(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記入出部から全ての前記媒体を搬送して前記鑑別部により鑑別した後、前記搬送経路貯留部に貯留していた前記リジェクト媒体を前記第1搬送部により前記入出部へ搬送させる
ことを特徴とする請求項3に記載の媒体処理装置。
前記制御部は、前記搬送経路貯留部に新たな前記リジェクト媒体を貯留し得なくなった場合、前記入出部からの新たな前記媒体の搬送を中断させ、前記搬送経路貯留部に貯留している全ての前記リジェクト媒体を前記第1搬送部により前記入出部へ搬送させる
ことを特徴とする請求項3に記載の媒体処理装置。
前記入出部は、前記媒体を収容する収容器と、前記収容器内の前記媒体を個別に取り込み前記第1搬送部に受け渡す取込口と、前記取込口から独立し前記第1搬送部から受け渡される前記媒体を前記収容器内へ放出する放出口と、前記取込口に繋がる取込搬送経路と、前記放出口に繋がる放出搬送経路と、前記第1搬送部を前記取込搬送経路又は前記放出搬送経路と接続させるよう切り替える入出切替部とをさらに具える
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
前記鑑別部は、前記媒体の走行状態を検知する走行センサ及び他のセンサを有し、前記媒体の走行経路上で前記リジェクト切替部から最も遠い位置に前記走行センサが配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
前記制御部は、前記走行センサによる前記媒体の鑑別結果を基に当該媒体の搬送先を決定して前記リジェクト切替部を切り替えさせることにより、当該媒体を前記入出部又は前記リジェクト庫へ搬送させる
ことを特徴とする請求項14に記載の媒体処理装置。
前記他のセンサの少なくとも一部は、搬送されている前記媒体についての鑑別結果を得て前記制御部へ送出し、当該制御部が当該鑑別結果を基に前記リジェクト切替部を切り替えさせる前に、当該媒体が当該リジェクト切替部に到達する位置に配置されている
ことを特徴とする請求項14に記載の媒体処理装置。
前記制御部は、前記走行センサによる前記媒体の鑑別結果を基にその搬送先を決定して前記リジェクト切替部を切り替えさせた後に、前記他のセンサの少なくとも一部から得られた鑑別結果を基に搬送先を変更した場合、前記第1搬送部により搬送中の当該媒体を停止させ、さらに反対方向へ搬送して前記リジェクト切替部よりも前記鑑別部側まで戻した後、変更後の前記搬送先に応じて前記リジェクト切替部を切り替えさせて当該媒体を搬送させる
ことを特徴とする請求項16に記載の媒体処理装置。
前記媒体収納庫及び前記リジェクト庫は、前記媒体処理装置の筐体に対しそれぞれ着脱可能であり、且つ当該媒体処理装置の筐体への取付及び前記媒体の搬送に関して互いに互換性を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
前記制御部は、前記一時保留切替部を介して前記第1搬送部から前記第2搬送部へ前記リジェクト媒体を受け渡す際に、前記第2搬送部において前記媒体を間欠的に搬送させる
ことを特徴とする請求項25に記載の媒体処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0018】
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動預払機の全体構成]
図1に外観を示すように、現金自動預払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、顧客との間で入金処理や出金処理等の現金に関する取引を行うようになっている。
【0019】
筐体2は、その前側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所に顧客応対部3が設けられている。顧客応対部3は、顧客との間で例えば現金やカード等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行うようになされており、カード入出口4、入出金口5、操作表示部6、テンキー7、及びレシート発行口8が設けられている。
【0020】
カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入または排出される部分である。カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。入出金口5は、顧客によって入金される紙幣が投入されると共に、顧客へ出金する紙幣BLが排出される部分である。また入出金口5は、シャッタを駆動することにより開放又は閉塞するようになっている。因みに紙幣は、例えば長方形の紙で構成されている。
【0021】
操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチセンサとが一体化されたタッチパネルとなっている。テンキー7は、「0」〜「9」の数字等の入力を受け付ける物理キーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。因みにレシート発行口8の奥側には、レシートに取引内容等を印字するレシート処理部(図示せず)が設けられている。
【0022】
以下では、現金自動預払機1のうち顧客が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、当該前側に対峙した顧客から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
【0023】
筐体2の内部には、現金自動預払機1全体を統括制御する主制御部9や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10等が設けられている。主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金処理や出金処理等の種々の処理を行う。また主制御部9は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
【0024】
[1−2.紙幣入出金機の構成]
紙幣入出金機10は、
図2に側面図を示すように、内部に媒体としての紙幣に関する種々の処理を行う複数の部分が組み込まれている。紙幣入出金機10は、大きく分けて、上下方向のほぼ中央よりも上側部分を占める上部ブロック10Uと、その下側部分を閉める下部ブロック10Lとにより構成されている。
【0025】
[1−2−1.上部ブロックの構成]
上部ブロック10Uには、全体を統括制御する紙幣制御部11、顧客との間で紙幣を授受する入出金部12、紙幣を各部へ搬送する搬送部13、紙幣を鑑別する鑑別部14、紙幣を一時的に収納する一時保留部15、及び偽券と鑑別された紙幣を収納する偽券庫18が設けられている。
【0026】
制御部としての紙幣制御部11は、主制御部9と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、紙幣の搬送先を決定する処理や各部の動作を制御する処理等、種々の処理を行う。また紙幣制御部11は、内部にRAM及びフラッシュメモリ等でなる記憶部11Mを有しており、この記憶部11Mに種々の情報を記憶させる。
【0027】
入出部としての入出金部12は、上部ブロック10Uの内部における前上部に位置している。この入出金部12は、顧客から入金された紙幣及び顧客へ出金すべき紙幣を収容する収容器12Aを内部に有しており、その上方をシャッタ12Bにより開閉し得るようになっている。収容器12Aの内部には、複数の紙幣が紙面を前後方向に向けて集積された状態で、すなわち前後方向に沿って整列された状態で収容される。
【0028】
また入出金部12の前下方には、取込放出口12C及び入出金搬送部12Dが設けられている。取込放出口12Cは、紙幣制御部11の制御に基づき、取込モード及び放出モードといった2種類の動作モードを切り替えて動作するようになっている。すなわち取込放出口12Cは、取込モードにおいて、収容器12A内の紙幣を1枚ずつに分離して所定の時間間隔毎に下方へ送り出し、入出金搬送部12Dを介して搬送部13に受け渡す。これにより搬送部13は、
図3(A)に示すように、紙幣BL同士の間に所定の搬送間隔V1(
図3における搬送間隔V1−1、V1−2及びV1−3)を隔てて搬送する。また取込放出口12Cは、放出モードにおいて、搬送部13から入出金搬送部12Dを介して受け渡された紙幣を収容器12A内へ放出する。
【0029】
偽媒体庫としての偽券庫18は、上部ブロック10Uの内部における後端近傍であって、搬送部13の真上に隣接する位置に設けられており、内部に紙幣を収納する空間を有している。この偽券庫18は、後述する鑑別部14及び紙幣制御部11により偽造紙幣(以下、偽券と呼ぶ)と判断された紙幣が搬送部13により搬送されてくると、これを内部に収納する。
【0030】
[1−2−2.搬送部の構成]
搬送部13は、上部ブロック10Uの内部における下端部分、換言すれば、後述する下部ブロック10Lの上方に配置されている。すなわち搬送部13は、紙幣入出金機10全体における上下のほぼ中央を前後方向に横切るように位置しており、全体的に上下方向に薄く前後方向に細長い形状となっている。この搬送部13の内部には、多数の回転するローラや紙幣を案内するガイド等が適宜配置されており、紙幣の短手方向を進行方向として、主に前後方向に沿って搬送させるような直線状の搬送路が形成されている。
【0031】
また搬送部13の内部には、複数の切替部が配置されている。各切替部は、ブレードと呼ばれる部材(図中三角形で示す)及びその周囲に配置された複数のローラにより構成されている。ブレードは、左右方向に長く、且つ左右方向から見て楔形に形成されており、回転して傾斜方向を変化させることで、紙幣の搬送方向を2通りに切り替える。各ローラは、紙幣の搬送路を挟んで互いに対向するように配置されている。この切替部は、紙幣制御部11の制御に従い、各紙幣の搬送先に応じてブレードの傾斜方向を変化させると共に各ローラを所定の回転方向へ回転させることにより、紙幣の搬送方向を適宜切り替えて所望の搬送先へ搬送する。
【0032】
一方、搬送部13は、
図4に拡大図を示すように、大きく分けて前側の第1搬送部21と、後側の第2搬送部22と、両者を接続する一時保留切替部20とにより構成されている。
【0033】
一時保留切替部20は、中心に位置するブレード20Bと、当該ブレード20Bの前側、後側及び上側にそれぞれ位置するローラ20R1、20R2及び20R3とにより構成されている。ブレード20Bは、上述した各切替部のブレードと同様、回転して傾斜角度を変化させるものの、他の切替部と異なり、紙幣の搬送方向を3通りに切り替える、いわゆる3ウェイブレードとなっている。
【0034】
具体的に一時保留切替部20は、上側の一時保留部15と前側の第1搬送部21とを結ぶ搬送経路を形成するか、上側の一時保留部15と後側の第2搬送部22とを結ぶ搬送路を形成するか、或いは前側の第1搬送部21と後側の第2搬送部22とを結ぶ搬送経路を形成するかを切り替える。
【0035】
第1搬送部21の内部には、前方から順に、リジェクト切替部23、鑑別部14(詳しくは後述する)及び第1切替部24が直列に配置されると共に、これらの間が比較的短い搬送短路によりそれぞれ接続されており、全体として前後方向に沿った直線状の搬送経路が形成されている。また説明の都合上、第1搬送部21のうち鑑別部14の前側及び後側の各部分をそれぞれ前部21A及び後部21Bと呼ぶ。
【0036】
リジェクト切替部23は、ブレードの傾斜方向を変化させて紙幣の搬送経路を2通りに切り替えるようになっており、上側の入出金部12と後側の鑑別部14との間を結ぶ搬送経路を形成するか、或いは後側の鑑別部14と下側のリジェクト庫16とを結ぶ搬送経路を形成する。第1切替部24は、リジェクト切替部23と同様に紙幣の搬送経路を2通りに切り替えるようになっており、後側の搬送短路と下側の紙幣収納庫17Aとを結ぶ搬送経路を形成するか、或いは後側の搬送短路と前側の搬送短路とを結ぶ搬送経路を形成する。
【0037】
第2搬送部22の内部には、前方から順に、第2切替部25、第3切替部26、第4切替部27及び偽券切替部28が直列に配置されており、第1搬送部21と同様、これらの間が比較的短い搬送短路によりそれぞれ接続されることで、全体として前後方向に沿った直線状の搬送経路が形成されている。
【0038】
第2切替部25、第3切替部26及び第4切替部27は、何れも第1切替部24とほぼ前後対称に形成されており、紙幣の搬送経路を2通りに切り替えるようになっている。すなわち第2切替部25、第3切替部26及び第4切替部27は、前側の搬送短路と下側の紙幣収納庫17B、17C又は17Dとを結ぶ搬送経路を形成するか、或いは前側の搬送短路と後側の搬送短路とを結ぶ搬送経路を形成するかを切り替える。
【0039】
偽券切替部28は、第2切替部25、第3切替部26及び第4切替部27とほぼ上下対称に形成されており、前側の搬送短路と上側の偽券庫18とを結ぶ搬送経路を形成するか、或いは前側の搬送短路と後側の搬送短路を介して紙幣収納庫17Eとを結ぶ搬送経路を形成するかを切り替える。
【0040】
ところで第1搬送部21、第2搬送部22の各ローラ並びに一時保留切替部20を構成する各ローラは、
図4の駆動境界線B1により前後に区切られる領域毎に、互いに独立して制御される専用のモータM1及びM2からそれぞれ駆動力が伝達される。
【0041】
すなわち前側のモータM1は、第1搬送部21の各ローラと、一時保留切替部20においてブレード20Bの前側に位置するローラ20R1とを駆動する。また後側のモータM2は、第2搬送部22の各ローラと、一時保留切替部20においてブレード20Bの後側に位置するローラ20R2とを駆動する。因みに一時保留切替部20のローラ20R3は、後述する一時保留部15から駆動力の供給を受けて回転する。
【0042】
このため搬送部13では、紙幣制御部11によってモータM1及びM2がそれぞれ独立に制御されることにより、一時保留切替部20のブレード20Bよりも前側の部分(すなわち主に第1搬送部21の各ローラ)と後側の部分(すなわち主に第2搬送部22の各ローラ)とを互いに独立に駆動させ、互いに独立に紙幣を搬送することができる。
【0043】
またモータM1及びM2は、例えばステッピングモータやDC(Direct Current)ブラシレスモータ等のように、紙幣制御部11により回転角度を詳細に制御し得るようになっている。このため紙幣制御部11は、モータM1及びM2の正確な回転数や回転角度等を把握しており、またこれに所定の係数を乗じる等の演算処理を施すことにより、各ローラの回転数や回転角度、すなわち紙幣の搬送距離も把握している。
【0044】
このように搬送部13は、第1搬送部21、一時保留切替部20及び第2搬送部22により、前後方向に沿った直線状の搬送経路を形成し、この搬送経路に沿って紙幣を主に前後方向へ搬送すると共に、複数の切替部によりその搬送経路を切り替えるようになっている。
【0045】
[1−2−3.鑑別部の構成]
鑑別部14は、内部に複数種類のセンサが組み込まれており、搬送される紙幣の金種、真偽、正損(損傷しているか否か)、及び搬送状態を認識し、その認識結果を紙幣制御部11へ送出するようになっている。ここで搬送状態とは、例えば紙幣が搬送方向に対し傾斜しているか否か、搬送される紙幣同士の間隔が適正か否か、及び複数枚の紙幣が重なっているか否か(すなわち重送や連鎖が発生しているか否か)等の状態を表す。
【0046】
具体的に鑑別部14の内部には、前側の前受渡口14Fと後側の後受渡口14Rとの間を前後方向に沿って直線状に結ぶような搬送経路が形成されており、この搬送経路に沿って後側から順に走行センサ31、イメージセンサ32及び真偽センサ33が配置されている。
【0047】
走行センサ31は、例えば厚みセンサ及び光学センサを有している。厚みセンサは、搬送される紙幣の厚みを検知し、その検知結果を紙幣制御部11へ供給する。紙幣制御部11は、厚みセンサから供給された検知結果を基に、搬送されている紙幣の厚みが1枚分に相当するか、或いは2枚以上に相当するかを判断するようになっている。
【0048】
光学センサは、例えば光を発光する発光素子とこの光を受光する受光素子とが搬送経路を挟んで対向するように配置されており、当該搬送経路を搬送される紙幣により光が遮光されたか否かを検知し、その検知結果を紙幣制御部11へ送出する。また走行センサ31には、複数の光学センサが左右方向、すなわち搬送方向である前後方向と交差する方向に沿って配置されている。紙幣制御部11は、各光学センサから供給された検知結果及びその時間的な変化等を基に、搬送されている紙幣の搬送方向に沿った長さ、搬送方向に沿った紙幣同士の間隔、及び搬送方向に対する紙幣の傾斜を認識するようになっている。
【0049】
