(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、画像形成装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。画像形成装置1は、複写機、プリンタ、スキャナ、およびファクシミリとして機能する情報処理装置である。同図に示したように、画像形成装置1は、制御部101と、記憶部102と、操作部103と、表示部104と、搬送部105と、原稿台106と、画像読取部107と、画像形成部108と、通信部109と、画像処理部110とを備える。また、画像形成装置1の各部(原稿台106を除く)は、バス111に接続されており、このバス111を介して各種データの授受を行う。
【0012】
制御部101は、画像形成装置1の各部の動作を制御する手段である。制御部101は、CPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置と、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの記憶媒体(主記憶装置)とを備える。CPUは、ROMおよび記憶部102に記憶されているプログラムを読み出し、RAMを作業エリアにしてプログラムを実行する。制御部101は、このようにプログラムを実行することにより、用紙(記録媒体の一例)に画像を形成すること、用紙から画像を読み取って画像データを生成すること、通信回線を介して他の装置と通信を行うことなどを実現する。
【0013】
記憶部102は、データを記憶する手段である。記憶部102は、ハードディスク、フラッシュメモリなどの記憶媒体(補助記憶装置)を備え、通信部109で受信したデータや画像形成装置1で生成されたデータなどを記憶する。また、記憶部102は、いわゆるメモリーカードやUSBメモリなどの着脱可能な記憶媒体(リムーバブルメディア)と、その記憶媒体にデータを読み書きする手段とを含んでもよい。記憶部102は、後述する補正プログラムを記憶する。
【0014】
操作部103は、ユーザの操作を受け付ける手段である。操作部103は、操作子(ボタン、キーなど)を備え、押下された操作子に応じた制御信号を制御部101に供給する。また、操作部103は、表示部104と、表示部104の表示面に重ねて設けられたセンサとを備え、押圧した位置に応じた制御信号を制御部101に供給するタッチパネルによって構成されてもよい。
【0015】
表示部104は、情報を表示する手段である。表示部104は、表示装置として例えば液晶ディスプレイを有する。表示部104は、制御部101の制御の下、画像形成装置1を操作するためのメニュー画面を表示する。
【0016】
搬送部105は、画像読取部107に対して用紙を搬送する手段である。搬送部105は、用紙トレイに積載された用紙を1枚ずつ捌いて原稿台106の用紙が読み取られる領域に対して搬送するための各種ロールを備えている。搬送部105により搬送された用紙は、原稿台106に押圧される。原稿台106は、画像読取部107により画像が読み取られる用紙が置かれる台、例えば、プラテンガラスである。
【0017】
画像読取部107は、用紙を光学的に読み取って画像データに変換する手段である。画像読取部107は、搬送部105により搬送されて原稿台106に押圧された用紙、または原稿台106に置かれた用紙を読み取って画像データに変換する。画像読取部107は、主走査方向に伸び、原稿台106に押圧された用紙、または原稿台106に置かれた用紙の表面に対して光を照射する棒状の光源と、用紙に照射された光の反射光を伝播し結像する光学系と、結像された光学像を光電変換するイメージセンサとを有する。画像読取部107は、用紙から読み取られた画像データを画像処理部110に供給する。
【0018】
画像形成部108は、用紙に画像を形成する手段である。画像形成部108は、電子写真方式によって用紙にトナー像を形成する画像形成機構を具備している。なお、画像形成機構は、電子写真方式に限らず、インクジェット方式などの他の記録方式が用いられてもよい。
【0019】
通信部109は、データを送受信する手段である。通信部109は、通信回線に接続されており、通信回線に接続されている他の装置と通信を行う通信インタフェースとして機能する。
【0020】
画像処理部110は、画像データに対して画像処理を実行する手段である。ここでいう画像処理とは、例えば、色補正や階調補正である。画像形成装置1においてプリント機能が実行される場合、画像処理部110は、画像処理が施された画像データを画像形成部108に供給する。
