(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電気回路を構成する機器間に介在され、かつそれぞれの一部に長尺板状の被切断部を有するとともに、前記被切断部が幅方向に並べられた状態となるように配置された複数の導電体と、
前記被切断部毎に同被切断部の厚み方向の一方に形成された消弧室と、
複数の前記被切断部を挟んで複数の前記消弧室の反対側に配設されたガス発生器と、
複数の前記被切断部及び前記ガス発生器の間に配設され、かつ前記被切断部と同数の刃部を備え、前記ガス発生器からのガスにより前記消弧室側へ移動させられることで、前記刃部により、対応する前記被切断部を前記消弧室で切断する単一の切断部材とを備え、前記切断により、前記被切断部毎に、互いに離間した状態の一対の切断端を生じさせ、前記機器間の導通を遮断するようにした導通遮断装置であって、
隣り合う被切断部間には、電気絶縁性を有する材料により形成され、かつ一方の前記被切断部の切断端と、他方の前記被切断部の切断端との間で発生するアークを減衰させるアーク減衰部が配設されており、
前記アーク減衰部は、一方の前記被切断部の切断端と、他方の前記被切断部の切断端との間でアークが流れる経路を、同アーク減衰部が設けられない場合よりも長くすることで、アークを減衰させるものであり、
前記アーク減衰部は、隣り合う刃部間に配置されて両刃部と一体で移動する壁部により構成され、
前記アーク減衰部は、前記刃部よりも前記被切断部側へ多く突出している導通遮断装置。
前記アーク減衰部は、一方の前記被切断部の切断端と、他方の前記被切断部の切断端との間でアークが流れる経路を、同アーク減衰部が設けられない場合よりも長くすることで、アークを減衰させるものである請求項3又は4に記載の導通遮断装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記特許文献1に記載された導通遮断装置では、厚み方向に互いに遠ざけられた状態で配置された一対の被切断部の間に、2つの切断部材を配置している。しかも、各切断部材は、両被切断部の並べられた方向に移動する。そのため、隣り合う被切断部間で発生したアークを減衰させることが可能ではあるものの、導通遮断装置が上記方向に大型なものとなる。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、小型化を図りつつ、隣り合う被切断部間で発生したアークを減衰させることのできる導通遮断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する導通遮断装置は、電気回路を構成する機器間に介在され、かつそれぞれの一部に長尺板状の被切断部を有するとともに、前記被切断部が幅方向に並べられた状態となるように配置された複数の導電体と、前記被切断部毎に同被切断部の厚み方向の一方に形成された消弧室と、複数の前記被切断部を挟んで複数の前記消弧室の反対側に配設されたガス発生器と、複数の前記被切断部及び前記ガス発生器の間に配設され、かつ前記被切断部と同数の刃部を備え、前記ガス発生器からのガスにより前記消弧室側へ移動させられることで、前記刃部により、対応する前記被切断部を前記消弧室で切断する単一の切断部材とを備え、前記切断により、前記被切断部毎に、互いに離間した状態の一対の切断端を生じさせ、前記機器間の導通を遮断するようにした導通遮断装置であって、隣り合う被切断部間には、電気絶縁性を有する材料により形成され、かつ一方の前記被切断部の切断端と、他方の前記被切断部の切断端との間で発生するアークを減衰させるアーク減衰部が配設されている。
【0008】
上記の構成によれば、ガス発生器がガスを発生する前には、切断部材の各刃部は、対応する導電体の被切断部とガス発生器との間に位置し、対応する消弧室から離れている。そのため、いずれの被切断部も切断されず、電気回路を構成する機器間が全ての導電体を介して導通された状態となる。
【0009】
これに対し、全ての導電体に通電された状態で、ガス発生器からガスが発生されると、切断部材がそのガスにより消弧室側へ移動させられる。各被切断部が切断部材の対応する刃部によって押圧され、対応する消弧室において切断される。この切断に伴い、各被切断部には、互いに離間した状態の一対の切断端が生ずる。各導電体は、両切断端間で分断された状態となり、機器間の導通が遮断される。
【0010】
このとき、隣り合う被切断部のうちの一方における切断端と、他方における切断端との間でアークが発生する場合がある。しかし、上記アークは、隣り合う被切断部間に配設されたアーク減衰部により減衰させられる。そのため、アークが導通遮断装置に及ぼす影響は、アーク減衰部が設けられていないものよりも小さくなる。
【0011】
ここで、単一の切断部材が消弧室側へ移動させられることで、幅方向に並べられた複数の被切断部が、同被切断部と同数の刃部によって切断される。すなわち、複数の刃部が同一方向へ移動されることで、複数の被切断部の切断が行なわれる。そのため、切断部材の移動方向における導通遮断装置の寸法は、厚み方向に対向配置された一対の被切断部間で一対の切断部材が互いに反対方向へ移動するタイプの導通遮断装置よりも小さくなる。
【0012】