すなわち走行センサ31は、厚みセンサ及び各光学センサの検知結果をそれぞれ紙幣制御部11へ供給することにより、紙幣同士の間隔、搬送方向に対する紙幣の傾き(いわゆるスキュー)の有無、及び紙幣同士の重なり(いわゆる重送や連鎖)の有無等といった紙幣の搬送状態を当該紙幣制御部11に認識させるようになっている。
【0050】
イメージセンサ32は、搬送経路を挟んで対向する2個の撮像素子を有している。この撮像素子は、搬送経路を搬送される紙幣の両面をそれぞれ撮像して画像データを生成し、これらを紙幣制御部11へ送出する。紙幣制御部11は、予め記憶している金種ごとの画像データと供給された画像データとを比較することにより、各紙幣の金種や損傷の程度等を認識し、さらに各紙幣に記されている個別の記番号を認識するようになっている。
【0051】
真偽センサ33は、例えば磁気センサでなり、搬送経路上を搬送される紙幣の磁気を検知し、その検知結果を紙幣制御部11へ送出する。紙幣制御部11は、真偽センサ33から供給された検知結果を基に、紙幣が真正なもの(いわゆる真券)又は偽造されたもの(いわゆる偽券)の何れであるかを判断するようになっている。
【0052】
またこの鑑別部14は、第1搬送部21の内部において、リジェクト切替部23との距離が極めて短くなるよう設置されている。具体的に、鑑別部14内で最も前方に位置する真偽センサ33は、その前方に位置するリジェクト切替部23におけるブレードの後端との距離が、紙幣における搬送方向に沿った長さ、すなわち短辺の長さよりも短くなっている。
【0053】
このため第1搬送部21は、例えば鑑別部14の内部を後方から前方へ向けて搬送している場合、当該紙幣の末端部分を真偽センサ33に到達させてその磁気を検知する前に、当該紙幣の先端をリジェクト切替部23のブレードに到達させることになる。
【0054】
[1−2−4.一時保留部の構成]
一時保留部15は、いわゆるテープエスクロ方式を採用しており、円筒状のドラムの周側面に紙幣をテープと共に巻き付けることで当該紙幣を収納し、またこの周側面から当該テープを引き剥がすことで紙幣を繰り出すようになっている。具体的に一時保留部15は、
図5に拡大図を示すように、ほぼ直方体状の筐体40の内部にドラム41、一時保留搬送部42、走行監視センサ43、テープ44及びリール45等を有している。
【0055】
ドラム41は、中心軸を左右方向に向けた円筒状に形成されており、筐体40内のほぼ中央において回転可能に支持されている。このドラム41は、紙幣制御部11により制御されるモータ(図示せず)からの駆動力が伝達されることにより、巻取方向R1又は巻戻方向R2へ回転される。
【0056】
このモータは、第1搬送部21及び第2搬送部22をそれぞれ駆動するモータと同様、例えばステッピングモータやDCブラシレスモータ等となっている。このため紙幣制御部11は、これらのモータの正確な回転角度を把握しており、またこれに所定の係数を乗じる等の演算処理を施すことにより、ドラム41の回転数や回転角度に加えて、周側面に対するテープ44の巻付距離(すなわち長さ)も把握している。
【0057】
一時保留搬送部42は、複数のローラやガイド等によって構成され、筐体40の下面前寄りに形成された受渡口40Bとドラム41の周側面との間で紙幣を双方向へ搬送する。また一時保留搬送部42における受渡口40Bの近傍には、一時保留検知部としての走行監視センサ43が配置されている。走行監視センサ43は、鑑別部14の走行センサ31に設けられた光学センサと同様に構成されており、紙幣の搬送状態を検知して、その検知結果を紙幣制御部11へ送出する。これに応じて紙幣制御部11は、一時保留搬送部42によって搬送される紙幣同士の間隔やスキューの有無、紙幣の重なりや搬送方向の長さ等を認識することができる。
【0058】
テープ44は、薄く細長いフィルム状に形成されており、糸巻き状に形成されたリール45の周側面に巻き取られている。リール45から引き出されたテープ44は、筐体内を適宜走行するよう引き回された後、一時保留搬送部42に沿ってドラム41の周側面に近接し、やがて当該ドラム41の周側面に巻き付けられる。
【0059】
かかる構成において一時保留部15は、搬送部13から受け渡される紙幣を順次収納する収納処理を行う場合、一時保留搬送部42により当該紙幣を上方ないし後方へ搬送すると共にドラム41を巻取方向R1に回転させ、当該ドラム41の周側面にテープ44と共に紙幣を巻き付ける。
【0060】
このとき一時保留部15は、一時保留搬送部42における紙幣の搬送速度を搬送部13に揃えており、またドラム41の回転速度を調整することでテープ44の走行速度及び当該ドラム41における最外周部分の線速度も当該紙幣の搬送速度に揃えている。このため一時保留部15は、搬送部13から順次搬送されてくる紙幣の搬送方向に対するスキューや紙幣同士の間隔を維持したまま、すなわち搬送状態を維持したまま、各紙幣をテープ44と共にドラム41の周側面に巻き付け、収納していくことができる。
【0061】
また一時保留部15は、搬送部13へ紙幣を順次繰り出す操出処理を行う場合、リール45を所定の方向に回転させてテープ44を巻き取らせると共にドラム41を巻戻方向R2へ回転させることにより、ドラム41の周囲に巻き付いていた紙幣をテープ44と共に引き剥がして一時保留搬送部42に受け渡す。一時保留搬送部42は、この紙幣を前方ないし下方へ搬送して受渡口40Bから搬送部13へ受け渡す。
【0062】
このとき一時保留部15は、やはり一時保留搬送部42における紙幣の搬送速度を搬送部13に揃え、且つテープ44の走行速度及びドラム41における最外周部分の線速度も当該紙幣の搬送速度に揃えている。このため一時保留部15は、紙幣をドラム41の周側面に巻き付けたときの搬送状態、すなわち紙幣の搬送方向に対するスキューや紙幣同士の間隔を維持したまま、各紙幣を収納時と反対の順序で順次繰り出し、搬送部13に受け渡していくことができる。
【0063】
このように一時保留部15は、ドラム41の周側面に紙幣をテープ44と共に巻き付け、またこれを巻き戻して当該紙幣を引き剥がすことにより、紙幣の搬送状態を保ったまま収納し、また繰り出すようになっている。
【0064】
[1−2−5.下部ブロックの構成]
下部ブロック10Lには、再使用すべきでない紙幣を収納するリジェクト庫16及び再利用可能な紙幣を収納する5個の紙幣収納庫17(17A、17B、17C、17D及び17E)が設けられている。
【0065】
リジェクト庫16は、下部ブロック10Lの内部における最も前側且つ上寄りに位置しており、上下方向に長い直方体状に形成されると共に内部に紙幣を集積して収納する空間を有している。因みにリジェクト庫16は、上下方向の長さが下部ブロック10Lの半分程度となっている。このリジェクト庫16は、鑑別部14及び紙幣制御部11により損傷の程度が大きく再利用すべきで無いと判断された紙幣が搬送部13により搬送されて来ると、当該紙幣を内部に収納する。
【0066】
下部ブロック10Lの内部におけるリジェクト庫16の後方には、前側から後側へ向けて順に媒体収納庫としての紙幣収納庫17A、17B、17C、17D及び17Eが設けられている。各紙幣収納庫17(17A、17B、17C、17D及び17E)は、何れも同様に構成されており、上下方向に長い直方体状に形成されると共に内部に紙幣を集積して収納する空間を有している。因みに紙幣収納庫17は、上下方向の長さが下部ブロック10Lとほぼ同等となっている。
【0067】
各紙幣収納庫17は、それぞれ収納すべき紙幣の金種が予め設定されている。この紙幣収納庫17は、鑑別部14及び紙幣制御部11により損傷の程度が小さく再利用が可能であると判断された紙幣が、その金種に応じて搬送部13により搬送されてくると、当該紙幣を内部に集積して収納する。また紙幣収納庫17は、紙幣制御部11から紙幣を繰り出す指示を受け付けると、集積している紙幣を1枚ずつに分離して繰り出し、搬送部13に受け渡す。
【0068】
因みに紙幣収納庫17は、紙幣制御部11の制御により、収納されている紙幣の繰出のみを行う出金庫として動作することや、搬送されてくる紙幣の収納のみを行う入金庫として動作することもできる。
【0069】
また下部ブロック10Lは、その全ての周側面が頑強な頑強筐体としての金庫筐体10Sにより覆われている。この金庫筐体10Sは、例えば後側に開閉可能な扉及び閉塞状態を維持する錠(何れも図示せず)が設けられており、この錠が解錠され扉が開放された場合のみ、下部ブロック10L内の各部にアクセスすることが可能となっている。
【0070】
搬送部13は、この下部ブロック10Lの上方、すなわち金庫筐体10Sの外部に位置している。このため搬送部13の第1搬送部21、一時保留切替部20及び第2搬送部22は、金庫筐体10Sの上側において前方から後方へ向けて並べられており、前後方向に沿った一直線状の搬送経路を形成している。また金庫筐体10Sの上面には、搬送部13とリジェクト庫16又は各紙幣収納庫17との間にスリット状の細長い貫通孔が穿設されている。搬送部13は、この金庫筐体10Sの貫通孔を介して、リジェクト庫16または各紙幣搬送部17との間で紙幣を上下方向に受け渡すことができる。
【0071】
因みに各紙幣収納庫17は、紙幣収納カセットとも呼ばれており、装填ブロックとしての下部ブロック10Lに対し着脱し得るようになっている。具体的に下部ブロック10Lは、金庫筐体10Sに対し内部のフレーム(図示せず)を前後方向にスライドさせ得るスライド機構(図示せず)が組み込まれており、当該フレームに複数のスロット(図示せず)が整列方向としての前後方向に沿って形成されている。これと同様にリジェクト庫16は、リジェクトカセットとも呼ばれており、紙幣収納庫17と同様、下部ブロック10Lに対し着脱し得るようになっている。さらに紙幣収納庫17及びリジェクト庫16は、互いに互換性を有する構造となっている。
【0072】
各紙幣収納庫17は、下部ブロック10Lの金庫筐体10Sからフレームが引き出された状態で、スロットから引き抜かれ、或いは当該スロットに装填される。スロットから取り外された紙幣収納庫17は、金融機関の職員等により、その内部に収納されていた紙幣が取り出され、或いは紙幣が収納される。このとき収納される紙幣は、所定の紙幣処理装置等により金種、真偽、損傷の程度等が鑑別されたものであり、出金処理において顧客へ出金し得るような良好な状態となっている。
【0073】
[1−3.入金処理及び出金処理]
次に、紙幣入出金機10における紙幣の入金処理及び出金処理について、
図6、
図7及び
図8を用いてそれぞれ詳細に説明する。因みに
図6、
図7及び
図8は、何れも紙幣入出金機10における上部ブロック10Uのうち入出金部12、搬送部13、鑑別部14及び一時保留部15を拡大して表したものである。
【0074】
[1−3−1.入金処理]
まず、顧客(利用者)が現金自動預払機1へ紙幣を入金する入金処理を行う場合について、
図6及び
図7を参照しながら説明する。紙幣入出金機10は、受入処理としての入金処理において、紙幣制御部11の制御に基づき、先に入金された紙幣の金種等を鑑別しながら枚数を計数する入金計数処理を行い、次に紙幣を適切な収納箇所へ搬送して収納する入金収納処理を行うようになっている。
【0075】
具体的に紙幣制御部11は、例えば顧客により操作表示部6(
図1)を介して入金処理を開始する旨の操作入力を受け付けると、入金計数処理を開始し、入出金部12のシャッタ12Bを開いて収容器12A内へ紙幣を投入させる。次に紙幣制御部11は、操作表示部6を介して紙幣の取り込みを開始する操作入力を受け付けると、シャッタ12Bを閉じ、取込放出口12Cを取込モードで動作させることにより、当該収容器12A内の紙幣を1枚ずつに分離して取り込み、下流に位置する搬送部13の第1搬送部21へ順次受け渡す。
【0076】
因みに取込放出口12Cは、搬送方向に対し紙幣の短辺をほぼ平行とし、長辺をほぼ直交させた状態で、下流に位置する搬送部13の第1搬送部21に受け渡す。また取込放出口12Cは、所定の時間間隔ごとに紙幣を取り込んで繰り出すことにより、
図3(A)に示したように、第1搬送部21により搬送される紙幣同士の間に所定の搬送間隔V1を隔てる。
【0077】
第1搬送部21は、リジェクト切替部23を切り替えて入出金部12と後側の鑑別部14との間を結ぶ搬送経路を形成し、矢印Q1(
図6)により示すように、紙幣を下流の鑑別部14における前側の前受渡口14Fへ順次受け渡す。
【0078】
鑑別部14は、内部で紙幣を後方へ搬送しながら、真偽センサ33、イメージセンサ32及び走行センサ31により各紙幣を順次鑑別し、後側の後受渡口14Rから当該紙幣を再び第1搬送部21の後部21Bに受け渡すと共に、その鑑別結果を紙幣制御部11へ送出する。因みに鑑別部14の各センサは、順次搬送される紙幣BL同士の間隔が比較的広い搬送間隔V1だけ隔てられているため、当該紙幣BL同士の境界を明確に認識しながら1枚ずつ鑑別することができる。
【0079】
紙幣制御部11は、取得した鑑別結果を基に、まず各紙幣における損傷の程度や金種、或いは真偽を判断する。次に紙幣制御部11は、各紙幣について、正常な紙幣として認識でき以降の処理を継続できる入金受入紙幣であるか、或いは正常な紙幣として認識できないため一度顧客に返却すべき入金リジェクト紙幣であるかを判断する。多くの場合、例えば折り畳まれた状態の紙幣、多くの皺が形成された紙幣、或いは誤って入出金部12に投入された紙幣以外の紙(メモ用紙やレシート等)が入金リジェクト紙幣として判断される。
【0080】
また紙幣制御部11は、入金受入紙幣について、損傷の程度が大きいリジェクト紙幣についてはリジェクト庫16を、正常であり再利用可能な紙幣については金種ごとの各紙幣収納庫17を、また偽券については偽券庫18を、それぞれ最終的な搬送先として決定する。さらに紙幣制御部11は、紙幣の搬送順序と対応付けて、各紙幣の金種、記番号、搬送状態(すなわちスキュー及び紙幣同士の間隔)、並びに決定した搬送先等を、鑑別部14における計数時情報として記憶部11Mに記憶しておく。
【0081】
次に第1搬送部21は、第1切替部24により後側の搬送短路と前側の搬送短路とを結ぶ搬送経路を形成し、上流に位置する鑑別部14の後受渡口14Rから受け渡された紙幣を後部21Bにより後方へ搬送して、当該鑑別部14の下流に位置する一時保留切替部20へ順次受け渡す。
【0082】
一時保留切替部20は、紙幣制御部11の制御に基づき、紙幣ごとの鑑別結果に応じた搬送経路に切り替える。具体的に一時保留切替部20は、入金受入紙幣及び偽券については、矢印Q2により示すように、上側の一時保留部15と前側の第1搬送部21とを結ぶ搬送経路を形成して一時保留部15へ進行させる。一方、入金リジェクト紙幣については、矢印Q3により示すように、前側の第1搬送部21と後側の第2搬送部22とを結ぶ搬送経路を形成して第2搬送部22内へ進行させる。
【0083】
一時保留部15は、上述した収納処理を行うことにより、上流の一時保留切替部20から順次受け渡される入金受入紙幣及び偽券を順次収納していく。このとき一時保留部15は、第1搬送部21と同等の搬送速度で一時保留搬送部42(
図5)により紙幣を搬送すると共にテープ44を走行させ、且つ周側面がこれらと同等の線速度となるようドラム41を回転させる。これにより一時保留部15は、第1搬送部21における紙幣の搬送状態、すなわち搬送方向に対する各紙幣の傾斜角度や前後の紙幣同士の間隔等を維持したまま、各紙幣を順次巻き付けていく。
【0084】
またこのとき一時保留部15は、走行監視センサ43により各紙幣の搬送状態を検知し、その検知結果を紙幣制御部11へ送出する。これに応じて紙幣制御部11は、この検知結果を紙幣の搬送順序と対応付け、一時保留部15における収納時搬送情報として記憶部11Mに記憶させる。
【0085】
一方、第2搬送部22は、上流の一時保留切替部20から受け渡される入金リジェクト紙幣を、
図7における点線部分のように、前後方向に沿った搬送経路(以下これを搬送経路貯留部22Sと呼ぶ)中に順次貯留していく。換言すれば、第2搬送部22は、本来的には紙幣を主に前後方向へ搬送する搬送経路として機能するものの、入金計数処理においては紙幣BLを貯留する搬送経路貯留部22Sとして機能するようになっている。
【0086】
具体的に第2搬送部22は、上流の第1搬送部21と同等の搬送速度で一時保留切替部20から入金リジェクト紙幣が搬送されてくると、紙幣1枚分及び僅かな隙間に相当する搬送距離だけ各ローラ等を回転させ、直ちに停止する。第2搬送部22は、入金リジェクト紙幣が発生する度にこの動作を繰り返すことにより、
図3(B)に示すように、入金リジェクト紙幣BLR同士の間隔を搬送間隔V1よりも短い所定の貯留間隔V2(V2−1、V2−2及びV2−3)に短縮しながら、当該入金リジェクト紙幣BLRを搬送経路貯留部22Sに貯留していく。すなわち第2搬送部22は、入金リジェクト紙幣が搬送されてくる毎に、これを間欠的に搬送経路貯留部22Sに搬送し、貯留していく。
【0087】
これを換言すれば、紙幣制御部11は、モータM1(
図4)により第1搬送部21の各ローラを連続的に回転させて紙幣を連続的に搬送する一方、モータM2により第2搬送部22の各ローラを間欠的に若しくは断続的に駆動させることで、紙幣(入金リジェクト紙幣)の搬送及び停止を交互に繰り返して間欠的に若しくは断続的に搬送する。このとき紙幣制御部11は、例えば
