(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ホルダ固定部は、被検者の頭部において、前記ループ形状の上部が前記ホルダ部の上端部と同じ高さまたは前記ホルダ部の上端部よりも頭頂側に配置され、前記ループ形状の下部が後頭部の下部側に配置されるように形成されている、請求項1に記載の脳機能計測装置用プローブホルダ。
前記ホルダ固定部は、前記連結部を介して前記ホルダ部と接続される固定部材と、前記固定部材と接続されて前記ループ形状の一部を構成し、長さ調節可能に構成された第1調節部とを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の脳機能計測装置用プローブホルダ。
前記連結部は、被検者の左右の側頭部側にそれぞれ設けられており、各側頭部側において、前記ホルダ部の上端部および下端部をそれぞれ前記ホルダ固定部に連結するように一対ずつ設けられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の脳機能計測装置用プローブホルダ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のヘッドバンド状のプローブホルダでは、被検者の頭部の大きさの個人差や、頭部形状の個人差による装着部位(頭部との接触部位)の相違などによって、頭部にフィットさせて安定して固定できない場合があるという問題点がある。その場合、計測の際にプローブホルダの固定に時間を要したり、プローブホルダが計測中にずれ易くなり、脳機能の計測結果にばらつきが生じたりすることになる。このため、被験者の頭部により安定して固定可能なプローブホルダが望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、より安定して被験者の頭部に固定可能なプローブホルダおよびそのようなプローブホルダを備えた脳機能計測装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における脳機能計測装置用プローブホルダは、脳機能計測装置の計測プローブを取り付けるためのプローブ取付部を含み、被検者の前頭部側に配置され、被検者の頭部形状に応じて変形可能なホルダ部と、被検者の後頭部側に配置され、後頭部の中央部が嵌るようにループ形状に形成されたホルダ固定部と、前頭部側のホルダ部と後頭部側のホルダ固定部とを連結する連結部とを備える。
【0008】
この発明の第1の局面による脳機能計測装置用プローブホルダでは、上記のように、被検者の後頭部側に配置され、後頭部の中央部が嵌るようにループ形状に形成されたホルダ固定部を設けることによって、ホルダ固定部によって被験者の後頭部側にループ状の接触面を形成することができる。この結果、後頭部にベルトを架け渡すだけの帯状の接触面が形成される場合と異なり、前頭部側のホルダ部を後頭部の中央部が嵌り込むループ状(環状)の接触面によって後頭部側から安定して支持することができる。また、丸みを帯びた後頭部の中央部をループ形状の内側に嵌め込むようにしてホルダ固定部を装着することができるので、従来構造と比較して、頭部形状の個人差があってもホルダ固定部を頭部によりフィットさせることができる。これらの結果、前頭側のホルダ部と後頭側のホルダ固定部とを、より被検者の頭部に密着させることができるので、プローブホルダをより安定して被験者の頭部に固定することができる。
【0009】
上記第1の局面による脳機能計測装置用プローブホルダにおいて、好ましくは、ホルダ固定部は、被検者の頭部において、ループ形状の上部がホルダ部の上端部と同じ高さまたはホルダ部の上端部よりも頭頂側に配置され、ループ形状の下部が後頭部の下部側に配置されるように形成されている。このように構成すれば、被験者の頭部における上下方向のより広い範囲にホルダ固定部を設けることができるので、ホルダ固定部をより安定して被験者の頭部に固定することができる。その結果、装着中にプローブホルダが頭部からずれることを効果的に抑制することができる。
【0010】
上記第1の局面による脳機能計測装置用プローブホルダにおいて、好ましくは、ホルダ固定部は、被検者の後頭部を取り囲むループ形状に形成されている。このように構成すれば、後頭部全体をループ形状の内側に嵌め込むようにしてホルダ固定部を装着することができるので、ホルダ固定部の装着時の安定性を更に向上させることができる。
【0011】
