(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照して、内容物封入パウチ1の構成について説明する。なお、
図1、
図2、および
図5〜
図10に示されるドットは、パウチ10のシール部を示している。
内容物封入パウチ1は、パウチ10および内容物200を有する。パウチ10は、スタンディングパウチとしての形態を有する。パウチ10は、第2開口部61(
図2参照)にシール加工が施されている。内容物200は、液体調味料である。
【0012】
図2を参照して、パウチ10の構成について説明する。
パウチ10は、袋20およびファスナー100を有する。パウチ10は、第2開口部61が形成された部分を除く縁の全部がシールされている。
【0013】
袋20は、主袋部30、副袋部70、シール部80、および切断補助部90を有する。袋20は、積層シートにより形成される。積層シートは、最外層、中間層、および最内層を有する。最外層は、ポリエチレンテレフタレート層により構成される。最内層は、無延伸ポリプロピレン層により構成される。中間層は、印刷層、第1接着層、延伸ナイロン層、および第2接着層により構成される。印刷層は、最外層の内側に形成される。第1接着層は、印刷層の内側に形成される。延伸ナイロン層は、第1接着層の内側に形成される。第2接着層は、延伸ナイロン層の内側に形成される。最内層は、第2接着層の内側に形成される。印刷層は、外面に絵柄および商品の説明等を有する。
【0014】
袋20は、第1角部21、第2角部22、第3角部23、第4角部24、第1側方縁25、第2側方縁26、上縁27、下縁28、および内部空間29を有する。
第1側方縁25は、袋20における第1角部21から第3角部23までの縁を形成している。第2側方縁26は、袋20における第2角部22から第4角部24までの縁を形成している。上縁27は、袋20において第1角部21から第2角部22までの縁を形成している。下縁28は、袋20において第3角部23から第4角部24までの縁を形成している。
【0015】
第1側方縁25および上縁27は、第1角部21において互いに連続している。第1側方縁25および下縁28は、第3角部23において互いに連続している。第2側方縁26および上縁27は、第2角部22において互いに連続している。第2側方縁26および下縁28は、第4角部24において互いに連続している。
【0016】
主袋部30は、袋本体部40、底ガゼット50、および突出部60を有する。
袋本体部40は、第1側方部41、第2側方部42、および第1開口部43を有する。
第1側方部41は、図中の二点鎖線で示している境界線XAよりも内部空間29側の部分を示している。第2側方部42は、第2側方縁26を含む部分を示している。
【0017】
第1開口部43は、ファスナー100を含む主袋部30の上縁に形成されている。第1開口部43は、袋20が主袋部30と副袋部70とに分離している状態において、内容物を内部空間29に収容する機能を有する。
【0018】
底ガゼット50は、袋本体部40を支持する。図中の二点鎖線XBは、底ガゼット50と袋本体部40との境界線を示している。
突出部60は、第1側方部41から幅方向の外方に突出する形状を有する。突出部60は、第2開口部61を含んで形成されている。
【0019】
第2開口部61は、第1側方部41から幅方向の外方に突出する形状を有する。第2開口部61は、内容物を内部空間29に収容する機能を有する。
副袋部70は、切断補助部90を介して主袋部30と連続して形成されている。
【0020】
シール部80は、熱溶着により形成される。シール部80は、第1側方シール部81、第2側方シール部82、上方シール部83、下方シール部84、および易開封シール部85を有する。
【0021】
第1側方シール部81は、袋20において第1側方縁25を含む所定範囲の部分をシールしている。第1側方シール部81は、側方シール上部81Aおよび側方シール下部81Bを有する。側方シール上部81Aおよび側方シール下部81Bは、第2開口部61により互いに分断されている。
【0022】
側方シール上部81Aは、袋20において第1角部21から第2開口部61までの範囲をシールしている。
側方シール下部81Bは、第2開口部61において、袋本体部40と底ガゼット50との境界部分をシールしている。
【0023】
第2側方シール部82は、袋20において第2側方縁26を含む所定範囲の部分をシールする。上方シール部83は、上縁27を含む所定範囲の部分をシールする。