上記導通遮断装置において、前記アーク減衰部は、一方の前記被切断部の切断端と、他方の前記被切断部の切断端との間でアークが流れる経路を、同アーク減衰部が設けられない場合よりも長くすることで、アークを減衰させるものであることが好ましい。
【0013】
ここで、アークは、そのアークが流れる経路が長くなるに従い減衰されやすい。この点、上記の構成によれば、アーク減衰部を付加することで、一方の被切断部の切断端と、他方の被切断部の切断端との間でアークが流れる経路を、同アーク減衰部が設けられない場合よりも長くすることが可能である。そして、上記経路を長くすることで、アークは、アーク減衰部が設けられない場合よりも減衰されやすい。
【0014】
上記導通遮断装置において、前記アーク減衰部は、隣り合う刃部間に配置されて両刃部と一体で移動する壁部により構成され、前記アーク減衰部は、前記刃部よりも前記被切断部側へ多く突出してい
る。
【0015】
上記の構成によれば、切断部材がガス発生器からのガスの圧力を受けると、各刃部が、対応する消弧室側へ移動するとともに、それらの刃部と一体となってアーク減衰部が同方向へ移動する。各被切断部は、各刃部によって押圧され、各消弧室において切断される。この切断に伴い、各被切断部には、互いに離間した状態の一対の切断端が生ずる。各導電体は、両切断端間で分断された状態となり、機器間の導通が遮断される。また、上記アーク減衰部は、一方の被切断部の両切断端と、他方の被切断部の両切断端との間に入り込む。
【0016】
アークは、一方の被切断部における切断端から、他方の被切断部における切断端に向け、電気絶縁性を有するアーク減衰部の外壁面に沿って流れようとする。ここで、アーク減衰部が刃部よりも被切断部側へ多く突出している。このことから、アークが流れる経路は、アーク減衰部が刃部よりも被切断部側へ多く突出していないものに比べて長くなって、アークが減衰される。
【0017】
上記導通遮断装置において、前記アーク減衰部は
、前記刃部よりも、前記被切断部の長さ方向へ多く突出してい
る。
【0018】
上記の構成によれば、切断部材がガス発生器からのガスの圧力を受けると、各刃部が、対応する消弧室側へ移動するとともに、それらの刃部と一体となってアーク減衰部が同方向へ移動する。各被切断部は、各刃部によって押圧され、各消弧室において切断される。この切断に伴い、各被切断部には、互いに離間した状態の一対の切断端が生ずる。各導電体は、両切断端間で分断された状態となり、機器間の導通が遮断される。また、上記アーク減衰部は、一方の被切断部の両切断端と、他方の被切断部の両切断端との間に入り込む。
【0019】
アークは、一方の被切断部における切断端から、他方の被切断部における切断端に向け、電気絶縁性を有するアーク減衰部の外壁面に沿って流れようとする。ここで、アーク減衰部が刃部よりも被切断部の長さ方向へ多く突出している。このことから、アークが流れる経路は、アーク減衰部が刃部よりも被切断部の長さ方向へ多く突出していないものに比べて長くなって、アークが減衰される。
【0020】
上記導通遮断装置において、前記アーク減衰部は、隣り合う消弧室間から突出して、隣り合う刃部間に入り込む壁部により構成されていることが好ましい。
上記の構成によれば、ガス発生器からのガスにより、切断部材が消弧室側へ移動させられるときには、壁部からなるアーク減衰部が、隣り合う刃部間に位置する。
【0021】
各被切断部は、切断部材の各刃部によって押圧されると、各消弧室において切断される。この切断に伴い、各被切断部には、互いに離間した状態の一対の切断端が生ずる。各導電体は、両切断端間で分断された状態となり、機器間の導通が遮断される。
【0022】
アークは、一方の被切断部における切断端から、他方の被切断部における切断端に向け、電気絶縁性を有するアーク減衰部の外壁面に沿って流れようとする。ここで、アーク減衰部が隣り合う刃部間に位置している。このことから、アークが流れる経路は、アーク減衰部が隣り合う刃部間に位置していないものに比べて長くなって、アークが減衰される。
【0023】
上記導通遮断装置において、隣り合う刃部のそれぞれの前記消弧室に最も近い外壁面は、隣の刃部から離れるほど前記消弧室から遠ざかるように傾斜する傾斜面により構成されて
おり、前記両外壁面の内側辺は、前記隣り合う被切断部の幅方向における内縁よりも内側にある。
【0024】
ガス発生器からのガスにより、切断部材が消弧室側へ移動させられると、隣り合う被切断部を各刃部の傾斜面が押圧する。被切断部が傾斜面によって押圧される箇所は、切断部材の移動に伴い、隣の被切断部に近い箇所から遠い箇所に向けて変化する。これに伴い、隣り合う被切断部は、刃部の傾斜面により、隣の被切断部に近い箇所から遠い箇所に向けて切断されていく。この切断は、隣り合う被切断部が、傾斜面によって捻られながら行なわれる。そして、各被切断部のうち、隣の被切断部から最も遠い箇所が切断されることで、各被切断部が分断され、互いに離間した状態の一対の切断端が被切断部毎に生ずる。各切断端は、各刃部の傾斜面に沿って傾斜した状態となる。
【0025】
この場合、隣り合う被切断部間でのアークは、一方の被切断部における切断端のうち、隣の被切断部から最も遠い箇所と、他方の被切断部における切断端のうち、隣の被切断部から最も遠い箇所との間で発生する傾向にある。そのため、アークが流れる経路は、切断端が上記のように傾斜しない場合よりも長くなって、アークがより一層減衰される。
