特許 6409455 収納箱

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】6409455

(24)【登録日】2018年10月5日

(45)【発行日】2018年10月24日

(54)【発明の名称】収納箱

(51)【国際特許分類】

   B65D 5/52 20060101AFI20181015BHJP

   B65D 5/50 20060101ALI20181015BHJP

【ＦＩ】

   B65D5/52 H

   B65D5/50 B

【請求項の数】3

【全頁数】11

(21)【出願番号】特願2014-197006(P2014-197006)

(22)【出願日】2014年9月26日

(65)【公開番号】特開2016-68956(P2016-68956A)

(43)【公開日】2016年5月9日

【審査請求日】2017年8月22日

(73)【特許権者】

【識別番号】000003193

【氏名又は名称】凸版印刷株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100062225

【弁理士】

【氏名又は名称】秋元 輝雄

(74)【代理人】

【識別番号】100186060

【弁理士】

【氏名又は名称】吉澤 大輔

(72)【発明者】

【氏名】山川 昌

(72)【発明者】

【氏名】藤崎 忠志

【審査官】 新田 亮二

(56)【参考文献】

【文献】 実開平０６−０６５２１９（ＪＰ，Ｕ）

【文献】 特開２００５−２１２８６８（ＪＰ，Ａ）

【文献】 実開平０６−０５３４３０（ＪＰ，Ｕ）

(58)【調査した分野】（Int.Cl.，ＤＢ名）

Ｂ６５Ｄ ５／００ − ５／７６

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

略板状とした箱本体が、背面板と、この背面板の両側辺に側面板を介して連接されて背面板の前方側に折り曲げられている対の内面板と、前記背面板の下辺に底面板を介して連接されて背面板の前方側に折り曲げられ、前記内面板の外面に重ね合わせしている正面板とからなり、前記箱本体は前記背面板と正面板と底面板と側面板とで囲まれて上面に開口する出し入れ口を配した収納部を有して、箱本体における前記背面板の上辺に、吊支用フック板が連接されている箱であり、
前記正面板の上辺に、箱本体の内方での斜め下方への折曲により前記内面板に係止し、先端部分が前記背面板に付勢状態で離接可能に当接する折り返し片が連接されており、
前記折り返し片と背面板とで収納部に入れた収納物を挟んで保持することを特徴とする収納箱。

【請求項2】

上記折り返し片は、該折り返し片の自由端部側に上記底面板側に向けて折曲した下垂部を有していて、前記下垂部が背面板に摺接可能にした相対し、下垂部と背面板との間で上記収納物を挟み込み保持する構成とされている請求項１に記載の収納箱。

【請求項3】

上記折り返し片は、上記収納部に入れた収納物で前記折り返し片を上記内面板の内面側へ倒し込んだときに、この折り返し片の内面板内面側への倒れ込みにより内面板と上記正面板とを密に接合させて、正面板と内面板との相対移動を不能にする押し付け手段を有している請求項１または２に記載の収納箱。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

従来から小物商品を包装の形態で店頭陳列販売する際や、チラシなどの複数の枚葉物を簡易なケースなどに入れ、それを目立ち易い場所に配置して取り出しができるようにしたい場合などでは、容器やケースの上に孔やフックとなる形状部分を一体に設けた用具が利用される。さらに簡易的な構造とするために板紙を利用して構成されている用具も提案されている。例えば特許文献１に示されたホルダーがあって、このホルダーでは、対のスリットを板紙に入れてそこにポケットティシュやチラシを差し入れるようにするとともに、上部には係止孔やＣ字状のフックを設けており、ドアノブなどに吊り下げできるようにしたホルダーである。

【0002】

また、薄手の物品やチラシ、パンフレットなどの枚葉物を収容して縦置き状態で据え置くことができるようにしたホルダー形式の卓上用品も多く提案されており、背部に脚を添えて後方に傾倒した状態で自立する樹脂ケースに月ごとの枚葉紙をセットした卓上カレンダーなどがある。そして、収納部の部分を板紙で構成される紙製スタンドとしては、特許文献２に示されているように上面開放の収納部を板紙の組み起こしにより設けるとともに、背面板の一部を折り起こした脚にて後方に傾倒した状態で自立できるようにした紙葉類立てがあり、吊り下げをも行えるようにした工夫も合わせて示されている。

