(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ヒーター決定部は、前記複数のヒーターに対応する領域内をトナー像が通過するか否か及び前記複数のヒーターに対応する前記領域の近傍を前記トナー像が通過するか否かに基づいて、前記複数のヒーターのうちから加熱ヒーターを決定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
前記消費電力量算出部は、前記対応する領域を前記トナー像が通過する加熱ヒーターの消費電力量よりも、前記対応する領域の近傍を前記トナー像が通過する加熱ヒーターの消費電力量の方が小さくなるように算出することを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
前記消費電力量算出部は、前記加熱ヒーターに対応する領域を通過するトナー像の数または用紙搬送方向の長さに応じて、当該加熱ヒーターの消費電力量を算出することを特徴とする請求項5または6に記載の情報処理装置。
前記消費電力量算出部は、前記加熱ヒーターに対応する領域の近傍を通過するトナー像の数または用紙搬送方向の長さに応じて、該加熱ヒーターの消費電力量を算出することを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
前記ヒーター決定部は、前記複数のヒーターのそれぞれについて、前記対応する領域から所定距離以内の領域に前記トナー像が通過する場合に、当該複数のヒーターに対応する領域の近傍に前記トナー像が通過すると判断することを特徴とする請求項5〜9のいずれか一項に記載の情報処理装置。
操作表示部に、前記複数のヒーターで使用される消費電力量がより少なくなる状態で画像形成を行うための制御を行うか否かの指示をユーザーから受け付ける操作画面を表示させる操作受付部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の情報処理装置。
前記画像形成状態決定部が決定した状態における、前記消費電力量算出部が算出した消費電力量に対応する温度に前記複数のヒーターがなるように監視するヒーター監視部を備えることを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明に係る画像形成装置1は、定着部16において主走査方向に沿って複数のヒーター47を備え、画像形成される画像データを回転させずに画像形成する状態(第1の状態)と画像形成される画像データを180度回転させて画像形成する状態(第2の状態)とのそれぞれについて、複数のヒーター47に対応する領域R内をトナー像Tが通過するか否かに基づいて、複数のヒーター47のうちから加熱ヒーターを決定し、それに基づいて第1の状態の消費電力量Q[kWh]と第2の状態の消費電力量Q[kWh]を算出し、消費電力量Q[kWh]が小さい状態で画像形成を行う。
【0030】
(実施形態)
本発明の実施形態1に係る画像形成装置1は、定着部16において主走査方向に沿って複数のヒーター47を備え、画像形成装置1は、画像形成される画像データを回転させずに画像形成する状態(第1の状態)と画像形成される画像データを180度回転させて画像形成する状態(第2の状態)とのそれぞれについて、各ヒーター47に対応する領域R内をトナー像Tが通過するか否か及びヒーター47に対応する領域Rの近傍をトナー像Tが通過するか否かに基づいて、複数のヒーター47のうちから加熱ヒーターを決定し、それに基づいて第1の状態の消費電力量Q[kWh]と第2の状態の消費電力量Q[kWh]を算出し、消費電力量Q[kWh]が小さい状態で画像形成を行う。
【0031】
図1は、本発明に係る画像形成装置1の全体構成を示す図である。画像形成装置1は、コピージョブ、プリントジョブ、スキャンジョブ、ファクスジョブ、ボックスジョブを実行することができる、所謂、複合機(MFP:Multi Function Peripheral)である。ボックスジョブとは、画像形成装置1が備えるボックス(フォルダー)に記憶されたデータを用いて実行されるジョブである。
画像形成装置1は、主に、画像形成部2、自動原稿搬送部3、原稿読取部4、給紙部5から構成されている。
【0032】
自動原稿搬送部3は、原稿台上に載置された原稿を、原稿読取部4の読取位置に自動的に搬送する。
原稿読取部4は、自動原稿搬送部3により搬送された原稿の画像を読み取り、読取データを生成する。
給紙部5は、複数の給紙カセット6a〜6cを備え、それぞれの給紙カセット6a〜6cに収容された用紙Pを画像形成部2に対して供給する。
【0033】
画像形成部2は、原稿読取部4が生成した読取データ、又は後述するデータIF(Interface)部30が取得した印刷データに基づいて、給紙部5により供給される用紙Pに対し画像形成を行う。
【0034】
画像形成部2は、Y(イエロー)色、M(マゼンタ)色、C(シアン)色、K(ブラック)色(以下、Y色〜K色の様に示すことがある。)それぞれに対応する、感光体7、帯電部8、像露光部9、現像部10、1次転写部11、クリーニング部12を備える。また、画像形成部2は、Y色〜K色で共通の、中間転写体13と、レジストローラー対14、2次転写部15、定着部16を備える。
【0035】
以下、Y色に対応する、感光体7、帯電部8、像露光部9、現像部10、1次転写部11、クリーニング部12について説明する。帯電部8は感光体7を帯電する。像露光部9は、レーザー光を照射することで、帯電された感光体7に静電潜像を形成する。現像部10は、感光体7に形成された静電潜像に対応するトナー像Tを感光体7上に現像する。1次転写部11は、感光体7上に現像されたトナー像Tを中間転写体13に1次転写する。クリーニング部12は、中間転写体13に転写されずに感光体7上に残ったトナーを、感光体7上から除去する。
【0036】
M色〜K色に対応する、感光体7、帯電部8、像露光部9、現像部10、1次転写部11、クリーニング部12についても、対応する画素のトナー像Tが重なるようにタイミングを合わせて、前述のY色と同様の動作が行われ、中間転写体13上にY色〜K色のトナー像Tが形成される。
【0037】
レジストローラー対14は、給紙部5から供給される用紙Pの斜行補正を行ない、中間転写体13上に転写されたトナー像Tが用紙P上の所定位置にくるようタイミングを合わせて、用紙Pを2次転写部15に搬送する。2次転写部15は、中間転写体13上のトナー像Tを用紙P上に2次転写する。
【0038】
定着部16は、用紙P上に転写されたトナー像Tを定着させる。定着部16は、加熱ローラー18、加圧ローラー17、搬送ローラー19を備える。加熱ローラー18と加圧ローラー17とは圧接されてニップ部(定着ニップ部)が形成されており、定着ニップ部に用紙Pを通すことでトナー像Tが定着される。搬送ローラー19は、トナー像Tが定着された用紙Pを下流へ搬送する。
【0039】
定着部16により、おもて面にトナー像Tが定着された用紙Pは、片面印刷時にはそのまま画像形成装置1の外に排出され、両面印刷時には、反転搬送路を経由して再度2次転写部15に搬送され、うら面への画像形成が行われた後に画像形成装置1の外に排出される。
【0040】
図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置1のハードウェアブロック図である。
画像形成装置1は、制御部23、記憶部23、画像処理部24、自動原稿搬送部3、原稿読取部4、画像形成部2、給紙部5、データIF部30、操作表示部34を含み、それらがバス100で接続されている。
【0041】