【0026】
上記導通遮断装置において、隣り合う被切断部は、同一平面上に並べられた状態で配置されており、隣り合う刃部は、前記切断部材の移動方向にずらされて配置されてい
る。
【0027】
上記の構成によれば、全ての導電体に通電された状態で、ガス発生器からガスが発生されると、そのガスにより、切断部材が消弧室側へ移動させられる。この移動に伴い、まず、消弧室に近い側の刃部のみによって一方の被切断部が押圧され、同被切断部が消弧室において切断される。上記切断に遅れて、未だ切断されていない被切断部が、消弧室から遠い側の刃部によって押圧され、同被切断部が消弧室において切断される。このように、隣り合う被切断部が異なるタイミングで、刃部によって押圧及び切断される。そのため、隣り合う被切断部が同時に切断される場合よりも小さな荷重で、両被切断部が切断される。
【発明の効果】
【0028】
上記導通遮断装置によれば、小型化を図りつつ、隣り合う被切断部間で発生したアークを減衰させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(第1実施形態)
以下、導通遮断装置を具体化した第1実施形態について、
図1〜
図7を参照して説明する。
【0031】
図2は、導通遮断装置Cが適用される電気回路11を示している。電気回路11は、これを構成する機器として蓄電池12及び電気機器13を備えている。この電気回路11では、蓄電池12から電力が供給されることによって電気機器13が作動させられる。電気機器13は、蓄電池12から入力される電力を昇圧したうえで出力するコンバータ14と、同コンバータ14から入力される直流電力をモータ駆動に適した交流電力に変換して出力するインバータ15と、インバータ15から出力される交流電力によって駆動されるモータ16とによって構成されている。
【0032】
上記電気回路11は車両10に搭載されている。この車両10に対し衝突による衝撃が加わった場合には、電気機器13が適正に作動しなくなったり、上記電気回路11からの漏電を招いたりするおそれがある。そのため、車両10には、その衝突に際して、電気回路11を構成する機器間、例えば、蓄電池12と電気機器13との間の導通を遮断する導通遮断装置Cが設けられている。車両10には、その衝突の有無を検出する衝突センサ17と、マイクロコンピュータを中心に構成され、かつ衝突センサ17からの信号が入力される電子制御ユニット18とが取付けられている。そして、電子制御ユニット18は、衝突センサ17の出力信号をもとに車両10の衝突を検知すると、導通遮断装置Cを作動させる。この作動により、蓄電池12から電気機器13への電力供給が遮断される。
【0033】
図1及び
図5に示すように、導通遮断装置Cは、一対の導電体20、ケース30、火薬式のガス発生器45及び切断部材50を備えている。次に、導通遮断装置Cを構成する各部材について説明する。
【0034】
<一対の導電体20>
各導電体20は、蓄電池12及びコンバータ14の間を導通させる導通経路を構成するものであり、バスバーとも呼ばれる。両導電体20は、互いに同一の構成を有している。各導電体20は、電気伝導率の高い金属材料によって長尺板状に形成されている。こうした金属材料としては、銅が代表的であるが、その他の材料、例えば真鍮、アルミニウム等が用いられてもよい。
【0035】
各導電体20の両端部は、外部接続部20a,20bを構成している。これらの外部接続部20a,20bは、蓄電池12及びコンバータ14に接続される箇所である。すなわち、各外部接続部20a,20bには貫通孔21があけられている。そして、上記貫通孔21を利用してねじ等によって、外部接続部20a,20bのうちの一方が、蓄電池12に導通する端子に接続されるとともに、他方が、コンバータ14に導通する端子に接続される。このようにして、各導電体20が外部接続部20a,20bにおいて、電気回路11の上記端子にそれぞれ接続されることにより、蓄電池12及びコンバータ14の間が両導電体20を通じて導通される。
【0036】
各導電体20は、両外部接続部20a,20bのほかに、それらの間に被切断部22を有している。各被切断部22は、両外部接続部20a,20b間において、それらの並設方向(
図1、
図5の各左右方向)へ延びている。各被切断部22は、一定の幅を有している。なお、各被切断部22の延びる方向、すなわち、両外部接続部20a,20bの並設方向を、各被切断部22の長さ方向という場合がある。また、被切断部22の厚み方向というときには、切断前の被切断部22の厚み方向を指すものとする。
【0037】
両導電体20は、それらの被切断部22が、同一の平面上において、両被切断部22の幅方向に互いに平行に並べられた状態となるように配置されている。
<ケース30>
図1及び
図6(a),(b)に示すように、ケース30は、電気絶縁性を有し、かつ強度の高い材料、例えば樹脂材料によって形成されており、その内部には、上記一対の導電体20を配置するための一対の配置部31が形成されている。各導電体20は、自身の外部接続部20a,20bをケース30の外部に露出させた状態で、対応する配置部31に配設されている。ケース30内において、各被切断部22の厚み方向の一方(