【0003】

さらに、薄手の物品やチラシなどの枚葉形態の収納物を収納する卓上の紙製スタンドにおいては、収納物の出し入れなどで収納状態が乱れないようにするために押圧板を一体に備え、その押圧板にて前面側へ押し出すようにした工夫がある（特許文献３参照）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】実開昭６１−１２６２７９号公報

【特許文献2】実用新案登録第３１８１５５３号公報

【特許文献3】実用新案登録第３１７５６５９号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

上述した特許文献３に示されているように紙製スタンドにおいて、枚葉物などの薄手の収納物の配置を安定的なものとするために押圧片を設けて前面側に前記収納物を押圧する点は、構造が簡単であり実施も容易なものとなっている。
しかしながら、特許文献３に示された技術では、枚葉物を出し入れできるようにした開口の周辺に一対の切り込みを入れて、その間を折り倒すことで上記押圧片を形成しているため、開口の周辺に段差部分が生じて開口周りの外観が損なわれてしまうという不具合がある。

【0006】

そこで本発明は上記事情に鑑み、収納物の安定的な収納状態を得るための板片を形成することで開口周りの形状が損なわれる従来の不具合が生じないようにすることを課題とし、板紙の組み起こしによって得られる簡易な構造の収納箱であり、かつ収納物をガタ付きなく保持できるようにすることを目的とするものである。

【課題を解決するための手段】

【0007】

（請求項１の発明）
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、略板状とした箱本体が、背面板と、この背面板の両側辺に側面板を介して連接されて背面板の前方側に折り曲げられている対の内面板と、前記背面板の下辺に底面板を介して連接されて背面板の前方側に折り曲げられ、前記内面板の外面に重ね合わせしている正面板とからなり、前記箱本体は前記背面板と正面板と底面板と側面板とで囲まれて上面に開口する出し入れ口を配した収納部を有して、箱本体における前記背面板の上辺に、吊支用フック板が連接されている箱であり、
前記正面板の上辺に、箱本体の内方での斜め下方への折曲により前記内面板に係止し、先端部分が前記背面板に付勢状態で離接可能に当接する折り返し片が連接されており、
前記折り返し片と背面板とで収納部に入れた収納物を挟んで保持することを特徴とする収納箱を提供して、上記課題を解消するものである。

【0008】

（請求項２の発明）
また、本発明において、上記折り返し片は、該折り返し片の自由端部側に上記底面板側に向けて折曲した下垂部を有していて、前記下垂部が背面板に摺接可能にした相対し、下垂部と背面板との間で上記収納物を挟み込み保持する構成とすることが良好である。

【0009】

（請求項３の発明）
そして、本発明において、上記折り返し片は、上記収納部に入れた収納物で前記折り返し片を上記内面板の内面側へ倒し込んだときに、この折り返し片の内面板内面側への倒れ込みにより内面板と上記正面板とを密に接合させて、正面板と内面板との相対移動を不能にする押し付け手段を有していることが良好である。

【発明の効果】

【0010】

（請求項１の発明の効果）
請求項１の発明によれば、収納部の正面板の上辺に折り部を介して連接の折り返し片が、その収納部の内方に折り曲げられて内面板に係止し、この折り返し片と収納部の背面板との間で収納物を挟み込むようにしていて、収納部における出し入れ口の一部分に切り込みを入れて折り倒してはおらず、背面板についてもその上辺に吊支用フック板が連接されているため、前記出し入れ口の周辺に大きな段差が生じない。よって箱本体の外観、また収納箱全体の外観が整ったものとなる。

【0011】

（請求項２の発明の効果）
請求項２の発明により、収納部の組み起こしに際し、下垂部を背面板内面に沿わせて押し込みできて折り返し片の収納部内方への折り込みの操作がスムーズになるとともに、折り返し片を折曲してなる下垂部の片面により収納物に対して付勢することとなり、面での押さえ込みにて収納物の保持状態が安定的なものとなる。