上方シール部83は、上縁27に形成されている。上方シール部83は、ファスナー100を密封している。下方シール部84は、下縁28を含む底ガゼット50の所定範囲の部分をシールしている。易開封シール部85は、袋本体部40を形成する二枚のシートをシールしている。易開封シール部85は、イージーピール性を有する。易開封シール部85は、第1開口部43を密封する。易開封シール部85は、ファスナー100に対して内部空間29側に位置している。
【0024】
切断補助部90は、袋20を主袋部30と副袋部70とに互いに分離する部分として機能する。切断補助部90は、ノッチ91およびガイド線92を有する。ノッチ91は、袋20を主袋部30と副袋部70とに分離するためのきっかけの部分として機能する。ノッチ91は、第1側方縁25および第2側方縁26に形成されている。ガイド線92は、袋20を主袋部30と副袋部70とに互いに分離することを補助する機能を有する。ガイド線92は、袋20を構成するフィルムに対してレーザーによるハーフカット加工が施されることにより形成されている。
【0025】
ファスナー100は、第1開口部43を開封および密封する機能を有する。ファスナー100は、第1ファスナー端部101、第2ファスナー端部102、高嵌合強度部110、および低嵌合強度部120を有する。ファスナー100は、ファスナー長さLAを有する。ファスナー長さLAは、第1ファスナー端部101から第2ファスナー端部102までの長さを示している。
【0026】
第1ファスナー端部101は、側方シール上部81Aの内縁に位置している。第2ファスナー端部102は、第2側方シール部82の内縁に位置している。
高嵌合強度部110は、第1ファスナー端部101から低嵌合強度部120の第1低嵌合端部120Aまでの部分を示している。高嵌合強度部110は、第2ファスナー端部102から低嵌合強度部120の第2低嵌合端部120Bまでの部分を示している。
【0027】
高嵌合強度部110は、第1高嵌合強度部長さLBおよび第2高嵌合強度部長さLCを有する。第1高嵌合強度部長さLBは、第1ファスナー端部101から第1低嵌合端部120Aまでの長さを示している。第2高嵌合強度部長さLCは、第2ファスナー端部102から第2低嵌合端部120Bまでの長さを示している。第1高嵌合強度部長さLBと第2高嵌合強度部長さLCとは等しい。
【0028】
低嵌合強度部120は、低嵌合強度部長さLDを有する。低嵌合強度部長さLDは、第1低嵌合端部120Aから第2低嵌合端部120Bまでの長さを示している。低嵌合強度部長さLDは、ファスナー長さLAの20%の長さを有する。
【0029】
図3を参照して、高嵌合強度部110の構成について説明する。なお、
図3においては、易開封シール部85の図示を省略している。
高嵌合強度部110は、雌型基材111、通常雌型112、雄型基材115、および通常雄型116を有する。
【0030】
雌型基材111は、袋20を形成するシートに熱溶着される。雌型基材111は、通常雌型112を支持する機能を有する。
通常雌型112は、椀型形状を有する。通常雌型112は、雌型基材111と一体的に形成されている。通常雌型112は、開封側通常爪113および内容物側通常爪114を有する。開封側通常爪113は、雌型基材111側に屈曲する形状を有する。開封側通常爪113は、内容物側通常爪114よりも袋20の開封側に位置している。
【0031】
内容物側通常爪114は、雌型基材111側に屈曲する形状を有する。内容物側通常爪114は、内容物側通常爪113よりも袋20の内部空間29側に位置している。内容物側通常爪114と開封側通常爪113とは、通常距離LEを有する。通常距離LEは、通常雌型112に対して通常雄型116が嵌合している状態における内容物側通常爪114と開封側通常爪113との距離を示している。
【0032】
雄型基材115は、袋20を形成するシートに熱溶着される。雄型基材115は、通常雄型116を支持する機能を有する。
通常雄型116は、矢尻型形状を有する。通常雄型116は、雄型基材115と一体的に形成されている。通常雄型116は、通常支持部117および通常先端部118を有する。通常支持部117は、雄型基材115と連続して形成される。通常支持部117は、雄型基材115から雌型基材111に向けて突出する形状を有する。通常支持部117は、基端境界部117Aおよび先端境界部117Bを有する。基端境界部117Aは、通常支持部117と雄型基材115との境界部分を示している。先端境界部117Bは、通常支持部117と通常先端部118との境界部分を示している。通常支持部117は、通常支持部長さLFを有する。通常支持部長さLFは、基端境界部117Aと先端境界部117Bとの距離を示している。
