特許第6409781号(P6409781)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイキン工業株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6409781
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】フィルム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/18 20060101AFI20181015BHJP
   C08J 7/00 20060101ALI20181015BHJP
【FI】
   C08J5/18CEW
   C08J7/00 D
【請求項の数】5
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-544899(P2015-544899)
(86)(22)【出願日】2014年10月8日
(86)【国際出願番号】JP2014077009
(87)【国際公開番号】WO2015064325
(87)【国際公開日】20150507
【審査請求日】2016年2月18日
(31)【優先権主張番号】特願2013-224710(P2013-224710)
(32)【優先日】2013年10月29日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-5290(P2014-5290)
(32)【優先日】2014年1月15日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高 明天
(72)【発明者】
【氏名】金村 崇
(72)【発明者】
【氏名】向井 恵吏
(72)【発明者】
【氏名】小谷 哲浩
【審査官】 相田 元
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−155115(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0228442(US,A1)
【文献】 特開2004−307830(JP,A)
【文献】 特開2009−272924(JP,A)
【文献】 特開2007−042581(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/057987(WO,A1)
【文献】 特開2007−257904(JP,A)
【文献】 Shihai ZHANG et al.,Semicrystalline Polymers with High Dielectric Constant, Melting Temprature, and Charge-Discharge Efficiency,IEEE Transactions on Dielectrics and Electrical Insulation,米国,2012年 8月,Vol.19, No.4,p.1158-1166
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/00− 5/02
C08J 5/12− 5/22
H01L 41/00−41/47
C08J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイブルプロットで99%の耐電圧欠陥値が300V/μm以上であり、且つ厚さが1.5〜12μmであり、及び
(テトラフルオロエチレンに由来する繰り返し単位)/(フッ化ビニリデンに由来する繰り返し単位)のモル比が5/95〜36/64の範囲内である、
フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体フィルム。
【請求項2】
前記重合体フィルムが圧電フィルムである、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記重合体フィルムがフィルムコンデンサ用フィルムである、請求項1記載のフィルム。
【請求項4】
(テトラフルオロエチレンに由来する繰り返し単位)/(フッ化ビニリデンに由来する繰り返し単位)のモル比が5/95〜36/64の範囲内であるフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体及び溶媒を含む液状組成物を調製する工程A、
前記液状組成物をデプスプリーツタイプのフィルターを用いて濾過する工程B、
前記工程Bで得られた濾液を基材上に流延する工程C、並びに
前記流延された濾液中の溶媒を気化させることにより、フィルムを形成させる工程D、
を含む、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルムの製造方法。
【請求項5】
(テトラフルオロエチレンに由来する繰り返し単位)/(フッ化ビニリデンに由来する繰り返し単位)のモル比が5/95〜36/64の範囲内であるフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体及び溶媒を含む液状組成物を調製する工程A、
前記液状組成物をデプスプリーツタイプのフィルターを用いて濾過する工程B、
前記工程Bで得られた濾液を基材上に流延する工程C、
前記流延された濾液中の溶媒を気化させることにより、非分極の、(テトラフルオロエチレンに由来する繰り返し単位)/(フッ化ビニリデンに由来する繰り返し単位)のモル比が5/95〜36/64の範囲内であるフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体フィルムを形成する工程D、
前記フィルムを分極処理することにより、分極化されたフィルムを得る工程E、並びに
前記非分極の又は分極化されたフィルムを熱処理する工程F
を含む、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧電フィルムや、エレクトロウエッティング用途、フィルムコンデンサ用途に用いられるフィルム又は膜として、種々の有機誘電体フィルム及び無機誘電体膜が知られている。
これらの中でも、分極化フッ化ビニリデン系重合体フィルムは、透明性を有し、かつ無機誘電体薄膜とは異なり可撓性を有するという利点を有するので、様々な用途への適用が可能である。
例えば、特許文献1及び特許文献2では、分極化フッ化ビニリデン系重合体フィルムを用いてタッチパネルにタッチ圧を検出する機能を付与する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−26938号公報
【特許文献2】特開2011−222679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1には、分極化フッ化ビニリデン系重合体フィルムの製造方法として、有機溶媒に溶解したフッ化ビニリデン系重合体の溶液を別途用意した基板に塗布し、溶媒を除去することにより膜を形成する方法(いわゆるキャスティング法)が記載されているものの、上記溶液の濾過については十分に検討されていない。
本発明者らは、上記製造方法について検討した結果、上記溶液を濾過しない場合は、フィルムの電気絶縁性を低下させるため、フィルムの耐電圧性を低下させるという問題があることを突き止めた。また、上記溶液を糸巻きフィルター、サーフェスフィルター、ロールタイプフィルター等で濾過する場合は、効率的に濾過を行うことができないことを突き止めた。
従って、本発明は、高い電気絶縁性を示し、耐電圧性に優れたフィルム及びその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討の結果、
ワイブルプロットで99%の耐電圧欠陥値が300V/μm以上であるフッ化ビニリデン系重合体フィルム
によって、前記課題が解決出来ることを見出した。
更に、本発明者らは、フッ化ビニリデン系重合体及び溶媒を含む液状組成物をデプスプリーツタイプのフィルターを用いて濾過することにより、上記特性を有する前記フィルムを製造できることを見出した。
これらの知見に基づき、本発明者らは、本発明を完成させた。
【0006】
本発明は、次の態様を含む。
【0007】
項1.
ワイブルプロットで99%の耐電圧欠陥値が300V/μm以上である、フッ化ビニリデン系重合体フィルム。
項2.
前記重合体フィルムが圧電フィルムである、項1に記載のフィルム。
項3.
前記重合体フィルムがフィルムコンデンサ用フィルムである、項1記載のフィルム。
項4.
フッ化ビニリデン系重合体及び溶媒を含む液状組成物を調製する工程A、
前記液状組成物をデプスプリーツタイプのフィルターを用いて濾過する工程B、
前記工程Bで得られた濾液を基材上に流延する工程C、並びに
前記流延された濾液中の溶媒を気化させることにより、フッ化ビニリデン系重合体フィルムを形成する工程D、
を含む、項1〜3のいずれかに記載のフィルムの製造方法。
項5.
