(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
合成樹脂を含む基材部と、前記基材部の少なくとも一部を被覆するエラストマを含む軟質部とを備え、前記基材部は、ハンドル基材部と、前記ハンドル基材部の先端部に連設した細長い軸状の芯基材部とを有し、前記軟質部は、前記芯基材部を被覆する清掃用軟質部を少なくとも有し、前記ハンドル基材部からなる持ち手としてのハンドル部と、前記芯基材部と清掃用軟質部とからなる歯間清掃用の清掃部とを備え、前記芯基材部が、外部に露出する露出部と、それに連設され、前記エラストマ材料が被覆される芯本体とからなり、前記芯本体の先端側部分の直径が0.4mm〜0.6mmであり、かつ前記芯本体の基端側部分の直径が0.8mm〜2.0mmである歯間清掃具の製造方法であって、
第1金型の第1成形空間に合成樹脂材料を供給して、基材部を成形する基材部成形工程と、
前記基材部成形工程にて成形した基材部を、前記軟質部を成形する第2金型の第2成形空間にセットし、第2成形空間にエラストマ材料を充填して軟質部を成形する軟質部成形工程とよりなり、
前記第2金型に、前記セットされる基材部の芯基材部を第2成形空間の清掃用軟質部成形部の中央部に保持する保持ピンを複数本設けるとともに、
前記保持ピンのうち少なくとも一つの保持ピンと、該保持ピンが支持する前記芯基材部の外周部位に対して周方向の角度位置が90度以上ずれた部位を支持する保持ピンとの各先端支持面を、前記清掃用軟質部成形部の軸方向からみて両側部に比べ中央部が窪んだ凹形状であり、少なくとも両側部に前記芯基材部の外表面に当初から当接する領域を有し、かつ前記中央部が当初、前記芯基材部の外表面に当接することなく該外表面との間に隙間を維持する形状としたことを特徴とする歯間清掃具の製造方法。
前記保持ピンにより、前記清掃部の第1側部と第2側部のそれぞれに、前記清掃用軟質部を貫通して、前記芯基材部に凹部を形成する清掃部凹部を、前記清掃用軟質部の軸方向に間隔をあけてそれぞれ複数個形成し、
前記複数の清掃部凹部のうちの少なくとも1つを、前記芯基材部に形成される芯基材部凹部の開口形状が前記清掃部の軸方向に長い形状であることを特徴とする請求項1記載の歯間清掃具の製造方法。
前記保持ピンにより、前記清掃部の第1側部と第2側部のそれぞれに、前記清掃用軟質部を貫通して、前記芯基材部に芯基材部凹部を形成する清掃部凹部を、前記清掃部の軸方向に間隔をあけて2個以上形成し、
第1側部と第2側部とで対をなす複数組の清掃部凹部のうちの少なくとも1組の2個の清掃部凹部を、前記清掃部の周方向に重複しないように、前記清掃部の軸方向に間隔をあけて形成し、
第1側部と第2側部とで対をなす清掃部凹部が、第1側部の清掃用凹部と、清掃部の先端から数えて前記第1側部の清掃用凹部と同じ番目の第2側部の清掃用凹部と、である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の歯間清掃具の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、保持ピンの数や断面積を増やすことなく芯基材部を安定保持でき、これにより芯基材部に形成される凹部が深くなることも防止でき、よって歯間への挿入時や歯間清掃時における芯基材部の折れの発生を効果的に防止することができるとともに、清掃部の設計の自由度も維持できる歯間清掃具の製造方法及び製造装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の発明を包含する。
(歯間清掃具の製造方法)
(1) ハンドル基材部と、前記ハンドル基材部の先端部に連設した細長い軸状の芯基材部とを有する、合成樹脂を含む基材部と、前記基材部の少なくとも一部を被覆するエラストマを含む軟質部とを備え、前記軟質部は、前記芯基材部を被覆する清掃用軟質部を少なくとも有し、前記ハンドル基材部からなる持ち手としてのハンドル部と、前記芯基材部と清掃用軟質部とからなる歯間清掃用の清掃部とを備えた歯間清掃具の製造方法であって、第1金型の第1成形空間に合成樹脂材料を供給して、基材部を成形する基材部成形工程と、前記基材部成形工程にて成形した基材部を、前記軟質部を成形する第2金型の第2成形空間にセットし、第2成形空間にエラストマ材料を充填して軟質部を成形する軟質部成形工程とよりなり、前記第2金型に、前記セットされる基材部の芯基材部を第2成形空間の清掃用軟質部成形部の中央部に保持する保持ピンを複数本設けるとともに、前記保持ピンのうち少なくとも一つの保持ピンと、該保持ピンが支持する前記芯基材部の外周部位に対して周方向の角度位置が90度以上ずれた部位を支持する保持ピンとの各先端支持面を、前記清掃用軟質部成形部の軸方向からみて両側部に比べ中央部が窪んだ凹形状であり、且つ少なくとも両側部に前記芯基材部の外表面に当初から当接する領域を有する形状としたことを特徴とする歯間清掃具の製造方法。