【0033】
通常先端部118は、通常支持部117と連続して形成されている。通常先端部118は、開封側通常爪118Aおよび内容物側通常爪118Bを有する。開封側通常爪118Aは、通常雌型112の開封側通常爪113と嵌合する形状を有する。内容物側通常爪118Bは、通常雌型112の内容物側通常爪114と嵌合する形状を有する。内容物側通常爪118Bと内容物側通常爪114との嵌合強度は、開封側通常爪118Aと開封側通常爪113との嵌合強度よりも大きい。このため、ファスナー100は、内部空間側よりも開封側のほうから開封しやすい構造を有する。
【0034】
図4を参照して、低嵌合強度部120の構成について説明する。なお、
図4においては、易開封シール部85の図示を省略している。
低嵌合強度部120は、高嵌合強度部110の0%の嵌合強度を有する。低嵌合強度部120は、高嵌合強度部110と同様の構成のファスナー100を、所定の圧力、所定の時間、および所定の温度の条件の下、押しつぶすことにより形成されている。低嵌合強度部120は、雌型基材121、変形雌型122、雄型基材125、および変形雄型126を有する。
【0035】
雌型基材121は、袋20を形成するシートに熱溶着される。雌型基材121は、変形雌型122を支持する機能を有する。
変形雌型122は、椀型形状を有する。変形雌型122は、雌型基材121と一体的に形成されている。変形雌型122は、開封側変形爪123および内容物側変形爪124を有する。開封側変形爪123は、雌型基材121側に屈曲する形状を有する。開封側変形爪123は、内容物側変形爪124よりも袋20の開封側に位置している。
【0036】
内容物側変形爪124は、雌型基材121側に屈曲する形状を有する。内容物側変形爪124は、内容物側変形爪124よりも袋20の内部空間29側に位置している。内容物側変形爪124と開封側変形爪123とは、変形距離LGを有する。変形距離LGは、内容物側変形爪124と開封側変形爪123との距離を示している。変形距離LGは、
図3に示している通常距離LEよりも大きい。
【0037】
雄型基材125は、袋20を形成するシートに熱溶着される。雄型基材125は、変形雄型126を支持する機能を有する。
変形雄型126は、矢尻型形状を有する。変形雄型126は、雄型基材125と一体的に形成されている。変形雄型126は、変形支持部127および変形先端部128を有する。変形支持部127は、雄型基材125と連続して形成されている。変形支持部127は、雄型基材125から雌型基材121に向けて突出する形状を有する。変形支持部127は、基端境界部127Aおよび先端境界部127Bを有する。基端境界部127Aは、変形支持部127と雄型基材125との境界部分を示している。先端境界部127Bは、変形支持部127と変形先端部128との境界部分を示している。変形支持部127は、変形支持部長さLHを有する。変形支持部長さLHは、基端境界部127Aと先端境界部127Bとの距離を示している。変形支持部長さLHは、
図3に示している通常支持部長さLFよりも短い。
【0038】
変形先端部128は、変形支持部127と連続して形成されている。変形先端部128は、開封側変形爪128Aおよび内容物側変形爪128Bを有する。開封側変形爪128Aは、変形雌型122の開封側変形爪123と嵌合する形状を有する。開封側変形爪128Aと開封側変形爪123とは、0%の嵌合強度を有する。内容物側変形爪128Bは、変形雌型122の内容物側変形爪124と嵌合する形状を有する。内容物側変形爪128Bと内容物側変形爪124とは、0%との嵌合強度を有する。
【0039】
図5および
図6を参照して、内容物封入パウチ1の製造工程について説明する。
内容物封入パウチ1の製造工程は、第1工程、第2工程(
図5(a))、第3工程(
図5(b))、第4工程(
図5(c))、第5工程(
図6(a))、第6工程(
図6(b))、および第7工程(
図6(c))を含む。
【0040】
第1工程においては、パウチ10が製造される。
第2工程においては、パウチ10の第1角部21の周辺および第3角部23の周辺がそれぞれ充填機300のチャック310によりチャッキングされる。
【0041】
パウチ10は、
図5(a)に示される状態で、充填ラインに搬送される。所定の充填ライン位置において、第2開口部61は吸盤(図示略)により開封される。
第3工程においては、