上記第1の局面による脳機能計測装置用プローブホルダにおいて、好ましくは、ホルダ固定部は、連結部を介してホルダ部と接続される固定部材と、固定部材と接続されてループ形状の一部を構成し、長さ調節可能に構成された第1調節部とを含む。このように構成すれば、ホルダ固定部のループ形状部分の長さを被検者の頭部形状に応じて調節することができるので、頭部形状の個人差があってもプローブホルダをより安定して被験者の頭部に固定することができる。
【0012】
上記第1の局面による脳機能計測装置用プローブホルダにおいて、好ましくは、連結部は、被検者の左右の側頭部側にそれぞれ設けられており、各側頭部側において、ホルダ部の上端部および下端部をそれぞれホルダ固定部に連結するように一対ずつ設けられている。このように構成すれば、ホルダ部の上端部と下端部とを連結部を介してそれぞれ後頭側のホルダ固定部によって支持することができる。その結果、ホルダ部を被検者の前頭部によりフィットさせて固定することができるので、プローブホルダ装着時におけるホルダ部(計測プローブ)の位置ずれが発生するのを効果的に抑制することができる。
【0013】
上記第1の局面による脳機能計測装置用プローブホルダにおいて、好ましくは、ホルダ固定部は、被検者の後頭部側から側頭部側に向かって延びる取付部を含み、連結部は、取付部とホルダ部とを連結している。このように構成すれば、後頭側から側頭部側に延びる取付部を前頭側のホルダ部と連結することができるので、連結部によるホルダ部とホルダ固定部との接続長さを小さくすることができる。ここで、ホルダ部とホルダ固定部とを頭部に固定するために連結部には引張力(すなわち、被験者の頭部を締め付ける力)が作用することになるため、接続長さ(連結部の長さ)が小さくなる結果、容易に大きな引張力を作用させることができるようになる。その結果、より適切に、ホルダ部とホルダ固定部とを頭部に密着させて固定することができる。
【0014】
上記第1の局面による脳機能計測装置用プローブホルダにおいて、好ましくは、連結部は、一端がホルダ固定部およびホルダ部の一方に固定され、他端側がホルダ固定部およびホルダ部の他方に接続された帯状部材であり、ホルダ固定部およびホルダ部の他方に設けられ、ホルダ固定部とホルダ部との間における連結部の接続長さを調節するための第2調節部をさらに備え、第2調節部は、連結部の他端が通過する通路部と、連結部が通路部において固定される状態と連結部が通路部において移動可能になる状態とに切り替える切替操作部とを含む。このように構成すれば、プローブホルダの装着時に、切替操作部を操作するだけで容易かつ簡便に連結部の接続長さを調節することができる。そして、被検者の頭部形状に個人差がある場合にも、適切な接続長さで連結されたホルダ部とホルダ固定部とにより、プローブホルダを頭部により安定して固定することができる。
【0015】
この発明の第2の局面における脳機能計測装置は、計測プローブを介して被検者の頭部に計測光を照射する光出力部と被検者の頭部を通過した計測光を計測プローブを介して受光する光検出部と、計測プローブを被検者の頭部に固定するためのプローブホルダとを備え、プローブホルダは、計測プローブを取り付けるためのプローブ取付部を含み、被検者の前頭部側に配置され、被検者の頭部形状に応じて変形可能なホルダ部と、被検者の後頭部側に配置され、後頭部の中央部が嵌るようにループ形状に形成されたホルダ固定部と、前頭部側のホルダ部と後頭部側のホルダ固定部とを連結する連結部とを備える。
【0016】
この発明の第2の局面による脳機能計測装置では、上記のように、被検者の後頭部側に配置され、後頭部の中央部が嵌るようにループ形状に形成されたホルダ固定部をプローブホルダに設けることによって、プローブホルダのホルダ固定部によって被験者の後頭部側にループ状の接触面を形成することができる。この結果、前頭部側のホルダ部を後頭部の中央部が嵌り込むループ状(環状)の接触面によって後頭部側から安定して支持することができる。また、丸みを帯びた後頭部の中央部をループ形状の内側に嵌め込むようにしてホルダ固定部を装着することができるので、頭部形状の個人差があってもホルダ固定部を頭部によりフィットさせることができる。これらの結果、前頭側のホルダ部と後頭側のホルダ固定部とを被検者頭部により密着させることができるので、プローブホルダをより安定して被験者の頭部に固定することができる。これにより、脳機能計測の際にプローブホルダの固定に時間を要したり、固定状態によって脳機能の計測結果にばらつきが生じたりすることを抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、上記のように、より安定して被験者の頭部に固定可能なプローブホルダおよびそのようなプローブホルダを備えた脳機能計測装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1〜