【0021】
画像形成部108により用紙に形成された画像の大きさ(以下、「出力サイズ」という)が、画像形成装置1が本来形成しようとした画像の大きさ(以下、「目標サイズ」という)と異なる場合がある。そこで、画像形成装置1は、出力サイズに応じて目標サイズを補正する機能(以下、「補正機能」という)を備える。補正機能が実行されると、出力サイズを測定し目標サイズを補正するために用いられる画像(以下、「テスト画像」という)が、画像形成部108により用紙に形成される。ユーザは、テスト画像が形成された用紙(以下、「テスト用紙」という)を用紙トレイに載せて画像読取部107に読み取らせる。画像形成装置1は、テスト用紙から読み取られた画像(以下、「読取画像」という)を利用して出力サイズを測定し、測定結果に応じて目標サイズを補正する。目標サイズが補正されることにより、新たに用紙に形成される画像の出力サイズが補正される。
【0022】
図2は、補正機能において用いられるテスト用紙P1を示す図である。
図2では、QRコード(登録商標)C1と、8つのテストマークM(M1からM8)とがテスト画像I1に含まれている。QRコードC1は、補正機能において画像形成装置1により用いられる情報を示す。具体的には、QRコードC1には、当該QRコードC1を識別するための情報、テスト用紙P1の用紙サイズおよび坪量などのテスト用紙P1の種類を示す情報、およびテスト画像I1が形成されたときの画像形成条件(例えば、目標サイズを補正する処理が行われている場合における補正値など)を示す情報などが含まれる。
【0023】
読取画像の背景が白色である場合、読取画像においてテスト用紙P1の端部の位置は検出されにくくなる傾向にある。テストマークMは、読取画像においてテスト用紙P1の端部の位置を検出するためのマークである。テストマークM1は、短辺L1および長辺L4から距離d1の位置に設けられる。テストマークM2は、短辺L1から距離d1の位置に設けられる。テストマークM3は、短辺L1および長辺L2から距離d
1の位置に設けられる。テストマークM4は、長辺L2から距離d1の位置に設けられる。テストマークM5は、長辺L2および短辺L3から距離d1の位置に設けられる。テストマークM6は、短辺L3から距離d1の位置に設けられる。テストマークM7は、短辺L3および長辺L4から距離d1の位置に設けられる。テストマークM8は、長辺L4から距離d1の位置に設けられる。
【0024】
補正機能において、画像形成装置1は、用紙に形成されたテスト画像I1の幅方向(画像読取部107が画像を読み取る方向
(換言すると、副走査方向、搬送方向)に垂直な方向)の長さが、所望のサイズとなるように補正を行う。テスト画像I1の幅方向の長さとしては、2つのテストマーク間の距離が用いられる。具体的には、テスト画像I1の幅方向が矢印A1の方向である場合、テストマークM4とテストマークM8との距離が測定される。テスト画像I1の幅方向が矢印A2の方向である場合、テストマークM2とテストマークM6との距離がテスト画像I1の幅方向の長さとして測定される。以下では、テスト画像I1の幅方向の長さの測定に用いられる2つのテストマークMを「測定対象マーク」と表現する。測定対象マークは、第1のマークおよび第2のマークの一例である。
【0025】
補正機能においては、高精度で補正を行うため、測定対象マーク間の距離を正確に測定したいという要求がある。測定対象マーク間の距離を測定する方法としては、(A)測定対象マーク間の距離を直接測定する方法(以下、「方法A」という)、および(B)測定対象マークと近接する辺との距離を用いて、測定対象マーク間の距離を間接的に測定する方法(以下、「方法B」という)、の2つの方法がある。方法Aによれば、読取画像においてテスト用紙P1の端部が検出されなかった場合であっても、測定対象マーク間の距離が測定されるという利点がある。その反面、後述する方法Bを利用した場合に比べて、測定の精度が低いという欠点がある。
【0026】
次に方法Bの詳細を説明する。方法Bにおいては、以下の式(1)により、測定対象マーク間の距離(テスト画像I1の幅方向の長さ)dWが算出される。
【数1】
