特許第6409589号(P6409589)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6409589
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】水処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/28 20060101AFI20181015BHJP
   B01J 20/20 20060101ALI20181015BHJP
   B01J 20/18 20060101ALI20181015BHJP
   B01J 20/34 20060101ALI20181015BHJP
【FI】
   C02F1/28 F
   C02F1/28 D
   C02F1/28 E
   B01J20/20 A
   B01J20/18 A
   B01J20/34 B
   B01J20/34 F
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-9562(P2015-9562)
(22)【出願日】2015年1月21日
(65)【公開番号】特開2016-131950(P2016-131950A)
(43)【公開日】2016年7月25日
【審査請求日】2017年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡株式会社
(72)【発明者】
【氏名】河野 大樹
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 勉
(72)【発明者】
【氏名】板山 繁
【審査官】 富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04141826(US,A)
【文献】 特開2011−251232(JP,A)
【文献】 特開昭53−078980(JP,A)
【文献】 特開昭57−136937(JP,A)
【文献】 特開昭50−140373(JP,A)
【文献】 特開2002−339021(JP,A)
【文献】 特開2015−042396(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/28
B01J 20/18
B01J 20/20
B01J 20/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着素子が収容された処理槽を2槽備えた水処理装置であって、
前記各処理槽が、吸着素子に有機物質を含有する被処理水を接触させることで有機物質を吸着除去して処理水を排出する吸着槽、前記吸着槽から排出された処理水を接触させることで有機物質を吸着除去して第2処理水を排出する追吸着槽、および加熱ガスを該吸着素子に接触させることで吸着した有機物質を該吸着素子から脱着させる脱着槽、のいずれかとして機能し、
前記吸着槽として機能する処理槽と前記追吸着槽として機能する処理槽が、この順番で直列に通液される流路構成をとり、
一方の処理槽が吸着槽として機能している間は、他方の処理槽は追吸着槽として機能し、
一方の処理層が脱着槽として機能している間は、他方の処理槽は待機状態となり、かつ被処理水は貯水され、
一方の処理槽が追吸着槽として機能している間は、他方の処理槽は吸着槽として機能し、
一方の処理槽が待機状態である間は、他方の処理槽は脱着槽として機能し、かつ被処理水は貯水され、
前記各処理槽のうち、吸着漕として機能した処理槽は脱着漕に移行され、脱着槽として機能した処理槽は追吸着槽に移行され、かつ、追吸着槽として機能した処理槽は待機状態に移行され、かつ、待機状態の処理槽は吸着槽に移行される、
ことを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
前記脱着槽として機能した処理槽は、当該処理槽に収容された吸着素子に付着した余剰の水を除去して除去水として排出してから、前記脱着漕として機能する処理槽に移行される、請求項1に記載の水処理装置。
【請求項3】
前記除去水が、被処理水へ返送されるように構成された請求項2に記載の水処理装置。
【請求項4】
前記吸着素子が、活性炭、活性炭素繊維およびゼオライトからなる群から選ばれる少なくとも1の部材を含んでいる請求項1〜3のいずれか1項に記載の水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機物質を含有する被処理水から有機物質を除去することで当該水を清浄化する水処理装置に関し、特に、各種工場や研究施設等から排出される産業排水、最終処分場から排出される浸出水、地下水等から有機物質を効率的に除去することで当該水を清浄化する水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、吸着材を用いて吸着による有機物質の除去(吸着工程)と吸着材の再生(脱着工程)を交互に行うことで、水中から有機物質を高効率で安定的に除去できる水処理装置が知られている。(例えば、特許文献1)。この水処理装置は、水の連続浄化を実現し、基本的には吸着材の交換が必要なく、有機物質を高効率で安定的に除去することができる。
【0003】