図6を参照して、本発明の一実施形態による脳機能計測装置100およびプローブホルダ3について説明する。本実施形態では、脳機能計測装置の一例として、計測光を被検者に照射して脳機能計測を行う光計測装置に本発明を適用した例について説明する。
【0021】
[脳機能計測装置の構成]
まず、
図1を参照して、脳機能計測装置100の全体構成について説明する。
【0022】
脳機能計測装置100は、本体部1と、本体部1に接続された複数の計測プローブ2(送光用プローブTPおよび受光用プローブRP)と、計測プローブ2を被検者の頭部90(
図2参照)に固定するためのプローブホルダ3とを備えている。本体部1は、計測プローブ2を介して被検者の頭部90に計測光を照射する光出力部11と、被検者の頭部90を通過した計測光を計測プローブ2を介して受光する光検出部12とを含む。光出力部11は、たとえば半導体レーザーを光源として備え、光ファイバケーブル4(以下、光ファイバ4という)を介して送光用プローブTPと接続されている。光検出部12は、たとえば光電子増倍管を検出器として備え、光ファイバ4を介して受光用プローブRPと接続されている。
【0023】
また、本体部1は、光出力部11および光検出部12の動作制御を行う計測制御部13と、各種プログラムを実行して脳機能計測装置100全体の計測動作制御を実行する本体制御部14と、本体制御部14が実行する各種プログラムや、計測の結果得られた計測データを記憶する主記憶部15とを含んでいる。また、脳機能計測装置100は、本体部1と接続された表示部16および操作入力部17を備えている。脳機能計測装置100は、接続可能な総プローブ数がN+M個であり、最大でN個の送光用プローブTPと、最大でM個の受光用プローブRPとを接続可能となっている。
【0024】
複数の計測プローブ2は、機能上、送光用プローブTPと受光用プローブRPとから構成されるが、構成(構造)上は、送光用プローブTPも受光用プローブRPも同様である。計測プローブ2は、内部に光ファイバ4が通る筒状の端子部であり、光ファイバ4の先端部が計測プローブ2の先端から露出するように構成されている。これにより、計測プローブ2は、先端部から被検者の頭部に計測光を照射したり、頭部内から出射された計測光を受光したりする。
【0025】
脳機能計測装置100は、近赤外分光法(NIRS)を用いて被検者の脳機能を光学的に計測し、時系列の計測結果データを生成する。具体的には、脳機能計測装置100は、計測光を被検者の頭部表面上のプローブホルダ3に取り付けた送光用プローブTPから照射する。そして、頭部内で反射した計測光をプローブホルダ3に取り付けた受光用プローブRPに入射させて検出することにより、計測光の強度(受光量)を取得する。
【0026】
脳機能計測装置100は、複数波長(たとえば、780nm、805nmおよび830nmの3波長)の計測光の強度(受光量)とヘモグロビンの吸光特性とに基づいて、酸素化ヘモグロビン、脱酸素化ヘモグロビンおよび総ヘモグロビンの変化量を計測する。これにより、脳機能計測装置100は、脳活動に伴う脳中血流変化を、ヘモグロビン量変化として非侵襲で計測する。
【0027】
このように、頭部表面上に配置される送光用プローブTPと受光用プローブRPとの間には、脳活動の計測点(計測チャンネル)が形成される。脳機能計測装置100は、複数の送光用プローブTPおよび複数の受光用プローブRPを用いて広い脳領域を複数の計測点(計測チャンネル)で計測することにより、脳のどの領域がどのように活動しているかの2次元分布を取得することが可能となっている。計測プローブ数当たりの計測チャンネル数を増大させるため、通常、プローブホルダ3には、送光用プローブTPと受光用プローブRPとが交互に並ぶマトリクス状(行列状)の配列になるように各計測プローブ2が取り付けられる。
【0028】
[プローブホルダの構成]
次に、本実施形態によるプローブホルダ3の構成について説明する。
【0029】
プローブホルダ3は、計測プローブ2(
図1参照)の固定用部材であり、
図2および