ここで、dPはテスト用紙P1の幅方向の長さを示す。長さdPは、QRコードC1により示される。d1Aは測定対象マークの一方とテスト用紙P1の端部(当該一方の測定対象マークに近接する辺L)との距離を、d1Bは測定対象マークの他方とテスト用紙P1の端部(当該他方の測定対象マークに近接する辺L)との距離を示す。例えば、測定対象マークがテストマークM4およびテストマークM8である場合、距離d1AはテストマークM4と長辺L2との距離を示し、距離d1BはテストマークM8と長辺L4との距離を示す。別の例で、測定対象マークがテストマークM2およびテストマークM6である場合、距離d1AはテストマークM2と短辺L1との距離を示し、距離d1BはテストマークM6と短辺L3との距離を示す。
【0027】
画像形成装置1が、読取画像内の2点間の距離を測定する際、測定される距離が長いほど、誤差が大きくなる場合がある。これは例えば以下の理由による。画像形成装置1が一度に測定することのできる距離には上限値がある場合がある。この場合において2点間の距離が上限値を上回るときは、画像形成装置1は、2点間を複数の区間に分割して各区間の距離を測定し、各区間の測定の結果を加算することにより2点間の距離を測定する。このように2点間の距離の測定において複数回の測定が行われる場合、各測定に含まれる誤差は、測定の結果が加算される際に累積されることになる。そのため、読取画像内の2点間の距離の測定では、2点間の距離が長いほど誤差が大きくなる。
図2に示す通り、距離d1Aおよび距離d1Bは、テスト画像I1の幅方向が矢印A1または矢印A2のどちらの方向であっても、距離dWよりも短い値であり、距離d1Aと距離d1Bの測定の精度は、測定対象マーク間の距離を直接測定した場合(方法A)の測定の精度よりも高い。そのため、方法Bによれば、方法Aを利用した場合に比べて、測定の精度が高いという利点がある。その反面、読取画像においてテスト用紙P1の端部が検出されなかった場合には、方法Bは利用できないという欠点がある。
【0028】
テスト用紙P1を用紙トレイに載せて画像読取部107に読み取らせた場合、読取画像においてテスト用紙P1の端部が含まれないことがある。例えば、画像読取部107が画像データを読み取ることが可能な最大幅のテスト用紙P1が画像読取部107により読み取られた場合、読取画像においてテスト用紙P1の幅方向の端部が含まれないことがある。この場合、上述した方法Bにより測定対象マーク間の距離を測定することはできない。本発明に係る画像形成装置1は、方法Bを利用することができない場合(方法Aが利用される場合)であっても、方法Aの欠点を補って、用紙に形成される画像の大きさの補正の精度が低下することを防止する。具体的には、画像形成装置1は、補正機能が実行される前に、方法Aと方法Bの両方により距離dWを測定し、測定された2つの距離dWの比率を表す係数を算出する。画像形成装置1は、算出された係数を用いて、補正機能において方法Aが利用されたときの測定値を補正する。以下では、方法Aによる測定値を補正するために用いられる係数を「補正係数」と表現する。
【0029】
図3は、画像形成装置1の機能的構成を示すブロック図である。画像形成装置1は、画像形成手段11と、搬送手段12と、読取手段13と、検出手段14と、補正手段15と、算出手段16とを有する。画像形成手段11は、テスト画像I1を用紙に形成する。搬送手段12は、読取手段13に対してテスト用紙P1を搬送する。読取手段13は、テスト用紙P1から画像を読み取る。読取手段13は、搬送手段12により搬送されたテスト用紙P1、および原稿台106に置かれたテスト用紙P1から画像を読み取る。検出手段14は、搬送手段12により搬送されたテスト用紙P1から読み取られた画像(以下、「第1読取画像」という)について、テスト用紙P1の端部を検出する。補正手段15は、第1読取画像を利用して、用紙に形成される画像の大きさを補正する。算出手段16は、第1読取画像と、原稿台106に置かれたテスト用紙P1から読み取られた画像(以下、「第2読取画像」という)とを利用して補正係数を算出する。
【0030】
画像形成装置1において、補正機能を実現するための補正プログラムを実行している制御部101により制御された画像形成部108は、画像形成手段11の一例である。補正プログラムを実行している制御部101により制御された搬送部105は、搬送手段12の一例である。補正プログラムを実行している制御部101により制御された画像読取部107は、読取手段13の一例である。補正プログラムを実行している制御部101は、検出手段14および算出手段16の一例である。補正プログラムを実行している制御部101により制御された画像処理部110は、補正手段15の一例である。
