特許第6409504号(P6409504)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6409504
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】除電装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/14 20060101AFI20181015BHJP
【FI】
   G03G15/14 101F
【請求項の数】5
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-221095(P2014-221095)
(22)【出願日】2014年10月30日
(65)【公開番号】特開2016-90630(P2016-90630A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】金井 真
(72)【発明者】
【氏名】山田 渉
(72)【発明者】
【氏名】新宅 寛治
(72)【発明者】
【氏名】大木 友也
【審査官】 中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平7−271200(JP,A)
【文献】 特開平9−127806(JP,A)
【文献】 特開昭63−300271(JP,A)
【文献】 特開昭63−154571(JP,A)
【文献】 特開2004−184822(JP,A)
【文献】 特開2012−128368(JP,A)
【文献】 米国特許第5132654(US,A)
【文献】 特開平3−154088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像保持体の表面に保持された画像が媒体に転写される転写領域に対して、媒体の搬送方向の下流側に配置され、且つ、接地されて、媒体を除電する第1の除電部材と、
媒体の搬送方向に対して前記第1の除電部材に並んで配置され、且つ、接地されて、前記媒体を除電する第2の除電部材と、
前記第1の除電部材に設けられて接地される接地部と、
前記第1の除電部材を支持し、前記第1の除電部材に接触して接地された状態で前記第2の除電部材を支持する支持部と、
を備えたことを特徴とする除電装置。
【請求項2】
前記媒体に対向する端部が鋸歯状に形成された金属製の前記第1の除電部材と、
複数の導電性の毛により構成された前記第2の除電部材と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の除電装置。
【請求項3】
媒体側の端部が、前記第1の除電部材の前記媒体側の端部に比べて、媒体の搬送路内に突出している前記第2の除電部材、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の除電装置。
【請求項4】
前記第1の除電部材の媒体側の端部に比べて、媒体の搬送路の内側に配置され、前記第1の除電部材の端部を保護する保護部と、前記保護部を支持する前記支持部と、を有する保護部材と
を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の除電装置。
【請求項5】
表面に可視像が形成される像保持体と、
前記像保持体の表面の可視像を媒体に転写する転写装置と、
可視像が転写された媒体を除電して前記媒体から剥離させる請求項1ないしのいずれかに記載の除電装置と、
媒体に転写された可視像を定着させる定着装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除電装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置において、画像が転写された後の媒体を除電して像保持体から剥離する技術に関して、以下の特許文献1〜3に記載の技術が従来公知である。
【0003】
特許文献1としての特開2008−216468号公報には、転写ニップ部(Nt)の下流側において、転写材(14)の搬送高さが所定時間以上高い場合に、除電針(9)に印加する電圧を高くする技術が記載されている。
特許文献2としての特開2003−261244号公報には、転写紙(p)を感光体ドラム(61)から分離する分離部(64)に対して、転写紙(p)の斥量に応じて、分離部(64)に供給する電力を変化させる技術が記載されている。
【0004】
特許文献3としての特許第3608358号公報には、転写ロールの下流側に、板状部材(2)が配置され、板状部材(2)の表面に、搬送方向に沿った筋状のガイド部材(1)が形成された構成が記載されている。すなわち、転写後の記録材は、ガイド部材(1)に案内されるとともに、接地された板状部材(2)が非接触の状態で記録材を除電している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−216468号公報(「0029」〜「0030」、図4図5
【特許文献2】特開2003−261244号公報(「0019」、「0034」〜「0036」、「0048」、図1
【特許文献3】特許3608358号公報(「0013」〜「0018」、「0029」〜「0031」、「0048」、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、除電用の電源を有する構成や、接地された1つの除電部材で除電を行う場合に比べて、装置を小型化しつつ除電不足の発生を低減することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の除電装置は、
像保持体の表面に保持された画像が媒体に転写される転写領域に対して、媒体の搬送方向の下流側に配置され、且つ、接地されて、媒体を除電する第1の除電部材と、
媒体の搬送方向に対して前記第1の除電部材に並んで配置され、且つ、接地されて、前記媒体を除電する第2の除電部材と、
前記第1の除電部材に設けられて接地される接地部と、
前記第1の除電部材を支持し、前記第1の除電部材に接触して接地された状態で前記第2の除電部材を支持する支持部と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の除電装置において、
前記媒体に対向する端部が鋸歯状に形成された金属製の前記第1の除電部材と、
複数の導電性の毛により構成された前記第2の除電部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の除電装置において、
媒体側の端部が、前記第1の除電部材の前記媒体側の端部に比べて、媒体の搬送路内に突出している前記第2の除電部材、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の除電装置において、