図3(C)に示すように、入金リジェクト紙幣BLRの短辺が搬送方向に対し傾斜した(いわゆるスキューした)状態であり、当該入金リジェクト紙幣BLRがスキューしていない状態よりも搬送方向に沿って長い範囲を占めていたとしても、当該入金リジェクト紙幣BLR同士の間隔を貯留間隔V2に揃えることができる。
【0088】
因みに第2搬送部22では、紙幣制御部11によるモータM2の制御と、実際の各ローラ等の回転角度との間に誤差が生じることがある。これにより搬送経路貯留部22Sでは、貯留間隔V2−1、V2−2及びV2−3が必ずしも互いに同一の長さとはならず、ある程度の誤差を有する場合がある。しかしながら搬送経路貯留部22Sは、平均的に見ると、貯留間隔V2を搬送間隔V1よりも短縮することができる。
【0089】
また紙幣制御部11は、第2搬送部22の各ローラを駆動するモータM2(
図4)への制御信号等を基に、最初の入金リジェクト紙幣における後端の位置を把握している。このため紙幣制御部11は、当該後端が搬送経路貯留部22Sの後端に到達すると、当該搬送経路貯留部22Sの内部における貯留可能な全ての箇所に入金リジェクト紙幣を貯留した状態、いわゆる満杯の状態となり、新たな入金リジェクト紙幣を貯留し得ないと判断する。
【0090】
この場合、紙幣制御部11は、まず入金計数処理を一時的に中断して入出金部12からの紙幣の後方への搬送を一度停止させる。次に紙幣制御部11は、
図7の矢印Q4により示すように、搬送経路貯留部22Sの内部に貯留している全ての入金リジェクト紙幣を一時保留切替部20、第1搬送部21及び鑑別部14により順次前方へ搬送して、すなわち入金計数処理の場合とは反対方向に逆送させて、入出金部12内へ戻す。さらに紙幣制御部11は、シャッタ12Bを解放すると共に操作表示部6に所定のメッセージを表示することにより、顧客に対し、紙幣の状態を確認すると共に収容器12Aの内部に紙幣を入れ直すように促す。その後紙幣制御部11は、入金計数処理を再開する。
【0091】
やがて紙幣制御部11は、入出金部12の収容器12Aから全ての紙幣を取り込み終えると、搬送経路貯留部22Sに入金リジェクト紙幣が貯留されていれば、これを入出金部12へ搬送(すなわち逆送)して顧客に返却した上で、確認及び再投入させる。一方、紙幣制御部11は、搬送経路貯留部22Sに入金リジェクト紙幣が貯留されていなければ、入金計数処理を完了する。
【0092】
このとき紙幣制御部11は、入出金部12から取り込んだ紙幣の金種及び枚数の集計結果を基に入金額を算出すると共に、所定の操作指示画面を操作表示部6に表示し、この入金額を顧客に提示すると共に入金処理を継続するか否かを顧客に選択させる。
【0093】
ここで紙幣制御部11は、顧客により入金処理の中止が指示された場合、一時保留部15に保留している全ての紙幣を一時保留切替部20、第1搬送部21及び鑑別部14により順次前方へ搬送して入出金部12の収容器12A内へ戻し、シャッタ12Bを解放して顧客に返却する。
【0094】
一方、紙幣制御部11は、顧客により入金処理の継続が指示された場合、
図8に示すように、入金収納処理を開始する。具体的に紙幣制御部11は、まず一時保留部15において操出処理を開始することにより、矢印Q5により示すように、収納している紙幣(入金受入紙幣)を順次繰り出し、下流の一時保留切替部20へ受け渡す。
【0095】
このとき一時保留部15は、ドラム41(
図5)の周側面における線速度、テープ44の走行速度及び一時保留搬送部42における紙幣の搬送速度を第1搬送部21及び第2搬送部22の搬送速度に合わせることにより、収納時の搬送状態、すなわち搬送方向に対する各紙幣の傾斜角度や前後の紙幣同士の間隔等を再現しながら、紙幣を収納時とは逆順で下流の一時保留切替部20へ順次受け渡していく。
【0096】
またこのとき一時保留部15は、走行監視センサ43(
図5)により紙幣の搬送状態を検知し、その検知結果を紙幣制御部11へ送出する。これに応じて紙幣制御部11は、このとき得られた検知結果を一時保留部15における繰出時情報とし、これを記憶部11Mに記憶している収納時情報と比較することにより、収納時の搬送状態が正しく再現されているか否かを逐次判定する。
【0097】
ここで紙幣制御部11は、収納時の搬送状態が正しく再現されている紙幣については、入金計数処理において鑑別部14から取得した鑑別結果を基に紙幣ごとに決定した搬送先をそのまま利用できるものと見なし、この搬送先に応じて一時保留切替部20の搬送経路を切り替える。すなわち一時保留切替部20は、搬送先がリジェクト庫16又は紙幣収納庫17Aであれば当該紙幣を下流の第1搬送部21へ受け渡し、搬送先が紙幣収納庫17B〜17E又は偽券庫18であれば当該紙幣を下流の第2搬送部22へ受け渡すよう、搬送経路を切り替える。
【0098】
さらに紙幣制御部11は、各紙幣の搬送先に応じて第1搬送部21及び第2搬送部22の各切替部を適宜制御することにより、矢印Q6及び矢印Q7により示すように、当該紙幣を当該搬送先に搬送してそれぞれ収納させる。これにより紙幣制御部11は、再利用すべきで無いリジェクト紙幣をリジェクト庫16に収納し、再利用すべき通常の紙幣を金種ごとに分類して各紙幣収納庫17に収納し、また偽券と判断された紙幣を偽券庫18に収納することができる。
【0099】
一方、紙幣制御部11は、収納時の搬送状態が正しく再現されていない紙幣については、決定された搬送先を利用すべきで無いものと見なし、当該紙幣及びこれに続く紙幣の搬送先をリジェクト庫16に変更する。ここで収納時の搬送状態が正しく再現されていない紙幣とは、例えば搬送方向に対する傾斜角度(いわゆるスキュー)や紙幣同士の間隔が収納時と相違している紙幣や、他の紙幣と連なった状態の(すなわち重送や連鎖となっている)紙幣等である。具体的に一時保留切替部20は、矢印Q7により示したように、紙幣を下流の第1搬送部21へ順次受け渡していく。
【0100】
このとき紙幣制御部11は、これらの紙幣を鑑別部14において再度鑑別させ、特に紙幣の金種や記番号、並びに搬送状態を再度認識した上で、第1搬送部21によりリジェクト庫16へ搬送させる。ここで紙幣制御部11は、認識した紙幣の金種や記番号、並びに搬送状態等の情報を入金計数処理において記憶した計数時情報と照合し、高い割合で一致した場合には、当該紙幣及びこれ以降の紙幣については入金計数処理において決定した搬送先を利用できるものと判断する。
【0101】
このとき紙幣制御部11は、当該紙幣及びこれ以降の紙幣を逆送させて上流の一時保留部15に再度収納させた上で、改めて紙幣ごとに決定された搬送先に応じて、一時保留切替部20の搬送経路を切り替えて搬送し、収納させる。因みに紙幣制御部11は、認識した紙幣の金種や記番号、並びに搬送状態が入金計数処理時に記憶した金種や記番号、並びに入金搬送状態と一致しなかった場合には、当該紙幣を再利用できないものと見なし、リジェクト庫16へ搬送して収納させる。
【0102】
このように紙幣入出金機10は、入金処理において、前段の入金計数処理において紙幣を鑑別した際に各紙幣の搬送先を決定しながら一時保留部に収納し、入金処理の継続が指示されると、後段の入金収納処理において各紙幣を鑑別部14により再度鑑別すること無く、既に決定している搬送先へ搬送するようになっている。
【0103】
[1−3−2.出金処理]
次に、顧客が現金自動預払機1から紙幣を出金する出金処理を行う場合について、
図9を参照しながら説明する。紙幣入出金機10は、出金処理において、紙幣制御部11の制御に基づき、指定された金額に応じた金種及び枚数の紙幣を出金する出金処理を行うようになっている。
【0104】
具体的に紙幣制御部11は、まず顧客から操作表示部6(
図1)を介して出金額を含む所定の操作入力を受け付け、出金額に応じた紙幣の金種及び枚数を決定する。続いて紙幣制御部11は、決定した金種及び枚数に応じて、各紙幣収納庫17の内部に集積された状態で収納されている紙幣を1枚ずつに分離しながら繰り出し、下流の第1搬送部21又は第2搬送部22に順次受け渡す。
【0105】
このとき紙幣制御部11は、紙幣収納庫17B〜17Eに収納されている紙幣については、矢印Q8により示すように、第2搬送部22の各切替部を適宜切り替えて前方へ搬送し、一時保留切替部20を介して第1搬送部21に受け渡す。しかしながら紙幣制御部11は、第1搬送部21における第1切替部24の制約により、紙幣収納庫17Aから繰り出された紙幣を後側の搬送短路へ搬送できる一方、前側の搬送短路や鑑別部14へ直接搬送させ得ない。このため紙幣制御部11は、矢印Q9により示すように、紙幣収納庫17Aに収納されている紙幣を一時保留切替部20を介して一時保留部15に一度収納した後、矢印Q10により示すように、当該一時保留部15から順次繰り出して第1搬送部21内を前方へ進行させる。
【0106】
次に紙幣制御部11は、
図10に示すように、第1搬送部21の後部21B内を前方へ進行する紙幣を鑑別部14により鑑別する。ここで紙幣制御部11は、まず鑑別部14内の最も後方に位置する走行センサ31により紙幣の走行状態のみを検知し、その検知結果を直ちに紙幣制御部11へ送出する。これに応じて紙幣制御部11は、当該紙幣の走行状態に応じてその搬送先を入出金部12又はリジェクト庫16に決定する。
【0107】
具体的に紙幣制御部11は、当該紙幣の走行状態に問題が無ければ、第1搬送部21のリジェクト切替部23において上側の入出金部12と後側の鑑別部14との間を結ぶ搬送経路を形成させ、矢印Q11により示すように、当該紙幣を下流の入出金部12へ搬送して収容器12Aの内部に放出させる。
【0108】
その一方で紙幣制御部11は、例えば重送されている等、当該紙幣の走行状態に問題があれば、リジェクト切替部23において後側の鑑別部14と下側のリジェクト庫16とを結ぶ搬送経路を形成させ、矢印Q12により示すように、当該紙幣を下流のリジェクト庫16へ搬送して収納させる。
【0109】
ところで鑑別部14は、上流側に位置する走行センサ31により走行状態を検知してその検知結果を紙幣制御部11へ送出した後、その下流側に位置するイメージセンサ32及び真偽センサ33による検知結果を紙幣制御部11へ送出する。すなわち紙幣制御部11は、走行センサ31により走行状態に応じて各紙幣の搬送先を決定した後に、イメージセンサ32及び真偽センサ33による検知結果を取得することになる。
【0110】
このため紙幣制御部11は、イメージセンサ32及び真偽センサ33により紙幣が正常で無く出金すべきで無いことが検知された場合、
図11(A)の矢印Q13により示すように、搬送中の当該紙幣を直ちに、すなわち第1搬送部21の前部21A又は入出金部12の入出金搬送部12Dにより搬送されている途中で停止させる。さらに紙幣制御部11は、
図11(B)の矢印Q14により示すように、当該紙幣を逆送させて鑑別部14の後側まで到達させた後、当該紙幣のみ搬送先をリジェクト庫16に設定してリジェクト切替部23を切り替えさせ、矢印Q15により示すように、当該リジェクト庫16へ搬送させる。
【0111】
因みに紙幣制御部11は、後続の正常な紙幣については、再びリジェクト切替部23を切り替えて下流の入出金部12へ搬送させる。やがて紙幣制御部11は、出金額に応じた全ての紙幣を入出金部12の収容器12Aの内部に放出し終えると、シャッタ12Bを開放させて顧客に当該紙幣を取り出させる。
【0112】
このように紙幣入出金機10は、出金処理において、鑑別部14の走行センサ31による検知結果に基づいてリジェクト切替部23を切り替えさせながら、出金額に応じた紙幣を上流の各紙幣収納庫17から下流の入出金部12まで搬送して顧客に受け渡すようになっている。
【0113】
[1−4.効果等]
以上の構成において、第1の実施の形態による現金自動預払機1の紙幣入出金機10は、
図12に模式図を示すように、前後方向に沿って直線状に形成された搬送部13に対し、入出金部12、鑑別部14、一時保留部15、リジェクト庫16、紙幣収納庫17及び偽券庫18をそれぞれ接続するように構成した。因みに
図12では、矢印により紙幣の搬送方向を示している。また
図12では、表記の都合上、一時保留切替部20、リジェクト切替部23、第1切替部24〜第4切替部27並びに偽券切替部28を何れも単に「切替部」としている。
【0114】
また、紙幣入出金機10の入金計数処理、入金収納処理及び出金処理における紙幣の流れを
図12と対応する模式図により表すと、それぞれ
図13、
図14及び
図15のように表すことができる。
【0115】
一方、
図32に示した従来の紙幣入出金機810について、
図12と対応するような模式図を構成すると、
図16のように表すことができる。また従来の紙幣入出金機810の入金計数処理、入金収納処理及び出金処理における紙幣の流れを
図16と対応する模式図により表すと、それぞれ
図17、
図18及び
図19のように表すことができる。
【0116】
図16における搬送部813の搬送経路に着目すると、入出金部812の取込口812Cから切替部821、鑑別部14、切替部822及び切替部823を経て入出金部812の放出口812Eに至るような、ループ状(環状)の搬送経路が形成されている。
【0117】
また
図17から分かるように、従来の紙幣入出金機810では、入金計数処理において入金リジェクト紙幣が発生した場合、このループ状の搬送経路を利用して直ちに入出金部812の放出口812Eへ搬送することができた。このため従来の紙幣入出金機810では、大量の入金リジェクト紙幣が発生した場合にも、随時入出金部812へ戻すことができ、入金処理を中断すること無く対処することができた。
【0118】
ところで、実際の入金処理において入金リジェクト紙幣が発生する頻度を集計すると、国や地域により相違するものの、例えば1〜2%程度のように極めて低いことが判明した。紙幣入出金機810では、1回の取引処理において処理し得る紙幣の最大枚数が例えば100〜200枚程度であるため、入金リジェクト紙幣の実際の発生枚数は多くとも4〜5枚程度と想定される。このため紙幣入出金機では、最大で4〜5枚程度の入金リジェクト紙幣を一時的に貯留できる箇所を用意でき、且つこの入金リジェクト紙幣を入出金部812に搬送することができれば、必ずしもループ状の搬送経路を構成する必要が無い。
【0119】
このような技術的思想に基づき、本実施の形態による紙幣入出金機10では、入金計数処理において、紙幣を紙幣収納庫17へ搬送することが無いため、これに伴って使用されない第2搬送部22上の搬送経路を搬送経路貯留部22Sとし、ここに入金リジェクト紙幣を貯留するようにした(
図6、
図7)。
【0120】
他の観点から見れば、紙幣入出金機10は、搬送部13により鑑別部14を貫通するような一直線状の搬送経路を形成し、当該鑑別部14の一方(例えば前側)の搬送経路上に入出金部12及びリジェクト庫16を配置して、他方(例えば後側)の搬送経路上に一時保留部15及び紙幣収納庫17をそれぞれ配置する構成とした(
図12)。これを換言すれば、紙幣入出金機10は、鑑別部14を貫通する搬送経路の両端に、1又は2以上の切替部を直列に接続した搬送経路をそれぞれ接続した。
【0121】
さらに異なる観点から見れば、紙幣入出金機10は、一時保留切替部20により、入出金部12へ向かう搬送経路と、紙幣収納庫17へ向かう搬送経路と、一時保留部15とのうち2つを互いに接続するよう切り替えるようにした。これに加えて紙幣入出金機10は、入出金部12へ向かう搬送経路上に鑑別部14を配置し、当該鑑別部14から見て入出金部12側の搬送経路上に、リジェクト切替部23を介してリジェクト庫16を接続した(
図12)。
【0122】
これにより紙幣入出金機10では、入金計数処理を適切に行い得る構成としながら、搬送部13における搬送経路をループ状では無く直線状としたことで、従来の紙幣入出金機810よりも構成を簡略化でき、小型化や部品点数の削減、さらにはこれに伴う障害発生頻度の低減や保守作業の省力化等を図ることができる。
【0123】
また紙幣入出金機10では、仮に入金リジェクト紙幣の枚数が多く、搬送経路貯留部22Sの内部に貯留しきれない場合には、入金計数処理を中断して当該搬送経路貯留部22S内の入金リジェクト紙幣を入出金部12へ戻し、顧客に目視等により確認した上で再度投入してもらうことで、入金計数処理を継続できる。
【0124】
このような場合、紙幣入出金機10では、入出金部12から一時保留部15への紙幣の搬送を一度停止させ、入金リジェクト紙幣を当該入出金部12に戻すよう搬送させるため、入金計数処理の完了までに要する時間が従来よりも大幅に増加することになる。しかしながら紙幣入出金機10では、上述したように入金処理において多量の入金リジェクト紙幣が検知される可能性は極めて低いため、従来の紙幣入出金機810と比較して、搬送経路長が短縮されたことにより、入金計数処理に要する平均的な所要時間を短縮することが可能となる。
【0125】
