(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記貯湯槽には、前記貯湯槽の内部から前記貯湯槽の外部への空気の流出は許容するが、前記貯湯槽の外部から前記貯湯槽の内部への空気の流入は許容しないエア抜き弁が設けられている請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示される燃料電池システムでは、貯湯槽には水道が接続されているため、温度が低い水道水、つまり、空気の溶存量が多い水が貯湯槽に供給される。このように、貯湯槽に供給された溶存量が多い水が熱交換器に供給されると、この空気の溶存量が多い水が熱交換器において加温されることによって、熱交換器内において気泡が発生し続けてしまう。すると、上述した気泡排出制御が頻繁に実行され、貯湯槽の上部に高温の貯湯水が滞留した高温層が形成され、貯湯槽の下部に低温の貯湯水が滞留した低温層が形成された温度成層が崩壊してしまう。
【0007】
このように、貯湯槽内の貯湯水の温度成層が崩壊してしまうと、貯湯槽下部の低温の貯湯水と貯湯槽上部の高温の貯湯水が混ざるため、貯湯槽の内部において温度形成層が形成されている時と比較して、貯湯槽上部の貯湯水の温度が低下してしまう。すると、貯湯槽上部から貯湯水使用場所に供給される貯湯水の温度が、温度形成層が形成されている場合と比較して低下してしまう。また、貯湯槽下部の貯湯水の温度が上昇してしまうので、熱交換器に供給される貯湯水の温度が、温度形成層が崩壊していない場合と比較して上昇し、熱交換器において熱回収効率が低下してしまう。すると、燃料電池システムの運転効率が低下してしまう。
【0008】
本発明は、上述した問題を解消するためになされたもので、貯湯槽を備えた燃料電池システムにおいて、貯湯槽内の貯湯水の温度成層の崩壊を抑制し、運転効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る燃料電池システムの発明によれば、燃料と酸化剤ガスとにより発電する燃料電池と、貯湯水が貯湯される密閉空間である貯湯槽と、前記燃料電池から排気された排気ガスと前記貯湯水とを熱交換させる熱交換器と、前記貯湯槽と前記熱交換器との間で前記貯湯水が循環する第一貯湯水循環ラインと、前記第一貯湯水循環ラインに設けられ、前記貯湯水を前記貯湯槽と前記熱交換器との間で循環させるポンプと、前記貯湯水が使用される貯湯水使用機器と前記貯湯槽との間で前記貯湯水が循環するクローズド型の第二貯湯水循環ラインと、前記ポンプが吐出する前記貯湯水の流量を調整して、前記熱交換器から流出する前記貯湯水の温度を定常温度にして定常運転を実行する定常運転部と、前記ポンプが吐出する前記貯湯水の流量を前記定常運転が実行されている時に比べて低下させて、前記熱交換器から流出する前記貯湯水の温度を前記定常温度と比べて上昇させる温度上昇制御を実行する温度上昇部と、前記熱交換器内において気泡が発生したか否かを判定する気泡発生判定部と、前記気泡発生判定部によって前記熱交換器内において前記気泡が発生したと判定された場合に、前記ポンプが吐出する前記貯湯水の流量を前記定常運転が実行されている時に比べて増加させて、前記気泡を前記熱交換器から排出する気泡排出制御を実行する気泡排出部と、を有する。
【0010】
このように、熱交換器から流出する貯湯水の温度を、定常温度よりも上昇させる温度上昇制御が実行される。これによれば、貯湯水に溶存できる空気量は貯湯水の温度が高くなるに従って少なくなることから、貯湯水の温度が上昇されることによって、貯湯水に溶存している空気を貯湯水から排出させることができる。このため、貯湯水の溶存空気量を低減させることができる。また、貯湯槽と貯湯水使用機器との間で貯湯水が循環する第二貯湯水循環ラインはクローズド型であるので、貯湯槽、第一貯湯水循環ライン、及び第二貯湯水循環ラインに、空気が溶存した水が継続して流入することが無い。このため、温度上昇制御が一度実行されれば、貯湯水の溶存空気量を少ない状態に維持することができ、少なくとも熱交換器内における気泡の発生を抑制することができる。よって、気泡排出制御の頻繁な実行が抑制される。この結果、貯湯槽内の貯湯水の温度成層の崩壊を抑制することができ、燃料電池システムの運転効率を向上させることができる。
【0011】
さらに、請求項1に記載の発明において、前記温度上昇部は、前記定常運転が実行されている間に、前記
気泡発生判定部によって前記気泡の発生が判定されて、前記気泡排出制御が実行された後に、前記温度上昇制御を実行する。これにより、定常運転が実行されている場合において、例えば、熱交換器に流入する貯湯水の水圧が低下した等の原因によって、熱交換器内において気泡が発生した場合に、気泡排出制御が実行された後に、温度上昇制御が実行される。このため、定常運転中に熱交換器内において気泡が発生した場合に、温度上昇制御の実行によって熱交換器内において気泡が発生し難い状態にして、熱交換器内における気泡の発生を抑制することができる。
【0012】
請求項2に係る発明は、
請求項1に記載の発明において、前記温度上昇制御が実行されてから、前記
気泡発生判定部によって前記熱交換器内において
前記気泡が発生されていないと判定されている時間が第一規定時間を超えた場合には、前記定常運転に復帰させる復帰部を有する。
【0013】