図5(b)に示されるように、第2開口部61にノズル320が挿入される。ノズル320は、内部空間29に内容物200を充填する。
【0042】
第4工程においては、
図5(c)に示されるように、内部空間29に所定量の内容物200が充填されることにより充填が終了する。内部空間29への内容物200の充填が終了した後、ノズル320は第2開口部61から抜かれる。
【0043】
第5工程においては、
図6(a)に示されるように、パウチ10の第1角部21の周辺および第3角部23の周辺がそれぞれ充填機300のチャック310によりチャッキングされたままパウチ10がシール加工ラインに搬送される。
【0044】
第6工程においては、
図6(b)に示されるように、所定のシール加工ライン位置において、シール装置400は、第2開口部61を挟みこむ。これにより、第2開口部61にシール加工が施される。
【0045】
第7工程においては、シール加工の終了後、
図6(c)に示されるように、シール装置400は、第2開口部61を挟み込みこんだ状態を解除する。その後、シール装置400は、内容物封入パウチ1から離間する。
【0046】
図7〜
図10を参照して、内容物封入パウチ1の使用方法について説明する。
図7に示されるように、袋20は、ノッチ91を始点として、ガイド線92に沿って切り取られることにより、主袋部30と副袋部70とに分離した状態(以下、「分離状態」)となる。袋20は、分離状態において、高嵌合強度部110の嵌合状態を解除することにより、ファスナー100が開封する。これにより、第1開口部43が開封する。また、このとき易開封シール部85も剥離する。
【0047】
図8に示されるように、使用者は、第1開口部43が開口した状態において、内部空間29に具材500を投入する。具材500としては、肉、野菜等が使用者により適宜選択される。
【0048】
図9に示されるように、パウチ10は、内部空間29に内容物200および具材500が投入された状態で、ファスナー100が再封される。パウチ10は、ファスナー100が再封された後、電子レンジで加熱される。内容物封入パウチ1は、加熱されることにより、内部空間29で蒸気が発生する。このため、内容物封入パウチ1は、内部空間29の圧力、すなわち内圧が上昇する。内容物封入パウチ1の内圧が上昇することにともない、内容物封入パウチ1には、互いに対向してパウチ10の内部空間29を形成するシートを離間させようとする力が作用する。また、内容物封入パウチ1の内圧が上昇することにともない、内容物封入パウチ1には、高嵌合強度部110の嵌合状態を解除させようとする力(以下、「嵌合解除力」)が作用する。
【0049】
なお、内容物封入パウチ1を電子レンジで加熱することにより、内部空間29で発生した蒸気は、僅かながら低嵌合強度部120を介して外部へと排出される。しかし、低嵌合強度部120を介して外部へと排出される蒸気の排出速度は、内部空間29で発生する蒸気の発生速度と比較して極めて小さい。このため、内部空間29の圧力が上昇する。
【0050】
図10に示されるように、内容物封入パウチ1は、嵌合解除力が高嵌合強度部110の嵌合強度を上回る前に、低嵌合強度部120が開封する。これにより、低嵌合強度部120を介して外部へと排出される蒸気の排出速度が、内部空間29で発生する蒸気の発生速度を上回る。このため、内容物封入パウチ1の内圧の上昇が穏やかになり、やがて内圧の上昇は停止する。なお、低嵌合強度部120の開封をきっかけとして、高嵌合強度部110の一部の嵌合状態が解除される。
【0051】
図11を参照して、高嵌合強度部の嵌合強度に対する低嵌合強度部の嵌合強度の比率(以下、「強度比率」)を変化させたときの、ファスナー100の開封態様について検証した実験結果について説明する。
【0052】
本実験は、ファスナー長さが150mmのファスナーの中央部分に低嵌合強度部を形成することにより行われた。本実験の高嵌合強度部は、38N/20mmの嵌合強度を有する。高嵌合強度部は、ファスナーのうちの低嵌合強度部が形成されていない部分を示している。低嵌合強度部は、ファスナーの中央部分が、所定の圧力、所定の時間、および所定の温度の条件の下、押しつぶされることにより形成されている。低嵌合強度部長さは、20mmを有する。
【0053】
強度比率が100%、すなわち、ファスナーに低嵌合強度部が形成されていないとき、加熱にともなう内容物封入パウチの内圧の上昇により、ファスナーは大きな音とともに開封した。
【0054】
強度比率が95%のとき、加熱にともなう内容物封入パウチの内圧の上昇により、ファスナーは大きな音とともに開封した。
