(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の積層型半導体装置について図面を参照しながら説明する。但し、詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0010】
なお、添付図面および以下の説明は当業者が本開示を十分に理解するためのものであって、これらによって請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0011】
(第1の実施形態)
図1Aおよび
図1Bは、本実施形態にかかる積層型半導体装置の構成を模式的に示す断面図と平面図である。
【0012】
図1Aに示す積層型半導体装置100は、第1の半導体素子1と、第1の半導体素子1の側端面から外方に拡張された拡張部2と、第1の半導体素子1と拡張部2とに亘って載置された第2の半導体素子3と、第1の半導体素子1および第2の半導体素子3を封止するパッケージ4とを有する。
【0013】
パッケージ4は、基台5と、基台5上に形成された側壁部6と、第1の半導体素子1の主面を覆うように配置された透光性カバー7とを備える。基台5は、樹脂基板やセラミック基板などの配線基板であってもよい。側壁部6は、
図1Bに示すように、第1の半導体素子1および第2の半導体素子3の周囲を囲むように形成される。側壁部6は、基台5と一体に形成されても、独立して形成されてもよい。例えば、セラミック基板を採用する場合は、側壁部6もセラミック製で一体に焼成されるため製造工程が簡略化できる。独立して形成される場合は、各々に最適な材質を選択することができる。例えば樹脂によって形成すると加工が容易である。透光性カバー7は板状であり、材料は例えば透光性樹脂やガラスである。透光性カバー7は接着剤等で側壁部6に固着される。
【0014】
第1の半導体素子1は、シリコン基板に回路が形成されて成る半導体素子(半導体チップ)であり、主面に、光電変換回路が行列状に配置された光電変換領域8を備える。光電変換領域8では、透光性カバー7を通過した入射光を受光して電気信号に変換する。第1の半導体素子1の裏面は、接着層9を介して基台5に固着されている。接着層9は、例えば金属ペーストである。
【0015】
拡張部2は、第1の半導体素子1の側端面から外方に拡張されて成り、材料は、例えば成型、加工が容易なエポキシ等の樹脂が適している。第1の半導体素子1の主面から拡張部2の第1の面に亘っては、再配線と、再配線を覆う保護膜とを含む再配線層10が形成されている。再配線は、一般的にはフォトリソグラフィーを用いた電気めっきにより形成するため、配線厚みは約3〜5μm程度、幅は任意で作成可能である。半導体チップ内部の配線と比較して寸法が大きく、電気抵抗が小さいのが特徴である。再配線には、電気めっきなど簡易な工程で形成可能で、電気伝導性にも優れた銅が適している。保護膜には、ポリイミド(PI:Polyimide)やポリベンゾオキサゾール(PBO:polybenzoxazole)等の樹脂を適用すると、加工が容易であり、高い保護効果を果たす。
【0016】
再配線層10には、第2の半導体素子3の搭載領域において、第1の半導体素子1の領域に配置された第1の電極と、拡張部の領域に配置された第2の電極とが形成される。また、第2の半導体素子3の搭載領域より外周には電極パッド11が配置される。
【0017】
図1Aに示すように、電極パッド11は第1の接続部材12を介して基台5の電極パッド13に接続される。再配線層10の電極パッド11は、銅やニッケルにより形成されてもよいし、銅/はんだやニッケル/金などの積層構造であってもよい。はんだの組成は、例えば機械的特性に優れた錫−銀系、錫−銅系、錫−ビスマス系、錫−インジウム系の合金がある。第1の接続部材12は、導電性の部材であり、例えば銅ワイヤや金ワイヤである。
【0018】
図1Bに示すように、第1の半導体素子1の光電変換領域8は再配線層10の開口部より露出している。また、基台5の電極パッド13と接続される再配線層10上の電極パッド11は、第2の半導体素子3の搭載領域外であれば、拡張部2の領域だけでなく、第1の半導体素子1の領域にも配置されていてもよい。
【0019】
第2の半導体素子3は、シリコン基板に回路が形成されて成る半導体素子(半導体チップ)であり、主面に第1の半導体素子1と電気的なやりとりを行う回路を有する。例えば、第1の半導体素子1の光電変換部を駆動する駆動回路や、第1の半導体素子1からのアナログの画像電気信号をデジタル信号に変換するアナログフロントエンド(AFE:Analog Front End)回路を含む。