【0011】
(2) 前記一つの保持ピンとその他の保持ピンを含め、これら保持ピンにより芯基材部に形成される凹部の最大深さを0.01mm以上0.085mm以下、より好ましくは0.01mm以上0.06mm以下に設定される、(1)記載の歯間清掃具の製造方法。このような深さであれば、凹部の形成位置における芯基材部の横断面積(芯基材部の軸方向に直交する断面積)を十分に確保し、該部分における応力集中の発生を抑制するとともに、応力が集中する位置に凹部構造が存在しても芯基材部構造変化に影響を与えにくくなることから、歯間への挿入時や歯間清掃時における芯基材部の折れをより確実に防止できる。なお、「芯基材部に形成される凹部の最大深さ」とは、芯基材部凹部の開口部の外面から底面までの最短距離のうち最も大きな距離を意味する。すなわち、
図22に示すように、芯基材部の長さ方向の中心線(
図22のCL)を通る平面(
図22のBS)と芯基材部凹部の端との接点(
図22のB点およびT点)を結ぶ直線(
図22のUL)を設定する。次に、ULの任意の点からCLに対して降ろした垂線(
図22のDL)を設定する。このDLにおけるULとの交点(
図22のC1)と、芯基材部凹部の底面(
図22のCS)との交点(
図22のC2)、を結ぶ直線(
図22のDLa)の長さについて測定する。DLaの長さの測定は、B点とT点間(UL直線間)で測定しつつ、BSをCL中心に回転させながら行い、得られたDLa数値の最大値を「芯基材部の外周面からの芯基材部凹部の最大深さ」とする。また、清掃部の第1側部と第2側部とは、清掃部を成形する第2金型における、一方の金型にて成形される清掃部の外周面の片側半部と、他方の金型にて成形される清掃部の外周面の残りの片側半部を意味する。
【0012】
(3) 前記一つの保持ピンとその他の保持ピンを含め、これら保持ピンにより芯基材部に形成される凹部に対応する位置における芯基材部の最大横断面積を、該芯基材部凹部に隣接する位置での芯基材部の横断面積の55.0〜99.6%、より好ましくは70.0〜99.0%、さらに好ましくは80.0〜97.9%、最も好ましくは90.0〜97.9%に設定した、(1)又は(2)記載の歯間清掃具の製造方法。このように構成すると、各々の芯基材部凹部において集中する応力をより効果的に少なくして芯基材部の折れを一層効果的に防止できる。なお、「芯基材部の横断面積」とは、芯基材部の中心線(
図22のCL)に対して垂直な平面(
図22のVS)と芯基材部が接する部分の面積を意味する。また、「芯基材部凹部に隣接する位置」とは、
図22の芯基材部の軸方向の中心線(CL)に対して垂直な面VSが芯基材部凹部の端との接点を一つだけ有する場合の前記垂直な面VSとCLとの交点位置を意味する。一つの芯基材部凹部において「芯基材部凹部に隣接する位置」は2箇所存在する。これら2つの点における横断面積各々に対して、前記芯基材部凹部に対応する位置における芯基材部の最大横断面積を算出し、得られた2つの算出値がともに前記範囲内に存在する必要がある。また、「芯基材部に形成される凹部に対応する位置」とは、芯基材部の軸方向の中心線(CL)に対して垂直な面VSが芯基材部凹部の端との接点を有する場合の前記垂直な面VSとCLとの交点位置を意味する。すなわち、前記2つの「芯基材部凹部に隣接する位置」を結んだCL上の直線が相当する。
【0013】
(4) 前記保持ピンにより、前記清掃部の第1側部と第2側部のそれぞれに、前記清掃用軟質部を貫通して、前記芯基材部に凹部を形成する清掃部凹部を、前記清掃用軟質部の軸方向に間隔をあけてそれぞれ複数個形成し、前記複数の清掃部凹部のうちの少なくとも1つを、前記芯基材部に形成される芯基材部凹部の開口形状が前記清掃部の軸方向に長い形状であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の歯間清掃具の製造方法。このような製造方法によれば、清掃部凹部の清掃部周方向に沿った幅が広くなることを回避し、清掃用軟質部に突起部を設ける場合の突起部配設レイアウトなどの設計の自由度を向上できる。
【0014】
(5) 前記軸方向に長い芯基材部凹部の開口面積が、0.15mm
2以上0.6mm
2以下、より好ましくは0.17mm
2以上0.5mm
2以下、さらに好ましくは0.2mm
2以上0.4mm