前記第1の除電部材の媒体側の端部に比べて、媒体の搬送路の内側に配置され、前記第1の除電部材の端部を保護する保護部と、前記保護部を支持する前記支持部と、を有する保護部材と
を備えたことを特徴とする。
【0012】
前記技術的課題を解決するために、請求項5に記載の発明の画像形成装置は、
表面に可視像が形成される像保持体と、
前記像保持体の表面の可視像を媒体に転写する転写装置と、
可視像が転写された媒体を除電して前記媒体から剥離させる請求項1ないしのいずれかに記載の除電装置と、
媒体に転写された可視像を定着させる定着装置と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1,に記載の発明によれば、除電用の電源を有する構成や、接地された1つの除電部材で除電を行う場合に比べて、装置を小型化しつつ除電不足の発生を低減することができる。また、請求項1,5に記載の発明によれば、1つの接地部で2つの除電部材を接地できる。
請求項2に記載の発明によれば、鋸歯状の第1の除電部材と伝導性の毛により構成された第2の除電部材とで除電することが可能である。
請求項3に記載の発明によれば、第2の除電部材が媒体に接触しない場合に比べて、除電能力を向上させることができる。
請求項4に記載の発明によれば、保護部を有しない場合に比べて、第1の除電部材の破損を低減できる
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図2図2図1のトナー像の形成装置部分の要部拡大図である。
図3図3は実施例1の転写領域の部分の拡大図である。
図4図4は実施例1の除電装置の一例としての剥離装置の説明図であり、図4Aは斜視図、図4B図4Aの矢印IVB方向から見た図である。
図5図5は実施例1の剥離装置の分解図であって、第1の除電部材を含む部分の説明図である。
図6図6は実施例1の剥離装置の分解図であって、第2の除電部材を含む部分の説明図である。
図7図7は実験例1の条件および結果の一覧表である。
図8図8は実験例1の先端位置の説明図である。
図9図9は実験例2の条件および結果の一覧表である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0016】
図1は実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図1において、実施例1の画像形成装置の一例としてのプリンタUは、装置本体の一例としてのプリンタ本体U1を有する。プリンタ本体U1の上面には、第1の媒体の排出部の一例としての第1の排出トレイTRhが設けられている。プリンタ本体U1の右部の上面には、操作部UIが設けられている。操作部UIは、図示しない表示部等を有する。操作部UIは、利用者が入力操作が可能に構成されている。
実施例1のプリンタUには、画像情報の送信装置の一例としてパーソナルコンピュータPCが電気的に接続されている。
【0017】
プリンタUは、制御部の一例としてのコントローラCを有する。コントローラCは、パーソナルコンピュータPCから送信された画像情報や制御信号等の電気信号を受信可能である。また、コントローラCは、操作部UIや電気回路Eに制御信号を出力可能に構成されている。さらに、コントローラCは、書込回路DLに電気的に接続されている。
書込回路DLは、入力された情報に応じて駆動信号を書込装置の一例としての露光機ROSに出力する。露光機ROSは、入力された信号に応じて、書込光の一例としてのレーザ光Lを出力可能に構成されている。
【0018】
図2図1のトナー像の形成装置部分の要部拡大図である。
図1図2において、前記露光機ROSの左方には、像保持体の一例としての感光体PRが配置されている。実施例1の感光体PRは、回転軸PRaを中心に矢印方向に回転可能に支持されている。感光体PRには、書込領域Q1において、レーザ光Lが照射される。
感光体PRの周囲には、感光体PRの回転方向に沿って、帯電部材の一例としての帯電ロールCRと、現像装置Gと、像保持体用の清掃器の一例としての感光体クリーナCLとが配置されている。
なお、実施例1のプリンタUでは、感光体PRや帯電ロールCR、現像装置G、感光体クリーナCLが一体的に着脱可能なユニット化されている。すなわち、感光体PRや帯電ロールCR、現像装置G、感光体クリーナCLは、プロセスユニットU2としてプリンタ本体U1に着脱可能に構成されている。
【0019】
前記帯電ロールCRには、電気回路Eから帯電電圧が印加される。
現像装置Gは、内部に現像剤の一例としてのトナーを収容する現像容器Vを有する。現像容器Vの内部には、現像剤の保持体の一例としての現像ロールGaが回転可能に支持されている。現像ロールGaは、現像領域Q2で感光体PRと対向して配置される。
また、現像ロールGaには、電源回路Eから現像電圧が印加される。また、現像容器Vの内部には、現像剤の搬送部材の一例としてのオーガGb,Gcが回転可能に支持されている。
【0020】
前記現像容器Vには、プリンタUに固定支持された現像剤の補給装置の一例としてのトナーの補給装置TH1の補給路の一端が接続されている。トナー補給装置TH1の補給路の他端は、現像剤の収容容器の一例としてのトナーカートリッジTCの排出口TC3に接続されている。
図1において、トナーカートリッジTCは、内部にトナーを収容する容器本体の一例としてのカートリッジ本体TC1を有する。カートリッジ本体TC1の内部には、現像剤の搬送部材の一例としてのトナー搬送部材TC2が回転可能に支持されている。前記トナーカートリッジTCは、プリンタUに対して前後方向に挿抜することにより着脱可能に構成されている。
前記感光体PR、帯電ロールCR、露光機ROS、現像装置G等により、感光体PR上にトナー像を形成するトナー像の形成装置が構成されている。
【0021】
図1において、プリンタUの下部には、媒体収容部の一例としての給紙トレイTR1〜TR4が設けられている。各給紙トレイTR1〜TR4は、媒体の一例として記録用シートSを収容している。
図1において、各給紙トレイTR1〜TR4の左右の両側には、容器の案内部材の一例としてのレールRL1が配置されている。レールRL1は、給紙トレイTR1〜TR4の左右両端部を移動可能に支持する。したがって、左右一対のレールRL1により各給紙トレイTR1〜TR4は前後方向に出入可能に支持されている。
【0022】
図1において、前記各給紙トレイTR1〜TR4の左上部には、給紙装置Kが配置されている。前記給紙装置Kは、媒体の取出部材の一例としてのピックアップロールRpを有する。ピックアップロールRpの左方には、捌き部材の一例としての捌きロールRsが配置されている。捌きロールRsは、媒体の搬送部材の一例としてのフィードロールと媒体の分離部材の一例としてのリタードロールからなる。