【0020】
第2の半導体素子3は、光電変換領域8への集光を妨げないよう、光電変換領域8を避けて、第1の半導体素子1の周縁部から拡張部2に亘って配置される。第2の半導体素子3の主面には第3の電極と第4の電極が配置され、第3の電極が第1の半導体素子1の領域に、第4の電極が拡張部2の領域に向かい合うよう搭載される。このとき、第3の電極は接合部材を介して再配線層10の第1の電極と、第4の電極は接合部材を介して再配線層10の第2の電極と、それぞれ接続される。接合部材は導電性の部材であり、例えば金属バンプである。第2の半導体素子3と第1の半導体素子1の主面および拡張部2の第1の面との隙間には、接合部の補強のために接着層14が形成されてもよい。接着層14は、例えば接着力強化剤であるアンダーフィル材であり、その材料としては、液状エポキシ樹脂、樹脂シート、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)等から採用できる。
【0021】
以上、本実施形態の積層型半導体装置100では、第2の半導体素子3を配置する領域や電極パッド11を配置する領域を、拡張部2の第1の面で確保できる。すなわち、第1の半導体素子1においては、光電変換領域8の外周部において、基台5との接続端子のための領域を確保する必要がなくなり、第2の半導体素子3を搭載する領域も縮小できる。すなわち、外部接続のために第1の半導体素子1の平面チップサイズを大きくする必要が無く、製造コストの悪化を防止することが出来る。
【0022】
また、第2の半導体素子3を第1の半導体素子1に形成された光電変換領域8から十分離れた位置に配置することが出来る。これにより、透光性カバー7と光電変換領域8との間の光路が、第2の半導体素子3や、接続部を保護する樹脂やフィルムなどにより遮られるのを防止することができる。さらに、第2の半導体素子3の発熱や、製造過程で第1の半導体素子1と第2の半導体素子3を局所的に加熱して接合する際の熱が、光電変換領域8へ伝わりにくくなるため、熱による機能障害を防止することができる。
【0023】
さらに、電極パッド11の配置など、第2の半導体素子3からの外部への電気的な引き出しは拡張部2で行うため、その分第1の半導体素子1および第2の半導体素子3の回路設計が容易になり、チップ設計期間や設計コストの悪化を防止することができる。
【0024】
なお、本開示の効果は、第1の半導体素子1が高画素化するとより顕著になる。すなわち、高画素化に伴い第2の半導体素子3の回路規模が増大し、チップサイズが大きくなった場合も、拡張部2の領域を調整することで第2の半導体素子3の搭載領域を確保できるため、第1の半導体素子1のサイズは小さく保つことができる。また、第2の半導体素子3の端子数が増加しても、拡張部2側に接合部を確保するよう電極の配置を調整できるため、簡易な回路設計で対応できる。
【0025】
図2は、積層型半導体装置100における第1の半導体素子1と第2の半導体素子3の内部回路の一例、および動作の一例を模式的に示すブロック図である。
【0026】
第1の半導体素子1の光電変換領域8には、行列状に配置された複数の光電変換回路15と、光電変換回路15の列毎に対応して設けられた垂直転送部16aと、水平転送部16bとが配置される。各光電変換部15は、入射光を光電変換して信号電荷を生成する。垂直転送部16aは、各光電変換回路15で生成された信号電荷を読み出し、水平転送部16bに転送する。水平転送部16bは、転送された信号電荷を同じ第1の半導体素子1内の出力回路部17に転送する。出力回路部17は、転送された信号電荷をアナログの画像電気信号に変換して第2の半導体素子3に出力する。
【0027】
第2の半導体素子3は、駆動回路18と、AFE回路19と、タイミングジェネレータ(TG:Timing Generator)20とを備える。駆動回路18は、TG20で生成されるタイミング信号に基づいて駆動パルスを生成し、第1の半導体素子1に出力する。ここで、駆動パルスには、垂直転送部16a、水平転送部16bおよび出力回路部17のそれぞれを駆動する駆動パルスが含まれる。第1の半導体素子1では、これらの駆動パルスにもとづいて、上述のような光電変換回路15で生成された信号電荷の読み出しから、出力回路部17からの画像電気信号の出力までの一連の動作が行われる。AFE回路19は、TG20で生成されるタイミング信号に基づいて、出力回路部17から出力されたアナログの画像電気信号を、デジタル信号に変換(ADC:Analog Digital Converter)する。ADCの前処理として、相関二重サンプリング(CDS:Correlated Double Sampling)、自動利得調整(AGC:Auto Gain Control)を行ってもよい。変換されたデジタル信号は、第2の半導体素子3の外部に出力される。