フッ化ビニリデン系重合体及び溶媒を含む液状組成物を調製する工程A、
前記液状組成物をデプスプリーツタイプのフィルターを用いて濾過する工程B、
前記工程Bで得られた濾液を基材上に流延する工程C、
前記流延された濾液中の溶媒を気化させることにより、非分極のフッ化ビニリデン系重合体フィルムを形成する工程D、
前記フィルムを分極処理することにより、分極化フッ化ビニリデン系重合体フィルムを得る工程E、並びに
前記非分極の又は分極化フッ化ビニリデン系重合体フィルムを熱処理する工程F
を含む、項1又は2に記載のフィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明のフィルムは、高い電気絶縁性を示し、優れた耐電圧性を示す。また、本発明のフィルムの製造方法は、高い電気絶縁性を示し、優れた耐電圧性を示すフィルムを製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
用語の意味
本明細書中、「タッチ位置」の「検出」は、タッチ位置の決定を意味し、一方、「タッチ圧」の「検出」は、押圧の有無、速度、大きさ(強弱)、又はこれらの変化、或いはこれらの組み合わせの決定を意味する。
本明細書中、用語「タッチ」は、触れること、触れられること、押すこと、押されること、及び接触すること、を包含する。
本明細書中、用語「分極化」は、表面に電荷を付与されていることを意味する。すなわち、分極化フィルムは、エレクトレットであることができる。
【0010】
フィルム
本発明のフィルムは、ワイブルプロットで99%の耐電圧欠陥値が300V/μm以上であるフッ化ビニリデン系重合体フィルムである。このため、本発明のフィルムは、高い電気絶縁性を示し、優れた耐電圧性を示すことができる。
【0011】
本明細書中、「ワイブルプロットで99%の耐電圧欠陥値が300V/μm以上」とは、フィルムに対して、1分につき100Vのスピードで昇圧させながら電圧をかけて、短絡するまでの耐電圧を測定する。そうして得られた耐電圧をワイブル分布にプロットしていき、故障率が1%になるところの値が300V/μm以上であることを意味する。
【0012】
フッ化ビニリデン系重合体フィルムのワイブルプロットで99%の耐電圧欠陥値が300V/μm未満である場合、耐電圧が低い。そのため、当該耐電圧欠陥値が300V/μm未満であるフィルムを圧電体の用途で用いる場合、当該フィルムを分極処理する工程で短絡してしまい、当該短絡箇所が黒く焦げて色目が悪くなる。また、当該耐電圧欠陥値が300V/μm未満であるフィルムをフィルムコンデンサ等の電圧をかけて使用する形態で用いる場合、規定の電圧までに短絡してしまい、結果として不良品となる可能性がある。
【0013】
本明細書中、「フッ化ビニリデン系重合体フィルム」は、当該重合体からなるフィルム、当該重合体中に無機物が分散されているフィルム、並びに当該重合体及び当該重合体以外の成分を含有するフィルム等を包含する。即ち、本発明のフィルムは、当該重合体以外の成分を含有してもよいし、無機物を含有してもよい。
本発明のフィルムにおける当該重合体の含有量は、好ましくは、70質量%以上、より好ましくは75質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上である。当該含有量の上限は特に制限されず、例えば、100質量%であってもよいし、99質量%であってもよい。
【0014】
本明細書中、「フッ化ビニリデン系重合体フィルム」の例としては、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体フィルム、フッ化ビニリデン/トリフロオロエチレン共重合体フィルム、及びポリフッ化ビニリデンフィルムが挙げられる。
前記フッ化ビニリデン系重合体フィルムは、好ましくはフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体フィルムである。
当該「フッ化ビニリデン系重合体フィルム」は、樹脂フィルムに通常用いられる添加剤を含有してもよい。
【0015】
当該「フッ化ビニリデン系重合体フィルム」は、フッ化ビニリデン系重合体から構成されるフィルムであり、フッ化ビニリデン系重合体を含有する。
【0016】
当該「フッ化ビニリデン系重合体」の例としては、
(1)フッ化ビニリデンと、これと共重合可能な1種以上のモノマーと、の共重合体;及び
(2)ポリフッ化ビニリデン
が挙げられる。
【0017】
当該「(1)フッ化ビニリデンと、これと共重合可能な1種以上のモノマーと、の共重合体」における「これと共重合可能なモノマー」の例としては、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、及びフッ化ビニルが挙げられる。
当該「これと共重合可能な1種以上のモノマー」又はそのうちの1種は、好ましくはテトラフルオロエチレンである。
当該「フッ化ビニリデン系重合体」の好ましい例としては、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体が挙げられる。
当該「フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体」は、本発明に関する性質が著しく損なわれない限りにおいて、フッ化ビニリデン及びテトラフルオロエチレン以外のモノマーに由来する繰り返し単位を含有してもよい。
前記「(1)フッ化ビニリデンと、これと共重合可能な1種以上のモノマーと、の共重合体」は、フッ化ビニリデンに由来する繰り返し単位を50モル%以上(好ましくは60モル%以上)含有する。
前記「フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体」における(テトラフルオロエチレンに由来する繰り返し単位)/(フッ化ビニリデンに由来する繰り返し単位)のモル比は、好ましくは5/95〜36/64の範囲内、より好ましくは15/85〜25/75の範囲内、更に好ましくは18/82〜22/78の範囲内である。
【0018】
前記「フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体」は、本発明に関する性質が著しく損なわれない限りにおいて、フッ化ビニリデン及びテトラフルオロエチレン以外のモノマーに由来する繰り返し単位を含有してもよい。通常、このような繰り返し単位の含有率は、10モル%以下である。このようなモノマーは、フッ化ビニリデンモノマー、テトラフルオロエチレンモノマーと共重合可能なものである限り限定されないが、その例としては、
(1)フルオロモノマー(例、ビニルフルオリド(VF)、トリフルオロエチレン(TrFE)、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、1−クロロ−1−フルオロ−エチレン(1,1−CFE)、1−クロロ−2−フルオロ−エチレン(1,2−CFE)、1−クロロ−2,2−ジフルオロエチレン(CDFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロビニルモノマー、1,1,2−トリフルオロブテン−4−ブロモ−1−ブテン、1,1,2−トリフルオロブテン−4−シラン−1−ブテン、ペルフルオロアルキルビニルエーテル、ペルフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)、ペルフルオロプロピルビニルエーテル(PPVE)、ペルフルオロアクリラート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリラート、2−(ペルフルオロヘキシル)エチルアクリラート);並びに(2)炭化水素系モノマー(例、エチレン、プロピレン、無水マレイン酸、ビニルエーテル、ビニルエステル、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸系モノマー、メタクリル酸系モノマー、酢酸ビニルが挙げられる。