給紙装置Kの左方には、媒体の搬送路の一例としての給紙路SH1が配置されている。給紙路SH1は、上方に向けて延びている。給紙路SH1には、媒体の搬送部材の一例としての搬送ロールRaが複数配置されている。給紙路SH1の下流端である上端には、媒体の搬送時期の調整部材の一例としてのレジロールRrが配置されている。
【0023】
また、プリンタUの左側部には、手差し部の一例としての手差しトレイTR0が装着されている。手差しトレイTR0の右部には、手差し用の搬送路の一例としての手差し路SH2の左端が接続されている。手差し路SH2の右端は、給紙路SH1に接続されている。
図1において、レジロールRrの上方には、転写装置の一例としての転写ロールRtが配置されている。転写ロールRtは、転写領域Q3において、感光体PRと対向、接触する。したがって、実施例1の転写ロールRtは、感光体PRの回転に従動して回転する。転写ロールRtには、電源回路Eから転写電圧が印加される。
【0024】
感光体PRの回転方向に対して、転写ロールRtの下流側には、前記感光体クリーナCLが配置されている。感光体クリーナCLは、清掃部材の一例としてのクリーニングブレードCL1を有する。クリーニングブレードCL1は、板状に形成されている。クリーニングブレードCL1は、一端部が感光体PRに接触している。
クリーニングブレードCL1の上方には、清掃容器の一例としてのクリーナ容器CL2が配置されている。クリーニングブレードCL1は、クリーナ容器CL2に支持されている。クリーナ容器CL2の内部には、現像剤が収容可能な空間が形成されている。クリーナ容器CL2の内部には、現像剤の搬送部材の一例としての回収オーガCL3が回転可能に支持されている。また、クリーナ容器CL2の前端部には、現像剤の搬送路の一例としての回収路CL4が支持されている。回収路CL4は、感光体クリーナCLから現像装置Gまで延びている。
【0025】
図1において、転写ロールRtの上方には、定着装置Fが支持されている。定着装置Fは、加熱定着部材の一例としての加熱ロールFhと、加圧定着部材の一例としての加圧ロールFpとを有する。加熱ロールFhと加圧ロールFpとは、定着領域Q4において接触する。加熱ロールFhには、図示しない駆動源から駆動が伝達されて回転する。また、加熱ロールFhには、電気回路Eから、図示しないヒータを加熱するための電力が供給される。
前記プロセスユニットU2と、転写ロールRt、定着装置Fにより、シートSに画像を記録する画像記録部U2+Rt+Fが構成されている。
【0026】
定着装置Fの上部には、媒体の案内部の一例としてのシートガイドF1が形成されている。シートガイドF1の右方には、媒体の排出部材の一例としての排紙ロールR1が配置されている。排紙ロールR1の右方には、媒体の排出口Haが形成されている。媒体の排出口の下方には、第1の排出トレイTRhが配置されている。
図1において、定着装置Fの上方且つ排紙ロールR1の左方には、媒体の搬送路の一例としての接続路SH3が配置されている。接続路SH3は、排出口Haから左方に延びている。
【0027】
プリンタ本体U1の左側面には、手差しトレイTR0の上方に、媒体の反転装置の一例としての反転ユニットU3が支持されている。反転ユニットU3の内部には、媒体の搬送路の一例としての反転路SH4が形成されている。反転路SH4の上端は、接続路SH3の左端に接続されている。反転路SH4の下端は、レジロールRrの上流側において、給紙路SH1に合流している。
また、前記反転ユニットU3の上部には、媒体の搬送路の一例としての第2の排出路SH6が形成されている。第2の排出路SH6は、右端が接続路SH3に接続されており、反転路SH4から分岐している。第2の排出路SH6の左端は、反転ユニットU3の左側面まで延びている。反転ユニットU3の左側面には、第2の排出部の一例としてのフェイスアップトレイTRh1が支持されている。したがって、第2の排出路SH6を通過したシートSは、フェイスアップトレイTRh1に排出可能に構成されている。
【0028】
(画像形成装置の機能)
前記構成を備えた実施例1のプリンタUでは、パーソナルコンピュータPCから送信された画像情報は、コントローラCに入力される。コントローラCは、入力された画像情報を予め設定された時期に潜像形成用の情報に変換して、書込回路DLに出力する。露光機ROSは、書込回路DLが受信した信号に基づいたレーザ光Lを出力する。なお、コントローラCは、操作部UI、書込回路DL、電源回路E等の動作を制御する。
図1図2において、感光体PRの表面は、帯電電圧が印加される帯電ロールCRにより帯電される。帯電ロールCRで帯電された感光体PRの表面には、書込位置Q1において露光機ROSのレーザ光Lにより露光、走査されて静電潜像が形成される。静電潜像が形成された感光体PR表面は、現像領域Q2、転写領域Q3を順次通過する。
【0029】
現像領域Q2において、感光体PRに現像ロールGaが対向している。現像ロールGaは、現像容器Vの内部の現像剤を表面に保持して回転する。したがって、現像ロールGaの表面に保持されたトナー像により、感光体PRの表面の静電潜像は、可視像の一例としてのトナー像に現像される。現像容器Vの内部の現像剤は、オーガGb,Gcにより撹拌されながら循環される。
現像ロールGaによる現像に伴って、現像容器Vの内部の現像剤が消費されると、トナーカートリッジTCから現像剤が補給される。すなわち、現像剤の消費量に応じて、トナー搬送部材TC2が回転駆動してカートリッジ本体TC1内のトナーを、排出口TC3に搬送する。排出口TC3から排出されたトナーは、カートリッジトナー補給装置TH1の補給経路内の図示しない補給用搬送部材により現像容器Vに搬送される。
【0030】
給紙トレイTR1〜TR4には、画像が記録されるシートSが収容されている。給紙トレイTR1〜TR4に収容されたシートSは、給紙装置KのピックアップロールRpにより取出される。ピックアップロールRpで取り出されたシートSは、捌きロールRsにより1枚ずつ分離される。捌きロールRsで分離されたシートSは、給紙路SH1に給紙される。給紙路SH1のシートSは、搬送ロールRaにより、レジロールRrに向けて搬送される。
なお、前記手差しトレイTR0から給紙されたシートSは、手差し路SH2を通じて、レジロールRrに搬送される。レジロールRrに搬送されたシートSは、感光体PR表面のトナー像が転写領域Q3に移動する時期に合わせて、レジロールRrにより転写領域Q3に搬送される。
【0031】