図3に示すように、脳機能計測の際に被検者の頭部90に装着されるように構成されている。プローブホルダ3によって、各計測プローブ2が被験者の頭部表面上の所定の計測位置にそれぞれ保持される。なお、プローブホルダ3についての説明は、被検者の頭部90への装着状態における位置を基準とする。したがって、上方向は、頭頂部(CZ)に向かう方向であり、左右方向は、正中から耳(側頭部)側に向かう方向である。下方向は、頸部側(胴体側)に向かう方向である。
【0030】
図2〜
図4に示すように、プローブホルダ3は、ホルダ部30と、ホルダ固定部40と、連結部50とを備える。ホルダ部30は、被検者の前頭部91側に配置される。ホルダ固定部40は、被検者の後頭部92側に配置される。連結部50は、被検者の左右の側頭部93側に配置され、前頭部91側のホルダ部30と後頭部92側のホルダ固定部40とを連結する。これにより、プローブホルダ3は、被検者の前頭部91、側頭部93および後頭部92を1周するように構成されており、周方向の締め付け(引張力)によって頭部90に固定される。
【0031】
図4に示すように、ホルダ部30は、脳機能計測装置100の計測プローブ2を取り付けるための複数のプローブ取付部31と、各プローブ取付部31同士を接続する接続部32とを含む。ホルダ部30は、プローブホルダ3において計測プローブ2(
図1参照)が取り付けられる部分である。
【0032】
各プローブ取付部31は、貫通孔が形成された筒状構造を有し、それぞれ1つの計測プローブ2を挿入させて保持可能に構成されている。複数のプローブ取付部31は、所定間隔を隔ててマトリクス状(行列状)に配列されている。本実施形態では、2行7列の合計14個のプローブ取付部31がホルダ部30に設けられている。各7個の送光用プローブTPおよび受光用プローブRPを各プローブ取付部31に交互に取り付ける場合、19点の計測チャンネルを構成することができる。なお、プローブ取付部31の配列はこれに限られない。プローブ取付部31は、たとえば2行以外の行数で配列してもよいし、7列以外の列数で配列してもよい。プローブ取付部31を行列状に配列しなくともよいが、上記の通り、計測プローブ数当たりの計測チャンネル数を増加させる観点では、行列状の配列が好ましい。
【0033】
接続部32は、プローブ取付部31同士を互いに接続する板状部材である。接続部32によって、各プローブ取付部31間の間隔が維持されるとともに各プローブ取付部31が相互に連結されている。接続部32は、曲げ変形可能な樹脂材料により構成されており、たとえばシート状(板状)のPP(ポリプロピレン)などからなる。これにより、ホルダ部30は全体として長方形状となっており、被検者の頭部形状に応じて変形可能なように構成されている。なお、接続部32は、伸張変形はほとんどせず、プローブ取付部31同士を所定間隔に保つように構成されている。
【0034】
本実施形態では、ホルダ部30は被検者の前頭部91のうち、前額部に配置されるように構成されている。プローブ取付部31の行数が多くなる場合、ホルダ部30は前額部からさらに頭頂CZ側に設けられることになる。
【0035】
ホルダ固定部40は、
図2に示すように、被検者の後頭部92側に配置され、後頭部92の中央部92a(
図5参照)が嵌るようにループ形状(環状形状)に形成されている。ホルダ固定部40は、プローブホルダ3において、被検者の後頭部92側からホルダ部30を支持する部分である。
【0036】
ホルダ固定部40は、連結部50を介してホルダ部30と接続される固定部材41と、固定部材41と接続されてループ形状の一部を構成し、長さ調節可能に構成された第1調節部42とを含む。
【0037】
図4に示すように、固定部材41は一対設けられており、後頭部92の左右両側に沿って上下方向に延びる(
図5参照)ように形成されている。固定部材41は、頭部形状に応じて曲げ変形可能な樹脂材料により構成されたシート状(板状)部材であり、たとえばシート状(板状)のPP(ポリプロピレン)などからなる。固定部材41は、使用時に作用する応力範囲では伸張変形はほとんどしないように構成されている。
【0038】
固定部材41は、
図3に示すように、装着時に被検者の耳の後方側(頭髪の生え際)に沿って下方(頸部側)に伸びる下側固定部41aと、耳の上側で被検者の後頭部92側から側頭部93側に向かって延びる取付部41bと、頭頂CZ側で後方(後ろ正中)に向けて伸びる上側固定部41cとを一体的に含んでいる。
【0039】
下側固定部41aは、下端位置が後頭部92の下部まで延びるように形成されている。すなわち、下側固定部41aは、後頭部92の中央部92a(