第一規定時間の間に気泡排出制御が実行されない場合には、温度上昇制御によって、既に貯湯水の溶存空気量が確実に低くなっている。そして、第二貯湯水循環ラインはクローズド型であるので、温度上昇制御によって一度貯湯水の溶存空気量が低くなると、貯湯水は溶存空気量が低い状態に維持される。このため、熱交換器から流出する貯湯水の温度が、定常温度に復帰したとしても、熱交換器において気泡の発生が抑制される状態が維持される。上記のように、第一規定時間の間に気泡排出制御が実行されない場合には、熱交換器から流出する貯湯水の温度が、気泡排出制御が実行される前の温度に復帰される。これにより、貯湯水を溶存空気量が低い状態にして、気泡排出制御が実行されることによる貯湯槽内の貯湯水の温度成層の崩壊が抑制される状態にした後に、熱交換器から流出する貯湯水の温度を定常温度に復帰させることができる。このため、熱交換器から気泡が完全に追い出された後に、貯湯槽内において良好な温度成層が形成される。よって、燃料電池システムの運転効率をより向上させることができる。
【0014】
請求項3に係る発明は、
請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記温度上昇制御実行後における前記
気泡発生判定部によって判定された前記熱交換器内における
前記気泡の発生の時刻を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されている前記熱交換器内における
前記気泡の発生の時刻に基づいて、前記温度上昇制御実行後における前記気泡排出制御の実行の頻度が低減しない場合に、異常である旨の判定をする異常判定部と、を有する。温度上昇制御が実行されて、貯湯水に溶存している空気量が低減され、第二貯湯水循環ラインがクローズド型であり、貯湯水に空気溶存量が多い水が混入しないにも関わらず、熱交換器において気泡が発生する頻度が低減しないということは、水漏れなどで貯湯槽、第一貯湯水循環ライン、及び第二貯湯水循環ラインのいずれかの圧力が所定圧力より低下しているか、貯湯槽、第一貯湯水循環ライン、及び第二貯湯水循環ラインのいずれかへの空気の混入した異常状態である。異常判定部は、温度上昇制御実行後における気泡排出制御の実行の頻度が低減しない場合に、異常である旨の判定をするので、水漏れなどで貯湯槽、第一貯湯水循環ライン、及び第二貯湯水循環ラインのいずれかの圧力が所定圧力より低下しているか、貯湯槽、第一貯湯水循環ライン、及び第二貯湯水循環ラインのいずれかへの空気の混入した異常状態を検知することができる。
【0015】
請求項4に係る発明は、請求項1〜
請求項3に記載の発明において、前記貯湯槽には、前記貯湯槽の内部から前記貯湯槽の外部への空気の流出は許容するが、前記貯湯槽の外部から前記貯湯槽の内部への空気の流入は許容しないエア抜き弁が設けられている。これにより、貯湯水に溶存していた空気が、エア抜き弁を介して貯湯槽の外部に排出される。また、貯湯槽の外部から貯湯槽の内部への空気の侵入が防止されるので、貯湯水に再び空気が溶存してしまうことを防止することができる。このため、貯湯水の溶存空気量を低い状態に維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明による燃料電池システム100の一実施形態について説明する。
図1に示すように、燃料電池システム100は、発電ユニット10及び貯湯槽21を備えている。発電ユニット10は、筐体10a、燃料電池モジュール11、熱交換器12、インバータ装置13、水タンク14、制御装置15、及び報知部17を備えている。
【0018】
燃料電池モジュール11は、ケーシング31、蒸発部32、改質部33、及び燃料電池34を備えている。ケーシング31は、断熱性材料で箱状に形成されている。蒸発部32は、後述する燃焼ガスにより加熱されて、供給された改質水を蒸発させて水蒸気を生成するとともに、供給された改質用原料を予熱するものである。蒸発部32は、このように生成された水蒸気と予熱された改質用原料を混合して改質部33に供給するものである。
【0019】
蒸発部32には、改質用原料供給管11aの一端が接続されている。改質用原料供給管11aの他端には、供給源Gsが接続されている。供給源Gsは、改質用原料を供給するものである。改質用原料としては天然ガス、LPガスなどの改質用気体燃料、灯油、ガソリン、メタノールなどの改質用液体燃料がある。改質用原料として天然ガスを用いた実施形態について、本実施形態の燃料電池システム100を説明する。
【0020】
改質用原料供給管11aには、原料供給ポンプ11a1が設けられている。原料供給ポンプ11a1は、燃料電池34に燃料(改質用原料)を供給する供給装置であり、制御装置15から供給される制御電流によって供給源Gsからの燃料供給量(供給流量(単位時間あたりの流量))を調整するものである。この原料供給ポンプ11a1は、改質用原料を吸入し蒸発部32に圧送する圧送装置である。
【0021】
蒸発部32には、水供給管11bの一端が接続されている。水供給管11bの他端には、水タンク14に接続されている。水供給管11bは、改質水ポンプ11b1が設けられている。このような構成によって、水タンク14から改質水が蒸発部32に供給される。燃料電池モジュール11の燃料電池34には、カソードエア供給管11cの一端が接続されている。カソードエア供給管11cの他端には、カソードエアブロワ11c1が接続されている。このような構成によって、カソードエアが燃料電池34に供給される。
【0022】
改質部33は、上述した燃焼ガスにより加熱されて水蒸気改質反応に必要な熱が供給されることで、蒸発部32から供給された混合ガス(改質用原料、水蒸気)から改質ガスを生成して導出するものである。改質部33内には、触媒(例えば、RuまたはNi系の触媒)が充填されており、混合ガスが触媒によって反応し改質されて水素ガスと一酸化炭素などを含んだガスが生成されている(いわゆる水蒸気改質反応)。改質ガスは、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、未改質の天然ガス(メタンガス)、改質に使用されなかった改質水(水蒸気)を含んでいる。このように、改質部33は改質用原料(原燃料)と改質水とから改質ガス(燃料)を生成して燃料電池34に供給する。なお、水蒸気改質反応は吸熱反応である。
