特許第6409394号(P6409394)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6409394袋体、該袋体を製造する袋体製造装置、該袋体製造装置に用いられる底シールバー、及び前記袋体の製造方法。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6409394
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】袋体、該袋体を製造する袋体製造装置、該袋体製造装置に用いられる底シールバー、及び前記袋体の製造方法。
(51)【国際特許分類】
   B65D 30/20 20060101AFI20181015BHJP
   B65D 30/16 20060101ALI20181015BHJP
   B31B 70/64 20170101ALI20181015BHJP
【FI】
   B65D30/20 A
   B65D30/16 C
   B31B70/64
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-159162(P2014-159162)
(22)【出願日】2014年8月5日
(65)【公開番号】特開2016-34848(P2016-34848A)
(43)【公開日】2016年3月17日
【審査請求日】2017年7月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097205
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 正樹
(72)【発明者】
【氏名】本屋敷 幸信
(72)【発明者】
【氏名】稲部 速人
(72)【発明者】
【氏名】石坂 公一
(72)【発明者】
【氏名】小原 薫
【審査官】 小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−061915(JP,A)
【文献】 特開2001−206384(JP,A)
【文献】 特開2012−166811(JP,A)
【文献】 実開昭58−159240(JP,U)
【文献】 実開平01−128543(JP,U)
【文献】 特開2003−128082(JP,A)
【文献】 特開2004−136493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/20
B31B 70/64
B65D 30/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表側フィルムと、裏側フィルムと、該表側フィルムと該裏側フィルムとの間に2つ折りして挟まれた底フィルムとを有し、2つ折りした状態の前記底フィルムと前記表側フィルム及び前記裏側フィルムのそれぞれとをシールして形成される所定形状の底シール部と、前記表側フィルム及び前記裏側フィルムの両サイドのそれぞれをシールして形成された所定形状のサイドシール部とによって袋状に形成された袋体であって、
前記底シール部の内側縁線は、前記底フィルムの幅方向における中央部から外側に向かって立ち上がる立ち上がり傾斜線部と、前記立ち上がり傾斜線部に、前記底フィルムの幅方向外側に向かって続く傾斜緩和線部とを有し、
該傾斜緩和線部の各点での接線の前記中央部から外側に向かう方向の傾きは、前記立ち上がり傾斜線部と当該傾斜緩和線部との接続点での接線の前記中央部から外側に向う方向の傾きより小さく、
前記傾斜緩和線部は、前記立ち上がり傾斜部に続く凸形状の第1線部と、該第1線部に続く凹形状の第2線部と、を有し、
前記第2線部の少なくとも一部は、前記サイドシール部内に存在し、
前記サイドシール部の内側縁線は、前記底シール部の前記内側縁線と、前記第1線部から前記第2線部のうち前記底フィルムの幅方向の所定の区間内で交差する袋体。
【請求項2】
前記立ち上がり傾斜線部は、凹形状である請求項1記載の袋体。
【請求項3】
前記第1線部と前記第2線部との接続点での接線の傾きがゼロである請求項1又は2記載の袋体。
【請求項4】
前記第1線部は、第1曲率半径を有する円弧状であり、
前記第2線部は、前記第1曲率半径より小さい第2曲率半径を有する円弧状である請求項に記載の袋体。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれかに記載の袋体を製造する袋体製造装置であって、
前記袋体の前記底シール部を形成する底シールバーと、
前記袋体の前記サイドシール部を形成するサイドシールバーとを有し、