【0028】
第1の半導体素子1から第2の半導体素子3に出力される画像電気信号は、再配線層10の第1の電極から第2の半導体素子の第3の電極へ送られる。また、第2の半導体素子3から出力されるデジタル信号は、第2の半導体素子3の第4の電極から再配線層10の第2の電極へ送られた後、第2の電極と電気的に接続された電極パッド11から第1の接続部材12を介してパッケージ4の電極パッド13に送られる。その後、パッケージ4の外部端子(図示せず)を介して積層型半導体装置100の外部に出力される。
【0029】
前述の内部回路の一例では、第1の半導体素子1がCCDイメージセンサの場合を説明したが、CMOSイメージセンサや、その他のメカニズムによるイメージセンサであってもよい。CMOSイメージセンサを用いれば、消費電力の抑制に有効である。要するに、被写体像を撮像して画像データを生成するものであればよい。また、第2の半導体素子3に実装する回路は、前述の駆動回路18、AFE回路19、TG20に限らず、それらを含まないものであっても、もしくはその他の機能を備えたものであってもよい。要するに、画像電気信号を受けてデジタル信号を出力するものであれば、物理的にどのように構成してもよい。
【0030】
また、第2の半導体素子3の代わりに、もしくは第2の半導体素子に加えて、半導体素子以外の電子部品を搭載してもよい。また、AFE回路19の機能は、ADCは必須だが、その他の機能は選択的に搭載できる。
【0031】
なお、第1の半導体素子1の外側に設けられる拡張部2は、前述の
図1Aおよび
図1Bの形態に限らず、第2の半導体素子3の搭載領域、外部との接続端子である電極パッド13の配置領域を確保できればよい。例えば、
図1Aの積層型半導体装置100では、第1の半導体素子1の側面のみを覆っているが、
図3のように第1の半導体素子1bの側面および裏面を覆う拡張部2bのように構成してもよい。このとき、拡張部2bの裏面が接着層9bを介して基台5と固着されている。
図3に示す積層型半導体装置110では、第1の半導体素子1bの側面から裏面に連続して拡張部2bを備えることにより、第1の半導体素子1bと拡張部2bからなる拡張型半導体素子にかかる熱応力が安定し、反りが改善する。ひいては、製造工程上の歩留が良好になり、製品信頼性も向上するという効果が得られる。また、拡張部2は
図1Bのように第1の半導体素子1の側面四方に形成されることが必須ではなく、対向する一対の側面にのみ形成されてもよい。例えば、引き出すべき電極パッド13の数が少ない場合や、狭ピッチで配置できる場合は拡張部2の領域も最小限にして積層型半導体装置100としての小型化を図ることもできる。
【0032】
また、第1の半導体素子1の光電変換領域8上には、各光電変換回路15に対応した複数のマイクロレンズからなるレンズ層が配置されてもよい(図示せず)。マイクロレンズは、透光性カバー7を通過して半導体装置100内に入射した光を、各光電変換回路15に効率よく集光するためのものである。レンズ層は、半球状の微細なレンズをアレイ状に配置したものであってもよく、特定の屈折率分布を有する微細なリングを同心円状に配置したデジタルマイクロレンズであってもよい。
【0033】
また、第1の半導体素子1と第2の半導体素子3の接合部において、第1の電極と第3の電極による接合部のピッチは、第2の電極と第4の電極による接合部のピッチよりも狭ピッチであることが望ましい。
【0034】
(第1の実施形態の再配線層の例)
前述の積層型半導体装置100における再配線層10の構成例を、再配線層10を模式的に示した
図4〜7を用いて説明する。
【0035】
図4に示す例では、第1の半導体素子1の主面上と拡張部2の第1の面上には、再配線21aと、再配線21aを覆う保護膜22aとを含む再配線層10aが形成され、保護膜22aは、第1の半導体素子1から拡張部2に亘って境界を跨いで連続的に形成されている。より詳しくは、第1の半導体素子1の主面に形成された電極23、および電極23の一部を露出して主面を覆う絶縁膜24の上に、再配線層10aが配置される。再配線21aは、絶縁膜24の開口部から露出した電極23に接続する一方、保護膜22aの開口部25aから露出して第1の電極26と接続する。拡張部2の第1の面にも、再配線21aと保護膜22aが形成される。第2の電極27は、保護膜22aの開口部28aから露出した再配線21aと接続し、電極パッド11は保護膜22aの開口部29aから露出した再配線21aと接続するよう形成される。第1の電極26、第2の電極27はそれぞれ、第2の半導体素子3に設けられた第3の電極、第4の電極と接合される電極であり、第2の半導体素子3からの出力信号は、第2の電極27と再配線21aを介して電極パッド11へ引き出される。
