(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示されているように、印刷テープと剥離テープとを積層してなるテープ部材をテープカセット内に収納し、このテープカセットを筐体内にセットして、キーボード等の入力手段から入力された、あるいは他の機器から出力された文字や模様等のオブジェクトをテープ部材に印刷することにより固有のラベルを作成すラベル印刷装置が知られている。
【0003】
このようなラベル印刷装置において使用される印刷テープは、文書や文具の管理に使用されるテープ幅の狭いものが一般的であったが、近年、表示や標識として使用可能なテープ幅が広いものも提供されるようになり、テープ印刷装置の用途も多種多様に渡るようになった。
また、テープ幅に収まらない大きさでオブジェクトを印刷する場合には、特許文献2に開示されているように、隣接する複数のテープに跨ってオブジェクトを印刷するとともに、印刷された複数のテープを平行に隙間なく貼付けることで、テープ幅よりも大きいオブジェクトを印刷することが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、テープ幅に収まらない大きさでオブジェクトを印刷する場合、特許文献2に開示された発明によれば、所望するオブジェクトの印刷サイズが大きくなれば大きくなるほど、各テープにおけるオブジェクトに対応しない領域(非印字領域)が広くなってしまい、結果的に、無駄に使用されるテープの長さが増大してしまっていた。
【0006】
本発明は上記した課題を解決するためになされたものであり、所望するオブジェクトの印刷サイズが大きくなった場合に、各テープにおけるオブジェクトに対応しない領域が広くなってしまい、結果的に、無駄に使用されるテープの長さが増大してしまうことを抑制できる、オブジェクト作成装置およびそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる第1の態様は、
オブジェクトのサイズを含むパラメータを取得するパラメータ取得手段と、前記パラメータに基づき生成され、複数の要素に分解された前記オブジェクトを生成するオブジェクト生成手段と、
前記オブジェクトが文字の場合、前記パラメータに基づき前記文字の筆順情報を生成し、前記生成されたオブジェクトの各要素に対応する長さずつロール状の媒体を搬送する制御手段と、を備えたことを特徴とするオブジェクト作成装置を提供する。
【0008】
本発明に係る第2の態様は、
オブジェクト作成装置のコンピュータを制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
オブジェクトのサイズを含むパラメータを取得する機能と、前記パラメータに基づき生成され、複数の要素に分解された前記オブジェクトを生成する機能と、
前記オブジェクトが文字の場合、前記パラメータに基づき前記文字の筆順情報を生成し、前記生成されたオブジェクトの各要素に対応する長さずつロール状の媒体を搬送する機能と、を実行
させるオブジェクト作成装置のプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、所望するオブジェクトの印刷サイズが大きくなった場合に、各テープにおけるオブジェクトに対応しない領域が広くなってしまい、結果的に、無駄に使用されるテープの長さが増大してしまうことを抑制できる、オブジェクト作成装置およびそのプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、単に、本実施形態という)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明において、同一の構成に対しては、同じ番号または符号を付している。
【0012】
(実施形態の構成)
本実施形態は、オブジェクト作成装置として、ラベル作成装置1に適用した場合を例示している。ラベル作成装置1は、
図1に示すように、制御手段としての制御部40を備える。そして、この制御部40には、記憶手段としてのROM(Read Only Memory)41及びRAM(Random Access Memory)42が接続されている。また、制御部40には、入力部3と、表示部4を駆動する表示部駆動回路66と、が接続されている。
【0013】
制御部40には、更に、サーマルヘッド11を駆動するヘッド駆動回路51と、プラテンローラ12を駆動するための搬送用モータ46を駆動する搬送用モータ駆動回路52と、カセット判別スイッチ44と、が接続されている。また、制御部40には、ロール状の媒体としてのテープをカットするカット機構17(カット手段)が、カッターモータ48を駆動するカッターモータ駆動回路53を介して接続されている。
【0014】
制御部40は、例えば、マイクロプロセッサが実装され、入力部3からのキー操作信号に応じて、又は、自動でROM42に予め記憶されているシステムプログラム、メモリーカードに記憶された制御プログラム、外部機器から読み込まれた制御プログラムなどを起動させ、RAM42をワークメモリとして装置内の各部の動作を制御する。
【0015】
ROM41は、入力部3から入力された文字等を印刷するためのプログラムや文字フォント、アウトラインフォント、後述する貼付マークのパターンなどが記憶され、制御部40で読み取り可能なプログラムが記憶された記憶媒体としても機能する。このROM41としては、EPROM(Erasable Programmable ROM)などの書込みが可能なROMが使用される場合もあり、EPROMが使用された場合には補助記憶装置としても機能する。
