(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6409452
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】診断装置
(51)【国際特許分類】
G01N 27/22 20060101AFI20181015BHJP
F01N 3/023 20060101ALI20181015BHJP
F01N 3/00 20060101ALI20181015BHJP
F01N 3/18 20060101ALI20181015BHJP
【FI】
G01N27/22 C
F01N3/023 K
F01N3/00 F
F01N3/18 C
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-196580(P2014-196580)
(22)【出願日】2014年9月26日
(65)【公開番号】特開2016-70678(P2016-70678A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年8月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128509
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 晴久
(74)【代理人】
【識別番号】100119356
【弁理士】
【氏名又は名称】柱山 啓之
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(72)【発明者】
【氏名】内山 正
(72)【発明者】
【氏名】村澤 直人
【審査官】
蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−141209(JP,A)
【文献】
特開2008−008151(JP,A)
【文献】
特開2010−249669(JP,A)
【文献】
特表2014−509368(JP,A)
【文献】
特開2012−077668(JP,A)
【文献】
特開2014−159783(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0047978(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0090866(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00−27/10、27/14−27/24
F01N 3/00、3/023、11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気通路に配置されて排気中の粒子状物質を捕集するセルを含むフィルタ部材に、前記セルを挟んで対向配置されてコンデンサを形成する少なくとも一対の電極部材を設け、前記一対の電極部材間の静電容量に基づいて排気中の粒子状物質量を推定する推定手段を含む第1センサと、
前記排気通路に設けられて排気温度を検出する第2センサと、
前記一対の電極部材間の静電容量と前記第2センサのセンサ値とを比較して、前記第1センサの異常を判定する異常判定手段と、を備え、
前記異常判定手段は、前記内燃機関から粒子状物質が排出されない時に前記一対の電極部材間の静電容量と前記第2センサのセンサ値とを比較して、前記第1センサの異常を判定する
診断装置。
【請求項2】
前記排気通路には、排気中の粒子状物質を捕集するパティキュレイトフィルタが設けられ、
前記第1センサ及び前記第2センサは、前記パティキュレイトフィルタよりも上流側の排気通路に配置され、
前記異常判定手段は、前記内燃機関の燃料噴射停止時に前記一対の電極部材間の静電容量と前記第2センサのセンサ値とを比較して、前記第1センサの異常を判定する
請求項1に記載の診断装置。
【請求項3】
前記第1センサは、前記フィルタ部材に捕集された粒子状物質量が所定値に達すると当該堆積した粒子状物質を燃焼除去させるセンサ再生を実行する再生手段をさらに備え、
前記推定手段は、センサ再生インターバル間における前記一対の電極間の静電容量変化量から当該センサ再生インターバル間に前記フィルタ部材で捕集された粒子状物質量を算出すると共に、算出した各センサ再生インターバル間の粒子状物質量を順次積算することで、排気中の粒子状物質量をリアルタイムに推定する
請求項1又は2に記載の診断装置。