【0036】
図5に示す例では、第1の半導体素子1と拡張部2の界面近傍の領域には再配線層10bを形成しない。すなわち、再配線層10bは第1の半導体素子1の主面上と拡張部2の第1の面上に分断されて配置され、保護膜22bも、第1の半導体素子1と拡張部2の境界を跨がない。この点で
図4に示す例とは異なる。上記構成により、第1の半導体素子1と拡張部2の界面近傍の熱応力による再配線層10bの断線を防止することができる。
【0037】
図6に示す再配線層10cでは、再配線21cと保護膜22cが、第1の半導体素子1から拡張部2に亘って境界を跨いで連続的に形成されている。詳しくは、開口部25cにおいて第1の電極26と接続された再配線21cが、第1の半導体素子1と拡張部2との境界を跨いで第2の電極27の真下まで引き出され、開口部28cにおいて第2の電極27と接続される。また、図示しないが、再配線21cを電極パッド11の直下まで引き出して電極パッド11と接続させる構成にしてもよい。上記構成により、第1の半導体素子1内部の配線より寸法が大きく電気抵抗が小さい再配線21cを伝送経路として優先的に用いることができるため、より安定した電気信号の転送が可能となる。
【0038】
図7に示す例では、再配線層10dの層数を2層にする。詳しくは、電極23の一部を露出して第1の半導体素子1の主面を覆う絶縁膜24の上に、再配線層10dの1層目の保護膜22dを形成する。保護膜22dは、電極23を露出する絶縁膜24の開口部に沿って開口し、この開口において再配線21dが電極23と接続する。保護膜22dは第1の半導体素子1と拡張部2との境界を跨いで拡張部2の第1の面上にまで形成される。保護膜22d上に形成された再配線21dも、第1の半導体素子1と拡張部2との境界を跨いで第2の電極27の真下まで引き出される。1層目の保護膜22dおよび再配線21d上に、2層目の保護膜22eが形成される。2層目の保護膜22eは、第1の半導体素子1の領域において再配線21dを露出する開口部25dを有し、開口部25dにおいて、第1の電極26と再配線21dが接続される。また、拡張部2の領域において再配線21dを露出する開口部28dを有し、開口部28dにおいて、第2の電極27と再配線21dが接続される。なお、再配線層の層数は1層、2層に限られるものではなく、3層以上形成することもできる。
【0039】
上記構成により、第1の半導体素子1と拡張部2の境界を再配線21dが直接跨ぐことがないため、第1の半導体素子1と拡張部2の界面近傍の熱応力による再配線21cの断線を防止することができる。
【0040】
また、図示しないが、第1の半導体素子1と拡張部2の界面近傍の熱応力による再配線層10の断線を防止する他の構成例として、第1の半導体素子1と拡張部2の境界において、他の領域よりも再配線21の厚みを厚く、もしくは線幅を広くしてもよい。
【0041】
(第1の実施形態の変形例1)
図1Aおよび
図1Bに示した積層型半導体装置100では、再配線層10の電極パッド11は、ワイヤ状の第1の接続部材12によって、基台5の電極パッド13と接続されている。この構成では、電極パッド11と電極パッド13は、ワイヤ接続を行えるだけの間隔を水平方向にとる必要があり、積層型半導体装置100としての平面サイズに影響する。
【0042】
図8は、第1の実施形態の変形例1にかかる積層型半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。
【0043】
図8に示す積層型半導体装置120は、再配線層10eの電極パッド11eと、基台5の電極パッド13eを接続する手段として、拡張部2の第1の面から反対側の第2の面まで貫通する貫通電極29を備える。
【0044】
貫通電極29は、拡張部2の第1の面側において、再配線層10eの電極パッド11eと接続され、第2の面側において、第2の接続部材30を介して基台5の電極パッド13eと接続される。貫通電極29は拡張部2に形成された貫通孔を導電体で充填するか、または貫通孔の内壁を、めっき等の手法により導電性材料で被覆して形成する。第2の接続部材30は導電性部材であり、例えば金属バンプやACFである。