【0019】
本発明のフィルムの厚さは、例えば、0.5〜100μmの範囲内、0.8〜50μmの範囲内、0.8〜40μmの範囲内、3〜100μmの範囲内、3〜50μmの範囲内、6〜50μmの範囲内、9〜40μmの範囲内、10〜40μmの範囲内、又は10〜30μmの範囲内である。好ましい厚さは、本発明のフィルムの用途によって異なることができる。例えば、本発明のフィルムがタッチパネル等の圧電パネルに用いられる場合は、本発明のフィルムの厚さは好ましくは10〜40μmの範囲内であり、より好ましくは10〜30μmの範囲内であり、本発明のフィルムがエレクトロウエッティングデバイスに用いられる場合は、本発明のフィルムの厚さは好ましくは0.5〜5μm、より好ましくは0.8〜2μmの範囲内であり、及び本発明のフィルムがフィルムコンデンサに用いられる場合は、本発明のフィルムの厚さは好ましくは1.5〜12μmの範囲内である。
【0020】
当該重合体以外の成分の一例として、ポリマーが挙げられる。当該重合体以外のポリマーの中でも、アクリル/メタクリル系ポリマー、セルロース誘導体系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、などが好ましい。特に、セルロース誘導体系ポリマーをフッ化ビニリデン系重合体と混合して用いる場合、キャストコーティングを行う際に塗料のチキソ性も改善するため、より好ましい。セルロース誘導体系ポリマーとしては、カルボキシブチルセルロース、カルボキシプロピルセルロース、カルボキシエチルセルロースなどが好適な例として挙げられる。
【0021】
前記「無機物」の好適な例としては、無機酸化物粒子が挙げられる。当該「無機酸化物粒子」を含有することによって、本発明のフィルムは、高い誘電率を有することができる。また、このことによって、高い誘電率を維持したまま、体積抵抗率を大幅に向上させることができる。
当該「無機酸化物粒子」は、好ましくは、以下の無機酸化物粒子(B1)〜(B3)からなる群より選択される少なくとも1種である。
【0022】
[無機酸化物粒子(B1)]周期表の2族、3族、4族、12族又は13族の金属元素の無機酸化物の粒子、又はこれらの無機酸化物複合粒子
前記金属元素としては、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、Ti、Zr、Zn、及びAl等が挙げられる。なかでも、Al、Mg、Y、及びZnの酸化物が汎用で安価であり、また体積抵抗率が高い点から好ましい。
なかでも、具体的には、Al、MgO、ZrO、Y、BeO、及びMgO・Alからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属酸化物の粒子が、体積抵抗率が高い点から好ましい。
なかでも、更に、結晶構造がγ型のAlが、比表面積が大きく、フッ化ビニリデン系重合体への分散性が良好な点から好ましい。
【0023】
[無機酸化物粒子(B2)]式:Ma1b1c1(式中、Mは2族金属元素;Mは4族金属元素であり;a1は0.9〜1.1であり;b1は0.9〜1.1であり;c1は2.8〜3.2である;M及びMはそれぞれ1種又は2種以上の金属元素であることができる)で表される無機複合酸化物の粒子
当該「4族金属元素」としては、例えばTi、及びZrが好ましい。
当該「2族金属元素」としては、例えばMg、Ca、Sr、及びBaが好ましい。
当該「無機複合酸化物の粒子」のなかでも、具体的には、BaTiO、SrTiO、CaTiO、MgTiO、BaZrO、SrZrO、CaZrO、及びMgZrOからなる群より選ばれる少なくとも1種の無機酸化物の粒子が、体積抵抗率が高い点から好ましい。
【0024】
[無機酸化物粒子(B3)]周期表の2族、3族、4族、12族、又は13族の金属元素の酸化物、及び酸化ケイ素の無機酸化物複合粒子
当該「無機酸化物粒子(B3)」は、前記「無機酸化物粒子(B1)」の前記「無機酸化物」、及び酸化ケイ素の複合体粒子である。
当該「無機酸化物粒子(B3)」として具体的には、例えば、3A1・2SiO、2MgO・SiO、ZrO・SiO、及びMgO・SiOからなる群より選ばれる少なくとも1種の無機酸化物の粒子が挙げられる。
【0025】
前記「無機酸化物粒子」は、必ずしも高誘電性である必要はなく、本発明のフィルムの用途により適宜選択できる。例えば、汎用で安価な1種類の金属酸化物の粒子(B1)(特に、Alの粒子、及びMgOの粒子)を使用すると、体積抵抗率の向上を図ることができる。これら1種類の金属酸化物の粒子(B1)の比誘電率(1kHz、25℃)は、通常100未満、好ましくは10以下である。
【0026】
前記「無機酸化物粒子」としては、誘電率を向上させる目的で強誘電性(比誘電率(1kHz、25℃)が100以上)の無機酸化物粒子(例えば、無機酸化物粒子(B2)及び(B3))を用いてもよい。強誘電性の無機酸化物粒子(B2)及び(B3)を構成する無機材料としては、複合金属酸化物、その複合体、固溶体、及びゾルゲル体等が例示できるが、これらのみに限定されるものではない。
【0027】
本発明のフィルムは、前記「重合体」100質量部に対し、前記「無機酸化物粒子」を、好ましくは0.01〜300質量部、より好ましくは0.1〜100質量部含有できる。前記「無機酸化物粒子」の含有量が多すぎると、前記「無機酸化物粒子」を前記「重合体」中に均一に分散させることが難しくなる虞があり、また、電気絶縁性(耐電圧)が低下する虞もある。また、当該含有量が300質量部以上になると、フィルムが脆くなり、及び引張り強度が低下する虞がある。この観点では、当該含有量の上限は、好ましくは200質量部、より好ましくは150質量部である。当該含有量が少なすぎると電気絶縁性の向上効果が得られにくい。この観点では、当該含有量の下限は、好ましくは0.1質量部、より好ましくは0.5質量部、更に好ましくは1質量部である。
【0028】
前記「無機酸化物粒子」の平均一次粒子径は小さい方が好ましく、特に平均一次粒子径1μm以下のいわゆるナノ粒子が好ましい。このような無機酸化物ナノ粒子が均一分散することにより、少量の配合でフィルムの電気絶縁性を大幅に向上させることができる。当該平均一次粒子径は、好ましくは800nm以下、より好ましくは500nm以下、更に好ましくは300nm以下である。当該平均一次粒子径の下限は特に限定されないが、製造の困難性や均一分散の困難性、価格の面から、当該平均一次粒子径は、好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上、更に好ましくは50nm以上である。前記「無機酸化物粒子」の平均一次粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置 LA−920(商品名)(堀場製作所社)又はその同等品を用いて算出される。