制御部23は、主としてCPU(Central Processing Unit)から構成されており、後述する記憶部23に記憶されたプログラムを実行し、記憶部23、画像処理部24、自動原稿搬送部3、原稿読取部4、画像形成部2、給紙部5、データIF部30、操作表示部34を制御することで、画像形成装置1の機能を実現する。
【0042】
記憶部23は、主として、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disc Drive)を備える。記憶部23は、制御部23が実行するプログラムを含む、画像形成装置1の機能を実現するために必要なデータや、ジョブに関するデータを記憶する。HDDはボックスとしての機能も実現する。記憶部23の詳細な機能については、後述する。
【0043】
データIF部30は、外部の装置(例えば、PC(Personal Computer)などの情報機器装置)又は記憶メディアとの間で、データ等の送受信を行うものであり、LAN(Local Area Network)IF部31、記憶メディアIF部32、FAXIF部33を含む。LANIF部31は、有線又は無線方式のLANを介して、LANに接続されたサーバーや、PC、携帯端末、他の画像形成装置1との間でデータの送受信を行う。記憶メディアIF部32は、可搬性記憶メディア(例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリー)からデータを取得し、又は可搬性記憶メディアにデータを記憶させる。FAXIF部33は、ファクス回線を介してファクスデータの送受信を行う。
【0044】
画像形成部2は、主として、感光体7、帯電部8、像露光部9、現像部10、1次転写部11、クリーニング部12、中間転写体13、レジストローラー対14、2次転写部15、定着部16により構成され、後述する画像処理部24が出力する画像データに基づいて用紙Pに対する画像形成を行う。
【0045】
図6(a)は、定着部16の拡大図であり、
図6(b)は、
図6(a)において矢印アの方向から定着部16を見た様子を示す図である。
図6(a)を参照して、加熱部20は、加熱ローラー18の内部(軸部)に配置される。
【0046】
図6(b)を参照して、加熱部20は、主走査方向に複数のヒーター47a〜47eを備え、ヒーター47a〜47eは温度に関して個別に制御される。温度センサー21a〜21eのそれぞれはヒーター47a〜47eの温度を検知するためのものであり、ヒーター47a〜47eの近傍に配置される。
【0047】
図6(b)では、5つのヒーター47を備える例を記載するが、ヒーター47の個数はこれに限定されない。また、
図6(b)では、複数のヒーター47a〜47eのそれぞれに対応させて個別に温度センサー21を備える例を記載したが、ヒーター47の個数よりも少ない個数(例えば1個)の温度センサー21で複数のヒーター47の温度を検知するような形態でも良い。また温度センサー21a〜21eの配置については、
図6(b)のようには限定されない。
【0048】
図2に戻り、操作表示部34は、ディスプレイ35、タッチパネル36、操作キー37を備える。
【0049】
ディスプレイ35は、例えば、液晶ディスプレイ35(LCD(Liquid Crystal Display))であり、操作画面を表示することができる。操作画面は、例えば、画像形成装置1の設定をユーザーから受け付けるための画面を含む。
タッチパネル36は、ディスプレイ35の画面上に設けられ、ペンや指等で押下された座標位置を検知する。
【0050】
操作キー37は、例えばハードキーであり、テンキー、スタートキーを含む。テンキーは数字や記号の入力を受け付けるためのキーである。スタートキーは画像形成装置1の動作開始の指示を受け付ける。
【0051】
画像処理部24は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の画像処理用の集積回路であって、LANIF部31や記憶メディアIF部32が取得した印刷データや、FAXIF部33が取得したファクスデータ、原稿読取部4が生成した読取データを入力データとし、入力データに対して画像処理を行い、画像データを画像形成部2に対して出力する。
【0052】
画像処理部24は、入力データ解析部25、ラスターデータ生成部26、シャープネス補正部27、色変換部28、ガンマ補正部29を備える。
【0053】
入力データ解析部25は、入力データが、LANIF部31や記憶メディアIF部32が取得したPDL(Page Description Language)形式の印刷データであった場合、印刷データに基づいて解析処理を行い、中間言語(DL:Display List)データを生成する。尚、印刷データの形式は、PDL形式に限らず、その他の形式をとることもできる。
【0054】
ラスターデータ生成部26は、入力データ解析部25が解析し、生成したDLデータに対して、ラスタライズ処理を行うことで、ラスターデータを生成する。シャープネス補正部27は、ラスターデータ生成部26が生成したラスターデータ又は原稿読取部4が生成した読取データに対して、シャープネス処理やスムージング処理を行う。シャープネス補正部27は、例えば、文字領域Rや線画領域Rのエッジ部分にシャープネス処理を行い、網点領域Rにスムージング処理を行う。
【0055】
色変換部28は、シャープネス補正部27の処理結果に対して色変換処理を行い、画像形成部2の色特性(色空間)に対応したYMCKデータを生成する。色変換部28は、画像処理部24に入力される入力データの色特性(色空間)に対応するデバイスリンクプロファイルを用いて、画像形成部2の色特性に対応したYMCKデータを生成する。例えば、入力データが、原稿読取部4が生成した読取データである場合は、原稿読取部4の色特性と画像形成部2の色特性に対応するデバイスリンクプロファイルを用いてYMCKデータを生成する。
【0056】
ガンマ補正部29は、色変換部28が生成したYMCKデータに対し、濃度変換処理を行う。例えば、ガンマ補正部29は、濃度変換用のルックアップテーブル(LUT:Look Up Table)を記憶しており、色変換部28が生成したYMCKデータに基づいて、濃度変換処理を行い、画像データを生成する。
【0057】
本発明の実施形態に係る画像形成装置1は、取得した入力データを回転せずに画像形成する第1の状態と入力データを180度回転して画像形成する第2の状態とのそれぞれについて、複数のヒーター47に対応する領域R内をトナー像Tが通過するか否かに基づいて、複数のヒーター47のうちから加熱ヒーターを決定し、それに基づいて第1の状態の消費電力量Q[kWh]と第2の状態の消費電力量Q[kWh]を算出し、消費電力量Q[kWh]が小さい状態で画像形成を行う。
【0058】
図3は、画像形成装置1が実行する画像形成する状態を決定する制御に関する機能ブロック図である。画像形成装置1は、制御部23が、記憶部23に記憶されたプログラムを実行し、
図2のハードウェアブロック図に示す各構成を制御することにより、
図3に示す機能を実現する。
【0059】
入力データ取得部38は、画像形成部2により画像形成される入力データを取得する。入力データ取得部38は、データIF部30を介して、PDLデータを入力データとして取得する。また、入力データ取得部38は、原稿読取部4を介して読取データを入力データとして取得する。
【0060】