前記底シールバーは、前記底シール部の前記立ち上がり傾斜線部に対応する立ち上がり傾斜シール線部と、該立ち上がり傾斜シール線部に続く前記底シール部の前記傾斜緩和線部に対応する傾斜緩和シール線部とを有し、
前記サイドシールバーは、当該サイドシールバーにて形成される前記袋体における前記サイドシール部の内側縁線が、前記底シールバーにて形成される前記底シール部の内側縁線と、前記傾斜緩和線部にて交差するようにセットされる袋体製造装置。
【請求項6】
請求項1乃至のいずれかに記載の袋体を製造する袋体製造装置において前記袋体の前記底シール部を形成する底シールバーであって、
前記底シール部の前記立ち上がり傾斜線部に対応する立ち上がり傾斜シール線部と、
該立ち上がり傾斜シール線部に続く前記底シール部の前記傾斜緩和線部に対応する傾斜緩和シール線部とを有する底シールバー。
【請求項7】
表側フィルムと、裏側フィルムと、該表側フィルムと該裏側フィルムとの間に2つ折りして挟まれた底フィルムとを有する袋体を製造する方法であって、
2つ折りした状態の前記底フィルムと前記表側フィルム及び前記裏側フィルムのそれぞれとをシールして所定形状の底シール部を形成する底シール工程と、
前記表側フィルム及び前記裏側フィルムの両サイドのそれぞれをシールして所定形状のサイドシール部を形成するサイドシール工程とを有し、
前記底シール工程は、内側縁線が、前記底フィルムの幅方向における中央部から外側に向かって立ち上がる立ち上がり傾斜線部と、前記立ち上がり傾斜線部に、前記底フィルムの幅方向外側に向かって続く傾斜緩和線部とを有し、
該傾斜緩和線部の各点での接線の前記中央部から外側に向かう方向の傾きが前記立ち上がり傾斜線部と当該傾斜緩和線部との接続点での接線の前記中央部から外側に向かう方向の傾きより小さい前記底シール部を形成し、
前記傾斜緩和線部は、前記立ち上がり傾斜部に続く凸形状の第1線部と、該第1線部に続く凹形状の第2線部と、を有し、
前記第2線部の少なくとも一部は、前記サイドシール部内に存在し、
前記サイドシール工程は、内側縁線が、前記底シール部の前記内側縁線と、前記第1線部から前記第2線部のうち前記底フィルムの幅方向の所定の区間内で交差する前記サイドシール部を形成する、袋体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表側フィルムと、裏側フィルムと、該表側フィルムと該裏側フィルムとの間に2つ折りにして挟まれた底フィルムとを有する自立型パウチ等の袋体、その袋体を製造する袋体製造装置、その袋体製造装置に用いられる底シールバー及び前記袋体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スープ類、液体調味料、液体洗剤等の容器として自立型パウチ(袋体)が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。この種の自立型パウチは、図1に示すように、表側フィルム11と、裏側フィルム12と、表側フィルム11と裏側フィルム12との間に2つ折りにして挟まれた底フィルム13とからなっている。表側フィルム11、裏側フィルム12及び底フィルム13のそれぞれは、基材層と、熱接着性を有するヒートシール層とが積層されたプラスチックフィルムで形成されている。
【0003】
そして、表側フィルム11と裏側フィルム12とがそれぞれヒートシール層が対向するように配置され、ヒートシール層を外側にして2つ折りにされた底フィルム13の折り片13aと折り片13bとが、それぞれ表側フィルム11と裏側フィルム12との間に対向するように、当該底フィルム13の山折り線13cを上側にした状態で配置される。この状態で、表側フィルム11、底フィルム13(折り片13a、13b)及び裏側フィルム12を加圧加熱することにより、図2に示すように、表側フィルム11と底フィルム13の一方の折り片13a、裏側フィルム12と底フィルム13の他方の折り片13bとがそれぞれシールされて、所定形状(凹椀形状)の底シール部23a、23bが形成される。また、表側フィルム11及び裏側フィルム12の両サイドもそれぞれ加圧加熱することにより、両サイドが所定幅wにてシールされて所定形状(所定幅の直線形状あるいは曲線形状など)のサイドシール部21a、21bが形成される。
【0004】
このようにして、2つ折りした状態の底フィルム13と表側フィルム11及び裏側フィルム12のそれぞれとをシールして形成された底シール部23(23a、23b)と、表側フィルム11及び裏側フィルム12の両サイドをシールして形成されたサイドシール部21a、21bとによって、上端部が開放した袋状の自立型パウチ10が形成される。この自立型パウチ10は、図3に示すように、2つ折り状態の底フィルム13が開くことにより自立する。