図5参照)と頸部との間の傾斜部分まで延びるように形成されている。なお、後頭部92の中央部92aは、後頭部のうち後頭結節に相当する位置とする。取付部41bは、上側固定部41cと下側固定部41aとの間に設けられている。取付部41bは、前頭部91側の先端が耳の上方位置(側頭部93)まで張り出すように形成されている。上側固定部41cは、取付部41bの上端部から後方(後ろ正中)に向けて張り出すように形成されている。
【0040】
図2に示すように、第1調節部42は、後頭部92において左右方向に延び、後頭部92を跨ぐようにして一対の固定部材41同士を接続している。第1調節部42は、
図4に示すように、歯付きストラップ43と、歯付きストラップ43の歯と係合するラチェット式のバックル44との組み合わせにより構成されている。歯付きストラップ43を挿入方向に送るたびにバックル44と噛み合う歯がずれることにより、挿入方向には歯付きストラップ43が移動可能で、抜き出し方向には歯付きストラップ43が移動不能となる。バックル44の解除レバー44aを操作することで歯付きストラップ43とバックル44との係合が解除され、歯付きストラップ43を抜き出し方向に移動させることができる。これにより、第1調節部42は、一対の固定部材41間の長さ調節が可能に構成されている。
【0041】
第1調節部42は、複数設けられており、以下では、それぞれ第1調節部42bおよび42bとして区別する。上側の第1調節部42aは、
図2に示すように、固定部材41の上側固定部41c同士を接続するように設けられている。下側の第1調節部42bは、一対の固定部材41の下側固定部41aの下端部同士を接続するように設けられている。すなわち、一対の固定部材41の上下の端部同士がそれぞれ第1調節部42aおよび42bによって接続されている。上側の第1調節部42aと下側の第1調節部42bとは、上下方向における第1調節部42aと第1調節部42bとの間に後頭部92の中央部92a(
図5参照)が位置するように配置されている。
【0042】
このように、本実施形態では、一対の固定部材41と、一対の第1調節部42(上側の第1調節部42aおよび下側の第1調節部42b)とによって、ホルダ固定部40が後頭部92の中央部92aが嵌るようにループ形状(環状形状)に形成されている。第1調節部42aおよび第1調節部42bの長さ調節によって、ホルダ固定部40のループ形状部分の長さを調節可能である。
【0043】
なお、本実施形態では、第1調節部42aおよび42bの間に、中間調節部45が設けられている。中間調節部45は、固定部材41の下側固定部41aの中間位置同士を接続するように設けられている。中間調節部45は、ループ形状の一部を構成しておらず、ループ形状部分の長さ調節には寄与しない。中間調節部45は、頭部90に対するホルダ固定部40の密着性を高めるために更に設けられている。中間調節部45の構造は、第1調節部42と同様である。
【0044】
ホルダ固定部40の装着位置について更に詳細に説明する。本実施形態では、ホルダ固定部40は、被検者の頭部90において、ループ形状の上部40aがホルダ部30の上端部30aと略同じ高さまたはホルダ部30の上端部30aよりも頭頂CZ側に配置され、ループ形状の下部40bが後頭部92の下部側に配置されるように形成されている。
【0045】
すなわち、
図3に示すように、ホルダ固定部40のうち上部40aを構成する固定部材41の上側固定部41cおよび第1調節部42aが、被検者の頭部90において、ホルダ部30の上端部30aと略同じ高さまたはホルダ部30の上端部30aよりも頭頂CZ側に位置する。つまり、頭頂CZからの距離Dが上側固定部41c(または第1調節部42a)とホルダ部30の上端部30aとで略等しいか、ホルダ部30の上端部30aよりも上側固定部41c(または第1調節部42a)が頭頂CZに近くなる。
【0046】
また、
図5に示すように、ホルダ固定部40のうち下部40bを構成する固定部材41の下側固定部41aの先端部および第1調節部42bが、被検者の頭部90において、後頭部92の下部(中央部92aと頸部との間の傾斜部分)に位置する。
【0047】
さらに、本実施形態では、ホルダ固定部40は、被検者の後頭部92(
図5においてハッチングを付して図示)を取り囲むループ形状に形成されている。すなわち、一対の固定部材41と、第1調節部42aおよび第1調節部42bとが、それぞれ後頭部92の左右両側部と下部および上部とに沿って配置されることにより、ホルダ固定部40は、被検者の後頭部92を取り囲む。なお、
