特許第6409808号(P6409808)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6409808ダンパー機構及びそれを備えた画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6409808
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】ダンパー機構及びそれを備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20181015BHJP
   B41J 29/13 20060101ALI20181015BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20181015BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20181015BHJP
【FI】
   G03G21/16 147
   G03G21/16 138
   B41J29/13
   H04N1/00 519
   H05K5/03 Z
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-66004(P2016-66004)
(22)【出願日】2016年3月29日
(65)【公開番号】特開2017-181656(P2017-181656A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2017年12月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田代 義昭
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健大
【審査官】 田代 憲司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−14813(JP,A)
【文献】 特開2010−100013(JP,A)
【文献】 実開平6−76950(JP,U)
【文献】 特開2012−73559(JP,A)
【文献】 特開2006−44073(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0120756(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 15/00
B41J 29/13
H04N 1/00
G03B 27/62
H05K 5/02
H05K 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
該装置本体に対し下端部を支点として開放位置と閉鎖位置との間で上下に回動可能に支持される開閉部材と、
の間に付設され、前記開閉部材が前記閉鎖位置から前記開放位置に回動する際のモーメントを減衰させるダンパー機構であって、
前記開閉部材の内側に上下方向に沿って固定され、長手方向に沿って長孔状のガイド孔が形成される第1レール部材と、
上端部に前記ガイド孔に挿通される係合ピンが固定され、下端部が前記装置本体に回動可能に支持される第2レール部材と、
前記第2レール部材と前記第1レール部材とが接近する方向に付勢する付勢部材と、
前記係合ピンに固定され、前記係合ピンと前記ガイド孔の内周縁との間に所定の間隔を隔てた状態で前記第1レール部材と前記開閉部材とに接触しながら摺動する樹脂製の摺動部材と、
を有することを特徴とするダンパー機構。
【請求項2】
前記開閉部材の内面及び前記第1レール部材の少なくとも一方には、前記摺動部材の摺動領域に前記摺動部材との摩擦係数が前記開閉部材及び前記第1レール部材よりも大きいシート部材を配置したことを特徴とする請求項1に記載のダンパー機構。
【請求項3】
前記シート部材の厚みを調整することにより、前記第1レール部材と前記第2レール部材の摺動負荷を可変させることを特徴とする請求項2に記載のダンパー機構。
【請求項4】
前記係合ピンは、前記ガイド孔を貫通するボルトと、該ボルトに締結されるナットと、を含み、前記ボルトと前記ナットとの締め込み量を調節することにより、前記第1レール部材と前記第2レール部材の摺動負荷を可変させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のダンパー機構。
【請求項5】
前記付勢部材は、一端が前記第1レール部材の上端部に連結され、他端部が前記係合ピンに連結される第1コイルバネと、一端が前記第1レール部材の下端部に連結され、他端部が前記第2レール部材の前記係合ピンよりも下方に連結される第2コイルバネと、を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のダンパー機構。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のダンパー機構を備えた画像形成装置。
【請求項7】