【0031】
図4は、補正機能が実行される前段階として、画像形成装置1が補正係数を算出する処理(以下、「補正係数算出処理」という)を示すフローチャートである。なお、補正係数算出処理は、画像形成装置1において補正機能が最初に実行される前に少なくとも一回行われればよい。以下の処理は、ユーザが予めテスト用紙P1を画像形成装置1から出力させ、当該テスト用紙P1を用紙トレイに置いた状態で開始される。テスト用紙P1の出力は、例えば、ユーザが操作部103を操作して、テスト画像I1を形成させるための指示が入力されたことを契機として行われる。ユーザは、出力されたテスト用紙P1を用紙トレイに置く。
【0032】
ステップSA1において、制御部101は、用紙トレイに積載されたテスト用紙P1から画像を読み取る。テスト用紙P1の読み取りは、例えば、ユーザが操作部103を操作して、テスト用紙P1の読み取りを開始させるための指示(以下、「読取開始指示」という)を入力したことを契機として行われる。読取開始指示が入力されると、搬送部105はテスト用紙P1を画像読取部107に向かって搬送し、画像読取部107はテスト用紙P1から画像を読み取る。制御部101は、第1読取画像を示す画像データを記憶部102に記憶する。
【0033】
図5は、第1読取画像を例示する図である。この例で、第1読取画像I21は、
図2に示したテスト用紙P1が矢印A1の方向を幅方向として読み取られたときの読取画像である。
図5の例で、第1読取画像I21には、テスト用紙P1の端部が含まれている。なお、
図5に示す第1読取画像I21においてはテスト用紙P1の端部が含まれているが、テストマークMが含まれていればテスト用紙P1の端部は第1読取画像において含まれていなくてもよい。
【0034】
再び
図4を参照する。ステップSA2において、制御部101は、第1読取画像におけるテスト用紙P1の向きを検出する。テスト画像I1には、上述したテストマークMの他に、テスト用紙P1の向き、テストマークMの位置、およびQRコードC1の位置を検出するために用いられる図示せぬマーク(以下、「方向検出用マーク」という)が含まれている。方向検出用マークは、互いに形状の異なる複数のマークであって、テスト用紙P1の端部を構成する各辺に対応させて設けられている。方向検出用マークは、また、テストマークMに対して、予め定められた位置に設けられている。制御部101は、第1読取画像における方向検出用マークの位置を検出することにより、第1読取画像におけるテスト用紙の向きを検出する。例えば、
図5に示した第1読取画像I21では、テスト用紙P1の向きとして、短辺L1および短辺L3が幅方向に沿っていることが検出される。制御部101は、検出された方向検出用マークの位置とテスト用紙の向きとをRAMに記憶する。なお、ステップSA2において、制御部101は、テスト用紙P1の幅方向に沿った辺に対応する方向検出マークを識別する識別子をRAMに記憶する。識別子の記憶は、後述の処理(ステップSA12)において長さdPを特定するために行われる。
【0035】
ステップSA3において、制御部101は、第1読取画像におけるテストマークMの位置を検出する。具体的には、制御部101は、RAMに記憶された方向検出用マークの位置に対して予め定められた位置を探索することにより、テストマークMの位置を検出する。制御部101は、検出されたテストマークMの位置をRAMに記憶する。
【0036】
ステップSA4において、制御部101は、第1読取画像における測定対象マークを検出する。具体的には、制御部101は、テストマークM1からテストマークM8を、テスト用紙P1の幅方向に沿った3つのマーク群に分け、当該3つのマーク群のうち、他の2つのマーク群に挟まれた一のマーク群に属するテストマークMを測定対象マークとして検出する。
図5に示した第1読取画像I21においては、テストマークM1、M2、およびM3から成るマーク群(以下、「マーク群G1」という)と、テストマークM4およびM8から成るマーク群(以下、「マーク群G2」という)と、テストマークM5、M6、およびM7から成るマーク群(以下、「マーク群G3」という)に分けられる。そして、マーク群G1とマーク群G3とに挟まれたマーク群G2に属するテストマークM4およびM8とが測定対象マークとして検出される。制御部101は、測定対象マークの位置を他のテストマークMの位置と区別してRAMに記憶する。制御部101は、また、ステップSA2において検出された方向検出用マークの位置と測定対象マークの位置との相対的な位置関係を示す情報(以下、「相対位置情報」という)をRAMに記憶する。