強度比率が70%、80%、および90%のとき、加熱にともなう内容物封入パウチの内圧の上昇によるファスナーの開封時の音は、強度比率が95%および100%のときと比較して若干小さくなった。
【0055】
強度比率が0%、30%、および50%のとき、加熱にともなう内容物封入パウチの内圧の上昇によるファスナーの開封時の音は、強度比率が70%、80%、90%、95%、および100%のときと比較して小さくなった。
【0056】
以上の結果、強度比率を90%以下にすることにより、ファスナーの開封時の音の大きさの低減に関して効果が見出された。特に、強度比率を50%以下とすることにより、ファスナーの開封時の音の大きさの低減について顕著な効果が見出された。
【0057】
図12を参照して、ファスナー長さに対する低嵌合強度部長さの割合(以下、「強度部長さ割合」)を変化させたときの、ファスナー100の開封態様について検証した実験結果について説明する。
【0058】
本実験は、ファスナー長さが150mmのファスナーの中央部分に低嵌合強度部を形成することにより行われた。高嵌合強度部は、ファスナーのうちの低嵌合強度部が形成されていない部分を示している。低嵌合強度部は、ファスナーの中央部分が、所定の圧力、所定の時間、および所定の温度の条件の下、押しつぶされることにより形成されている。低嵌合強度部は、0N/20mmの嵌合強度を有する。
【0059】
強度部長さ割合が0%、すなわち、ファスナーに低嵌合強度部が形成されていないとき、加熱にともなう内容物封入パウチの内圧の上昇により、ファスナーは大きな音とともに開封した。
【0060】
強度部長さ割合が5%のとき、加熱にともなう内容物封入パウチの内圧の上昇によるファスナーの開封時の音は、強度部長さ割合が0%のときと比較して若干小さくなった。
強度部長さ割合が10%、20%、および50%のとき、加熱にともなう内容物封入パウチの内圧の上昇によるファスナーの開封時の音は、強度部長さ割合が0%および5%のときと比較して小さくなった。
【0061】
強度部長さ割合が70%のとき、加熱にともなう内容物封入パウチの内圧の上昇によるファスナーの開封時の音は、強度部長さ割合が0%、5%、10%、20%、および50%のときと比較して小さくなった。しかし、強度部長さ割合が70%のとき、ファスナーによるパウチの密封性が低下した。
【0062】
強度部長さ割合が80%のとき、加熱にともなう内容物封入パウチの内圧の上昇によるファスナーの開封時の音は、強度部長さ割合が0%、5%、10%、20%、50%、および70%のときと比較して小さくなった。しかし、強度部長さ割合が80%のとき、ファスナーによるパウチの密封性が強度部長さ70%のときと比較してさらに低下した。
【0063】
以上の結果、強度部長さ割合を5%以上にすることにより、ファスナーの開封時の音の大きさの低減に関して効果が見出された。特に、強度部長さ割合を5%以上〜70%以下とすることにより、ファスナーによるパウチの密封性の低下を抑制し、かつファスナーの開封時の音の大きさの低減について効果が見出された。
【0064】
パウチ10は以下の効果を奏する。
(1)パウチ10は、ファスナー100を有する。ファスナー100は、高嵌合強度部110および低嵌合強度部120を有する。このため、パウチ10を用いた内容物封入パウチ1を加熱したとき、内圧の上昇にともない上昇する嵌合解除力が、高嵌合強度部110の嵌合強度よりも先に低嵌合強度部120の嵌合強度に達する。このため、低嵌合強度部120の嵌合状態が高嵌合強度部110の嵌合状態よりも先に解除される。これにより、嵌合解除力が、高嵌合強度部110の嵌合強度に達する前に、内部空間29で発生した蒸気を外部へと排出できる。このため、内圧の上昇にともなうパウチ10の開封時に発生する音を小さくできる。
【0065】
(2)パウチ10は、第1開口部43に加えて、第2開口部61を有する。このため、内容物封入パウチ1の製造過程において、第2開口部61からパウチ10の内部空間29に内容物200をいれることができる。このため、内容物封入パウチ1の製造過程においてファスナー100に内容物が付着するおそれが低減される。
【0066】
(3)パウチ10は、袋20を有する。袋20は、袋本体部40、底ガゼット50、および突出部60を有する。突出部60は、第2開口部61を有する。第2開口部61は、袋本体部40から袋20の外方に向けて突出した形状を有する。このため、内容物封入パウチ1の製造過程において第2開口部61をシールするとき、パウチ10をチャッキングするチャック310がシール装置400の移動軌跡上に位置しない状態を形成できる。このため、第2開口部61のシール加工が容易になる。