前記開閉部材は、画像形成装置本体に対し開閉可能に設けられたカバー部材と、該カバー部材の内側に回動可能に支持される搬送ユニットと、を含むことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に用いられる開閉部材のダンパー機構、及びそれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の複写機、プリンター、デジタル複合機等の画像形成装置では、画像形成装置全体の小型化のために、画像形成装置本体の側面近傍であって垂直方向に用紙の搬送路を設けている場合が多い。垂直方向に設けられた搬送路には、用紙を搬送するための搬送ローラー対が配置されている。この搬送ローラー対の一方のローラーや、像担持体に圧接されて転写ニップ部を形成する転写ローラー等が付設された搬送ユニットを設け、画像形成装置本体に対し搬送ユニットを開閉可能な構造とすることにより、搬送路の広範囲を露出させてジャム処理やメンテナンスの作業を行うことが一般的である。
【0003】
そこで、搬送ユニットの開閉時における操作性を向上させる方法が提案されており、特許文献1、2には、開閉ユニットを閉じる方向に付勢するダンパー機構を備えた画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−142271号公報
【特許文献2】特開2007−57880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の搬送ユニットは、搬送ローラーや転写ローラーを含む用紙搬送路の大部分を構成しており、大きな重量を有している。また、近年、画像形成装置の省スペース化の実現のために複合機の搬送路を一体構成したり、或いはジャム処理性の向上のために給紙部の搬送路を一体構成したりするなど、搬送ユニットはさらに大型化、重量化している。特に、垂直搬送式の画像形成装置においては、給紙部から排出部に至る用紙搬送路、及び両面搬送路を一体構成し、ジャム処理時に搬送ユニットを開放することで搬送路全体を一括して開放可能とした構成が広く採用されている。
【0006】
この場合、搬送ユニットの重量が大幅に増加するため、特許文献1、2に記載のダンパー機構では、搬送ユニットの開放時に重量感や衝撃、金属部材の接触音を感じる等、操作性が低下したり、搬送ユニットの開閉を繰り返したときの耐久性が低下したりするという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑み、開閉部材の開閉時における重量感や衝撃、金属部材同士の接触音等を簡単な構成で軽減することにより操作性を向上可能なダンパー機構及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、装置本体と開閉部材との間に付設され、開閉部材が閉鎖位置から開放位置に回動する際のモーメントを減衰させるダンパー機構である。開閉部材は、装置本体に対し下端部を支点として開放位置と閉鎖位置との間で上下に回動可能に支持される。ダンパー機構は、第1レール部材と、第2レール部材と、付勢部材と、摺動部材と、を有する。第1レール部材は、開閉部材の内側に上下方向に沿って固定され、長手方向に沿って長孔状のガイド孔が形成される。第2レール部材は、上端部にガイド孔に挿通される係合ピンが固定され、下端部が装置本体に回動可能に支持される。付勢部材は、第1レール部材と第2レール部材とが接近する方向に付勢する。摺動部材は樹脂製であって、係合ピンに固定され、第1レール部材と開閉部材とに接触しながら摺動するとともに、係合ピンとガイド孔の内周縁との接触を回避する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1の構成によれば、第1レール部材のガイド孔に係合する第2レール部材の係合ピンに樹脂製の摺動部材を固定して係合ピンとガイド孔の内周縁との接触を回避することにより、第1レール部材と第2レール部材が摺動する際の金属部材同士の接触による摺動音や摩耗を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のダンパー機構40を備えた画像形成装置100の全体構成を示す概略断面図
図2】本実施形態の画像形成装置100における用紙搬送路14、反転搬送路21周辺の断面図
図3】側面カバー33及び搬送ユニット35を開放した状態を示す側面図
図4】本発明の第1実施形態に係るダンパー機構40を長手方向に沿って切断した側面断面図であり、側面カバー33を開放した状態を示す図
図5】第1実施形態のダンパー機構40を長手方向に沿って切断した側面断面図であり、側面カバー33を閉鎖した状態を示す図
図6】第1実施形態のダンパー機構40を摺動部材50の位置で長手方向と垂直な方向に切断した断面図
図7】本発明の第2実施形態に係るダンパー機構40を摺動部材50の位置で長手方向と垂直な方向に切断した断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明のダンパー機構40を備えた画像形成装置100の概略構成を示す断面図である。画像形成装置100は、本実施形態では、異なる4色(マゼンタ、シアン、イエローおよびブラック)に対応する4つの感光体ドラム1a、1b、1cおよび1dを並列配置して画像形成を行う、4連タンデム型のカラー複写機である。
【0012】