ヒーター決定部39は、入力データ取得部38により取得された入力データに基づく画像形成を行うときに、ヒーター47a〜47eに対応する領域Ra〜Re内を入力データ内のトナー像Tが通過するか否か及び各ヒーター47に対応する領域Rの近傍をトナー像Tが通過するか否かを判断し、ヒーター47a〜47eから加熱するヒーター47を決定する。具体的には、複数のヒーター47うちの1つのヒーター47を対象ヒーターとし、ヒーター決定部39は、対象ヒーターについて、ヒーター47に対応する領域R内をトナー像Tが通過する場合にそのヒーター47を加熱するヒーター47に決定する。また、ヒーター決定部39は、対象ヒーターについて、ヒーター47に対応する領域R内をトナー像Tが通過しない場合であっても、隣接するヒーター47に対応する領域R内をトナー像Tが通過する場合であって、トナー像Tがヒーター47に対応する領域Rの近傍を通過する場合に、そのヒーター47を加熱するヒーター47に決定する。加熱するヒーター47を決定する方法の詳細については後述する。
【0061】
また、ヒーター決定部39は、第1の状態と第2の状態とのそれぞれについて、加熱するヒーター47を決定する。
【0062】
消費電力量算出部40は、ヒーター決定部39が加熱すると決定したヒーター47について、ヒーター47で消費される電力量(消費電力量)Q[kWh]を算出し、加熱部20全体での消費電力量Q[kWh]を算出する。また、消費電力量算出部40は、第1の状態と第2の状態との両方について、消費電力量Q[kWh]の算出を行う。消費電力量算出部40の動作の詳細については、後述する。
【0063】
ヒーター監視部42は、画像形成状態定部41が決定した状態におけるヒーター47a〜47eの消費電力量Q[kWh]に対応する温度を取得し、取得した温度になるようにヒーター47a〜47eの温度を監視(制御)する。ヒーター47a〜47eの温度の制御の詳細については、後述する。
【0064】
画像形成状態決定部41は、消費電力量算出部40が算出した消費電力量Q[kWh]に基づいて、第1の状態で画像形成するか、第2の状態で画像形成するかを決定する。
操作受付部43は、画像形成の指示をユーザーから受け付けたことを受けて、
図11に示す様な操作画面を操作表示部34に表示し、ヒーター47で使用される消費電力量Q[kWh]がより少なくなる状態で画像形成を行うか否かの指示をユーザーから受け付ける。
図11に示す画面において、「はい」が選択されると、ヒーター47で使用される消費電力量Q[kWh]がより少なくなる状態で画像形成を行う。
【0065】
次に、ヒーター決定部39が、加熱するヒーター47を決定する方法の詳細について説明する。
【0066】
図7は、ヒーター決定部39が、加熱するヒーター47を決定する方法を説明する図である。
図7は、用紙Pが矢印の方向に搬送される様子を示し、ヒーター47a〜47eに対応する領域RをRa〜Reとして記載している。ここでは、画像形成される画像が1ページ(用紙P1枚)であるときに、ヒーター47eについて、加熱するヒーター47とするか否かを決定する場合を説明する。
【0067】
図7(a)を参照して、この場合には、トナー像Tがヒーター47eに対応する領域Re内を通過するため、ヒーター決定部39はヒーター47eを加熱するヒーター47(加熱ヒーター)に決定する。
【0068】
図7(b)を参照して、この場合には、いずれのトナー像Tもヒーター47eに対応する領域Re内を通過しないが、トナー像Tがヒーター47eに対応する領域Reの近傍を通過するため、ヒーター決定部39はヒーター47eを加熱するヒーター47e(加熱ヒーター)に決定する。ここで、ヒーター47eに対応する領域Reの近傍とは、ヒーター47eに対応する領域Reから所定距離D以内の領域Rを言う。所定距離Dは、予め設定され、記憶部23に記憶されている。
【0069】
図7(c)を参照して、この場合には、ヒーター47eに対応する領域Re内及びヒーター47eに対応する領域Reの近傍にいずれのトナー像Tも通過しないため、ヒーター決定部39はヒーター47eを加熱するヒーター47eに決定しない。つまり、ヒーター47eを加熱しないヒーター47e(非加熱ヒーター)に決定する。
【0070】
ヒーター決定部39は、前述と同様の方法により、ヒーター47a、47b、47c、47dについて、加熱ヒーターとするか否かを決定する。また、ヒーター決定部39は、第1の状態と第2の状態とのそれぞれについて、加熱ヒーターを決定する。
【0071】
図10を用いて、ヒーター決定部39が、ヒーター47a〜47eを加熱ヒーターもしくは非加熱ヒーターに決定する方法について例示的に説明する。
図10(a)は、トナー像T1〜3が含まれる入力データを回転させずに画像形成した用紙Pが通過するときのヒーター47と用紙Pの対応関係を示す図であり、
図10(b)は、トナー像T1〜3が含まれる入力データを180度回転させて画像形成した用紙Pが通過するときのヒーター47と用紙Pの対応関係を示す図である。
【0072】
図10(a)において、ヒーター決定部39は、ヒーター47dについて、ヒーター47dに対応する領域Rdにトナー像T1が通過するため、ヒーター47dを加熱ヒーターに決定する。ヒーター47eについても同様にして、ヒーター決定部39は、ヒーター47eを加熱ヒーターに決定する。また、ヒーター決定部39は、ヒーター47cについて、ヒーター47cに対応する領域Rcにトナー像Tは通過せず、ヒーター47cに対応する領域Rcの近傍にトナー像Tは通過しないため、ヒーター47cを非加熱ヒーターに決定する。そして、ヒーター決定部39は、ヒーター47aについて、ヒーター47aに対応する領域Raにはそもそも用紙Pが通過せず、せず、かつヒーター47aに対応する領域Raの近傍にもトナー像Tが通過しないので、当然のようにヒーター47aを非加熱ヒーターに決定する。ヒーター47bについても、ヒーター決定部39は、同様にして非加熱ヒーターに決定する。
【0073】
一方で、
図10(b)において、用紙Pが通過するヒーター47については、ヒーター決定部39が
図10(a)において、加熱ヒーターを決定した方法と同様の方法で決定する。
【0074】
上述のように、第1の状態と第2の状態とにおいて、使用されるヒーター47が異なることがあるため、本発明の実施形態に係る画像形成装置1は、第1の状態と第2の状態との両方について加熱するヒーター47を決定し、それに基づいて、第1の状態の消費電力量Q[kWh]と第2の状態の消費電力量Q[kWh]を算出し、消費電力量Q[kWh]が小さい状態で画像形成を行う。以下に、消費電力量Q[kWh]の算出方法について説明する。
【0075】
図8は、消費電力量算出部40が、ヒーター決定部39が決定した加熱ヒーターについて、ヒーター47で消費される電力量Q[kWh]を算出する方法を示す図である。消費電力量算出部40は、
図8に示す方法1〜6のいずれかの方法によりヒーター47で消費される電力量を算出する。以下、画像形成される画像データが1ページ(用紙P1枚)であるときに、消費電力量算出部40が方法1〜6により、どのように消費電力量Q[kWh]を算出するかについて説明する。
【0076】
(方法1)
消費電力量算出部40は、ヒーター決定部39が加熱すると決定したヒーター47について、ヒーター47に対応する領域R内をトナー像Tが通過するか否かに関わらず、1ページ分の消費電力量Q[kWh]としてQ1[kWh]を算出する。
【0077】
(方法2)
消費電力量算出部40は、ヒーター決定部39が加熱すると決定したヒーター47のうち、ヒーター47に対応する領域R内をトナー像Tが通過するヒーター47については1ページ分の消費電力量Q[kWh]としてQ1[kWh]を算出し、ヒーター47に対応する領域R内をトナー像Tが通過しないヒーター47については1ページ分の消費電力量Q[kWh]としてQ2[kWh]を算出する。ここで、Q2[kWh]はQ1[kWh]よりも小さい値である。
【0078】
(方法3)
消費電力量算出部40は、ヒーター決定部39が加熱すると決定したヒーター47のうち、ヒーター47に対応する領域R内をトナー像Tが通過するヒーター47については1ページ分の消費電力量Q[kWh]としてQ1[kWh]を算出する。
【0079】
