に接続し、前記壁仕上げ用足場で壁を仕上げる工程と、
前記天井施工用足場と、前記壁仕上げ用足場と、前記フレームの一部を解体して前記据付作業用足場を前記天井梁から吊り下げた吊足場を形成する工程と、
前記小部屋内に設備機器を搬入して前記据付作業用足場から据え付ける工程と、
を有することを特徴とする吊足場を用いた据付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートで囲われた小部屋の設備機器を据え付ける際の足場となる吊足場及びそれを用いた据付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所のような建屋ではコンクリート壁で囲われた小部屋の中に機器・配管・ダクト・ケーブルトレイが据え付けられている。
従来、このような建屋の建設工法として後入れ工法があり、この工法は、まず、床および壁を形成した後、天井施工用足場を設置する。天井施工用足場を用いて天井を施工した後、天井に設置するホイストなどの据え付け作業、壁面の仕上げ作業を行う。次に、天井施工用足場を撤去して床塗装を行う。そして、壁の通路口から小部屋内に設置する設備機器、配管、サポート部材などを搬入する。さらに据付作業用足場を設置、撤去を複数回繰り返しながら設備機器、配管、ダクトなどを据え付けている。
【0003】
このような後入れ工法では、据付作業用足場の組み直しにより、工期が長期化し、高所作業が多発する。このため、あらかじめ設備機器の一部を仮組みしたモジュール構造物を用いた先入れ工法が適用されている。
特許文献1に開示のモジュール構造物は、小部屋に配置する設備機器部品を吊り下げ可能とし、小部屋内の設計上の配置位置に対応して長さが調整された吊り下げ手段を備えることにより、小部屋の床面から浮かび上がらせることができ床面の塗装工事を容易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−207430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1のようなモジュール構造物によれば、床面から設備機器部品を浮かび上がらせた構成であるため床面の塗装工事を行うことができるが、あらかじめモジュール構造物に吊り下げ手段を用いて設計通りに設備機器を仮組みする作業が煩雑な作業となっていた。また、複数の設備機器を仮組みしたモジュール構造物は重量が増して、大型のクレーン車が必要になるなど取扱いが困難であった。
【0006】
このような建屋に据え付け工事を行う場合には、吊足場を部屋一面に配置して、部屋の中に設備機器を搬入できるように床面の通路性を確保しつつ、据え付け用の足場として適用できることが望ましい。
しかし、海外の施工現場では、床面から骨組みと床板を組み上げた本組み足場を用いることが主流であり、高所の部屋一面に吊足場を組む高度な技術を持つ作業員の数が限られている。このため、海外の建設工事では、本組み足場が過剰に組み立てられて、床面の通路性が確保できず、搬入作業に支障を来すケースが多発するおそれがあった。
【0007】
そこで本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、小部屋への設備機器の搬入作業を容易とし、据え付け用足場の撤去・設置を繰り返す必要がない吊足場及びそれを用いた据付方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するための第1の手段として、小部屋の平面視で天井梁とほぼ重なる位置に配置した柱と複数の前記柱と跨るように配置したサポートを仮組みしたフレームと、前記小部屋の床面側で設備機器の搬入作業が可能な高さ位置の前記フレームに取り付け可能とし前記設備機器の据付作業を行う据付作業用足場と、前記小部屋の天井を施工する天井施工用足場と、前記小部屋の壁面の仕上げ作業を行う壁仕上げ用足場を有する構造物を床面と壁面が形成された前記小部屋に搬入して天井を施工した後、一端に前記天井の天井梁のフランジを把持する把持部と、他端に前記柱のフランジと連結可能な第1筒体のフランジ部と、前記第1筒体の軸心に配置され軸回りに回転自在なシャフトと螺合する第2筒体を有する足場サポートを前記フレームの柱に接続し、前記把持部で前記天井梁を把持し、前記フランジ部で前記柱のフランジを連結して前記第2筒体を上下動させて前記フレームを前記天井梁に連結し、前記天井施工用足場と、前記壁仕上げ用足場と、前記フレームの一部を撤去して形成する吊足場であって、