【0029】
前記「無機酸化物粒子」の比誘電率(25℃、1kHz)は、好ましくは10以上である。フィルムを圧電フィルムとして使用する場合に、当該圧電フィルムの誘電率を高くする観点から、当該比誘電率は、好ましくは100以上、より好ましくは300以上である。当該比誘電率の上限は特に制限されないが、通常3000程度である。当該「無機酸化物粒子」の比誘電率(ε)(25℃、1kHz)は、LCRメーターを用いて容量(C)を測定し、容量、電極面積(S)、焼結体の厚さ(d)から、式C=εε×S/d(ε真空の誘電率)で算出した値である。
【0030】
本発明のフィルムは、必要に応じて、親和性向上剤等の、その他の成分を含有してもよい。
【0031】
前記「親和性向上剤」は、本発明のフィルムが前記「無機酸化物粒子」が含有する場合に、本発明のフィルムに含有される。
前記「親和性向上剤」は、前記「無機酸化物粒子」と前記「重合体」との間の親和性を高め、前記「無機酸化物粒子」を前記「重合体」に均一に分散させ、前記「無機酸化物粒子」と前記「重合体」をフィルム中でしっかり結合させ、ボイドの発生を抑制し、及び比誘電率を高めることができる。
【0032】
前記「親和性向上剤」としては、カップリング剤、界面活性剤、又はエポキシ基含有化合物が有効である。
【0033】
前記「カップリング剤」の例としては、有機チタン化合物、有機シラン化合物、有機ジルコニウム化合物、有機アルミニウム化合物、及び有機リン化合物が挙げられる。
【0034】
前記「有機チタン化合物」の例としては、アルコキシチタニウム、チタニウムキレート、及びチタニウムアシレート等のカップリング剤が挙げられる。なかでも、前記「無機酸化物粒子」との親和性が良好な点から、好ましい例として、アルコキシチタニウム、及びチタニウムキレートが挙げられる。
【0035】
その具体例としては、テトライソプロピルチタネート、チタニウムイソプロポキシオクチレングリコレート、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、ジイソプロポキシチタンジイソステアレート、テトライソプロピルビス(ジオクチルフォスファイト)チタネート、及びイソプロピルトリ(n−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネートが挙げられる。
【0036】
前記「有機シラン化合物」は、高分子型であっても、低分子型であってもよく、その例として、モノアルコキシシラン、ジアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、及びテトラアルコキシシラン等のアルコキシシランが挙げられる。また、ビニルシラン、エポキシシラン、アミノシラン、メタクロキシシラン、及びメルカプトシラン等も好適に使用され得る。
【0037】
アルコキシシランを用いる場合、加水分解により、表面処理の効果である体積抵抗率のより一層の向上(電気絶縁性の向上)を図ることができる。
【0038】
前記「有機ジルコニウム化合物」の例としては、アルコキシジルコニウム、及びジルコニウムキレートが挙げられる。
【0039】
有機アルミニウム化合物の例としては、アルコキシアルミニウム、及びアルミニウムキレートが挙げられる。
【0040】
有機リン化合物の例としては、亜リン酸エステル、リン酸エステル、及びリン酸キレートが挙げられる。
【0041】
親和性向上剤としての前記「界面活性剤」は、高分子型であっても、低分子型であってもよく、その例としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、及びカチオン性界面活性剤が挙げられる。なかでも、熱安定性が良好な点から、高分子型の界面活性剤が好ましい。
【0042】
前記「非イオン性界面活性剤」の例としては、ポリエーテル誘導体、ポリビニルピロリドン誘導体、及びアルコール誘導体が挙げられ、なかでも、前記「無機酸化物粒子」との親和性が良好な点から、ポリエーテル誘導体が好ましい。
【0043】
前記「アニオン性界面活性剤」の例としては、スルホン酸、及びカルボン酸、及びそれらの塩を含有するポリマーが挙げられる。なかでも、前記「重合体」との親和性が良好な点から、好ましい例として、アクリル酸誘導体系ポリマー(poly(acrylic acid) derivative)、及びメタクリル酸誘導体系ポリマー(poly(methacrylic acid) derivative)が挙げられる。
【0044】
前記「カチオン性界面活性剤」の例としては、アミン化合物、及びイミダゾリン等の含窒素系複合環を有する化合物、及びそのハロゲン化塩が挙げられる。
【0045】
前記「親和性向上剤」としての「エポキシ基含有化合物」は、低分子量化合物であっても、高分子量化合物であってもよく、その例としては、エポキシ化合物、及びグリシジル化合物が挙げられる。なかでも、前記「重合体」との親和性が特に良好な点から、エポキシ基を1個有する低分子量の化合物が好ましい。
【0046】
前記「エポキシ基含有化合物」の好ましい例としては、特に前記「重合体」との親和性に優れている点から、式:
【0047】
【化1】
【0048】
(式中、Rは、水素原子、メチル基、酸素原子若しくは窒素原子を介在してもよい炭素数2〜10の炭化水素基、又は置換されていてもよい芳香環基を表す。lは0又は1を表し、mは0又は1を表し、nは0〜10の整数を表す。)で表される化合物が挙げられる。
【0049】
その具体例としては、
【0050】
【化2】
【0051】
等の、ケトン基、又はエステル基を有する化合物が挙げられる。
【0052】
前記「親和性向上剤」は、本発明の効果が失われない範囲内の量で使用できるが、具体的には、均一な分散、及び得られるフィルムの比誘電率の高さの点から、その量は、「無機酸化物粒子」100質量部に対して、好ましくは0.01〜30質量部の範囲内、より好ましくは0.1〜25質量部の範囲内、更に好ましくは1〜20質量部の範囲内である。
【0053】
更に、本発明のフィルムは、本発明の効果が失われない範囲内で、これら以外の添加剤を含有してもよい。
【0054】
本発明のフィルムは、100℃の温度で60分加熱して生じるカールが±10mm以内であることが好ましい。カールの程度を上述の範囲とすることにより、本発明のフィルムを、圧電フィルム等の精度が要求される用途に用いるのに適したフィルムとすることができる。
上記カールは、以下の手法によって測定する。金属板上に、幅100mm、長さ100mmにカットしたフィルムの中心ラインをテープで貼り付けた後、当該フィルムを100℃で60分加熱する。当該加熱後、フィルム両端部が金属板から浮き上がるので、その浮き上がった長さをノギスで測定する。
【0055】
本発明のフィルムのカールを±10mm以内とする方法としては、例えば、後述する本発明のフィルムの製造方法において、基材とフッ化ビニリデン系重合体フィルムとの剥離強度を0.1N/cm以下、溶媒を気化するための乾燥温度を200℃以下、並びに、溶媒中にフッ化ビニリデン系重合体、及び所望による成分を溶解又は分散させて調製した液状組成物中の、フッ化ビニリデン系重合体の固形分濃度を5質量%以上とする方法が挙げられる。