一方、消費電力量算出部40は、ヒーター47に対応する領域R内をトナー像Tが通過しないヒーター47については、最近傍を通過するトナー像Tまでの距離に基づいて消費電力量Q[kWh]を算出する。具体的には、消費電力量算出部40は、最近傍を通過するトナー像Tまでの距離が長いほど値が小さくなるように消費電力量Q[kWh]を算出する。消費電力量算出部40は、例えば、式(1)に基づいて消費電力量Q[kWh]を算出する。
消費電力量Q[kWh]=Q2(1−dmin/D)・・・(1)
【0080】
式(1)において、Q2[kWh]はQ1[kWh]よりも小さい値の定数であり、dmin[mm]は最近傍を通過するトナー像Tまでの距離であり、D[mm]は、前述の通り、ヒーター決定部39が、ヒーター47に対応する領域Rの近傍をトナー像Tが通過するかどうかを決定するときに用いる予め設定された所定距離である。ここで、dmin[mm]が小さいときには消費電力量Q[kWh]はQ2[kWh]に近い値となり、dmin[mm]が所定距離D[mm]に近づくに従って消費電力量Q[kWh]は0に近づく。尚、前述の通り、dmin[mm]が所定距離D[mm]より大きい場合にはそのヒーター47は加熱されないため、dmin[mm]は所定距離D[mm]以下となる。
【0081】
(方法4)
この方法において、消費電力量算出部40は、ヒーター47に対応する領域R内または近傍を通過するトナー像Tそれぞれの副走査方向の長さLn[mm](nはトナー像Tの個数(順番)を示す)を考慮して1ページ分の消費電力量Q[kWh]を算出する。
図9は、方法4において、ヒーター47についての消費電力量Q[kWh]の算出方法を説明する図である。
図9(a)は、ヒーター47eに対応する領域Re内を2つのトナー像(T1、T2)が通過する場合を示す。ここで、トナー像T1、T2それぞれの副走査方向の長さをL1、L2とする。
【0082】
この場合に、消費電力量算出部40は、単位長さ辺りの消費電力量Q[kWh]を表す定数q1[kWh/mm]にトナー像T1の長さL1を乗じた値(q1×L1)と、q1[kWh/mm]にトナー像T2の長さL2を乗じた値(q1×L2)とを足し合わせたものをヒーター47eの消費電力量Q[kWh]として算出する。
【0083】
つまり、消費電力量算出部40は、単位長さ辺りの消費電力量Q[kWh]を表す定数q1[kWh/mm]にトナー像Tの長さを乗じた値を全てのトナー像Tについて足し合わせたものを消費電力量Q[kWh]として算出する。このときの算出式は式(2)として示すことができる。
消費電力量Q[kWh]=Σq1×Ln・・・(2)
【0084】
図9(b)は、ヒーター47eに対応する領域Reの近傍を2つのトナー像(T1、T2)が通過する場合を示し、この場合も、消費電力量算出部40は、式(2)に基づいてヒーター47eの消費電力量Q[kWh]を算出する。
【0085】
(方法5)
この方法では、前述の方法4に対し、単位長さあたりの消費電力量Q[kWh]を表す定数を、ヒーター47に対応する領域R内をトナー像Tが通過する場合と、ヒーター47に対応する領域Rの近傍をトナー像Tが通過する場合とで異なる値にしたものである。
ヒーター47に対応する領域R内をトナー像Tが通過する場合の算出式は式(2)と同様であるため繰り返しの説明は省略する。
【0086】
ヒーター47に対応する領域Rの近傍をトナー像Tが通過する場合の算出式は式(3)となり、ここで定数q2[kWh/mm]は式(2)における定数q1[kWh/mm]よりも小さい値である。
消費電力量Q[kWh]=Σq2×Ln・・・(3)
【0087】
(方法6)
この方法では、前述の方法5に対し、ヒーター47に対応する領域Rの近傍をトナー像Tが通過する場合に、それぞれのトナー像Tについて、ヒーター47からの距離に基づいて消費電力量Q[kWh]を算出するようにしたものである。
【0088】
ヒーター47に対応する領域R内をトナー像Tが通過する場合の算出式は式(2)と同様であるため繰り返しの説明は省略する。
【0089】
ヒーター47に対応する領域Rの近傍をトナー像Tが通過する場合、消費電力量算出部40はトナー像Tまでの距離が長いほど値が小さくなるように消費電力量Q[kWh]を算出し、全てのトナー像Tについて足し合わせたものを消費電力量Q[kWh]として算出する。このときの算出式は式(4)として示すことができる。
消費電力量Q[kWh]=Σq2×Ln×(1−dn/D)・・・(4)
【0090】
式(4)において、定数q2[kWh/mm]は式(2)における定数q1[kWh/mm]よりも小さい値の定数であり、dn[mm]はヒーター47とトナー像Tとの距離、Dは所定距離[mm]である。ここで、dnが小さいときには消費電力量Q[kWh]はq2[kWh/mm]に近い値となり、dn[mm]が所定距離D[mm]に近づくに従って消費電力量Q[kWh]は0に近づく。尚、ヒーター47に対応する範囲の近傍を通過しないオブジェクト、つまり、dn[mm]がD[mm]より大きいオブジェクトについては、消費電力量Q[kWh]を算出するときに考慮しない。
【0091】
図9(b)を参照して、この場合に、消費電力量算出部40は、トナー像T1に対応する消費電力量Q[kWh]としてq2×L1×(1−d1/D)を算出し、トナー像T2に対応する消費電力量Q[kWh]としてq2×L2×(1−d2/D)を算出し、それらを足し合わせたものをヒーター47eに対応する消費電力量Q[kWh]として算出する。
【0092】
消費電力量算出部40は、前述の方法1〜6のいずれかの方法に基づいて、第1の状態と第2の状態との両方について消費電力量Q[kWh]の算出を行う。前述の方法1〜6のうち、どの方法で消費電力算出が消費電力量Q[kWh]を算出するかの設定は、予め、操作表示部34を介して、ユーザーから受け付ける。
【0093】
図4は、ヒーター監視部42の詳細な機能を示す機能ブロック図である。ヒーター監視部42の詳細な動作について説明する。
【0094】
設定温度取得部44は、画像形成状態決定部41が決定した画像形成する状態に対応するヒーター47の消費電力量Q[kWh]に基づいて、ヒーター47a〜47eそれぞれの温度T[℃](設定温度)の情報(設定温度情報)を取得する。
【0095】
具体的には、設定温度取得部44は、消費電力量Q[kWh]と設定温度情報とが関連付けられたLUTを記憶しており、画像形成状態決定部41が決定した画像形成する状態における、消費電力算出部が算出したヒーター47a〜47eの消費電力量Q[kWh]に対応するヒーター47の設定温度情報を取得する。
ヒーター47温度調整部45は、設定温度取得部44が取得した設定温度T[℃]にヒーター47a〜47eがなるように個別に温度を制御する。
【0096】
具体的には、ヒーター47温度調整部45は、設定温度取得部44が取得した設定温度T[℃]にヒーター47a〜47eがなるように、ヒーター47a〜47eに流れる電気の量を個別に制御する。また、ヒーター47温度調整部45は、温度センサー21a〜e21から入力された監視結果に基づいて、ヒーター47a〜47eそれぞれの温度が、設定温度T[℃]であるか否かを判断し、判断結果に基づいて、ヒーター47a〜47eに流れる電気の量を個別に制御する。
【0097】
例えば、ヒーター47aの温度が設定温度T[℃]に達していない場合、ヒーター47温度調整部45は、ヒーター47aに流れる電気の量を大きくし、ヒーター47aの温度が設定温度T[℃]であった場合、ヒーター47aに流れる電気の量を維持し、設定温度T[℃]を超えていた場合、ヒーター47aに流れる電気の量を小さくするように制御する。
【0098】
ヒーター47に流れる電気の量を制御することでヒーター47の温度を制御する形態で説明したが、ヒーター47の温度を制御できれば、この形態に限定はされない。
