【0010】
本発明の表面実装インダクタは、導線を巻回して形成したコイルと、樹脂と磁性材料を含む封止材を用いて形成され、コイルを内蔵する成形体を備える。コイルは、引き出し端末を構成する導線の表面を成形体の表面に露出させる。成形体の表面には外部端子が形成される。そして、この外部端子とコイルの引き出し端末が接続される。外部端子は、第1の導電性ペーストと、第1の導電性ペーストの成形体への密着強度よりも高い密着強度と、第1の導電性ペーストの抵抗率よりも低い抵抗率を有する第2の導電性ペーストを有する導電ペーストで形成される。
従って、本発明の表面実装インダクタは、電流密度が集中するコイルの引き出し端末と外部端子の接続部分の抵抗率を高くして外部端子に渦電流が発生するのを防止することができると共に、外部端子の成形体への密着強度を向上させることができる。
【実施例】
【0011】
以下、本発明の表面実装インダクタの実施例を
図1乃至
図5を参照して説明する。
図1は本発明の表面実装インダクタの成形体の斜視図、
図2は本発明の表面実装インダクタの第1の実施例を示す斜視図である。
図1、
図2において、11はコイル、12は成形体である。
コイル11は、導線をその両端部が外周に位置するように渦巻き状に2段の外外巻きに巻回した巻回部11aと、巻回部11aから引き出された引き出し端部11bを備えた空芯コイルが形成される。導線は断面が平角状の平角線が用いられる。引き出し端部11bは、導線の両端部が巻回部11aから巻回部を挟んで対向する様に引き出される。
成形体12は、樹脂と磁性材料を含む封止材を用いてコイル11を内包する様に形成される。封止材としては、磁性材料として例えば鉄系の金属磁性粉末を、樹脂として例えばエポキシ樹脂をそれぞれ用い、これらを混合したものが用いられる。この成形体12の長さ方向の対向する側面には、コイル11の引き出し端部11bの表面が露出する。
そして、この成形体12の長さ方向の対向する側面と、実装面を構成する底面に外部端子13が形成され、コイル11の引き出し端部11bと外部端子13が接続される。外部端子13は、第1の導電性ペーストと第2の導電性ペーストを用いて形成される。第1の導電性ペーストと第2の導電性ペーストは、それぞれ銀等の金属粒子と、エポキシ樹脂などの樹脂によって形成されるが、第2の導電性ペーストの方が、成形体への密着強度が高く、かつ、抵抗率が低くなるように、第1の導電性ペーストがその粒径が100nmよりも小さな金属微粒子を含有させて形成され、第2の導電性ペーストがAgなどの金属粒子をエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂に分散させて形成される。そして、第1の導電性ペースト13aは、成形体12のコイル11の引き出し端部11bが露出している側面において、ほぼその全幅に亘って、かつ、成形体12の実装面と反対側の面に露出しない様に形成される。また、第2の導電性ペースト13bは、成形体12の実装面に、それぞれ第1の導電性ペースト13aに接続されるように形成される。この第1の導電性ペースト13aと第2の導電性ペースト13bによって、成形体12の実装面と側面に跨って、かつ、成形体12の上面(実装面と反対側の面)に露出しない様に、外部端子13がL字状に形成される。
【0012】
図3は、本発明の表面実装インダクタの第2の実施例を示す斜視図である。
コイルは、断面が平角状の導線をその両端部が外周に位置するように渦巻き状に2段の外外巻きに巻回した巻回部と、巻回部から引き出された引き出し端部31bを備えた空芯コイルが形成される。引き出し端部31bは、導線の両端部が巻回部から巻回部を挟んで対向する様に引き出される。
成形体32は、樹脂と磁性材料を含む封止材を用いてコイルを内包する様に形成される。封止材としては、磁性材料として例えば鉄系の金属磁性粉末を、樹脂として例えばエポキシ樹脂をそれぞれ用い、これらを混合したものが用いられる。この成形体32の長さ方向の対向する側面には、コイルの引き出し端部31bの表面が露出する。
そして、この成形体32の長さ方向の対向する側面と底面に外部端子33が形成され、コイルの引き出し端部31bと外部端子33が接続される。外部端子33は、第1の導電性ペーストと、第1の導電性ペーストの成形体への密着強度よりも高い密着強度と、第1の導電性ペーストの抵抗率よりも低い抵抗率を有する第2の導電性ペーストを用いて形成される。第1の導電性ペースト33aは、成形体32のコイル31の引き出し端部31bが露出している側面に、その一端がコイルの引き出し端部31b上に配置され、他端が成形体32の実装面まで延在する様にパターン状に形成される。第2の導電性ペースト33bは、成形体32のコイルの引き出し端部31bが露出している側面の第1の導電性ペースト33aが形成されていない部分において、第1の導電性ペースト33aに接した状態で、成形体32の実装面と反対側の面に露出しない様に形成されると共に、成形体32の実装面にも延在する様に形成される。この第1の導電性ペースト33aと第2の導電性ペースト33bによって、成形体32の実装面と側面に跨って、かつ、成形体32の上面(実装面と反対側の面)に露出しない様に、外部端子33がL字状に形成される。
【0013】
以上、本発明の表面実装インダクタの実施例を述べたが、本発明はこの実施例に限られるものではない。例えば、実施例では、外部端子がL字状のものを示したが、
図4に示す様に、外部端子43を成形体42の長さ方向の対向する側面と上下面に亘ってコ字状に形成したり、
図5に示す様に、外部端子53を成形体52の長さ方向の対向する側面とその隣接する4つの面に亘って形成したりしても良い。また、コイルの引き出し端部を成形体の実装面に引き出し、実装面にのみ外部端子を形成しても良い。
また、第1の実施例において、成形体の長さ方向の対向する側面のコイルの引き出し端末上に第1の導電性ペーストを形成し、成形体の側面のそれ以外の部分と成形体の実装面に又は、成形体の実装面と側面に第1の導電性ペーストを覆う様に第2の導電性ペーストを形成しても良い。
さらに、第1の実施例において、成形体の実装面と側面に亘って第1の導電性ペーストを形成し、この第1の導電性ペーストを覆う様に第2の導電性ペーストを形成しても良い。
またさらに、第2の実施例において、成形体の実装面と成形体の側面に、第1の導電性ペーストを覆う様に第2の導電性ペーストを形成しても良い。
さらに、第1の実施例と第2の実施例において、第1の導電性ペーストと第2の導電性ペーストの接する部分に、第1の導電性ペーストの線膨張係数、結合メカニズムと第2の導電性ペーストの線膨張係数、結合メカニズムの中間の線膨張係数、結合メカニズムを有する導電性ペーストを配置しても良い。