2以下の、(1)〜(4)のいずれかに記載の歯間清掃具の製造方法。なお、「芯基材部凹部の開口面積」とは、第2金型を用いた成形時における、保持ピンと芯基材部の接触していた面積を意味し、本願発明の歯間清掃具においてはエラストマを含む軟質部で被覆されていない芯基材部部分(
図22のCS)の面積として確認することができる。
【0015】
(6) 前記第2成形空間の長さ方向に長い形状の保持ピンの横断面積を、0.15mm
2以上0.6mm
2以下、より好ましくは0.17mm
2以上0.5mm
2以下、さらに好ましくは0.2mm
2以上0.4mm
2以下に設定した、(1)〜(5)のいずれかに記載の歯間清掃具の製造方法。なお、「第2成形空間の長さ方向に長い形状」とは、芯基材部の軸方向における保持ピンのピン先形状の最大長さと、芯基材部の軸に垂直な平面方向における保持ピンのピン先形状の最大長さを対比した場合、芯基材部の軸方向における保持ピンのピン先形状の最大長さの方が大きい形状を意味する。
【0016】
(7) 前記軸方向に長い芯基材部凹部の該軸方向の最大の長さが、0.4mm以上1.5mm以下、より好ましくは0.4mm〜1.3mm以下、さらに好ましくは0.5mm以上1.1mm以下、最も好ましくは0.6mm〜1.0mm以下である、(1)〜(6)のいずれかに記載の歯間清掃具の製造方法。なお、「芯基材部凹部の該軸方向の最大の長さ」とは、芯基材部軸の中心線(
図22のCL)を含む平面(
図22のBS)と、芯基材部凹部の境界線との2つの交点(
図22のT、B)から芯基材部軸の中心線(
図22のCL)に対して垂線(
図22のDL方向の線)を引く。その時の垂線とCLとの交点間の距離を「芯基材部凹部の該軸方向の長さ」とする。BSをCLを中心に回転させたときに得られる「芯基材部凹部の該軸方向の長さ」のうち、最も大きい長さを、「芯基材部凹部の該軸方向の最大の長さ」とする。
【0017】
(8) 前記第2成形空間の長さ方向に長い形状の保持ピンの横断面の該第2成形空間の長さ方向に沿った最大の長さを、0.4mm以上1.5mm以下、より好ましくは0.4mm〜1.3mm以下、さらに好ましくは0.5mm以上1.1mm以下、最も好ましくは0.6mm〜1.0mm以下に設定した、(1)〜(7)のいずれかに記載の歯間清掃具の製造方法。
【0018】
(9) 前記芯基材部の先端から5.5mm〜7.0mmの範囲内の所定箇所に対応させて、前記第2金型の第1型及び第2型に前記第2成形空間の長さ方向に長い形状の保持ピンをそれぞれ形成した、(1)〜(8)のいずれかに記載の歯間清掃具の製造方法。
【0019】
(10) 前記軸方向に長い芯基材部凹部の芯基材部の外周面からの芯基材部凹部の最大深さが、0.03mm以下、より好ましくは0.01mm以上0.02mm以下に設定された、(1)〜(9)のいずれかに記載の歯間清掃具の製造方法。このような歯間清掃具の製造方法によれば、歯間に対する清掃部の挿入時や、清掃部による歯間清掃時において、清掃部に曲げの力が作用したときに、芯基材部凹部の形成位置に大きな応力の集中が発生して芯基材部が折れることを防止できる歯間清掃具を製造できる。なお、「芯基材部の外周面からの芯基材部凹部の最大深さ」とは、芯基材部凹部の開口部の外面から底面までの最短距離のうち最も大きな距離を意味する。すなわち、
図22に示すように、芯基材部の長さ方向の中心線(
図22のCL)を通る平面(
図22のBS)と芯基材部凹部の端との接点(
図22のB点およびT点)を結ぶ直線(
図22のUL)を設定する。次に、ULの任意の点からCLに対して降ろした垂線(
図22のDL)を設定する。このDLにおけるULとの交点(
図22のC1)と、芯基材部凹部の底面(
図22のCS)との交点(
図22のC2)、を結ぶ直線(
図22のDLa)の長さについて測定する。DLaの長さの測定は、B点とT点間(UL直線間)で測定しつつ、BSをCL中心に回転させながら行い、得られたDLa数値の最大値を「芯基材部の外周面からの芯基材部凹部の最大深さ」とする。
【0020】
(11) 前記保持ピンにより、前記清掃部の第1側部と第2側部のそれぞれに、前記清掃用軟質部を貫通して、前記芯基材部に芯基材部凹部を形成する清掃部凹部を、前記清掃部の軸方向に間隔をあけて2個以上形成し、第1側部と第2側部とで対をなす複数組の清掃部凹部のうちの少なくとも1組の2個の清掃部凹部を、前記清掃部の周方向に重複しないように、前記清掃部の軸方向に間隔をあけて形成した、(1)〜(10)のいずれか記載の歯間清掃具の製造方法。このような歯間清掃具の製造方法によれば、軟質部の成形時に、芯基材部の第1側部と第2側部とに交互に芯基材部凹部が形成され、芯基材部の軸方向の同じ位置に1対の芯基材部凹部が形成されることを防止できるので、芯基材部凹部に対応する位置における芯基材部の横断面積を大きくして、芯基材部の折れの発生を防止できる。