さらにこのとき紙幣入出金機10では、第2搬送部22において各ローラを駆動するモータの回転数や回転角度を基に、搬送経路貯留部22Sの内部に貯留している紙幣の後端が当該搬送経路貯留部22Sの後端に到達したか否かを判別することができる。このため紙幣入出金機10は、専用の光学センサ等を別途設けること無く、搬送経路貯留部22Sの内部における紙幣の後端の位置を検知して、満杯になったか否かを検知することができる。
【0126】
また、
図18から分かるように、従来の紙幣入出金機810では、入金収納処理において、一時保留部15から繰り出された紙幣が鑑別部14を通過したときにその金種や損傷の程度を鑑別して搬送先を決定して搬送していた。このため搬送部813は、一時保留部15から繰り出された紙幣が鑑別部14を通過して紙幣収納庫17へ向かうような搬送経路を形成する必要があった。
【0127】
しかしながら従来の紙幣入出金機810では、前段の入金計数処理において入出金部12から一時保留部15へ紙幣を搬送する過程において、当該紙幣を鑑別部14において鑑別しており、その損傷の程度及び金種についても鑑別することができる。また一時保留部15(
図5)は、いわゆるテープエスクロ方式であり、各紙幣をテープ44と共にドラム41に巻き付けて収納することで、紙幣の順序や紙幣同士の間隔、或いはスキュー等を維持したまま収納し、また繰り出すことができる。換言すれば、この一時保留部15は、紙幣収納庫17のように紙幣を集積して収納する方式とは異なり、繰り出す際の紙幣の分離時に新たに重送や搬送順序の逆転が原理的に殆ど発生せず、収納時の搬送状態を良好に維持することができる。
【0128】
このような技術的思想に基づき、本実施の形態による紙幣入出金機10では、入金計数処理において鑑別部14により得られた鑑別結果及びこれを基に決定した搬送先を記憶しておき、入金収納処理において記憶している搬送先へ搬送するようにした(
図8)。これにより紙幣入出金機10は、一時保留部15から繰り出された紙幣が鑑別部14を通過せずに紙幣収納庫17等へ搬送するような搬送経路を搬送部13に形成したことで、従来の紙幣入出金機810よりも搬送経路を短縮して構成を簡略化することができる。
【0129】
また紙幣入出金機10は、一時保留部15において紙幣の収納時に走行監視センサ43により紙幣の搬送状態を検知して収納時搬送情報として紙幣制御部11の記憶部11Mに記憶しておき、紙幣の繰出時に再度走行監視センサ43により紙幣の搬送状態を検知して繰出時搬送情報とし、これを収納時搬送情報と照合するようにした。
【0130】
これにより紙幣入出金機10は、仮に一時保留部15内での搬送中等に紙幣が周囲に引っかかる等して新たにスキューや重送が発生した場合には、照合結果が大きく相違することで搬送状態が変化したことを検知できる。このような場合、紙幣入出金機10は、搬送状態が変化した紙幣及びこれ以降の紙幣を再利用できないと見なし、リジェクト庫16へ搬送して収納することにより、入金計数処理時に記憶した搬送先を異なる紙幣に誤設定してしまうことを未然に防止できる。
【0131】
さらに紙幣入出金機10は、一時保留部15とリジェクト庫16との間に鑑別部14を配置しているため、当該リジェクト庫16へ向かう紙幣を当該鑑別部14により再度鑑別することができる。このとき紙幣入出金機10は、鑑別部14において得られた再鑑別結果を入金計数処理の際に記憶した収納時搬送情報と比較することで、特に金種及び記番号を基に、当該紙幣と対応する収納時搬送情報を特定できる可能性がある。
【0132】
このような場合、紙幣入出金機10は、当該紙幣及びこれ以降の紙幣について収納時搬送情報を利用できるものと見なし、第1搬送部21等により当該紙幣及びこれ以降の紙幣を一時保留切替部20よりも一時保留部15側、すなわち当該一時保留部15内へ逆送させた後、収納時搬送情報に基づいて適切な搬送先に搬送し収納する。これにより紙幣入出金機10は、搬送状態が変化したものの本来的には再利用可能な紙幣について、不必要にリジェクト庫16に搬送させること無く、紙幣収納庫17へ搬送して収納することで、当該紙幣を有効に再利用することができる。
【0133】
さらに、
図19から分かるように、従来の紙幣入出金機810では、出金処理において、鑑別部14における鑑別結果に応じて切替部820による搬送経路を切り替えることで、出金可能な正常な紙幣を入出金部12へ搬送し、また出金すべきで無いリジェクト紙幣を一時保留部15へ搬送していた。
【0134】
すなわち紙幣入出金機810では、鑑別部14において鑑別された紙幣が切替部820に到達するまでに、当該鑑別部14の各センサによる鑑別結果を基に紙幣制御部811において当該紙幣の搬送先を決定し、且つ切替部820における切替動作を完了させる必要があった。このため紙幣入出金機810では、鑑別部14から切替部820までの搬送経路が比較的長くなっていた。
【0135】
しかしながら、出金処理において紙幣収納庫17から繰り出される紙幣は、入金処理において鑑別部14において再利用可能と鑑別された紙幣、或いは紙幣入出金機810から取り外された際に金融機関の職員等により装填され、出金し得るような良好な状態の紙幣である。このため紙幣入出金機810では、出金処理時にリジェクト紙幣が発生する場合、主にスキューや重送のような搬送状態の不良に起因するものであり、金種の誤りや偽券の検知に起因する可能性が極めて低い。
【0136】
すなわち出金処理では、鑑別部14(
図4)の走行センサ31による紙幣の検知結果のみに基づいて当該紙幣の搬送経路を決定したとしても、イメージセンサ32及び真偽センサ33の検知結果によりこの決定が覆される可能性は極めて低い。
【0137】
このような技術的思想に基づき、本実施の形態による紙幣入出金機10では、出金処理において、紙幣制御部11が鑑別部14の走行センサ31からの検知結果のみに基づいて各紙幣の搬送先を入出金部12又はリジェクト庫16に決定し、これに応じて第1搬送部21のリジェクト切替部23における搬送経路を切り替えるようにした(
図10)。これにより紙幣入出金機10は、鑑別部14の前端からリジェクト切替部23までの搬送経路を比較的短く抑えることができ、従来の紙幣入出金機810と比較して、装置構成の簡略化や小型化に寄与し、特に装置全体の前後長を短縮することができる。
【0138】
また紙幣入出金機10の紙幣制御部11は、仮に走行センサ31からの紙幣の検知結果を基にその搬送先を入出金部12に決定し、リジェクト切替部23における搬送経路を切り替えさせた後に、イメージセンサ32及び真偽センサ33からの検知結果を基に、当該紙幣の搬送先をリジェクト庫16に変更する場合がある。
【0139】
この場合、当該紙幣は既にリジェクト切替部23を通過し、第1搬送部21における前部21A内の搬送経路上又は入出金部12の取込放出口12Cへ向かう搬送経路上に到達している。そこで紙幣制御部11は、入出金部12による紙幣の搬送を直ちに停止させ、当該紙幣を鑑別部14の後側まで逆送させ、リジェクト切替部23における搬送経路をリジェクト庫16側に切り替えさせる(
図11)。これにより紙幣入出金機10は、当該紙幣を誤って入出金部12の収容器12Aの内部に放出すること無く、リジェクト庫16に搬送させることができる。
【0140】
このとき紙幣入出金機10では、紙幣の搬送を一度停止させ、さらに逆送させるため、出金処理の完了までに要する時間が増加することになる。しかしながら紙幣入出金機10では、上述したように出金処理において金種の誤りや偽券を検知する可能性は極めて低いため、従来の紙幣入出金機810と比較した場合、搬送経路長が短縮されたことにより、出金処理に要する平均的な所要時間を短縮することが可能となる。
【0141】
以上の構成によれば、第1の実施の形態による現金自動預払機1の紙幣入出金機10は、搬送部13内の搬送経路を主に前後方向に沿った直線状に形成した。紙幣入出金機10は、入金処理において、入金計数処理では入金リジェクト紙幣を第2搬送部22内の搬送経路貯留部22Sに貯留させ、鑑別部14により得られた鑑別結果を基に各紙幣の搬送先を決定して記憶しておき、入金収納処理では一時保留部15から繰り出された紙幣を決定された搬送先へ搬送して収納させるようにした。また紙幣入出金機10は、出金処理において、鑑別部14の走行センサ31における検知結果を基に紙幣の搬送先を決定するようにした。これにより紙幣入出金機10は、従来と比較して、同等の処理を実現しながら、構成を簡略化・小型化することができ、さらに搬送経路の短縮に伴う処理時間の短縮を図ることもできる。
【0142】
[2.第2の実施の形態]
第2の実施の形態による現金自動預払機101(
図1)は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機110を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0143】
図2と対応する
図20に示すように、紙幣入出金機110は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、紙幣制御部11及び搬送部13に代わる紙幣制御部111及び搬送部113を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0144】
紙幣制御部111は、第1の実施の形態による紙幣制御部11と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、紙幣の搬送先を決定する処理や各部の動作を制御する処理等、種々の処理を行う。また紙幣制御部111は、記憶部11Mに代わる記憶部111Mに種々の情報を記憶させる。
【0145】
搬送部113は、搬送部13(
図4)と比較して、前側の第1搬送部121の内部に第1切替部24に代わる第1切替部124を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0146】
第1切替部124は、第1の実施の形態における一時保留切替部20(
図4)と同様、いわゆる3ウェイブレードを有しており、3通りの搬送経路を切り替えることができる。具体的に第1切替部124は、後側の搬送短路と下側の紙幣収納庫17Aとを結ぶ搬送経路、後側の搬送短路と前側の搬送短路とを結ぶ搬送経路、或いは前側の搬送短路と下側の紙幣収納庫17Aとを結ぶ搬送経路を形成する。
【0147】
これにより紙幣入出金機110は、出金処理において、紙幣制御部111の制御に基づき、紙幣収納庫17Aから繰り出した紙幣を搬送部113の第1搬送部121内で直接前方へ進行させ、そのまま鑑別部14を経て入出金部12又はリジェクト庫16へ搬送することができる。
【0148】
因みに紙幣入出金機110では、鑑別部14と第1切替部124との距離が極めて短いため、第1搬送部121において後方へ紙幣を搬送している場合、鑑別部14における各センサの検知結果に基づいた第1切替部124の搬送経路の切替が完了するよりも前に、当該紙幣が第1切替部124を通過してしまう。このため紙幣入出金機110は、入金処理において紙幣収納庫17B〜17Eの何れかに紙幣を搬送して収納するようになっている。
【0149】
以上の構成において、第2の実施の形態による現金自動預払機101の紙幣入出金機110は、搬送経路が前後方向に沿って直線状に形成された搬送部113の第1切替部124により3通りの搬送経路を切り替えるようにした。
【0150】
これにより紙幣入出金機110は、紙幣収納庫17Aから繰り出す紙幣を第1搬送部121内で直接前方へ搬送し、鑑別部14を介して入出金部12又はリジェクト庫16へ搬送することができる。この結果、紙幣入出金機110は、紙幣収納庫17Aから紙幣を繰り出して出金する際に、第1の実施の形態のように一時保留部15を利用する必要が無く、迅速に出金することができる。
【0151】
また紙幣入出金機110は、その他の点について、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と同様の作用効果を奏し得る。
【0152】
以上の構成によれば、第2の実施の形態による現金自動預払機101の紙幣入出金機110は、搬送部113の第1切替部124により3通りの搬送経路を切り替えることにより、紙幣収納庫17Aに収納されている紙幣を繰り出す際、第1搬送部121の内部において直接前方へ進行させることができ、一時保留部15を使用すること無く、出金処理を円滑に行うことができる。
【0153】
[3.第3の実施の形態]
第3の実施の形態による現金自動預払機201(
図1)は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機210を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0154】
図2と対応する
図21に示すように、紙幣入出金機210は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、紙幣制御部11及び入出金部12に代わる紙幣制御部211及び入出金部212を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0155】
紙幣制御部211は、第1の実施の形態による紙幣制御部11と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、紙幣の搬送先を決定する処理や各部の動作を制御する処理等、種々の処理を行う。また紙幣制御部211は、記憶部11Mに代わる記憶部211Mに種々の情報を記憶させる。
【0156】
入出金部212は、
図22に拡大図を示すように、入出金部12と比較して、収容器12A及びシャッタ12Bについては同様に構成されているものの、他の部分については相違している。具体的に入出金部212は、取込放出口12C及び入出金搬送部12Dに代えて、取込口212C、取込搬送部212D、切替部212E、入出金搬送部212F、放出搬送部212G及び放出口212Hを有している。
【0157】
取込口212C及び放出口212Hは、第1の実施の形態における取込放出口12Cの取込機能及び放出機能を互いに分離したものであり、収容器12Aにおける下端の前後に分かれて配置されている。また取込口212C及び放出口212Hは、それぞれ下側の取込搬送部212D及び放出搬送部212Gを介して切替部212Eと接続されている。
【0158】
切替部212Eは、紙幣の搬送経路を切り替えることにより、入出金搬送部212Fと取込搬送部212Dとを接続する搬送経路を形成し、又は入出金搬送部212Fと放出搬送部212Gとを接続する搬送経路を形成する。さらに入出金搬送部212Fは、搬送部13と接続されている。
【0159】
以上の構成において、第3の実施の形態による現金自動預払機201の紙幣入出金機210は、第1の実施の形態と同様の搬送部13に加えて、収容器12Aの前後に互いに独立した取込口212C及び放出口212Hを有する入出金部212を設けた。
【0160】
入出金部212は、入金計数処理において紙幣を取り込む場合、紙幣制御部211の制御に基づき、まず切替部212Eにより取込搬送部212Dと入出金搬送部212Fとを接続する搬送経路を形成する。続いて入出金部212は、矢印Q21により示すように、収容器12Aの内部に収容されている紙幣のうち最も前側に位置している紙幣、すなわち整列されている紙幣のうち先頭のものを取込口212Cにより1枚ずつに分離しながら取り込み、取込搬送部212D、切替部212E及び入出金搬送部212Fにより下方へ搬送して搬送部13に順次受け渡す。
【0161】
その後紙幣制御部211は、入出金部212に関する部分を除き、第1の実施の形態とほぼ同様に入金計数処理を行う。すなわち紙幣制御部211は、入出金部212から取り込んだ紙幣を搬送部13の第1搬送部21により搬送しながら鑑別部14により鑑別させ、このとき得られる鑑別結果を基に、一時保留切替部20を制御して搬送経路を切り替えさせる。具体的に紙幣制御部211は、入金受入紙幣を一時保留部15へ搬送させる一方、入金リジェクト紙幣を第2搬送部22の搬送経路貯留部22Sの内部に順次貯留していく。
【0162】
その後紙幣制御部211は、入出金部212に収容されている全ての紙幣を取り込んで鑑別部14により鑑別し終え、搬送経路貯留部22Sの内部に1枚以上の入金リジェクト紙幣を貯留している場合、第1の実施の形態と同様、全ての入金リジェクト紙幣を一時保留切替部20及び第1搬送部21により入出金部212へ順次搬送させる。
【0163】
このとき入出金部212は、紙幣制御部211の制御に基づき、まず切替部212Eにより放出搬送部212Gと入出金搬送部212Fとを接続する搬送経路を形成する。続いて入出金部212は、矢印Q22により示すように、搬送部13から順次受け渡される紙幣を入出金搬送部212F、切替部212E及び放出搬送部212Gにより搬送し、放出口212Hから収容器12A内へ順次放出する。この場合、収容器12Aの内部には入金リジェクト紙幣のみが収容されることになる。
【0164】
さらに紙幣制御部211は、第1の実施の形態と同様、シャッタ12Bを解放すると共に操作表示部6に所定のメッセージを表示することにより、顧客に対し、紙幣の状態を確認すると共に収容器12Aの内部に紙幣を入れ直すように促す。その後紙幣制御部11は、入金計数処理を再開する。