【0005】
前述した自立型パウチ10は、具体的には、例えば、図4に示すようにして製造される。
【0006】
自立型パウチ10の基材となるプラスチックフィルムの原反から切り出された表用長尺フィルム101(表側フィルム11に対応)と裏用長尺フィルム102(裏側フィルム12に対応)との間に、同様のプラスチックフィルムを2つ折りした底用長尺フィルム103(底フィルム13に対応)が挟まれた状態で、それら表用長尺フィルム101、裏用長尺フィルム102及び底用長尺フィルム103が順次搬送される。この状態で、一対の底シールバー(50a、50b)(図4に示す例では、パウチ2個取り用)が、表用長尺フィルム101、裏用長尺フィルム102及び底用長尺フィルム103の所定部位を挟み込んで、それらを加圧加熱してシールすることにより、所定形状の底シール部(図2における底シール部23(23a、23b)に対応)が形成される(底シール工程)。
【0007】
底シールバー50a、50bの下流側に、各長尺フィルム101、102、103を横切るように延びる2対のサイドシールバー(51a、51b)、(52a、52b)が、形成されるべき自立型パウチ10の幅に相当する間隔をもって配置されている。この各サイドシールバー対(51a、51b)、(52a、52b)が、表用長尺フィルム101及び裏用長尺フィルム102を加圧加熱してシールすることにより、所定幅のサイドシール部(図2における幅Wのサイドシール部21a、21bの2倍の幅2w)が形成される(サイドシール工程)。そして、2対のサイドシールバー(51a、51b)、(52a、52b)の下流側に配置されたカッター装置53によってサイドシール部分をカットすることにより、前述した構造(図1図3参照)の自立型パウチ10が切り出される(カッター工程)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−114296号公報
【特許文献2】特開2001−206384号公報
【特許文献3】特開2004−136493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような自立型パウチ10(袋体)において、サイドシール部21a(21b)の内側縁線22a(22b)と底シール部23a(23b)の内側縁線24a(24b)との交点Pa(Pb)と、底フィルム13の山折り線13cとの位置関係は、落下強度や底部分(底フィルム13による)の形状の良否の観点から重要である。そして、底フィルム13の山折り線13cの位置は、サイドシール部21a(21b)の内側縁線22a(22b)と、底シール部23a(23b)の内側縁線24a(24b)との交点Pa(Pb)を基準にして決められる。例えば、底フィルム13の山折り線13cは、サイドシール部21a(21b)の内側縁線22a(22b)と、底シール部23a(23b)の内側縁線24a(24b)との交点Pa(Pb)を通っていることが好ましく、少なくともパウチの高さ方向のある範囲内にあることが必要である。この範囲外になるとパウチの落下強度が不足し、パウチが落下したときに内容物が漏洩するおそれがあり、また、パウチの底シール形状の美観を損ねるおそれがある。
【0010】
さらに、前述した自立型パウチ10(袋体)に使用される表用長尺フィルム101及び裏用長尺フィルム102には、絵柄等が連続的に印刷されており、底シールバー50a、50b及び2対のサイドシールバー(51a、51b)、(52a、52b)は、各自立パウチ10に製袋する際に、図柄にはみだし部分や欠け部分が無いようにセットされる。
【0011】
一方、表用長尺フィルム101及び裏用長尺フィルム102が切り出されるプラスチックフィルムの原反は、温度、湿度、巻取り張力等の影響を受けて、搬送方向、即ち、製袋される自立型パウチ10の幅方向に伸縮する。このため、例えば、図5に示すように、サイドシール部21aの内側縁線22a(1)と底シール部23の内側縁線24とが点Pa(1)で交差するように2対のサイドシールバー(51a、51b)、(52a、52b)をセットしてパウチの製造を続けると、前述したプラスチックフィルムの原反(表用長尺フィルム101、裏用長尺フィルム102)の収縮に起因して、絵柄に対するサイドシール部21a(21b)のずれが製品としての許容範囲を越えてしまうことがある。このような場合、サイドシールバー対(51a、51b)、(52a、52b)を、サイドシール部21aの内側縁線が22a(2)の位置になるように再セットすることが考えられる。しかしながらこのように再セットすると、サイドシール部21aの内側縁線22a(2)と底シール部23の内側縁線24との交点が点Pa(2)に変化する。そして、この交点の変化により、サイドシール部21aの内側縁線22a(1)と底シール部23の内側縁線24との交点Pa(1)を通っていた底フィルム13の山折り線13c(1)が、再セット後にサイドシール部21aの内側縁線22a(2)と底シール部23の内側縁線24との交点Pa(2)を通らなくなる。このため、山折り線13c(1)と交点Pa(2)との間にパウチ高さ方向のずれが生じる結果となる。