【0056】
フィルムの製造方法
本発明のフィルムは、例えば、
フッ化ビニリデン系重合体及び溶媒を含む液状組成物を調製する工程A、
前記液状組成物をデプスプリーツタイプのフィルターを用いて濾過する工程B、
前記工程Bで得られた濾液を基材上に流延する工程C、並びに
前記流延された濾液中の溶媒を気化させることにより、フッ化ビニリデン系重合体フィルムを形成する工程D、
を含む製造方法
によって製造できる。
【0057】
また、本発明のフィルムが圧電フィルムである場合、例えば、前記工程A〜Dに加えて、更に前記工程Dの後に、
前記フッ化ビニリデン系重合体を分極処理することにより、分極化フッ化ビニリデン系重合体フィルムを得る工程E、及び
前記非分極の又は分極化フッ化ビニリデン系重合体フィルムを熱処理する工程F
を含む製造方法によって製造できる。
【0058】
工程A(液状組成物の調製工程)
工程Aでは、フッ化ビニリデン系重合体及び溶媒を含む液状組成物(塗料)を調製する。例えば、溶媒中に、フッ化ビニリデン系重合体、並びに所望による成分(例、前記重合体以外のポリマー、無機酸化物粒子、及び親和性向上剤)を溶解又は分散させて液状組成物を調製する。
【0059】
液状組成物の調製における溶解温度は特に限定されないが、溶解温度を高くすると溶解を促進できるので好ましい。しかし、溶解温度が高すぎると、得られるフィルムが着色してしまう傾向があるので、溶解温度は、室温以上80℃以下であることが好ましい。
また、かかる着色を防止する意味から、前記溶媒の好ましい例としては、ケトン系溶媒(例、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、アセトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン)、エステル系溶媒(例、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、乳酸エチル)、エーテル系溶媒(例、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン)、及びアミド系溶媒(例、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン(NMP))が挙げられる。これらの溶媒は、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられ得る。前記溶媒として、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の溶解に汎用される溶媒であるアミド系溶媒を用いてもよいが、溶媒中のアミド系溶媒の含有率は50%以下であることが望ましい。
【0060】
工程B(濾過工程)
工程Bでは、前記工程Aで得られた液状組成物を、デプスプリーツタイプのフィルターを用いて濾過する。
デプスプリーツタイプのフィルターとは、一般的に、細かい繊維(ファイバー)を樹脂接着又は熱融着で結合した後、圧縮プレス機による圧着などで平膜化したもの(不織布ともいう)に、折り目を入れる加工を施したフィルターをいう。このデプスプリーツタイプのフィルターの構造は、大きな濾過面積を有するプリーツ構造であるため、圧力損失を大幅に低減するとともに、高い粒子捕捉効率を実現することができる。本発明において、工程Aで得られた液状組成物を、デプスプリーツタイプのフィルターを用いて濾過することにより、ほこりや未溶解物等の不純物を効率的に取り除くことができるため、高い電気絶縁性を示し、耐電圧性に優れたフッ化ビニリデン系重合体フィルムを製造することができる。
デプスプリーツタイプのフィルターの孔径は、通常0.1〜20μmの範囲内、好ましくは0.5〜15μmの範囲内である。
デプスプリーツタイプのフィルターは、市販品を使用することができる。例えば、ロキテクノ(株)のダイアIIシリーズが挙げられる。
上記工程Bでは、圧力を適宜設定して濾過を行うことができる。当該圧力は、通常0.01〜1MPaの範囲内、好ましくは0.05〜0.5MPaの範囲内である。
【0061】
工程C(基材上への流延(塗布)工程)
工程Cでは、前記工程Bで得られた濾液を基材上に流延する。
前記濾液の基材上への流延(塗布)は、ナイフコーティング方式、キャストコーティング方式、ロールコーティング方式、グラビアコーティング方式、ブレードコーティング方式、ロッドコーティング方式、エアドクタコーティング方式、またはスロットダイ方式等の慣用の方法に基づき行えばよい。なかでも、操作性が容易な点、得られるフィルム厚さのバラツキが少ない点、生産性に優れる点から、グラビアコーティング方式、又はスロットダイ方式が好ましい。当該基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、離型剤等で離型処理されたPETフィルムやスチールベルトを用いることができる。
【0062】
工程D(溶媒の気化工程)
工程Dでは、工程Cで流延された濾液中の溶媒を気化させることにより、フッ化ビニリデン系重合体フィルムを形成する。
前記溶媒の気化は、加熱等の慣用の乾燥方法によって実施できる。
前記溶媒の気化における乾燥温度は溶媒の種類等に応じて適宜決定され得るが、通常、20℃〜200℃の範囲内であり、好ましくは40℃〜170℃の範囲内である。
当該乾燥温度は一定温度であってもよいが、変化させてもよい。乾燥温度を低温(例、40〜100℃)から高温(例、120〜200℃)へと変化させることにより、得られるフィルムのヘイズ値を下げることができる。これは、例えば、乾燥ゾーンを数ゾーンに分割し、フィルム(又はフィルム形成前の流延された溶液)が低温のゾーンへ入って高温のゾーンに移動することによって実現できる。
具体的には、例えば、乾燥ゾーンを50℃、80℃、120℃、及び150℃の4ゾーンに分割し、フィルムを50℃のゾーンから150℃のゾーンへ連続的に移動させればよい。
前記溶媒の気化における乾燥時間は、通常10〜600秒間の範囲内、好ましくは30〜300秒間の範囲内である。
工程Dで得られるフッ化ビニリデン系重合体フィルムは、好ましくは、延伸されていないものである。また、好ましくは、本発明の製造方法においても、当該非分極フィルムを、延伸しない。すなわち、本発明のフィルムは、好ましくは、無延伸のフィルムである。 このようにして得られる本発明のフィルムは、その厚さの均一性が高い。具体的に好ましくは、本発明のフィルムは、フィルム全体に渡って1cm四方毎に10箇所において測定した厚さの変動係数が、平均膜厚の±20%以下である。
【0063】
工程E(分極処理工程)
工程Dで得られるフッ化ビニリデン系重合体フィルムは、分極されていない非分極の状態である。よって、当該「非分極のフッ化ビニリデン系重合体フィルム」(以下、単に「非分極フィルム」と称する場合がある)を圧電フィルムとする場合、前記工程Dの後に、工程Eの分極処理及び工程Fの熱処理を行う。工程Eの分極処理は、コロナ放電処理等の慣用の方法によって行うことができる。
工程Eの分極処理は、好ましくはコロナ放電によって行われる。
コロナ放電には、負コロナ及び正コロナのいずれを用いてもよいが、非分極樹脂フィルムの分極しやすさの観点から負コロナを用いることが望ましい。
【0064】