前記吊足場は、前記フレームと、前記足場サポートと、前記据付作業用足場を備えることを特徴とする吊足場を提供することにある。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するための第2の手段として、前記第1の手段において、前記足場サポートは、第1筒体と、前記第1筒体の軸心に配置され軸回りに回転自在なシャフトと螺合する第2筒体と、を備え、前記第2筒体が前記第1筒体から軸方向に伸縮可能なことを特徴とする吊足場を提供することにある。
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するために第3の手段として、前記第1及び第2の手段において、前記フレームに取り付けて前記フレームと共に前記天井側から搬入し前記天井施工後に撤去する天井施工用足場と、前記フレームに取り付けて前記フレームと共に前記天井側から搬入し前記小部屋の壁仕上げ後に撤去する壁仕上げ用足場と、を備えたことを特徴とする吊足場を提供することにある。
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するための第4の手段として、フレームに天井施工用足場と、壁仕上げ用足場と、据付作業用足場を着脱可能に仮組みした構造物を床面と壁面が形成された小部屋へ搬入する工程と、前記天井施工用足場で前記小部屋の天井を施工する工程と、天井施工後の天井梁に取り付けて前記天井梁に対して水平方向又は垂直方向の取り付け位置を調整可能な足場サポートを前記フレームの柱に接続し、前記壁仕上げ用足場で壁を仕上げる工程と、前記天井施工用足場と、前記壁仕上げ用足場と、前記フレームの一部を解体して前記据付作業用足場を前記天井梁から吊り下げた吊足場を形成する工程と、前記小部屋内に設備機器を搬入して前記据付作業用足場から据え付ける工程と、を有することを特徴とする吊足場を用いた据付方法を提供することにある。
【発明の効果】
【0012】
上記のような構成によれば、設備機器の搬入作業が可能なフレームの高さ位置に吊足場を設置しているため、床面側の通路性を確保することができ、小部屋内に設備機器を容易に搬入することができる。また、吊足場をメイン足場として設備機器の仮置き又は据え付け作業を行うことができ、従来のように足場の撤去、設置作業を繰り返す必要がない。また、あらかじめ小部屋の平面視で天井梁とほぼ重なる位置に配置したフレームの柱を、水平方向に位置調整可能な足場サポートを用いて容易に天井梁から吊り下げて吊足場を取り付けることができる。
【0013】
上記のような構成によれば、足場サポートとフレームの垂直方向の位置合わせ(上下方向の隙間を解消)を容易に行うことができる。
【0014】
上記のような構成によれば、吊足場を小部屋に搬入する際にあらかじめフレームに天井施工及び壁仕上げのための足場を設置しているため、天井施工時、壁仕上げ時に足場を設置する必要がなく作業工程を短縮することができる。
【0015】
上記のような構成によれば、床面側の通路性を確保できるため、従来のモジュール構造物のように通路性が確保できないためにあらかじめ搬入前に設備機器部品をワイヤー吊りなどの吊り下げ手段を用いて仮組みしなければならない煩雑な作業の必要性がなく、搬入作業、足場の撤去作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の吊足場の概略を示す斜視図である。
図2】本発明の吊足場の平面図である。
図3】足場サポートの正面図である。
図4】足場サポートの側面図である。
図5】連結手段を除いた足場サポートの正面の一部断面図である。
図6】本発明の吊足場を用いた据付方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の吊足場及びそれを用いた据付方法の実施形態を添付の図面を参照しながら、以下詳細に説明する。図1は本発明の吊足場の概略を示す斜視図である。図2は本発明の吊足場の平面図である。図3は足場サポートの正面図である。図4は足場サポートの側面図である。図5は連結手段を除いた足場サポートの正面の一部断面図である。図6は本発明の吊足場を用いた据付方法の説明図である。
【0018】
[吊足場10]
