特許第6409453号(P6409453)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6409453
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】熱交換器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/02 20060101AFI20181015BHJP
   F28D 1/047 20060101ALI20181015BHJP
   F28D 1/06 20060101ALI20181015BHJP
   F24H 9/00 20060101ALI20181015BHJP
【FI】
   F28F9/02 301E
   F28D1/047 B
   F28D1/06 A
   F24H9/00 A
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-196586(P2014-196586)
(22)【出願日】2014年9月26日
(65)【公開番号】特開2016-70513(P2016-70513A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年8月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】辻 佑太
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 秀行
(72)【発明者】
【氏名】井口 雅博
【審査官】 小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−109397(JP,A)
【文献】 特開2004−353882(JP,A)
【文献】 特開2010−007968(JP,A)
【文献】 米国特許第06189606(US,B1)
【文献】 実開昭58−015123(JP,U)
【文献】 特開2014−070844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 1/00 − 13/00
F28F 9/00 − 9/26
F24H 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器は、複数本の伝熱管を収容するためのケースと、このケースに形成された膨出部および前記ケースに接合された補助部材を組み合わせて構成されたヘッダと、を備えており、かつ前記膨出部の先端壁部と前記補助部材との相互間に流体流入用のチャンバが形成されているとともに、前記膨出部の先端壁部には複数の孔部が設けられ、前記複数の伝熱管は前記複数の孔部に挿入されて前記先端壁部に接合された構成を有しており、
前記熱交換器として、前記伝熱管の本数が異なる複数種類の熱交換器を製造するための方法であって、
前記複数種類の熱交換器のいずれを製造する場合においても、前記膨出部としては、最大予定使用本数の伝熱管を接合可能であって、形状およびサイズが同一とされた膨出部を形成し、
前記複数の孔部としては、前記伝熱管の実際の使用本数および配置に対応した複数の孔部を設け
前記膨出部の先端壁部には、前記最大予定使用本数の伝熱管を接合可能とする伝熱管接合可能領域が設けられており、
前記伝熱管の実際の使用本数が前記最大予定使用本数よりも少ないことにより、前記伝熱管接合可能領域に前記伝熱管が接合されない箇所が生じる場合には、その箇所に補強用の凸状部を形成することを特徴とする、熱交換器の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換器の製造方法であって、
前記ケースとしては、前記複数の孔部に関する構成を除き、形状、サイズ、および材質が同一のケースを用いる、熱交換器の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば給湯装置の構成要素などとして用いられる熱交換器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、熱交換器の一例として、特許文献1に記載のものを先に提案している。
同文献に記載の熱交換器は、複数の伝熱管を収容するケースの側壁部の一部を、ケースの外方に膨出させており、この膨出部に補助部材を嵌合させることにより、内部にチャンバが形成された入水用または出湯用のヘッダを構成している。前記膨出部の先端壁部には、複数の伝熱管を溶接し、これらの伝熱管の内部をチャンバに連通させている。
このような構成によれば、前記ヘッダを利用し、複数の伝熱管に対する湯水の流入出を適切に行なわせることが可能であることは勿論のこと、前記ヘッダは、ケースの側壁部を利用して形成されているために、部品点数の少数化や全体の小型化を図ることができる。また、製造コストの低減化も好適に図ることができる。
【0003】
しかしながら、従来においては、次に述べるように、未だ改善すべき余地があった。