【0023】
燃料電池34は、改質部33によって生成された燃料とカソードエアブロワ11c1によって供給されたカソードエア(酸化剤ガス)によって発電するものである。燃料電池34は、燃料極、空気極(酸化剤極)、及び両極の間に介装された電解質からなる複数のセル34aが積層されて構成されている。本実施形態の燃料電池は、固体酸化物形燃料電池であり、電解質として固体酸化物の一種である酸化ジルコニウムを使用している。燃料電池34の燃料極には、燃料として水素、一酸化炭素、メタンガスなどが供給される。動作温度は400〜1000℃程度である。なお、400℃以下でも定格以下の発電量の発電は可能である。水素だけではなく天然ガスや石炭ガスなども直接燃料として用いることが可能である。この場合、改質部33は省略することができる。
【0024】
セル34aの燃料極側には、燃料である改質ガスが流通する燃料流路34bが形成されている。セル34aの空気極側には、酸化剤ガスである空気(カソードエア)が流通する空気流路34cが形成されている。
【0025】
燃料電池34は、マニホールド35上に設けられている。マニホールド35には、改質部33からの改質ガスが改質ガス供給管38を介して供給される。燃料流路34bは、その下端(一端)がマニホールド35の燃料導出口に接続されており、その燃料導出口から導出される改質ガスが下端から導入され上端から導出されるようになっている。カソードエアブロワ11c1によって送出されたカソードエアはカソードエア供給管11cを介して供給され、空気流路34cの下端から導入され上端から導出されるようになっている。
【0026】
第一燃焼部36は、燃料電池34と蒸発部32及び改質部33との間に設けられている。第一燃焼部36は、燃料電池34からのアノードオフガス(燃料オフガス)と燃料電池34からのカソードオフガス(酸化剤オフガス)とが燃焼されて蒸発部32及び改質部33を加熱する。
【0027】
第一燃焼部36では、アノードオフガスが燃焼されて火炎37が発生している。第一燃焼部36には、アノードオフガスを着火させるための一対の着火ヒータ36a1,36a2が設けられている。
【0028】
貯湯槽21は、貯湯槽21は、縦長の密閉容器であり、内部に貯湯水が貯留される密閉空間が形成されている。貯湯槽21は、その内部に貯湯水による温度成層が形成されている。すなわち、貯湯槽21上部の貯湯水の温度が最も高温であり、貯湯槽21の上部から下部に位置するに従って貯湯水の温度が低温となり、貯湯槽21下部の貯湯水の温度が最も低温であるように、貯湯水が貯湯槽21の内部で貯留されるようになっている。
【0029】
貯湯槽21の上部には、エア抜き弁25が設けられている。このエア抜き弁25は、貯湯槽21内の気圧が所定以上となった場合に開弁して、貯湯槽21内の空気を貯湯槽21の外部に排出する。つまり、エア抜き弁25は、貯湯槽21の内部から貯湯槽21の外部への空気の流出は許容する。また、エア抜き弁25は、貯湯槽21の外部から貯湯槽21の内部への空気の流入は許容しない逆止弁である。
【0030】
貯湯槽21と熱交換器12との間で貯湯水が循環する(
図1において矢印の方向に循環する)第一貯湯水循環ライン22が設けられている。第一貯湯水循環ライン22の始端は、貯湯槽21の下部に接続されている。第一貯湯水循環ライン22の終端は、貯湯槽21の上部に接続されている。第一貯湯水循環ライン22上には、その始端側から終端側に向かって順番に、循環ポンプ22a、熱交換器12が配設されている。熱交換器12には、凝縮水供給管12aの始端が接続されている。凝縮水供給管12aの終端は、水タンク14に接続されている。
【0031】
熱交換器12は、第一燃焼部36(燃料電池34)から排気される排気ガスが供給されるとともに貯湯槽21からの貯湯水が供給され、排気ガスと貯湯水とを熱交換させる装置である。熱交換器12において、燃料電池モジュール11からの排気ガスは、排気ガス導入部12bを通って熱交換器12内に導入され、貯湯水との間で熱交換が行われて冷却される。これにより、排気ガスに含まれる水蒸気が凝縮され凝縮水が生成される。熱交換後の排気ガスは排気管12cを通り、筐体10aに設けられた第一排気口10bを通って、筐体10aの外部に排出される。また、排気ガスに含まれる水蒸気が冷却されて凝縮された凝縮水は、凝縮水供給管12aを通って水タンク14に供給される。なお、水タンク14は、凝縮水をイオン交換樹脂によって純水化するようになっている。
【0032】
循環ポンプ22aは、貯湯水を貯湯槽21と熱交換器12の間で循環させるものである。制御装置15は、循環ポンプ22aに供給する電流量をリニア電流制御によって制御して、循環ポンプ22aの吐出流量を制御する。なお、ここでいうリニア電流制御とは、循環ポンプ22aを駆動する電圧DUTY比を変更し、実効電流を除変させるPWM制御が含まれる。
【0033】
上述した熱交換器12、貯湯槽21及び第一貯湯水循環ライン22から、排熱回収システム20が構成されている。排熱回収システム20は、燃料電池モジュール11の排熱を貯湯水に回収して蓄える。第一貯湯水循環ライン22の熱交換器12の内部には、熱交換器12内における貯湯水の温度T1を検出し、その検出信号を制御装置15に出力する第一温度センサ12dが設けられている。また、第一貯湯水循環ライン22の熱交換器12の出口付近には、熱交換器12から流出する貯湯水の温度T2を検出し、その検出信号を制御装置15に出力する第二温度センサ12eが設けられている。
【0034】
貯湯槽21と、貯湯水が使用される貯湯水使用機器910との間で貯湯水が循環する(