転写領域Q3において、転写電圧が印加された転写ロールRtにより、転写領域Q3を通過するシートSに、感光体PRの表面のトナー像が転写される。
図2において、転写領域Q3を通過後の感光体PRは、クリーニングブレードCL1により、表面に付着したトナーが除去されて清掃される。クリーニングブレードCL1で除去されたトナーは、クリーナ容器CL2に回収される。クリーナ容器CL2に回収されたトナーは、回収オーガCL3で搬送される。回収オーガCL3で搬送されたトナーは、回収路CL4を通じて、現像容器Vの内部に戻される。すなわち、感光体クリーナCLで回収された現像剤は、現像装置Gで再使用される。
感光体クリーナCLにより表面が清掃された感光体PRは、帯電ロールCRにより再び帯電される。
【0032】
転写領域Q3においてトナー像が転写されたシートSは、トナー像が未定着の状態で定着装置Fの定着領域Q4に搬送される。
定着領域Q4では、シートSは、加熱ロールFhと加圧ロールFpとに挟まれて、トナー像が加熱定着される。
定着装置Fでトナー像が定着されたシートSは、シートガイドF1に案内されて、排紙ロールR1に搬送される。シートSが第1の排出トレイTRhに排出される場合には、排紙ロールR1に送られたシートSは、排出口Haから第1の排出トレイTRhに排出される。
【0033】
両面印刷時には、一面目に画像が記録されたシートSは、搬送方向の後端がシートガイドF1を通過した状態で、排紙ロールR1が逆回転する。したがって、シートSは、接続路SH3を通じて、反転路SH4に搬送される。反転路SH4を搬送されたシートSは、表裏が反転した状態で、前記レジロールRrに搬送される。したがって、レジロールRrから転写領域Q3に再送されて、二面目の画像が記録される。
シートSが、フェイスアップトレイTRh1に排出される場合、排紙ロールR1の逆回転で接続路SH3を搬送されるシートSが、第2の排出路SH6に搬入される。そして、第2の排出路SH6を搬送されたシートSは、フェイスアップトレイTRh1に排出される。
【0034】
(剥離装置の説明)
図3は実施例1の転写領域の部分の拡大図である。
図4は実施例1の除電装置の一例としての剥離装置の説明図であり、図4Aは斜視図、図4B図4Aの矢印IVB方向から見た図である。
図2図4において、実施例1のプリンタUでは、転写ロールRtを有する転写ユニット1が、プリンタ本体U1に対して着脱可能に支持されている。転写ユニット1は、枠体の一例としてのハウジング2を有する。ハウジング2は、転写ロールRtの前後両端を回転可能に支持する。ハウジング2の前後両端部には、転写ユニット1を取り扱う際に、作業者が把持する把持部2aが支持されている。
ハウジング2には、シートSの搬送方向の上流側に延びる上流ガイド3が一体的に形成されている。上流ガイド3は、レジロールRrから搬送されたシートSを転写領域Q3に案内する。
【0035】
図5は実施例1の剥離装置の分解図であって、第1の除電部材を含む部分の説明図である。
図3図5において、ハウジング2には、転写ロールRtに対して、シートSの搬送方向の下流側に、支持部の一例としての立壁4が形成されている。立壁4には、左右方向の中央部に、位置決め部の一例としての突起4aが形成されている。突起4aは、前後方向に間隔をあけて、3つ配置されている。また、立壁4の左方、すなわち、シートSから遠い側には、装着部の一例としての爪部4bが形成されている。爪部4bは、左方に突出する突起状に形成されており、前後方向に間隔をあけて3つ配置されている。
【0036】
図6は実施例1の剥離装置の分解図であって、第2の除電部材を含む部分の説明図である。
図3において、立壁4の上面、すなわち、シートSの搬送方向の下流側の面には、第1の除電部材の一例としてのデタックソー6が支持されている。図3図6において、実施例1のデタックソー6は、前後方向および左右方向に延びる導電性の板により構成されている。実施例1のデタックソー6は、一例として、SUS製の板金により構成されている。デタックソー6の左右方向の中央部には、突起4aに対応する位置に3つの孔部6aが形成されている。3つの孔部6aは、前から順に、丸孔、長孔、長孔の形状に形成されている。各孔部6aは、立壁4に形成された突起4aが貫通することで、位置決めされた状態でハウジング2に支持される。
デタックソー6の右端、すなわち、搬送されるシートS側の端部6bは、鋸歯状に形成されている。実施例1では、三角形状の鋸歯6bの各歯の突端が、予め設定された間隔をあけて形成されている。
デタックソー6の左端の前端部には、接地部6cが形成されている。接地部6cは、板金が下方に折り曲げられた形状に形成されている。前記接地部6cは、プリンタ本体U1に設けられた図示しない導電部材に接触しており、導電部材は、接地、いわゆるアースされている。
【0037】
図3図4図5において、立壁4の上方には、保護部材の一例としての下流カバー11が着脱可能に支持されている。下流カバー11は、支持部の一例として、前後方向及び左右方向に延びる板状の本体部12を有する。本体部12には、突起4aに対応する位置に、孔部13が形成されている。孔部13は、デタックソー6の孔部6aと同様に、前から順に丸孔、長孔、長孔の形状に形成されている。よって、各孔部13に突起4aが貫通することで、下流カバー11は、ハウジング2に位置決めされる。
本体部12の左端には、爪部4bの位置に対応して、3つの被装着部14が形成されている。被装着部14は、下方に湾曲する形状に形成されている。被装着部14には、爪部4bが貫通可能な開口部16が形成されている。従って、開口部16に爪部4bが引っ掛かることで、下流カバー11は、ハウジング2に着脱可能に支持される。
【0038】
下流カバー11の右端には、保護部の一例であって、案内部材の一例としての下流ガイド17が形成されている。下流ガイド17は下方に湾曲した形状に形成されている。実施例1の下流ガイド17は、図3に示すように、下流カバー11がハウジング2に装着された状態で、デタックソー6の右端よりも右方に配置されるように形成されている。すなわち、下流ガイド17が、デタックソー6が外部に露出せず、デタックソー6を保護するとともに、下流ガイド17の右面、すなわち、外表面でシートSを案内可能に構成されている。なお、実施例1では、一例として、下流ガイド17の外表面と、デタックソー6の突端との間隔は、1mmに設定されている。
実施例1の下流ガイド17は、デタックソー6の突端に対応する位置に、開口17aが形成されている。
【0039】
本体部12の下面には、接続部材の一例として、前後方向に延びるアルミテープ18が配置されている。実施例1のアルミテープ18は、導電性金属の一例としてのアルミニウム薄膜の片面に接着剤が塗布されており、本体部12に貼り付けられている。また、アルミテープ18は、下流カバー11がハウジング2に装着された場合に、デタックソー6に接触されるように構成されている。したがって、この状態では、アルミテープ18とデタックソー6とは電気的に接続され、アルミテープ18も、アースに接続された状態となる。