【0012】
そして、このようなずれは、前述したように、パウチの落下強度、パウチ底シール形状の美観の観点から好ましくない。このため、2つ折りした底フィルム13(底用長尺フィルム103)の表側フィルム11(表用長尺フィルム101)と、裏側フィルム12(裏用長尺フィルム102)との間への差し込み量を調整して、底フィルム13の山折り線13cがサイドシール部21aの内側縁線22a(2)と底シール部23の内側縁線24との交点Pa(2)を通るようにしなければならない。即ち、底フィルム13の山折り線が線13c(2)の位置になるようにしなければならない。しかしながら、このような底フィルム13(底用長尺フィルム103)の差し込みの調整作業は煩わしく、生産性の低下の原因となる。また、その調整量(変化量)が大きくなると、製造される自立型パウチ10の内容量の変化も大きくなり、甚だしい場合には内容量不足になるおそれもある。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、サイドシール部の内側縁線と底シール部の内側縁線との交点の位置の変化に対して、底フィルムの山折り線の位置の調整量を小さくすることが可能な袋体を提供するものである。
【0014】
また、本発明は、前記した袋体の製造に適した袋体製造装置を提供し、また、前記袋体製造装置に用いられる底シールバーを提供し、更に、前記袋体の製造に適した製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る袋体は、表側フィルムと、裏側フィルムと、該表側フィルムと該裏側フィルムとの間に2つ折りして挟まれた底フィルムとを有し、2つ折りした状態の前記底フィルムと前記表側フィルム及び前記裏側フィルムのそれぞれとをシールして形成される所定形状の底シール部と、前記表側フィルム及び前記裏側フィルムの両サイドのそれぞれをシールして形成された所定形状のサイドシール部とによって袋状に形成された袋体であって、前記底シール部の内側縁線は、前記底フィルムの幅方向における中央部から外側に向かって立ち上がる立ち上がり傾斜線部と、前記立ち上がり傾斜線部に続く傾斜緩和線部とを有し、該傾斜緩和線部の各点での接線の前記中央部から外側に向かう方向の傾きは、前記立ち上がり傾斜線部と当該傾斜緩和線部との接続点での接線の前記中央部から外側に向う方向の傾きより小さく、前記サイドシール部の内側縁線は、前記底シール部の前記内側縁線と、前記傾斜緩和線部において交差する構成となる。
【0016】
このような構成により、サイドシール部の内側縁線が、底フィルムの中心部から外側に向かって立ち上がる立ち上がり傾斜線部に続く比較的傾きが小さい傾斜緩和線部において底シール部の内側縁線と交差するので、サイドシール部の内側縁線の位置の変化に起因して当該サイドシール部の内側縁線と底シール部の内側縁線との交点の位置が変化したとしても、その交点と底フィルムの山折り線との間の間隔長の変化は、前記傾斜緩和線部の比較的小さい傾きに応じた程度の変化に抑えられる。
【0017】
本発明に係る袋体において、前記立ち上がり傾斜線部は、凹形状であり、前記傾斜緩和線部は、前記凹形状の立ち上がり傾斜線部に滑らかに続く凸形状の第1線部を有する構成とすることができる。
【0018】
また、本発明に係る袋体において、前記傾斜緩和線部は、更に、前記第1線部に滑らかに続く凹形状の第2線部を有する構成とすることができる。
【0019】
前記第1線部と前記第2線部との接続点での接線の傾きがゼロであるように構成することができ、その場合、前記サイドシール部の前記内側縁線は、前記底シール部の前記内側縁線と、前記傾斜緩和線部の前記第1線部と前記第2線部との接続点及びその所定近傍において交差する構成とすることができる。
【0020】
このような構成により、サイドシール部の内側縁線と底シール部の内側縁線との交点が、前記傾斜緩和線部において傾きがゼロとなる凸形状の第1線部と凸形状の第2線部との接続点及びその所定近傍に制限されるので、サイドシール部の内側縁線の位置の変化に起因して当該サイドシール部の内側縁線と底シール部の内側縁線との交点の位置が変化したとしても、その交点と底フィルムの山折り線との間の間隔長の変化は、更に小さく抑えることができる。