また、保持ピンが第2成型空間の周方向に重複しない場合、第1側部と第2側部の保持ピンが芯基材部の異なる位置に対して力を与えるため、周方向に重複する保持ピンの場合に比べ、軟質部成型時における芯基材部の振動が抑えられる。従って、形成される芯基材部凹部の深さが浅くなり、芯基材部凹部に対応する位置における芯基材部の横断面積が大きくなって、芯基材部の折れの発生を防止できる。更に、芯基材部の長さ方向に対する保持ピンの間隔が実質的に短くなるので、芯基材部を安定性良く保持することが可能となる。なお、「周方向に重複しない」とは、組を成す2本の保持ピンにより形成される清掃部凹部を清掃部の円周方向に移動させた場合であっても、2つの清掃部凹部が重なり合うことがない位置関係にあることを意味する。
【0021】
(12) 前記軸方向に対して間隔をあけて形成した少なくとも1組の清掃部凹部における、前記清掃部の軸方向に対する間隔を、該清掃部凹部の軸方向の最大長さの1/4以上の長さに設定した、(1)〜(11)のいずれかに記載の歯間清掃具の製造方法。
【0022】
(13) 前記各先端支持面を、前記中央部が当初、前記芯基材部の外表面に当接することなく該外表面との間に隙間を維持する形状とする、(1)〜(12)のいずれか記載の歯間清掃具の製造方法。
【0023】
(14) 前記第2金型を第1型と第2型とより構成し、前記一つの保持ピンとその他の保持ピンを含めて、第1型及び第2型にそれぞれ保持ピンを設け、これら第1型の保持ピンと第2型の保持ピンを互いに対面状に設ける、(1)〜(13)のいずれかに記載の歯間清掃具の製造方法。ここにおいて対面状とは、対になる保持ピンの先端部が接触する部位を結んだ直線が、芯基材部の軸中心付近を通過する位置にあることを意味する。清掃部凹部は第2金型に設けた保持ピンにより形成されるので、第2成形空間の中央部に対して複数の保持ピンにより芯基材部を安定性良く保持することができる。
【0024】
(15) 前記一つの保持ピンとその他の保持ピンを含めて、第2金型の第1型と第2型の少なくとも一方の型に3本以上の保持ピンを設ける、(1)〜(14)のいずれかに記載の歯間清掃具の製造方法。このように構成すると、清掃部の第1側部と第2側部の少なくとも一方の側部に、保持ピンにより3個以上の清掃部凹部が形成されるので、この製造方法により製作した歯間清掃具では、歯間への挿入時や歯間清掃時に清掃部に作用する曲げの力によって生じる応力を、清掃部凹部が形成される3箇所以上の清掃部の位置で分散することができ、局部的に大きな曲げの力が作用することによる芯基材部の折れを効果的に防止できる。しかも、保持ピンを3本以上設けると、芯基材部に対する保持ピンの総接触面積が増大するとともに芯基材部の振動をより確実に抑制することができ、凹部の深さを浅くする制御が行ない易くなる。このため、芯基材部凹部の深さをより浅くできることから、歯間清掃時における芯基材部凹部の位置の応力集中の発生をより確実に防止できる。なお、第2金型における第1型と第2型の保持ピンは同じ個数に設定することもできるし、異なる個数に設定することもできる。
【0025】
(16) 前記一つの保持ピンとその他の保持ピンを含め、第2成形空間の長さ方向に対する該保持ピンの配設間隔を、略一様若しくは前記第2成形空間の先端側へ行くにしたがって狭くなるように設定する、(1)〜(15)のいずれかに記載の歯間清掃具の製造方法。清掃部の先端部は基端部よりも小径に構成される略直線状の細長い軸状の構造体で、清掃用軟質部の成形時の成形により加わる力に対して構造的に変化し易い。そこで、清掃部凹部の配設間隔を前記清掃部の先端側へ行くにしたがって狭くなるように設定するか略一様になるように設定すると、軟質部の成形時に芯基材部が所定の位置から移動することを抑止することが容易となる。特に、前記清掃部の軸方向に対する該清掃部凹部の配設間隔が略一様な間隔に設定することが最も好ましい実施の形態である。このように構成すると、軟質部成形時において芯基材部が受ける外力が一様になりやすいことからより好ましい。
【0026】
(17) 前記一つの保持ピンとその他の保持ピンを含め、清掃部の最も先端部に位置する前記保持ピンの先端部の面積を、他の位置の保持ピンの先端部の面積と略同一若しくは小さくなるように設定する、(1)〜(16)のいずれかに記載の歯間清掃具の製造方法。つまり、芯基材部は連続的もしくは段階的に縮径する形状を有し、清掃用軟質部の厚さは0.1mm〜0.2mm程度の範囲でほぼ一定であることから、清掃用軟質部を成形する第2成形空間は、先端側へ行くにしたがって通路面積が狭くなる。このため保持ピンの先端部の面積を小さくすることにより保持ピン全体の横断面積も小さくなり、通路面積を極力大きく設定することができる。この設定を行うことにより、エラストマ材料の流通抵抗を極力小さく設定できるとともに、各々の保持ピン付近で生じるカルマン渦の成形体や保持ピンに対する影響を更に抑えることができ、芯基材部の保持を向上させたり、清掃用軟質部成形部に対するエラストマ材料の充填不良を防止したりすることができる。