【0040】
アルミテープ18には、毛束19の基端部が支持されている。すなわち、毛束19の基端部は、アルミテープ18と本体部12の下面とに挟まれる形で支持されている。また、実施例1の毛束19は、導電性の毛が複数本束ねられて構成されている。なお、実施例1では、毛束19の体積抵抗率は、デタックソー6の体積抵抗率に比べて、値が1桁以上大きな材料を使用している。実施例1では、一例として、デタックソー6として体積抵抗率が1.0×10−5[Ωcm]のSUSを使用しており、毛束19として、1.0×10−1[Ωcm]のブラシを使用している。
また、実施例1の毛束19は、前後方向に間隔をあけて複数配置されている。実施例1では、毛束19は、デタックソー6の突端の間隔に対して、2倍の間隔をあけて配置されている。すなわち、前後方向に沿って、突端の位置に対して、1つ飛びの位置に対応して、毛束19が配置されている。
【0041】
また、実施例1の毛束19は、開口17aを貫通して、先端が、下流ガイド17よりも外側、すなわち、シートS側に突出する長さに設定されている。実施例1では、一例として、毛束19の先端が下流ガイド17の外表面よりも突出する長さが、1mmに設定されている。
なお、実施例1の毛束19は、図5に示すように、先端が垂れずに、線状に自立した姿勢を維持可能かつ、シートSに接触した場合には、弾性変形可能な剛性を有する材料により構成されている。
前記アルミテープ18および複数の毛束19により、実施例1の第2の除電部材の一例としての除電ブラシ18,19が構成されている。また、前記デタックソー6や、下流カバー11、除電ブラシ18,19等により、実施例1の除電装置の一例としてのシート剥離装置6〜19が構成されている。
【0042】
(シート剥離装置の機能)
前記構成を備えた実施例1のシート剥離装置6〜19では、転写後のシートSの裏面からシートSを除電する。シートSが必要電位まで除電されることにより、シートSは感光体PRからの剥離が可能になる。なお、除電が不十分であるとシートSは、感光体PRに吸着されて巻き付く恐れがある。
シートSを感光体PRから剥離する爪を設けることもできるが、十分な剥離性能を持たせようとすると、感光体PRに傷をつけてしまったり、部品点数が多くなって製造費用が上昇する問題がある。また、プリンタUが小型化されると、空間が制約されて、爪を配置する場所が確保できない場合もある。
【0043】
ここで、特開2008−216468号公報や特開2003−261244号公報、特許3608358号公報、特許第4770409号公報、特許第5220288号公報に記載されているように、シートSを除電する際に、帯電電荷を打ち消す電圧を印加する構成では、電圧を印加するための電源を設置する必要がある。したがって、これらの構成では、シートを除電する構成が大型化すると共に、製造費用や消費電力が嵩み、プリンタUの小型化、低コスト化に対応できない場合がある。また、印加する電圧が過剰になると、急激な除電や過剰な除電、逆極性の帯電が発生してしまい、未定着の画像が乱れて、画質に悪影響が発生する問題もある。印加する電圧を適切な範囲に制御する場合には、センサーが必要となり、費用の上昇を招きやすい。
【0044】
シートの剥離装置の小型化、低費用化に対応して、特開2004−184919号公報や、特開2005−250033号公報、特開2006−276498号公報のように、電源を設置せず、除電部材を接地して、シートSの除電を行う構成も知られている。ここで、普通紙や厚紙のように、剛性、いわゆるコシのあるシートSでは、曲率のある感光体PRに対して、シートSのコシで、感光体PRから剥離する力も作用している。よって、接地された除電部材でもシートSの剥離が可能である。しかしながら、薄紙のような剛性、いわゆるコシの弱いシートSでは、シートS自体が感光体PRから剥離する力が弱い。よって、特開2004−184919号公報等に記載された技術のように、1つの除電部材で除電を行う場合、シートSの除電が不十分となる恐れがある。したがって、シートSが感光体PRに巻き付いて紙詰まりが発生する恐れがある。
【0045】
これらに対して、実施例1のシート剥離装置6〜19では、デタックソー6および除電ブラシ18,19は接地されており、除電用の電力を供給する電源装置が設けられていない。よって、実施例1のシート剥離装置6〜19では、剥離用の爪や電源装置を設ける構成に比べて、部品点数が少なく、小型化、低費用化が可能である。
また、実施例1のシート剥離装置6〜19では、シートSの搬送方向に対して、上流側のデタックソー6と、下流側の除電ブラシ18,19とで除電を行っている。したがって、1つの除電部材で除電を行う特開2004−184919号公報等の従来技術に比べて、除電不足に伴う剥離不良が低減される。
【0046】
また、一般に、除電部材をシートSに近接、接触させた方が、除電能力が向上する一方で、シートSにデタックソーを接触させると、デタックソーにシートSの前端が衝突して、紙詰まりが発生する恐れがある。また、デタックソーをシートSに接触させたり、特開2004−184919号公報等のように、布製の除電部材を接触させる場合は、シートSの裏面を除電部材が擦ることとなり、搬送抵抗となって紙詰まりが発生したり、擦過傷が発生する恐れもある。
これらに対して、実施例1では、デタックソー6は、下流ガイド17の内側で、シートSに対して非接触で除電を行うと共に、除電ブラシ18,19は下流ガイド17の外側で、シートSに対して接触またはデタックソー6よりも近接して除電を行う。したがって、デタックソー6がシートSに接触して、紙詰まりが発生することが防止されている。また、除電ブラシ18,19は、弾性変形可能に構成されており、除電ブラシ18,19がシートSに接触しても、搬送抵抗や擦過傷の発生が低減されている。
【0047】
また、コシの弱いシートSの場合は、感光体PRに吸着され易く、普通紙や厚紙の場合に比べて、下流ガイド17よりも離れた位置を通過しやすい。したがって、特開2004−184919号公報等の従来の構成や、デタックソー6のみの構成では、シートSと除電部材との距離が離れ、除電能力が低下する場合がある。すなわち、除電不足に伴う剥離不良が発生しやすい。
これに対して、実施例1では、除電ブラシ18,19が、下流ガイド17よりも搬送路内に進入している。したがって、コシの弱いシートSが感光体PRに吸着されて下流ガイド17から離れた位置を通過する場合でも、先端が接触または近接する。よって、従来の構成に比べて、除電能力が維持されやすく、シートSの除電不足が低減される。
