(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6409609
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】電極の製造方法
(51)【国際特許分類】
B26D 7/18 20060101AFI20181015BHJP
B26D 7/02 20060101ALI20181015BHJP
H01M 4/04 20060101ALI20181015BHJP
H01G 11/86 20130101ALI20181015BHJP
H01G 13/00 20130101ALI20181015BHJP
B26F 1/44 20060101ALN20181015BHJP
【FI】
B26D7/18 G
B26D7/02 D
H01M4/04 Z
H01G11/86
H01G13/00 381
!B26F1/44 J
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-30441(P2015-30441)
(22)【出願日】2015年2月19日
(65)【公開番号】特開2016-150426(P2016-150426A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2017年11月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】小森 隆史
【審査官】
塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−035869(JP,A)
【文献】
実開平03−014014(JP,U)
【文献】
特開2009−148862(JP,A)
【文献】
特開平08−192311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 43/00−43/28
B26D 7/00− 7/34
B23D 15/00−15/14
H01G 11/86
H01G 13/00
H01M 4/04− 4/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置のための電極の製造方法であって、
下型と上型との協働によって、前記下型と押圧部材との間に配置されたワークを切断して前記電極を形成する切断工程と、
前記切断工程の後、前記押圧部材を前記電極から離間させた後、前記押圧部材の押圧面に形成された吹き出し口から前記電極に向けて気体を吹き出す吹き出し工程と、
を含み、
前記吹き出し工程では、前記押圧面の法線方向から見て、前記電極の切断面の位置と前記吹き出し口の位置との間における電極の表面位置に向けて、前記気体を吹き出し、
前記気体の吹き出し方向は、前記押圧面の法線方向に対して傾斜している、電極の製造方法。
【請求項2】
前記吹き出し工程では、前記押圧部材を上昇させる間において、継続的に前記気体を吹き出す、請求項1に記載の電極の製造方法。
【請求項3】
前記気体の吹き出し方向は調節可能である、請求項1又は2に記載の電極の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
切刃が対向する凸工具及び凹工具を用いて板状材料を打ち抜く方法が知られている(特許文献1参照)。上金型の凹工具の凹部内には、凹工具の切刃側面と僅かな隙間を保ったまま摺動するパッドが設置されている。この方法では、まず、上金型の凹工具の切刃側面とパッドとの間から板状材料に向けて気体を吹き出し、板状材料又は凹工具に付着した異物を除去する。次に、凹工具を下降させ、下金型の凸工具の切刃と凹工具の切刃とによって板状材料を切断する。その後、凹工具を上昇させ、板状材料を切断して得られた製品を金型外部に取り出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−218499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記方法では、板状材料の切断後、上金型の凹工具の上昇に伴って切断粉等の異物が巻き上げられ、異物が製品上に残存するおそれがある。
【0005】
ところで、蓄電装置のための電極は、下型と上型との協働によってワークを切断して形成される。そのため、上記方法により製品としての電極を製造する場合、ワークの切断後、例えば上型の上昇に伴って巻き上げられた切断粉等の異物が電極上に残存するおそれがある。
【0006】
本発明の一側面は、ワークの切断後、異物が電極上に残存することを抑制できる電極の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る電極の製造方法は、蓄電装置のための電極の製造方法であって、下型と上型との協働によって、前記下型と押圧部材との間に配置されたワークを切断して前記電極を形成する切断工程と、前記切断工程の後、前記押圧部材を前記電極から離間させた後、前記押圧部材の押圧面に形成された吹き出し口から前記電極に向けて気体を吹き出す吹き出し工程と、を含む。
【0008】
この製造方法によれば、ワークの切断後、例えば上型又は押圧部材の上昇に伴って巻き上げられた切断粉(例えば金属粉又は活物質粉)等の異物が電極上に残存することを抑制できる。
【0009】
前記吹き出し工程では、前記押圧面の法線方向から見て、前記電極の切断面の位置と前記吹き出し口の位置との間における電極の表面位置に向けて、前記気体を吹き出してもよい。
【0010】
この場合、電極の表面及び切断面に付着した異物を効率的に吹き飛ばすことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一側面によれば、ワークの切断後、異物が電極上に残存することを抑制できる電極の製造方法が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係る電極の製造装置を模式的に示す図である。