【請求項4】
前記第1センサは、筒状に形成されてその筒内に前記フィルタ部材を収容すると共に、一端開口部から筒内に導入した排気を前記フィルタ部材に通過させて他端開口部から筒外に導出するケース部材を備える
請求項1から3の何れか一項に記載の診断装置。
【請求項5】
前記フィルタ部材が前記セルを一方向に並列に複数配置したフィルタ層であり、前記一対の電極部材が前記フィルタ層を挟んで対向する平板状の第1及び第2電極板である
請求項1から4の何れか一項に記載の診断装置。
【請求項6】
前記第1電極板、前記第2電極板及び、前記フィルタ層をそれぞれ複数有すると共に、前記複数の第1及び第2電極板が前記複数のフィルタ層を一層ずつ挟んで交互に積層された
請求項5に記載の診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診断装置に関し、特に、排気中に含まれる粒子状物質(以下、PMという)を検出するPMセンサの診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関から排出される排気中のPMを検出するセンサとして、電気抵抗型PMセンサが知られている。電気抵抗型PMセンサは、絶縁性基板の表面に一対の導電性電極を対向配置し、これら電極に付着する導電性のPM(主に、スート成分)によって電気抵抗値が変化することを利用してPM量を推定している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような電気抵抗型PMセンサの診断装置として、センサ再生期間における電極間の電気抵抗値を予め取得したセンサ正常時の値と比較することで、PMセンサの故障を検知するものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、電気抵抗型PMセンサの診断装置として、二個のPMセンサの再生時間を互いに比較し、これらセンサの再生時間の差が所定値よりも大きい場合に故障と判定するものも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−83210号公報
【特許文献2】特開2014−15914号公報
【特許文献3】特開2009−144512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述したセンサ再生期間の電気抵抗値を比較する手法や、二個のセンサの再生時間を比較する手法では、診断の実行がセンサ再生期間に限定されるため、PMセンサの機能失陥や機能劣化等を早期に検知できない可能性がある。また、二個のPMセンサの再生時間を比較する手法では、何れのPMセンサに故障が発生しているか判別できない課題もある。
【0007】
開示の診断装置は、PMセンサの故障を早期且つ高精度に検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示の診断装置は、内燃機関の排気通路に配置されて排気中の粒子状物質を捕集するセルを含むフィルタ部材に、前記セルを挟んで対向配置されてコンデンサを形成する少なくとも一対の電極部材を設け、前記一対の電極部材間の静電容量に基づいて排気中の粒子状物質量を推定する推定手段を含む第1センサと、前記排気通路に設けられて排気温度を検出する第2センサと、前記一対の電極部材間の静電容量と前記第2センサのセンサ値とを比較して、前記第1センサの異常を判定する異常判定手段とを備える。
【発明の効果】
【0009】
開示の診断装置によれば、PMセンサの故障を早期且つ高精度に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第一実施形態に係る診断装置が適用されたエンジンの排気系の一例を示す概略構成図である。
【
図2】第一実施形態に係る診断装置のPMセンサを示す模式的な部分断面図である。
【
図3】第一実施形態に係る診断装置の電子制御ユニットを示す機能ブロック図である。
【
図4】第一実施形態に係るPMセンサのセンサ再生を説明する図である。
【
図5】エンジンの燃料噴射停止時における電極間の静電容量挙動と排気温度センサのセンサ値挙動とを比較する図である。
【
図6】(A)は、第二実施形態に係るPMセンサのセンサ部を示す模式的な斜視図、(B)は、第二実施形態に係るPMセンサのセンサ部を示す模式的な分解斜視図である。
【
図7】他の実施形態に係る診断装置のPMセンサを示す模式的な部分断面図である。
【