【0021】
本発明に係る袋体において、前記第1線部は、第1曲率半径を有する円弧状であり、前記第2線部は、前記第1曲率半径より小さい第2曲率半径を有する円弧状である構成とすることができる。
【0022】
また、本発明に係る袋体製造装置は、前述したいずれかの袋体を製造する袋体製造装置であって、前記袋体の前記底シール部を形成する底シールバーと、前記袋体の前記サイドシール部を形成するサイドシールバーとを有し、前記底シールバーは、前記底シール部の前記立ち上がり傾斜線部に対応する立ち上がり傾斜シール線部と、該立ち上がり傾斜シール線部に続く前記底シール部の前記傾斜緩和線部に対応する傾斜緩和シール線部とを有し、前記サイドシールバーは、当該サイドシールバーにて形成される前記袋体における前記サイドシール部の内側縁線が、前記底シールバーにて形成される前記底シール部の内側縁線と、前記傾斜緩和線部にて交差するようにセットされる構成となる。
【0023】
前記袋体製造装置に用いられる底シールバーは、前記袋体の前記底シール部の前記立ち上がり傾斜線部に対応する立ち上がり傾斜シール線部と、該立ち上がり傾斜シール線部に続く前記底シール部の前記傾斜緩和線部に対応する傾斜緩和シール線部とを有する構成となる。
【0024】
また、本発明に係る袋体の製造方法は、表側フィルムと、裏側フィルムと、該表側フィルムと該裏側フィルムとの間に2つ折りして挟まれた底フィルムとを有する袋体を製造する方法であって、2つ折りした状態の前記底フィルムと前記表側フィルム及び前記裏側フィルムのそれぞれとをシールして所定形状の底シール部を形成する底シール工程と、前記表側フィルム及び前記裏側フィルムの両サイドのそれぞれをシールして所定形状のサイドシール部を形成するサイドシール工程とを有し、前記底シール工程は、内側縁線が、前記底フィルムの幅方向における中央部から外側に向かって立ち上がる立ち上がり傾斜線部と、前記立ち上がり傾斜線部に続く傾斜緩和線部とを有し、該傾斜緩和線部の各点での接線の前記中央部から外側に向かう方向の傾きが前記立ち上がり傾斜線部と当該傾斜緩和線部との接続点での接線の前記中央部から外側に向かう方向の傾きより小さい前記底シール部を形成し、前記サイドシール工程は、内側縁線が、前記底シール部の前記内側縁線と、前記傾斜緩和線部において交差する前記サイドシール部を形成する構成となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る袋体によれば、サイドシール部の内側縁線の位置の変化に起因して、当該サイドシール部の内側縁線と底シール部の内側縁線との交点の位置が変化しても、その交点と底フィルムの山折り線との間の間隔長の変化は、前記傾斜緩和線部の小さい傾きに応じた程度の変化に抑えられ、サイドシール部の内側縁線と底シール部の内側縁線との交点の変化に対する底フィルムの山折り線の位置の調整量を小さくすることができる。
【0026】
また、本発明に係る袋体製造装置、底シールバー及び袋体の製造方法によれば、前述した袋体を、生産性を低下させることなく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】自立型パウチを構成する表側フィルム、裏側フィルム及び底フィルムを示す図である。
図2図1に示す表側フィルム、裏側フィルム及び底フィルムにより形成される自立型パウチの一例を示す正面図である。
図3図2に示す自立型パウチの底を示す図である。
図4】自立型パウチの製造工程を示す図である。
図5図2に示す自立型パウチにおけるサイドシール部の内側縁線、底シール部の内側縁線及び底フィルムの山折り線との関係を示す図である。
図6】本発明の実施の形態に係る袋体である自立型パウチを示す正面図である。
図7図6に示す自立型パウチにおけるサイドシール部の内側縁線、底シール部の内側縁線及び底フィルムの山折り線との関係を示す図である。
図8図6に示す自立型パウチを製造する装置における底シールバーを示す正面図である。
図9図8に示す底シールバーの片側部分を拡大して示す図である。
図10】サイドシール部の内側縁線の変化に対する底フィルムの山折り線の調整範囲(その1)を従来の例と比較して示す図である。
図11】サイドシール部の内側縁線の変化に対する底フィルムの山折り線の調整範囲(その2)を従来の例と比較して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0029】