【0004】
すなわち、前記した熱交換器を製造する場合、ケースの側壁部に膨出部を形成しているが、従来においては、前記膨出部のサイズは、ケースに収容される伝熱管の本数に対応したものとされているのが実情であった。具体的には、ケースに収容される伝熱管の本数は、熱交換器として求められる熱交換能力に応じて増減変更され、伝熱管の本数がたとえば6本である場合には、膨出部のサイズはこれら6本の伝熱管を接合し得るサイズとされる。これに対し、伝熱管の本数がたとえば4本である場合には、膨出部のサイズは4本の伝熱管を接合し得るサイズとされるものの、伝熱管の本数が6本の場合よりも4本の場合の方が膨出部のサイズが小さくされている。このような手段によれば、伝熱管の本数と比べてヘッダが無駄に大きくなることを回避し、伝熱管の本数が少ない場合には、ヘッダの小型化を図ることが可能である。
ところが、このような手段によれば、伝熱管の本数が異なるに毎に、それに対応したサイズの膨出部、ひいてはヘッダ全体を作製する必要が生じる。膨出部のサイズを異ならせるには、たとえば膨出部をプレス成形するための型として、サイズが相違する複数種類の型を準備しなければならない。膨出部と組み合わされる補助部材についても、サイズが相違する複数種類のものを準備しなければならない。さらに、補助部材をケースの側壁部に溶接する場合に、その溶接対象のサイズが相違すると、それに対応して溶接箇所(溶接ジグの移動軌跡)にも変更を加えなければならない。これらのことは、熱交換器の製造コストの上昇要因となる。したがって、従来においては、熱交換器の製造コスト低減を促進する上で、未だ改善すべき余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−70844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、伝熱管の本数が異なる複数種類の熱交換器を、適切かつ廉価に製造することが可能な熱交換器の製造方法を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明により提供される熱交換器の製造方法は、熱交換器は、複数本の伝熱管を収容するためのケースと、このケースに形成された膨出部および前記ケースに接合された補助部材を組み合わせて構成されたヘッダと、を備えており、かつ前記膨出部の先端壁部と前記補助部材との相互間に流体流入用のチャンバが形成されているとともに、前記膨出部の先端壁部には複数の孔部が設けられ、前記複数の伝熱管は前記複数の孔部に挿入されて前記先端壁部に接合された構成を有しており、前記熱交換器として、前記伝熱管の本数が異なる複数種類の熱交換器を製造するための方法であって、前記複数種類の熱交換器のいずれを製造する場合においても、前記膨出部としては、最大予定使用本数の伝熱管を接合可能であって、形状およびサイズが同一とされた膨出部を形成し、前記複数の孔部としては、前記伝熱管の実際の使用本数および配置に対応した複数の孔部を設け、前記膨出部の先端壁部には、前記最大予定使用本数の伝熱管を接合可能とする伝熱管接合可能領域が設けられており、前記伝熱管の実際の使用本数が前記最大予定使用本数よりも少ないことにより、前記伝熱管接合可能領域に前記伝熱管が接合されない箇所が生じる場合には、その箇所に補強用の凸状部を形成することを特徴としている。
ここで、「最大予定使用本数」とは、前記複数種類の熱交換器のそれぞれにおいて使用されることが予定されている伝熱管本数のうち、数値が最大の本数である
【0009】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、前記構成においては、ケースに実際に収容される伝熱管の本数が最大予定本数よりも少ない場合であっても、膨出部に設けられる複数の孔部の数や配置を変更することによって好適に対応しており、ケースに形成される膨出部としては、伝熱管の本数が最大予定本数の場合と同一構成の膨出部を形成すればよいこととなる。伝熱管の使用本数が異なる毎に、それに対応したサイズの膨出部を個別に形成する必要はない。このため、膨出部をプレス成形するための型としては、1種類の型を準備すればよく、複数種類の型を準備する必要はなくなる。また、ヘッダを構成すべく膨出部と組み合わされる補助部材についても、膨出部のサイズに応じて複数種類準備する必要はなくなり、1種類の補助部材のみでよい。さらに、補助部材をケースに溶接する場合の溶接箇所(溶接ジグの移動軌跡)に変更を生じることもなく、前記溶接作業を容易に行なうことも可能となる。このようなことから、本発明によれば、熱交換器の製造コストを前記従来技術よりもさらに低減することが可能となる。
【0011】
またこのような構成によれば、凸状部の存在により、前記膨出部の先端壁部の強度を高めることができる。ヘッダに接続された配管経路において、たとえばウォータハンマが発生した場合にはヘッダのチャンバ内に急激かつ大幅な圧力上昇を生じるが、このようなことに起因して伝熱管が接合されている膨出部の先端壁部に大きな撓み変形などを生じることは適切に回避する必要がある。先端壁部には伝熱管が接合されており、この接合箇所に大きな応力が発生することを回避することが望まれるからである。これに対し、前記構成によれば、膨出部をさほど厚肉に形成することなく、前記した現象に十分に耐え得る強度を確保することが可能となる。