【0045】
第1の半導体素子1の電極パッド11eとパッケージ4の電極パッド13eとの接続を、ワイヤではなく拡張部2に形成した貫通電極29を介して行うため、再配線層10eの電極パッド11eは、第2の半導体素子3の搭載領域とオーバーラップするように配置できる。すなわち、拡張部2の領域において、第2の電極27と電極パッド11eは再配線層10eの上と下にオーバーラップして形成してもよい。
【0046】
上記構成によれば、拡張部2の直下で第1の半導体素子1とパッケージ4とを接合することができるため、前述のワイヤ接続タイプの積層型半導体装置100、110に比してパッケージの小型化を図ることが出来る。
【0047】
本変形例の他の態様として、
図9に示すように、透光性カバー7の代わりに、第1の半導体素子1の光電変換領域8を覆うガラス31を透明接着剤32などで張り合わせることもできる。すると、透光性カバー7を載置する側壁部6や側壁部6を固着する基台5が不要になるため、パッケージ4を省いた積層型半導体装置130として構成することもでき、さらなる小型化を図ることが出来る。積層型半導体装置130は、第1の半導体素子1と拡張部2とから成る拡張型半導体チップのチップサイズパッケージ(CSP:Chip Size Package)となり、例えば第2の接続部材30を外部端子として、モジュールのマザー基板にそのまま搭載することも可能である。
【0048】
(第1の実施形態の変形例2)
図1Aおよび
図1Bに示した積層型半導体装置100では、再配線層10は第1の半導体素子1および拡張部2に形成されている。この構成では、第1の半導体素子1と拡張部2との界面は、拡張部2の材料と第1の半導体素子1の材料の熱膨張収縮差による熱応力の集中箇所となり、再配線層10の損傷や断線を引き起こすおそれがある。
【0049】
図10Aおよび
図10Bは、第1の実施形態の変形例2にかかる積層型半導体装置の構成を模式的に示す断面図と平面図である。
【0050】
図10Aに示す積層型半導体装置140は、第1の半導体素子1の主面を避けて、拡張部2の第1の面上に配置された再配線層10fを備える。
【0051】
再配線層10fは、第2の半導体素子3の第4の電極と接続される第2の電極27と、第2の電極27の外側に配置され、第1の接続部材12を介して基台5の電極パッド13と接続される電極パッド11を有する。第1の半導体素子から出力された画像電気信号は、第1の半導体素子の主面に形成された電極から接合部材を介して第2の半導体素子3の第3の電極へと送られる。また、第2の半導体素子3でA/D変換されたデジタル信号は、第4の電極から再配線層10fの第2の電極に送られ、さらに電極パッド11を経て基台5の電極パッド13に転送される。
【0052】
上記構成により、熱応力の集中箇所となる第1の半導体素子1と拡張部2の境界を再配線層10fが跨らずに形成されるため、第1の半導体素子1から出力された電気画像信号は第2の半導体素子3を経路にして拡張部2に転送され、パッケージ4側に転送されるため、信号の安定化および画質の向上、さらに半導体装置としての信頼性の向上を図ることが出来る。
【0053】
図10Bでは、第1の半導体素子1と拡張部2の境界が再配線層10fの内側の端部と面一に描いているが、本変形例2では再配線層10fは第1の半導体素子1と拡張部2の境界を跨がなければよく、再配線層10fの端部が拡張部2寄りに形成されていてもよい。
【0054】
本変形例2の構成では、再配線層10fの有無により、第2の半導体素子3の第3の電極と第4の電極とにそれぞれ接続する、第1の半導体素子1の主面の電極と再配線層10fの第2の電極間で生じる高さの差を考慮する必要がある。接合部材との接合面の高さについて、第2の電極27の方が第1の半導体素子1の主面の電極よりも高くなると、同じ接合部材を用いた際に、電極の高低差により接合信頼性が低下するおそれがある。
【0055】
この課題に対し、
図11に示す構成では、高さの差を是正するため第1の半導体素子1の主面に形成する電極の厚みを調整し、再配線層10gの第2の電極27と同じ高さになるよう形成している。具体的には、絶縁膜24の開口部で第1の半導体素子1の電極23と接続する第5の電極33gの高さを、第2の電極27の高さと同じにしている。上記構成により、同じ接合部材を用いた場合も、電極の高低差による不具合が生じず、第1の半導体素子1と第2の半導体素子3の接合信頼性が確保できる。
【0056】
また、