図8】他の実施形態に係る診断装置のPMセンサ及び排気温度センサの配置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面に基づいて、本発明の各実施形態に係る診断装置を説明する。同一の部品には同一の符号を付してあり、それらの名称及び機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0012】
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態に係る診断装置が適用されたディーゼルエンジン(以下、単にエンジンという)100の排気系の一例を示す概略構成図である。排気管110には、排気上流側から順に、第1排気温度センサ250、酸化触媒210、第2排気温度センサ260、パティキュレイトフィルタ(以下、DPFという)220、NOx還元型触媒230等が設けられている。本実施形態のPMセンサ10は、酸化触媒210(DPF220)よりも上流側の排気管110に設けられている。
【0013】
次に、
図2に基づいて本実施形態に係るPMセンサ10の詳細構成について説明する。
【0014】
PMセンサ10は、排気管110内に挿入されたケース部材11と、ケース部材11を排気管110に取り付ける台座部20と、ケース部材11内に収容されたセンサ部30と、電子制御ユニット(以下、ECUという)40とを備えている。
【0015】
ケース部材11は、底部側(図示例では下端側)を閉塞した有底円筒状に形成されている。ケース部材11の筒軸方向の長さLは、その底部側の筒壁部が排気管110の軸中心CL近傍まで突出するように、排気管110の半径Rと略同一の長さで形成されている。なお、以下の説明では、ケース部材11の底部側を先端側、底部側とは反対側をケース部材11の基端側とする。
【0016】
ケース部材11の先端側筒壁部には、周方向に間隔を隔てて配置された複数の導入口12が設けられている。また、ケース部材11の基端側筒壁部には、周方向に間隔を隔てて配置された複数の導出口13が設けられている。導入口12の総開口面積S
12は、導出口13の総開口面積S
13よりも小さく形成されている(S
12<S
13)。すなわち、導入口12付近の排気流速V
12が導出口13付近の排気流速V
13よりも遅くなることで(V
12<V
13)、導入口12側の圧力P
12は導出口13側の圧力P
13よりも高くなる(P
12>P
13)。これにより、導入口12からはケース部材11内に排気ガスが円滑に取り込まれると同時に、導出口13からはケース部材11内の排気ガスが排気管110内に円滑に導出される。
【0017】
台座部20は、雄ネジ部21と、ナット部22とを備えている。雄ネジ部21はケース部材11の基端部に設けられており、ケース部材11の基端側開口部を閉塞する。この雄ネジ部21は、排気管110に形成されたボス部110Aの雌ネジ部と螺合される。ナット部22は、例えば六角ナットであって、雄ネジ部21の上端部に固定されている。これら雄ネジ部21及びナット部22には、後述する導電線32A,33A等を挿通させる貫通孔(不図示)が形成されている。
【0018】
センサ部30は、フィルタ部材31と、複数対の電極32,33と、電気ヒータ34とを備えている。
【0019】
フィルタ部材31は、例えば、多孔質セラミックスの隔壁で区画された格子状の排気流路をなす複数のセルの上流側と下流側とを交互に目封止して形成されている。このフィルタ部材31は、セルの流路方向をケース部材11の軸方向(図中上下方向)と略平行にした状態で、ケース部材11の内周面にクッション部材31Aを介して保持されている。導入口12からケース部材11内に取り込まれた排気ガス中のPMは、排気ガスが下流側を目封止されたセルから上流側を目封止されたセルに流れ込むことで、隔壁表面や細孔に捕集される。なお、以下の説明では、下流側が目封止されたセルを測定用セルといい、上流側が目封止されたセルを電極用セルという。
【0020】
電極32,33は、例えば導電性の金属線であって、測定用セルを挟んで対向する電極用セルに下流側(非目封止側)から交互に挿入されてコンデンサを形成する。これら電極32,33は、ECU40に内蔵された図示しない静電容量検出回路に導電線32A,33Aを介してそれぞれ接続されている。
【0021】