【0012】

（請求項３の発明の効果）
請求項３の発明により、折り返し片を収納部の内方に折り曲げて内面板に係止させるという簡単な構造であっても、収納物を入れることで正面板とこれに重なる内面板とが確実に接合し、正面板と内面板とを接着剤を用いた貼り合わせを行なわなくとも、収納部の形状が保たれて収納物を確実に保持できるようになり、吊りの形態での使用時に箱本体がバラけて収納物が落下するというような不具合を防止できる。

【図面の簡単な説明】

【0013】

【図1】本発明に係る実施の一例において吊支用フック板が起立した状態を斜視で示す説明図である。

【図2】一例のブランクを示す説明図である。

【図3】一例の吊支用フック板が起立した状態を図１Ａ−Ａ線での断面で示す説明図である。

【図4】一例の吊支用フック板が起立した状態を上方からの平面で示す説明図である。

【図5】一例の吊支用フック板を倒し込んだ状態を背部斜め上からの斜視で示す説明図である。

【図6】収納部の形状が崩れた状態を示す説明図である。

【図7】厚目の収納物を収納した状態を図１Ａ−Ａ線と同部の断面で示す説明図である。

【発明を実施するための形態】

【0014】

つぎに本発明を図１から図７に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。図中１は吊り下げと据え置きとの何れの利用形態にも僅かな操作で変形して対応できる紙製の収納箱で、図１に示されているように収納箱１は外観形状を略板状とされている箱本体２と吊支用フック板３とが一体となっているものであり、一枚のブランク４を組み起こして形成されている箱である。

【0015】

箱本体２は、背面板５と、この背面板５の両側辺に側面板６を介して連接されて背面板５の前方側に折り曲げられている一対の内面板７と、前記背面板５の下辺に底面板８を介して連接されて背面板５の前方側に折り曲げられて、前記内面板７に重ね合わされている正面板９とからなり、正面板９の上辺に折り部１０を介して連接している折り返し片１１を前記内面板７の上辺部分に掛け止めるようにして箱内方に折り込んでいる。図３参照

【0016】

（折り返し片）
上記折り返し片１１は、図１及び図３に示すよう折り部１０における端部側（側面板６側）それぞれを内面板７の上辺に対応位置させ、その折り部１０の部分を基部として、背面板５の内面側であって斜め下方に向けて傾斜させるようにしており、この折り込みによって折り返し片１１の基部両端部側のそれぞれの部分が内面板７の上辺に係止して、さらに折り返し片１１が上記正面板９を内面板７の外面側に重ね合わせるようにしていて、折り返し片１１の折り込みの状態が保たれることで正面板９と内面板７との重ね合わせを維持している。

【0017】

折り返し片１１を背面板５の内面側で下方に向けて折り込みして、正面板９と内面板７との対向面同士を重ね合わせていることで、一枚のブランク４の所要部分を折曲して組み起こされた紙製の収納箱１であっても、背面板５と正面板９と底面板８と側面板６とで囲まれて上面に出し入れ口１２を配した収納部１３を有する箱本体２が形成されており、正面板９と内面板７との重ね合わせに際して接着剤を用いることなしに、また正面板９と内面板７との内の一方の面板に舌片を形成し、これを他方の面板に形成したスリットに挿し入れて係止させるなどを行なうことなしに、形状の安定した箱本体２が得られる。

【0018】

勿論、上記折り返し片１１は、上記折り部１０の位置で生じる折れに対する復元力でこの折り返し片単体で自然に起き上がる板片ではない。即ち、折り返し片１１は辺部が円弧状に形成されていて、基部の両端側を除いた大部分の範囲において折り部１０に直交する方向の長さが側面板６の幅（出し入れ口１２の前後方向の幅）より十分に長く設けられている。そのため、折り返し片１１は背面板５の内面側に向けて斜め下方に傾斜してその背面板５の内面に接しており、折り部１０の位置での生じる復元力の作用により背面板５の内面に付勢状態で当接することのできる板片となっている。