図5は連結部50および中間調節部45を省略してプローブホルダ3を模式的に図示している。
【0048】
次に、
図4に示す連結部50は、一端50aがホルダ部30に固定され、他端50b側がホルダ固定部40に接続された帯状部材である。本実施形態では、ホルダ固定部40とホルダ部30との間における連結部50の接続長さを調節するための第2調節部60がホルダ固定部40に設けられており、連結部50は、他端50b側が第2調節部60を介してホルダ固定部40に接続されている。
【0049】
連結部50は、被検者の左右の側頭部93側にそれぞれ設けられており、各側頭部93側において、ホルダ部30の上端部30aおよび下端部30bをそれぞれホルダ固定部40に連結するように一対ずつ設けられている。したがって、連結部50は、長方形状のホルダ部30の四隅をそれぞれホルダ固定部40に連結するように、合計4つ設けられている。
【0050】
連結部50は、ホルダ固定部40のうち、固定部材41の取付部41bとホルダ部30とを連結している。すなわち、取付部41bに第2調節部60が設けられており、連結部50の他端50b側が接続されている。プローブホルダ3の装着時には、適正位置に配置されたホルダ部30とホルダ固定部40とがずれないような締め付け力(引張力)がホルダ部30とホルダ固定部40との間に作用するように、各連結部50の長さが調節される。
【0051】
第2調節部60は、連結部50の数と同数設けられている。第2調節部60は、固定部材41の取付部41bに固定的に設けられている。
【0052】
第2調節部60は、
図6(A)および
図6(B)に示すように、ケース部61と、連結部50の他端50bが通過する通路部62と、切替操作部63とを含む。
【0053】
ケース部61は、入口開口61aおよび出口開口61bと、上面開口61cとが形成された箱状部材である。入口開口61aおよび出口開口61bは、それぞれ、ケース部61のうち互いに対向する一対の側面に形成されている。入口開口61aおよび出口開口61bは、共に、連結部50が通過するように所定の大きさに形成されている。
【0054】
通路部62は、切替操作部63と一体で形成され、ケース部61の内部に収容されている。通路部62は、入口開口61aと出口開口61bとを結ぶ方向に沿って形成された貫通孔である。通路部62は、連結部50が通過するように所定の大きさに形成されている。連結部50は、入口開口61a、通路部62および出口開口61bの順で通過して、他端50bが出口開口61bから外側(
図3参照)に出ている。
【0055】
切替操作部63は、連結部50が通路部62において固定される状態(
図6(A)参照)と、連結部50が通路部62において移動可能になる状態(
図6(B)参照)とを切り替える機能を有する。切替操作部63は、通路部62の上面側に設けられたボタン(突起部)であり、ケース部61の上面開口61c内から外部に露出している。切替操作部63は、付勢部材64によって、通路部62とともにケース部61の内部からケース部61の上面側に向かって付勢されている。
【0056】
図6(A)に示すように、切替操作部63が操作されない状態では、付勢部材64によって通路部62がケース部61の入口開口61aおよび出口開口61bを結ぶ直線からずれた位置に配置され、内部の連結部50を屈曲させて固定する。
図6(B)に示すように切替操作部63が押されて付勢部材64が圧縮されると、通路部62がケース部61の入口開口61aおよび出口開口61bを結ぶ直線上に配置され、内部の連結部50が通路部62において移動可能になる。
【0057】
[本実施形態の効果]
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0058】
本実施形態では、上記のように、被検者の後頭部92側に配置され、後頭部92の中央部92aが嵌るようにループ形状に形成されたホルダ固定部40を設けることによって、ホルダ固定部40によって被験者の後頭部92側にループ状の接触面を形成できる。この結果、後頭部92にベルトを架け渡すだけの帯状の接触面が形成される場合と異なり、前頭部91側のホルダ部30を後頭部92の中央部92aが嵌り込むループ状(環状)の接触面によって後頭部92側から安定して支持できる。また、丸みを帯びた後頭部92の中央部92aをループ形状の内側に嵌め込むようにしてホルダ固定部40を装着できるので、従来構造と比較して、頭部形状の個人差があってもホルダ固定部40を頭部90によりフィットさせることができる。これらの結果、ホルダ部30とホルダ固定部40とを、より被検者の頭部90に密着させることができるので、プローブホルダ3をより安定して被験者の頭部90に固定することができる。