画像形成装置100の装置本体内には、4つの画像形成部Pa、Pb、PcおよびPdが、図1では左側から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(マゼンタ、シアン、イエローおよびブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像および転写の各工程によりマゼンタ、シアン、イエローおよびブラックの画像を順次形成する。
【0013】
これらの画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する上記した感光体ドラム1a〜1dがそれぞれ配設されており、さらに図1において反時計回り方向に回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa〜Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a〜1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次転写された後、二次転写ローラー9において用紙P上に一度に転写され、さらに、定着装置15において用紙P上に定着された後、画像形成装置100より排出される。感光体ドラム1a〜1dを図1において時計回り方向に回転させながら、各感光体ドラム1a〜1dに対する画像形成プロセスが実行される。
【0014】
トナー像が転写される用紙Pは、画像形成装置100本体下部に配置された用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12、レジストローラー対13、用紙搬送路14を介して二次転写ローラー9へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、主に継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが用いられる。中間転写ベルト8および二次転写ローラー9は、ベルト駆動モーター(図示せず)により感光体ドラム1a〜1dと同一線速で回転駆動される。また、二次転写ローラー9の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナー等を除去するためのブレード状のベルトクリーナー19が配置されている。
【0015】
次に、画像形成部Pa〜Pdについて説明する。回転可能に配設された感光体ドラム1a〜1dの周囲および下方には、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる帯電装置2a、2b、2cおよび2dと、各感光体ドラム1a〜1dに対して画像データに基づく露光を行う露光ユニット5と、感光体ドラム1a〜1d上に形成される静電潜像をトナーで現像する現像装置3a、3b、3cおよび3dと、感光体ドラム1a〜1d上でトナー像の転写後に残留した現像剤(トナー)を回収、除去するクリーニング装置7a、7b、7cおよび7dとが設けられている。
【0016】
画像読取部23は、複写時に原稿を照明するスキャナーランプや原稿からの反射光の光路を変更するミラーが搭載された走査光学系、原稿からの反射光を集光して結像する集光レンズ、及び結像された画像光を電気信号に変換するCCDセンサー等(いずれも図示せず)から構成されており、原稿画像を読み取って画像データに変換する。
【0017】
コピー動作を行う場合、画像読取部23において原稿の画像データを読み取り画像信号に変換する。一方、帯電装置2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させ、次いで露光ユニット5によって画像データに基づいて光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dは、感光体ドラム1a〜1dに対向配置された現像ローラー(現像剤担持体)を備え、それぞれマゼンタ、シアン、イエローおよびブラックの各色のトナーを含む二成分現像剤が所定量充填されている。
【0018】
なお、後述のトナー像の形成によって各現像装置3a〜3d内に充填された二成分現像剤中のトナーの割合が規定値を下回った場合にはコンテナ4a〜4dから各現像装置3a〜3dに現像剤が補給される。この現像剤中のトナーは、現像装置3a〜3dにより感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光ユニット5の露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0019】
そして、一次転写ローラー6a〜6dにより一次転写ローラー6a〜6dと感光体ドラム1a〜1dとの間に所定の転写電圧を付与することにより、感光体ドラム1a〜1d上のマゼンタ、シアン、イエローおよびブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。一次転写ローラー6a〜6dは、一次転写駆動モーター(図示せず)により感光体ドラム1a〜1dおよび中間転写ベルト8と同一線速で回転駆動される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナーがクリーニング装置7a〜7dにより除去される。