なお、コシの弱いシートSでも、感光体PRから剥離する弱い力が作用している。よって、除電ブラシ18,19で除電がされると、シートSの弱いコシで感光体PRから離れて、下流ガイド17に近づき、デタックソー6での除電も機能しやすくなる。したがって、1つの除電部材のみの除電に比べて、2つの除電部材6,18,19での段階的な除電で、剥離不良が低減される。
【0048】
また、特開2004−184919号公報等の従来の構成のように、シートSの幅方向の全域でシートSに接触する布状の構成では、シートSの搬送抵抗が大きくなって紙詰まりしやすくなるだけでなく、シートSを除電しすぎる問題がある。すなわち、全域で除電を行うと、除電部材と接触した部分だけが除電された状態となり、除電部材がこれから接触する上流側の隣接部分との間での電位差が大きくなる。したがって、シートSの表面に転写された未定着の画像が、発生する電界の影響を受けて移動し、画像が乱れる恐れがある。
これに対して、実施例1では、除電ブラシ18,19の毛束19が、デタックソー6の突端に対して、2倍の間隔を開けて配置されている。すなわち、全域で除電部材が接触する従来の構成に比べて、「疎」な状態となっている。よって、実施例1では、従来技術に比べて、搬送性も悪化させないとともに、過剰な除電も抑制されており、画質の低下が抑制される。
【0049】
仮に、特開2004−184919号公報等の従来の構成において、布を、デタックソー6のように鋸歯状に加工して使用する事も考えられる。しかし、この場合、突端部分で集中して除電が行われ、突端部分とその周囲との間で電位差が大きくなる恐れもある。したがって、未定着の画像が乱れて、画質が低下する恐れがある。
これに対して、実施例1では、複数の導電性の繊維が束ねられた毛束19が使用されている。したがって、毛束19の先端部がシートSに接触した場合に、毛束19の先端がほつれるように広がって、突端の構成に比べて、広い範囲で除電されやすい。よって、集中して除電が行われる従来の構成に比べて、実施例1では、画質の低下が低減される。
【0050】
また、特開2004−184919号公報、特開2006−276498号公報等の従来の構成では、布製の除電部材がシートSに繰り返し接触する。よって、除電部材の摩耗に伴う耐久性に問題がある。また、特開2005−250033号公報のようにスペーサを使用する構成では、シートSに除電部材が接触しておらず、除電能力が低下する問題がある。
これらに対して、実施例1では、デタックソー6は、シートSに接触しておらず、耐久性の低下が抑制される。また、実施例1では、下流カバー11がハウジング2に対して着脱可能に支持されている。よって、仮に、除電ブラシ18,19が寿命になっても、除電ブラシのみを容易に交換可能である。
【0051】
さらに、実施例1のシート剥離装置6〜19では、アルミテープ18がデタックソー6に接触して、接地されている。仮に、デタックソー6と除電ブラシ18,19を個別に接地する場合、プリンタ本体U1側に2つの接地用の接触部を準備する必要があり、部品点数が増大する問題がある。また、転写ユニット1のがたつき等で、一方が接地できない恐れもある。これに対して、実施例1では、1箇所の接地部6cでプリンタ本体U1に電気的に接続されている。よって、部品点数の増大や、いずれか一方が接地されないといった問題が解消される。
【0052】
(実験例1)
次に、上流側の除電部材および下流側の除電部材の抵抗値と、シートSの剥離性および画質の関係の実験について説明する。
実験例1は、富士ゼロックス株式会社製のDocuPrintP450を使用して、10℃13%RHの環境下において評価を行った。すなわち、像保持体にシートSが吸着しやすい低温低湿環境下で行った。
シートSとしては、紙詰まりの発生しやすいコシの弱い横目用紙の一例として、富士ゼロックス株式会社製P紙A3サイズを裁断してA4サイズにしたものを使用した。なお、一般に、市販の定型紙は、横長の状態で左右方向にパルプの繊維が延びている。よって、短辺送り、いわゆるSEF:Short Edge Feedでは、繊維が搬送方向に沿った状態となり、いわゆる縦目の状態となる。この場合、感光体PRに巻きつく方向のシートSの湾曲に対しては、搬送方向に沿った繊維の剛性が作用して、シートSのコシが強くなりやすい。一方、長辺送り、いわゆるLEF:Long Edge Feedでは、繊維が幅方向に沿った状態となり、いわゆる横目の状態となる。この状態では、繊維の剛性が作用しにくく、コシが弱くなりやすい。
【0053】
そして、実験例1では、シートSの剥離性を評価する場合には、画像として、濃度を約1%のものを使用した。そして、1000枚走行時に何枚紙詰まりが発生するかで、シートSの剥離性を評価した。評価は、詰まった用紙が、0枚の場合を「◎」とし、1枚以上5枚未満の場合を「○」とし、5枚以上20枚未満を「×」とした。
また、実験例1では、画質の評価をする場合には、画像として、1200dpiの濃度30%の画像をプリントして、発生した黒筋で評価した。画質の評価は、黒筋が発生しなかった場合を「◎」、長さ5mm以下の黒筋が10本以下発生した場合を「○」、長さ5mm以下の黒筋が10〜20本発生した場合または長さ5mm以上の黒筋が5本以上発生した場合を「△」、長さ5mm以下の黒筋が20本以上または5mm以上の黒筋が5本以上発生した場合を「×」とした。
【0054】
図7は実験例1の条件および結果の一覧表である。
図8は実験例1の先端位置の説明図である。
(実験例1−1)
図7において、実験例1−1では、実施例1の構成とは異なり、上流側の除電部材として、株式会社槌屋製の「導電性PEフィルムタイプR0.08mm」を使用した。また、下流側の除電部材として、SUS304の金属板を使用した。なお、上流側の除電部材は、導電性の薄膜である導電性PEフィルムをデタックソーと同様に鋸歯状に加工した。上流側の除電部材の体積抵抗率は1.0×10[Ωcm]であった。また、下流側の除電部材の体積抵抗率は1.0×10−5[Ωcm]であった。
図7において、実験例1−1では、転写領域Q3の接線方向に対して、感光体に近づく側を「+」とし、感光体から離れる側を「−」とした場合に、上流側の除電部材の突端位置は、+1mmの位置に設定した。また、下流側の除電部材の突端の位置は−1mmの位置に設定した。
【0055】
(実験例1−2)
実験例1−2は、実験例1−1に対して、各除電部材の突端の位置を、共に0mmの位置に設定した以外は同様の構成とした。
(実験例1−3)