電気ヒータ34は、例えば電熱線であって、本発明の再生手段を構成する。電気ヒータ34は、通電により発熱して測定用セルを加熱することで、測定用セル内に堆積したPMを燃焼除去するいわゆるセンサ再生を実行する。このため、電気ヒータ34は、連続S字形に屈曲して形成されており、互いに平行な直線部分を各測定用セル内に流路に沿って挿入されている。
【0022】
次に、
図3に基づいて、本実施形態のECU40の詳細について説明する。ECU40は、センサ再生制御部41と、PM量推定演算部42と、PMセンサ異常判定部43とを各機能要素として備えている。これら機能要素は、一体のハードウェアであるECU40に含まれるものとして説明するが、別体のハードウェアに設けることもできる。
【0023】
センサ再生制御部41は、本発明の再生手段の一部であって、図示しない静電容量検出回路によって検出される電極32,33間の静電容量Cpに応じて電気ヒータ34をON(通電)にするセンサ再生を実行する。電極32,33間の静電容量Cpは、電極32,33間の媒体の誘電率ε、電極32,33の面積S、電極32,33間の距離dとする以下の数式1で表される。
【0025】
数式1において、電極32,33の表面積Sは一定であり、フィルタ部材31にPMが捕集されると、誘電率ε及び距離dが変化して、これに伴い静電容量Cpも変化する。すなわち、電極32,33間の静電容量Cpとフィルタ部材31のPM堆積量との間には比例関係が成立する。
【0026】
センサ再生制御部41は、
図4に示すように、電極32,33間の静電容量Cpがフィルタ部材31のPM上限堆積量を示す所定の静電容量上限閾値C
P_maxに達すると、電気ヒータ34をONにするセンサ再生を開始する。このセンサ再生は、静電容量CpがPMの完全除去を示す所定の静電容量下限閾値C
P_minに低下するまで継続される。
【0027】
PM量推定演算部42は、本発明の推定手段であって、再生インターバルT
n間(センサ再生終了から次のセンサ再生開始)における静電容量変化量ΔCp
nに基づいて、排気中の総PM量m
PM_sumを推定演算する。
【0028】
再生インターバルT
n間にフィルタ部材31で捕集されるPM量m
PM_nは、静電容量変化量ΔCp
nに一次の係数βを乗算した以下の数式2で得られる。
【0030】
PM量推定演算部42は、数式2から算出される各再生インターバルT
n間のPM量m
PM_nを順次積算する以下の数式3に基づいて、フィルタ部材31に流れ込む排気中の総PM量m
PM_sumをセンサ10の出力値としてリアルタイムに演算する。
【0032】
PMセンサ異常判定部43は、本発明の異常判定手段の一例であって、第1排気温度センサ250から入力されるセンサ値に基づいて、PMセンサ10の異常を判定する。
【0033】
上述の数式1において、電極32,33の面積Sは一定であり、フィルタ部材31にPMが捕集されないときは、電極32,33間の距離dも一定となる。その結果、誘電率εが温度の影響を受けて変化すると、これに伴い静電容量Cpも変化することになる。すなわち、エンジン100の燃料噴射停止時等、エンジン100からPMが排出されない状態にあれば、電極32,33間の静電容量Cp及び、第1排気温度センサ250のセンサ値は同じ挙動(変化)を示すことになる(
図5の時間t
1〜t
2参照)。PMセンサ異常判定部43は、エンジン100の燃料噴射停止時に、これら電極32,33間の静電容量Cpの挙動と第1排気温度センサ250のセンサ値の挙動との偏差ΔTをリアルタイムに演算すると共に、偏差ΔTが所定の閾値を超えると、PMセンサ10に異常が発生したと判定する。
【0034】
なお、エンジン100の燃料噴射停止時は、酸化触媒210で酸化反応が生じないため、第1排気温度センサ250と第2排気温度センサ260とはセンサ値が略等しくなる。したがって、上述の静電容量Cpと比較するセンサ値は、第2排気温度センサ260のセンサ値を用いてもよい。
【0035】
また、ECU40の機能要素として、予め作成した静電容量Cpと排気温度との関係を示す静電容量・温度特性マップ(不図示)から排気温度を推定する排気温度推定部を追加し、排気温度推定部で推定される排気温度と、第1又は第2排気温度センサ250,260のセンサ値とを直接的に比較するように構成してもよい。
【0036】
次に、本実施形態に係る診断装置の作用効果を説明する。
【0037】
電気抵抗型PMセンサのセンサ再生期間における電気抵抗値を正常時の値と比較する従来技術では、電極間の電気抵抗値が変化しない再生インターバル期間は診断を行うことができず、PMセンサの機能失陥や機能劣化を早期に検知できない課題がある。
【0038】