【0165】
一方、紙幣制御部211は、入出金部212の内部に未だ取り込まれていない紙幣(以下これを未取込紙幣と呼ぶ)が残っているものの、搬送経路貯留部22Sが満杯となり、新たな入金リジェクト紙幣を貯留し得なくなる場合がある。この場合、紙幣制御部211は、入金計数処理を一時的に中断して入出金部212からの紙幣の搬送を一度停止させ、搬送経路貯留部22Sの内部に貯留している全ての入金リジェクト紙幣を搬送部13の一時保留切替部20及び第1搬送部21により順次前方へ搬送して入出金部212へ順次搬送させる。
【0166】
このとき入出金部212は、収容されている全ての紙幣を鑑別し終えた場合と同様、紙幣制御部211の制御に基づき、搬送部13から順次受け渡される紙幣を入出金搬送部212F、切替部212E及び放出搬送部212Gにより搬送し、放出口212Hから収容器12A内へ順次放出する。ただしこのとき収容器12Aの内部には、未取込紙幣が残されているため、放出された入金リジェクト紙幣は、収容器12Aの内部において当該未取込紙幣の最も後側に、すなわち整列されている紙幣の末尾に追加される。
【0167】
その後、紙幣制御部211は、入出金部212内からの紙幣の取込を再開する。このとき紙幣制御部211は、未取込紙幣を優先して取込口212Cから取り込むことができる。これにより紙幣制御部211は、例えば入出金部212に戻した直後の入金リジェクト紙幣が最初に取り込まれて再び入金リジェクト紙幣となり、未取込紙幣を取り込む前に搬送経路貯留部22Sに新たな入金リジェクト紙幣を貯留し得なくなり、この入金リジェクト紙幣を再び入出金部212へ戻す、といった処理を繰り返すおそれを回避できる。
【0168】
また紙幣制御部211は、この一連の処理を繰り返すことにより、未取込紙幣を全て取り込むことができ、最終的に入出金部212の収容器12Aの内部に入金リジェクト紙幣のみを残すことができる。これにより紙幣入出金機210は、シャッタ12Bを開放してこの入金リジェクト紙幣を顧客に返却する際に、未取込紙幣を混在させること無く入金リジェクト紙幣のみを顧客に確認及び再投入させることができ、このとき顧客に行わせる確認及び再投入の作業を必要最小限に止めることができる。
【0169】
また紙幣入出金機210は、その他の点についても、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と同様の作用効果を奏し得る。
【0170】
以上の構成によれば、第3の実施の形態による現金自動預払機201の紙幣入出金機210は、入出金部212に互いに独立した取込口212C及び放出口212Hを収容器12Aの前後にそれぞれ配置した。これにより紙幣入出金機210は、入金計数処理において入金リジェクト紙幣を入出金部212に戻した直後に、収容器12Aの内部に残っていた未鑑別の紙幣を優先して取り込むことができるので、顧客に確認及び再投入させる入金リジェクト紙幣の枚数を最小限に抑えることができる。
【0171】
[4.第4の実施の形態]
第4の実施の形態による現金自動預払機301(
図1)は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機310を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0172】
図2と対応する
図23に示すように、紙幣入出金機310は、第1の実施の形態における上部ブロック10U及び下部ブロック10L(
図2)とそれぞれ対応する上部ブロック310U及び下部ブロック310Lにより構成されている。上部ブロック310Uは、第1の実施の形態と比較して上下方向の長さが長く、また前後方向の長さが短く形成されている。下部ブロック310Lは、前後方向の長さが上部ブロック310Uと同程度に短く形成されている。
【0173】
また紙幣入出金機310は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、紙幣制御部11、搬送部13及びリジェクト庫16に代わる紙幣制御部311、搬送部313及びリジェクト庫316を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0174】
紙幣制御部311は、第1の実施の形態による紙幣制御部11と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、紙幣の搬送先を決定する処理や各部の動作を制御する処理等、種々の処理を行う。また紙幣制御部311は、記憶部11Mに代わる記憶部311Mに種々の情報を記憶させる。
【0175】
リジェクト庫316は、第1の実施の形態によるリジェクト庫16と比較して、前後方向に短く(すなわち薄く)形成されることにより、内部の容積が減少しており、収容可能な紙幣の枚数も減少している。因みに下部ブロック310Lでは、第1の実施の形態と比較して、紙幣収納庫17の大きさが変更されていないものの、リジェクト庫316における前後長を短縮したため、全体の前後長が短縮されている。
【0176】
搬送部313は、第1の実施の形態による搬送部13(
図4)と比較して、第1搬送部21に代わる第1搬送部321を有する点が相違するものの、第2搬送部22及び一時保留切替部20については同様に構成されている。第1搬送部321は、第1搬送部21と一部相違しており、前後長がやや短く構成される共に前端部分が上方へ延長され、また鑑別部14の内部に組み込まれていた各センサがそれぞれ独立して配置されている。
【0177】
具体的に走行センサ31及びイメージセンサ32は、第1搬送部321の内部における、第1の実施の形態において鑑別部14の内部に設けられていた場合と同様の位置にそれぞれ配置されている。一方真偽センサ33は、第1搬送部321の前端における上方へ延長された部分、すなわちリジェクト切替部23と入出金部12との間に配置されている。また第1搬送部321では、真偽センサ33がリジェクト切替部23の上方に配置されたことに伴い、当該リジェクト切替部23から走行センサ31及びイメージセンサ32までの距離が、第1の実施の形態よりもそれぞれ短くなっている。
【0178】
かかる構成により紙幣入出金機310は、入金収納処理においてリジェクト紙幣をリジェクト庫316へ搬送する際、真偽センサ33により当該紙幣の真偽について検知することができない。しかしながらこのリジェクト紙幣は、その前に行われる入金計数処理において入出金部12から搬送される際に当該真偽センサ33により検知されているため、改めて当該真偽センサ33により真偽が検知される必要は無く、何ら問題とはならない。
【0179】
また紙幣入出金機310は、出金処理において紙幣収納庫17から繰り出した紙幣を前方へ搬送する際、走行センサ31により重送等が検知されリジェクト庫316へ搬送する紙幣(すなわちリジェクト紙幣)についても、真偽センサ33により当該紙幣の真偽について検知することができない。しかしながら紙幣入出金機310では、紙幣収納庫17に収納されている紙幣は入金処理において真偽センサ33により真偽が検知されており、或いは金融機関の職員等により真券と確認された紙幣のみが装填されているため、改めて真偽センサ33により当該紙幣の真偽について検知する必要は無い。また紙幣入出金機310は、入出金部12へ搬送して出金する紙幣については、真偽センサ33により真偽を検知できるため、誤って偽券を出金してしまう恐れも無く、やはり何ら問題とはならない。
【0180】
以上の構成において、第4の実施の形態による現金自動預払機301の紙幣入出金機310は、搬送部313の第1搬送部321を第1の実施の形態よりも前後方向に短く構成し、且つ前端を上方へ延長した。また紙幣入出金機310は、第1の実施の形態において鑑別部14にまとめて組み込まれていた各センサを第1搬送部321の内部にそれぞれ独立して配置し、特に真偽センサ33をリジェクト切替部23の上方に入出金部12との間に配置した。
【0181】
紙幣入出金機310は、第1搬送部321の内部にそれぞれ独立して配置された走行センサ31、イメージセンサ32及び真偽センサ33により、第1の実施の形態において鑑別部14に組み込まれた走行センサ31、イメージセンサ32及び真偽センサ33と同等の鑑別結果を得ることができる。このため紙幣入出金機310は、第1の実施の形態と同様の入金計数処理、入金収納処理及び出金処理をそれぞれ行うことができる。
【0182】
また紙幣入出金機310は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、上下方向に延長されるものの、前後方向に短縮することができるので、特に前後長に関する制約が厳しい設置場所に設置する場合に好適である。
【0183】
さらに紙幣入出金機310は、その他の点についても、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と同様の作用効果を奏し得る。
【0184】
以上の構成によれば、第4の実施の形態による現金自動預払機301の紙幣入出金機310は、第1搬送部321を第1の実施の形態よりも前後方向に短縮し、且つ前端を上方に延長した形状に構成し、走行センサ31、イメージセンサ32及び真偽センサ33をそれぞれ独立して当該第1搬送部321の内部に配置した。これにより紙幣入出金機310は、第1の実施の形態と同様に入金計数処理、入金収納処理及び出金処理をそれぞれ実行可能でありながら、前後長を短縮することができ、設置の自由度を高めることができる。
【0185】
[5.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、搬送部13の第1搬送部21及び第2搬送部22の内部にそれぞれ形成する紙幣の搬送路を、前後方向へ進行するに連れて上下方向へ蛇行するように形成した場合について述べた(
図4等)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば
図2と対応する
図24に示す紙幣入出金機410のように、搬送部413の第1搬送部421及び第2搬送部422内の搬送経路をそれぞれ直線状に形成し、第1搬送部421及び第2搬送部422における搬送経路を互いに平行としても良い。これにより紙幣入出金機410は、搬送部413の内部における紙幣の搬送距離を短縮でき、これに伴って紙幣の搬送中の詰まり(いわゆる搬送ジャム)の発生を低減することができる。
【0186】
また、例えば
図24と対応する
図25に示す紙幣入出金機430のように、鑑別部434の後方における紙幣の搬送経路をクランク状に湾曲させ、第1搬送部441及び第2搬送部442における主たる搬送経路を互いに平行としても良い。これにより紙幣入出金機430は、第4の実施の形態と同様に前後方向に短いリジェクト庫316を設けることで、装置全体の前後長を短縮させることができる。
【0187】
さらには、例えば
図24と対応する
図26に示す紙幣入出金機450のように、第2搬送部462における主たる搬送経路をほぼ水平とする一方、第1搬送部461及び鑑別部454の内部に形成する搬送経路を前方が高くなるよう傾斜させても良い。これにより紙幣入出金機450は、
図25に示した紙幣入出金機430と同様、前後方向に短いリジェクト庫316を設けることで、装置全体の前後長を短縮させることができる。
【0188】
さらには、例えば
図24と対応する
図27に示す紙幣入出金機470のように、一時保留切替部480と第1搬送部481との接続箇所における搬送経路を直線状にすると共に、当該一時保留切替部480と第2搬送部482との接続箇所における搬送経路を傾斜させ、第1搬送部481及び第2搬送部482における主たる搬送経路を直線状にしても良い。これにより紙幣入出金機470は、
図25に示した紙幣入出金機430と同様、前後方向に短いリジェクト庫316を設けることができ、装置全体の前後長を短縮させることができる。なお、この場合、一時保留切替器480が形成する3方向へ向かう搬送経路は、互いのなす角度が120度となるように設けることが好ましいが、他の角度としても良い。
【0189】
すなわち本発明では、下部ブロック10L(
図2)の金庫筐体10Sの内部において前後方向に沿って並んだ複数の紙幣収納庫17及びリジェクト庫16の直上に、換言すれば上部ブロック10Uの最下部に搬送部13を配置し、当該搬送部13の第1搬送部21及び第2搬送部22の内部にそれぞれ形成する紙幣の搬送経路を、概ね前後方向に沿って形成すれば良い。換言すれば、搬送部13内の搬送経路が従来のようなループ状(
図16)では無く、各部と接続された各切替部を直列に接続した形状(
図12)であれば良い。すなわち搬送部13の一時保留切替部20、第1搬送部21及び第2搬送部22には、紙幣の搬送方向を折り返すような、或いは反転させるような搬送経路を形成しなければ良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
【0190】
さらに上述した第1の実施の形態においては、金庫筐体10Sの外側、詳細には当該金庫筐体10Sの上面に隣接して搬送部13を配置する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば搬送部13を紙幣収納庫17及びリジェクト庫16の上方に配置すると共に、当該搬送部13、紙幣収納庫17及びリジェクト庫16を金庫筐体10Sの内部に設けるようにしても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
【0191】
さらに上述した第1の実施の形態においては、紙幣入出金機10に設ける一時保留部15をいわゆるテープエスクロ方式とし、紙幣をテープ44と共にドラム41の周側面に巻き付けて収納する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、紙幣入出金機10に他の種々の方式の一時保留部を設けても良い。この場合、一時保留部としては、第1の実施の形態と同様に、入金処理や出金処理において取り扱う最大枚数(例えば200枚)の紙幣を一時的に収納することができ、さらに当該紙幣を繰り出す際に、収納時における各紙幣の順序を正順又は逆順に維持できれば良い。さらに一時保留部としては、紙幣のスキューや紙幣同士の間隔も維持したまま繰り出し得ることが好ましい。
【0192】
このようなテープエスクロ方式と異なる方式の一時保留部を用いることにより、各紙幣の順序、スキューや紙幣同士の間隔を維持できない恐れがある場合には、例えば一時保留部から繰り出した紙幣を鑑別部14へ搬送することが考えられる。鑑別部14を通過した紙幣は、正券(出金可能な紙幣)であれば一旦入出金部12へ搬送され、それ以外の出金に適さない紙幣(リサイクルに適さない紙幣)であればリジェクト庫16へ搬送され、収納される。その後、入出金部12に搬送された紙幣(正券)は、繰り出されて再度搬送され、鑑別部14を通過した際に金種が判別された上で、紙幣収納庫17B〜17Eへ直接搬送され収納される。紙幣収納庫17Aに収納すべき紙幣については、第2の実施の形態のようにいわゆる3ウェイブレードでなる第1切替部124を用いる場合であれば直接搬送すれば良く、また第1の実施の形態のように2通りの搬送経路に切り替える第1切替部24を用いる場合であれば、一度一時保留部へ搬送した後、当該一時保留部から搬送すれば良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
【0193】
さらに上述した第1の実施の形態においては、入金計数処理において、紙幣制御部11により、紙幣の搬送順序と対応付けて、各紙幣の金種、記番号及び搬送先や、その搬送状態、すなわちスキューや紙幣同士の間隔等を、鑑別部14における計数時情報として記憶部11Mに記憶させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、紙幣の金種及び記番号のみ、或いは搬送状態のみ等、各センサから得られた検知結果に基づいた種々の情報を適宜取捨選択した上で計数時情報として記憶させるようにしても良い。また搬送状態についても、スキューのみ、或いは紙幣同士の間隔のみ等、走行センサ31の検知結果を基に得られる種々の情報を適宜取捨選択して用いても良い。要は、入金収納処理において搬送先を読み出すことができ、又は記憶された情報を基に搬送先を決定できれば良い。一時保留部15の収納時搬送情報についても同様であり、また第2〜第4の実施の形態についても同様である。
【0194】
さらに上述した第1の実施の形態においては、入金計数処理において一時保留部15に紙幣を収納する際における搬送状態を走行監視センサ43により検知し、その検知結果を収納時搬送情報として記憶部11Mに記憶させておき、入金収納処理において走行監視センサ43から得られた搬送状態を収納時搬送情報と比較して、収納時の搬送状態が正しく再現されているか否かを判断する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば一時保留部15において収納時の搬送状態を極めて高精度に維持できる場合に、走行監視センサ43を省略すると共に搬送状態が再現されているか否かについて特に判断しないようにしても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