図1において矢印の方向に循環する)第二貯湯水循環ライン930が設けられている。第二貯湯水循環ライン930の始端は、貯湯槽21の上部に接続されている。第二貯湯水循環ライン930の終端は、貯湯槽21の下部に接続されている。第二貯湯水循環ライン930には、給湯ポンプ920が設けられている。給湯ポンプ920は、高温の貯湯水を貯湯水使用機器910に供給して、貯湯水使用機器910から流出する低温の貯湯水を貯湯槽21に戻す。このように、貯湯槽21から貯湯水使用機器910に供給された貯湯水は、再び貯湯槽21に戻される。つまり、第二貯湯水循環ライン930はクローズド型である。言い換えると、燃料電池システム100は、常時は外部から水道水が供給されないクローズド型である。貯湯水使用機器910には、室内暖房機器、床暖房機器が含まれる。
【0035】
熱交換器12の排気ガス導入部12bの入口がケーシング31に接続されている部分、すなわちケーシング31の導出口31aには、第二燃焼部28が設けられている。第二燃焼部28は、第一燃焼部36から排気されるガスである第一燃焼部オフガス、すなわち、第一燃焼部36から排気される未使用の可燃ガス(例えば、水素、メタンガス、一酸化炭素など)を導入し燃焼して導出するものである。第二燃焼部28は、可燃ガスを燃焼する触媒である燃焼触媒で構成されている。燃焼触媒には、プラチナやパラジウムなどの貴金属がセラミックの単体などに担持させたものが含まれる。
【0036】
なお、燃焼触媒は、水素、メタンガス、一酸化炭素などの可燃ガスを火炎燃焼でなく触媒によって燃焼するため、燃焼速度が大きく、大量の可燃ガスを燃焼することができ、かつ、燃焼効率も高いため未燃焼ガスの排出を抑制することができる。燃焼触媒においては、水素、一酸化炭素、メタンガスの順番で着火しやすい。
【0037】
第二燃焼部28には、燃焼触媒を触媒の活性温度まで加熱して可燃ガスを燃焼させるための燃焼触媒ヒータ28aが設けられている。燃焼触媒ヒータ28aは制御装置15の指示によって加熱されるものである。
【0038】
インバータ装置13には、燃料電池34から出力される直流電圧が入力される。そして、インバータ装置13は、入力された直流電圧を所定の交流電圧に変換して、交流の系統電源16a及び外部電力負荷16c(例えば電化製品)に接続されている電源ライン16bに出力する。インバータ装置13には、系統電源16aからの交流電圧が電源ライン16bを介して入力される。そして、インバータ装置13は、入力された交流電圧を所定の直流電圧に変換して補機(各ポンプ、ブロワなど)や制御装置15に出力する。制御装置15は、補機を駆動して燃料電池システム100の運転を制御する。
【0039】
制御装置15は、燃料電池システム100を統括制御するものである。制御装置15は、原料供給ポンプ11a1が蒸発部32に供給する改質用原料の流量を調整するとともに、改質水ポンプ11b1が蒸発部32に供給する改質水の流量を調整し、更に、カソードエアブロワ11c1が燃料電池34に供給するカソードエアの流量を調整することによって、燃料電池34で発電される発電電力を調整する。制御装置15は、熱交換器内12における気泡の発生の時刻を記憶する時刻を記憶する記憶部15aを備えている。
【0040】
報知部17は、貯湯槽21、第一貯湯水循環ライン22、及び第二貯湯水循環ライン930の少なくともいずれかへの空気の混入を、作業者に報知する装置である。報知部17には、スピーカー、ディスプレイが含まれる。
【0041】
(気泡排出制御及び温度上昇制御の説明)
以下に、
図2に示すグラフを用いて、燃料電池システム100で実行される「気泡排出制御」及び「温度上昇制御」について説明する。
図2に示すように、貯湯水の温度が高くなるに従って、貯湯水の溶存空気の割合は低下する。T0は水道水の温度である。T2aは定常温度である。燃料電池システム100が定常運転されている場合には、循環ポンプ22aの吐出流量が調整されることによって、熱交換器12から流出する貯湯水の温度T2は、定常温度T2aに制御される。
【0042】
燃料電池システム100が設置されてから最初に運転される場合には、水道水の温度T0における貯湯水の溶存空気の割合A1から定常温度T2aにおける貯湯水の溶存空気の割合A1aを減算した差分ΔA1aに相当する空気が貯湯水から排出され、熱交換器12において気泡が発生する。すると、循環ポンプ22aが熱交換器12に吐出する貯湯水の流量を、気泡が発生した時点と比べて増大させて、気泡を熱交換器12から排出する「気泡排出制御」が実行される。そして、この気泡は、第一貯湯水循環ライン22を通って貯湯槽21に移動し、貯湯槽21の上部に設けられたエア抜き弁25から貯湯槽21の外部に排出される。
【0043】
本実施形態では、第二貯湯水循環ライン930はクローズド型であるので、燃料電池システム100の設置時以外には、基本的に、水道水は、貯湯槽21、第一貯湯水循環ライン22、及び第二貯湯水循環ライン930のいずれにも導入されない。つまり、溶存空気の割合が高い水道水が貯湯水に混入しない。これにより、貯湯水の溶存空気の割合が低い状態にされると、貯湯水の溶存空気の割合は低い状態に維持される。
【0044】
図2の破線に示すように、貯湯水の水圧が低くなると、貯湯水の溶存空気の割合は、低下する。つまり、貯湯水が低くなるに従って、熱交換器12内において気泡が発生してしまう。そこで、本実施形態では、「気泡排出制御」が実行された後に、循環ポンプ22aの吐出流量を調整することにより、熱交換器12から流出する貯湯水の温度T2を定常温度T2aよりも高い温度である規定温度T2bに上昇させる「温度上昇制御」を実行することにしている。この「温度上昇制御」によって、強制的に貯湯水に溶存している空気を貯湯水から排出させて、当該空気をエア抜き弁25から貯湯槽21の外部に排出させて、貯湯水の溶存空気の割合を「温度上昇制御」が実行される前と比べてより低い状態にする。