【0099】
図5は、記憶部23により実現される機能の機能ブロック図を示す。画像形成装置1は、加熱記憶領域R46として機能する。
【0100】
加熱記憶領域R46は、所定距離D[mm]を記憶する。加熱記憶領域R46に記憶される所定距離D[mm]は、加熱するヒーター47をヒーター決定部39が決定するときに参照される。また、加熱記憶領域R46に記憶される所定距離D[mm]は、ヒーター47で消費される電力量Q[kWh]を消費電力量算出部40が算出するときにも参照される。
【0101】
ここで、所定距離D[mm]の値は、ヒーター47の加熱性能(発熱性能)や、加熱ローラー18または加圧ローラー17の温度特性、画像形成に用いる用紙P種類等を考慮して決定されることが好ましい。そして、ヒーター47の加熱性能、加熱ローラー18または加圧ローラー17の温度特性は、経時劣化や画像形成装置1の動作環境により変動し、画像形成に用いる用紙Pの種類はユーザーの設定に基づいて変更される。
【0102】
そこで、画像形成装置1は、
図12に示す様な操作画面を操作表示部34に表示し、ユーザーから所定距離D[mm]の変更を受け付け、受け付けた所定距離D[mm]を新たな所定距離D[mm]として加熱記憶領域R46に記憶させても良い。画像形成装置1は、
図12に示す様な操作画面上でユーザーから加算ボタン48の押下を受け付けると所定距離D[mm]の値を大きくし、ユーザーから減算ボタン49の押下を受け付けると所定距離D[mm]の値を小さくし、ユーザーから決定ボタン50の押下を受け付けると、新たに入力された所定距離D[mm]の値を加熱記憶領域R46に記憶させる。尚、
図12に示す加算ボタン48、減算ボタン49から入力を受け付けるだけでなく、操作ボタンのテンキーからの入力を受け付けても良い。また、ヒーター47a〜47eそれぞれで、加熱性能が異なることもあるので、ヒーター47a〜47eに対応する所定距離Dを個別に設定できるようにしても良い。
【0103】
図13は、本発明の実施形態に係る画像形成装置1が画像形成を実行する処理を示すフローチャートである。制御部23は、記憶部23に記憶されるプログラムを実行することにより、
図13に示す様な処理を実現する。
画像形成装置1は、ユーザーからの画像形成の指示を受け付けて、原稿読取部4やデータIF部30等を介して、画像形成に係る入力データを取得する(ステップS1100)。
【0104】
画像形成装置1は、取得した入力データに基づく画像形成を行うときに、第1の状態におけるヒーター47a〜47eと入力データのトナー像Tの対応関係に基づいて、ヒーター47a〜47eのそれぞれについて加熱ヒーターにするか否かを決定する。さらに、第2の状態におけるヒーター47a〜47eと入力データのトナー像Tの対応関係に基づいて、ヒーター47a〜47eのそれぞれについて加熱ヒーターにするか否かを決定する(ステップS1200)。
【0105】
画像形成装置1は、ステップS1200で決定した加熱ヒーターについて、前述の方法1〜6のいずれかの方法によって、第1の状態と第2の状態とにおける加熱ヒーターで消費される消費電力量Q[kWh]をそれぞれ算出し、第1の状態と第2の状態とにおける加熱部20全体での消費電力量Q[kWh]をそれぞれ算出する。(ステップS1300)。
【0106】
画像形成装置1は、第1の状態の消費電力量Q[kWh]と第2の状態の消費電力量Q[kWh]とを比較し、より低い消費電力量Q[kWh]の状態で画像形成を行うと決定する(ステップS1400)。
【0107】
画像形成装置1は、決定した画像形成する状態におけるヒーター47a〜47eの消費電力量Q[kWh]に対応する温度を取得し、取得した温度になるようにヒーター47a〜47eの温度を制御し、画像形成を実行する(ステップS1500)。
【0108】
図14は、
図13のフローチャートにおけるステップS1200の加熱ヒーター決定の処理を示すサブルーチンである。制御部23は、記憶部23に記憶されるプログラムを実行することにより、
図14に示すサブルーチンの処理を実現する。
【0109】
まず、画像形成装置1は、第1の状態に加熱するヒーター47を決定するために、画像形成する状態を第1の状態(入力データを画像形成するときに入力データを回転させない)に設定する(ステップS1201)。
【0110】
画像形成装置1は、複数のヒーター47うちの1つのヒーター47を対象ヒーターとし、対象ヒーターに対応する領域Rにトナー像Tが通過するか否かを判断する(ステップS1202)。画像形成装置1は、対象ヒーターに対応する領域Rにトナー像Tが通過すると判断した場合(ステップS1202でYES)、対象ヒーターを加熱ヒーターと決定する(ステップS1203)。例えば、
図10(a)を参照して、ヒーター47dを対象ヒーターとしたとき、画像形成装置1は、ヒーター47dに対応する領域Rdにトナー像T1が通過するので、ヒーター47dを加熱ヒーターに決定する。
【0111】
図14に戻り、一方で、画像形成装置1は、対象ヒーターに対応する領域Rにトナー像Tが通過しないと判断した場合(ステップS1202でNO)、対象ヒーターに対応する領域Rの近傍にトナー像Tが通過するか否かを判断する(ステップS1204)。
【0112】
画像形成装置1は、対象ヒーターに対応する領域Rの近傍にトナー像Tが通過すると判断した場合(ステップS1204でYES)、対象ヒーターを加熱ヒーターに決定する(ステップS1205)。一方で、画像形成装置1は、対象ヒーターに対応する領域Rの近傍にトナー像Tが通過しないと判断した場合(ステップS1204でNO)、当該対象ヒーターを非加熱ヒーターに決定する(ステップS1206)。例えば、
図10(a)を参照して、ヒーター47cを対象ヒーターとしたとき、画像形成装置1は、ヒーター47eに対応する領域Reの近傍にトナー像Tが通過しないので、当該対象ヒーターを非加熱ヒーターに決定する。
【0113】
画像形成装置1は、全てのヒーター47を対象ヒーターとして、加熱ヒーターとするか否かの決定を終了したか否かを判断する(ステップS1207)。画像形成装置1は、全てのヒーター47について加熱ヒーターとするか否かの決定を終了していないと判断した場合(ステップS1207でNO)、ステップS1202の処理に戻り、残りのヒーター47を対象ヒーターとしてステップS1202〜S1206の処理を実行する。一方で、画像形成装置1は、全てのヒーター47について加熱ヒーターとするか否かの決定を終了していると判断した場合(ステップS1207でYES)、画像形成装置1は、第1の状態と第2の状態との両方の状態について、加熱ヒーターの決定を終了したか否かを判断する(ステップS1208)。
【0114】
画像形成装置1は、両方の状態について、加熱ヒーターの決定を終了したと判断した場合(ステップS1208でYES)、加熱ヒーターの決定の処理を終了し、
図13のフローチャートに戻る。一方で、両方の状態について、画像形成装置1は、ヒーター47の決定を終了していないと判断した場合(ステップS1208でNO)、第2の状態の加熱ヒーターの決定の処理を行うため、画像形成する状態を第2の状態(入力データを画像形成するときに入力データを180度回転させる)に設定した上で(ステップS1209)、第1の状態の加熱ヒーターの決定処理と同様の処理を実行する。
【0115】
図15は、
図13のフローチャートにおけるステップS1300の消費電力量Q[kWh]の決定を示すサブルーチンである。
図15aは、方法1に対する消費電力の決定を示す図であり、
図15bは、方法2に対する消費電力の決定を示す図である。制御部23は、記憶部23に記憶されるプログラムを実行することにより、
図15に示すサブルーチンの処理を実現する。
【0116】