図1では上方)には、被切断部22毎の消弧室32と、両被切断部22に共通の単一の凹部39とが形成されている。上記厚み方向であって、両被切断部22を挟んで両消弧室32及び凹部39の反対側(
図1の下側)には、両被切断部22に共通の単一の可動室41が形成されている。
【0038】
各消弧室32は、切断部材50により各被切断部22の切断が行なわれるとともに、切断により被切断部22毎に生ずる一対の切断端23,24(
図4参照)間で発生するアークを減衰させるための部屋である。各消弧室32の奥行き(
図1の紙面に直交する方向の寸法)は、対応する被切断部22の幅よりも僅かに大きく設定されており、切断された被切断部22が同消弧室32内に入り込むことが可能となっている。
【0039】
図3に示すように、各消弧室32は、切断前の被切断部22に面して開口する方形の開口部33を有している。各開口部33において、各被切断部22の長さ方向における一方(
図3の左方)の辺は、切断エッジ部34を構成している。
【0040】
各消弧室32は、複数の内壁面を有している。複数の内壁面は、第1内壁面35、第2内壁面36、第3内壁面37及び一対の第4内壁面38からなる。第1内壁面35は、切断エッジ部34を含んだ状態で、被切断部22に対し直交又はそれに近い状態で交差する方向へ延びている。第2内壁面36は、第1内壁面35に対し、被切断部22の長さ方向へ離間した箇所に位置している。第2内壁面36は、開口部33から遠ざかるほど(
図3の上側ほど)、第1内壁面35との間隔が狭まるように、同第1内壁面35に対し傾斜している。第3内壁面37は、開口部33から最も遠ざかった箇所に位置し、切断前の被切断部22に対し平行又はそれに近い状態となっている。一対の第4内壁面38は、各被切断部22の幅方向に相対向している。
【0041】
図6(a),(b)に示すように、凹部39は、切断部材50の移動に伴い、後述するアーク減衰部60が入り込むための部屋であり、両消弧室32間に設けられている。凹部39は、両消弧室32に対し、被切断部22の幅方向に連通している。凹部39は、両被切断部22の厚み方向に沿って延びており、その一方の端部(
図6(a)の下端部)は可動室41に面している。
【0042】
図1に示すように、可動室41は、両被切断部22の厚み方向に沿って延びる筒状をなしている。可動室41の内壁面の複数箇所には、上記厚み方向に沿って延びるガイド溝42が形成されている。
【0043】
<ガス発生器45>
ガス発生器45は、導通遮断装置Cの駆動源として用いられている。ガス発生器45は、その一部を可動室41に露出させた状態でケース30内に配設されている。ガス発生器45は電子制御ユニット18に接続されており、同電子制御ユニット18からの作動信号の入力に応じて内蔵の火薬を着火及び燃焼させてガスG(
図4参照)を発生させる。
【0044】
なお、火薬式のガス発生器45を用いて駆動される装置には、一般に、駆動源として他の方式(電磁式等)のものが用いられる装置と比較して、迅速な駆動が可能であり、低廉で、しかも動作信頼性が高いといった特徴がある。
【0045】
<切断部材50>
図1及び
図7に示すように、切断部材50は、可動室41内であって両被切断部22とガス発生器45との間に配設されている。切断部材50は、単一の本体部51と、被切断部22と同数(一対)の刃部52と、アーク減衰部60とを備えている。
【0046】
本体部51の外壁面の複数箇所にはガイド突部53が設けられている。本体部51は、ガイド突部53において、可動室41のガイド溝42に対し、被切断部22の厚み方向へ移動可能に係合されている。
【0047】
各刃部52は、各切断エッジ部34と協働して、対応する被切断部22を切断する部分であり、隣の刃部52と同一の構成を有している。各刃部52は、本体部51において、互いに被切断部22の幅方向へ離間した箇所から消弧室32に向けて突出している。
【0048】
図3及び
図7に示すように、各刃部52は複数の外壁面を有している。複数の外壁面は、第1外壁面55、第2外壁面56、第3外壁面57及び第4外壁面58を有している。各第1外壁面55は、切断エッジ部34から、同切断エッジ部34と協働して被切断部22を切断(剪断)するのに適した、僅かな距離D、例えば、0.5mm前後だけ離れた箇所で、切断前の被切断部22に対し直交又はそれに近い状態で交差する方向へ延びている。各第2外壁面56は、各第1外壁面55に対し、各被切断部22の長さ方向へ離間した箇所に位置している。各第2外壁面56は、各消弧室32の上記第2内壁面36に対応して傾斜、すなわち、本体部51から遠ざかるほど(
図3の上側ほど)、上記第1外壁面55との間隔が狭まるように、同第1外壁面55に対し傾斜している。各第3外壁面57は、各刃部52において本体部51から最も遠ざかった箇所に位置し、切断前の被切断部22に対し平行又はそれに近い状態となっている。各第4外壁面58は、各消弧室32の第4内壁面38に対し平行又はそれに近い状態の平面によって構成されている。一方の刃部52の第4外壁面58と、他方の刃部52の第4外壁面58とは、両被切断部22の幅方向に相対向している。