【0045】
そして、「温度上昇制御」の実行後に、熱交換器12内において気泡が発生しない時間が、後述の第一規定時間tr1を経過した場合には、貯湯槽21、第一貯湯水循環ライン22、及び第二貯湯水循環ライン930内の貯湯水に溶存していた空気が十分に排出されたとして、熱交換器12から流出する貯湯水の温度T2を定常温度T2aに戻す。第二貯湯水循環ライン930はクローズド型であり、溶存空気の割合の高い水が貯湯水に混入しないので、熱交換器12から流出する貯湯水の温度T2が定常温度T2aに戻されたとしても、「温度上昇制御」によって溶存空気の割合が低い状態にされた貯湯水は、溶存空気の割合が低い状態が維持される。このため、貯湯槽21、第一貯湯水循環ライン22、及び第二貯湯水循環ライン930内の貯湯水の水圧が低下した場合であっても、熱交換器12内において気泡が発生し難い状態が維持される。以下に、
図3に示すフローチャートを用いて、「気泡排出制御」及び「温度上昇制御」が実行される「循環ポンプ制御処理」について詳細に説明する。
【0046】
(循環ポンプ制御処理)
以下に
図3に示すフローチャートを用いて、燃料電池システム100で実行される「循環ポンプ制御処理」について説明する。燃料電池システム100が起動すると、プログラムはステップS11に進む。
【0047】
ステップS11において、制御装置15(定常運転部)は、第二温度センサ12eからの検出信号に基づいて、熱交換器12から流出する貯湯水の温度T2(以下、適宜、温度T2と略す)が、定常温度T2a(例えば70℃)となるように、循環ポンプ22aの吐出流量を調整する定常運転を実行する。なお、循環ポンプ22aの吐出流量が増大するに従って、熱交換器12から流出する貯湯水の温度T2は低下する。また、循環ポンプ22aの吐出流量が減少するに従って、温度T2は上昇する。熱交換器12から流出する貯湯水の温度T2が、定常温度T2aにされると、貯湯槽21内には貯湯水による温度成層が形成される。ステップS11が終了すると、制御装置15は、プログラムをステップS12に進める。
【0048】
ステップS12において、制御装置15(気泡発生判定部)は、熱交換器12内において気泡が発生したと判定した場合には(ステップS12:YES)、プログラムをステップS13に進める。一方で、制御装置15(気泡発生判定部)は、熱交換器12内において気泡が発生していないと判定した場合には(ステップS12:NO)、プログラムをステップS11に戻す。
【0049】
なお、熱交換器12内において気泡が発生すると、当該気泡が熱交換器12内を流通する排気ガスによって熱せられて、高温の気泡となる。この高温の気泡が、第一温度センサ12dや第二温度センサ12eが温度を検出する部分に接触すると、第一温度センサ12dや第二温度センサ12eで検出される温度T1や温度T2の温度が高くなる。この原理を利用して、制御装置15は、熱交換器12内における貯湯水の温度T1(以下、適宜、温度T1と略す)が第一規定温度Ta(例えば90℃)以上である場合、或いは、熱交換器12から流出する貯湯水の温度T2が第二規定温度Tb(例えば90℃)以上であると判断した場合には、熱交換器12内に気泡が発生したと判定する。また、制御装置15は、温度T1が第一規定温度Taより低く、且つ、温度T2が第二規定温度Tbより低いと判断した場合には、熱交換器12内に気泡が発生していないと判断する。
【0050】
なお、制御装置15が、温度T1の温度T2一方のみに基づいて、熱交換器12内において気泡が発生したか否かを判断することにしても差し支え無い。また、制御装置15が、温度T1が第一規定温度Ta以上となり、且つ温度T2が第二規定温度Tb以上となった場合に、熱交換器12内において気泡が発生したと判断することにしても差し支え無い。
【0051】
ステップS13において、制御装置15(気泡排出部)は、循環ポンプ22aの吐出流量を定常運転時と比べて増大させて、気泡を熱交換器12から排出する「気泡排出制御」を実行する。この「気泡排出制御」は、「気泡排出制御」の実行が開始されてから気泡排出規定時間tdが経過するまで実行される。或いは、温度T1や温度T2が規定温度Tdに低下した際に、制御装置15が、「気泡排出制御」を停止することにしても差し支え無い。制御装置15は、プログラムをステップS14に進める。
【0052】
ステップS14において、制御装置15(温度上昇部)は、第二温度センサ12eからの検出信号に基づいて、フィードバック制御によって、熱交換器12から流出する貯湯水の温度T2が、規定温度T2bとなるように、循環ポンプ22aの吐出流量を調整する「温度上昇制御」を開始させる。規定温度T2bは、定常温度T2aよりも高い温度であり、例えば80℃である。ステップS14において、制御装置15は、循環ポンプ22aの吐出流量を、貯湯水の温度T2が定常温度T2aであった時、つまり、定常運転時と比べて低下させる。これにより、熱交換器12から流出する貯湯水の温度は、ステップS12において、定常温度T2aから規定温度T2bに上昇する。
【0053】
この「温度上昇制御」によって、熱交換器12から流出する貯湯水の温度は、定常温度T2aよりも高い規定温度T2bにされる。これにより、
図2に示すように、定常温度T2aにおける貯湯水の溶存空気の割合A1aから、規定温度T2bにおける貯湯水の溶存空気の割合A1bを減算した差分ΔA1cに相当する空気が、貯湯水から排出されて、当該空気がエア抜き弁25を介して貯湯槽21の外部に排出される。この結果、貯湯槽21、第一貯湯水循環ライン22、及び第二貯湯水循環ライン930内の貯湯水の溶存空気量が低減され、熱交換器12において気泡が発生し難い状態となる。ステップS14が終了すると、制御装置15はプログラムをS15に進める。