コロナ放電処理は、特に限定されないが、例えば、特開2011−181748号公報に記載のように非分極フィルムに対して線状電極を用いて印加を実施すること;又は非分極フィルムに対して針状電極を用いて印加を実施すること;により行うことができる。
【0065】
コロナ放電処理の条件は、本発明が属する技術分野の常識に基づいて、適宜設定すればよい。コロナ放電処理の条件が弱すぎると、得られる圧電フィルムの圧電性が不充分になる虞があり、一方、コロナ放電処理の条件が強すぎると、得られる圧電フィルムが点状欠陥を有する虞がある。
例えば、線状電極を用いてロール・トゥ・ロールで連続印加を実施する場合は、線状電極と非分極フィルムの間の距離、フィルム膜厚等によって異なるが、例えば、−15〜−25kVの直流電界である。処理速度は、例えば、10〜500cm/分である。
別法として、分極処理は、コロナ放電の他に、例えば非分極フィルムの両面から平板電極で挟み込んで印加することにより実施してもよい。具体的には、例えば、非分極フィルムの両面から平板電極で挟み込んで印加を実施する場合、0〜400MV/m(好ましくは50〜400MV/m)の直流電界、及び0.1秒〜60分間の印加時間の条件を採用できる。
【0066】
工程Eで用いられる非分極フィルムの厚さの決定は、得ようとする圧電フィルムに応じて行えばよい。
【0067】
工程F(熱処理工程)
工程Fは、前記工程D又はEの後に実施される。即ち、工程Fでは、工程Dで得られた非分極のフッ化ビニリデン系重合体フィルム、又は工程Eの分極処理で得られた分極化フッ化ビニリデン系重合体フィルム(以下、単に分極化フィルムと称する場合がある。)を熱処理する。工程Fは、工程Eの後に行うことが好ましい。
工程Fの熱処理は、前記分極化フィルム又は工程Eにおいて分極を完了した部分に対して行うことができる。すなわち、工程Eの分極処理を実施しながら、当該分極処理を終えた部分に対して工程Fの熱処理を実施してもよい。
熱処理の方法は、特に限定されないが、例えば、非分極又は分極化フィルムを2枚の金属板で挟み、当該金属板を加熱すること;前記フィルムのロールを恒温槽中で加熱すること;又はロール・ツー・ロール方式での前記フィルムの生産において、金属ローラーを加熱し、前記フィルムを、当該加熱した金属ローラーに接触させること;又は前記フィルムを加熱した炉の中にロール・ツー・ロールで通していくことにより行うことができる。この際、前記フィルムは単体で熱処理してもよいし、或いは別種のフィルム又は金属箔上に重ねて積層フィルムを作成し、これを熱処理してもよい。とりわけ、高温で熱処理する場合には後者の方法のほうが、前記フィルムにしわが入りにくいので好ましい。
前記熱処理の温度は、熱処理される前記フィルムの種類によって異なる場合があり、好ましくは(熱処理される前記フィルムの融点−100)℃〜(熱処理される前記フィルムの融点+40)℃の範囲内である。
前記熱処理の温度は、具体的には、好ましくは80℃以上、より好ましくは85℃以上、更に好ましくは90℃以上である。
また、前記熱処理の温度は、好ましくは170℃以下、より好ましくは160℃以下、更に好ましくは140℃以下である。
前記熱処理の時間は、通常、10秒間以上、好ましくは0.5分間以上、より好ましくは1分間以上、更に好ましくは2分間以上である。
また、前記熱処理の時間の上限は限定されないが、通常、前記熱処理の時間は60分間以下である。
前記熱処理の条件は、好ましくは90℃以上で1分間以上である。
本明細書中、フィルムの融点とは、示差走査熱量測定(DSC)装置を用い、10℃/分の速度で昇温したときに得られる融解熱曲線における極大値である。
【0068】
熱処理後、非分極フィルム又は分極化フィルムを所定温度まで冷却する。当該温度は、好ましくは、0℃〜60℃の範囲であり、室温であることができる。冷却速度は、徐冷であっても急冷であってもよく、急冷であることが生産性の面から好ましい。急冷は、例えば送風等の手段によって実施できる。
【0069】
フィルムのロール
本発明のフィルムは、好ましくは、ロールとして保管及び出荷され得る。
本発明のフィルムは、このようなロールの形態にする際のシワの発生の抑制の観点から、弾性率が500MPa以上であることが好ましい。弾性率は、フィルムの材質の選択等により調整できる。
本発明のフィルムのロールは、本発明のフィルムのみからなってもよく、本発明のフィルムに保護フィルムなどを積層させて巻いた形態でもよく、紙管等の芯、及び当該芯に巻き付けられた本発明のフィルムを備えてもよい。
本発明のフィルムのロールは、好ましくは幅50mm以上、かつ長さ20m以上である。
本発明のフィルムのロールは、例えば、本発明のフィルムを、巻き出しローラーと巻き取りローラーを用いて巻き取ることにより、調製できる。
ここで、フィルムのたわみを抑制する観点で、通常行われるように、巻き出しローラーと巻き取りローラーを平行にすることが好ましい。
また、フィルムのたわみを抑制する観点で、本発明のフィルムのなかでも、弾性率が500MPa以上のフィルムを用いてもよい。
ローラーとしては、本発明のフィルムの滑り性を良くするため、滑り性のよいローラー、具体的にはフッ素樹脂で被覆されたローラー、メッキされたローラー、又は離型剤を塗布したローラーを用いることが好ましい。
ここで、フィルムの厚さが不均一である場合は、いわゆるロールの耳立ち(ハイエッジ;ロールの軸方向の中心部に比べて、端部が太くなること;両端部が中心部より膜厚が低い場合に両端部が中心部に比べて凹むこと;又は一方の端部からもう一方の端部に傾斜的に厚さが変化していく場合に膜厚が薄い側の端部が凹むこと)等のロールの太さの不均一さが発生し、これはシワの発生の原因になり得る。また、これは、フィルムの捲き出しの際に、フィルムのたわみ(重力による張力以外の張力がかけられていない状態での湾曲)が発生する原因となり得る。
一般に、ロールの耳立ちを防止する目的で、ロールの端となるフィルム端をスリッター耳おとし(スリット)することが行われるが、フィルムの厚さの不均一がフィルム端から広い範囲にわたる場合、耳おとしのみでは、ロールの耳立ち及び凹みの防止が困難である。
また、一般に、フィルムの幅が広い(例、幅100mm以上)ほど、及びフィルムの長さが長い(例、50m以上)ほど、前記耳立ち、前記凹み及び前記たわみが生じやすい。 しかし、本発明のフィルムは、厚さの均一性が高いので、そのまま、又はロールの端となるフィルム端をスリッター耳おとし(スリット)することのみで、フィルムの幅が広く(例、幅100mm以上)、かつフィルムの長さが長い(例、50m以上)場合でも、前記耳立ち、前記凹み及び前記たわみが抑制されたロールにすることができる。
スリットで除去された耳(フィルム端)は、回収して、本発明のフィルムの原料として、リサイクルできる。
本発明のフィルムのロールは、太さの均一性が高く、好ましくは、ロールの軸方向の中心部の太さに対する、より太いほうの端部の太さの比が70〜130%の範囲内である。 これにより、本発明のフィルムのロールは、これから巻き出されたフィルムのたわみが抑制されている。
【0070】
本発明のフィルム及びそのロールの製造に用いられるローラーの表面粗さRaは、1μm以下であることが好ましい。本明細書において、「表面粗さRa」は、JIS B0601:2001に規定されている、「算術平均高さ」である。