【0059】
また、本実施形態では、上記のように、ホルダ固定部40を、被検者の頭部90において、ループ形状の上部40aがホルダ部30の上端部30aと同じ高さまたはホルダ部30の上端部30aよりも頭頂CZ側に配置され、ループ形状の下部40bが後頭部92の下部側に配置されるように形成する。これにより、被験者の頭部90における上下方向のより広い範囲にホルダ固定部40を設けることができるので、ホルダ固定部40をより安定して被験者の頭部90に固定できる。その結果、装着中にプローブホルダ3が頭部90からずれることを抑制できる。
【0060】
また、本実施形態では、上記のように、ホルダ固定部40を、被検者の後頭部92を取り囲むループ形状に形成する。これにより、後頭部92全体をループ形状の内側に嵌め込むようにしてホルダ固定部40を装着できるので、ホルダ固定部40の装着時の安定性を更に向上させることができる。
【0061】
また、本実施形態では、上記のように、ホルダ固定部40に、固定部材41と、ループ形状の一部を構成する長さ調節可能な第1調節部42とを設ける。これにより、ホルダ固定部40のループ形状部分の長さを被検者の頭部形状に応じて調節することができるので、頭部形状の個人差があってもプローブホルダ3をより安定して被験者の頭部90に固定することができる。
【0062】
また、本実施形態では、上記のように、連結部50を、被検者の左右の側頭部93側にそれぞれ設けるとともに、各側頭部93側において、ホルダ部30の上端部30aおよび下端部30bをそれぞれホルダ固定部40に連結するように一対ずつ設ける。これにより、ホルダ部30の上端部30aと下端部30bとを連結部50を介してそれぞれ後頭部92側のホルダ固定部40によって支持できる。その結果、ホルダ部30を被検者の前頭部91によりフィットさせて固定することができるので、プローブホルダ3の装着時におけるホルダ部30(計測プローブ2)の位置ずれが発生するのを効果的に抑制できる。
【0063】
また、本実施形態では、上記のように、ホルダ固定部40に、被検者の後頭部92側から側頭部93側に向かって延びる取付部41bを設ける。そして、連結部50を、取付部41bとホルダ部30とを連結するように設ける。これにより、後頭部92側から側頭部93側に延びる取付部41bを前頭側のホルダ部30と連結することができるので、連結部50によるホルダ部30とホルダ固定部40との接続長さを小さくできる。ホルダ部30とホルダ固定部40とを頭部90に固定するために連結部50には引張力(すなわち、被験者の頭部90を締め付ける力)が作用することになるため、接続長さが小さくなる結果、容易に大きな引張力を作用させることができる。その結果、より適切に、ホルダ部30とホルダ固定部40とを頭部90に密着させて固定できる。
【0064】
また、本実施形態では、上記のように、ホルダ固定部40とホルダ部30との間における連結部50の接続長さを調節するための第2調節部60を設け、第2調節部60に、連結部50の他端50bが通過する通路部62と、連結部50が通路部62において固定される状態と連結部50が通路部62において移動可能になる状態とに切り替える切替操作部63とを設ける。これにより、プローブホルダ3の装着時に、切替操作部63を操作するだけで容易かつ簡便に連結部50の接続長さを調節できる。その結果、被検者の頭部形状に個人差がある場合にも、適切な接続長さで連結されたホルダ部30とホルダ固定部40とにより、プローブホルダ3を頭部90により安定して固定できる。
【0065】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0066】
たとえば、上記実施形態では、ホルダ固定部40の上部40aをホルダ部30の上端部30aと略同じ高さになるように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、
図7に示す第1変形例のように、ホルダ固定部140の上部140aをホルダ部30の上端部30aよりも頭頂CZに近い位置に配置してもよい。なお、
図7および
図8では、便宜的にプローブホルダの各部にハッチングを付して図示している。
【0067】
また、上記実施形態では、ホルダ固定部40の一対の固定部材41の上下の端部をそれぞれ第1調節部42によって接続した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、