【0037】
ステップSA5において、制御部101は、上述した方法Aを利用して、第1読取画像から距離dWを測定する。具体的には、制御部101は、RAMから測定対象マークの位置を読み出して、距離dWを測定する。以下では、第1読取画像から測定された距離dWを「距離dW1」と表現する。例えば、
図5に示した第1読取画像I21では、テストマークM4とテストマークM8との距離が直接測定されることにより、距離dW1が測定される。制御部101は、測定された距離dW1をRAMに記憶する。
【0038】
ステップSA6において、制御部101は、原稿台106に置かれたテスト用紙P1から画像を読み取る。ステップSA6の処理は、ステップSA1で画像が読み取られたテスト用紙P1を原稿台106に載せた状態で、ユーザが読取開始指示を入力したこと契機として開始される。なお、テスト用紙P1が原稿台106に載せられる際には、テスト画像I1の背景となる用紙(以下、「背景用紙」という)がテスト用紙P1に重ねてセットされる。制御部101は、第2読取画像を示す画像データを記憶部102に記憶する。
【0039】
図6は、第2読取画像を例示する図である。この例で、第2読取画像I22は、
図2に示したテスト用紙P1から読み取られた読取画像である。第2読取画像I22において、斜線で塗られた領域は、背景用紙から読み取られた領域を示す。後述の処理(ステップSA12)において、制御部101は、上述した方法Bを利用して、第2読取画像から、距離dWを測定する。そのため、制御部101は、第2読取画像にテスト用紙P1の端部が含まれるように、予め決められたサイズ(例えば、最大サイズ)で画像を読み取る。
【0040】
再び
図4を参照する。ステップSA7において、制御部101は、第2読取画像におけるQRコードC1の位置を検出する。QRコードC1は、例えば、上述した方向検出用マークに対して、予め定められた位置に設けられている。制御部101は、第2読取画像における方向検出用マークの位置を検出し、検出された方向検出用マークの位置に対して、予め定められた位置を探索することにより、第2読取画像におけるQRコードC1の位置を検出する。制御部101は、検出された方向検出用マークの位置を、ステップSA2においてRAMに記憶された方向検出用マークの位置に上書きする。制御部101は、また、検出されたQRコードC1の位置をRAMに記憶する。
【0041】
ステップSA8において、制御部101は、テスト用紙P1の用紙サイズを示す情報(以下、「用紙サイズ情報」という)を取得する。具体的には、制御部101は、ステップSA7において位置が検出されたQRコードC1をデコードすることにより、用紙サイズ情報を取得する。用紙サイズ情報は、テスト用紙P1の短辺の長さと長辺の長さを示す。用紙サイズ情報により示される短辺の長さと長辺の長さとは、短辺および長辺に対応する方向検出用マークを識別する識別子により区別される。制御部101は、取得された用紙サイズ情報をRAMに記憶する。
【0042】
ステップSA9において、制御部101は、第2読取画像におけるテストマークMの位置を検出する。具体的には、制御部101は、RAMに記憶された方向検出用マークの位置に対して、予め定められた位置を探索することにより、テストマークMの位置を検出する。制御部101は、検出されたテストマークMの位置を、ステップSA3においてRAMに記憶されたテストマークMの位置に上書きする。
【0043】
ステップSA10において、制御部101は、第2読取画像におけるテスト用紙P1の端部の位置を検出する。具体的には、制御部101は、RAMに記憶された、第2読取画像におけるテストマークMの位置を利用してテスト用紙P1の端部の位置を検出する。制御部101は、検出されたテスト用紙P1の端部の位置をRAMに記憶する。
【0044】
ステップSA11において、制御部101は、第2読取画像における測定対象マークを検出する。具体的には、制御部101は、RAMから読み出した、第2読取画像における方向検出用マークの位置を示す情報と相対位置情報とを利用して、ステップSA4において測定対象マークとされたテストマークを第2読取画像における測定対象マークとして検出する。制御部101は、測定対象マークの位置を他のテストマークMの位置と区別してRAMに記憶する。
【0045】
