(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
回転可能に構成され、外部からの蒸気が凝縮されて溶液として貯留される貯留部を含み、前記貯留部に貯留された溶液が蒸発されて蒸気として前記外部に供給される容器と、
前記容器の内部に上向きに開口されるように配置される第1開口部を含み、前記容器の内部と前記外部とを連通する接続配管と、を備え、
前記容器が回転した場合にも、前記接続配管の前記第1開口部が前記容器内で上向きに開口した状態を維持するように構成されており、
前記容器が回転した場合にも、前記接続配管の前記第1開口部が前記容器内で上向きに開口した状態を維持するように、前記接続配管の回転を規制する回転規制部材と、
前記容器を回転させるための回転軸部と、
前記回転軸部に取り付けられ、前記回転軸部が前記接続配管に対して回転可能なように前記接続配管を支持する軸受部とをさらに備える、蒸発凝縮器。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1〜
図9を参照して、本発明の実施形態による化学蓄熱装置100の構成について説明する。
【0022】
本発明の一実施形態による化学蓄熱装置100は、
図1に示すように、エンジン120を有する自動車などの車両110に搭載されるように構成されている。また、化学蓄熱装置100は、車両110の通常走行時などの暖機完了後には、エンジン120から排出されて排気管130の内部を流通する高温の排ガスGを利用して蓄熱するように構成されている。また、車両110の冷間始動時や走行初期などの暖機完了前には、
図2に示すように、エンジン120から排出されて排気管130の内部を流通する低温の排ガスGに対して蓄熱した熱を供給する(放熱する)ように構成されている。これにより、化学蓄熱装置100の後方に配置された熱交換器140および触媒150に暖められた排ガスGが供給されるように構成されている。
【0023】
熱交換器140は、暖められた排ガスGから熱を吸収して、ヒータコア160およびバッテリ170に熱を供給する機能を有しており、この結果、ヒータコア160およびバッテリ170が加熱されるように構成されている。また、触媒150は、排ガスGを浄化する機能を有している。この触媒150では、暖められた排ガスGは、低温の排ガスGよりも浄化される。
【0024】
化学蓄熱装置100は、
図3および
図4に示すように、反応容器1と、蒸発凝縮器2と、反応容器1と蒸発凝縮器2とを接続する蒸気配管3と、蒸気配管3に設けられた弁4と、反応容器1を上方(Z1側)から覆う上カバー5と、反応容器1を下方(Z2側)から覆う下カバー6とを備えている。また、蒸気配管3は、台座7に設けられた、上方に延びる一対の壁部7aにより回転可能に軸支されている。また、反応容器1および蒸発凝縮器2は、蒸気配管3を回転軸として共に回転可能なように構成されている。
【0025】
反応容器1は、蓄熱時に脱水反応により蓄熱材が蓄熱して水蒸気を放出するとともに、放熱時に水和反応により蓄熱材が水蒸気を吸収して放熱する機能を有している。蒸発凝縮器2は、蓄熱時に脱水反応により蓄熱材から放出される水蒸気を回収するとともに、放熱時に蓄熱材と水和反応する水蒸気を蓄熱材に供給する機能を有している。反応容器1および蒸発凝縮器2は、熱伝導性に優れる金属(たとえば、銅合金、アルミニウム合金、炭素鋼、合金鋼など)により形成されているとともに、より熱伝導性を向上させるために薄肉化されている。なお、反応容器1および蒸発凝縮器2の具体的な構造については後述する。また、反応容器1は、本発明の「外部」の一例であり、水は、本発明の「溶液」の一例である。
【0026】
上カバー5は、
図3に示すように、触媒150側(Y2側)の排気管130a(
図1参照)に接続される導出口51を有している。また、下カバー6は、エンジン120側(Y1側)の排気管130b(
図1参照)と接続される導入口61を有している。これにより、化学蓄熱装置100には、導入口61から上カバー5の内面および下カバー6の内面によって形成された空間を通過して導出口51に至る熱交換流路が形成されている。そして、エンジン120側の排気管130bから導入された排ガスGは、熱交換流路を流れて、触媒150側の排気管130aに導出されるように構成されている。また、上カバー5と下カバー6とは、溶接などにより互いに固定されている。
【0027】
蒸気配管3は、
図3および
図4に示すように、X方向に延びるように形成されている。また、蒸気配管3は、反応容器1側(X2側)に配置された配管部31と、蒸発凝縮器2側(X1側)に配置された配管部32とを有している。この配管部31のX1側の端部と配管部32のX2側の端部とは、弁4を介して互いに接続されている。また、配管部31のX2側の端部は、蓋部33により封止されている。
【0028】
また、