【0049】
アーク減衰部60は、本体部51において隣り合う刃部52間となる箇所から被切断部22(凹部39)側へ突出している。アーク減衰部60は、本体部51及び両刃部52に接している。アーク減衰部60は、各被切断部22の厚み方向については、各刃部52の第3外壁面57よりも被切断部22(凹部39)側へ多く突出している。また、アーク減衰部60は、刃部52よりも両被切断部22の長さ方向における両側へ多く突出している。アーク減衰部60は、両刃部52とともに本体部51に一体に形成されている。
【0050】
こうした構成の切断部材50は、上記ケース30等と同様、電気絶縁性を有し、かつ強度の高い材料、例えば樹脂材料を用いて形成されている。
上記のようにして第1実施形態の導通遮断装置Cが構成されている。次に、この導通遮断装置Cの作用について説明する。
【0051】
車両10の衝突が衝突センサ17によって検知されないときには、電子制御ユニット18からガス発生器45に対し作動信号が出力されず、同ガス発生器45からガスGが発生されない。
図1及び
図3に示すように、切断部材50の各刃部52は、対応する被切断部22とガス発生器45との間に位置し、対応する消弧室32から後退している。そのため、いずれの被切断部22も切断されず、蓄電池12及びコンバータ14の間は、全ての導電体20を介して導通された状態となる。
【0052】
これに対し、全ての導電体20に通電されているときに、車両10の衝突が衝突センサ17によって検知されると、電子制御ユニット18からガス発生器45に作動信号が出力される。
図4に示すように、この作動信号に応じ、ガス発生器45が作動してガスGを発生する。切断部材50が、両消弧室32へ向かうガスGの圧力を受ける。切断部材50は、ガイド突部53が可動室41のガイド溝42内を移動することによって案内されながら高速で移動する。各刃部52が、対応する消弧室32側へ移動するとともに、アーク減衰部60が隣り合う被切断部22間を移動する。
【0053】
この移動に伴い、両刃部52が、対応する被切断部22に同時又は略同時に接触し、同被切断部22を消弧室32側へ押圧する。
ここで、仮に、消弧室32毎の第2内壁面36が切断前の被切断部22に直交する方向へ延びていて、同被切断部22の長さ方向に対向する2つの辺がともに切断エッジ部34とされ、各刃部52の第2外壁面56が切断前の被切断部22に対し直交する方向へ延びているものとする。この場合、各刃部52が両切断エッジ部34に接近した箇所を移動すると、各被切断部22が2箇所で切断される。ただし、各刃部52が1箇所で被切断部22を切断する場合に比べ、切断部材50を2倍の荷重で消弧室32側へ移動させなければならず、大きな荷重が必要となる。
【0054】
この点、第1実施形態では、各第2内壁面36が開口部33から遠ざかるほど、第1内壁面35との間隔が狭まるように、同第1内壁面35に対し傾斜している。また、各第2外壁面56が、本体部51から遠ざかるほど、第1外壁面55との間隔が狭まるように、同第1外壁面55に対し傾斜している。
【0055】
そのため、上記のように各刃部52によって消弧室32側へ押圧された各被切断部22では、切断エッジ部34の近傍部分に応力が集中して加わる。各被切断部22が、各切断エッジ部34と各刃部52の第1外壁面55との間で切断される。この切断により、各被切断部22には、互いに離間した一対の切断端23,24が生ずる。切断後も切断部材50の移動が続くことで、各刃部52が、対応する消弧室32の内奥部へ入り込む。
【0056】
このように、第1実施形態では、一対の被切断部22に共通の単一の切断部材50が両消弧室32側へ移動することで、各被切断部22が、対応する刃部52によって切断される。すなわち、一対の刃部52が同一方向へ移動されることで、一対の被切断部22の切断が行なわれる。
【0057】
各被切断部22における一方の切断端23は、上記刃部52によって押圧されないため、切断エッジ部34の近くに位置する。これに対し、各被切断部22のうち他方の切断端24を含む部分は、刃部52によって押圧され、消弧室32内に入り込む。各被切断部22の上記部分は、刃部52の押圧により、同刃部52の傾斜した第2外壁面56と、消弧室32の傾斜した第2内壁面36とに沿って鈍角に折り曲げられる。これらの折り曲げに要する荷重は、切断に要する荷重よりも小さい。従って、切断部材50を消弧室32側へ移動させるために必要な荷重は小さくてすむ。
【0058】
そして、上記他方の切断端24は、各刃部52の第3外壁面57の近くに位置する。表現を変えると、各切断端24は、各消弧室32の第3内壁面37と、各消弧室32内に入り込んだ各刃部52の第3外壁面57との間の隙間に位置する。
【0059】
ここで、各被切断部22は、銅によって形成されている場合、延性に富む。各被切断部22が切断時に伸びると、切断端23,24間の距離が短くなってアークが発生しやすい。
【0060】
この点、第1実施形態では、各導電体20は、各切断エッジ部34と、これに対し僅かな距離Dだけ離れた箇所を移動する各刃部52の第1外壁面55とによって切断される。そのため、各切断エッジ部34がなく、かつ各刃部52の押圧のみにより各被切断部22が切断される場合に比べ、各被切断部22の伸び量が少ない。従って、両切断端23,24の間隔が大きくなり、アークが発生しにくい。