実験例1−3は、上流側の除電部材として、株式会社ケンエー製の除電ブラシSA7−Fを使用し、下流側の除電部材は実験例1−1と同様の構成とした。なお、実験例1−3では上流側の除電部材の体積抵抗率は、1.0×10+5[Ωcm]であった。また、実験例1−3では、上流側の除電ブラシを、実施例1と同様に構成して、毛束の先端が、+1mmの位置となるように設定した。
【0056】
(実験例1−4)
実験例1−4は、実験例1−3に対して、上流側の除電部材として、株式会社ケンエー製の除電ブラシTR1−Fを使用した以外は、同様の構成とした。なお、実験例1−4では上流側の除電部材の体積抵抗率は、1.0×10−1[Ωcm]であった。
(実験例1−5)
実験例1−5は、実験例1−1に対して、上流側の除電部材として、株式会社ケンエー製の除電不織布SP−S2を使用した以外は、同様の構成とした。なお、実験例1−5では上流側の除電部材の体積抵抗率は、1.0×10+3[Ωcm]であった。また、実験例1−5では、実験例1−1のような鋸歯形状ではなく、幅方向の全面でシートSに接触可能な構成とした。
【0057】
(実験例1−6)
実験例1−6は、第1の除電部材として、株式会社ケンエー製の除電ブラシSA7を使用した。実験例1−6では、上流側の除電部材の体積抵抗率は、1.0×10+2[Ωcm]であった。また、実験例1−6では、下流側の除電ブラシとして、実験例1−1の上流側の除電部材と同様のものを使用した。なお、実験例1−6では、上流側の除電部材は、毛束の先端が、+1mmの位置に設定し、下流側の除電部材は、鋸歯の突端が0mmの位置に設定した。
(実験例1−7)
実験例1−7は、実験例1−4における上流側の除電部材と、下流側の除電部材との間に、第3の除電部材を設けた。そして、第3の除電部材は、上流側の除電部材と同一の構成、設定とした。
【0058】
(実験例1−8)
実験例1−8は、実験例1−4において、上流側の除電部材と下流側の除電部材とを入れ替えたものである。よって、実施例1の構成に対応するものである。
(比較例1−1)
比較例1−1は、実験例1−1の下流側の除電部材のみを配置したものである。すなわち、従来技術の接地されたデタックソーのみで除電を行う構成に対応する。
(比較例1−2)
比較例1−2は、比較例1−1において、デタックソーの突端の位置を0mmの位置に配置したものである。
【0059】
(比較例1−3)
比較例1−3は、上流側の除電部材として、実験例1−4の上流側の除電部材と同様の構成を使用した。また、比較例1−2では、下流側の除電部材として、上流側の除電部材と同一製品で別ロットのものを使用した。比較例1−2では、下流側の除電部材の体積抵抗率は、0.8×10−1[Ωcm]であった。また、下流側の除電部材の先端の位置は、実験例1−6の下流側の除電部材と同様に、0mmに設定した。
【0060】
(実験例1の実験結果)
図7に示すように、デタックソーのみの比較例1−1では、除電不足に伴う剥離不良が発生した。
比較例1−2では、デタックソーの突端がシートSに近づいて、除電能力が向上したことに伴って、比較例1−1に比べて、除電不足での剥離不良は改善した。しかし、比較例1−2では画質が低下した。これは、体積抵抗率が小さいデタックソーの突端で、集中して急激な除電が行われ、シートSの除電が不均一になって、除電ムラに伴って画質が低下したものと考えられる。
【0061】
また、比較例1−3では、比較例1−1と同様に、剥離不良が発生した。これは、上流側の除電部材と下流側の除電部材との間で、体積抵抗率の差が少なく、下流側の除電部材で除電がほとんど行われず、除電不足になったものと推察される。
これらに対して、実験例1−1〜1−8では、剥離性や画質について、コシの弱い横目用紙でも良好な結果が得られた。実験例1−1〜1−8では、下流側のデタックソー6のみで急激に除電が行われる比較例1−2に比べて、上流側と下流側の除電部材の間で体積抵抗率に1桁以上の差があって、段階的に除電が行われる。よって、急激な除電が抑制されて、除電ムラによる画質の低下が解消されたものと考えられる。また、実験例1−1〜1−8では、上流側の除電部材で除電した後、下流側の除電部材で段階的に除電が行われる。よって、コシの弱いシートSが感光体PRに吸着されて下流ガイド17から離れていても、上流側の除電部材で感光体PRとの静電的な吸着力が低下されて、下流ガイド17に近づいた後、下流側の除電部材でも除電が行われる。よって、シートSの剥離性も向上したものと考えられる。
【0062】
実験例1−4,1−7,1−8では、特に好適な結果が得られた。実験例1−1〜1−3、1−6では、上流側の除電部材の体積抵抗率の値自体が、実験例1−4等に比べて高く、上流側での除電能力が比較的低い。よって、剥離性が1−4に比べれば下がったものと考えられる。なお、実験例1−5は、体積抵抗率の値自体は比較的高いが、幅方向の全域で接触している。よって、実験例1−1〜1−3、1−6に比べて、実験例1−5では、除電不足が発生しなかったのではないかと考えられる。
【0063】
また、実験例1−1では、実験例1−2に比べて、上流側の除電部材が、シートSの搬送路の内側に突出している。よって、実験例1−1では、過剰な除電が行われて、実験例1−4等に比べて、画質が低下したのではないかと考えられる。また、実験例1−5でも、上流側の除電部材が幅方向の全域で接触しており、過剰な除電がおこなれたものと考えられる。
さらに、実験例1−6では、下流側の除電部材を構成する材料が、実験例1−4等のSUSではなく、体積抵抗率の値が実験例1−4等に比べて高い。よって、除電が十分でない部分が発生して、除電不均一、いわゆる除電ムラが発生し、画質が下がったものと考えられる。
【0064】
(実験例2)
次に、上流側の除電部材および下流側の除電部材の先端の位置と、紙詰まり、耐久性および画質(濃度むら)の関係の実験について説明する。
実験例2は、富士ゼロックス株式会社製のDocuPrintP450を使用して、12℃18%RHの低温低湿環境下において評価を行った。シートSとしては、実験例1と同様に、横目用紙の一例として、富士ゼロックス株式会社製P紙A3サイズを裁断してA4サイズにしたものを使用した。
実験例2では、紙詰まりの性能を評価する場合には、感光体PRに巻きついて紙詰まりしたものを除電不良による紙詰まりとし、感光体PRに巻きつかずにシートSの先端に損傷があるものを衝突による紙詰まりとして判断した。そして、1000枚走行時に何枚紙詰まりが発生するかで、紙詰まりの性能を評価した。評価は、詰まった用紙が、0枚の場合を「◎」とし、1枚以上5枚未満の場合を「○」とし、5枚以上20枚未満を「△」とし、20枚以上を「×」とした。
【0065】
また、実験例2では、耐久性の評価をする場合には、10000枚走行した後に、再度、紙詰まり試験を同条件で行った。そして、10000枚走行の前後での紙詰まりしたシートSの枚数の差で評価をした。評価は、詰まった用紙が、差が0枚の場合を「◎」とし、差が1枚以上5枚未満の場合を「○」とし、差が5枚以上20枚未満を「△」とし、差が20枚以上を「×」とした。