【0067】
(4)パウチ10は、易開封シール部85を有する。易開封シール部85は、第1開口部43を密封する。易開封シール部85は、ファスナー100に対して内部空間29側に位置している。このため、第2開口部61から袋20の内部空間29に内容物200をいれるときに、内容物200がファスナー100に付着するおそれが低減される。
【0068】
本パウチおよび本内容物封入パウチは、上記実施形態とは別の実施形態を含む。以下、その他の実施形態としての上記実施形態の変形例を示している。なお、以下の各変形例は、互いに組み合わせることもできる。
【0069】
・実施形態のファスナー100は、単一の低嵌合強度部120を有する。ただし、ファスナー100の構成は実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例のファスナー100は、複数の低嵌合強度部120を有する。
【0070】
・実施形態のファスナー100の低嵌合強度部長さLDは、ファスナー長さLAの20%の長さを有する。ただし、低嵌合強度部長さLDは実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の低嵌合強度部長さLDは、ファスナー長さLAの5%以上〜70%以下の範囲から適宜選択される。
【0071】
・実施形態の第1高嵌合強度部長さLBと第2高嵌合強度部長さLCとは等しい。ただし、第1高嵌合強度部長さLBと第2高嵌合強度部長さLCとの関係は実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の第1高嵌合強度部長さは、第2高嵌合強度部長さと異なる。要するに、第1高嵌合強度部長さおよび第2高嵌合強度部長さは、適宜変更することができる。
【0072】
・実施形態の低嵌合強度部120は、高嵌合強度部110の嵌合強度の0%の嵌合強度を有する。ただし、低嵌合強度部120の嵌合強度は実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の低嵌合強度部120の嵌合強度は、高嵌合強度部110の嵌合強度の0%以上〜90%以下の範囲から適宜選択される。
【0073】
・実施形態の低嵌合強度部120は、高嵌合強度部110と同様の構成のファスナー100を、所定の圧力、所定の時間、および所定の温度の条件の下、押しつぶすことにより形成される。ただし、低嵌合強度部120の構成は実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の低嵌合強度部120は、高嵌合強度部110よりも嵌合強度の低いファスナーが別途挿入されることにより形成される。
【0074】
・実施形態の低嵌合強度部120は、変形雌型122を有する。変形雌型122は、開封側変形爪123および内容物側変形爪124を有する。ただし、変形雌型122の構成は実施形態に例示された内容に限定されない。例えば、変形例の変形雌型122は、開封側変形爪123および内容物側変形爪124の少なくとも一方を有さない。
【0075】
・実施形態の低嵌合強度部120は、変形雄型126を有する。変形雄型126は、開封側変形爪128Aおよび内容物側変形爪128Bを有する。ただし、変形雄型126の構成は実施形態に例示された内容に限定されない。例えば、変形例の変形雄型126は、開封側変形爪128Aおよび内容物側変形爪128Bの少なくとも一方を有さない。
【0076】
・実施形態のパウチ10は、上方シール部83、易開封シール部85、突出部60、および第2開口部61を有する。ただし、パウチ10の構成は実施形態に例示された内容に限定されない。例えば、変形例のパウチ10は、上方シール部83、易開封シール部85、突出部60、および第2開口部61の少なくとも一つを有さない。
【0077】
・実施形態のパウチ10は、スタンディングパウチとしての形態を有する。ただし、パパうち10の形態は実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例のパウチ10は、平型パウチ等、パウチとしての様々な形態をとり得る。
【0078】
・実施形態の内容物封入パウチ1は、内容物200を有する。内容物200は、液体調味料が選択される。ただし、選択される内容物200の種類は実施形態に例示された内容に限定されない。例えば、変形例の内容物封入パウチ1が有する内容物200は、医療具や哺乳瓶等の殺菌消毒された物品が選択される。