【0019】

（下垂部）
特に上記折り返し片１１にあっては、折り部１０に直交する方向での長さのほぼ中央となる位置を通って前記折り部１０と平行な中間折り部１４がある。その中間折り部１４の位置は背面板５側であって折り部１０の高さ位置より十分に下位となる箇所に設定されている。そして折り返し片１１は中間折り部１４で下方に向けて（底面板８側に向けて）折曲しており、中間折り部１４から折り曲げられた自由端側の部分を板片状の下垂部１５として有している。この下垂部１５は面として背面板５の内面に付勢状態で摺接可能にして相対している。前記下垂部１５が面として背面板５の内面に、また収納部１３に入れられている収納物１６に面として摺接可能に相対する板片部分なので、収納部１３の組み起こしに際し、折り返し片１１の収納部内方への折り込みがスムーズになる。

【0020】

また、仮に折り返し片１１が上記下垂部１５を有しておらず、折り返し片１１の端縁が直接的に収納物１６に対して付勢状態で当接している場合には、収納物１６を取り出すときにその収納物１６に対し引っ掛かりを生じさせ、折り返し片１１が引き起こされて出し入れ口１２の上方へと抜け出る可能性があるが、摺接する下垂部１５を有していることから、収納部１３での収納物１６の出し入れもスムーズになって、収納物１６を取り出すときに折り返し片１１が引き上げられることがなく、折り返し片１１自体の背面板５側への付勢状態が安定する。

【0021】

（箱本体）
図２のブランク４（背面板５の外面を手前として図示）で示すように背面板５と正面板９とを略正方形状である広面の部分とし、側面板６と底面板８とを狭面の部分としていて、これによって上述したように箱本体２は薄い立板状の形状を呈している。そして、前記箱本体２にて構成される収納部１３の出し入れ口１２は、背面板５の上辺と側面板６の上辺と正面板９の上辺とを開口周辺としているものであって、出し入れ口１２が細長の開口として形成されている。これによって収納部１３及びその上面である出し入れ口１２は厚さの薄い収納物１６を出し入れできるようにしたものである。

【0022】

そして、上記折り返し片１１が、背面板５の内面側にして斜め下方に向けて傾斜してその背面板５の内面側に向けて付勢状態で当接できるように設けられているので、収納部１３に入れられた収納物１６は、折り返し片１１の上記下垂部１５と背面板５の内面との間に挟み込まれて保持されることとなり、収納状態時に収納物１６がガタつかないように図られている。図３、図４参照

【0023】

（吊支用フック板）
吊支用フック板３は背面板５の上辺に折り部１０を介して連接されている。本実施の形態における吊支用フック板３では、掛け止め用開口部１７を背面板５の上辺の前記折り部１０側とは反対側に位置させることで、吊支用フック板３のフック部１８を、収納部１３の上方位置であって吊支用フック板３での上端部側に配している。

【0024】

（吊り下げ）
このように本収納箱１では箱本体２と吊支用フック板３とが一体にして設けられているので、図１に示すごとく箱本体２を吊支用フック板３の下側にすることで、吊支用フック板３をドアノブなどの被掛け止め対象物に掛け止めて上記収納部１３をその吊支用フック板３を介して吊支状態となるようにすることができる。

【0025】

（フック板倒し込み）
箱本体２における背面板５には板片状のフック板倒し込み手段１９が切り込み形成されていて、底面板８側に位置する折り部１０から収納部１３の後方に向けて折り起こし可能に設けられている。そして、前記フック板倒し込み手段１９は、収納箱１自体を卓上などに置く据え置き形態で使用するときに上記吊支用フック板３が収納部１３の上方に突出することで収納箱１の外観を損なう不具合を解消するための働きを果たすものである。具体的には前記吊支用フック板３を背面板５の上辺の折り部１０から収納部後方に倒し、この収納部後方に倒れた吊支用フック板３の倒れ状態を保持する。図５参照

【0026】

フック板倒し込み手段１９の形状は図２のブランク４に示されているように基部である折り部１０側から収納部高さ方向上方に向けてテーパー状に開く幅広の板片とされ、このフック板倒し込み手段１９の上辺側の両端部それぞれには係止用の切り込み２０が設けられている。