【0020】
中間転写ベルト8は、従動ローラー10及び駆動ローラー11に掛け渡されており、上記ベルト駆動モーターによる駆動ローラー11の回転に伴い中間転写ベルト8が反時計回り方向に回転を開始すると、用紙Pがレジストローラー対13から所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ローラー9と中間転写ベルト8のニップ部(二次転写ニップ部)へ搬送され、ニップ部において用紙P上にフルカラー画像が二次転写される。トナー像が転写された用紙Pは用紙搬送路14を介して定着装置15へと搬送される。
【0021】
定着装置15に搬送された用紙Pは、定着ローラー対15aのニップ部(定着ニップ部)を通過する際に加熱および加圧されてトナー像が用紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された用紙Pは、複数方向に分岐した分岐部17によって搬送方向が振り分けられる。用紙Pの片面のみに画像を形成する場合は、そのまま排出ローラー対18によって排出トレイ20に排出される。
【0022】
一方、用紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着装置15を通過した用紙Pの一部を一旦排出ローラー対18から装置外部にまで突出させる。その後、排出ローラー対18を逆回転させることにより用紙Pは分岐部17で反転搬送路21に振り分けられ、画像面を反転させた状態で二次転写ローラー9に再搬送される。そして、中間転写ベルト8上に形成された次の画像が二次転写ローラー9により用紙Pの画像が形成されていない面に転写され、定着装置15に搬送されてトナー像が定着された後、排出ローラー対18によって排出トレイ20に排出される
【0023】
図2は、図1の画像形成装置100における用紙搬送路14、反転搬送路21周辺の断面図である。側面カバー33は、画像形成装置100の側面102を構成し、画像形成装置100本体の下方に設けられた支点33aに回動可能に支持されている。側面カバー33の内側面は反転搬送路21の一方の搬送面を構成しており、画像形成装置100に対し側面カバー33のみを開方向に回動させることにより、反転搬送路21が広範囲に露出する。また、側面カバー33を搬送ユニット35と共に開方向に回動させることにより、搬送ユニット35が画像形成装置100本体側から離間して用紙搬送路14が広範囲に露出する。一方、側面カバー33を搬送ユニット35と共に閉方向に回動させることにより、搬送ユニット35が画像形成装置100本体側に当接して二次転写ローラー9が駆動ローラー11に押圧される。
【0024】
側面カバー33の内側には搬送ユニット35が配置されている。搬送ユニット35は支軸35aを中心として画像形成装置100本体に回動可能に支持されており、反転搬送路21と用紙搬送路14の搬送面の一部を構成する。反転搬送路21は、側面カバー33と搬送ユニット35との間で画像形成装置100の側面102に沿って上下方向に延び、略C字状に湾曲して用紙搬送路14に合流する構造となっている。
【0025】
搬送ユニット35の内側面には、用紙の搬送方向上流側(図2の下側)から順に、レジストローラー対13を構成する片側のローラー13b、第1ローラーである二次転写ローラー9が付設されている。二次転写ローラー9は中間転写ベルト8を挟んで第2ローラーである駆動ローラー11を押圧している。
【0026】
反転搬送路21のジャム処理を行う場合、図2の状態から側面カバー33のみを時計回り方向に回動させることで反転搬送路21が開放される。一方、用紙搬送路14のジャム処理を行う場合、側面カバー33と共に搬送ユニット35を時計回り方向に回動させることで用紙搬送路14が開放される。このとき、二次転写ローラー9は駆動ローラー11から離間し、レジストローラー対13を構成する一方のローラー13bは他方のローラー13aから離間する。そして、用紙を取り除いた後、搬送ユニット35及び側面カバー33を図2の反時計回り方向に回動させて再び図2の状態に戻すことで、搬送ユニット35は二次転写ローラー9が駆動ローラー11に圧接され、ローラー13bがローラー13aに圧接される位置に配置される。
【0027】
ところで、図2の状態から側面カバー33と共に搬送ユニット35を開方向に回動させる場合、側面カバー33を把持した際の重量感や、側面カバー33が開放位置に到達した際に衝撃を感じる等、操作性を低下させていた。そこで、本実施形態の画像形成装置100では、搬送ユニット35の開閉に必要な力を軽減するとともに、開閉時の衝撃を緩和するためのダンパー機構40を備えている。
【0028】
図3は、側面カバー33及び搬送ユニット35を開放した状態を示す側面図、図4及び図5は、それぞれ側面カバー33を開放した状態、及び閉じた状態における本発明の第1実施形態に係るダンパー機構40を長手方向に沿って切断した側面断面図、図6は、ダンパー機構40を摺動部材50の位置で長手方向と垂直な方向に切断した断面図(図5のAA′矢視断面図)である。なお、図3では側面カバー33及び搬送ユニット35を画像形成装置100の背面側(図2の紙面奥側)から見た状態を示しており、側面カバー33の開閉方向は図2と左右が逆になっている。