前記水処理装置は、吸着材の充填された処理槽へ被処理水を供給することで吸着材と被処理水を接触させて、被処理水中の有機物質を吸着除去させるが、一部の被処理水は吸着材と接触せずに処理水へリークすることがある。そのため、高効率に有機物質を除去する際には、必要量以上の吸着材を充填する必要があったり、複数の水処理装置にて多段吸着処理する必要がある等の課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−55712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術の改良を背景になされたもので、有機物質を含む水処理において、少ない吸着材充填量で、低コストに、高効率かつ安定的に有機物質を除去する水処理装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、ついに本発明を完成するに到った。すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)吸着素子が収容された処理槽を少なくとも2槽以上有する水処理装置であって、
前記処理槽が、吸着素子に有機物質を含有する被処理水を接触させることで有機物質を吸着除去して処理水を排出する吸着槽、前記吸着槽から排出された処理水を接触させることで有機物質を吸着除去して第2処理水を排出する追吸着槽、および加熱ガスを該吸着素子に接触させることで吸着した有機物質を該吸着素子から脱着させる脱着槽、として繰返し機能し、
前記吸着槽として機能する処理槽と追吸着槽として機能する処理槽が、この順番で直列に通液される流路構成をとり、
前記吸着槽として機能した処理槽は、前記脱着槽として機能する処理槽に移行され、
最上流に配される前記追吸着槽として機能した処理槽は、前記吸着槽として機能する処理槽に移行する、
ことを特徴とする水処理装置。
(2)前記脱着槽として機能した処理槽に内蔵された吸着素子に付着した余剰の水を除去して除去水として排出する工程を有する(1)に記載の水処理装置。
(3)前記除去水が、被処理水へ返送されるように構成された(2)に記載の水処理装置。
(4)前記吸着素子が、活性炭、活性炭素繊維およびゼオライトからなる群から選ばれる少なくとも1の部材を含んでいる(1)〜(3)のいずれかに記載の水処理装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明による水処理装置は、基本的に吸着素子の交換の必要が無く、被処理水中の有機物質を高い効率で連続的に除去するとともに、従来の水処理装置と比べて少ない吸着素子充填量で、低コストに水処理ができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】従来水処理装置のシステム構成図の一例である。
図2】本発明の実施の形態における水処理装置のシステム構成図の一例である。
図3】本発明の実施の形態における水処理装置のシステム構成図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す図の実施の形態においては、同一または対応する部分については、適宜省略し、その説明についても繰り返さないことにする。
【0010】
図2は、本発明の実施形態における水処理装置のシステム構成図の1つである。
【0011】
水処理装置は、吸着素子としての吸着材111、121および131がそれぞれ収容された第1処理槽110、第2処理槽120および第3処理槽130を有している。吸着材111、121および131は、被処理水を接触させることで被処理水に含有される有機物質を吸着する。したがって、水処理装置においては、吸着材111、121および131に被処理水を供給することで有機物質が吸着材111、121および131によって吸着され、これにより被処理水が清浄化されて処理水として排出されることになる。また、吸着材111、121および131は、水蒸気を接触させることで吸着した有機物質が脱着される。第1処理槽110、第2処理槽120および第3処理槽130から排出される水蒸気と脱着された有機物質を含むガスは、脱着ガスとして水処理装置外へ排出される。
【0012】
第1処理槽110、第2処理槽120および第3処理槽130には、被処理水の供給ライン、処理水の排出ライン、水蒸気の供給ライン、脱着ガスの排出ラインの配管が接続されており、各ラインにはバルブ等を用いて各処理槽に対して接続/非接続状態に切替えられる流路切替手段が接続された構成となっている。第1処理槽110、第2処理槽120および第3処理槽は、上述したバルブの開閉を操作することによって、順番に吸着槽、追吸着槽および脱着槽として機能する。
第1処理槽110が吸着槽として機能している場合には、第2処理槽120は追吸着槽として機能し、第3処理槽130は脱着槽として機能する。具体的には、被処理水が第1処理槽110へ供給された後、次いで第2処理槽120へ供給され、第2処理槽から清浄化された第2処理水が装置外へ排出されるように流路が確保される。その時、第3処理槽130には水蒸気が供給され、脱着ガスが第3処理槽130から排出される流路構成となる。
また、第2処理槽120が吸着槽として機能している場合には、第3処理槽130は追吸着槽として機能し、第1処理槽110は脱着槽として機能する。具体的には、被処理水が第2処理槽120へ供給された後、次いで第3処理槽130へ供給され、第3処理槽から清浄化された第2処理水が装置外へ排出されるように流路が確保される。その時、第1処理槽110には水蒸気が供給され、脱着ガスが第1処理槽110から排出される流路構成となる。