ステップSA12において、制御部101は、上述した方法Bを利用して、第2読取画像から距離dWを測定する。具体的には、制御部101は、ステップSA11において検出された測定対象マークの各々について、テスト用紙P1の端部(測定対象マークの各々に最も近接する辺)との距離を測定することにより、距離d1Aおよび距離d1Bを測定する。例えば、
図6に示した第2読取画像I22では、距離d1AとしてテストマークM4と長辺L2との距離が測定され、距離d1BとしてテストマークM8と長辺L4との距離が測定される。制御部101は、また、RAMに記憶された用紙サイズ情報が示すテスト用紙P1の短辺の長さと長辺の長さのうち、ステップSA1においてテスト用紙P1が読み取られたときの幅方向に沿った一方の辺の長さを長さdPとして読み出す。幅方向に沿った一方の辺の長さは、ステップSA2においてRAMに記憶された識別子により識別される。例えば、テスト用紙P1が矢印A1の方向(
図2および
図5参照)を幅方向として読み取られた場合、テスト用紙P1の短辺の長さが長さdPとして読み出される。制御部101は、測定された距離d1Aおよび距離d1B、並びにRAMから読み出された長さdPを利用して、式(1)により距離dWを測定する。以下では、第2読取画像から測定された、距離dWを「距離dW2」と表現する。制御部101は、測定された距離dW2をRAMに記憶する。
【0046】
ステップSA13において、制御部101は、補正係数を算出する。具体的には、制御部101は、距離dW1および距離dW2をRAMから読み出して、以下の式(2)により補正係数αを算出する。制御部101は、算出された補正係数αを記憶部102に記憶する。
【数2】
【0047】
図7は、画像形成装置1において補正機能が実行されるときの処理を示すフローチャートである。以下の処理は、
図4に示した処理が実行され、補正係数αが記憶部102に記憶された状態で開始される。また、以下の処理は、
図4と同様に、ユーザが予めテスト用紙P1を画像形成装置1から出力させ、当該テスト用紙P1を用紙トレイに載せた状態で開始される。なお、
図7に示す処理において用いられるテスト用紙P1は、補正係数算出処理において用いられたテスト用紙P1と異なっていてもよい。例えば、
図7に示す処理においては、補正係数算出処理において用いられたテスト用紙P1とは異なる用紙サイズのテスト用紙P1が用いられてもよい。
【0048】
ステップSB1およびステップSB2において、制御部101は、ステップSA1およびステップSA2と同様の処理を行う。ステップSB3およびステップSB4において、制御部101は、ステップSA7およびステップSA8と同様の処理を、ステップSB1で読み取られた第1読取画像について行う。ステップSB5およびステップSB6において、制御部101は、ステップSA3およびステップSA4と同様の処理を行う。
【0049】
ステップSB7において、制御部101は、ステップSA10と同様の処理を、ステップSB1で読み取られた第1読取画像について行う。ステップSB8において、制御部101は、第1読取画像において、テスト用紙P1の読み取り幅方向の端部を構成する2つの辺が検出されたか否かを判断する。具体的には、制御部101は、テスト用紙P1の幅方向の端部を構成する2つの辺の位置がRAMに記憶されているか否かにより、当該2つの辺が検出されたか否かを判断する。2つの辺が検出されたと判断された場合(SB8:YES)、制御部101は、処理をステップSB9に移行する。2つの辺のうち検出されていない辺があると判断された場合(SB8:NO)、制御部101は、処理をステップSB10に移行する。
【0050】
図8は、テスト用紙の端部が含まれていない第1読取画像を例示する図である。この例で、第1読取画像I23は、テスト用紙P1が矢印A3の方向を幅方向として読み取られたときの読取画像である。第1読取画像I23においては、当該第1読取画像I23の端部とテスト用紙P1の辺L2とが重なっている。この場合、上述したステップSB7において辺L2の位置は検出されず、ステップSB8において検出されていない辺があると判断される。
【0051】
ステップSB9において、制御部101は、方法Bを利用して、第1読取画像から距離dW1を測定する。具体的には、制御部101は、ステップSA12と同様の処理を、ステップSB1で読み取られた第1読取画像について行うことにより距離dW1を測定する。ステップSB10において、制御部101は、方法Aを利用して、第1読取画像から距離dW1を測定する。例えば、