本発明の実施の一形態に係る袋体は、図6及び図7に示すように構成され、この袋体は、前述した自立型パウチと同様のパウチである。なお、図6は、その自立型パウチを示す正面図であり、図7は、図6に示す自立型パウチにおけるサイドシール部の内側縁線、底シール部の内側縁線及び底フィルムの山折り線との関係を示す図である。
【0030】
本実施形態に係る自立型パウチ10は、図6に示すように、2つ折りした底フィルム13(折り片13a、13b:図1参照)と表側フィルム11及び裏側フィルム12とをシールして形成される所定形状の底シール部25(25a、25b)と、表側フィルム11及び裏側フィルム12の両サイドを所定幅wにてシールして形成されたサイドシール部21a、21bとによって形成されている。
【0031】
そして、自立型パウチ10における底フィルム13の山折り線13cの位置関係は、前述した従来の自立型パウチ10と同様である(図2参照)。また、図6に示すように、底シール部25(内側縁線26)の形状は、底フィルム13の幅方向における中心線Cに対して対称である。
【0032】
自立型パウチ10の底シール部25の内側縁線26は、図6及び図7に示すように、底フィルム13の幅方向の中央部Cから外側Doutに向かって立ち上がる凹形状の立ち上がり傾斜線部261(中心部Cから幅方向における区間S1に対応)、立ち上がり傾斜線部261に続く傾斜緩和線部262(幅方向における区間S2に対応)、傾斜緩和線部262から続いて自立型パウチ10の側端縁(サイドシール部21aの外側縁)に至る端線部263(幅方向における区間S3に対応)から形成されている。そして、傾斜緩和線部262の各点での傾き(各点での接線の前記中央部Cから外側Doutに向かう方向の傾き:以下同様)は、底フィルム13の中央部Cから徐々に傾きが大きくなっている立ち上がり傾斜線部261と当該傾斜緩和線部262との接続点PCNでの傾き(接続点PCNでの接線の前記中央部Cから外側Doutに向かう方向の傾き:以下同様)より小さい。
【0033】
傾斜緩和線部262は、凹形状の立ち上がり傾斜線部261に滑らかに続く凸形状の第1線部262a(幅方向における区間S2aに対応)と、第1線部262aに滑らかに続く凹形状の第2線部262b(幅方向における区間S2bに対応)とから形成されている。一方、凹形状の立ち上がり傾斜線部261は、曲率半径R1の円弧状(それに続く直線部を含んでもよい)であり、立ち上がり傾斜線部261に滑らかに続く第1線部262aは、前記曲率半径R1より小さい曲率半径R2(例えば、曲率半径R1の1/3〜1/8程度)の円弧状である。また、第1線部262aに滑らかに続く第2線部262bは、前記曲率半径R2より更に小さい曲率半径R3(例えば、曲率半径R2の1/2〜1/6程度)の円弧状であることが好ましい。さらに、傾斜緩和線部262において、第1線部262aと第2線部262bとの接続点での傾き(接続点での接線の傾き)はゼロ(幅方向と平行)になっている。
【0034】
なお、端線部263(幅方向における区間S3に対応)は、傾斜緩和線部262の第2線部262bから続いて立ち上がった位置に形成されており、第2線部262bと同じ曲率半径R3の円弧状の凹状部分と、その凹状部分に滑らかに続く円弧状(前記曲率半径R3より小さい曲率半径)の凸状部分と、その凸状部分に滑らかに続くサイドシール部21aの外側縁まで延びる直線部分とによって構成されている。
【0035】
サイドシール部21aの内側縁線22aは、底シール部25の内側縁線26と、傾斜緩和線部262(図7における区間S2に対応)において交差している。更に、具体的には、サイドシール部21aの内側縁線22aと底シール部25の内側縁線26との交点Paは、底シール部25の傾斜緩和線部262における第1線部262aと第2線部262bとの接続点に略一致している。また、底フィルム13の山折り線13cは、サイドシール部21aの内側縁線22aと底シール部25の内側縁線26との交点Paを通っている。
【0036】
なお、前述したサイドシール部21aの内側縁線22aと逆側のサイドシール部21bの内側縁線22b(図6参照)と、底シール部25の内側縁線26と、底フィルム13の山折り線13cとの関係も、前述したサイドシール部21aの内側縁線22aの場合と同様である。
【0037】
本実施形態の自立型パウチ10は、前述した自立型パウチ(図1図3参照)と同様に、図4に示す製造工程によって製造される。
【0038】