これに対し、本実施形態の診断装置は、フィルタ部材31にPMが捕集されないエンジン100の燃料噴射停止時であれば、センサ再生中及び再生インターバル期間の何れにおいても、PMセンサ10の機能失陥や機能劣化を静電容量Cpの温度特性に基づいて診断できるように構成されている。したがって、本実施形態の診断装置によれば、PMセンサ10の診断頻度を効果的に確保することが可能となり、PMセンサ10の異常を早期且つ高精度に検知することができる。
【0039】
[第二実施形態]
次に、
図6に基づいて、第二実施形態に係る診断装置の詳細について説明する。第二実施形態の診断装置は、第一実施形態のPMセンサ10において、センサ部30を積層タイプにしたものである。他の構成要素については同一構造となるため、詳細な説明及び図示は省略する。
【0040】
図6(A)は、第二実施形態のセンサ部60の斜視図、
図6(B)はセンサ部60の分解斜視図をそれぞれ示している。センサ部60は、複数のフィルタ層61と、複数枚の第1及び第2電極板62,63とを備えている。
【0041】
フィルタ層61は、例えば、多孔質セラミックス等の隔壁で区画されて排気流路をなす複数のセルの上流側と下流側とを交互に目封止し、これらセルを一方向に並列に配置した直方体状に形成されている。排気ガス中に含まれるPMは、
図6(B)中に破線矢印で示すように、排気ガスが下流側を目封止されたセルC1から上流側を目封止されたセルC2に流れ込むことで、セルC1の隔壁表面や細孔に捕集される。なお、以下の説明では、セル流路方向をセンサ部60の長さ方向(
図6(A)中の矢印L)とし、セル流路方向と直交する方向をセンサ部60の幅方向(
図6(A)中の矢印W)とする。
【0042】
第1及び第2電極板62,63は、例えば、平板状の導電性部材であって、その長さ方向L及び幅方向Wの外形寸法をフィルタ層61と略同一に形成されている。これら第1及び第2電極板62,63は、フィルタ層61を挟んで交互に積層されると共に、導電線62A,63Aを介してECU40に内蔵された図示しない静電容量検出回路にそれぞれ接続されている。
【0043】
すなわち、第1電極板62と第2電極板63とを対向配置し、これら電極板62,63間にフィルタ層61を挟持させたことで、セルC1全体がコンデンサを形成するようになっている。このように、第二実施形態では、平板状の電極板62,63によりセルC1全体をコンデンサにしたことで、電極表面積Sを効果的に確保することが可能となり、検出可能な静電容量絶対値を高めることが可能になる。また、電極間距離dがセルピッチとなり均一化されることで、初期静電容量のバラツキを効果的に抑制することができる。
【0044】
なお、セルC1に堆積したPMを燃焼除去する場合は、電極板62,63に電圧を直接印加するか、あるいは、フィルタ層61と電極板62,63との間に図示しないヒータ基板等を介設すればよい。
【0045】
[その他]
本発明は、上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
【0046】
例えば、
図7に示すように、第一実施形態のPMセンサ10において、導入口12と導出口13との位置を入れ替えて、ケース部材11内に導入される排気ガスの流れを逆向きにしてもよい。この場合は、フィルタ部材31をケース部材11内に反転させて収容すればよい。
【0047】
また、
図8に示すように、PMセンサ10及び、排気温度センサ270をDPF220よりも下流側に配置し、PMセンサ10の異常診断をDPF220のPM捕集機能が正常な状態のときに実行するように構成してもよい。DPF220の機能診断は、例えば、PMセンサ10のセンサ再生回数や再生インターバルを予め取得した正常値と比較することで行えばよい。
【0048】
また、排気温度センサ260〜270のセンサ値に基づいてPMセンサ10の異常を診断するものとして説明したが、電極32,33間の静電容量Cpに基づいて排気温度センサ260〜270の異常を診断するように構成することもできる。
【符号の説明】
【0049】
10 PMセンサ
11 ケース部材
12 導入口
13 導出口
20 台座部
21 雄ネジ部
22 ナット部
30 センサ部
31 フィルタ部材
32,33 電極
34 電気ヒータ
40 ECU
41 センサ再生制御部
42 PM量推定演算部
43 PMセンサ異常判定部
100 エンジン
110 排気管
210 酸化触媒
220 DPF
250 第1排気温度センサ
260 第2排気温度センサ