図4に示すように、配管部31には、反応容器1の後述する反応容器部11の内部と連通する接続穴31aが複数形成されている。この接続穴31aを介して、反応容器部11と蒸気配管3の内部との間で水蒸気を含む空気(気流)が流通するように構成されている。
【0029】
弁4は、配管部31の内部と配管部32の内部との間の気流を制御することによって、反応容器1と蒸発凝縮器2との間の気流を制御するように構成されている。これにより、弁4が開放されている際には、反応容器1と蒸発凝縮器2との間で水蒸気を含む空気(気流)の流通が行われて蓄熱または放熱が行われる一方、弁4が閉鎖されている際には、反応容器1と蒸発凝縮器2との間で水蒸気を含む空気の流通が行われないため、蓄熱および放熱が行われないように構成されている。また、弁4の下方(Z2側)には、弁4の開閉を行うための弁駆動部4aが設けられている。
【0030】
反応容器1は、
図4に示すように、8つの円盤状の反応容器部11から構成されている。この8つの反応容器部11は、配管部31の延びるX方向に沿って8つ並ぶように配置されている。また、反応容器部11の中空状の内部には、蓄熱材が収容されている。
【0031】
蓄熱材は、粒状の酸化カルシウム(CaO)からなる。この酸化カルシウムからなる蓄熱材(放熱可能な蓄熱材)は、放熱時において、蒸発凝縮器2から供給される水蒸気と水和反応することによって、水酸化カルシウム(Ca(OH)
2)になるとともに、熱を放出する(放熱する)ように構成されている。また、水酸化カルシウムからなる蓄熱材(蓄熱可能な蓄熱材)は、蓄熱時において、脱水反応により、水蒸気を放出するとともに、熱を吸収する(蓄熱する)ことによって、酸化カルシウムになるように構成されている。これにより、蓄熱材は化学反応を用いた化学蓄熱を行うように構成されている。
【0032】
また、
図4に示すように、8つの反応容器部11の外表面には、フィン12が設けられている。このフィン12は、熱交換流路に配置されており、排ガスGと反応容器部11との伝熱を促進させる機能と、反応容器部11の外表面に沿って流れる排ガスGの流動力に基づく回転駆動力を発生させる機能とを有している。したがって、フィン12により、反応容器1および蒸発凝縮器2が、X方向に延びる蒸気配管3を回転軸として回転するように構成されている。
【0033】
次に、
図4〜
図9を参照して、蒸発凝縮器2の構成について詳細に説明する。
【0034】
蒸発凝縮器2は、
図4に示すように、配管部32が延びるX方向に沿って延びる円柱状の容器21と、容器21の内部に配置される接続配管22とを含んでいる。また、容器21のX方向の両外側面には、それぞれ、フィン21aが取り付けられている。このフィン21aにより、容器21の外表面の表面積が大きくなり、その結果、容器21の外部の空気と容器21との熱交換が促進されるように構成されている。なお、蒸発凝縮器2のフィン21aについては、
図4以外において図示を省略している。
【0035】
また、容器21のX2側の外側面には、配管部32のX1側の端部が固定されている。これにより、容器21は、配管部32により反応容器1の回転が伝達されることによって、配管部32を回転軸として回転されるように構成されている。なお、配管部32は、本発明の「回転軸部」の一例である。
【0036】
また、
図5に示すように、容器21は、中空状に形成されており、容器21の内部の断面形状は円状である。また、容器21の中空状の内部には、水蒸気が凝縮した水が貯留される貯留部21bが形成されている。この貯留部21bは、容器21の下部(Z2側)に形成されている。
【0037】
接続配管22は、
図6に示すように、L字形状の管状部材であって、回転軸(配管部32)の延びる方向であるX方向に沿って延びる第1部分22aと、第1部分22aのX1側の端部から、回転軸と直交する上方(Z1側)に向かって延びる第2部分22bとを含んでいる。
【0038】
また、接続配管22は、第1部分22aのX2側の端部に形成された開口部22cを有している。また、第2部分22bの上側(Z1側)の端部は、中心部分の開口22dを除いて蓋部22eにより閉鎖されている。なお、開口22dには、上下方向(Z方向)に延びる配管23が取り付けられており、配管23の上側の端部に形成された開口部23aが、接続配管22の水蒸気を含む空気の流れ(気流)が流通する開口部として機能するように構成されている。また、開口部23aは、容器21の内部で上向きに開口するように配置されている。なお、開口部23aは、本発明の「第1開口部」の一例である。
【0039】
また、接続配管22の第1部分22aのX2側は、容器21のX2側の側面部を貫通して蒸気配管3の配管部32の内部に向かって延びるように配置されている。そして、第1部分22aのX2側の端部およびその近傍は、円環状の軸受部24を介して配管部32の内部に取り付けられている。この軸受部24は、いわゆるボールベアリングから構成されている。そして、軸受部24により、配管部32は、接続配管22に対して回転可能に構成されている。また、軸受部24は、第1部分22aのX2側の端部およびその近傍を支持することによって、接続配管22を支持するように構成されている。