【0012】
本発明において、好ましくは、前記ケースとしては、前記複数の孔部に関する構成を除き、形状、サイズ、および材質が同一のケースを用いる。
【0013】
このような構成によれば、使用するケースの統一化、共用化も図られ、伝熱管の本数に応じてサイズなどが異なる複数種類のケースを作製する必要が無くなる。したがって、製造コストの低減化をより促進することが可能である。
【0014】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(a)は、熱交換器の一例を示す外観斜視図であり、(b)は、(a)の一部分解斜視図である。
図2】(a)は、図1のIIa−IIa断面図であり、(b)は、(a)のIIb−IIb断面図である。
図3】(a)は、図2(b)の要部拡大断面図であり、(b)は、(a)のIIIb−IIIb断面図である。
図4】(a),(b)は、図3(a),(b)に示す構造の分解断面図である。
図5】(a)は、熱交換器の他の例を示す平面断面図であり、(b)は、(a)に示す熱交換器の膨出部およびその付近の要部正面図である。
図6a)は、熱交換器の他の例を示す平面断面図であり、(b)は、(a)に示す熱交換器の膨出部およびその付近の要部正面図である。
図7】(a)は、本発明の一例を示す要部正面図であり、(b)は、(a)のVIIb−VIIb断面図である。
図8】(a)は、本発明の他の例を示す要部正面図であり、(b)は、(a)のVIIIb−VIIIb断面図である。
図9】(a)は、熱交換器の他の例を示す平面断面図であり、(b)は、(a)のIXb−IXb 断面図であり、(c)は、その側面図である。
図10】(a)は、熱交換器の他の例を示す正面断面図であり、(b)は、その側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0017】
本実施形態においては、図1図4に示す第1の熱交換器A1、図5に示す第2の熱交換器A2、および図6に示す第3の熱交換器A3を製造する場合を一例として説明する。第1ないし第3の熱交換器A1〜A3のうち、第1の熱交換器A1における伝熱管1の本数が最多(たとえば6本)であり、本発明でいう伝熱管の最大予定使用本数は、6本である。
以下、第1ないし第3の熱交換器A1〜A3のそれぞれの構成および製造方法について説明する。
【0018】
〔第1の熱交換器A1およびその製造方法〕
図1および図2に示す第1の熱交換器A1は、たとえば給湯装置における潜熱回収用の熱交換器であり、ガスバーナなどのバーナ(図示略)によって発生された燃焼ガスから熱回収を行なって湯水加熱を行なう用途に用いられる。
この第1の熱交換器A1は、前記特許文献1に記載された熱交換器とその基本的な構成は同様であり、ケース2、このケース2内に収容された複数本(6本)の伝熱管1、およびこれら複数本の伝熱管1の下端部および上端部に繋がった入水用および出湯用の一対のヘッダH(Ha,Hb)を具備している。
【0019】
複数本の伝熱管1は、平面視略矩形状または略長円状に形成された複数の螺旋状管体を利用して構成されたものであり、これら複数の螺旋状管体は、互いにサイズが異なり、か
つ略同心の重ね巻き状に配されている。各伝熱管1の下部および上部は、略水平に延びる直状管体部10a,10bとされている。
【0020】
ケース2は、略直方体状であり、矩形筒状の胴体部としてのケース本体部20と、このケース本体部20の幅方向両端開口部を塞ぐ一対の側壁部21,21aとを組み合わせて構成されている。ケース本体部20および側壁部21,21aのそれぞれは、たとえばステンレスなどの金属板を用いて構成されている。ケース2の後壁部20cには、給気口25が設けられており、この給気口25からケース2内に流入した燃焼ガスは、複数本の伝熱管1の隙間を通過した後に前壁部20dに設けられている排気口26に到達する。この過程において前記燃焼ガスから各伝熱管1により熱回収がなされ、各伝熱管1内を流通する湯水が加熱される。
【0021】
ケース2の側壁部21には、2つの膨出部22が形成されている。各膨出部22は、側壁部21にプレス加工を施すことにより形成されたものであり、図3および図4によく表われているように、ケース2の外方に向けて膨出する筒状の周壁部22a、およびこの周壁部の先端部を塞ぐ先端壁部22bを有している。複数本の伝熱管1は、先端壁部22bに設けられた複数の孔部23に挿入され、かつ先端壁部22bに溶接されている(符号W1は、その溶接部分を示す)。第1の熱交換器A1の場合、伝熱管1の本数および孔部23の数は、たとえば「6」であり、先端壁部22bは、6本の伝熱管1を所定の配列で溶接可能とし、かつその際に先端壁部22bに無駄にスペースを大きく生じさせない合理的なサイズに形成されている。