また、本発明のフィルム及びそのロールの製造に用いられるローラーは、少なくともその表面の材質が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、クロムメッキ、又はステンレス鋼(SUS)であることが好ましい。
これらのことにより、フィルムのシワを抑制できる。
【0071】
適用
圧電パネル
本発明のフィルムは、好ましくは、圧電性を有し、圧電パネル(例、タッチパネル(好ましくは、タッチ圧を検出できるタッチパネル))等に使用できる。
本発明のフィルムを有するタッチパネルは、タッチ位置及びタッチ圧の両方を検出でき、かつ極端な高温に曝された場合でもタッチ圧の検出性能が低下しにくく、かつ透明性が高い。
本発明のフィルムは、抵抗膜方式、及び静電容量方式等の、あらゆる方式のタッチパネルに使用できる。
本発明のフィルムは、タッチパネルに使用されるとき、必ずしも、タッチ位置及びタッチ圧の両方の検出のために使用される必要は無く、本発明のフィルムは、タッチ位置又はタッチ圧のいずれかの検出にも使用されてもよい。
本発明のフィルムを有する圧電パネルは、本発明のフィルム及び電極を有し、好ましくは、
第1の電極(好ましくは、透明電極)と、
本発明のフィルム(好ましくは、透明圧電フィルム)と、
第2の電極(好ましくは、透明電極)と、
をこの順で有する。
第1の電極は本発明のフィルムの一方の主面上に直接又は間接的に配置され、及び
第2の電極は本発明のフィルムの他方の主面上に直接又は間接的に配置される。
当該電極の例としては、ITO(酸化インジウム・スズ)電極、酸化スズ電極、金属ナノワイヤー、金属ナノ粒子、及び有機導電樹脂等が挙げられる。
【0072】
本発明のフィルムを有する圧電パネル(例、タッチパネル(好ましくは、タッチ圧を検出できるタッチパネル))を指等で押圧すると、本発明のフィルムのひずみの時間的変化に応じた電気信号を得ることができるので、当該圧電パネルを用いれば、押圧の有無、速度、大きさ(強弱)、又はこれらの変化、或いはこれらの組み合わせを決定できる。ここで、押圧の大きさ(すなわち、静圧)は、前記電気信号の積分値を用いて決定できる。
【0073】
本発明のフィルムを有する圧電パネルにおいて、本発明のフィルムは、1又は2枚以上(好ましくは2枚)を用いることができる。
本発明のフィルムを2枚以上(好ましくは2枚)用いる場合、当該2枚以上の本発明のフィルムは、粘着シートによって互いに貼り合わせられていてもよい。当該粘着シートは、本発明のフィルムを互いに貼り合わせられるものであれば特に限定されず、1又は2以上の層からなることができる。すなわち、当該粘着シートが1層からなる場合、当該粘着シートは粘着剤層からなり、及び当該粘着シートが2以上の層からなる場合、その両外層が粘着剤層である。当該粘着シートが3以上の層からなる場合、当該粘着シートは内層として基材層を有していてもよい。
当該粘着シートにおける粘着剤層は、粘着剤としてアクリル系粘着剤を含有する層であることができる。
当該粘着シートにおける基材層は、透明なフィルムであればよく、好ましくは、例えば、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリパラフェニレンスルフィド、又はポリアミドイミドのフィルムであることができる。
【0074】
例えば、本発明のフィルムを有する圧電パネル(例、タッチパネル(好ましくは、タッチ圧を検出できるタッチパネル))は、好ましくは、
第1の電極と、
第1の本発明のフィルムと、
粘着シートと、
第2の本発明のフィルムと、
第2の電極と、
をこの順で有する。
第1の電極は第1の本発明のフィルムの外面上に配置され、及び
第2の電極は第2の本発明のフィルムの外面上に配置されている。
本発明のフィルムは焦電性を有し得るが、当該圧電パネル(例、タッチパネル(好ましくは、タッチ圧を検出できるタッチパネル))において、第1の本発明のフィルム、及び第2の本発明のフィルムを、温度上昇によって同じ極性の電荷(例えば、正電荷と正電荷)が生じる面がそれぞれ外側になるように配置し、及び当該2つの面の間の電位差を第1の電極と第2の電極とで電気信号として得る場合、焦電性による電気信号が低減されて、圧電性による電気信号を選択的に得ることが可能である。
【0075】
本発明のフィルムを有するタッチパネルは、入力装置、及びタッチセンサー装置に用いることができる。当該タッチパネルを有する入力装置(すなわち、本発明の圧電フィルムを有する入力装置)は、タッチ位置、タッチ圧、又はその両方に基づく入力(例、筆圧等の押圧の大きさ(強弱)に基づく入力)が可能である。当該タッチパネルを有する入力装置、及びタッチセンサー装置は、位置検出部及び圧力検出部を有することが出来る。
【0076】
当該入力装置は、電子機器(例、携帯電話(例、スマートフォン)、携帯情報端末(PDA)、タブレットPC、ATM、自動券売機、デジタイザ、タッチパッド、カーナビゲーションシステム、FA(ファクトリー・オートメーション)機器等のタッチパネルディスプレイ(タッチパネルモニター))に用いることができる。当該入力装置を有する電子機器は、タッチ位置、タッチ圧又はその両方に基づく操作及び動作(例、ペイントソフトにおいて、筆圧に応じてスクリーンに表示される線の太さを変える等の操作)が可能である。
当該タッチセンサー装置は、電子機器(例、衝突センサー、ロボット掃除機)に用いることができる。
当該電子機器は、本発明のタッチ入力装置、又は本発明のタッチセンサー装置を備えることができ、或いは本発明のタッチ入力装置、又は本発明のタッチセンサー装置からなることもできる。
【0077】
エレクトロウエッティングデバイス
本発明のフィルムは、エレクトロウエッティングの性質を有し、エレクトロウエッティングデバイスに使用できる。ここで、当該「エレクトロウエッティング」とは、電界を用いて、フィルムの表面の濡れ性(wettability)を疎水性(撥水性)から親水性の間で変化させることを意味する。当該「エレクトロウエッティングデバイス」とは、当該「エレクトロウエッティング」を利用したデバイスを意味する。
本発明のフィルムは、光学素子、表示装置(ディスプレイ)、可変焦点レンズ、光変調装置、光ピックアップ装置、光記録再生装置、現像装置、液滴操作装置、分析機器(例、試料の分析のため微小の導電性液体を移動させる必要がある、化学、生化学、および生物学的分析機器)などにおけるエレクトロウエッティングデバイスに好適に用いることができる。
本発明のフィルムは、高い比誘電率及び低い誘電正接を有し得る。これにより、低い電圧で導電性液体を駆動できる。
【0078】
フィルムコンデンサ
また、本発明のフィルムは、高い比誘電率及び低い誘電正接を有し得るので、フィルムコンデンサ用のフィルムとしても好適に使用可能である。また、電圧を長時間印加してもフッ化ビニリデン系樹脂の特徴である高誘電性が損なわれない点でもフィルムコンデンサ用のフィルムとして有利である。
本発明のフィルムを使用したフィルムコンデンサは、例えば、本発明のフィルムの主面上にアルミニウム、亜鉛等の金属膜が形成された誘電体フィルムを得た後、当該誘電体フィルムを多層に重ねて構成することにより得られる。金属膜は、蒸着等により形成することができる。
【0079】
透明カバーフィルム
本発明のフィルムは耐候性に優れたビニリデン系樹脂からなること、及び透明性が非常に高いことから、透明カバーフィルムとしても用いることができる。この場合、例えば、ポリカーボネート又はPETフィルムを本発明のフィルムに積層することで、これらのフィルムに耐候性を付与できる。