【0040】
なお、第1部分22aのX2側の端部およびその近傍以外の接続配管22は、容器21および配管部32に取り付けられていない。この結果、容器21および配管部32の回転は、接続配管22には略伝達されないように構成されている。なお、軸受部24は、配管部32と容器21との接続部分の近傍において、配管部32の内壁面に嵌め込まれて固定されている。
【0041】
ここで、本実施形態では、接続配管22の第2部分22bは、容器21が回転した場合でも、容器21内で上方(Z1側)に延びた状態を維持するように構成されている。この結果、接続配管22の開口部23aは、容器21が回転した場合でも、容器21の内部で上向きに開口した状態を維持するように構成されている。具体的な構成としては、上記した軸受部24が接続配管22を支持する構成に加えて、接続配管22の第1部分22aの下部には、X方向に沿って重り25が取り付けられている。この重り25は、接続配管22の第1部分22aの下部において外側面に沿うように固定されている。また、重り25は、接続配管22が回転するのを規制可能なように、接続配管22と、配管23と後述する内部配管26との合計の重量よりも大きな重量を有している。なお、重り25は、本発明の「回転規制部材」の一例である。
【0042】
この結果、第2部分22bに遠心力が加えられることなどにより、接続配管22に第1部分22aを回転軸として回転するような力が働いたとしても、第1部分22aの下部に取り付けられた重り25により、接続配管22の回転は規制されて、第2部分22bが上方(Z1側)に延びた状態が維持される。この結果、開口部23aが、容器21が回転した場合でも、容器21の内部で上向きに開口した状態を維持される。
【0043】
この場合、開口部が下向きや横向きに開口する場合と異なり、上向きに開口した開口部23aからは、接続配管22に貯留部21bの水(水滴)が流入しにくい。つまり、開口部が下向きや横向きに開口する場合、貯留部からの水は、貯留部から直接的に開口部に向かう飛散経路を経て接続配管に流入することが可能である。一方、上向きに開口した開口部23aを介して接続配管22に貯留部21bからの水が流入するには、水は、開口部23aよりも上方向に一度飛散して、そこから開口部23aに向かって落下するような飛散経路を経る必要がある。つまり、直接的に開口部23aに向かう飛散経路では接続配管22内に水が流入しないとともに、直接的に開口部23aに向かう飛散経路よりも水の飛散経路が長くなるので、接続配管22に貯留部21bからの水が流入しにくくなる。
【0044】
なお、「開口部23aが上向きに開口した状態を維持する」という規定には、基本的に開口部23aは上向きに開口した状態を維持しており、一時的に開口部23aが上向きからずれた場合であってもずれた状態から上向きに復帰して、再度、開口部23aが上向きに開口した状態を維持するような場合も含まれている。また、「開口部23aが上向きに開口する」という規定は、
図5および
図6に示すような鉛直上方(Z方向)に向かって開口部23aが開口する場合に必ずしも限られず、接続配管22の第2部分22bが鉛直上方に対して約45度以下の角度範囲で傾斜することによって、鉛直上方に対して傾斜する方向に向かって開口部23aが開口する場合も含む広い概念である。
【0045】
また、
図5に示すように、容器21において貯留部21bの水が占める体積V1(領域R1における容器21の体積)は、水面Sから開口部23aが位置する高さ位置までの容器21の体積V2(領域R2における容器21の体積)の約1/2になるように構成されている。これにより、水面Sと開口部23aとを確実に離間させることが可能である。
【0046】
また、
図6に示すように、接続配管22の第2部分22bの内部には、内部配管26が設けられている。この内部配管26は、配管23の開口部23aを下方(Z2側)から覆うように接続配管22の上方(Z1側)の端部の蓋部22eに固定されている。
【0047】
内部配管26は、
図7に示すように、上下方向(Z方向)に延びる略円筒状(中空状)の本体部27と、本体部27の下方(Z2側)の端部の開口部27aに配置された弁部材28とを有している。ここで、開口部27aは、上下方向に延びる第2部分22bにおいて、反応容器1側である下向きに開口している。なお、開口部27aは、本発明の「第2開口部」の一例である。
【0048】
筒状の本体部27は、上側(Z1側)から下側(Z2側)に向かって、上部27bと、第1テーパ部27cと、接続部27dと、第2テーパ部27eと、下部27fとから構成されている。上部27b、接続部27dおよび下部27fは、共に、内径が上下方向で一定になるように形成されている。なお、接続部27dの内径は、上部27bの内径および下部27fの内径よりも小さく、下部27fの内径は、上部27bの内径よりも小さい。また、第1テーパ部27cは、上方の上部27bから下方の接続部27dに向かい徐々に内径が小さくなるように形成されている。また、第2テーパ部27eは、上方の接続部27dから下方の下部27fに向かい徐々に内径が大きくなるように形成されている。