【0195】
さらに上述した第1の実施の形態においては、入金収納処理において一時保留部15から繰り出される紙幣が収納時の搬送状態を正しく再現していないと判断した場合、当該紙幣を第1搬送部21によりリジェクト庫16へ搬送する途中で鑑別部14により再鑑別させ、記憶部11Mに記憶している計数時情報と一致した場合には、入金計数処理において決定した搬送先を利用するようにした場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば入金収納処理において一時保留部15から繰り出される紙幣が収納時の搬送状態を正しく再現していないと判断した場合、鑑別部14による再鑑別の結果に拘わらず、一律にリジェクト庫16へ搬送させるようにしても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
【0196】
さらに上述した第1の実施の形態においては、一時保留部15の走行監視センサ43により検知する紙幣の搬送状態として、具体的に紙幣同士の間隔及び各紙幣のスキュー(すなわち搬送方向に対する傾斜)を検知する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば紙幣同士の間隔及び各紙幣のスキューの何れか一方としても良く、また紙幣の厚みを検知しても良く、さらにはこれらを適宜組み合わせても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
【0197】
さらに上述した第1の実施の形態においては、入金計数処理での鑑別部14における計数時情報や走行監視センサ43による収納時搬送情報を紙幣制御部11の記憶部11Mに記憶させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば主制御部9の記憶部9Mや、所定のネットワークを介して接続された外部のサーバ装置(図示せず)の内部に設けられた記憶部等、情報を記憶可能な種々の箇所に計数時情報及び収納時搬送情報を記憶させるようにしても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
【0198】
さらに上述した第1の実施の形態においては、入金リジェクト紙幣を第2搬送部22の搬送経路貯留部22Sに貯留しておき、入出金部12内の全紙幣を鑑別部14により鑑別した後などに、第1搬送部21を逆送させて当該入金リジェクト紙幣を入出金部12へ搬送するようにした場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば鑑別部14により入金リジェクト紙幣を検知する度に、入出金部12からの紙幣の取込を中断し、第1搬送部21を一時的に逆送させて当該入金リジェクト紙幣を当該入出金部12へ搬送させるようにしても良い。この場合、第2搬送部22を搬送経路貯留部22Sとして使用する必要が無い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
【0199】
さらに上述した第1の実施の形態においては、入金取引において入金計数処理を実行中に、搬送経路貯留部22Sが満杯になった場合、入金計数処理を一時的に中断して当該搬送経路貯留部22Sから全てのリジェクト紙幣を入出金部12へ順次逆送させた後、入金計数処理を再開する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば入金計数処理として、入出金部12から紙幣を1枚ずつ取り込んで鑑別部14により鑑別する処理に加えて、搬送経路貯留部22Sが満杯になった場合に全てのリジェクト紙幣を入出金部12へ順次逆送させる処理も行うようにしても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
【0200】
さらに上述した第1の実施の形態においては、入金リジェクト紙幣を第2搬送部22の搬送経路貯留部22Sに貯留する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば紙幣収納庫17E等のように、紙幣入出金機10の内部における紙幣を貯留できる種々の箇所を入金リジェクト紙幣の一時的な収納庫として利用しても良い。この場合、入出金部12内の全紙幣を鑑別部14により鑑別した後、当該紙幣収納庫17Eに収納された全ての入金リジェクト紙幣を入出金部12へ搬送して顧客に返却すれば良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
【0201】
さらに上述した第1の実施の形態においては、入金リジェクト紙幣を第2搬送部22の搬送経路貯留部22Sに貯留する際、紙幣同士の間隔を搬送間隔V1から貯留間隔V2へ短縮する場合について述べた(
図3)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば第2搬送部22における搬送経路が比較的長い場合等に、紙幣同士の間隔を短縮すること無く、第1搬送部21における搬送間隔V1を維持したまま貯留しても良い。この場合、第2搬送部22における各ローラ等の回転を第1搬送部21における各ローラ等と同様に一定の回転速度で回転させれば良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
【0202】
さらに上述した第1の実施の形態においては、第2搬送部22の各ローラを駆動するモータM2(
図4)への制御信号等を基に、搬送経路貯留部22Sの内部に貯留している入金リジェクト紙幣の後端の位置を紙幣制御部11が認識する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば当該モータM2の制御精度が比較的低い場合に、第2搬送部22の内部における後端近傍に光学センサを設け、当該光学センサによる紙幣の検知結果を基に、搬送経路貯留部22Sの内部に貯留している入金リジェクト紙幣の後端の位置を紙幣制御部11が認識しても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
【0203】
さらに上述した第1の実施の形態においては、モータM1及びM2の取付位置を、それぞれの駆動力の伝達対象となる各ローラ等の近傍、すなわち第1搬送部21及び第2搬送部22の内部とする場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばモータM2を第1搬送部21内や搬送部13の外部等のように任意の箇所に配置し、当該モータM2から図示しないギヤ等を介して駆動力を第2搬送部22内の各ローラ等に伝達しても良い。さらには、例えばモータM2を省略すると共に図示しないクラッチ機構や歯数の異なるギヤ等を適宜組み合わせて利用することで、モータM1からの駆動力を第1搬送部21内の各ローラ及び第2搬送部22内の各ローラにそれぞれ伝達し、第1搬送部21内と第2搬送部22内とで紙幣の搬送速度を互いに独立に制御しても良い。モータM1についても同様であり、また第2〜第4の実施の形態についても同様である。
【0204】
さらに上述した第1の実施の形態においては、入出金部12の収容器12Aの内部に紙幣を特に区別すること無く収容する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば収容器12Aの内部に前後方向へ移動可能な仕切板を設け、入金処理時に当該仕切板の前方に未鑑別の紙幣を位置させる一方、当該仕切板の後方に入金リジェクト紙幣を位置させるようにしても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
【0205】
さらに上述した第1の実施の形態においては、出金処理において、紙幣の搬送先をリジェクト庫16に決定した際に何れのセンサの検知結果に基づいているかに応じて、その搬送動作を相違させるようにした場合について述べた。具体的には、走行センサ31による検知結果を基に紙幣の搬送先をリジェクト庫16に決定した場合には、当該紙幣がリジェクト切替部23に到達する前に当該リジェクト切替部23における搬送経路の切替動作を完了させた。その一方で、イメージセンサ32及び真偽センサ33による検知結果を基に紙幣の搬送先をリジェクト庫16に決定した場合には、当該紙幣がリジェクト切替部23を通過した後、当該紙幣を当該リジェクト切替部23の後方まで逆送させ、当該リジェクト切替部23における搬送経路を切り替えた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばイメージセンサ32及び真偽センサ33からリジェクト切替部23までの搬送経路が比較的長い場合に、何れのセンサの検知結果を基に紙幣の搬送先をリジェクト庫16に決定した場合であっても、当該紙幣がリジェクト切替部23に到達する前に搬送経路の切替動作を完了させるようにしても良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
【0206】
さらに上述した第1の実施の形態においては、走行センサ31を厚みセンサ及び光学センサにより構成し、それぞれの検知結果を基に紙幣制御部11において重送の有無、各紙幣のスキュー及び紙幣同士の間隔を認識する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々のセンサにより走行センサを構成しても良い。要は、入金計数処理において各紙幣が入金リジェクト紙幣であるか否かを検知でき、且つ出金処理において各紙幣がリジェクト紙幣であるか否かを検知できれば良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
【0207】
さらに上述した第1の実施の形態においては、搬送部13から一時保留部15へ紙幣を搬送するよう搬送経路を切り替える一時保留切替部20を第1切替部24と第2切替部25との間に配置し、当該一時保留切替部20により搬送部13を前側の第1搬送部21及び後側の第2搬送部22に分けた場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、搬送部13の内部における他の箇所に一時保留切替部20を配置するようにしても良い。例えば、
図2と対応する
図28に示す紙幣入出金機510のように、搬送部513において第2切替部25と第3切替部26との間に一時保留切替部520を配置し、当該一時保留切替部520により搬送部513を前側の第1搬送部521及び後側の第2搬送部522に分けるようにしても良い。
【0208】
この紙幣入出金機510では、第2搬送部522の前後長が短くなるために搬送経路貯留部522Sに貯留可能な入金リジェクト紙幣の枚数が減少することになるものの、鑑別部14から一時保留切替部520までの間隔が長くなる。これにより紙幣入出金機510は、入金計数処理において鑑別部14における各センサの検知結果を基に一時保留切替部520における搬送経路を切り替えるまでの時間的な余裕を増やすことができ、例えば取り扱う紙幣における搬送方向(すなわち短辺方向)に沿った長さが比較的長い場合等にも対処することができる。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
【0209】
さらに上述した第1の実施の形態においては、搬送部13を大きく第1搬送部21、一時保留切替部20及び第2搬送部22に分けた構成とした場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば当該搬送部13を種々の分け方で複数に分けても良く、或いはこれらを分けること無く1個の搬送部13としても良い。ただし、少なくとも一時保留切替部20の前側において紙幣を搬送するための各ローラと、当該一時保留切替部20の後側において紙幣を搬送するための各ローラとを、互いに独立して駆動できることが望ましい。これにより搬送部は、正常な紙幣を一時保留部15へ順次搬送しながら入金リジェクト紙幣のみを搬送経路貯留部22Sに順次貯留していくことができ、さらに両者を異なる速度で駆動する場合に、搬送経路貯留部22Sに貯留する入金リジェクト紙幣同士の間隔を詰めることも可能となる。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
【0210】
さらに上述した第1の実施の形態においては、出金処理において、鑑別部14の走行センサ31における検知結果のみを基に、紙幣制御部11において各紙幣の搬送先を入出金部12又はリジェクト庫16に決定する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば出金処理において、走行センサ31及びイメージセンサ32の双方からの検知結果を基に、紙幣制御部11において各紙幣の搬送先を決定する等、種々のセンサからの検知結果を基に各紙幣の搬送先を決定しても良い。この場合、要は各紙幣を各センサにより検知した後、当該紙幣を前方へ搬送してリジェクト切替部23に到達させるまでの間に、各センサから得られる検知結果を基に紙幣制御部11より搬送先を決定し、さらにリジェクト切替部23において搬送経路の切替動作を完了することができれば良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
【0211】
さらに上述した第1の実施の形態においては、鑑別部14に走行センサ31、イメージセンサ32及び真偽センサ33といった3種類のセンサを設ける場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、鑑別部14に2種類以下又は4種類以上のセンサを設けても良い。要は、得られる検知結果を基に紙幣制御部11において、少なくとも入金計数処理において各紙幣が正常な紙幣又は入金リジェクト紙幣の何れであるかを判断することができ、且つその後の入金収納処理における搬送先を定めることができれば良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
【0212】
さらに上述した第4の実施の形態においては、第1搬送部321(
図23)の内部に鑑別部14を設けず走行センサ31、イメージセンサ32及び真偽センサ33をそれぞれ独立して配置する場合に、走行センサ31及びイメージセンサ32を第1切替部24及びリジェクト切替部23の間に配置し、且つ真偽センサ33をリジェクト切替部23と入出金部12との間に配置する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば走行センサ31を第1切替部24及びリジェクト切替部23の間に配置し、且つイメージセンサ32及び真偽センサ33をリジェクト切替部23と入出金部12との間に配置する等、各センサを種々の箇所に配置しても良い。さらには、例えば
図2及び
図23と対応する
図29に示す紙幣入出金機610のように、第1搬送部621の内部における第1切替部24の後方に真偽センサ33を配置しても良い。
【0213】
この紙幣入出金機610では、真偽センサ33と一時保留切替部20との距離が極めて近いため、入金計数処理において搬送される紙幣を真偽センサ33により検知した結果に基づいて、当該紙幣の搬送先を一時保留切替部20により切り替えることが間に合わない。しかしながら紙幣入出金機610は、一時保留部15に収納した各紙幣について、真偽センサ33による検知結果を記憶部611Mに記憶しておくことができるため、その後の入金収納処理において、この記憶している検知結果を基に、偽券を偽券庫18へ搬送させるよう搬送経路を切り替えることができる。
【0214】
さらに上述した第1の実施の形態においては、搬送経路を3通りに切り替える一時保留切替部20を、1枚のブレード20Bの傾斜角度を変化させて紙幣の搬送方向を切り替える、いわゆる3ウェイブレード方式とする場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば
図30に示す一時保留切替部720のように、3個のブレード720B1、720B2及び720B3を組み合わせることにより、3通りに搬送経路を切り替えるようにしても良い。
【0215】
また、
図31(A)、(B)及び(C)に示す一時保留切替部740のように、左右の側方から見て三角形状に形成された移動空間740S内で一回り小さい三角柱状に形成された移動体740Mを移動させることにより、3通りに搬送経路を切り替えるようにしても良い。すなわち一時保留切替部20としては、3通りに搬送経路を切り替えることができる種々の方式を採用することができる。第2〜第4の実施の形態についても同様であり、特に第2の実施の形態については第1切替部124についても同様である。