本発明の吊足場10は、建設工法のうちで、いわゆる先入れ工法に適用可能な構造物に組み込まれている。また、本発明の吊足場10の適用対象は、コンクリート壁で囲われ、内部に機器・配管・ダクト・ケーブルトレイを据え付けた小部屋、省スペースの内部空間を備えた建屋である。構造物11は、フレームと足場を複数仮組みして、コンクリートの床面12と壁面14が形成されて天井が形成されていない小部屋へクレーン等により天井側の開口から搬入可能なほぼ直方体の形態を採用している。搬入した構造物11は、フレームを構成する柱の脚部が床面12に配置され、壁面14とフレームの間に所定間隔の隙間が設けられている。このような構造物11は、小部屋に搬入後に、足場を仮組みすることなく、あらかじめ仮組みされた足場を用いて天井の施工、壁面の仕上げなどの作業を行うことができる。
【0019】
本発明の吊足場10は、フレーム20と、据付作業用足場30と、足場サポート40、天井施工用足場60と、壁仕上げ用足場70と、梯子80と、手摺82を主な基本構成としている。
【0020】
[フレーム20]
フレーム20は構造物11又は吊足場10の骨格部分に相当する。フレーム20は、柱22とサポート24からなり、着脱容易な連結金具(不図示)を用いて組み立てている。サポート24は複数の柱22に跨るように水平方向に取り付けられ、フレーム20の機械的強度を高めることができる。図2に示すように、小部屋の天井16には複数の天井梁18が所定間隔を開けて並列に形成されている。本発明の柱22は、小部屋の平面視で天井16の天井梁18とほぼ重なる位置に配置している。また柱22の上端には、後述する足場サポート40のフランジ部55と連結可能なフランジ23(図3〜4参照)が形成されている。
【0021】
[据付作業用足場30]
据付作業用足場30は、設備機器の据え付け作業を行う足場である。据付作業用足場30は、搬入する際あらかじめ配管90などの設備機器の一部が仮置きされている。本発明の据付作業用足場30は床面12の通路口13からの搬入作業が行える高さ位置の柱22に取り付けられている。据付作業用足場30は、図2に示すように、小部屋の平面視で設備機器の据付用開口30a、梯子用開口30b、柱22を除く全平面に亘って、分割された足場板を配置して形成されている。そして据付作業用足場30には、設備機器の一部、本実施形態では配管90が仮置きされている。このような据付作業用足場30は、後述する天井据付用足場60と、壁仕上げ用足場70の撤去時に撤去されることがなく、その後の設備機器の据付作業に利用することができる。また、作業工程により、新たな据付作業用足場をこの据付作業用足場30を用いて仮組みすることができる。
【0022】
[足場サポート40]
図3〜5に示すように足場サポート40は、連結手段42と、第1筒体45と、第2筒体53と、を主な基本構成としている。
【0023】
連結手段42は、上部に天井梁18(H型鋼)のフランジ19(床面側)の両端を把持する把持部43と、下部にパイプ41を把持するクランプ44が形成された一対の連結金具である。なお、パイプ41は軸方向を天井梁18の長手方向と直交する方向に配置し、フランジ19の長さよりも僅かに長く設定している。本実施形態の把持部43は、一例として、フランジ19の端部を把持可能なC型クランプを用いている。このような把持部43は、凹部にフランジ19の端部を挿入した後、天井側からフランジ19の厚み方向に締付ボルト431を締め付けて固定することができる。また、本実施形態のクランプ44は、一例として、内径がパイプ41の直径とほぼ同じパイプクランプを用いている。このようなクランプ44は、一端がヒンジ状に回転自在に結合された一対の半円状の部材をパイプ41の径方向に沿って取り付けた後、他端どうしを締付ボルト441で締め付けてパイプ41に固定することができる。このような構成の連結手段42は、一対の連結金具の各クランプ44に所定長さのパイプ41を連通させておく。そして、各把持部43で天井梁18のフランジ19を把持する。
【0024】