【0080】
本発明のフィルムは、可撓性を有するので、種々の用途に好適に用いることができる。
【実施例】
【0081】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
以下、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体における、テトラフルオロエチレンに由来する繰り返し単位/フッ化ビニリデンに由来する繰り返し単位のモル比を“TFE/VDF”で表す場合がある。
【0082】
実施例1 (圧電フィルムとしての実施例)
(1) フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体(TFE/VDF=20/80)をメチルエチルケトン(MEK)に溶解させて固形分25wt%の塗料を調製し、その後、当該塗料を孔径3μmのデプスプリーツタイプのフィルター(ロキテクノ(株)ダイアIIシリーズ)で濾過することにより濾液を得た。
(2) 次に、PETフィルム上に前記濾液をダイコーターで塗布し、さらに乾燥を行うことによって、PETフィルム上にフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体フィルム(共重合体フィルムの膜厚:25μm)を作製した。この際、前記乾燥は、4つのゾーン(1ゾーンあたり2m)の乾燥温度をそれぞれ50℃/80℃/120℃/150℃に設定した乾燥炉において、周速8m/minで行った。
(3) 次いで、前記共重合体フィルムをPETフィルムから剥がし、金属電極を用いて前記共重合体フィルムを上下から挟み、300kV/cmの条件で直流電圧を室温で5分間印加することにより、前記共重合体フィルムを分極させた。
(4) その後、分極化した前記共重合体フィルムを90℃の熱風乾燥機中で5分間熱処理(アニール処理)を行うことにより、実施例1の圧電フィルムを得た。
【0083】
比較例1 (圧電フィルムとしての比較例)
フィルターで濾過しない以外は、実施例1と同様にして、比較例1の圧電フィルムを得た。
【0084】
(ワイブルプロットで99%の耐電圧欠陥値の測定方法)
最初に、上記実施例1及び比較例1の各圧電フィルムに対して、ワイブルプロットで99%の耐電圧欠陥値(V/μm)を以下のように測定(算出)した。具体的には、以下の(1)〜(5)の手順に従って測定した。
(1)各フィルムを銅板の上にしわなくセットする。
(2)球電極をフィルムに接触するようにセットする。
(3)リミット電流値を1mAにセットして100V/sで昇圧させる。
(4)短絡してリミット電流を超えた時点が耐電圧となる。
(5)20cm×10cmのフィルムに54点耐電圧を測定し、ワイブル分布にプロットする。そこで1%の故障率となったところを99%の耐電圧欠陥値とする。
(1m当たりの欠陥数の測定方法)
次に、上記実施例1及び比較例1の各圧電フィルムに対して、1m当たりの欠陥数(短絡破壊箇所数)(個/m)を以下のように測定(算出)した。具体的には、以下の(1)〜(3)の手順に従って測定した。
(1)20cm×10cmの各フィルムを上記実施例の手法にて分極処理を行う。
(2)(1)ののち、目視で破壊数をカウントする。
(3)上記操作を5枚のフィルムで行い、欠陥数をmの個数に換算した。
(外観評価)
次いで、上記実施例1及び比較例1の各圧電フィルムに対して、外観を評価した。具体的には、以下の(1)〜(2)の手順に従って評価した。
(1)各圧電フィルムを幅100mm×長さ100mmに切り出した。
(2)(1)で切り出した各圧電フィルムを目視にて確認した。
【0085】
結果を以下の表に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
以上の結果から明らかなように、デプスプリーツタイプのフィルターを用いないで圧電フィルムを作製した場合、耐電圧が低い欠陥数が多いため、分極させる時に短絡破壊する箇所が多発し、黒点の多い(外観が不良の)フィルムが得られることがわかった。
【0088】
実施例2 (フィルムコンデンサ用フィルムとしての実施例)
(1) フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体(TFE/VDF=7/93)90質量部と、カルボキシブチルセルロース10質量部を混合した。
(2) 次に、N−メチルピロリドン(NMP)とメチルエチルケトン(MEK)の混合溶媒(NMP:MEK=3:7(質量比))に対して、固形分が20wt%となるように前記共重合体及びカルボキシブチルセルロースを溶解させることにより、塗料を調製した。
(3) 次に、前記塗料を孔径3μmのデプスプリーツタイプのフィルター(ロキテクノ(株)ダイアIIシリーズ)で濾過することにより濾液を得た。
(4) 次に、PETフィルム上に前記濾液をダイコーターで塗布し、さらに乾燥を行うことによって、PETフィルム上にフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体を含むフィルムコンデンサ用フィルム(フィルムの膜厚:3μm)を作製した。この際、前記乾燥は、4つのゾーン(1ゾーンあたり2m)の乾燥温度をそれぞれ170℃/140℃/140℃/120℃に設定した乾燥炉において、周速8m/minで行った。
(5) 次いで、PETフィルムから前記フィルムコンデンサ用フィルムを剥がした後、前記フィルムコンデンサ用フィルムの一方の主面上に、抵抗が4Ωとなるようにアルミニウムを蒸着させた。
(6) 次に、前記アルミニウムが蒸着したフィルムコンデンサ用フィルムを幅30mm、長さ80mmとなるように4枚切り出し、その4枚を積層して(重ねて)積層体とした。その後、当該積層体を2枚のガラス板で挟み込みつつ、両側の端面からリードを取り出すことによって、スタンプ型のフィルムコンデンサを作製した。
【0089】
比較例2 (フィルムコンデンサ用フィルムとしての比較例)
フィルターで濾過しない以外は、実施例2と同様にして、比較例2のフィルムコンデンサ用フィルム及び当該フィルムを含むフィルムコンデンサを作製した。
【0090】
(ワイブルプロットで99%の耐電圧欠陥値の測定方法)
最初に、上記実施例2及び比較例2の各フィルムコンデンサ用フィルムに対して、ワイブルプロットで99%の耐電圧欠陥値(V/μm)を、実施例1の圧電フィルムで測定(算出)した方法と同様の方法で測定(算出)した。
(コンデンサの耐電圧の測定方法)
次に、上記実施例2及び比較例2で得られた各フィルムコンデンサに対して、1分につき100Vのスピードで昇電圧させて、短絡するまでの耐電圧を測定した。
【0091】
結果を以下の表に示す。
【0092】
【表2】
【0093】
以上の結果から明らかなように、デプスプリーツタイプのフィルターを用いないでコンデンサ用フィルム及び当該フィルムを含むフィルムコンデンサを作製した場合、当該フィルムの欠陥数が多いため、フィルムコンデンサとしての耐電圧が非常に低くなることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明のフィルムはタッチパネル、フィルムコンデンサ等に用いることができる。