【0061】
各被切断部22は、両切断端23,24間で分断された状態となり、蓄電池12及びコンバータ14の間の導通が遮断される。
このとき、隣り合う被切断部22のうちの一方における切断端23,24と、他方における切断端23,24との間で電位差が生じることによりアークが発生する、すなわち、隣り合う被切断部22の隣り合う切断端23,24間に存在する気体の絶縁が破壊されて電流が流れる現象が生ずる場合がある。
【0062】
上記アークは、流れる経路が長くなるに従い減衰されやすい。この点、隣り合う刃部52間にアーク減衰部60が付加された第1実施形態では、
図5及び
図6(a),(b)に示すように、アーク減衰部60が、一方の被切断部22の両切断端23,24と、他方の被切断部22の両切断端23,24との間に位置する。
【0063】
アークは、一方の被切断部22における切断端23,24から、他方の被切断部22における切断端23,24に向け、電気絶縁性を有するアーク減衰部60の外壁面に沿って流れようとする。アークが流れる経路としては、アーク減衰部60の外壁面上を、両被切断部22の厚み方向に沿って流れる経路R1と、被切断部22の長さ方向に沿って流れる経路R2とがある。
【0064】
第1実施形態では、アーク減衰部60が両刃部52よりも被切断部22側(凹部39側)へ多く突出している。そのため、上記経路R1は、アーク減衰部60が設けられないものはもちろんのこと、アーク減衰部60が両刃部52よりも被切断部22側(凹部39側)へ多く突出していないものよりも長くなる。
【0065】
また、第1実施形態では、アーク減衰部60は、両刃部52よりも、両被切断部22の長さ方向へ多く突出している。そのため、上記経路R2は、アーク減衰部60が設けられないものはもちろんのこと、アーク減衰部60が両刃部52よりも両被切断部22の長さ方向へ多く突出していないものよりも長くなる。そして、上記のようにアークの流れる経路R1,R2が長くなることに伴い、アークが減衰されやすくなる。
【0066】
その結果、アークが導通遮断装置Cに及ぼす影響は、アーク減衰部60が設けられていないものよりも小さくなる。例えば、隣り合う被切断部22の両切断端23間、又は両切断端24間がアークにより電気的に接続された状態が発生しにくくなる。各導電体20の切断端23,24が、被切断部22の幅方向に離間しているにも拘わらず、通電した状態となる現象が起こりにくくなる。また、高温のアークに晒されることが原因で、各導電体20や周辺の樹脂製の部材が軟化したり溶融したりする現象が抑制される。
【0067】
以上詳述した第1実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)導通遮断装置Cとして、それぞれ長尺板状の被切断部22を有し、かつ被切断部22が幅方向に並べられた状態となるように配置された一対の導電体20と、被切断部22毎の消弧室32と、ガス発生器45と、被切断部22と同数の刃部52を有する単一の切断部材50とを備えるものを採用する(
図1)。この導通遮断装置Cでは、ガス発生器45からのガスにより、切断部材50を両消弧室32側へ移動させることで、一対の被切断部22を一対の刃部52によって切断する。これらの切断により、被切断部22毎に、互いに離間した状態の一対の切断端23,24を生じさせ(
図4)、蓄電池12及び電気機器13の間の導通を遮断する。
【0068】
こうした構成の導通遮断装置Cにおいて、隣り合う被切断部22間には、電気絶縁性を有する材料により形成されたアーク減衰部60を配設している(
図7)。
そのため、隣り合う被切断部22の一方における切断端23,24と、他方における切断端23,24との間で発生するアークを、アーク減衰部60によって減衰させることができる。また、切断部材50の移動方向における導通遮断装置Cの寸法を、厚み方向に対向配置された一対の被切断部間で一対の切断部材を互いに反対方向へ移動させるタイプの導通遮断装置(特許文献1に記載されたもの)よりも小さくすることができる。
【0069】
また、切断部材50が1つですむため、導通遮断装置Cの部品点数を減らすことができる。
(2)アークが流れる経路が長くなるに従いアークが減衰されやすい点に着目し、隣り合う被切断部22間にアーク減衰部60を設け、一方の被切断部22の切断端23,24と、他方の被切断部22の切断端23,24との間でアークが流れる経路R1,R2を、同アーク減衰部60が設けられない場合よりも長くしている(
図5、
図6(b))。
【0070】
そのため、アーク減衰部60が設けられない場合よりもアークを減衰させることができる。
(3)アーク減衰部60を、隣り合う刃部52間に配置されて両刃部52と一体で移動する壁部により構成する。このアーク減衰部60を、両刃部52よりも被切断部22側へ多く突出させるとともに、被切断部22の長さ方向へ多く突出させている(
図5、
図6(a),(b))。
【0071】
そのため、切断部材50の移動に伴い、アーク減衰部60を凹部39の内奥部まで入り込ませることができる。また、アークの流れる経路R1を、アーク減衰部60が両刃部52よりも被切断部22側へ多く突出していないものよりも長くすることができる。また、アークの流れる経路R2を、アーク減衰部60が両刃部52よりも被切断部22の長さ方向へ多く突出していないものよりも長くすることができる。その結果、アークを減衰させる効果が得られる。