【0016】
RAM42は、キー入力された文字や文字間隔、縦書き、横書きなどの書式情報等を記憶する入力データメモリ、入力された印刷情報が展開された印刷パターンデータが記憶される印刷データメモリ、表示部4に表示されるパターンデータが記憶される表示データメモリなどの各記憶領域が確保され、印刷処理などに必要なデータを一時的に記憶するレジスタやカウンタなどが割り付けられる。
【0017】
制御部40は、上記したROM41に記憶された各種プログラムおよびフォント等のデータにしたがい、RAM42を使用することにより、入力される文字等のオブジェクトのサイズを含むパラメータを取得するパラメータ取得手段として、また、パラメータに基づき生成され、複数の要素に分解されたオブジェクトを生成するオブジェクト生成手段として、生成されたオブジェクトの各要素に対応する長さずつロール状の媒体を搬送する制御手段として、機能する。
【0018】
制御部40は、入力部3から入力されるパラメータに基づき、一つのオブジェクトを構成する複数の媒体の貼付け順情報を生成してもよい。尚、オブジェクトが文字であるとき、貼付け順は筆順である。また、制御部40は、複数の要素を用いてオブジェクトを生成する際のガイド情報を生成してもよい。ここで、ガイド情報とは、貼付の対象に対して貼り付けるラベルを作成する場合に、文字列を印刷するのと同時に貼付対象の基準方向に対して位置決めの目印となる貼付マークである。
【0019】
制御部40は、文字を構成する部首や辺等の要素毎に印刷により表現されたテープを搬送してもよい。また、制御部40は、カッターモータ48によりカット機構17を制御することで、搬送された要素毎に図示省略したテープカセットに収納されているテープをカットしてもよい。
【0020】
カッターモータ駆動回路53は、カット機構17を稼働させるカッターモータ48を駆動する。カセット判別スイッチ44は、図示省略したカセット装填部に装填されたテープカセットの種別を判別するスイッチであり、装填されたテープカセットの判別結果の信号を制御部40に出力する。テープカセットには、印刷層と粘着層とが積層されたロール状の媒体としてのテープが収納されている。
【0021】
(実施形態の動作)
以下、
図2に示すフローチャート、および
図3,
図4に示す模式図を参照しながら、
図1に示す本実施形態のラベル作成装置1の動作について詳細に説明する。
【0022】
まず、ユーザが入力部3を操作することにより、ラベルに文字を印刷する場合の文字と、分割印刷の有無、分割印刷する場合のサイズ等のパラメータを入力する(ステップS101)。これら情報入力は、制御部40による制御の下で表示部駆動回路66により駆動される表示部4に表示される入力ガイド情報にしたがいユーザによって行われるものとする。なお、入力されるパラメータの中には、使用するテープの幅情報も含まれる。
【0023】
制御部40は、入力された文字とパラメータを取り込むと、分割/通常印刷の有無を判定する(ステップS102)。ユーザにより通常印刷が選択された場合(ステップS102“通常”)、制御部40は、印刷データ作成処理を実行し、作成された印刷データをRAM42の所定の領域にフォント展開してラベルに印刷後、カット機構17を駆動してカット処理を実行することにより1枚のラベルを作成する(ステップS103)。なお、同じ印刷内容の複数のラベルを作成する場合は、各ラベルを印刷する毎にカット処理を実行しても良いし、一定数又は全てのラベルを印刷する毎にカット処理を実行しても良い。
【0024】
次に、例えば、プラカードや看板等に文字を貼付する場合等、テープ幅に収まらない大きさのオブジェクトを印刷する場合に使用する、分割印刷について説明する。この分割印刷が選択された場合(ステップS102“分割”)、制御部40は、まず、RAM42の所定の領域に割り付けたレジスタPを初期化した後(ステップS104)、文字の筆順情報を生成して印刷処理を実行する(ステップS105)。
図3に筆順情報の一例が示されている。
図3(a)に示すように、サイズlの文字「校」が入力された場合、制御部40は、
図3(b)に示すように、文字「校」の筆順を、その順番を示すインジケータ(○数字で表記)とともに印刷する。
【0025】
次に、制御部40は、文字「校」を解析し、辺、あるいは旁や冠を示す部首等のパーツ(要素)に分割して(ステップS106)、先に初期化したレジスタPに値“1”を設定する(ステップS107)。続いて、制御部40は、入力文字に基づく印刷データを生成するとともに、貼付マークを生成してRAM42の所定の領域に展開する(ステップS108)。そして、印刷処理を実行し、搬送用モータ駆動回路52により搬送用モータ46を制御することによってプラテンローラ12を駆動し、パーツ毎に最適化されたテープ長のテープを搬送する(ステップS109)。
【0026】
ここで搬送されるテープ長は、パーツの種類と使用するラベルのテープ幅とによって決定され、あらかじめその対応データがROM41内に記憶されているものとする。制御部40は、この対応データを参照することにより、パーツ毎に最適化されたテープ長を有するテープを搬送する
【0027】