【0027】
(18) 前記ハンドル基材部と芯基材部とを略同一軸線上に配置した、(1)〜(17)のいずれか記載の歯間清掃具の製造方法。このようにハンドル基材部と芯基材部とを略同一軸線上に配置すると、複数の歯間清掃具を並列状に密接配置して成形することができ、歯間清掃具の取り数を増やすことができるので好ましい。
【0028】
(19) 前記基材部を融点が150℃以上の結晶性を有する熱可塑性合成樹脂材料を用いて構成した、(1)〜(18)のいずれか記載の歯間清掃具の製造方法。このような融点の熱可塑性合成樹脂材料を用いて基材部を成形すると、基材部の成形時間、特に冷却時間を短縮して生産効率を高めることにより、歯間清掃具の生産性を向上でき、ひいては歯間清掃具の製作コストを低減できる。
【0029】
(20) 第2成形空間の先端側からエラストマ材料を充填する、(1)〜(19)のいずれかに記載の歯間清掃具の製造方法。
【0030】
(21) 第2成形空間の基端側からエラストマ材料を充填する、(1)〜(19)のいずれかに記載の歯間清掃具の製造方法。
【0031】
(22) 第2金型における、特定の或いは全ての第1型の保持ピンと、それに対応する第2型の保持ピンとを、前記第2成形空間の周方向に重複しないように、前記第2成形空間の長さ方向に間隔をあけて形成する、(1)〜(21)のいずれかに記載の歯間清掃具の製造方法。このように構成すると、第1側部と第2側部の保持ピンが芯基材部軸方向の異なる位置に対して力をあたえることができるため、保持ピンを対面配置させる場合と比べ、軟質部成型時における芯基材部の振動運動が抑制できる。この振動運動を抑制することにより、軟質部成型時に形成される芯基材部凹部の深さをより浅くすることができるため、歯間清掃時における該芯基材部凹部での応力集中の発生を抑制でき、芯基材部の折れの発生を防止できる。なお、第1型の保持ピンに対応する第2型の保持ピンとは、例えば第2成形空間の先端から数えて同じ番目の保持ピンを意味する。また、「第2成形空間の周方向に重複しない」とは、組を成す2本の保持ピンの清掃部凹部を第2成形空間の円周方向に移動させた場合であっても、2つの保持ピンが衝突することがない位置関係にあることを意味する。前記第2成形空間の長さ方向に間隔をあけて配置した少なくとも1組の保持ピンにおける、前記第2成形空間の長さ方向に対する間隔を、該保持ピンの軸方向の最大長さの1/4以上の長さに設定することが好ましい。なお、「保持ピンを対面配置させる」とは、第一側部の保持ピンのピン先位置と第2側部の保持ピンのピン先位置が、芯基材部の中心線方向(
図22のDLの方向)において重複することを意味する。言い換えると、芯基材部の長さ方向の中心線(
図22のCL)を通る平面(
図22のBS)と芯基材部凹部の端との接点(
図22のB点およびT点)を結ぶ直線(
図22のUL)の任意の点からCLに対して降ろした垂線(
図22のDL)を設定した場合、第1側部の芯基材部凹部のDLと第2凹部のDLが全てもしくは一部が重複する関係にあることを意味する。
【0032】
(23) 前記一つの保持ピンとその他の保持ピンを含め、第2金型における第1型と第2型とで対をなす複数組の保持ピンのうちの少なくとも一組の保持ピンの中心線分を、前記第2金型の型開閉方向に対して、第2成形空間の周方向に角度を付けて形成する、(1)〜(22)のいずれかに記載の歯間清掃具の製造方法。このように構成すると、清掃用軟質部に突起部を設ける場合のレイアウトなど設計の自由度を向上できる。つまり、軟質部は、複数の保持ピンにより第2成形空間の中央部に芯基材部を保持した状態で成形されるが、該保持ピンの位置を、清掃用突起部の形成位置に干渉しないように、第2成形空間に対して長さ方向及び周方向に調整できるので、該清掃用突起部の配設レイアウトの自由度を向上できる。なお、「保持ピンの中心線分を、前記第2金型の型開閉方向に対して、第2成形空間の周方向に角度を付けて形成する」とは、第1側部と第2側部の保持ピンが対面配置の関係にないことを意味する。すなわち、芯基材部の長さ方向の中心線(
図22のCL)を通る平面(
図22のBS)と芯基材部凹部の端との接点(
図22のB点およびT点)を結ぶ直線(
図22のUL)の任意の点からCLに対して降ろした垂線(