図12では、リフロー時に接合部材の高さを調整するよう、再配線層10hの第2の電極27の平面サイズを大きく形成している。具体的には、第2の電極27hの平面サイズを第5の電極33hの平面サイズより大きくし、第5の電極33hの高さは第2の電極27hよりも低いままとした。上記構成により、例えば接合部材にはんだなどを用いて接続する際に、平面サイズが大きい分、第2の電極27hにおける溶融はんだの濡れ広がりが大きくなり、接合部材自体の高さが低くなるため、第5の電極33hと第2の電極27hの高さの差を吸収することになり、接合信頼性が確保できる。
【0057】
なお、
図11と
図12の特徴を組み合わせてもよい。すなわち、第1の電極を第2の電極より厚く形成し、かつ第2の電極の平面サイズを第1の電極のそれより大きく形成して接合信頼性を確保してもよい。
【0058】
(第2の実施形態)
図13Aおよび
図13Bは、本実施形態にかかる積層型半導体装置の構成を模式的に示す断面図と平面図である。以下、第1の実施形態およびその変形例との相違点を中心に説明するため、説明を簡略化したり、省略したりする構成もある。
【0059】
図13Aに示す積層型半導体装置200は、第1の半導体素子1と、第1の半導体素子1の主面に載置された第2の半導体素子3と、第1の半導体素子1および第2の半導体素子3の側端面から外方に拡張された拡張部2cと、第1の半導体素子1および第2の半導体素子3を封止するパッケージ4とを有する。
【0060】
第2の半導体素子3は、光電変換領域8への集光を妨げないよう、光電変換領域8を避けて、第1の半導体素子1の周縁部から側端面より外側に飛び出して配置される。第2の半導体素子3の主面には、第3の電極が配置された第1の領域と、第4の電極が配置された第2の領域がある。第1の領域が第1の半導体素子1の主面の電極と接合され、第2の領域は第4の電極を除いて拡張部2cに覆われる。第1の半導体素子1の主面と第2の半導体素子3の第1の領域の隙間には、接合部の補強のために接着層14が形成されてもよい。
【0061】
拡張部2cは、第1の半導体素子1の側端面および第2の半導体素子3の側端面の両方から外方に拡張され、一体に形成されて成る。拡張部2cには、第2の半導体素子3の第4の電極と接続し、拡張部2cの裏面まで貫通する貫通電極29bが形成される。貫通電極29bは第2の接続部材30を介して基台5の電極パッド13eと接続する。
【0062】
図13Bでは、拡張部2cは第1の半導体素子1の四方に形成しているが、拡張部2cは貫通電極29bによる第2の半導体素子3からの外部引き出しを主な役割とするため、これに限られるものではない。例えば、第2の半導体素子3が配置された対向する2辺に沿ってのみ形成されてもよいし、辺の端から端までではなく、部分的に形成されても構わない。また、
図13Bにおいて、拡張部2cと側壁部6との間に空隙を有するが、よりパッケージの小型化のために拡張部2cと側壁部6とが接触していてもよい。
【0063】
以上、本実施の形態の積層型半導体装置200では、第2の半導体素子3は、第1の半導体素子1と接続する第1の領域のみオーバーラップし、それ以外は第1のチップから外側に飛び出して配置することができる。すなわち、第1の半導体素子1のチップサイズは所望の光電変換領域8を確保できればよく、光電変換領域8の外周部に、基台5との接続端子のための領域を確保する必要がなくなり、第2の半導体素子3を搭載する領域も縮小できるため小型化が可能である。すなわち、外部接続のために第1の半導体素子1の平面チップサイズを大きくする必要が無く、製造コストの悪化を防止することが出来る。
【0064】
また、第2の半導体素子3を第1の半導体素子1に形成された光電変換領域8から十分離れた位置に配置することが出来る。これにより、透光性カバー7と光電変換領域8との間の光路が、第2の半導体素子3や、接続部を保護する樹脂やフィルムなどにより遮られるのを防止することができる。さらに、第2の半導体素子3の発熱や、製造過程で第1の半導体素子1と第2の半導体素子3を局所的に加熱して接合する際の熱が、光電変換領域8へ伝わりにくくなるため、熱による機能障害を防止することができる。
【0065】
さらに、第2の半導体素子3からの外部への電気的な引き出しは拡張部2cで行うため、その分第1の半導体素子1および第2の半導体素子3の回路設計が容易になり、チップ設計期間や設計コストの悪化を防止することができる。
【0066】
さらに、拡張部2cに形成した貫通電極29bにより第2の半導体素子3の第4の電極の直下で基台5の電極パッド13eと接続できるため、第2の半導体素子3からの外部引き出しに伴う水平方向のサイズ拡大が生じず、積層型半導体装置200のさらなる小型化が図れる。