【0029】
また、ダンパー機構40は側面カバー33の左右の側端部に一対設けられており、図4及び図5は、側面カバー33の一端側(背面側)に設けられたダンパー機構40を示している。側面カバー33の他端側(前面側)に設けられたダンパー機構40も全く同様の構成である。
【0030】
ダンパー機構40は、第1レール部材41、第2レール部材43、第1コイルバネ45、第2コイルバネ47、及び摺動部材50を含む。
【0031】
第1レール部材41は金属板を断面視コ字形に折り曲げて形成されており、側面カバー33の内面に上下方向に沿って固定されている。第1レール部材41には、長手方向中央から下方に亘って長孔状のガイド孔41aが形成されている。
【0032】
第2レール部材43は金属板を折り曲げて形成されており、下端部が本体フレーム101の支持部101aに回動可能に支持されるとともに、上端部には第1レール部材41のガイド孔41aに挿通される金属製の係合ピン43aが固定されている。図6に示すように、係合ピン43aの外径d1はガイド孔41aの内径d2よりも小さくなっている。
【0033】
第1レール部材41、第2レール部材43を併せた長さ(連結長)は、係合ピン43aがガイド孔41aの範囲で移動することによって伸縮する。即ち、係合ピン43aがガイド孔41aの下端部に位置するとき第1レール部材41、第2レール部材43の連結長が最大となる。また、係合ピン43aがガイド孔41aの上端部に位置するとき第1レール部材41、第2レール部材43の連結長が最小となる。
【0034】
第1コイルバネ45は、一端が第1レール部材41の上端部に連結され、他端部が係合ピン43aに連結されている。第2コイルバネ47は、一端が第1レール部材41の下端部に連結され、他端が第2レール部材43の下方に連結されている。第1コイルバネ45、第2コイルバネ47が伸縮することでダンパー効果を発揮する。
【0035】
摺動部材50は、ピン43aの外周部に固定される樹脂製の部材であり、第1レール部材41の内面に沿って摺動可能に支持されている。図6に示すように、摺動部材50は互いに対向する側面部50a、50bと、側面部50a、50bの端部を連結する連結部50cとで構成される断面視コ字形であり、側面部50a、50bを貫通するように係合ピン43aが固定されている。そして、側面部50a、50bで挟まれた部分から露出する係合ピン43aの外周面に第1コイルバネ45の端部が係合している。
【0036】
また、側面部50a、50bの先端は側面カバー33の内面に当接しており、連結部50cは第1レール部材41の内面に当接している。即ち、摺動部材50によって係合ピン43aはガイド孔41aの周縁部から所定の間隔を隔てて保持され、ガイド孔41aと係合ピン43aとが接触しないように構成されている。
【0037】
次に、側面カバー33と共に搬送ユニット35を回動させて用紙搬送路14を開放する際の動作について説明する。側面カバー33が閉位置にある状態では、図5に示すように係合ピン43a、摺動部材50はガイド孔41aの上端部に位置しており、第1レール部材41、第2レール部材43の連結長は最小となっている。また、第1コイルバネ45、第2コイルバネ47は自然長に収縮している。
【0038】
先ず、開閉レバー34(図2参照)の下端に指を掛けて引き上げることにより、側面カバー33の両側端に設けられたフック37(図3参照)が回動して画像形成装置100本体側の係合部(図示せず)との係合が解除される。そして、支点33aを中心に側面カバー33を下方向に回動することにより、側面カバー33と共に搬送ユニット35も支軸35aを中心に下方向(図3の反時計回り方向)に回動する。搬送ユニット35の重量が大きくなるにつれて側面カバー33及び搬送ユニット35の回動によって発生するモーメントも大きくなる。その結果、側面カバー33及び搬送ユニット35が下方向へ勢いよく回動することになる。
【0039】
側面カバー33の回動に伴い、側面カバー33の内側に固定された第1レール部材41と、本体フレーム101に回動可能に支持された第2レール部材43とが離間し、係合ピン43aが摺動部材50と共にガイド孔41aに沿って下方に移動する。また、第1レール部材41と第2レール部材43とが伸長することにより第1コイルバネ45、第2コイルバネ47が引き伸ばされる。このとき、第1コイルバネ45、第2コイルバネ47の付勢力が側面カバー33及び搬送ユニット35の回動により発生するモーメントを減衰する方向に作用する。
【0040】
即ち、第1コイルバネ45、第2コイルバネ47の付勢力が側面カバー33及び搬送ユニット35を開放する際のダンパーとして作用するため、側面カバー33及び搬送ユニット35の開放速度を低下させる。これにより、ユーザーによる側面カバー33及び搬送ユニット35の開放操作の安全性を高めることができる。
【0041】
また、側面カバー33及び搬送ユニット35を上方向に回動させて閉鎖する際は、引き伸ばされた第1コイルバネ45、第2コイルバネ47の復元力が側面カバー33及び搬送ユニット35を上方向に回動させるための補助力として作用するため、ユーザーによる側面カバー33及び搬送ユニット35の閉鎖操作の負荷を軽減することができる。
【0042】