図22のDL)を設定した場合、第1側部の芯基材部凹部のDL線と第2凹部のDL線が全く重複しない関係にあることを意味する。
【0033】
(24) 前記基材部を構成する合成樹脂材料に、繊維材とタルクの少なくとも一方を添加する、(1)〜(23)のいずれかに記載の歯間清掃具の製造方法。このように構成することで、芯基材部の曲げの力に対する強度剛性を高めることができる。しかも、芯基材部の剛性を高めることができるので、保持ピンの芯基材部への食い込みをさらに抑制でき、芯基材部に形成される凹部の深さが深くなりにくくなり、芯基材部凹部を設けた位置における応力集中の発生を防止する上でも好ましい。
【0034】
(25) 前記一つの保持ピンが、芯基材部を軸方向に等分した途中部の領域を支持する保持ピンであり、該保持ピンの先端支持面を、前記凹形状で且つ少なくとも両側部に前記芯基材部の外表面に当初から当接する領域を有する形状である、(1)〜(24)のいずれかに記載の歯間清掃具の製造方法。これにより、臼歯間の清掃時に大きく屈曲する清掃部の途中部領域に存在する芯基材部凹部の深さを浅くすることができ、清掃部を屈曲させた時に発生する芯基材部凹部周辺への応力集中を回避し、清掃部の折れを防止することができる。
【0035】
(26) 前記一つの保持ピンが、芯基材部を軸方向に等分した先端側の領域(3つの領域のうち先端側から一つ目の領域)を支持する保持ピンであり、該保持ピンの先端支持面を、前記凹形状で且つ少なくとも両側部に前記芯基材部の外表面に当初から当接する領域を有する形状である、(1)〜(25)のいずれかに記載の歯間清掃具の製造方法。これにより、前歯間の清掃時に大きく屈曲する清掃部の先端側の領域の芯基材部凹部の深さを浅くすることができ、清掃部が屈曲した時の芯基材部凹部周辺への応力集中が回避でき、清掃部の折れを防止することができる。また、歯間清掃具の清掃部の先端部は基端部よりも小径に構成される場合が多く、この場合、芯基材部の先端側の領域も小径に設定され、保持ピンで安定保持することが難しくなる。しかし、清掃部の最先端に位置する保持ピンの先端支持面を上記のごとき形状とすることで、軟質部成型時においても、保持ピンによる芯基材部の保持が安定的に行える。従って、軟質部成型時に発生する芯基材部の振動を抑えることができるため、0.1mm〜0.2mm程度の非常に厚みの薄い軟質部も設計どおりに成型できる。
【0036】
(27) 前記一つの保持ピンの横断面形状を、前記清掃用軟質部成形部の軸方向に長い形状に形成する、(1)〜(26)のいずれかに記載の歯間清掃具の製造方法。これにより清掃用軟質部に突起部を設ける場合のレイアウトなど設計の自由度が向上する。また、組を成す2つの保持ピンが、芯基材部軸方向の異なる位置に対して力をあたえるため、保持ピンを対面配置させる場合に比べ、軟質部成形時における芯基材部の振動運動を抑制できる。この振動運動を抑制することにより、軟質部成形時に形成される芯基材部凹部の深さをより浅くすることができるため、歯間清掃時における該芯基材部凹部での応力集中の発生を抑制でき、芯基材部の折れの発生を防止できる。
【0037】
(28) 前記第2成形空間の長さ方向に長い形状の保持ピンの横断面、及びこれにより形成される前記軸方向に長い芯基材部凹部の開口形状が、楕円形、長円形、長方形、角丸長方形、卵形、小判形/俵形(短辺部が曲線状の長方形、丸角長方形)、涙型形状、平行四辺形など清掃部軸の螺旋方向に長い形状、等である、(1)〜(27)のいずれか記載の歯間清掃具の製造方法。
【0038】
(歯間清掃具の製造装置)
(29) 合成樹脂を含む基材部と、前記基材部の少なくとも一部を被覆するエラストマを含む軟質部とを備え、前記基材部は、ハンドル基材部と、前記ハンドル基材部の先端部に連設した細長い軸状の芯基材部とを有し、前記軟質部は、前記芯基材部を被覆する清掃用軟質部を少なくとも有し、前記ハンドル基材部からなる持ち手としてのハンドル部と、前記芯基材部と清掃用軟質部とからなる歯間清掃用の清掃部とを備えた歯間清掃具の製造装置であって、合成樹脂材料を供給して前記基材部を成形するための第1成形空間を有する第1金型と、前記基材部がセットされ、隙間にエラストマ材料を充填して前記軟質部を成形するための第2成形空間を有する第2金型とよりなり、前記第2金型に、前記セットされる基材部の芯基材部を第2成形空間の清掃用軟質部成形部の中央部に保持する保持ピンを複数本設けるとともに、前記保持ピンのうち少なくとも一つの保持ピンと、該保持ピンが支持する前記芯基材部の外周部位に対して周方向の角度位置が90度以上ずれた部位を支持する保持ピンとの各先端支持面を、前記清掃用軟質部成形部の軸方向からみて両側部に比べ中央部が窪んだ凹形状であり、且つ少なくとも両側部に前記芯基材部の外表面に当初から当接する領域を有する形状としたことを特徴とする歯間清掃具の製造装置。