【0054】
ステップS15において、制御装置15(気泡発生判定部)は、熱交換器12内において気泡が発生したと判定した場合には(ステップS15:YES)、プログラムをステップS16に進める。一方で、制御装置15(気泡発生判定部)は、熱交換器12内において気泡が発生していないと判定した場合には(ステップS15:NO)、プログラムをステップS31に進める。このステップS15における制御装置15の判定方法は、ステップS12における制御装置15の判定方法と同様である。
【0055】
ステップS16において、制御装置15は、ステップS15において熱交換器12内において気泡が発生したと判定した時刻を記憶部15aに記憶し、プログラムをステップS17に進める。
【0056】
ステップS17において、制御装置15(気泡排出部)は、ステップS13と同様の「気泡排出制御」を実行し、プログラムをステップS18に進める。
【0057】
ステップS18において、制御装置15(異常判定部)は、記憶部15aに記憶されている熱交換器12内において気泡が発生したと判定した時刻に基づいて、気泡の発生頻度が低減したと判断した場合には(ステップS18:YES)、プログラムをステップS14に戻す。一方で、制御装置15は、記憶部15aに記憶されている熱交換器12内において気泡が発生したと判定した時刻に基づいて、気泡の発生頻度が低減していないと判断した場合には(ステップS18:NO)、プログラムをステップS19に進める。なお、ここでいう気泡の発生頻度とは、単位時間当たりの熱交換器12内における気泡の発生回数であり、当該気泡の発生間隔も含む。なお、制御装置15は、複数回(例えば2回)連続で、気泡の発生頻度が低減していないと判断した場合に、プログラムをステップS19に進めることにしても差し支え無い。
【0058】
ステップS19において、制御装置15(異常判定部)は、熱交換器12において気泡が発生する頻度が低減しない時間が、第二規定時間tr2(例えば数十時間)を経過したと判断した場合には(ステップS19:YES)、プログラムをステップS20に進める。一方で、制御装置15は、熱交換器12において気泡が発生する頻度が低減しない時間が、第二規定時間tr2を経過していないと判断した場合には(ステップS19:NO)、プログラムをステップS14に戻す。
【0059】
ステップS20において、制御装置15(異常判定部)は、貯湯槽21、第一貯湯水循環ライン22、第二貯湯水循環ライン930の少なくともいずれかへの空気が混入した「空気の混入異常」であると判定する。このように、「温度上昇制御」が実行されてから、熱交換器12において気泡が発生する頻度が低減しない時間が、第二規定時間tr2を経過した場合には、「空気の混入異常」であると判定される。ステップS14において、「温度上昇制御」が実行されて、貯湯水に溶存している空気量が低減され、第二貯湯水循環ライン930がクローズド型であり、貯湯水に空気溶存量が多い水が混入しないにも関わらず、熱交換器12において気泡が発生する頻度が低減しないということは、貯湯槽21、第一貯湯水循環ライン22、及び第二貯湯水循環ライン930のいずれかの圧力が所定圧力より低下しているか、貯湯槽21、第一貯湯水循環ライン22、及び第二貯湯水循環ライン930のいずれかへの空気の混入が考えられる。ステップS20が終了すると、制御装置15は、プログラムをS21に進める。
【0060】
ステップS21において、制御装置15は、「異常」を報知部17で報知させ、プログラムをS14に進める。
【0061】
ステップS31において、制御装置15(復帰部)は、ステップS14において「温度上昇制御」の実行が開始されてから、ステップS15において、熱交換器12内において気泡が発生していないと判断されている時間が、第一規定時間tr1(例えば数時間)を経過したと判断した場合には(ステップS31:YES)、プログラムをステップS11に戻す。一方で、ステップS14において「温度上昇制御」の実行が開始されてから、ステップS15において、熱交換器12内において気泡が発生していないと判断されている時間が、第一規定時間tr1を経過していないと判断した場合には(ステップS31:NO)、プログラムをステップS14に戻す。
【0062】
このように、「温度上昇制御」の実行が開始されてから、熱交換器12内において気泡が発生していないと判断されている時間が、第一規定時間tr1を経過したと判断された場合には、ステップS11において、熱交換器12から流出する貯湯水の温度T2が、定常温度T2aに復帰される。一方で、「温度上昇制御」の実行が開始されてから、熱交換器12内において気泡が発生していないと判断されている時間が、第一規定時間tr1を経過していない場合には、ステップS14において、熱交換器12から流出する貯湯水の温度T2は、定常温度T2aよりも高い規定温度T2bにされ、貯湯水に溶存している空気が排出される。第二貯湯水循環ライン930はクローズド型であり、貯湯槽21、第一貯湯水循環ライン22、及び第二貯湯水循環ライン930のいずれにも、溶存空気量が多い水道水等の水が混入することが無いので、熱交換器12から流出する貯湯水の温度T2が、定常温度T2aに復帰されたとしても、「温度上昇制御」によって上記貯湯水の溶存空気量(溶存空気の割合)が低下された状態が維持される。
【0063】
なお、「温度上昇制御」が実行され、貯湯槽21、第一貯湯水循環ライン22、及び第二貯湯水循環ライン930内の貯湯水の溶存空気の割合がA1bに低下した状態(