画像形成装置1は、第1の状態に加熱するヒーター47を決定するために、画像形成する状態を第1の状態に設定する(ステップS1301)。複数のヒーター47うちの1つのヒーター47を対象ヒーターして、画像形成装置1は、第1の状態の対象ヒーターについて、それが加熱ヒーターであるか否かを判断する(ステップS1302)。画像形成装置1は、対象ヒーターが加熱ヒーターであると判断した場合(ステップS1302でYES)、対象ヒーターの消費電力量Q[kWh]をQ1[kWh]として算出し(ステップS1304)、対象ヒーターでないと判断した場合(ステップS1302でNO)、ヒーター47の消費電力量Q[kWh]の算出を行わずにステップS1306へ進む。例えば、
図10(a)において、対象ヒーターがヒーター47dである場合に、ヒーター47dの消費電力量Q[kWh]を算出するとき、画像形成装置1は、ヒーター47dが加熱ヒーターであるため、ヒーター47dの消費電力量Q[kWh]をQ1[kWh]として算出する。
【0117】
ステップS1306において、画像形成装置1は、全てのヒーター47の消費電力量Q[kWh]を算出したか否かを判断する。画像形成装置1は、全てのヒーター47の消費電力量Q[kWh]を算出していないと判断した場合(ステップS1306でNO)、ステップS1302の処理に戻り、他のヒーター47の消費電力量Q[kWh]を算出する。一方で、画像形成装置1は、全てのヒーター47の消費電力量Q[kWh]を算出したと判断した場合(ステップS1306でYES)、ヒーター47毎に算出した消費電力量Q[kWh]を合算し、加熱部20全体での消費電力量Q[kWh]を算出する(ステップS1306)。
【0118】
画像形成装置1は、第1の状態と第2の状態との両方の状態について、加熱部20全体での消費電力量Q[kWh]を算出したか否かを判断する(ステップS1308)。画像形成装置1は、両方の状態について、加熱部20全体での消費電力量Q[kWh]を算出したと判断した場合(ステップS1309でYES)、消費電力量Q[kWh]を決定する処理の終了し、
図13に示すステップS1400の処理を実行する。一方で、両方の状態について、画像形成装置1は、加熱部20全体での消費電力量Q[kWh]を算出していないと判断したと判断した場合(ステップS1308でNO)、画像形成装置1は、画像形成する方法を第2の状態に設定する。
【0119】
続いて、方法2におけるヒーター47の消費電力量Q[kWh]を算出する方法について、
図15bを参照して説明する。尚、
図15aと同じステップ番号であり、説明が繰り返しなる処理については、説明を省略する。
図15aと比較すると、加熱ヒーターであるか否かを判断する処理(ステップS1302)後に、ヒーター47に対応する領域Rにトナー像Tが通過しているかどうかを判断する処理(ステップS1303)と、消費電力量Q[kWh]をQ2にする処理(ステップS1305)が追加されている。
【0120】
画像形成装置1は、加熱ヒーターであるヒーター47について(ステップS1302でYES)、加熱ヒーターであるヒーター47に対応する領域Rにトナー像Tが通過するか否かを判断する(ステップS1303)。画像形成装置1は、加熱ヒーターであるヒーター47に対応する領域Rにトナー像Tが通過すると判断した場合(ステップS1303でYES)、当該ヒーター47の消費電力量Q[kWh]をQ1[kWh]として算出する(ステップS1304)。一方で、画像形成装置1は、加熱ヒーターであるヒーター47に対応する領域Rにトナー像Tが通過しないと判断した場合(ステップS1303でNO)、当該ヒーター47の消費電力量Q[kWh]をQ2[kWh]として算出する(ステップS1305)。
【0121】
尚、
図15aで示したステップS1304の処理の内容を、
図8に示す図の方法4における式にそれぞれ代えることで、画像形成装置1は、方法4を用いて、消費電力量Q[kWh]を算出することができる。また、
図15bで示したステップS1304及びステップS1305の処理の内容を、
図8に示す図の方法3、5、6における式にそれぞれ代えることで、画像形成装置1は、方法3、5、6を用いて、消費電力量Q[kWh]を算出することができる。
【0122】
尚、
図13で示したフローチャートにおいては、ステップS1200で第1の状態と第2の状態とにおけるヒーター47の決定を行った後、ステップS1300で第1の状態と第2の状態とにおける加熱部20全体の消費電力量Q[kWh]を算出するようにしたが、この形態に限定されない。つまり、画像形成装置1が、ステップS1400までに、画像形成する状態を決定可能なように、第1の状態における加熱部20全体の消費電力量Q[kWh]と第2の状態における加熱部20全体の消費電力量Q[kWh]とが算出できていれば良く、例えば、第1の状態の加熱ヒーターを決定し、第1の状態における加熱部20全体の消費電力量Q[kWh]を算出してから、第2の状態について、加熱ヒーターを決定し、加熱部20全体の消費電力量Q[kWh]を算出する様にしても良い。
【0123】
本発明の実施形態に係る画像形成装置1は、第1の状態と第2の状態とそれぞれにおいて、各ヒーター47に対応する領域R内をトナー像Tが通過するか否か、及び各ヒーター47に対応する領域Rの近傍をトナー像Tが通過するか否かに基づいて、複数のヒーター47のうちから加熱ヒーターを決定し、それに基づいて、第1の状態の消費電力量Q[kWh]と第2の状態との消費電力量Q[kWh]を算出し、消費電力量Q[kWh]が小さい状態で画像形成を行う。つまり、所定の機構を必要とせずに、トナー像Tとヒーター47との位置関係に基づき、加熱ヒーターと非加熱ヒーターとを決定し、さらに第1の状態と第2の状態とのうち、より少ない方の状態で画像形成を行うので、無駄な気候を必要とせずに、消費電力量Q[kWh]の発生を抑制することができる。
【0124】
さらに、対象ヒーターについて、対象ヒーターに対応する領域Rにトナー像Tが通過しない場合でも、対象ヒーターに対応する領域Rの近傍にトナー像Tが通過する場合に、当該対象ヒーターを加熱ヒーター(第2の加熱ヒーター)に決定する。つまり、トナー像Tが通過する加熱ヒーター(第1の加熱ヒーター)の隣のヒーター47に対応する領域Rの近傍に当該トナー像Tが通過する場合、第1のヒーター47の隣のヒーター47が第2の加熱ヒーターになるため、第1の加熱ヒーターと第2の加熱ヒーターとの境界付近にトナー像Tがあったとしても、第1の加熱ヒーターのおける境界付近の熱が、2つのヒーター47の温度差によって低下することを抑制し、その結果、トナー像Tの定着ムラを抑制することができる。
【0125】
尚、本発明の実施形態に係る画像形成装置1は、対象ヒーターに対応する領域Rにトナー像Tが通過しない場合でも、対象ヒーターに対応する領域Rの近傍にトナー像Tが通過する場合に、当該対象ヒーターを加熱ヒーターしていたが、この形態に限定されない。例えば、対象ヒーターに対応する領域Rにトナー像Tが通過しない場合、対象ヒーターに対応する領域Rの近傍にトナー像Tが通過していても、対象ヒーターを非加熱ヒーターにしてもよい。
【0126】
尚、本実施形態に係る画像形成装置1は、取得した入力データに基づいて、加熱するヒーター47と画像形成時の状態とを決定していたが、この形態に限定されない。つまり、画像形成装置1が画像形成を実行するときに、少なくとも、加熱ヒーターと、第1の状態にするか第2の状態にするかとを画像形成装置1が決定できてれば良い。例えば、画像形成装置1と通信接続されているPCや携帯端末等の情報処理装置が、画像形成装置1に入力データを送信する前に、画像形成装置1の加熱ヒーターの情報と画像形成する状態の情報とを生成し、画像形成装置1に入力データを送信するときと同時に少なくとくも前述の2つの情報を送信する形態でも良い。また、情報処理装置(画像形成装置1を含む)が入力データを取得するのは、データIF部30を介した取得だけはなく、内部の記憶部23から取得しても良い。