即ち、プラスチックフィルムの原反から切り出された表用長尺フィルム101と裏用長尺フィルム102との間に、底フィルム13の原材料となるプラスチックフィルムの2つ折りされた底用長尺フィルム103が挟まれた状態で、それら表用長尺フィルム101、裏用長尺フィルム102及び底用長尺フィルム103が順次搬送される。この状態で、一対の底シールバー(50a、50b)が表用長尺フィルム101、裏用長尺フィルム102及び底用長尺フィルム103の所定部位を挟み込んで、それらを加圧加熱してシールすることにより所定形状の底シール部(図6における底シール部25(25a、25b)に対応)が形成される(底シール工程)。
【0039】
そして、底シールバー対50a、50bの下流側に設けられた2対のサイドシールバー(51a、51b)、(52a、52b)が、表用長尺フィルム101及び裏用長尺フィルム102を加圧加熱してシールすることにより所定幅のサイドシール部(図6における幅wのサイドシール部21a、21bの2倍の幅2w)が形成される(サイドシール工程)。次いで、2対のサイドシールバー(51a、51b)、(52a、52b)の下流側に配置されたカッター装置53によってサイドシール部分をカットすることにより、前述した形態(図6図7参照)の自立型パウチ10が切り出される(カッター工程)。
【0040】
図8及び図9は、前記一対の底シールバー50a、50bの加熱部500を示し、図8において、加熱部500は、自立型パウチ10の底シール部25に対応した形状となっており、底シール部25の内側縁線26に対応した内側シール縁線510を有している。内側シール縁線510は、中心Cから外側Doutに向けて連続する立ち上がり傾斜シール線部511(幅方向における区間D1に対応)、立ち上がり傾斜シール線部511に滑らかに続く傾斜緩和シール線部512(幅方向における区間D2に対応)及び傾斜緩和シール線部512に滑らかに続く端シール線部513(幅方向における区間D3に対応)からなっている。
【0041】
立ち上がり傾斜シール線部511は、前述した自立型パウチ10における底シール部25の内側縁線26の立ち上がり傾斜線部261(図7参照)に対応しており、曲率半径R1の円弧状(それに続く直線を含んでもよい)凹形状になっている。傾斜緩和シール線部512は、前述した自立型パウチ10における底シール部25(内側線部26)の傾斜緩和線部262に対応しており、第1線部262aに対応した曲率半径R2の円弧状の凸形状となる第1シール線部512a(幅方向における区間D2aに対応)と、第2線部262bに対応した曲率半径R3の円弧状の凹形状となる第2シール線部512b(幅方向における区間D2bに対応)とから成っている。
【0042】
なお、底シールバー50a、50bの加熱部500には、プラスチックフィルムを加圧加熱する際に発生する気泡の逃げ場所となる複数の凹部501a、501b,502a、502b、503a、503bが形成されている。
【0043】
前述した加熱部500(図8図9参照)を有する底シールバー50a、50bで、表用長尺フィルム101(表側フィルム11)、裏用長尺フィルム102(裏側フィルム12)及び底用長尺フィルム103(底フィルム13)を挟み込んで加圧加熱することにより、前述した内側縁線26(26a、26b)を有する底シール部25(25a、25b)(図6図7参照)を、自立型パウチ10に形成することができる。
【0044】
自立型パウチ10における底シール部25の内側縁線26の傾斜緩和線部262の形状及び範囲(図7の区間S2)は、プラスチックフィルムの原反の想定される伸縮量の変動範囲、即ち、サイドシール部21a(21b)の内側縁線22a(22b)の位置の変動範囲に基づいて決められる。具体的には、サイドシール部21a(21b)の内側縁線22a(22b)の位置の変動範囲が底シール部25の内側縁線26の傾斜緩和線部262の範囲(区間S2)に収まるように、当該傾斜緩和線部262の形状及び範囲が決められる。即ち、底シールバー50a、50bの加熱部500の形状(図8図9参照)は、内側シール縁線510がそのような傾斜緩和部262に対応した傾斜緩和シール線部512を有する形状に決められる。
【0045】
その結果、図10に示すように、サイドシール部21a(21b)の内側縁線22a(22b)の位置が、プラスチックフィルムの原反の収縮により底シール部25の内側縁線26の傾斜緩和線部262の範囲(区間S2)で変化したとしても、サイドシール部21a(21b)の内側縁線22a(22b)と、底シール部25の内側縁線26との交点を通るべき底フィルム13の山折り線13cの調整範囲は、傾斜緩和線部262の比較的小さい傾き(立ち上がり傾斜線部261との接続点での傾きより小さい)に応じた程度の範囲Δ1に抑えられる。
【0046】