最適化されたテープ長を搬送制御した後、制御部40は、レジスタPを+1更新した後(ステップS110)、カット機構17を制御してテープカットして排出する(ステップS111)。そして、未だレジスタPが入力文字を構成するパーツの個数nに至らない場合(ステップS112“NO”)、ステップS108〜S111の処理を繰り返し実行し、レジスタPが入力文字を構成するパーツのnに到達した場合に(ステップS112“YES”)、分割印刷によるラベル作成を終了する。尚、カット機構17を自動ではなく、手動で動作させるようにしてもよい。
【0028】
図3(c)に、筆順を示すインジケータ毎に、貼付マークと、対応した長さを持つテープが搬送される事例が示されている。
図3(c)では、インジケータ(1)で示すパーツにおいて、インジケータ(2)で示すパーツが重なる領域が貼付マークとして示されるテープ長l1のテープが搬送され、インジケータ(2)で示すパーツにおいて、インジケータ(3)で示すパーツが重なる領域が貼付される角度とともに貼付マークとして示されたテープ長l2のテープが搬送され、インジケータ(10)で示すパーツにおいて、テープ長l10のテープが搬送される様子がそれぞれ示されている。即ち、
図3(c)には、複数の要素のうちの第1の要素に対応する長さを有する一つのラベルに、そのラベルが対応する筆順を示すインジケータ(ラベル左上の丸数字)が印刷されているとともに、筆順に従ってその要素の次の要素である第2の要素を第1の要素に対して相対的に配置する際の配置位置および方向を示す貼付マークが印刷された例を示す。左上に丸数字1が印刷されたラベル1には、ラベル1の次の要素である、左上に丸数字2が印刷されたラベル2を貼付する配置位置及び方向が印刷されている。ラベル2以降も同様である。
【0029】
なお、曲線については、例えば、
図4に、文字「大」を示すように、吹き出し線で表記された曲線部分は、分割されたかたちで表現し、例えば、パーツ(2)−1,(2)−2,(2)−3で示すように、隣接するパーツを貼り合わせて表現する。ここでは、パーツ(2)−1と(2)−2との貼り合わせの例が拡大して示されており、パーツ(2)−1に隣接するパーツ(2)−1との重なり領域を示す貼付マークが示されている。
【0030】
(実施形態の効果)
以上説明のように本実施形態に係るオブジェクト作成装置(ラベル作成装置1)によれば、作成したい文字等のオブジェクトとそのサイズを入力することにより、パラメータに基づき生成され、複数の要素に分解されたオブジェクトを生成し、生成されたオブジェクトの各要素に対応する長さずつロール状の媒体を搬送される。また、各パーツの搬送前に、例えば、オブジェクトが文字の場合、その筆順情報が印刷され、搬送されるテープ等のロール状の媒体には、その「辺」等、パーツに対応する番号や重なる位置、方向が印刷されているため、ユーザは、簡便に大きな文字を作成することが可能である。このように、看板やプラカカードに文字を貼る場合等において、所望するオブジェクトの印刷サイズが大きくなった場合であっても、各テープにおけるオブジェクトに対応しない領域が広くなってしまい、結果的に、無駄に使用されるテープの長さが増大してしまうことを抑制することができる。
【0031】
なお、本実施形態に係るオブジェクト作成装置によれば、ラベル作成装置1のみ例示したが、ラベル作成装置1に限らず、オブジェクトを作成するPC(Personal Computer)等の汎用装置にも適用が可能である。また、オブジェクトは、漢字に限らず、アルファベットや絵柄等にも適用が可能である。また、媒体として、テープのみ例示したが、テープに限らず、通常の印刷用等に拡大したオブジェクトを分割して印刷し、適宜カットして貼り合わせることにより大きなPOP(Point of Purchase advertising)広告等を作成する用途にも適用が可能である。
【0032】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またそのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0033】
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
【0034】
〔付記〕
[請求項1]
オブジェクトのサイズを含むパラメータを取得するパラメータ取得手段と、
前記パラメータに基づき生成され、複数の要素に分解された前記オブジェクトを生成するオブジェクト生成手段と、
前記生成されたオブジェクトの各要素に対応する長さずつロール状の媒体を搬送する制御手段と、
を備えたことを特徴とするオブジェクト作成装置。
[請求項2]
前記ロール状の媒体は、印刷層と粘着層からなるテープであって、
前記テープをカットするカット手段を備え、
前記制御手段は、
前記カット手段を制御することにより、前記各要素に対応する長さだけ搬送される毎に、前記テープをカットすることを特徴とする請求項1に記載のオブジェクト作成装置。
[請求項3]
前記制御手段は、
前記複数の要素を用いて前記オブジェクトを生成する際のガイド情報を生成することを特徴とする請求項1または2に記載のオブジェクト作成装置。
[請求項4]
前記オブジェクトは文字であり、
前記制御手段は、
前記パラメータに基づき、前記文字の筆順情報を生成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のオブジェクト作成装置。
[請求項5]
オブジェクトのサイズを含むパラメータを取得する機能と、
前記パラメータに基づき生成され、複数の要素に分解された前記オブジェクトを生成する機能と、
前記生成されたオブジェクトの各要素に対応する長さずつロール状の媒体を搬送する機能と、
を実現するオブジェクト作成装置のプログラム。