【0039】
(30) 前記各先端支持面を、前記中央部が当初、前記芯基材部の外表面に当接することなく該外表面との間に隙間を維持する形状とした、(29)記載の歯間清掃具の製造装置。
【発明の効果】
【0040】
本発明に係る歯間清掃具の製造方法、製造装置によれば、保持ピンのうち少なくとも一つの保持ピンと、該保持ピンが支持する前記芯基材部の外周部位に対して周方向の角度位置が90度以上ずれた部位を支持する保持ピンとの各先端支持面を、前記清掃用軟質部成形部の軸方向からみて両側部に比べ中央部が窪んだ凹形状であり、且つ少なくとも両側部に前記芯基材部の外表面に当初から当接する領域を有する形状としたので、当該保持ピンによる芯基材部の支持形態が、芯基材部に深く食い込むまでもなく接触の当初から安定した状態を保つこととなる。したがって、エラストマ充填時における芯基材部の振動を効果的に抑え、特に軸に直交する方向へもずれることなく安定した状態に保持し、結果、保持ピン自体の芯基材部への食い込み量も抑えられ、保持ピンにより形成される凹部も浅くすることができる。
【0041】
従来の保持ピンにより形成される芯基材部凹部の深さは深くなる。特に、保持ピンの先端部の形状である支持面の中央部が凸構造となっているため、その位置に対応する保持ピンが形成する芯基材部凹部の中央部の一箇所の深さが特に大きくなる。本発明の製造方法では、保持ピンの先端の支持面において、保持ピン先端部の中央部を挟んだ両側部が当接するため力が分散され、芯基材部凹部の深さは部分的にも深くならない。このように、本発明では芯基材部に形成される芯基材部凹部の深さが部分的にも全体的にも浅くなるので、歯間への挿入時や歯間清掃時にこの芯基材部凹部の形成位置に応力が集中することを防止でき、清掃部に曲げの力が作用したときに清掃部が芯基材部凹部の形成位置で折れてしまうことを未然に回避できる。
【0042】
さらに、保持ピンの本数や断面積を必要以上に増やすことなく芯基材部を安定した状態に保持し、上記のとおり形成される芯基材部凹部の深さを浅くできるので、清掃部の構造等についての設計の自由度も維持できる。
【0043】
また、前記各先端支持面を、前記中央部が当初、前記芯基材部の外表面に当接することなく該外表面との間に隙間を維持する形状とすれば、芯基材部の成形寸法のバラツキや熱膨張の程度にかかわらず、より安定した状態に且つ確実に保持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0046】
<歯間清掃具>
本発明の歯間清掃具は、合成樹脂を含む基材部と、エラストマを含む軟質部とを備えている。基材部を構成する合成樹脂材料としては、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、飽和ポリエステル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、プロピオン酸セルロース、ポリウレタン、ポリアミド、ポリカーボネート、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)などの熱可塑性合成樹脂材料を採用できる。
【0047】
また、基材部を構成する合成樹脂材料としては、生産性を向上するため融点が150℃以上の結晶性を有する熱可塑性合成樹脂材料を採用することが好ましい。特に、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)は、基材部10の折れを防止できることから好ましく、ポリプロピレンは、成形温度が低く、サイクルタイムを短縮して生産性を向上できるとともに、成形設備に対する熱負荷が少ないことから最も好ましい。基材部を構成する合成樹脂材料に対しては、歯間への挿入時や歯間清掃時における清掃部の折れを防止するため、板状や粒状のガラスフレーク、マイカ、タルクなどの粉体や、ガラス繊維や炭素繊維やアラミド繊維など繊維材を添加することができる。
【0048】
軟質部を構成するエラストマとしては、スチレン系、オレフィン系、ポリアミド系等の熱可塑性エラストマ、シリコンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム、合成ゴムなどの熱硬化性エラストマなどを採用できる。特に、基材部を構成する合成樹脂材料との相溶性を有する材料が好ましく、例えば基材部をポリプロピレンで構成する場合には、軟質部をポリオレフィン系エラストマ又はスチレン系エラストマで構成することが好ましい。なお、エラストマとしては、添加材を添加したものを採用することもできる。