図2の1)が維持されたまま、上記貯湯水の温度が定常温度T2aにされた後に、上記貯湯水の水圧が低下すると、水圧が低下した貯湯水の溶存空気の割合A2aは、水圧が低下する前の貯湯水の溶存空気の割合A1bよりも、溶存空気の割合A1bから溶存空気の割合A2aを減算した差分ΔA2aだけ低下する。すると、上記貯湯水から差分ΔA2aに相当する空気が排出され、熱交換器12において気泡が発生する。
【0064】
この場合であっても、ステップS12において、熱交換器12内において気泡が発生したと判断されると、ステップS13の「気泡排出制御」が実行された後に、ステップS14において、「温度上昇制御」が実行される。これにより、
図2に示すように、熱交換器12から流出する貯湯水の溶存空気の割合は、水圧が低い状態で定常温度T2aにおける溶存空気の割合A2aから、水圧が低い状態で規定温度T2bにおける溶存空気の割合A2bに低下する。このため、溶存空気の割合A2aから溶存空気の割合A2bを減算した差分ΔA2bに相当する空気が貯湯水から排出され、当該空気がエア抜き弁25を介して貯湯槽21の外部に排出される。そして、熱交換器12から流出する貯湯水の温度T2が定常温度T2aに復帰したとしても、貯湯水の溶存空気の割合は、低い状態に維持される。このため、熱交換器12においての気泡の発生が抑制され、「気泡排出制御」の実行が抑制される。
【0065】
(タイムチャートの説明)
以下に、
図3に示す「循環ポンプ制御処理」が実行された場合のタイムチャートを、
図4を用いて説明する。燃料電池システム100の運転が開始され、「循環ポンプ制御処理」が実行され、熱交換器12から流出する貯湯水の温度T2が定常温度T2aにされている状態で、時刻t1において、熱交換器12内で気泡が発生したと判断されると(
図3のステップS12でYESと判断)、「気泡排出制御」が開始される(ステップS13)。
【0066】
時刻t2において、「気泡排出制御」が終了すると、「温度上昇制御」が開始される(ステップS14)。すると、熱交換器12から流出する貯湯水の温度T2が規定温度T2bに昇温されて、これに伴って、熱交換器12から流出する貯湯水から溶存していた空気が排出され、当該空気がエア抜き弁25を介して、貯湯槽21の外部に排出される。この結果、貯湯槽21、第一貯湯水循環ライン22、及び第二貯湯水循環ライン930内の貯湯水の溶存空気の割合が徐々に減少して、熱交換器12に流入する貯湯水の溶存空気の割合が徐々に減少する。
【0067】
時刻t3において、熱交換器12内で気泡が発生したと判断されると(ステップS15でYESと判定)、「気泡排出制御」が開始される(ステップS16)。時刻t4において、「気泡排出制御」が終了すると、再び「温度上昇制御」が開始される(ステップS14)。同様に、時刻t5、時刻t7において、熱交換器12内で気泡が発生したと判断されると(ステップS15でYESと判定)、「気泡排出制御」が開始される(ステップS16)。同様に、時刻t6、時刻t7において、「気泡排出制御」が終了すると、再び「温度上昇制御」が開始される(ステップS14)。このように、「温度上昇制御」が実行されることにより、熱交換器12から流出する貯湯水の温度T2が規定温度T2bに昇温されて、貯湯槽21、第一貯湯水循環ライン22、及び第二貯湯水循環ライン930内の貯湯水の溶存空気の割合が徐々に減少して、熱交換器12に流入する貯湯水の溶存空気の割合が徐々に減少する。
【0068】
貯湯槽21、第一貯湯水循環ライン22、及び第二貯湯水循環ライン930内の貯湯水の溶存空気の割合が十分に低下し、熱交換器12に流入する貯湯水の溶存空気の割合が十分に低下している場合には、熱交換器12内において気泡が発生し難い状態であり、熱交換器12内において気泡が発生したと判断される時間が長期化する。そして、時刻t9において、熱交換器12内において気泡が発生したと判断されていない時間が、第一規定時間tr1を経過した場合には(ステップS31でYESと判断)、熱交換器12から流出する貯湯水の温度T2は定常温度T2aに復帰される。
【0069】
第二貯湯水循環ライン930は、クローズド型であり、貯湯槽21、第一貯湯水循環ライン22、及び第二貯湯水循環ライン930のいずれにも、溶存空気の割合(溶存空気量)が多い水道水等の水が流入しない。これにより、「温度上昇制御」によって貯湯槽21、第一貯湯水循環ライン22、及び第二貯湯水循環ライン930内の貯湯水の溶存空気の割合(溶存空気量)が低くなると、その後、熱交換器12から流出する貯湯水の温度T2が規定温度T2bよりも低い定常温度T2aに復帰されたとしても、熱交換器12に流入する貯湯水の溶存空気の割合(溶存空気量)が低い状態に維持される。このため、熱交換器12内において気泡が発生し難い状態となり、「気泡排出処理」の実行頻度が低下するので、貯湯槽21内の貯湯水の温度成層の崩壊が抑制される。
【0070】
(本実施形態の効果)
以上の説明から明らかなように、熱交換器12から流出する貯湯水の温度T2を、気泡の発生が判定された時点、つまり、定常運転時と比べて上昇させる「温度上昇制御」が実行される(
図3のステップS14)。これによれば、貯湯水に溶存できる空気量は貯湯水の温度が高くなるに従って少なくなることから、貯湯水の温度を上昇させることによって、貯湯水に溶存している空気を貯湯水から排出させることができ、貯湯水の溶存空気量を低減させることができる。
【0071】
また、貯湯槽21と貯湯水使用機器910との間で貯湯水が循環する第二貯湯水循環ライン930はクローズド型であるので、貯湯槽21、第一貯湯水循環ライン22、及び第二貯湯水循環ライン930に空気が溶存した水が継続して流入することが無い。このため、「温度上昇制御」が一度実行されれば、貯湯水の溶存空気量を少ない状態に維持することができる。この結果、少なくとも熱交換器12内における気泡の発生を抑制することができる。よって、「気泡排出制御」の頻繁な実行が抑制され、貯湯槽21内の貯湯水の温度成層の崩壊を抑制することができる。これにより、貯湯槽21の下部から貯湯槽21の上部よりも低い温度の貯湯水が、熱交換器12に流入する。このため、熱交換器12において排気ガスに含まれる水蒸気を凝縮させることができ、水蒸気を凝縮させた水を燃料電池システム100に再使用することができる。また、熱交換器12における熱回収効率の低下が抑制される。この結果、燃料電池システム100の運転効率を向上させることができる。