【0216】
さらに上述した第1の実施の形態においては、紙幣入出金機10の内部にリジェクト庫16及び偽券庫18を設ける場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばリジェクト庫16及び偽券庫18の何れか一方若しくは双方を省略しても良い。この場合、5個の紙幣収納庫17(17A〜17E)のうち何れか1個にリジェクト紙幣や偽券を収納するようにしても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。特に第2の実施の形態においては、第1切替部124がいわゆる3ウェイブレード方式であるため、例えば紙幣収納庫17Aを偽券庫とすることで、入金された偽券を直ちに紙幣収納庫17Aへ搬送することも可能となる。
【0217】
さらに上述した第1の実施の形態においては、第2搬送部22の上方後側に位置する偽券庫18(
図2)に偽券、すなわち鑑別部14からの鑑別結果を基に偽券と判断された紙幣を収納する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば出金取引において顧客が入出金部12から紙幣を取り忘れた場合、この紙幣(いわゆる取忘紙幣)を偽券庫18に搬送して収納しても良い。この偽券庫18は、上部ブロック10Uの内部に設けられており、下部ブロック10Lのように金庫筐体10Sの内部に設けられていない。このため、例えば顧客が取り忘れに気づいて戻ってきた際に、セキュリティレベルが低く金庫筐体10S内へのアクセス権を有しない一般の係員等であっても、偽券庫18から取忘紙幣を直ちに取り出して顧客に受け渡すことができる。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
【0218】
さらに上述した第1の実施の形態においては、第1搬送部21にリジェクト切替部23を介してリジェクト庫16を接続する場合について述べた(
図4、
図12)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば第2搬送部22に所定の第2リジェクト切替部を介してリジェクト紙幣を収納するための第2リジェクト庫を接続しても良い。この第2リジェクト庫は、上部ブロック10U内又は下部ブロック10L内の何れに設置しても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
【0219】
さらに上述した第1の実施の形態においては、リジェクト切替部23を、上側の入出金部12と後側の鑑別部14とを結ぶ搬送経路と、後側の鑑別部14と下側のリジェクト庫16とを結ぶ搬送経路と2通りに切り替える構成、いわゆる2ウェイブレード方式とした場合について述べた。
【0220】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えばリジェクト切替部として、一時保留切替部20と同様の構成、いわゆる3ウェイブレード方式としても良い。この場合、リジェクト切替部は、新たに入出金部12とリジェクト庫16とを結ぶ搬送経路を形成することが可能となる。これにより、例えば顧客が入出金部12から取り忘れた取忘紙幣を回収して収納する箇所としてリジェクト庫16を使用する場合に、取忘紙幣を入出金部12から直接リジェクト庫16へ搬送することが可能となるため、その搬送処理を短時間で完了でき、その後の新たな取引を迅速に再開することができる。またこの場合、入出金部12とリジェクト庫16とを直接結ぶ搬送経路が形成されるため、上述した出金処理において、イメージセンサ32及び真偽センサ33により出金すべきで無い紙幣であることが検知された場合に、当該紙幣を鑑別部14まで逆送させることなく、リジェクト庫16へ直接搬送することが可能となる。これにより、出金すべきで無い紙幣が発生した場合における出金処理が短時間で完了すると共に、紙幣の逆送による後続紙幣との衝突や紙幣の詰まりの発生等も抑制できる。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
【0221】
さらに上述した第3の実施の形態においては、入金計数処理において入出金部212の内部に未取込紙幣が残っていながら搬送経路貯留部22Sに新たな入金リジェクト紙幣を貯留し得なくなり、当該入金リジェクト紙幣を当該入出金部212へ搬送して当該未取込紙幣の後側に収容した後、シャッタ12Bを閉塞したまま、紙幣の取込を再開する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば入金リジェクト紙幣を当該入出金部212へ搬送して当該未取込紙幣の後側に収容した後、シャッタ12Bを開放することにより、入金リジェクト紙幣を未取込紙幣と共に顧客に取り出させて確認及び再投入させるようにしても良い。この場合、同一の紙幣を何度も繰り返して鑑別し、毎回入金リジェクト紙幣と鑑別して搬送経路貯留部22Sと入出金部212との間を何度も往復させる、といった無駄な処理の発生を回避することができる。
【0222】
さらに上述した第1の実施の形態においては、紙幣入出金機10に5個の紙幣収納庫17(17A〜17E)を設ける場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、4個以下又は6個以上の紙幣収納庫17を設けるようにしても良い。例えば3個の紙幣収納庫17を設ける場合、現金自動預払機1の前後長を大幅に短縮できるため、コンビニエンスストアのように設置面積が制限されている場所に設置する場合に好適である。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
【0223】
さらに上述した第1の実施の形態においては、金庫筐体10Sにより下部ブロック10Lの周側面を覆う場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば下部ブロック10L及び上部ブロック10Uの双方を覆うような大型の金庫筐体10Sを設けても良く、或いは金庫筐体10Sを省略しても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
【0224】
さらに上述した第1の実施の形態においては、鑑別部14の各センサにおける検知結果を紙幣制御部11へ送出することにより、当該紙幣制御部11により紙幣の金種、真偽及び損傷の程度等を認識した上でその搬送先を決定する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば鑑別部14に専用の鑑別制御部を設け、鑑別部14の各センサにおける検知結果を当該鑑別制御部へ送出して、当該鑑別制御部において紙幣の金種、真偽、損傷の程度等を認識させるようにしても良い。この場合、鑑別制御部において認識した金種、真偽及び損傷の程度等を表す情報を紙幣制御部11へ送出することにより、当該紙幣制御部11において紙幣の搬送先を決定すれば良い。これにより、紙幣制御部11の処理負荷を軽減することができる。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
【0225】
さらに上述した第1の実施の形態においては、下部ブロック10Lに対し紙幣収納庫17及びリジェクト庫16を何れも着脱可能に構成し、且つ紙幣収納庫17及びリジェクト庫16が互いに互換性を有する構造とした場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば紙幣収納庫17及びリジェクト庫16の少なくとも1個を下部ブロック10Lに固定された構造としても良く、また紙幣収納庫17及びリジェクト庫16が互いに互換性を有しない構造としても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
【0226】
さらに上述した第1の実施の形態においては、紙幣入出金機10の紙幣制御部11により入金計数処理、入金収納処理及び出金処理等の各種処理を実行する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば現金自動預払機1の主制御部9(
図1)により、或いは当該主制御部9と紙幣制御部11とを協働させることにより、各処理を実行するようにしても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
【0227】
さらに上述した第1の実施の形態においては、顧客との間で媒体としての紙幣に関する取引処理を行う現金自動預払機1の紙幣入出金機10に本発明を適用する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば各種金券や証券等、或いは入場券や乗車券のような種々の紙葉状の媒体を取り扱う種々の装置に本発明を適用しても良い。第2〜第4の実施の形態についても同様である。
【0228】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【0229】
さらに上述した実施の形態においては、入出部としての入出金部12と、第1搬送部としての第1搬送部21と、鑑別部としての鑑別部14と、記憶部としての記憶部11Mと、一時保留切替部としての一時保留切替部20と、一時保留部としての一時保留部15と、第2搬送部としての第2搬送部22と、媒体収納庫としての紙幣収納庫17と、リジェクト庫としてのリジェクト庫16と、制御部としての紙幣制御部11とによって媒体処理装置としての紙幣入出金機10及び媒体取引装置としての現金自動預払機1を構成する場合について述べた。
【0230】
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる入出部と、第1搬送部と、鑑別部と、記憶部と、一時保留切替部と、一時保留部と、第2搬送部と、媒体収納庫と、リジェクト庫と、制御部とによって媒体処理装置及び媒体取引装置を構成するようにしても良い。
【0231】
(1)さらに媒体処理装置は、紙葉状の媒体を入出する入出部と、前記入出部と接続され前記媒体を搬送する第1搬送部と、前記第1搬送部に設けられ、搬送される前記媒体を鑑別する鑑別部と、前記第1搬送部における前記鑑別部を挟んで前記入出部と反対側に接続され、前記媒体の搬送経路を切り替える一時保留切替部と、前記一時保留切替部を介して前記第1搬送部と接続され、前記媒体を一時的に収納し、且つ当該媒体を収納時の正順又は逆順により繰り出す一時保留部と、前記一時保留切替部を介して前記一時保留部又は前記第1搬送部と接続され、前記媒体を搬送する第2搬送部と、前記第2搬送部と接続され、再利用可能な前記媒体を収納する媒体収納庫と、前記第1搬送部又は前記第2搬送部に対しリジェクト切替部を介して接続され、前記鑑別部において再利用すべきで無いと鑑別されたリジェクト媒体を収納するリジェクト庫と、前記鑑別部における鑑別結果を利用して、前記第1搬送部、前記一時保留切替部及び前記第2搬送部による前記媒体の搬送経路を制御する制御部とを設けるようにした。
【0232】
これにより紙幣入出金機10では、入金計数処理において、入出金部12から取り込んだ紙幣を鑑別部14により鑑別しながら一時保留部15に順次収納させ、その後の入金収納処理において、一時保留部15から収納時の逆順で繰り出す紙幣を、一時保留切替部20、第1搬送部21及び第2搬送部22によって、入金計数処理において得られた鑑別結果に基づいた搬送先へ搬送させることにより、再度鑑別すること無く紙幣収納庫17又はリジェクト庫16に適切に収納させることができる。すなわち紙幣入出金機10は、入金計数処理を適切に行い得る構成としながら、搬送部13における搬送経路をループ状では無く直線状としたことで、従来よりも構成を簡略化でき、小型化や部品点数の削減、さらにはこれに伴う障害発生頻度の低減や保守作業の省力化等を図ることができる。
【0233】
(2)さらに媒体処理装置は、(1)において、前記鑑別部における鑑別結果を記憶する記憶部をさらに具え、前記制御部が、前記入出部を介して前記媒体を外部から受け入れる受入処理において、前記媒体を前記入出部から前記第1搬送部により前記鑑別部を介して前記一時保留部へ搬送させると共に当該鑑別部による前記媒体それぞれの鑑別結果を前記記憶部に記憶させ、当該記憶部に記憶されている前記媒体ごとの鑑別結果に応じて、前記一時保留部から繰り出させた前記媒体を前記媒体収納庫又は前記リジェクト庫へ搬送させるようにした。
【0234】
これにより紙幣入出金機10では、入金計数処理において、鑑別部14により鑑別した際の鑑別結果を表す計数時情報を記憶部11Mに記憶しながら紙幣を一時保留部15に順次収納させ、その後の入金収納処理において、一時保留部15から収納時の逆順で繰り出す紙幣を、記憶部11Mに記憶している計数時情報に基づいた搬送先に搬送することで、再度鑑別すること無く紙幣収納庫17又はリジェクト庫16に適切に収納させることができる。
【0235】
(3)さらに媒体処理装置は、上述した(2)において、前記第2搬送部が、前記媒体の搬送経路の少なくとも一部を、前記媒体を一時的に貯留する搬送経路貯留部とし、前記制御部が、前記一時保留切替部を制御することにより、前記第1搬送部によって搬送される前記媒体を前記鑑別部において装置内に受け入れるべきで無いと判断されたリジェクト媒体を前記第2搬送部へ搬送させて前記搬送経路貯留部に貯留させ、他の前記媒体の少なくとも一部を前記一時保留部へ搬送して収納させるようにした。
【0236】
これにより紙幣入出金機10では、入金リジェクト紙幣が発生した場合、当該入金リジェクト紙幣をその都度入出金部12へ戻す必要が無く、入出金部12からの紙幣を取り込んで正当な紙幣を一時保留部15へ順次収納させる処理を継続することができる。従って紙幣入出金機10は、例えば入金リジェクト紙幣が発生する度に取り込みや搬送を中断して当該入金リジェクト紙幣を顧客に返却する場合と比較して、短時間で入金計数処理を完了させることができる。
【0237】
(4)さらに媒体処理装置は、上述した(3)において、前記第1搬送部が、前記媒体同士の間隔を所定の搬送間隔として搬送し、前記制御部が、前記一時保留切替部を介して前記第1搬送部から前記第2搬送部へ前記リジェクト媒体を受け渡す際に、当該リジェクト媒体同士の間隔を前記搬送間隔よりも短い貯留間隔に短縮させるようにした。
【0238】
これにより紙幣入出金機10では、第1搬送部21内の鑑別部14を搬送する紙幣同士の間隔を比較的広い搬送間隔V1として、鑑別部14において各紙幣を1枚ずつ区別して適切に鑑別できる一方、第2搬送部22の搬送経路貯留部22Sでは紙幣同士の間隔を比較的狭い貯留間隔V2として、できるだけ多くの入金リジェクト紙幣を収納することができる。
【0239】
(5)さらに媒体処理装置は、上述した(4)において、前記制御部が、前記一時保留切替部を介して前記第1搬送部から前記第2搬送部へ前記リジェクト媒体を受け渡す際に、前記第2搬送部において前記媒体を間欠的に搬送させるようにした。
【0240】
これにより紙幣入出金機10では、第1搬送部21における各ローラを連続的に回転させると共に第2搬送部22における各ローラを間欠的に回転させることで、第1搬送部21から第2搬送部22へ入金リジェクト紙幣を受け渡す際に、紙幣同士の間隔を搬送間隔V1から貯留間隔V2に短縮させることができる。
【0241】
(6)さらに媒体処理装置は、上述した(3)において、前記制御部が、前記入出部から全ての前記媒体を搬送して前記鑑別部により鑑別した後、前記搬送経路貯留部に貯留していた前記リジェクト媒体を前記第1搬送部により前記入出部へ搬送させるようにした。
【0242】
これにより紙幣入出金機10では、搬送経路貯留部22Sに収納していた入金リジェクト紙幣を第1搬送部21によって入出金部12へ搬送して顧客に返却できるので、返却用の搬送路を設ける必要が無く、従来の紙幣入出金機810(
図32)よりも搬送路を簡略化することができる。
【0243】
(7)さらに媒体処理装置は、上述した(3)において、前記制御部が、前記搬送経路貯留部に新たな前記リジェクト媒体を貯留し得なくなった場合、前記入出部からの新たな前記媒体の搬送を中断させ、前記搬送経路貯留部に貯留している全ての前記リジェクト媒体を前記第1搬送部により前記入出部へ搬送させるようにした。
【0244】
これにより紙幣入出金機10では、搬送経路貯留部22Sを空の状態に戻すことができるので、搬送経路貯留部22Sが満杯になった状態で新たに入金リジェクト紙幣が発生したとしても、当該搬送経路貯留部22Sに収納できるので、顧客との取引処理を継続することができる。
【0245】
(8)さらに媒体処理装置は、上述した(3)において、前記鑑別部により偽物と鑑別された前記媒体である偽媒体を収納する偽媒体収納庫と、前記第2搬送部に前記偽媒体収納庫を接続させる偽媒体切替部とをさらに設け、前記制御部は、前記鑑別部により前記媒体が前記偽媒体であると鑑別された場合、当該偽媒体を前記第1搬送部により前記一時保留部へ搬送して収納させた後、前記第2搬送部により前記偽媒体収納庫へ搬送させるようにした。