【0049】
また、
図7および
図8に示すように、接続部27dの下側の端部近傍には、接続部27dの内壁面27jから内側に突出する係止部27gが形成されている。この係止部27gには、弁部材28の軸部28aが挿入された状態で上下方向に移動可能な軸穴27hが形成されている。また、係止部27gの上面に弁部材28の鍔部28bが係止されることによって、弁部材28が本体部27から外れるのが抑制されるように構成されている。また、係止部27gは、接続部27dの中心部分にのみ形成されており、この結果、係止部27gの外側の孔部27iを介して、接続部27dの上下で気流が流通可能なように構成されている。
【0050】
本体部27の開口部27aに配置された弁部材28は、
図7に示すように、上下方向(Z方向)に延びる軸部28aと、軸部28aの上側(Z1側)の端部周辺に形成された鍔部28bと、軸部28aの下側(Z2側)の端部に形成された蓋部28cとを有している。蓋部28cは、開口部27aよりも若干大きな円盤状に形成されている。これにより、蓋部28cは、開口部27aを下方から覆うことにより、開口部27aを閉鎖することが可能なように構成されている。なお、蓋部28cの上面は、中心から外側に向かって若干下方に傾斜している。
【0051】
また、軸部28aが上下方向(Z方向)に移動することによって、開口部27aの状態が、蓋部28cが開口部27aを下方(Z2側)から覆う閉鎖状態(二重鎖線)と、鍔部28bが係止部27gの上面に当接するとともに、蓋部28cが開口部27aを開放する開放状態(実線)とに切り替わるように構成されている。ここで、閉鎖状態では、開口部27aを介して接続配管22の内部(内部配管26の外部)と内部配管26の内部とが連通されない一方、開放状態では、開口部27aを介して接続配管22の内部と内部配管26の内部とが連通されるように構成されている。なお、蓄熱および放熱が共に行われていな状態においては、弁部材28の自重により開口部27aは開放状態にされている。
【0052】
また、
図7に示すように、上部27bの側面部には、接続配管22の内部と内部配管26の内部とを連通させる窓部29が設けられている。この窓部29は、接続配管22の開口部23aよりも下方(Z2側)で、かつ、内部配管26の開口部27aよりも上方(Z1側)に形成されている。また、窓部29は、上下方向と直交する水平方向(X方向)に矩形状に開口するように構成されている。さらに、窓部29は、配管23の下側の端部よりも上方に位置するように形成されている。なお、窓部29は、本発明の「第3開口部」の一例である。
【0053】
また、接続配管22の第2部分22bの内壁面と内部配管26の上部27bの外壁面との水平方向の距離L1と、内部配管26の上部27bの内壁面27jと配管23の外壁面との水平方向の距離L2とは略等しくなるように形成されている。これにより、接続配管22から窓部29を介して内部配管26(本体部27)の内部に流通する気流に、流路の断面積が変化することに起因して圧損が生じるのを抑制することが可能である。
【0054】
また、
図9に示すように、窓部29は、上部27bの側面部の一部を切り欠くとともに、切り欠いた部分を内側に向かって本体部27の内壁面27jに沿うように曲げ加工することによって形成されている。なお、曲げ加工された上部27bの側面部の一部は、本体部27の内壁面27jに沿うように延びる導風部29aとして、本体部27と一体的に形成されている。
【0055】
次に、
図1、
図3〜
図6および
図10を参照して、化学蓄熱装置100の蓄熱時の動作について説明する。なお、蓄熱時においては、蒸発凝縮器2において、反応容器1からの水蒸気が凝縮されて水として回収される。
【0056】
図1に示す車両110の通常走行時などの暖機完了後には、エンジン120から排出された高温の排ガスGが排気管130bを流通する。そして、
図3に示すように、導入口61から導入された高温の排ガスGからの熱が、反応容器1の外表面およびフィン12を介して反応容器1に伝熱され、その結果、反応容器1の水酸化カルシウムからなる蓄熱材(蓄熱可能な蓄熱材)に伝熱される。しかしながら、弁4が閉鎖されている状態では、脱水反応によって生じた水蒸気が、配管部31および反応容器1内に飽和しているため、これ以上、蓄熱材において脱水反応(蓄熱)は行われない。
【0057】
この際、排ガスGの流通により、反応容器1は、配管部32(蒸気配管3)を回転軸として回転される。これに伴い、配管部32および蒸発凝縮器2の容器21も回転される。しかしながら、
図6に示すように、軸受部24により、接続配管22に配管部32の回転が伝達されるのが抑制されることに加えて、接続配管22の第1部分22aの下部に取り付けられた重り25により、接続配管22の回転は規制される。これにより、接続配管22の第2部分22bが上方(Z1側)に延びた状態で上方に位置する状態が維持されて、開口部23aが容器21の内部で上向きに開口した状態が維持される。