さらに、実験例2では、濃度むらの評価をする場合には、画像として、1200dpiの濃度30%の画像をプリントして、発生した黒筋で評価した。画質の評価は、黒筋が発生しなかった場合を「◎」、幅1〜2mmの黒筋が5本以下発生した場合を「○」、幅1〜2mmの黒筋が5〜10本発生した場合を「△」、幅1〜2mmの黒筋が10本以上または幅2mm以上の黒筋が発生した場合を「×」とした。
【0066】
図9は実験例2の条件および結果の一覧表である。
(実験例2−1)
図9において、実験例2−1では、実施例1と同様に、デタックソー6と除電ブラシ18,19の構成を採用した。上流側の除電部材として、実験例1−1等の下流側の除電部材と同様のSUS304の金属板を使用した。また、下流側の除電部材として、ケンエー社製のアモルファス繊維Type30を使用した。
実験例2−1では、下流ガイド17の外表面に対して、搬送路内に突出した場合を「+」とし、下流ガイド17よりも内側に引っ込んだ場合を「−」としたときに、上流側の除電部材の突端の位置を−1mmに設定し、下流側の除電部材の先端の位置を+0.5mmに設定した。
【0067】
(実験例2−2)
実験例2−2は、下流側の除電部材の先端の位置を+1.5mmに設定した以外は、実験例2−1と同様の構成とした。
(実験例2−3)
実験例2−3は、下流側の除電部材の先端の位置を+5mmに設定した以外は、実験例2−1と同様の構成とした。
(実験例2−4)
実験例2−4は、下流側の除電部材の先端の位置を+6mmに設定した以外は、実験例2−1と同様の構成とした。
【0068】
(比較例2−1)
比較例2−1は、実験例2−1の上流側の除電部材のみとし、下流側の除電部材を配置していない。
(比較例2−2)
比較例2−2は、実験例2−3の下流側の除電部材のみとし、上流側の除電部材を配置していない。
【0069】
(比較例2−3)
比較例2−3は、比較例2−1において、上流側の除電部材の突端の位置を+5mmにした。
(比較例2−4)
比較例2−4は、実験例2−1において、下流側の除電部材の先端の位置を−1mmにした。
【0070】
(実験例2の実験結果)
実験例2−1〜2−4では、上流側のデタックソー6がシートSに接触せず、且つ、下流側の除電ブラシ18,19がシートSに接触して除電している。よって、図9に示すように、除電不良による紙詰まりも、衝突による紙詰まりも、耐久性も、濃度むらも好評価となっている。なお、実験例2−4は、下流側の除電ブラシ18,19の搬送路内への突出量が大きく、シートSとの接触の頻度や接触時の圧力が高くなって、衝突による紙詰まりや耐久性が、実験例2−1〜2−3に比べて劣ったものと考えられる。
また、比較例2−1の結果から、上流側の1つのデタックソー6のみでは、除電不足が発生するものと考えられる。よって、除電不良による紙詰まりが発生するものと考えられる。特に、非接触のデタックソー6のみでの除電では、除電性能が不十分で、除電不均一による濃度ムラが発生するものと考えられる。
【0071】
さらに、比較例2−2の結果から、下流側の1つの除電ブラシ18,19のみでも、除電不足となり、除電不良による紙詰まりや濃度ムラが発生するものと考えられる。
また、比較例2−3の結果から、デタックソー6を突出させると、除電能力が向上して、除電不良による紙詰まりは改善するが、デタックソー6にシートSが衝突しやすくなって、衝突による紙詰まりが悪化した。
さらに、比較例2−4の結果から、下流側の除電ブラシ18,19を引っ込ませて、シートSと非接触とした場合に、除電能力が低下して、除電不良による紙詰まりが悪化するものと考えられる。
【0072】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H07)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置の一例としてのプリンタを例示したが、これに限定されず、複写機、FAX等の画像形成装置にも適用可能である。また、単色の画像形成装置に限定されず、多色の画像形成装置にも適用可能である。よって、像保持体の一例としての感光体PRを例示したがこれに限定されない。例えば、像保持体の一例としての中間転写ベルトや中間転写ドラム等を有する画像形成装置にも適用可能である。
【0073】
(H02)前記実施例において、除電部材の数は、2つに限定されず、実験例に示すように、3つ以上とすることが可能である。また、デタックソー6と除電ブラシ18,19の位置は、実験例に示すように、上流側と下流側で入れ替えることも可能であるが、コシの弱いシートSが下流ガイド17から離れた位置を通過した場合に、早く除電を開始するために除電ブラシ18,19を上流側に配置する方が、より好ましいものと考えられる。
(H03)前記実施例において、例示した具体的な数値は、設計や仕様等に応じて適宜変更可能である。
(H04)前記実施例において、除電ブラシ18,19をデタックソー6に接触させて、デタックソー6の接地部6cの1箇所で接地する構成を例示したが、これに限定されない。例えば、除電ブラシ18,19にも接地部を設けて、個別に接地する構成とすることも可能である。この場合、除電ブラシ18,19をデタックソー6に接触させず、離間して配置することも可能である。
【0074】
(H05)前記実施例において、1つのアルミテープ18を使用して、全ての毛束19を保持する構成を例示したが、これに限定されない。例えば、アルミテープが前部、中央部、後部に分割されており、それぞれがデタックソー6に接触する構成とすることも可能である。
(H06)前記実施例において、毛束19をデタックソー6の突端に対して、1つ飛びに配置する構成を例示したがこれに限定されない。デタックソー6の突端よりも密に配置したり、2つ飛びとする等の変更も可能である。また、デタックソー6の突端の間隔とは関係なく配置することも可能である。
【0075】
(H07)前記実施例において、毛束19を下流ガイド17よりも内側で支持する構成を例示したがこれに限定されない。例えば、下流ガイド17の外表面に支持する等の変更も可能である。
【符号の説明】
【0076】
6…第1の除電部材、
6c…接地部、
6〜19…除電装置、
11…保護部材、
12…支持部、
17…保護部、
18,19…第2の除電部材、
19…導電性の毛、
F…定着装置、
PR…像保持体、
Q3…転写領域、
Rt…転写装置、
S…媒体、
U…画像形成装置。
図1
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