これに対して、従来の自立型パウチ10(図2参照)の場合は、図10に示すように、サイドシール部21a(21b)の内側縁線22a(22b)の位置が、前述した傾斜緩和傾部262の範囲(区間S2)と同様の範囲で変化すると、サイドシール部21a(21b)の内側縁線22a(22b)と、底シール部23の内側縁線24(図10おける凹状破線曲線)との交点を通るべき底フィルム13の山折り線13cの調整範囲は、前記範囲Δ1より大きい範囲Δ2になってしまう。
【0047】
更に、図11に示すように、サイドシール部21a(21b)の内側縁線22a(22b)の位置の実際の変動範囲がSxである場合、内側縁線22a(22b)と底シール部25の内側縁線26との交点Paの位置は、第1線部262a(区間S2a)と第2線部262b(区間S2b)との接続点(傾きゼロ)及びその所定近傍である前記Sxの範囲に収まる。そして、前記Sxの範囲では底シール部25の傾斜緩和線部262の傾きがゼロまたはゼロに極めて近い値になっているので、サイドシール部21a(21b)の内側縁線22a(22b)と底シール部25の内側縁線26との交点を通るべき底フィルム13の山折り線13cの調整範囲は、極めて僅かな範囲であり、ラインを止めて底フィルム13の山折り線13cの位置を再調整する必要はない。これに対して、従来の自立型パウチ10(図2参照)では、サイドシール部21a(21b)の内側縁線22a(22b)の位置が、前記範囲Sxで変動すると、サイドシール部21a(21b)の内側縁線22a(22b)と底シール部23の内側縁線24との交点の変動が範囲Δ2と大きくなり、ラインを止めて底フィルム13の山折り線13cの位置を再調整しなければならないおそれがある。
【0048】
前述したように、図6及び図7に示すような自立型パウチ10によれば、サイドシール部21a(21b)の内側縁線22a(22b)の位置の変化に起因して、当該サイドシール部21a(21b)の内側縁線22a(22b)と底シール部25の内側縁線26との交点の位置が変化したとしても、その交点と底フィルム13の山折り線13cとの間の間隔長の変化は、傾斜緩和線部262の比較的小さい傾き(図11の範囲Sxの場合、傾きが略ゼロ)に応じた程度の変化に抑えられるので、サイドシール部21a(21b)の内側縁線22a(22b)と底シール部25の内側縁線26との交点の変化に対して底フィルム13の山折り線13cの位置を調整する必要がなくなる。よって、ラインを止めて調整する時間が削減され、作業者の負担も少なくなり、自立型パウチ10(袋体)の生産効率が大幅に向上する。
【0049】
なお、底シール部25の内側縁線26における傾斜緩和線部262を構成する第1線部262a及び第2線部262bは、円弧状でなくてもよい。また、第2線部262bの曲率半径R3は、第1線部262aの曲率半径R2と同じであっても、大きくても(第2線部262bが直線であることを表す無限大も含む)よい。ただし、第1線部262aから滑らかに続いてくる第2線部262bは、より小さい曲率半径にて急激に立ち上がって端線部263に続くことが、底シール部25において端線部263によって形成されるサイドシール部21aと重なる突出部分をより広くして確実なシール性を確保するという点で好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係る袋体は、サイドシール部の内側縁線と底シール部の内側縁線との交点の位置の変化に対して、底フィルムの山折り線の位置の調整をできるだけ小さくすることができる構造であり、表側フィルムと、裏側フィルムと、該表側フィルムと該裏側フィルムとの間に2つ折りして挟まれた底フィルムとを有する自立型パウチ等の袋体として有用である。
【符号の説明】
【0051】
10 自立型パウチ(袋体)
11 表側フィルム
12 裏側フィルム
13 底フィルム
13a、13b 折り片
13c 山折り線
21a、21b サイドシール部
22a、22b 内側縁線
23(23a、23b) 底シール部
24(24a、24b) 内側縁線
25(25a、25b) 底シール部
26(26a、26b) 内側縁線
50a、50b 底シールバー
51a、51b、52a、52b サイドシールバー
261 立ち上がり傾斜線部
262 傾斜緩和線部
262a 第1線部
262b 第2線部
263 端線部
500 加熱部
510 内側シール縁線
511 立ち上がり傾斜シール線部
512 傾斜緩和シール線部
512a 第1シール線部
512b 第2シール線部
513 端シール線部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11