【0058】
ここで、
図4に示すように、蓄熱を行う際には、弁4が開放される。これにより、水蒸気が蒸発凝縮器2側に移動可能になることによって、水酸化カルシウムからなる蓄熱材は、水蒸気を放出することが可能になり、脱水反応が始まり、蓄熱材に熱が吸収(蓄熱)される。これにより、化学蓄熱装置100において、蓄熱が行われる。なお、脱水反応により、水酸化カルシウムからなる蓄熱材は酸化カルシウムになる。
【0059】
また、飽和した水蒸気により、反応容器1側の内圧が蒸発凝縮器2側の内圧よりも大きいことによって、水蒸気を含む空気は蒸発凝縮器2側に向かう気流となる。ここで、気流には、水蒸気だけでなく、主に粉末状の蓄熱材からなる異物も含まれており、水蒸気と共に異物も運ばれる。そして、配管部32をX1側に向かう気流は、接続配管22のX2側の開口部22c(
図6参照)から接続配管22内に流入する。
【0060】
ここで、本実施形態では、
図10に示すように、気流は、水平方向(X方向)に延びる接続配管22の第1部分22aを通過して、第1部分22aと第2部分22bとの接続部分で上方(Z1方向)に方向を転換する。そして、上方に向かう気流は、弁部材28の蓋部28cを下方(Z2側)から持ち上げるように蓋部28cに吹き付けられる。これにより、弁部材28の軸部28aが上方(Z1側)に移動されることによって、蓋部28cが本体部27の開口部27aを塞ぐ位置まで移動されて開口部27aは閉鎖状態になる。この結果、気流が開口部27aから本体部27の内部に流入するのが抑制される。
【0061】
また、気流は、開口部27aの高さ位置からさらに上方に向かうことによって、接続配管22の第2部分22bの内壁面と内部配管26の上部27bの外壁面との間を通過する。そして、気流は、上部27bの側面部に形成された窓部29を介して、内部配管26(本体部27)の内部に流入する。この際、気流は、導風部29aにより、本体部27の内壁面27jに沿うように導かれる。また、気流は、内部配管26の上部27bの内壁面27jと配管23の外壁面との間を通過する際に、配管23の外壁面によっても、本体部27の内壁面27jに沿うように導かれる。
【0062】
これにより、気流が本体部27の内壁面27jに沿いながら下方(Z2側)に向かうことによって、渦を巻きながら下方に向かうような旋回流が形成される。これにより、比重の大きな異物は、旋回流による遠心力により本体部27の内壁面27j側(外側)に移動されて、気流から分離される。一方、水蒸気は異物に比べて比重が小さいので、本体部27の内壁面27j側(外側)にはあまり移動されない。
【0063】
そして、第1テーパ部27cにより気流の流れる領域が徐々に狭くなるに従い、水蒸気を含む一方、異物が分離された気流は、本体部27の中央から上方に向かう。最後に、水蒸気を含む気流は、接続配管22の開口部23aから上方に排出されて、容器21の内部に到達する。
【0064】
一方、気流から分離された異物は、自重により下方(Z2側)に移動して、弁部材28の蓋部28cの上面に集められる。この際、接続部27dの内径が小さいことによって、気流により異物が上方に巻き上げられるのが抑制される。この結果、容器21の内部に異物が到達するのが抑制される。
【0065】
その後、
図5に示すように、水蒸気は、容器21の内壁面などに付着した状態で、外部の空気との熱交換が行われる(冷却される)ことによって凝縮して水となり、容器21の貯留部21bに貯留される。この際、蒸発凝縮器2の容器21が回転することによって、容器21の内壁面の広い範囲に水蒸気を付着させることが可能である。これにより、容器21が回転しない場合と比べて、より効率的に、蒸発凝縮器2において水蒸気を消費する(回収する)ことができるので、反応容器1における脱水反応をより進行させることが可能である。
【0066】
そして、
図4に示すように、蓄熱を終了する際には、弁4が閉鎖される。これにより、水蒸気が、配管部31および反応容器1からなる空間に飽和するまで脱水反応が進行するものの、それ以上の脱水反応(蓄熱)は行われない。
【0067】
次に、
図2〜
図6および
図11を参照して、化学蓄熱装置100の放熱時の動作について説明する。なお、放熱時においては、蒸発凝縮器2から反応容器1に水が蒸発されて水蒸気として供給される。
【0068】
図2に示す車両110の冷間始動時や走行初期などの暖機完了前には、エンジン120から排出された低温の排ガスGが排気管130bを流通する。そして、
図3に示すように、導入口61から導入された低温の排ガスGにより、反応容器1の外表面およびフィン12を介して反応容器1が冷やされる(反応容器1から熱が奪われる)。しかしながら、弁4が閉鎖されている状態では、水蒸気が存在しないため、蓄熱材において水和反応(放熱)は行われない。なお、配管部31および反応容器1からなる空間は、水蒸気が存在しない分、減圧されている。