また、本実施形態では、第2レール部材43の係合ピン43aに摺動部材50を固定し、側面カバー33と第1レール部材41とに摺動部材50を当接させることにより、第1レール部材41と第2レール部材43が伸縮する際に係合ピン43aがガイド孔41aの内周縁に接触しない。従って、金属部材同士の接触による摺動音や摩耗を抑制することができる。
【0043】
さらに、図4に示すように、側面カバー33の内面には、摺動部材50の摺動領域にスポンジ製のシート部材51が貼り付けられている。シート部材51と摺動部材50との摩擦係数は、側面カバー33と摺動部材50との摩擦係数より大きい。これにより、摺動部材50とシート部材51との間で摩擦力が発生するため、第1コイルバネ45、第2コイルバネ47の付勢力に加えて摺動部材50とシート部材51との摩擦力が側面カバー33及び搬送ユニット35を閉鎖する際のダンパーとして作用する。
【0044】
従って、ダンパー効果をより向上させることができ、側面カバー33及び搬送ユニット35を開放位置にゆっくりと停止させることができる。また、引き伸ばされた第1コイルバネ45、第2コイルバネ47の復元力による側面カバー33及び搬送ユニット35の開放位置からの跳ね上がりも抑制される。
【0045】
摺動部材50とシート部材51との摩擦力は、摺動部材50とシート部材51との圧接力によって変化する。また、摺動部材50と側面カバー33の内面との距離は一定であるため、摺動部材50とシート部材51との圧接力はシート部材51の厚みによって変化する。つまり、シート部材51の厚みを調節することで第1レール部材41と第2レール部材43の摺動負荷を可変させることができる。そこで、側面カバー33及び搬送ユニット35の回動により発生するモーメントと、ダンパー機構40のダンパー効果とがつり合うようにシート部材51の厚みを調整することで、側面カバー33を閉位置と最大開放位置との間の任意の位置で停止させるフリーストップ機能を付与することができる。
【0046】
図7は、本発明の第2実施形態に係るダンパー機構40の摺動部材50周辺を第2レール部材43側から見た側面図である。本実施形態では、摺動部材50に挿通される係合ピン43aをボルト53、ナット55、ワッシャー57で構成している。また、第1レール部材41の外側面と第2レール部材43の内側面との間に弾性部材60を介在させている。ダンパー機構40の他の部分の構成は第1実施形態と同様である。
【0047】
本実施形態によれば、ボルト53とナット55とを締め込むことで、弾性部材60を介して第1レール部材41に当接する第2レール部材43の圧接力が大きくなる。つまり、ボルト53とナット55との締め込み量を調節することで第1レール部材41と第2レール部材43の摺動負荷を可変させることができる。従って、側面カバー33及び搬送ユニット35の回動により発生するモーメントと、ダンパー機構40のダンパー効果とがつり合うようにボルト53とナット55との締め込み量を調節することにより、側面カバー33を閉位置と最大開放位置との間の任意の位置で停止させるフリーストップ機能を付与することができる。
【0048】
なお、本実施形態では第1レール部材41の外側面と第2レール部材43の内側面との間に弾性部材60を介在させているが、弾性部材60を介在させる代わりに、ワッシャー57を波形ワッシャーとすることもできる。
【0049】
その他、本発明は上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記各実施形態では、側面カバー33の内面における摺動部材50の摺動領域にスポンジ製のシート部材51を貼りつけたが、シート部材51の材質は摺動部材50との摩擦係数が側面カバー33よりも大きい材料であればスポンジに限らず、例えばゴム製であってもよい。また、側面カバー33の内面に代えて、或いは側面カバー33の内面と共に、第1レール部材41の内面における摺動部材50の摺動領域にシート部材51を貼りつけてもよい。
【0050】
また、上記各実施形態では、側面カバー33と搬送ユニット35の開閉時の衝撃を緩和するためのダンパー機構40を設けたが、本発明のダンパー機構40はこれに限らず、開閉操作を行う他の開閉部材にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に用いられる開閉部材のダンパー機構に利用することができる。本発明の利用により、開閉部材の開閉時における重量感や衝撃、接触音等を簡単な構成で軽減することにより操作性を向上可能なダンパー機構及びそれを備えた画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0052】
14 用紙搬送路
21 反転搬送路
33 側面カバー(カバー部材)
33a 支点
34 開閉レバー
35 搬送ユニット
35a 支軸
40 ダンパー機構
41 第1レール部材
41a ガイド孔
43 第2レール部材
43a 係合ピン
45 第1コイルスプリング(付勢部材)
47 第2コイルスプリング(付勢部材)
50 摺動部材
51 シート部材
53 ボルト
55 ナット
100 画像形成装置
101 本体フレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7