【0022】
ヘッダHは、補助部材3を膨出部22に外嵌し、かつ溶接することによって構成されている。補助部材3は、膨出部22に対応した開口部32を形成する開口縁部33を前面側に有する内部空洞状の本体部30と、この本体部30の後面側に連結された継手用管体部31とを有する部材である。開口縁部33の外周には、開口縁部の外方に向けて短寸で突出したフランジ部34が一体的に形成されている。膨出部22に対する補助部材3の外嵌は、補助部材3の開口縁部33の先端部内周面が、周壁部22aの基部の外面に当接するようにしてなされ、これらの当接部分に溶接が施されている(符号W2は、その溶接部分を示す)。このような構成により、補助部材3の内部のうち、先端壁部22bに対面する領域は、各伝熱管1の内部に連通した湯水流通用のチャンバ36となっている。
【0023】
前記した第1の熱交換器A1は、次のような方法で製造される。
【0024】
まず、図1(b)に示すように、ケース2の構成部材として、ケース本体部20、および膨出部22を有する側壁部21を製作する。側壁部21の製作は、薄板状の金属板にプレス加工を施すことにより行なう。次いで、膨出部22に、伝熱管1の本数(6本)と同数の孔部23を設けた後に、複数本の伝熱管1を複数の孔部23に挿入し、膨出部22の先端壁部22bに溶接する。その後は、膨出部22に補助部材3を外嵌させて溶接し、ヘッダHを完成させる。複数本の伝熱管1をケース本体部20内に収容し、かつ側壁部21(および側壁部21a)をケース本体部20に接合する工程も実行されるが、この工程は、補助部材3を膨出部22に外嵌させて溶接する前、または後のいずれの時期に行なってもよい。
【0025】
〔第2の熱交換器A2およびその製造方法〕
図5に示す第2の熱交換器A2は、伝熱管1の本数が5本とされており、前記した第1の熱交換器A1における6本の伝熱管1のうち、最外周の伝熱管1に相当する伝熱管を具備しない構成とされている。このことにより、第2の熱交換器A2は、第1の熱交換器A1よりも熱回収能力が小さめとされ、かつ伝熱管1の流路抵抗も小さいものとされている。
【0026】
第2の熱交換器A2においては、第1の熱交換器A1と比較して伝熱管1の本数が少なくされているため、膨出部22の先端壁部22bに設けられる孔部23の数も少なくされている。ただし、第2の熱交換器A2のこれ以外の構成については、第1の熱交換器A1と同様な構成とされており、膨出部22および側壁部21は、第1の熱交換器A1を製造する場合と同一の成形用の型を用いることにより、同一の形状およびサイズに形成されている。好ましくは、ケース本体部20や補助部材3も、第1の熱交換器A1のそれらと同一の構成のものが用いられている。このため、第2の熱交換器A2は、孔部23を設ける工程において、孔部23の数が相違する以外は、第1の熱交換器A1の製造工程と同様な工程で製造される。
【0027】
〔第3の熱交換器A3およびその製造方法〕
図6に示す第3の熱交換器A3は、伝熱管1の本数が4本とされており、前記した第1の熱交換器A1における6本の伝熱管1のうち、最外周から2番目および4番目の伝熱管1に相当する伝熱管を具備しない構成とされている。このことにより、第3の熱交換器A3は、第1および第2の熱交換器A1,A2よりもさらに熱回収能力が小さめとされ、かつ流路抵抗も小さめされている。
【0028】
第3の熱交換器A3においては、前記した4本の伝熱管1の本数および配置に対応し、膨出部22の先端壁部22bには4つの孔部23が設けられて、これらの孔部23に伝熱管1が挿入され、かつ溶接されている。ただし、第2の熱交換器A2と同じく、前記した孔部23および伝熱管1に関連する構成以外については、第1の熱交換器A1と同様であり、膨出部22および側壁部21は、第1および第2の熱交換器A1,A2を製造する場合と同一の成形用の型を用いることにより、それらと同一の形状およびサイズに形成されている。好ましくは、ケース本体部20や補助部材3も、第1および第2の熱交換器A1,A2のそれらと同一の構成のものが用いられている。このため、第3の熱交換器A3は、孔部23を設ける工程において、孔部23の数および配置が相違する以外は、第1および第2の熱交換器A1,A2の製造工程と同様な工程で製造される。
【0029】
前記した第1ないし第3の熱交換器A1〜A3の製造方法によれば、ケース2に収容される伝熱管1の本数や配置に応じて、膨出部22に設けられる複数の孔部23の数や配置は変更されているものの、それ以外については熱交換器A1〜A3の各部の構成を同一としている。このため、構成部材の共通化を図り、第1ないし第3の熱交換器A1〜A3のそれぞれの製造コストを廉価にすることが可能である。
【0030】
7〜図10、他の実施形態を示している図7および図8は、本発明の実施形態)。これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付している。
【0031】