【0072】
(4)アーク減衰部60を両刃部52及び本体部51に接触させた状態で、これらアーク減衰部60、両刃部52及び本体部51を一体に形成している(
図7)。
アーク減衰部60は、本体部51と両刃部52とを連結する機能を発揮する。そのため、アーク減衰部60が設けられず、両刃部52間が間隙によって構成される場合よりも、切断部材50の剛性を高めることができる。
【0073】
(第2実施形態)
次に、導通遮断装置を具体化した第2実施形態について、
図8を参照して説明する。
両被切断部22を切断する機能は、両刃部52には要求されるが、アーク減衰部には要求されない。そのため、アーク減衰部は必ずしも刃部52と一体である必要はなく、別部材によって構成されてもよい。
【0074】
この観点から、第2実施形態では、アーク減衰部と凹部との位置関係が、第1実施形態とは逆になっている。詳しくは、隣り合う刃部52間にアーク減衰部60が設けられておらず、隣り合う刃部52間は凹部61によって構成されている。この凹部61は、第1実施形態における凹部39に相当するものであり、同凹部39と同様の機能を発揮する。
【0075】
ケース30において、隣り合う消弧室32(図示略)間となる箇所からは、上記凹部61へ向けて壁部が突出しており、この壁部によってアーク減衰部43が構成されている。各刃部52による各被切断部22の切断前には、このアーク減衰部43の一部が凹部61に入り込んでいる。
【0076】
上記以外の構成は第1実施形態と同様である。そのため、第1実施形態で説明したものと同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
上記構成の第2実施形態では、切断部材50が両消弧室32側へ移動させられると、壁部からなるアーク減衰部43が、隣り合う刃部52間の凹部61にさらに入り込む。
【0077】
各被切断部22が、対応する刃部52によって押圧され、消弧室32において切断される。この切断に伴い、各被切断部22には、互いに離間した状態の一対の切断端23,24が生ずる。各導電体20は、両切断端23,24間で分断された状態となる。また、一方の被切断部22の両切断端23,24と、他方の被切断部22の両切断端23,24との間に上記アーク減衰部43が位置する。
【0078】
アークは、一方の被切断部22における切断端23,24から、他方の被切断部22における切断端23,24に向け、電気絶縁性を有するアーク減衰部43の外壁面に沿って流れようとする。アークが流れる経路は、アーク減衰部43が隣り合う刃部52間に入り込んでいないものよりも長くなる。
【0079】
従って、第2実施形態によると、上記(1),(2)と同様の効果が得られるほか、上記(3)に代えて次の効果が得られる。
(5)アーク減衰部43を、隣り合う消弧室32間から突出して、隣り合う刃部52間の凹部61に入り込む壁部によって構成している。
【0080】
そのため、アーク減衰部43によって、アークの流れる経路を長くすることができ、アークを減衰させることができる。
(第3実施形態)
次に、導通遮断装置を具体化した第3実施形態について、
図9及び
図10を参照して説明する。
【0081】
各刃部52の消弧室32に最も近い外壁面が第3外壁面57によって構成されている点については既述した通りである。第1実施形態では、各第3外壁面57が、切断前の被切断部22に対し平行な面によって構成された(
図6(a))が、第3実施形態では、隣の刃部52から離れるほど消弧室32から遠ざかるように傾斜する傾斜面により構成されている。このことから、一方の刃部52における第3外壁面57と、他方の刃部52における第3外壁面57とでは、傾斜の方向が逆になっている。
【0082】
上記以外の構成は第1実施形態と同様である。そのため、第1実施形態で説明したものと同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
上記構成の第3実施形態では、切断部材50が両消弧室32側へ移動させられると、各被切断部22を、傾斜した第3外壁面57が押圧する。切断前の被切断部22は傾斜していないのに両第3外壁面57が上記のように傾斜していることから、各被切断部22が第3外壁面57によって押圧される箇所は、切断部材50の移動に伴い、隣の被切断部22に近い箇所から遠い箇所に向けて変化する。これに伴い、隣り合う一対の被切断部22は、各刃部52の第3外壁面57により、矢印Y1,Y2で示すように、隣の被切断部22に近い箇所から遠い箇所に向けて切断されていく。表現を変えると、各被切断部22は、幅方向においてアーク減衰部60に近い箇所から切断を開始する。その切断は、アーク減衰部60から遠ざかる側へ進んでいく。この切断は、隣り合う被切断部22が、傾斜した第3外壁面57に沿って捻られながら行なわれる。そして、両被切断部22のうち、隣の被切断部22から最も遠い箇所が切断されることで、各被切断部22が分断され、互いに離間した状態の一対の切断端23,24が生ずる。各切断端23,24は、各刃部52の傾斜した第3外壁面57に沿って傾斜した状態となる。