【0072】
また、貯湯槽21、第一貯湯水循環ライン22、及び第二貯湯水循環ライン930内の貯湯水の水圧が低下し、この貯湯水に溶存している空気が排出され、熱交換器12内で気泡が発生した場合であっても(ステップS12でYESと判断)、「温度上昇制御」が実行されることにより(ステップS14)、上記貯湯水に溶存している空気が排出されて、上記貯湯水の溶存空気の割合が低下され、貯湯槽21内の貯湯水の温度成層の崩壊を抑制することができる。
【0073】
貯湯槽21、第一貯湯水循環ライン22、及び第二貯湯水循環ライン930内の貯湯水の溶存空気の割合が十分に低下し、熱交換器12に流入する貯湯水の溶存空気の割合が十分に低下している場合には、熱交換器12内において気泡が発生し難い状態であり、熱交換器12内において気泡が発生したと判断される時間が長期化する。つまり、第一規定時間tr1の間に気泡排出制御が実行されない場合には、「温度上昇制御」によって、既に貯湯水の溶存空気量が確実に低くなっている。そして、第二貯湯水循環ラインはクローズド型であるので、温度上昇制御によって一度貯湯水の溶存空気量が低くなると、貯湯水は溶存空気量が低い状態に維持される。このため、熱交換器12から流出する貯湯水の温度T2が定常温度T2aに復帰したとしても、熱交換器12において気泡の発生が抑制される状態が維持される。そこで、第一規定時間tr1の間に「気泡排出制御」が実行されない場合には(ステップS31でYESと判断)、制御装置15(復帰部)は、熱交換器12から流出する貯湯水の温度T2を定常温度T2aに復帰させる。これにより、貯湯水を溶存空気量が低い状態にして、「気泡排出制御」が実行されることによる貯湯槽21内の貯湯水の温度成層の崩壊が抑制される状態にした後に、熱交換器12から流出する貯湯水の温度T2を定常温度T2aに復帰させることができる。このため、熱交換器12から気泡が完全に追い出された後に、貯湯槽21内において良好な温度成層が形成される。よって、熱交換器12において排気ガスに含まれる水蒸気を凝縮させることができ、燃料電池システム100の運転効率をより向上させることができる。
【0074】
また、制御装置15(異常報知部)は、「気泡排出制御」の実行の頻度が低減しない時間が第二規定時間tr2を経過した場合には(ステップS19でYESと判断)、「異常」を、報知部17で報知する(ステップS20)。このため、作業者は、貯湯槽21、第一貯湯水循環ライン22、及び第二貯湯水循環ライン930のいずれかの圧力が所定圧力より低下しているか、貯湯槽21、第一貯湯水循環ライン22、及び第二貯湯水循環ライン930の少なくともいずれかへの空気の混入を認識することができる。
【0075】
また、貯湯槽21には、貯湯槽21の内部から貯湯槽21の外部への空気の流出は許容するが、貯湯槽21の外部から貯湯槽21の内部への空気の流入は許容しないエア抜き弁25が設けられている。これにより、貯湯水に溶存していた空気が、エア抜き弁25を介して貯湯槽21の外部に排出される。また、貯湯槽21の外部から貯湯槽21の内部への空気の侵入が防止されるので、貯湯水に再び空気が溶存してしまうことを防止することができる。このため、貯湯水の溶存空気量を低い状態に維持することができる。
【0076】
(別の実施形態)
以上説明した実施形態では、
図3のステップS18において、制御装置15は、記憶部15aに記憶されている熱交換器12内において気泡が発生したと判定した時刻に基づいて、気泡の発生頻度が低減しているか否かを判断している。しかし、ステップS18において、制御装置15は、記憶部15aに記憶されている熱交換器12内において気泡が発生したと判定した時刻に基づいて、熱交換器12内における気泡発生の間隔が長くなったか否かを判断する実施形態であっても差し支え無い。この実施形態の場合には、ステップS18において、制御装置15は、記憶部15aに記憶されている熱交換器12内において気泡が発生したと判定した時刻に基づいて、熱交換器12内における気泡発生の間隔が長くなったと判断した場合には(ステップS18:YES)、プログラムをS14に進める。一方で、制御装置15は、記憶部15aに記憶されている熱交換器12内において気泡が発生したと判定した時刻に基づいて、熱交換器12内における気泡発生の間隔が短くなった、或いは、上記間隔が維持されていると判断した場合には(ステップS18:NO)、プログラムをステップS19に進める。
【0077】
図3のステップS12やステップS15において、制御装置15は、熱交換器12内における貯湯水の温度T1が第一規定温度Ta以上であると複数回以上判断した場合に、或いは、熱交換器12から流出する貯湯水の温度T2が第二規定温度Tb以上であると複数回以上判断した場合に、熱交換器12内において気泡が発生したと判断する実施形態であっても差し支え無い。
【0078】
以上説明した実施形態では、定常運転時における定常温度T2aが一定である。しかし、燃料電池システム100の運転状況によって、定常温度T2aが可変とされる実施形態であっても差し支え無い。
【0079】
以上説明した実施形態では、定常運転及び「気泡排出制御」が実行された後に、「温度上昇」が実行されている。しかし、燃料電池システム100の設置時に、最初に「温度上昇制御」が実行される実施形態であっても差し支え無い。