図8に示した第1読取画像I23では、テストマークM4とテストマークM8との距離が直接測定されることにより、距離dW1が測定される。
【0052】
ステップSB11において、制御部101は、方法Aを利用して測定された距離dW1を、補正係数αを利用して補正する。具体的には、以下の式(3)により、補正後の距離dWrを算出する。
【数3】
距離dW1に補正係数αが乗じられることにより、方法Aを利用して測定された距離dW1が補正される。制御部101は、算出された距離dWrをRAMに記憶する。
【0053】
ステップSB12において、制御部101は、目標サイズを補正するための補正値を算出する。制御部101は、ステップSB9で測定された距離dW1またはステップSB11で算出された距離dWrを利用して、予め定められた処理により補正値を算出する。制御部101は、算出された補正値により、目標サイズを補正する。
【0054】
以上の処理により、補正機能において、読取画像からテスト用紙P1の端部が検出されず、方法Aを利用して測定対象マーク間の距離が測定される場合であっても、測定値が補正係数αにより補正される。したがって、測定対象マーク間の距離の測定の精度が低いことに起因して、用紙に形成される画像の大きさの補正の精度が低下することが防止される。
【0055】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下で説明する変形例のうち、2つ以上のものが組み合わされて用いられてもよい。
【0056】
画像形成装置1のハードウェア構成は、
図1に示した構成に限らない。例えば、画像読取部107は、搬送部105により搬送された用紙の両面から画像を読み取るための機構を備えていてもよい。具体的には、画像読取部107が2つのラインセンサを備え、一方のラインセンサが用紙の一方の面を読みとり、他方のラインセンサが用紙の他方の面を読み取ってもよい。また、画像形成部108は、用紙の両面にテスト画像を形成してもよい。両面にテスト画像が形成されたテスト用紙の両面から画像が読み取られる場合、制御部101は、テスト用紙の同じ面から読み取られた第1読取画像と第2読取画像とを利用して補正係数αを算出する。
【0057】
補正係数算出処理および補正機能において実行される処理は、上述の処理に限らない。例えば、ステップSA10において、制御部101は、テストマークMの位置を利用することなく、第2読取画像の明るさの変化を利用してテスト用紙P1の端部の位置を検出してもよい。また、実施形態に記載された方法とは異なる方法により、QRコードの位置およびテストマークの位置が検出されてもよい。
【0058】
テスト画像は、実施形態に記載された画像に限らない。例えば、QRコードC1に替えて、PDF417、CP(Communication Platform)コード、HCCB(High Capacity Color Barcode)などの他のコード画像が用いられてもよい。また、テストマークMは、互いに異なる形状であってもよい。さらに、テスト画像に含まれるテストマークMの数は8つに限らない。
【0059】
補正機能において画像形成装置1が出力サイズとして取得する長さは、テスト画像I1の幅方向の長さに限らない。画像形成装置1は、テスト画像I1の長さ方向(画像読取部107が画像を読み取る方向;
換言すると、副走査方向、搬送方向)の長さを出力サイズとして取得してもよい。この場合にも、テスト画像I1の長さ方向の長さについて、
図4および
図7に示す処理と同様の処理が行われることにより、当該長さの測定値が補正され、用紙に形成される画像の大きさの補正の精度が向上する。
【0060】
実施形態において、画像形成装置1によって実行される補正プログラムは、磁気記憶媒体(磁気テープ、磁気ディスク(HDD、FD(Flexible Disk))など)、光記憶媒体(光ディスク(CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk))など)、光磁気記憶媒体、半導体メモリ(フラッシュROMなど)などのコンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶した状態で提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネットなどのネットワーク経由でダウンロードされてもよい。