【0127】
また、紙種によって熱伝導性が異なるため、トナー像Tの定着に係る消費電力量Q[kWh]が変化するため、用紙Pの紙種に合わせて、消費電力量算出部40がヒーター47の消費電力量Q[kWh]を算出するときに用いる式における、Q1[kWh]、Q2[kWh]、q1[kWh/mm]、q2[kWh/mm]の値を変化させても良い。例えば、薄紙であれば、普通紙に比べて熱伝導性が高いため、普通紙上のトナー像Tを定着させるよりも少ない消費電力量Q[kWh]になるようにしても良い。
【0128】
(変形例)
上記実施形態では、画像形成される画像が1ページ(用紙P1枚における一方の面(例えばおもて面))である場合の画像形成する状態を決定する画像形成装置1の制御について説明した。しかし、実際にユーザーが画像形成を望む画像は、1ページだけではなく、複数ページの場合がある。ここで、複数ページの画像とは、1枚の用紙Pの両面(おもて面とうら面)に画像形成される画像や、複数枚の用紙P一方の面(例えばおもて面)に画像形成される画像、複数枚の用紙P両面(おもて面とうら面)に画像形成される画像のことをいう。言い換えれば、1ページの画像とは、1枚の用紙Pの一方の面(例えばおもて面)のみに画像形成される画像のことをいい、複数ページの画像とは、同一または異なる用紙Pに対応する複数の面に画像形成される画像のことをいう。
【0129】
そこで、本変形例では、画像形成される画像が、複数ページの画像である場合の画像形成する状態を決定する画像形成装置1の制御について説明する。
【0130】
本変形例に係る画像形成装置1は、上記実施形態と同様の方法で、複数ページの画像のそれぞれについて、第1の状態の加熱部20全体の消費電力量Q[kWh]と第2の状態の加熱部20全体の消費電力量Q[kWh]とを算出する。そして、各ページの消費電力量Q[kWh]を合算することで、第1の状態の全ページ分の消費電力量Q[kWh]と第2の状態の全ページ分の消費電力量Q[kWh]とを算出し、消費電力量Q[kWh]が小さい状態で画像形成を行う。
【0131】
より詳細には、ヒーター決定部39は、全てのページについて、第1の状態と第2の状態のそれぞれについて、加熱するヒーター47をページ毎に決定する。
消費電力量算出部40は、全てのページについて、第1の状態と第2の状態との両方について、加熱部20全体の消費電力量Q[kWh]をページ毎に算出する。
【0132】
消費電力量算出部40は、第1の状態と第2の状態との両方について、加熱部20全体の消費電力量Q[kWh]をページ毎に算出したら、第1の状態と第2の状態との両方について、算出したページ毎の加熱部20全体の消費電力量Q[kWh]を合算することにより、全ページ分の消費電力量Q[kWh]を算出する。
【0133】
画像形成状態決定部41は、消費電力量算出部40が算出した全ページ分の消費電力量Q[kWh]に基づいて、第1の状態で画像形成するか、第2の状態で画像形成するかを決定する。
【0134】
ヒーター監視部42は、画像形成状態決定部41が決定した状態におけるヒーター47a〜47eの消費電力量Q[kWh]に対応する温度をページ毎に取得し、取得した温度になるようにヒーター47a〜47eの温度を監視(制御)する。
【0135】
図16は、本変形例に係る画像形成装置1が画像形成する状態を決定するときに実行する処理を示すフローチャート(
図13)におけるステップS1200の加熱ヒーター決定の処理を示すサブルーチンである。尚、
図14と処理が同様な処理の説明については、繰り返しになるため、説明を省略する。制御部23は、記憶部23に記憶されるプログラムを実行することにより、
図16に示すサブルーチンの処理を実現する。
図14と比較すると、両方の状態について加熱ヒーターを決定したかを判断する処理(ステップS1208)の後に、全ページについて、ページ毎にヒーター47a〜47eを決定したかを判断する処理(ステップS1210)が追加されている。
【0136】
画像形成装置1は、両方の状態について、ヒーター47a〜47eの決定を終了したと判断した場合(ステップS1208でYES)、全ページについて、ページ毎にヒーター47の決定をしたかを判断する(ステップS1210)。画像形成装置1は、全ページについて、ページ毎にヒーター47a〜47eの決定していないと判断した場合(ステップS1210でNO)、ステップS1201の処理に戻る。一方で、画像形成装置1は、全ページについて、ページ毎にヒーター47の決定をしたと判断した場合(ステップS1210でYes)、加熱ヒーターの決定の処理を終了し、
図13に示すステップS1300の処理を実行する。
【0137】
図17は、本変形例に係る画像形成装置1が画像形成する状態を決定するときに実行する処理を示すフローチャート(
図13)におけるステップS1300の消費電力量Q[kWh]の決定を示すサブルーチンである。尚、
図15aと処理が同様な処理の説明については、繰り返しになるため、説明を省略し、
図15bに対応するサブルーチンについても、ステップS1309以降の処理に、以下に示すステップS1310、S131の処理が加わるだけであり、実質的な変更はないため、説明を省略する。
図15aと比較すると、第1の状態と第2の状態との両方の状態について、加熱部20全体での消費電力量Q[kWh]を算出したか否かを判断する処理(ステップS1308)の後に、全ページについて、加熱部20全体の消費電力量Q[kWh]を算出したか否かを判断する処理(ステップ1310)と、第1の状態と第2の状態との両方の状態について、全ページの消費電力量Q[kWh]を算出する処理(ステップS1311)が追加されている。
【0138】
画像形成装置1は、両方の状態について、加熱部20全体での消費電力量Q[kWh]を算出したと判断した場合(ステップS1308でYES)、全ページについて、加熱部20全体の消費電力量Q[kWh]を算出したか否かを判断する(ステップS1310)。
【0139】
画像形成装置1は、全ページについて、加熱部20全体の消費電力量Q[kWh]を算出していないと判断した場合(ステップS1310でNO)、ステップS1301の処理に戻る。一方で、画像形成装置1は、全ページについて、加熱部20全体の消費電力量Q[kWh]を算出したと判断した場合(ステップS1310でYES)、第1の状態と第2の状態との両方について、全ページの消費電力量Q[kWh]を算出する(ステップS1311)。
【0140】
本変形例に係る画像形成装置1は、1ページ毎に、第1の状態の加熱部20全体の消費電力量Q[kWh]と第2の状態の加熱部20全体の消費電力量Q[kWh]とを算出する。そして、それに基づいて、第1の状態の全ページ分の消費電力量Q[kWh]と第2の状態の全ページ分の消費電力量Q[kWh]とを算出し、消費電力量Q[kWh]が小さい用紙Pの方向で画像形成を行うので、複数ページの画像形成をするときにおいても、第1の状態と第2の状態とのうち、より少ない方の状態で画像形成を行うので、消費電力量Q[kWh]の発生を抑制することができる。
【0141】
さらに複数ページを画像形成するとき、1ページ毎に、複数のヒーター47うちの1つのヒーター47である対象ヒーターについて、対象ヒーターに対応する領域Rにトナー像Tが通過しない場合でも、対象ヒーターに対応する領域Rの近傍にトナー像Tが通過する場合に、対象ヒーターを加熱ヒーター(第2の加熱ヒーター)に決定する。つまり、複数のページの画像形成を行うとき、トナー像Tが通過する加熱ヒーター(第1の加熱ヒーター)の隣のヒーター47に対応する領域Rの近傍に当該トナー像Tが通過する場合、第1の加熱ヒーターの隣のヒーター47が第2の加熱ヒーターになるため、第1の加熱ヒーターと第2の加熱ヒーターとの境界付近にトナー像Tがあったとしても、第1の加熱ヒーターのおける境界付近の熱が、2つのヒーター47の温度差によって低下することをページ毎に抑制するため、その結果、全ページのトナー像Tの定着ムラを抑制することができる。