第1筒体45は、一端(上端)にフランジ46が形成され、そのフランジ46にクランプ部47が形成されている。クランプ部47は、前記パイプ41を把持するパイプクランプである。このようなクランプ部47は、一端がヒンジ状に回転自在に結合された一対の半円状の部材をパイプ41の径方向に沿って取り付けた後、他端どうしを締付ボルト471で締め付けてパイプ41に固定することができる。第1筒体45の内部には第1シャフト48が取り付けられている(図5参照)。第1シャフト48の軸心は、第1筒体45の軸心と同一中心に配置されている。第1シャフト48のヘッド49は、第1筒体45の内部でボールベアリング451とベアリング受け452からなるスラスト軸受によって回転自在に支持されている。また、ヘッド49の外周にはかさ歯車が形成されている。第1シャフト48のヘッド49と反対側の端部には、第1シャフト48の他端(下端)から突出し、シャフト本体の表面に雄ねじ50が形成されている。第2シャフト51は、第1筒体45の周面に形成された開口45aから軸心が第1シャフト48の軸心と直交する方向に延びるように取り付けられている。第2シャフト51のヘッド52の外周には、第1シャフト48のヘッド49と同様にかさ歯車が形成されており、互いに噛み合いながら回転することができる。第2シャフト51のシャフト本体は断面視で六角形状に形成されている。このような構成の第2シャフト51は、インパクトレンチなどの工具を用いて容易に正逆回転させることができる。
【0025】
第2筒体53は、第1筒体45よりも直径が小さく、第1筒体45の内部へ挿入可能とし、一端(上端)側の内部に前記雄ねじ50と螺合する雌ねじ部54が形成されている。第2筒体53の他端には、内壁にボールベアリング531とベアリング受け532からなるボール軸受が環状に形成されている。フランジ部55は、第2筒体53の内部に挿入可能なフランジ内筒56を設けている。フランジ内筒は、先端にツバを設けて、ボール軸受に支持され軸回りを回転自在な構成としている。フランジ部55は、柱22の上端に形成されたフランジ23と同じ形状に形成され、締付ボルト551を用いて連結させることができる。
【0026】
このような構成の足場サポート40は、あらかじめパイプ41に連結手段42のクランプ44と第1筒体45のクランプ部47を仮止めしておく。そして、一対の連結手段42の把持部43をフランジ19の両端に仮止めする。ついで、第2筒体53のフランジ部55を柱22のフランジ23に締付ボルト551を用いて連結する。インパクトレンチなどの工具を用いて第2シャフト51を回転させて第2筒体53を上方又は下方へ移動させることにより、フレーム20を天井梁18に連結し固定させることができる。
【0027】
[天井施工用足場60]
天井施工用足場60は、天井16を施工する際に用いる足場であり、構造物11の最上段に形成された足場である。天井施工用足場60は、小部屋の平面視で、分割された足場板をフレーム20の全面に亘って配置して形成されている。
【0028】
[壁仕上げ用足場70]
壁仕上げ用足場70は、壁面14の仕上げ作業を行う際に用いる足場であり、天井施工用足場60よりも低い階の構造物11に形成された足場である。壁仕上げ用足場70は、小部屋の平面視で四方の壁面14側に形成されていればよく、中心側に足場板を取り付けていない。
【0029】
なお本実施形態の壁仕上げ用足場70は、一例として、天井16が床面12から7〜8mの場合、床面12から2mと4mの高さに2段取り付けているが、この他にも、小部屋の天井16の高さに応じて労働規則に基づき3段以上形成することもできる。
【0030】
[梯子80]
梯子80は小部屋の床面12から各階の足場に跨って形成されている。
【0031】
[手摺82]
手摺82は壁仕上げ用足場70の開口の周囲や据付作業用足場30に形成された設備機器の施工用の開口の周囲などに形成されている。
このような吊足場10は、着脱可能な連結手段を用いて仮組みし、設備機器の据え付け作業終了後に撤去される。
【0032】
[吊足場を用いた据付方法]
上記構成による本発明の吊足場を用いた設備機器の据付方法について以下説明する。
【0033】
コンクリートの床面12と壁面14が形成され、天井16が形成されていない小部屋に構造物11を搬入する(A)。構造物11は、フレーム20と、天井施工用足場60と、壁仕上げ用足場70と、据付作業用足場30、梯子80、手摺82を備えている。構造物11は、小部屋へ搬入する前にあらかじめ、フレーム20に天井施工用足場60と、壁仕上げ用足場70と、据付作業用足場30を仮組みし、さらに据付作業用足場30に配管90などの設備機器を仮置きしている。また、小部屋の床面12側には、設備機器搬入用の通路口13が形成されている。小部屋に搬入された構造物11は、床面12に柱22の脚が設置されて、床面12から梯子80が天井16側へ向けて取り付けられている。天井施工用足場60は、小部屋の平面視で全面に亘って取り付けられている。壁仕上げ用足場70は小部屋の平面視で壁面14に沿って環状に形成されている。そして、壁仕上げ用足場70の中心側には手摺82が取り付けられている。