図8に示す第2変形例のホルダ固定部240のように、後頭部92を取り囲む逆U字形状の単一の固定部材241を設けて、固定部材241の一対の下端部241a同士を第1調節部242によって接続してもよい。なお、U字形状の単一の固定部材の一対の上端部同士を第1調節部によって接続してもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、上下2つの第1調節部42を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、
図8の第2変形例に示したように、1つの第1調節部242を設けてもよい。上記実施形態や第1変形例(
図7参照)のように上下に第1調節部を設ける場合には、ループ形状部分の長さ調節のみならず、ループの形状をより自由に調節させることができるので、頭部形状のばらつき(個人差)に対してより適切に対応することが可能である。たとえば後頭部92の上側の幅が広い場合や狭い場合などにも、第1調節部の長さ調節によってより頭部にフィットさせることが可能となる。また、本発明では、第1調節部を設けなくてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、ホルダ固定部40の第1調節部42を歯付きストラップ43とラチェット式のバックル44との組み合わせにより構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば第1調節部に面ファスナーを用いてもよい。
図7の第1変形例および
図8の第2変形例では、第1調節部142(242)を面ファスナーにより構成した例を示している。この他、紐状の第1調節部を結んで長さ調節を行ってもよいし、ラチェット構造を有しないベルトとバックルとの組み合わせにより第1調節部を構成してもよい。また、第1調節部を、上記第2調節部60と同じ調節機構(通路部62および切替操作部63)と帯状部材とにより構成してもよい。
【0070】
同様に、上記実施形態では、帯状部材である連結部50を第2調節部60に接続して長さ調節可能なように構成した例を示したが、、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば連結部に面ファスナーを用いてもよい。
図7の第1変形例および
図8の第2変形例では、連結部150を面ファスナーにより構成した例を示している。また、紐状の連結部を結んで長さ調節を行ってもよいし、ベルト(連結部)とバックル(第2調節部)との組み合わせにより連結部の長さ調節を行ってもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、ホルダ部30の上端部30aおよび下端部30bをそれぞれホルダ固定部40に連結するように連結部50を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば
図7の第1変形例および
図8の第2変形例に示したように、上端部および下端部に加えてさらにホルダ部30の中間部分をホルダ固定部140(240)に連結するように3つ以上の連結部150を設けてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、ホルダ固定部40を被検者の後頭部92を取り囲むループ形状に形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ホルダ固定部が少なくとも被検者の後頭部92の中央部92a(後頭結節)が嵌るループ形状を有していればよい。すなわち、ホルダ固定部は、後頭部92の中央部92a(
図5参照)を取り囲むループ形状を有していればよく、中央部92aの周囲の所定範囲を取り囲むようなループ形状であってもよい。ただし、ループ形状を大きくして後頭部の略全体を取り囲むようにホルダ固定部を形成する場合には、より広い接触面積を確保することができるので、より安定してプローブホルダを固定することが可能である。
【0073】
また、上記実施形態では、被検者の後頭部92側から側頭部93側に向かって延びる取付部41bをホルダ固定部40に設け、連結部50が取付部41bとホルダ部30とを連結するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、取付部を側頭部側まで延ばすことなく、連結部を後頭部側まで延ばしてホルダ部とホルダ固定部とを連結してもよい。