本実施の形態における水処理装置においては、吸着槽と追吸着槽と脱着槽とが経時的に切り替わるように構成されている。
【0013】
図示しないが、水処理装置は追吸着槽から脱着槽に切替わった際に、吸着材111、121または131に付着する水分を脱水除去して除去水として排出してから、脱着を開始する装置の方が好ましい。吸着材111、121または131の付着水を事前に除去してから脱着を行う方が、脱着効率を高めることができる。付着水の除去手段は、自重抜き、圧縮空気・窒素・水蒸気などの高圧ガスでの高速パージ、真空ポンプなどを用いた吸引などの手段が使用できるが、特に限定しない。
【0014】
また、前記除去水は被処理水へ返送され、再度処理されるような構成が好ましい。除去水を他の水処理装置で別途処理する必要がなくなる。
【0015】
吸着材111、121および131としては、活性炭、活性炭素繊維およびゼオライトからなる群から選ばれる少なくとも1の部材を含むことが好ましい。吸着材111、121および131としては、粒状、粒体状、ハニカム状等の活性炭やゼオライトが利用できるが、活性炭素繊維を利用することがより好ましい。活性炭素繊維は、表面にミクロ孔を有する繊維状構造を有しているため、水との接触効率が高く、特に水中の有機物質の吸着速度が速くなり、他の吸着材に比べて極めて高い吸着効率を実現できる部材である。
【0016】
吸着材111、121および131として利用可能な活性炭素繊維としては、特に限定されるものではないが、BET比表面積が700〜2000m/g、全細孔容積が0.4〜0.9cm/g、平均細孔径が17〜18Åのものが好ましい。これは、BET比表面積が700m/g未満、細孔容積が0.4m/g未満、平均細孔径が17Å未満のものでは、有機物質の吸着量が低くなる。また、BET比表面積が2000m/gを超えるもの、全細孔容積が0.9m/gを超えるもの、平均細孔径が18Åを超えるものでは、細孔径が大きくなるため分子量の小さな物質等の吸着能力が低下したり、強度が弱くなったり、素材のコストが高くなって経済的に不利になったりする。
【0017】
本発明の実施の形態では、脱着媒体は水蒸気を使用したが、蒸気圧、温度等は特に限定しない。また、加熱空気、加熱窒素などでも良く、使用する吸着材の耐熱温度や物性などに応じて適切な加熱ガスを選定すれば良い。
【0018】
また、本発明の実施形態として、3つの処理槽を使用して説明したが、図3に示すように、2つの処理槽を用いた装置構成であっても良い。2つの処理槽を用いた装置構成の場合は、例えば、吸着素子として吸着材111および121がそれぞれ収容された第1処理槽110および第2処理槽120の2つの処理槽を使用した場合、第1処理槽110が吸着槽として機能している場合には、第2処理槽120は追吸着槽として機能する。第1処理槽が脱着槽へ切り替わった際、第2処理槽120は待機し、被処理水は一時貯水され、吸着除去は一時中断させる。第1処理槽110の脱着が完了すると、第2処理槽120は吸着槽として機能し、第1処理槽110は追吸着槽として機能する。この切り替えサイクルを繰り返す構成でも良い。また、図示しないが、処理槽を4つ以上としても良く、この場合は追吸着槽として機能する処理槽が増え、より排水と吸着材の接触効率が高まる構成となる。
【0019】
また、本発明の実施の形態における水処理装置から排出される脱着ガスの処理方法については特に限定しないが、触媒酸化装置、直接燃焼装置、蓄熱式燃焼装置、または廃液燃焼装置などの燃焼装置、活性汚泥装置などの生物処理、促進酸化装置など化学処理などが挙げられ、脱着媒体や脱着ガス組成に応じて適切な方法を選定すれば良い。
【0020】
本発明の被処理水に含まれる有機物質は、特に限定されないが、アセトン、1,4−ジオキサン、2−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、酢酸、フェノール、アクリロニトリル、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
【0021】
以上の図2および図3を用いて説明した水処理装置の構成にすることにより、有機物質を吸着させる処理槽として、吸着槽と追吸着槽を設けることで、排水のリークを防ぎ、吸着材の吸着性能を有効に活用することができるので、図1に示す従来水処理装置と比較して、少ない吸着材充填量で装置設計でき、充填量が抑えられた分の脱着熱量を削減でき、低コストで水処理が可能となる。
【0022】
以上において説明した本発明の実施の形態の特徴的な構成は、相互に組み合わせることが可能である。
【0023】
また、以上において説明した本発明の実施の形態においては、ポンプやファン等の流体搬送手段やストレージタンク等の流体貯留手段などの構成要素を特に示すことなく説明を行なったが、これら構成要素は必要に応じて適宜の位置に配置すればよい。
【0024】
このように、今回開示した上記各実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【実施例】
【0025】
評価は下記の方法によりおこなった。
(BET比表面積)
BET比表面積は、液体窒素の沸点(−195.8℃)雰囲気下、相対圧力0.0〜0.15の範囲で上昇させたときの試料への窒素吸着量を数点測定し、BETプロットにより試料単位質量あたりの表面積(m/g)を求めた。
(有機物質除去効果)