【0142】
尚、画像形成装置1は、用紙Pの両面に画像形成を行うとき、うら面に画像形成する状態が複数種類あることがある。具体的には、おもて面の画像形成の終了後、画像形成装置1は、おもて面の画像形成した用紙Pを、反転搬送路により再度2次転写部15に搬送させたとき、当該用紙Pに対して、2ページ目の入力データを回転させないで画像形成する、所謂、上開きに画像形成するか、2ページ目の入力データを180度回転させて画像形成する、所謂、横開きに画像形成するかのどちらかでうら面を画像形成することが出来る。通常、画像形成装置1は、上開きか横開きかの指示をユーザーから受け付けて、うら面を画像形成するときは、指示に従って、2ページ目の画像形成を行う。これに対して、例えば、
図18のように、消費電力量優先モードか通常モードかの選択をユーザーから受け付ける操作画面を操作表示部34に表示し、受け付けたモードに従って画像形成を行う形態でも良い。通常モードが選択された場合、ユーザーから受け付けた上開きか横開きかに関する指示に従って、2ページ目の画像形成を行うモードである。消費電力量優先モードとは、ユーザーから受け付けた上開きか横開きかに関する指示に関わらず、常に消費電力量Q[kWh]が少なくなるように画像形成を行うモードである。例えば、2ページ目においては、入力データを回転させないで画像形成した方が消費電力量Q[kWh]が少なく、4ページ目においては、入力データを180度回転させて画像形成した方が消費電力量Q[kWh]が少ない場合、例え、画像形成する状態が異なっていたとしても、消費電力量Q[kWh]が少ない方に画像形成を行うモードである。
【0143】
尚、2ページ目(1ページ目のうら面を含む)以降は、ヒーター47a〜47eの余熱がある場合もあり、
図8で示した式を用いて算出される消費電力量Q[kWh]よりも少ない消費電力量Q[kWh]でヒーター47を加熱すればよいこともある。例えば、
図8で示した方法2、3、5、6の少なくとも1つの方法を使用する画像形成装置1において、1ページ目(1ページ目のうら面を含む)の画像形成時では、ヒーター47aが第1の加熱ヒーターであり、2ページ目の画像形成時では、ヒーター47aが第2の加熱ヒーターであった場合、1ページ目の画像形成後、第1の加熱ヒーターの熱が2ページ目以降の画像形成を行うときにも余熱として残っている場合があるので、ヒーター47の特性に応じて、近傍をトナー像Tが通過する場合のヒーター47のQ2[kWh]及びq2[kWh/mm]を、
図8に示した式に記載のQ2[kWh]及びq2[kWh/mm]よりも低くしても良い。
【0144】
尚、本変形例は、複数のページを全て同じ状態で画像形成する形態を示したが、本変形例を実施するにあたって、この形態に限定されない。例えば、1ページ毎に、第1の状態と第2の状態とでどちらの方が消費電力量Q[kWh]が小さくなるかを判定し、その結果に応じて、画像形成する状態を切り替えても良い。
【0145】
また、本実施形態、本変形例において、非加熱ヒーターと決定されたヒーター47について、特に消費電力量Q[kWh]を算出していないが、必要に応じて、非加熱ヒーターと決定されたヒーター47の消費電力量Q[kWh]を0として算出しても良い。この場合、ヒーター監視部42は、ヒーター47に電気を流さない制御を行う。
【0146】
また、本実施形態及び、本変形例の一例として、LEF搬送される用紙Pに画像形成する形態について説明したが、本実施形態及び、本変形例は、この形態に限定されず、搬送方向と用紙Pの短辺とが垂直になるように用紙Pを搬送する向き(SEF:Short Egde Feed)で搬送される(SEF搬送)用紙Pに画像形成する形態でも良いのは言うまでもない。
【0147】
また、本実施形態、本変形例において、第1の状態に加熱するヒーター47と、第2の状態に加熱するヒーター47とを決定し、それに基づいて第1の状態の消費電力量Q[kWh]と第2の状態の消費電力量Q[kWh]を算出し、消費電力量Q[kWh]が小さい状態で画像形成を行う形態について説明したが、本発明衣を実施するにあたって、この形態に限定されない。例えば、LEF搬送の用紙Pに対して入力データを回転せずに画像形成する第1の状態の消費電力量Q[kWh]と、LEF搬送の用紙Pに対して入力データを180度回転して画像形成する第2の状態の消費電力量Q[kWh]と、SEF搬送の用紙Pに対して入力データを回転せずに画像形成する第3の状態の消費電力量Q[kWh]と、SEF搬送の用紙Pに対して入力データを180度回転して画像形成する第4の状態の消費電力量Q[kWh]とを算出し、消費電力量Q[kWh]が小さい用紙Pの状態で画像形成を行うような形態でも良い。
【0148】
また、本実施形態、本変形例において、第1の状態とは、搬送された用紙Pに対応させて画像形成される状態のことを言う。例えば、給紙カセット6には、SEF搬送されるA4の用紙Pが収容され、画像形成する入力データがLEFであった場合、画像形成装置1は、SEF搬送されるA4の用紙Pに対応させて、当該入力データの画像を用紙Pに画像形成するが、この時に画像形成される状態のことを第1の状態と言う。
【0149】
また本実施形態、本変形例に係る画像形成装置1は、入力データを回転させないで画像形成した場合に使用するヒーター47の個数と、入力データを180度回転させて画像形成した場合に使用するヒーター47との個数とが異なることが望ましい。例えば、
図10で示したようなLEFで用紙Pを搬送(LEF搬送)する時に、用紙Pの長辺に対する両端のうちの片方が、加熱部20全体の、用紙Pの搬送方向の量端のうちのいずれかに合わせて搬送されるような場合や、複数のヒーター47a〜47eが、主走査方向に対する長さが等しい場合に、LEF搬送される用紙Pの長辺の真ん中とヒーター47cの真ん中とが一致しないように、用紙Pが搬送される場合や、主走査方向の長さが異なる複数のヒーター47a〜47eに用紙Pが搬送される場合等であり、このような場合に、本発明を実施するとより効果が表れる。
【0150】
さらに、複数のヒーター47の温度特性が、経時劣化や画像形成装置1の動作環境により変動しまうことで、それぞれの熱容量が変化する場合や、そもそも画像形成装置1の設置時におけるヒーター47の温度特性が、それぞれ異なる場合がある。例えば、熱容量が高いヒーターと、当該ヒーターより熱容量が低いヒーターとが加熱部20に備わっている場合において、2種類のヒーターを同じ温度T[℃]にする場合、熱容量が低いヒーターの方が消費電力量Q[kWh]が多い。従って、第1の状態で使用するヒーター47の個数と、第2の状態で使用するヒーター47の個数が同じであっても、熱容量が高いヒーターを使用するようにして、画像形成を行える様にしても良い。つまり、ヒーターの温度特性に応じてヒーター47の消費電力量Q[kWh]を算出し、消費電力量Q[kWh]が小さい状態で画像形成を行えるとしても良い。
また、本説明において、入力データを180度回転させるとは、入力データに対して180度回転処理を施すことを言う。さらに、本説明において、画像データを180度回転させるとは、画像データに対して180度回転処理を施し、用紙Pに画像形成される画像を180度回転させることを言う。例えば、第1の状態に対し、画像を180度回転させるとは、第1の状態の時に画像形成された用紙Pの画像に対して、その画像を180度回転させるように画像データに対して180度回転処理を施し、180度回転処理を施した画像データに基づいて、用紙Pに画像形成することを言う。