【0069】
なお、蓄熱時と同様に、排ガスGの流通により、反応容器1、配管部32および蒸発凝縮器2の容器21が回転されるものの、
図6に示すように、軸受部24および重り25により、接続配管22の回転は規制される。これにより、接続配管22の第2部分22bが上方(Z1側)に延びた状態で上方に位置する状態が維持されて、開口部23aが容器21の内部で上向きに開口した状態が維持される。
【0070】
ここで、
図4に示すように、放熱を行う際には、弁4が開放される。この際、蒸発凝縮器2側の内圧が反応容器1側の内圧よりも大きいことにより、蒸発凝縮器2(
図4参照)が減圧されて水が水蒸気となるとともに、水蒸気を含む空気は反応容器1側に向かう気流となる。また、
図5に示すように、容器21が水に対して相対的に回転移動するので、水と容器21との熱交換を促進させることが可能であるとともに、容器21の内壁面の広い範囲に貯留部21bの水を付着させることが可能であるので、容器21が回転しない場合と比べて、より効率的に、蒸発凝縮器2において水を蒸発させて水蒸気を発生させることが可能である。
【0071】
そして、
図11に示すように、水蒸気を含む気流は、容器21の内部から接続配管22の開口部23aを介して接続配管22の内部配管26内に下方(Z2側)に向かって流入する。これにより、下方に向かう気流は、弁部材28の蓋部28cの上面に吹き付けられる。この結果、弁部材28の軸部28aが下方に移動されることによって、蓋部28cが本体部27の開口部27aを開放する。これにより、開口部27aは開放状態になり、気流が開口部27aから本体部27の外部に排出される。なお、蓄熱が終了した後に、弁部材28の自重により自動的に開口部27aが開放状態にされていてもよい。
【0072】
この際、蓄熱時に弁部材28の蓋部28cの上面に集められた異物は、開口部27aが開放状態になることに伴い、気流と共に本体部27の外部に排出される。また、本体部27の内壁面27jに付着した異物も、気流と共に本体部27の外部に排出される。そして、本体部27の外部に排出された、異物および水蒸気を含む気流は、接続配管22の開口部22cおよび蒸気配管3を通過して、
図4に示すように、反応容器1の内部に到達する。
【0073】
これにより、反応容器1内で、水蒸気と酸化カルシウムからなる蓄熱材とが水和反応することにより、蓄熱材から熱が放出(放熱)される。これにより、蓄熱材から放出された熱は、反応容器1からフィン12を介して熱交換流路を流れる低温の排ガスGに供給される。これにより、化学蓄熱装置100において放熱が行われて、低温の排ガスGが温められる。そして、
図2に示すように、熱交換器140を介してヒータコア160およびバッテリ170が加熱される。なお、水和反応により、酸化カルシウムからなる蓄熱材は水酸化カルシウムになる。
【0074】
また、
図4に示すように、気流に含まれていた主に粉末状の蓄熱材からなる異物は、反応容器1内に戻されることによって、再度、反応容器1内において蓄熱材として用いられる。
【0075】
一方、放熱を終了する際には、弁4が閉鎖される。これにより、水蒸気が反応容器1に供給されなくなることにより、それ以上の水和反応(放熱)は行われない。
【0076】
上記実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0077】
本実施形態では、上記のように、蒸発凝縮器2を、容器21が回転した場合にも、接続配管22の開口部23aが容器21内で上向きに開口した状態を維持するように構成する。これにより、貯留部21bに貯留される水は容器21の回転に拘わらず自重により容器21の下部に位置するため、水が突沸した際などであっても、開口部23aが下向きや横向きに開口する場合と異なり、上向きに開口した開口部23aから貯留部21bの水(水滴)が接続配管22に流入しにくい。この結果、開口部23aから流入した水(水滴)が接続配管22を介して蒸発凝縮器2の外部の反応容器1内に飛散するのを抑制することができる。したがって、反応容器1内の蓄熱材が飛散した水により凝集するのを抑制することができるので、蓄熱材の反応性能(蓄熱性能)が低下するのを抑制することができる。
【0078】
また、本実施形態では、第1部分22aの下部に取り付けられた重り25により、接続配管22の回転は規制されて、第2部分22bが上方(Z1側)に延びた状態が維持されるように構成する。これにより、重り25により、接続配管22の開口部23aが容器21内で上向きに開口した状態を容易に維持することができる。
【0079】
また、本実施形態では、容器21を、配管部32を回転軸として回転されるように構成するとともに、軸受部24により、配管部32が接続配管22に対して回転可能に構成され、かつ、接続配管22が支持されるように構成する。これにより、軸受部24により、接続配管22に回転が伝わるのを抑制した状態で配管部32を回転させることができるので、配管部32の回転により容器21を回転させる一方で、接続配管22が回転するのを抑制することができる。これにより、軸受部24と重り25とにより、容器21が回転した場合にも、接続配管22の開口部23aが容器21内で上向きに開口した状態を確実に維持することができる。