【0246】
これにより紙幣入出金機10では、入金計数処理では正常な紙幣及び偽券を一時保留部15へ収納しておくことができるので、その後の入金収納処理において、正常な紙幣を紙幣収納庫17へ収納できる一方、偽券を第2搬送部22経由で偽券庫18へ収納させることができる。
【0247】
(9)さらに媒体処理装置は、上述した(2)において、前記一時保留部が、前記媒体の搬送状態を検知する一時保留検知部を設け、前記制御部が、前記一時保留部への前記媒体の収納時における搬送状態と、当該一時保留部からの当該媒体の繰出時における搬送状態とに応じて、当該媒体の搬送経路を制御するようにした。
【0248】
これにより紙幣入出金機10では、一時保留部15への紙幣の収納時における搬送状態と当該一時保留部15からの紙幣の繰出時における搬送状態との相違に応じて、各紙幣を紙幣収納庫17又はリジェクト庫16の何れへ搬送するべきであるかを適切に判断することができる。すなわち紙幣入出金機10では、入金収納処理において、鑑別部14を通過させること無く各紙幣を適切に収納できるため、従来の紙幣入出金機810(
図32)よりも搬送路を簡略化することができる。
【0249】
(10)さらに媒体処理装置は、上述した(9)において、前記記憶部が、前記一時保留検知部における検知結果を収納時搬送状態として記憶し、前記制御部が、前記一時保留部から繰り出される際に前記一時保留検知部により検知された前記媒体の搬送状態が、前記記憶部に記憶している前記収納時搬送状態と相違する場合には、当該媒体及びこれに続く前記媒体を前記リジェクト庫へ搬送させるようにした。
【0250】
これにより紙幣入出金機10では、一時保留部15への紙幣の収納時における搬送状態を表す収納時情報を記憶部11Mに記憶させておき、当該一時保留部15からの紙幣の繰出時における搬送状態を当該収納時情報と比較することで、搬送状態の相違を判断することができ、これを基に各紙幣を紙幣収納庫17又はリジェクト庫16の何れへ搬送するべきであるかを適切に判断することができる。すなわち紙幣入出金機10では、入金収納処理において、鑑別部14を通過させること無く各紙幣を適切に収納できるため、従来の紙幣入出金機810(
図32)よりも搬送路を簡略化することができる。
【0251】
(11)さらに媒体処理装置は、上述した(10)において、前記リジェクト切替部が、前記第1搬送部における前記入出部と前記鑑別部との間に設けられ、前記制御部が、前記一時保留部から繰り出した前記媒体の搬送状態が前記収納時搬送状態と相違し、当該媒体を前記第1搬送部により前記リジェクト庫へ搬送する際、当該媒体を前記鑑別部により再度鑑別させ、このときの鑑別結果が前記記憶部に記憶されている前記鑑別結果と一致した場合、前記第1搬送部により当該媒体を前記一時保留部の方向へ戻すよう搬送させた後、前記記憶部に記憶している前記鑑別結果に応じて当該媒体を前記媒体収納庫又は前記リジェクト庫へ搬送させるようにした。
【0252】
これにより紙幣入出金機10では、一時保留部15への収納時と当該一時保留部15からの繰出時とで紙幣の搬送状態が相違していた場合、そのままでは相違後の全ての紙幣をリジェクト庫16へ搬送するところ、鑑別部14における各紙幣を再鑑別した結果が入金計数処理において記憶した計数時情報と一致した場合に、これらを正常な紙幣と見なして一時保留部15の方向へ逆送させ、記憶している鑑別結果に基づいて紙幣収納庫17等へ搬送できるので、紙幣を再利用する割合を高めることができる。
【0253】
(12)さらに媒体処理装置は、上述した(10)において、前記一時保留検知部が、前記媒体同士の間隔及び搬送方向に対する前記媒体の傾斜を当該媒体の搬送状態として検知するようにした。
【0254】
これにより紙幣入出金機10では、紙幣同士の間隔及び搬送方向に対する紙幣の傾斜を元に、記憶部11Mに記憶している搬送先を利用できるか否かを適切に判断することができる。
【0255】
(13)さらに媒体処理装置は、上述した(2)において、前記入出部が、前記媒体を収容する収容器と、前記収容器内の前記媒体を個別に取り込み前記第1搬送部に受け渡す取込口と、前記取込口から独立し前記第1搬送部から受け渡される前記媒体を前記収容器内へ放出する放出口と、前記取込口に繋がる取込搬送経路と、前記放出口に繋がる放出搬送経路と、前記第1搬送部を前記取込搬送経路又は前記放出搬送経路と接続させるよう切り替える入出切替部とをさらに有するようにした。
【0256】
これにより紙幣入出金機210は、収容器12A内へ入金された紙幣については取込口212Cから取り込んで取込搬送部212D、切替部212E及び入出金搬送部212Fを介して搬送部13へ受け渡すことができる一方、出金すべき紙幣については搬送部13から受け渡された紙幣を入出金搬送部212F、切替部212E及び放出搬送部212Gを介して放出口212Hから収容器12A内へ放出することができる。
【0257】
(14)さらに媒体処理装置は、上述した(13)において、前記収容器が、複数の前記媒体を整列させた状態で収容し、前記取込口が、整列されたうちの先頭に位置する前記媒体を取り込み、前記放出口が、放出した前記媒体を前記整列された前記媒体の末尾に位置させるようにした。
【0258】
これにより紙幣入出金機210は、入金リジェクト紙幣が発生した場合にこれを放出口212Hから収容器12A内へ放出させることで、整列されている紙幣のうち取込口212Cから最も遠い側に位置させて、これを最後に取り込むことができるので、入金リジェクト紙幣の放出及び取込を繰り返して他の紙幣を取り込めなくなることを未然に防止できる。
【0259】
(15)さらに媒体処理装置は、上述した(1)において、前記鑑別部が、前記媒体の搬送経路に沿って複数のセンサを配置し、前記制御部が、前記鑑別部の前記複数のセンサから前記媒体についてそれぞれの鑑別結果を取得し、当該鑑別結果に応じて当該媒体の搬送先を決定すると共に、当該鑑別結果を取得しその搬送先を決定した時点における前記第1搬送部内での当該媒体の位置に応じて、前記媒体の搬送処理を変化させるようにした。
【0260】
これにより紙幣入出金機10は、例えば出金処理の際に、紙幣制御部11が鑑別部14から鑑別結果を取得し、当該紙幣をリジェクト紙幣と判断してその搬送先をリジェクト庫16に切り替える場合に、当該紙幣が当該リジェクト庫16へ搬送できない位置まで既に搬送されている場合に、搬送処理を変化させることで当該リジェクト庫16へ搬送させることができる。
【0261】
(16)さらに媒体処理装置は、上述した(15)において、前記リジェクト切替部が、前記第1搬送部における前記入出部と前記鑑別部との間に設けられ、前記制御部が、前記媒体を外部へ排出する排出処理において、前記媒体収納庫から繰り出した前記媒体を前記第2搬送部、前記一時保留切替部及び前記第1搬送部を介して前記入出部へ搬送させる際、前記鑑別部における鑑別結果を基に前記リジェクト切替部を切り替えさせて、外部へ排出すべきで無いと判断された前記媒体を前記リジェクト庫へ搬送させ、他の前記媒体を前記入出部へ搬送させるようにした。
【0262】
これにより紙幣入出金機10は、出金処理において、紙幣制御部11が鑑別結果を基に第1搬送部21のリジェクト切替部23を切り替えることで、出金すべきで無いと判断されたリジェクト紙幣をリジェクト庫16へ搬送させる一方、それ以外の正常な紙幣を入出金部12へ搬送させることができる。
【0263】
(17)さらに媒体処理装置は、上述した(1)において、前記鑑別部が、前記媒体の走行状態を検知する走行センサ及び他のセンサを有し、前記媒体の走行経路上で前記リジェクト切替部から最も遠い位置に前記走行センサが配置されるようにした。
【0264】
これにより紙幣入出金機10は、出金処理において、紙幣が走行センサ31を通過してからリジェクト切替部23に到達するまでの時間を極力長くすることができるため、鑑別部14からリジェクト切替部23までの搬送経路を短くすることができる。
【0265】
(18)さらに媒体処理装置は、上述した(17)において、前記制御部が、前記走行センサによる前記媒体の鑑別結果を基に当該媒体の搬送先を決定して前記リジェクト切替部を切り替えさせることにより、当該媒体を前記入出部又は前記リジェクト庫へ搬送させるようにした。
【0266】
これにより紙幣入出金機10は、出金処理において、リジェクト切替部23の遠方から搬送されてくる紙幣をまず走行センサ31により検知するため、当該紙幣がリジェクト切替部23に到達するまでの間に、紙幣制御部11によりその検知結果を基に当該紙幣の搬送先を決定した上で、これに合わせてリジェクト切替部23を切り替えておくことができる。
【0267】
(19)さらに媒体処理装置は、上述した(17)において、前記他のセンサの少なくとも一部が、搬送されている前記媒体についての鑑別結果を得て前記制御部へ送出し、当該制御部が当該鑑別結果を基に前記リジェクト切替部を切り替えさせる前に、当該媒体が当該リジェクト切替部に到達する位置に配置されているようにした。
【0268】
これにより紙幣入出金機10は、出金処理において、紙幣収納庫17等から繰り出される度に変化する可能性がある走行状態を、走行センサ31により最初に検知できる一方、出金時には偽券であることを検知する可能性が低い真偽センサ33等を、リジェクト切替部23から紙幣の短辺長よりも近い位置に配置することで、第1搬送部21や紙幣入出金機10における前後長を極力短くすることができる。
【0269】
(20)さらに媒体処理装置は、上述した(19)において、前記制御部が、前記走行センサによる前記媒体の鑑別結果を基にその搬送先を決定して前記リジェクト切替部を切り替えさせた後に、前記他のセンサの少なくとも一部から得られた鑑別結果を基に搬送先を変更した場合、前記第1搬送部により搬送中の当該媒体を停止させ、さらに反対方向へ搬送して前記リジェクト切替部よりも前記鑑別部側まで戻した後、変更後の前記搬送先に応じて前記リジェクト切替部を切り替えさせて当該媒体を搬送させるようにした。
【0270】
これにより紙幣入出金機10は、紙幣が既にリジェクト切替部23を通過し、第1搬送部21における前部21A内の搬送経路上又は入出金部12の取込放出口12Cへ向かう搬送経路上に到達していた場合、入出金部12による紙幣の搬送を直ちに停止させ、当該紙幣を鑑別部14の後側まで逆送させ、リジェクト切替部23における搬送経路をリジェクト庫16側に切り替えさせるため、当該紙幣を誤って入出金部12の収容器12Aの内部に放出すること無く、リジェクト庫16に搬送させることができる。
【0271】
(21)さらに媒体処理装置は、上述した(19)において、前記他のセンサの少なくとも一部が、前記リジェクト切替部と前記入出部との間に配置されているようにした。
【0272】
これにより紙幣入出金機310は、出金時にリジェクト紙幣をリジェクト庫16へ搬送しながらも、装置全体の前後方向の長さを短く抑えることができる。
【0273】
(22)さらに媒体処理装置は、上述した(1)において、前記第2搬送部における前記媒体の主な搬送方向を、前記第1搬送部における前記媒体の主な搬送方向とほぼ平行とした。
【0274】
これにより紙幣入出金機10は、従来の紙幣入出金機810のようなループ状の搬送経路を形成する場合よりも、搬送経路長を短縮して構成を簡素化し、部品点数を削減することができる。
【0275】
(23)さらに媒体処理装置は、上述した(1)において、前記媒体収納庫及び前記リジェクト庫を、前記第1搬送部及び前記第2搬送部に対し同一側に配置されると共に、他の部分よりも頑強な頑強筐体内に配置されているようにした。
【0276】
これにより紙幣入出金機10は、多数の紙幣が収納される紙幣収納庫17及びリジェクト庫16を保護する金庫筐体10Sを、比較的小さく構成することができる。すなわち紙幣入出金機10は、従来の紙幣入出金機810(
図32)と比較して、金庫筐体10Sの外側に第1搬送部21及び第2搬送部22を配置しているため、当該金庫筐体10Sを小型に構成することができる。これに加えて紙幣入出金機10は、例えば搬送部13の内部における紙幣の詰まり(ジャム)が発生した場合に、金庫筐体10Sの内部にアクセスする必要が無いため、セキュリティレベルが低く金庫筐体10S内にアクセスできない職員等によっても、この詰まった紙幣を除去させることができる。
【0277】
(24)さらに媒体処理装置は、上述した(1)において、前記鑑別部により偽物と鑑別された前記媒体である偽媒体を収納する偽媒体収納庫と、前記第1搬送部又は前記第2搬送部に前記偽媒体収納庫を接続させる偽媒体切替部とをさらに設け、前記制御部が、前記鑑別部により前記媒体が前記偽媒体であると鑑別された場合、前記第1搬送部又は前記第2搬送部により当該偽媒体を前記偽媒体収納庫へ搬送させるようにした。
【0278】
これにより紙幣入出金機10では、入金計数処理では正常な紙幣及び偽券を一時保留部15へ収納しておくことができるので、その後の入金収納処理において、正常な紙幣を紙幣収納庫17へ収納できる一方、偽券を第2搬送部22経由で偽券庫18へ収納させることができる。
【0279】
(25)さらに媒体処理装置は、上述した(1)において、前記媒体収納庫及び前記リジェクト庫が、前記媒体処理装置の筐体に対しそれぞれ着脱可能であり、且つ当該媒体処理装置の筐体への取付及び前記媒体の搬送に関して互いに互換性を有するようにした。
【0280】
これにより紙幣入出金機10では、紙幣収納庫17及びリジェクト庫16を、金庫筐体10Sにおける任意のスロットにそれぞれ装填することができるので、これらの装填位置を変化させることで、様々な運用形態に柔軟に対応することができる。
【0281】
(26)さらに媒体処理装置は、上述した(1)において、複数の前記媒体収納庫を所定の整列方向に沿って整列させた状態に装填可能な装填ブロックをさらに有し、前記第1搬送部、前記一時保留切替部及び前記第2搬送部は、前記整列方向に沿って前記媒体の搬送路を形成するようにした。
【0282】
これにより紙幣入出金機10では、搬送部を単純に構成できると共に紙幣の搬送経路を極めて短く抑えることができるので、装置構成を簡素化でき、また取引処理に要する時間も短縮できる。
【0283】
(27)さらに媒体処理装置は、上述した(1)において、再利用可能な前記媒体を収納する第1接続媒体収納庫と、前記鑑別部と前記一時保留切替部との間に接続されると共に前記第1接続媒体収納庫と接続され、前記媒体の搬送経路を切り替える第1切替部を有するようにした。
【0284】
これにより紙幣入出金機10では、第2搬送部における長さの制約により当該第2搬送部に接続できる媒体収納庫の数が制限されていたとしても、第1搬送部に第1接続媒体収納庫を接続することで、媒体収納庫及び第1接続媒体収納庫の合計数を増加でき、媒体の収納可能数を増加させることができる。
【0285】
(28)さらに媒体取引装置は、利用者との間で取引する紙葉状の媒体を入出する入出部と、前記入出部と接続され前記媒体を搬送する第1搬送部と、前記第1搬送部に設けられ、搬送される前記媒体を鑑別する鑑別部と、前記鑑別部における鑑別結果を記憶する記憶部と、前記第1搬送部における前記鑑別部を挟んで前記入出部と反対側に接続され、前記媒体の搬送経路を切り替える一時保留切替部と、前記一時保留切替部を介して前記第1搬送部と接続され、前記媒体を一時的に収納し、且つ当該媒体を収納時の正順又は逆順により繰り出す一時保留部と、前記一時保留切替部を介して前記一時保留部又は前記第1搬送部と接続され、前記媒体を搬送する第2搬送部と、前記第2搬送部と接続され、再利用可能な前記媒体を収納する媒体収納庫と、前記第1搬送部又は前記第2搬送部に対しリジェクト切替部を介して接続され、前記鑑別部において再利用すべきで無いと鑑別されたリジェクト媒体を収納するリジェクト庫と、前記入出部を介して前記媒体を利用者から受け入れる受入取引において、前記媒体を前記入出部から前記第1搬送部により前記鑑別部を介して前記一時保留部へ搬送させると共に当該鑑別部による前記媒体それぞれの前記鑑別結果を前記記憶部に記憶させ、当該記憶部に記憶されている前記媒体ごとの前記鑑別結果に応じて、前記一時保留部から繰り出させた前記媒体を前記媒体収納庫又は前記リジェクト庫へ搬送させる制御部とを設けた。
【0286】
これにより現金自動預払機1は、入金計数処理において、入出金部12から取り込んだ紙幣を鑑別部14により鑑別しながら一時保留部15に順次収納させると共に、鑑別結果を表す計数時情報を記憶部11Mに記憶させておき、その後の入金収納処理において、一時保留部15から収納時の逆順で繰り出す紙幣を、一時保留切替部20、第1搬送部21及び第2搬送部22によって、記憶部11Mに記憶している計数時情報に基づいた搬送先に搬送することにより、再度鑑別すること無く紙幣収納庫17又はリジェクト庫16に適切に収納させることができる。すなわち現金自動預払機1は、入金計数処理を適切に行い得る構成としながら、搬送部13における搬送経路をループ状では無く直線状としたことで、従来よりも構成を簡略化でき、小型化や部品点数の削減、さらにはこれに伴う障害発生頻度の低減や保守作業の省力化等を図ることができる。