図7に示す実施形態においては、膨出部22の先端壁部22bに、補強用の凸状部24を設けている。
より具体的には、図7(a)に示す膨出部22は、前記した第2の熱交換器A2の膨出部22に相当しており、5本の伝熱管1を接合するための孔部23を有している。これに対し、膨出部22の先端壁部22bには、最大予定使用本数(たとえば、6本)の伝熱管1を接合可能とする伝熱管接合可能領域Saが設けられている。このため、伝熱管接合予定領域Saには、伝熱管1が実際には接合されない領域Sbが生じている。補強用の凸状部24は、そのような領域Sbにプレス加工を施すことにより形成されている。
【0032】
図8に示す膨出部22は、前記した第3の熱交換器A3の膨出部22に相当しており、4本の伝熱管1を接合するための孔部23を有している。このため、伝熱管接合可能領域
Saには、伝熱管1が実際には接合されていない2つの領域Sbが生じている。これら2つの領域Sbに、補強用の凸状部24が設けられている。図7および図8のいずれの実施形態においても、凸状部24は、領域Sbからはみ出すように形成されていてもよい。また、凸状部24の具体的な形状は、図示されているような正面視円形状に限らず、矩形状、楕円状などの他の形状に形成することができる。
【0033】
図7および図8に示した実施形態によれば、凸状部24が設けられていることにより、膨出部22の先端壁部22bの断面係数が大きくなり、先端壁部22bの強度を高めることができる。ヘッダHに接続された配管経路(図示略)において、たとえばウォータハンマが発生した場合にはヘッダHのチャンバ36内においても急激かつ大幅な圧力上昇を生じるが、このような現象に対し、先端壁部22bの厚肉化を極力回避しつつ、十分な強度をもたせることが可能となる。
【0034】
図9に示す熱交換器A4は、複数の伝熱管1が略水平な姿勢の蛇行状管体部とされ、かつ上下高さ方向に並んでいる。各伝熱管1の両端部は、ケース2の側壁部21に設けられた膨出部22Aの先端壁部22bに設けられた孔部23に挿入されて接合されている。膨出部22Aは、ケース2の内側方向に膨出しており、ケース2の側壁部21にプレス加工を施すことにより形成されている。内部にチャンバ36が形成されたヘッダHは、膨出部22Aに補助部材3を嵌入し、かつこの補助部材3を側壁部21に接合することにより構成されている。
【0035】
一方、図10に示す熱交換器A5においては、図9に示す熱交換器A4と比較して、たとえば伝熱管1の数が1つ少なくされている。このことに対応して、膨出部22Aの先端壁部22bに設けられる複数の孔部23の数が少なくされている。ただし、これ以外の膨出部22Aや補助部材3の構成については、熱交換器A4と同一の構成とされている。また、好ましくは、熱交換器A4,A5は、ケース2の構成も同一とされている。
【0036】
前記したような蛇行状の伝熱管1を使用し、かつ膨出部22Aとして、ケース2の内側方向に膨出させたタイプの熱交換器についても、本発明を適用し、構成部材の統一化、共用化を図り、製造コストを低減することが可能である。
【0037】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る熱交換器の製造方法の各工程の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内で種々に変更自在である
【0038】
本発明でいう膨出部は、ケースから膨出し、伝熱管の接合対象となる先端壁部を有する構成であればよく、具体的な膨出寸法などは限定されない。伝熱管は、螺旋状管体や蛇行状管体に限定されず、これ以外の種々の伝熱管(たとえば、直状管、U字管など)とすることもできる。補助部材は、ケースに形成された膨出部と組み合わされることにより、流体流入用のチャンバを内部に形成したヘッダを構成し得るものであればよい。伝熱管や補助部材の接合手段としては、溶接に代えて、たとえばロウ付けとすることもできる。
【0039】
本発明においては、複数種類の熱交換器のそれぞれのケースについても、複数の孔部23に関する構成を除き、構成が同一のケースを用いることが望ましいものの、複数の伝熱管とケースとの相互間に形成される隙間を小さくして熱交換効率を高めるなどの理由から、複数の伝熱管の使用本数を少なくする際には、それに対応させてケースの小サイズ化を図るようにしてもよい。
本発明に係る製造方法によって製造される複数種類の熱交換器は、伝熱管の本数が異なる熱交換器であるが、それらの熱交換器における伝熱管の具体的な本数は限定されない。熱交換器は、給湯装置における潜熱回収用の熱交換器に限らず、湯水加熱用途以外の種々の用途に用いることもできる。
【符号の説明】
【0040】
A1〜A5 熱交換器
H,Ha ヘッダ
Sa 伝熱管接合可能領域
1 伝熱管
2 ケース
3,3A 補助部材
36 チャンバ
21 側壁部(ケースの)
22 膨出部
22a 周壁部(膨出部の)
22b 先端壁部(膨出部の)
23 孔部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10