被処理水は1,4−ジオキサン1000mg/Lを含む水とした。500時間運転後の水処理装置の入出の1,4−ジオキサン濃度を測定し、除去効果を確認した。
(有機物質濃度評価)
各水およびガスをガスクロマトグラフ法により分析し測定した。
【0026】
参考例1]
システムとしては、図2に示す実施の形態を使用した。
水処理装置に、吸着材としてBET比表面積1850m2/gの活性炭素繊維を重量0.13kgの吸着素子を充填し(吸着素子合計充填量:0.39kg)、1,4−ジオキサン1000mg/Lを含有する被処理水を90L/hになるように導入し、処理水を得た。
【0027】
次に、120℃の水蒸気を吸着材に供給して吸着材の付着水を除去(脱水)した後、除去水は水処理装置の被処理水へ返送した。続いて、120℃の水蒸気を吸着材に供給し脱着を実施した。脱着に使用した水蒸気および吸着材から脱着された1,4−ジオキサンは凝縮器にて液化され濃縮水として回収した。脱水および脱着に使用した水蒸気量は、960g/hであった。吸着時間は20minとして切替サイクルとした。その際の処理水中の1,4−ジオキサン濃度は、0.005mg/L以下まで除去が可能であった。また、濃縮水は水量700mL/hであった。
【0028】
表1に示すように、本参考例の水処理装置により浄化された水は、500時間後でも、0.39kgの吸着素子で、処理水中の1,4−ジオキサン濃度が0.005mg/L以下で処理が可能であった。また、表2に示すように、本参考例にて使用した水蒸気量の合計は960g/h、濃縮水量は700mL/hであった。
【0029】
[実施例2]
システムとしては、図3に示す実施の形態を使用した。
水処理装置に、吸着材としてBET比表面積1850m/gの活性炭素繊維を重量0.19kgの吸着素子を充填し(吸着素子合計充填量:0.38kg)、1,4−ジオキサン1000mg/Lを含有する被処理水を90L/hになるように導入し、処理水を得た。
【0030】
次に、120℃の水蒸気を吸着材に供給して吸着材の付着水を除去(脱水)した後、除去水は水処理装置の被処理水へ返送した。続いて、120℃の水蒸気を吸着材に供給し脱着を実施した。脱着に使用した水蒸気および吸着材から脱着された1,4−ジオキサンは凝縮器にて液化され濃縮水として回収した。脱水および脱着に使用した水蒸気量は、940g/hであった。なお、脱水・脱着工程中は、被処理水を一時貯水し、吸着工程時に供給される被処理水と混合して処理を行った。吸着時間は20minとして切替サイクルとした。その際の処理水中の1,4−ジオキサン濃度は、0.005mg/L以下まで除去が可能であった。また、濃縮水は水量680mL/hであった。
【0031】
表1に示すように、本実施例の水処理装置により浄化された水は、500時間後でも、0.38kgの吸着素子で、処理水中の1,4−ジオキサン濃度が0.005mg/L以下で処理が可能であった。また、表2に示すように、本実施例にて使用した水蒸気量の合計は940g/h、濃縮水量は680mL/hであった。
【0032】
[比較例1]
システムとしては、図1に示す実施の形態を使用した。
水処理装置に、吸着材としてBET比表面積1850m/gの活性炭素繊維を重量0.2kgの吸着素子を充填し(吸着素子合計充填量:0.4kg)、1,4−ジオキサン1000mg/Lを含有する被処理水を90L/hになるように導入し、処理水を得た。
【0033】
次に、120℃の水蒸気を吸着材に供給して吸着材の付着水を除去(脱水)した後、除去水は水処理装置の被処理水へ返送した。続いて、120℃の水蒸気を吸着材に供給し脱着を実施した。脱着に使用した水蒸気および吸着材から脱着された1,4−ジオキサンは凝縮器にて液化され濃縮水として回収した。脱水および脱着に使用した水蒸気量は、960g/hであった。吸着時間は20minとして切替サイクルとした。その際の処理水中の1,4−ジオキサン濃度は、0.05mg/Lであった。また、濃縮水は水量700mL/hであった。
【0034】
表1に示すように、本比較例の水処理装置により浄化された水は、0.4kgの吸着素子で、処理水中の1,4−ジオキサン濃度が0.05mg/Lであり、参考例1および実施例2と比べて処理水中の1,4−ジオキサン濃度が10倍以上高かった。
【0035】
[比較例2]
比較例1の水処理装置の処理水を比較例1と同一の水処理装置で再処理を行った。その結果、表1に示すように、本比較例の水処理装置により浄化された水は、処理水中の1,4−ジオキサン濃度は0.005mg/L以下であり、参考例1および実施例2と同一の処理性能を示したが、使用した吸着素子の量は0.8kgと実施例1および2と比較して2倍以上必要とした。また、表2に示すように、本比較例にて使用した水蒸気量の合計は1820g/hと参考例1および実施例2と比べて2倍以上必要とし、濃縮水量についても1400mL/hと参考例1および実施例2と比べて2倍以上排出量が多く、濃縮水を別途処理するコストが高くなる結果となった。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明による水処理装置は、基本的に吸着素子の交換の必要が無く、被処理水中の有機物質を高い効率で連続的に除去するとともに、従来の水処理装置と比べて少ない吸着素子充填量で、低コストに水処理ができる利点があり産業界への寄与大である。
【符号の説明】
【0040】
110:第1処理槽
111:吸着材
120:第2処理槽
121:吸着材
130:第3処理槽
131:吸着材
図1
図2
図3