【0027】

吊支用フック板３の吊り機能を使用せずに収納物の出し入れが行なえるようにする場合、即ち吊り下げ状態とはせずに収納部１３にチラシなどを出し入れできるようにした使い方をする場合には、上述したように収納部１３の上方に飛び出る吊支用フック板３が収納箱１の外観を損ね易いので、この吊支用フック板３を折り部１０から収納部方向に折り倒すようにするとともに、フック板倒し込み手段１９を背面板５から後方に向けて折り起こして、このフック板倒し込み手段１９の上辺側を吊支用フック板３の掛け止め用開口部１７に差し入れ、掛け止め用開口部１７の開口縁をフック板倒し込み手段１９の切り込み２０に係止させる。

【0028】

切り込み２０と被掛け止め対象物を通す掛け止め用開口部１７の開口縁との係止関係は、切り込み２０に掛け止め用開口部１７の開口縁を差し入れるという簡易なものであり、切り込み２０は掛け止め用開口部１７に係脱可能に係止するものである。

【0029】

収納部１３の後方に倒し込まれた吊支用フック板３にフック板倒し込み手段１９を係止させて前記吊支用フック板３の後方への倒れ状態が保持されることで、この収納箱１を正面板９側から見たときに吊支用フック板３を後方に隠れることとなり、収納箱１の外観が整ったものとなる。そして、収納部１３は後方に傾倒する状態としているが、吊支用フック板３の収納部後方への倒れ状態がフック板倒し込み手段１９にて保持されており、後倒状態の収納部１３を吊支用フック板３が支持して、収納部下部と吊支用フック板との接地により収納部の自立状態を維持できるようにしている。図３参照

【0030】

なお、吊支用フック板３をフック板倒し込み手段１９から外してこのフック板倒し込み手段１９に対し非係止状態にし、収納部１３の出し入れ口１２の上方に位置するように吊支用フック板３を戻すようにすれば、この吊支用フック板３を被掛け止め対象物に掛け止めることができる。

【0031】

上述したように吊支用フック板３を倒してフック板倒し込み手段１９で保持するという操作は頗る容易であり、吊り下げをせずに収納部を自立させて据え置きの状態で使用できるようにすることが簡単である。ここで、吊り下げから据え置きタイプへの移行の一般的な手法としては、背面板の上辺に吊り下げ片を切り取るとともにその背面板の後面にスタンド部材を設け、スタント部材の組み起こしにより収納部を自立させることが手法として考えられるが、しかし、切り取り縁が発生してしまい収納箱の外観を損なってしまう。本実施の形態では、吊支用フック板３を折り倒して収納部後方へと位置させるものであるので、切り取り縁が生じることによって収納箱の外観を損なってしまうということはなく、吊り下げ片を切除するという手間も不要である。勿論、フック板倒し込み手段から吊支用フック板を外して起こすことで、吊り下げして使用する形態に簡単に戻すこともでき、吊り下げ用と据え置き用との形態の変更を繰り返すことが可能である。

【0032】

図において符号２１は正面板９に設けられた開口を示すもので、この開口２１を通して収納部１３の内外が連通しており、収納部１３に収納した収納物１６を目視できるようにしたり、その収納物が薄形の芳香剤などである場合には、収納物側からの気体が放散され易くするものである。なお、内面板７それぞれは図示されているように開口２１を内側から塞ぐことがないように開口２１に対応する箇所が切り欠かれた形状となっている。

【0033】

（押し付け手段）
収納箱１には、収納部１３に収納物１６を入れたり抜き出したりする際に収納部３での正面板９と内面板７とが互いにずれ合わないようにした更なる工夫が設けられている。その工夫は、折り返し片１１の基部において上記内面板７の上辺に対応する部分に押し付け手段２２が形成されていることによるものである。

【0034】

箱本体２で構成されている上記収納部１３に厚目の収納物を入れることもある。具体的には、出し入れ口１２の正面板９と背面板５との対向方向での寸法に比べて厚さの寸法が小さいものの、厚肉となる部分を有した収納物や、重ね合わせによる厚さが大きくなった複数枚のチラシからなる収納物などを出し入れし、上記折り返し片１１と背面板５との間が広目に開く状態で収納物を収納する場合があることも予想される。