【
図2】実施形態に係る電極の製造装置を模式的に示す図である。
【
図3】実施形態に係る電極の製造装置を模式的に示す図である。
【
図4】
図3の電極の製造装置の一部の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。
【0014】
図1〜
図3は、実施形態に係る電極の製造装置を模式的に示す図である。
図4は、
図3の電極の製造装置の一部の上面図である。
図1〜
図4にはXYZ直交座標系が示されている。
図1〜
図4に示される電極の製造装置100は、蓄電装置のための電極Eを製造する装置である。蓄電装置としては、例えばリチウムイオン二次電池等の二次電池、例えば電気二重層キャパシタ等のキャパシタ等が挙げられる。
【0015】
電極の製造装置100は、ワークWを載置するための下型4と、下型4に対向配置された上型6と、下型4に対向配置されると共に上型6の隣に配置された押圧部材8とを備える。押圧部材8は例えばストリッパープレートである。上型6と押圧部材8との間には隙間が形成され得る。ワークWは、下型4と上型6との間、及び下型4と押圧部材8との間に配置され得る。下型4と上型6との協働によって、下型4と押圧部材8との間に配置されたワークWを切断して電極Eを形成する。上型6は、下型4に対して相対的に上下動することによってワークWを打ち抜くことができる。下型4及び上型6は例えば金型である。下型4は、例えば凹部4aを有する。凹部4aの縁には、下刃4cが形成されている。下刃4cは、例えば電極Eのタブ(活物質層が形成されていない部分)の形状に対応する部分4bを有する(
図4参照)。上型6は、凹部4aに嵌め合わされる凸部6aを有する。凸部6aの縁には、下刃4cに対向する上刃6cが形成されている。押圧部材8は、下型4に対して相対的に上下動することによって、ワークWの切断時に、ワークWを押圧して固定することができる。
【0016】
ワークWは例えば矩形形状を有する板状部材であってもよい。ワークWは、金属箔と、金属箔上に設けられた活物質層とを備え得る。この場合、金属箔及び活物質層が切断される。活物質層は、金属箔の両面にそれぞれ設けられてもよい。金属箔としては、例えば銅箔又はアルミニウム箔等が挙げられる。活物質層としては、例えば正極活物質層又は負極活物質層等が挙げられる。負極活物質層では、正極活物質層に比べて、切断時に活物質粉が発生し易い。
【0017】
押圧部材8の押圧面8pには、電極Eに向けて気体Gを吹き出すための吹き出し口8aが形成されている。押圧部材8の内部には、吹き出し口8aに気体Gを供給するための流路8bが形成されている。気体Gは、押圧面8pの法線方向(Z方向)から見て、電極Eの切断面Ecの位置Rと吹き出し口8aの位置Qとの間における電極Eの表面位置Pに向けて吹き出す。気体Gは、電極Eの切断面Ecに近づく方向(X方向)に向かって吹き出す。吹き出し口8aは、切断面Ecの延在方向(Y方向)に沿って延びてもよい。気体Gとしては、例えば空気、不活性ガス等が挙げられる。押圧面8pの法線方向と、吹き出し口8aからの気体Gの吹き出し方向とのなす角度のうち小さい方の角度θは0°以上90°未満であってもよく、30°以上60°以下であってもよい。
【0018】
実施形態に係る電極の製造方法は、例えば電極の製造装置100を用いて以下のように実施され得る。
【0019】
(切断工程)
まず、
図1〜
図2に示されるように、下型4と上型6との協働によって、下型4と押圧部材8との間に配置されたワークWを切断して電極Eを形成する。具体的には、まず、ワークWを下型4上に載置する(
図1の(A)参照)。次に、押圧部材8を降下させて、ワークWを下型4と押圧部材8との間に固定する(
図1の(B)参照)。このとき、押圧部材8の押圧面8pはワークWに接触する。次に、上型6を降下させて、ワークWを切断する(
図2の(A)参照)。次に、上型6を上昇させる(
図2の(B)参照)。
【0020】
(吹き出し工程)
次に、押圧部材8を上昇させることによって、押圧部材8を電極Eから離間させる(
図3参照)。離間後、押圧部材8の押圧面8pに形成された吹き出し口8aから電極Eに向けて気体Gを吹き出す。押圧部材8が電極Eから離間するタイミングから押圧部材8の上死点に到達するタイミングまでの間において、継続的に気体Gを吹き出すことが好ましい。任意のタイミングで気体Gの吹き出しを停止してもよい。押圧面8pの法線方向から見て、電極Eの切断面Ecの位置Rと吹き出し口8aの位置Qとの間における電極Eの表面位置Pに向けて、気体Gを吹き出してもよい。この場合、電極Eの表面に対して斜めの方向から気体Gを吹き出すことになる。電極Eの表面に到達した気体Gは、電極Eの表面に沿って流れ、電極Eの切断面Ecまで到達する。
【0021】
本実施形態の電極の製造方法によれば、ワークWの切断後、例えば上型6又は押圧部材8の上昇に伴って巻き上げられた切断粉(例えば金属粉又は活物質粉)等の異物が電極E上に残存することを抑制できる。気体Gを電極Eの表面位置Pに向けて吹き出す場合、電極Eの表面及び切断面Ecに付着した異物を効率的に吹き飛ばすことができる。また、気体Gの吹き出し方向を調節することによって、効率的に電極Eを清掃できる。気体Gの吹き出し方向は、例えば吹き出し口8aを有するノズルの向きを制御することによって調節され得る。
【0022】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明されたが、本発明は上記実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0023】
4…下型、6…上型、8…押圧部材、8a…吹き出し口、8p…押圧面、E…電極、Ec…切断面、G…気体、P…電極の表面位置、Q…吹き出し口の位置、R…切断面の位置、W…ワーク。