【0080】
また、本実施形態では、反応容器1からの水蒸気が凝縮されて水として回収される蓄熱時に内部配管26の開口部27aを閉鎖するように弁部材28を構成することによって、反応容器1からの水蒸気とともに流通する異物が、反応容器1側(下向き)に開口する開口部27aから内部配管26に直接的に流入して、開口部23aにそのまま到達するのを抑制することができる。これにより、異物が容器21内に到達するのを抑制することができる。また、反応容器1に水が蒸発されて水蒸気として供給される放熱時に開口部27aを開放するように弁部材28を構成することによって、反応容器1側に向かって開口する開口部27aから直接的に水蒸気を反応容器1に供給することができるとともに、水蒸気の流れ(気流)を利用して、内部配管26内に流入した異物を反応容器1側に向かって排出することができる。これらの結果、反応容器1からの異物が容器21内に到達するのを効果的に抑制することができる。
【0081】
また、本実施形態では、内部配管26において、開口部27aよりも開口部23a側(上側)に、反応容器1からの水蒸気が凝縮されて水として回収される蓄熱時に水蒸気が流通する窓部29と、内部配管26の内壁面27jに沿って延びる導風部29aとを設ける。これにより、導風部29aにより、窓部29から流入した異物および水蒸気を含む気流を本体部27の内壁面27jに沿うように導くことができるので、渦を巻きながら下方に向かうような旋回流を形成することができる。これにより、旋回流による遠心力を用いて、比重の重い異物と、水蒸気とを容易に分離することができる。
【0082】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0083】
たとえば、上記実施形態では、本発明の化学蓄熱装置100を車両110に搭載する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明の化学蓄熱装置を、車両以外の移動体に搭載してもよいし、据え置き型として用いてもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、本発明の蒸発凝縮器2を化学蓄熱装置100に用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明の蒸発凝縮器を、たとえば、吸収式ヒートポンプ装置の吸収器や蒸発器などに用いてもよい。この際、吸収器や蒸発器に用いられる溶液(吸収液や水など)が外部に飛散することに起因して溶液の量が減少するのを抑制することが可能である。
【0085】
また、上記実施形態では、重り25により接続配管22の回転が規制されることによって、第2部分22bが上方(Z1側)に延びた状態で上方に位置する状態が維持されるように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、接続配管の回転を規制することが可能な構成であれば、重り以外の構成を用いてもよい。たとえば、
図12に示す本実施形態の第1変形例のように、蒸発凝縮器202の接続配管22の第1部分22aの下部に、貯留部21bの水面Sに浮かぶフロート225を取り付けてもよい。ここで、容器21の貯留部21bの水は、容器21の回転に拘わらず容器21の下部に位置することにより、容器21の回転に拘わらず水面Sも所定の高さ位置で略変化しない。これにより、第2部分22bに遠心力が加えられることなどにより、接続配管22に第1部分22aを回転軸として回転するような力が働いたとしても、第1部分22aの下部に取り付けられたフロート225は常に略同じ高さ位置に位置するので、接続配管22の回転は規制されて、第2部分22bが上方(Z1側)に延びた状態を維持することが可能である。この結果、開口部23aを、容器21が回転した場合でも、容器21の内部で上向きに開口した状態を維持することが可能である。なお、フロート225は、接続配管22をY方向に挟み込むように一対設けられている。また、フロート225は、本発明の「回転規制部」の一例である。
【0086】