【0035】

このように収納部１３に入れる収納物１６の厚さが多少厚くなると、その収納物１６を収納部１３に配することで折り返し１１が内面板７の内面側に向けて押される度合いが強くなる。そして、このような場合、本実施の形態とは異なって内面板７の上辺と折り返し片１１の基部との距離が大きく離れて、内面板７の上辺の部分と折り返し片１１の基部との係合関係が生じない構成の収納箱であると、図６に示されるように、前記収納物１６が折り返し片１１を外方に向けて押して正面板９と背面板５との間を広げる力に抗することが困難になり、正面板９と内面板７とが互いにずれて出し入れ口１２の形状が上方から見て膨らんで開く可能性がある。

【0036】

これに対して実施の形態の収納箱１では折り返し片１１の基部両端部が内面板７の上辺に対応位置し、折り返し片１１の折り部１０（前記基部）が内面板７に上辺に係止するようにしてこの折り返し片１１が収納部１３の内方へ折り込まれている。さらに前記基部の両端部側に形成された上記押し付け手段２２は、収納部１３に入れた収納物１６で折り返し片１１を内面板７の内面側へ倒し込んだときに、内面板７と正面板９との対向面同士を密に接合させて対向面の間の摩擦度合い高め、正面板９と内面板７との相対移動を不能にする働きを有するものである。

【0037】

なお、内面板７と正面板９との対向面同士が全面で密に接合しなければ摩擦度合いが高まらないということはなく、内面板７と正面板９との対向面の一部分で密に接合して摩擦度合いが高まり、これによって正面板９と内面板７との間で相対移動が生じないようになればよいものである。

【0038】

上記折り返し片１１が備える押し付け手段２２は収納部１３に入れる収納物１６の厚さが薄い場合であっても、その収納時や出し入れ時に折り返し片１１が内面板７に向けて倒し込む形となっていることにより、正面板９と内面板７との対向面の接合を密にする作用を生じさせており、収納部１３の形状が崩れることで収納物１６ががた付いてしまうという不具合がなく、これによっても収納物１６を適正に保持する。さらには収納部１３に何ら収納物が収め入れられていないときでも前記作用が生じるものであり、いずれの時点でも収納部１３の形状が損なわれないようにしている。

【0039】

（正面板開口、上面開口、背面板開放口）
収納箱１では、収納部１３に入れる収納物が、香気成分や消臭成分などを放つ芳香剤商品に代表される製品であっても、勿論構わないものである。そして、本収納箱１の折り返し片１１では上述したように外縁を円弧状にしていて、出し入れ口１２に折り込むことで折り返し片１１の基部両端部側と側面板６との間に上面開口２３が形成されて、この上面開口２３を介しても内外が常時連通するように設けられている。

【0040】

このように収納部１３は吊り下げの使用形態や吊支用フック板を倒し込んだ使用形態のいずれにおいても、出し入れ口１２に閉鎖されることのない上面開口２３が形成されているとともに、収納部１３での正面板９に開口２１も備えているので、収納部１３に上記芳香剤製品からなる収納物１６を入れることで、収納部１３の上面（上面開口２３）と正面板９（開口２１）とから、香気成分や消臭成分を含む気体が良好に放出させることができる。

【0041】

さらに上記吊支用フック板３を収納部１３の後方に倒し込むとともにフック板倒し込み手段１９を背面板５から折り起こして、そのフック板倒し込み手段１９で吊支用フック板３の倒し込みを維持する上記据え置きの使用形態では、背面板５にフック板倒し込み手段１９の折り起こしによって開放口２４が形成される。この開放口２４は比較的面積の大きな開口部となって上記芳香剤製品などからなる収納物が開放口２４を通して外部に晒されることとなるが、開放口２４が収納部１３の背部に位置していて前記収納物が目視し難くいとともに、背部側から収納箱１を手で支え持つなどの操作をしても、その背部側では吊支用フック板３が開放口２４の手前に位置しているので、吊支用フック板３がガードとなって収納物に直接手が触れることがないという利点がある。

【符号の説明】

【0042】

１…収納箱
２…箱本体
３…吊支用フック板
５…背面板
６…側面板
７…内面板
８…底面板
９…正面板
１０…折り部
１１…折り返し片
１２…出し入れ口
１３…収納部
１４…中間折り部
１５…下垂部
１６…収納物
１７…掛け止め用開口部
１９…フック板倒し込み手段
２２…押し付け手段

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】