【0067】
また、第1の実施形態およびその変形例と比しての効果は以下がある。第1の半導体素子1からの電気信号を第2の半導体素子3と貫通電極29bを介して取り出すことが出来るため、再配線層の形成が不要となり、工程の簡易化と製造コスト削減の効果が得られる。また、再配線の形成工程においてマスクの合わせズレ要因で発生する電極パッドやバンプの形成ズレを回避できるため、バンプのピッチ縮小によるバンプ配置可能数を増加させることも可能になる。したがって、高画素のイメージセンサチップの小型化や製造コスト削減により効果的である。
【0068】
本実施形態の他の態様として、
図9と同様、透光性カバー7の代わりに、第1の半導体素子1の光電変換領域8を覆うガラス31を透明接着剤32などで張り合わせることもできる。すなわち、積層型半導体装置200からパッケージ4を省いたチップサイズパッケージ(CSP:Chip Size Package)として実現することが可能であり、さらなる小型化を図ることが出来る。
【0069】
(他の態様)
以上、本出願において開示する技術の例示として、第1の実施形態およびその変形例、第2の実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記第1の実施の形態および変形例、第2の実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0070】
以下、他の態様の例をまとめて説明する。
【0071】
第1の半導体素子1に載置される第2の半導体素子3の個数は2基に限定されず、1基でも、3基以上であってもよい。第2の半導体素子3を3基以上載置する場合は、各第2の半導体素子からパッケージ4に亘る熱伝導部材を設けることで、放熱効果を得ることが可能である。また、第2の半導体素子の個数を1基とする場合には、その分、第1の半導体素子1に形成される光電変換領域8の面積を拡張することができる。光電変換領域8を拡張しない場合には、第1の半導体素子1の一辺を縮小し、チップサイズを小さくすることが可能である。
【0072】
第1の半導体素子1、第2の半導体素子3の平面形状は矩形に限らず、特に限定されるものではない。ただし、ウエハ1枚あたりの取れ数を増やすために、矩形が効率的である。
【0073】
第2の半導体素子3の第1の半導体素子1へのフリップチップ接続について、接合部材は金やはんだで形成されたバンプに限定されず、表面活性接合など他の接合方法を採用することも可能である。
【0074】
第1の半導体素子1は、光電変換領域8を備えるイメージセンサチップに限定されるものではない。例えば、光ピックアップ等の受光素子や、LED素子や半導体レーザ素子等の発光素子を備える半導体モジュールにおいても、本開示の構成を適用することができる。また、光電変換領域8に代えて、光学系以外のセンサ構造を備えた半導体チップ(MEMS等)であってもよい。発光素子を備える半導体モジュールを例に具体的に説明すると、発光素子が形成されている半導体チップが第1の半導体素子1に、発光素子を駆動する駆動回路が形成された半導体チップが第2の半導体チップに、それぞれ相当する。
【0075】
パッケージ4の外部端子は、基台5の裏面にペリフェラル又はエリア状に形成してもよいし、側面に外部リード線として配置してもよい。また、外部リード線の形状は特に限定されるものではない。
【0076】
基台5は、配線基板に限らず、リードフレームであってもよい。その場合、第1の半導体素子1はダイパッドに搭載される。電極パッド13の代わりにインナーリードが第1の接続部材12と電極パッド11、または第2の接続部材30と貫通電極29を介して第2の半導体素子3の電極と電気的に接続する。
【0077】
なお、前述の全ての実施形態およびその変形例において、サイズや位置関係について「同じ」という言葉で表記したものは、製造上の誤差を担保するものであり、多少の誤差があっても実質的に同じ範囲を含むものである。
【0078】
以上のように、本開示における技術の例示として、添付図面および詳細な説明により実施の形態および変形例を説明した。添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0079】
また、上述の実施の形態および変形例は、本開示における技術を例示するためのものであるから、請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。