【0034】
構造物11の天井施工用足場60から天井16を施工する(B)。天井施工用足場60は、一例として、天井16が床面12から7〜8mの場合、床面12から5〜6mの高さに取り付けられている。また、天井16の形成後は、天井施工用足場60から天井16の塗装などの仕上げ作業を行い。さらに天井16に取り付けるホイストなどの設置作業を行う。このように、構造物11にはあらかじめ天井施工用足場60が仮組みされているため、搬入後、速やかに天井施工作業を行うことができる。
【0035】
次に、天井施工用足場60を用いて足場サポート40を取り付け、壁面仕上げ足場70を用いて壁面14の仕上げ作業を行う(C)。足場サポート40の取り付けは、天井施工用足場60から行う。あらかじめ足場サポート40は、パイプ41に連結手段42のクランプ44と第1筒体45のクランプ部47を仮止めしておく。
【0036】
まず、天井16の天井梁18に連結手段42の把持部43を取り付ける。把持部43の凹部にフランジ19の端部を挿入した後、天井側からフランジ19の厚み方向に締付ボルト431を締め付けてフランジ19に把持部43を仮止めする。ついで、第2筒体53のフランジ部55を柱22のフランジ23に締付ボルト551を用いて連結する。このとき連結手段42の把持部43によるフランジ19の把持位置及びパイプ41を把持するクランプ部47の把持位置を柱22に合わせて位置調整する。このような水平方向の位置調整が完了した後、インパクトレンチなどの工具を用いて第2シャフト51を回転させて第2筒体53を上方又は下方へ移動させて垂直方向の位置調整を行う。これにより、フレーム20を天井梁18に連結し固定させることができる。
【0037】
壁面仕上げは、壁仕上げ用足場70を用いて壁面14の塗装などを行う。壁仕上げ用足場70は、一例として、天井16が床面12から7〜8mの場合、床面12から、2mと4mの高さに取り付けられている。
壁面仕上げ作業が終了した後、天井施工用足場60と、壁仕上げ用足場70とフレーム20の一部を撤去して、吊足場10を形成する(D)。吊足場10は、床面12側の設備機器の搬入作業が行える高さ、一例として、小部屋の天井16が床面12から7〜8mの場合、床面12から3mの高さ位置のフレーム20に据付作業用足場30を取り付けている。
【0038】
床面12側の通路口13から小部屋内に設備機器92を搬入する(E)。床面12側には、構造物11のフレーム20が撤去され、吊足場10の据付作業用足場30も搬入作業が行える高さに取り付けられているため、設備機器92を小部屋内に容易に搬入することができる。
据付作業用足場30を用いて、設備機器92の据え付け作業を行う(F)。据付作業終了後は、吊足場10の撤去作業を行う。
【0039】
このような本発明の吊足場及びそれを用いた据付方法によれば、設備機器の搬入作業が可能なフレームの高さ位置に吊足場を設置しているため、床面側の通路性を確保することができ、小部屋内に設備機器を容易に搬入することができる。また、吊足場をメイン足場として設備機器の仮置き又は据え付け作業を行うことができ、従来のように建屋の施工作業に応じて足場の撤去、設置作業を繰り返す必要がない。また、あらかじめ平面視で天井梁付近に設けたフレームの柱を水平方向及び垂直方向に位置調整可能な足場サポートにより容易に天井梁から吊り下げることができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の吊足場及びそれを用いた据付方法は、コンクリート壁が形成された建屋の先入れ工法に特に有用である。
【符号の説明】
【0041】
10………吊足場、11………構造物、12………床面、13………通路口、14………壁面、16………天井、18………天井梁、19………フランジ、20………フレーム、22………柱、23………フランジ、24………サポート、30………据付作業用足場、40………足場サポート、41………パイプ、42………連結手段、43………把持部、44………クランプ、45………第1筒体、46………フランジ、47………クランプ部、48………第1シャフト、49………ヘッド、50………雄ねじ、51………第2シャフト、52………ヘッド、53………第2筒体、54………雌ねじ部、55………フランジ部、56………フランジ内筒、60………天井施工用足場、70………壁仕上げ用足場、80………梯子、82………手摺、90………配管、92………設備機器。
図1
図2
図3
図4
図5
図6