また、上記実施形態では、軸受部24および重り25(回転規制部材)により、容器21が回転した場合にも、接続配管22の開口部23aが容器21内で上向きに開口した状態を維持するように構成した例を示し、上記実施形態の第1変形例では、重りの代わりにフロート225(回転規制部材)を用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、容器が回転した場合にも、接続配管の容器側の開口部が容器内で上向きに開口した状態を維持することが可能であれば、軸受部または回転規制部材のいずれか一方のみを用いてもよい。具体的には、接続配管の回転が主に蒸気配管(配管部)の回転のみに起因する場合には、軸受部のみにより、接続配管の回転を抑制することによって、接続配管の容器側の開口部が容器内で上向きに開口した状態を維持することが可能である。また、接続配管の回転が蒸気配管(配管部)の回転よりも慣性力などの他の力に主に起因する場合には、回転規制部材のみにより接続配管の回転を規制することによって、接続配管の容器側の開口部が容器内で上向きに開口した状態を維持することが可能である。さらに、容器が回転した場合にも、接続配管の容器側の開口部が容器内で上向きに開口した状態を維持することが可能であれば、軸受部および回転規制部材以外の部材や構成を用いてもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、蓄熱および放熱が共に行われていな状態において開口部27aが開放状態にされる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、蓄熱および放熱が共に行われていな状態において開口部が閉鎖状態にされるように構成してもよい。たとえば、
図13に示す本実施形態の第2変形例のように、内部配管326において、弁部材328の鍔部28bと、本体部27の係止部27gとの間にばね部材328dを配置することによって、ばね部材328dの付勢力により、蓋部28cが開口部27aを塞ぐ位置に移動されるように構成してもよい。これにより、蓄熱および放熱が共に行われていな状態において開口部27aを閉鎖状態にすることが可能である。この結果、蓄熱時の初期において弁部材328が開放状態から閉鎖状態に移行するまでの間に、水蒸気だけでなく異物も含む気流が開口部27aから本体部27の内部に直接的に流入してしまうのを抑制することができるので、異物が容器の内部に到達するのを確実に抑制することが可能である。なお、ばね部材328dの付勢力は、弁部材328の自重よりも若干大きい程度である方が、容易に、開口部27aを開放状態に移行させることが可能であり、好ましい。
【0088】
また、上記実施形態では、排ガスGにより、フィン12が設けられた反応容器1を回転させた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、別途モータなどの回転駆動部を設け、回転駆動部の駆動により、反応容器、蒸気配管(配管部)および蒸発凝縮器の容器を回転させてもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、本発明の反応容器1と排ガスGとが熱交換を行うとともに、本発明の蒸発凝縮器2と外部の空気とが熱交換を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、反応容器および蒸発凝縮器の少なくともいずれか一方を、たとえば、クーラント液などの流体と熱交換を行うように構成してもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、蒸発凝縮器2を1つだけ設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、蒸発凝縮器を複数設けてもよい。この際、共通の接続配管を設けるとともに、各々の蒸発凝縮器の容器内において接続配管を上方に向かうように分岐させる構成を採用することが可能である。
【0091】
また、上記実施形態では、蒸発凝縮器2の容器21の外側面にフィン21aを設けた例を示した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、容器の内側面にフィンを設けてもよい。これにより、水(または水蒸気)と容器との接触面積を大きくすることができるので、より効率的に、水と容器と間の熱交換を行わせることが可能である。
【0092】
また、上記実施形態では、本発明の溶液の一例として水を示したが、本発明はこれに限られない。本発明の蒸発凝縮器を化学蓄熱装置に用いる場合、化学蓄熱可能な蓄熱材と反応する溶液であれば、溶液は水に限られない。たとえば、溶液としてアンモニアやメタノールを用いてもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、本発明の蓄熱材の一例として、酸化カルシウム(CaO)からなる蓄熱材を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、化学蓄熱可能な蓄熱材であればよい。たとえば、硫酸カルシウム(CaSO
4)、酸化マグネシウム(MgO)および酸化バリウム(BaO)などの材料からなる蓄熱材を用いてもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、導風部29aを本体部27と一体的に形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、本体部とは別部材の導風部材を本体部に取り付けてもよい。