【0083】
この場合、隣り合う被切断部22間でのアークは、一方(
図10の左方)の被切断部22における切断端23,24のうち、隣の被切断部22から最も遠い箇所A1と、他方(
図10の右方)の被切断部22における切断端23,24のうち、隣の被切断部22から最も遠い箇所A2との間で発生する。
【0084】
ちなみに、切断端23,24が上記のように傾斜していない場合には、アークは、一方の被切断部22における切断端23,24のうち、隣の被切断部22に最も近い箇所B1と、他方の被切断部22における切断端23,24のうち、隣の被切断部22に最も近い箇所B2との間で発生する。
【0085】
そのため、アークが流れる経路は、切断端23,24が傾斜していない場合(第1実施形態がこれに該当する)よりも、一対の被切断部22の幅の総和分だけ長くなる。
従って、第3実施形態によると、上記(1)〜(4)に加え、次の効果が得られる。
【0086】
(6)各刃部52のうち、消弧室32に最も近い外壁面である第3外壁面57を、隣の刃部52から離れるほど消弧室32から遠ざかるように傾斜する傾斜面により構成している。
【0087】
そのため、アークが流れる経路を、各第3外壁面57が傾斜していない(切断前の被切断部22に対し平行である)場合よりも長くして、アークをより一層減衰させることができる。
【0088】
なお、上記各実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。
・第3実施形態におけるように第3外壁面57が傾斜する構成は、第2実施形態にも適用可能である。
【0089】
・
図11に示すように、隣り合う被切断部22が、同一平面上において、幅方向に並べられた状態で配置される導通遮断装置Cにおいて、切断部材50における隣り合う刃部52が、その切断部材50の移動方向(
図11の上下方向)に沿ってずらされて配置されてもよい。
【0090】
このようにすると、全ての導電体20に通電された状態で、ガスにより、切断部材50が消弧室32(図示略)側へ移動させられると、まず、消弧室32に近い側(
図11の左側)の刃部52のみによって一方の被切断部22が押圧され、同被切断部22が消弧室32において切断される。上記切断に遅れて、未だ切断されていない他方の被切断部22が、消弧室32から遠い側(
図11の右側)の刃部52によって押圧され、同被切断部22が消弧室32において切断される。このように、隣り合う被切断部22が異なるタイミングで押圧及び切断される。そのため、隣り合う被切断部22が同時に切断される場合よりも小さな荷重で、両被切断部22を切断することができる。
【0091】
上記の構成は、第1実施形態にとどまらず、第2及び第3の各実施形態において採用されてもよい。また、上記の構成は、上述した第2実施形態と第3実施形態とを組合わせた実施形態において採用されてもよい。
【0092】
・上記各実施形態において、アーク減衰部60が、両刃部52よりも被切断部22側へ多く突出されずに、被切断部22の長さ方向にのみ多く突出されてもよい。
これとは逆に、アーク減衰部60が、両刃部52よりも被切断部22の長さ方向へ多く突出されずに、被切断部22側にのみ多く突出されてもよい。
【0093】
・アーク減衰部60が両刃部52よりも被切断部22の長さ方向へ多く突出される場合、刃部52の同方向の中央部を基準として、少なくとも切断端23,24に向かう側へ突出されればよい。
【0094】
従って、アーク減衰部60は、上記各実施形態のように、被切断部22の長さ方向の両側へ両刃部52よりも多く突出されてもよいが、刃部52の同方向の中央部を基準として、切断端23,24に向かう側へのみ両刃部52よりも多く突出されてもよい。
【0095】
・第1及び第3実施形態において、アーク減衰部60は、両刃部52間であることを条件に、少なくとも一方の刃部52から離れていてもよい。
・上記各実施形態では、ケース30及び切断部材50を形成する材料として、樹脂材料を用いることができるが、そのほかにも被切断部22を切断し得る程度に強度の高い材料であって、かつ適度な電気絶縁性を有する材料であることを条件に、任意の材料を採用することができる。
【0096】
また、上記各実施形態では、ケース30及び切断部材50を形成する手法としては、金型成形を用いて形成する手法、切削加工により形成する手法等、任意の手法を採用することができる。
【0097】
・上記導通遮断装置Cは、3以上の導電体20の各被切断部22を、単一の切断部材50によって切断して導通を遮断するようにした導通遮断装置Cにも適用可能である。この場合には、被切断部22と同数の刃部52を有する切断部材50が用いられる。
【0098】
・上記導通遮断装置Cは、蓄電池12とコンバータ14との間に設けられるものに限らず、電気回路を構成する機器間に設けられて、それら機器間の導通を遮断する装置であれば適用することができる。そうした装置としては、例えば燃料電池車両において燃料電池と車両走行用モータとの間に設けられる導通遮断装置や、据置式のシステムの電源と電気機器との間に設けられる導通遮断装置、据置式のシステムの電気機器間に設けられる導通遮断装置等を挙げることができる。