【0049】
次に、歯間清掃具1の具体的な形状について図面を参照しながら説明する。
【0050】
歯間清掃具1は、
図1〜
図6に示すように、その機能で区別すると、歯間清掃用の清掃部2と、持ち手としてのハンドル部3とを備え、その素材で区別すると、合成樹脂を含む基材部10と、エラストマを含む軟質部20とを備えている。この歯間清掃具1は、
図1〜
図3に示すように、複数個の歯間清掃具1を切り離し可能に並列状に連結してなる歯間清掃具連結体5の形態に製作され、利用者は、歯間清掃具連結体5の一側から順番に歯間清掃具1を連結部13において切り離して、順次使用することになる。なお、
図1では、10個の歯間清掃具1を並列状に連結して歯間清掃具連結体5を構成したが、歯間清掃具1の連結個数は任意に設定可能である。
【0051】
(基材部)
基材部10は、熱可塑性合成樹脂からなり、
図1〜
図6に示すように、ハンドル部3を構成する扁平な細長い板状のハンドル基材部11と、ハンドル基材部11の先端部に連設した細長い軸状の芯基材部12と、隣接するハンドル基材部11を切り離し可能に連結する連結部13とを備えている。ハンドル基材部11は、扁平な細長い板状に形成したが、指で摘まんで歯間を清掃し易い形状であれば、扁平な細長い板状以外の任意の形状、例えば横断面形状を円形やオーバル形状(楕円形、長円形、角丸長方形、卵形、小判形、俵形など)や涙滴形状や多角形などに構成した棒状、板状、連続的又は段階的に曲がっている形状に形成することもできる。ハンドル基材部11に湾曲部や凹部を持ち易さ向上のため設けることもできる。ハンドル基材部11の先端部は芯基材部12側へ行くにしたがって幅狭に構成されて、芯基材部12に滑らかに連設されている。
【0052】
ハンドル基材部11の寸法は、指で摘まんで歯間を清掃し易い寸法であれば任意の寸法に設定でき、
図1及び
図2に示すようなハンドル基材部11では、例えば長さL1は10mm〜25mm、幅W1は4mm〜10mm、把持部分の厚さt1は1.0mm〜2.0mmに設定される。このように、ハンドル基材部11を薄肉に構成することで、基材部10を成形する際、ハンドル基材部11の収縮による寸法バラツキを少なくできるとともに、ヒケを防止し、軟質部20を成形するための第2金型40、41への基材部10の装填不良を防止することができる。
【0053】
芯基材部12は、略直線状の細長い軸状に形成され、ハンドル基材部11と芯基材部12とは略同一軸線状に配置され、芯基材部12とハンドル基材部11とは同一平面内に配置されている。芯基材部12の把持部側には外部に露出する露出部12aが形成され、芯基材部12の先端側部分にはエラストマが被覆されて歯間に挿入可能な芯本体12bが形成され、少なくとも芯基材部12の軟質部が被覆している部分は先端側へ行くにしたがって縮径する緩やかなテーパ形状に形成されている。
【0054】
幅狭に構成されるハンドル基材部11の先端部側面のアール(湾曲部)の終点から軟質部20の被覆部21aの基端部までの芯基材部12の露出部12aの長さL2は、操作性を考慮して、例えば10mm〜40mm、好ましくは10mm〜25mm、より好ましくは10mm〜25mm、最も好ましくは10mm〜20mmに設定され、清掃用軟質部21の長さL3は歯間に対する清掃性を考慮して、例えば12mm〜22mmに設定されている。挿入性、応力集中の緩和の観点から芯基材部12の断面形状は円形が好ましいが、オーバル形状や涙滴形状や多角形などの断面形状であっても構わない。
【0055】
芯基材部12の中心線に対する芯基材部12の外面のテーパ形状のなす角度θ1は、歯間への挿入性を考慮して、0.2°〜1.5°に設定されている。芯本体12bの先端側部分の直径は0.4mm〜0.6mmに設定され、芯本体12bの基端部の直径は0.8mm〜2.0mmに設定され、また清掃用軟質部21の被覆部21aの先端部分の曲面終端部における直径Dは0.5〜1.2mmに設定され、芯本体12bの先端部から少なくとも5mm以上の芯本体12bの先端側部分を確実に歯間に挿入できるように構成されている。
【0056】
ただし、芯基材部12のテーパ形状のなす角度θ1は、芯基材部12の全長にわたって同じ角度θ1に設定したが、芯基材部12の先端側へ行くにしたがって連続的或いは段階的に小さくなるように設定することもできる。また、露出部12aを全長にわたって同じ直径の軸状に形成し、芯本体12bのみを先端側へ行くにしたがって縮径する緩やかなテーパ形状に形成することもできる。更に、露出部12aを省略し、芯本体12bをハンドル基材部11に直接的に連設することも可能である。
【0057】
なお、本実施の形態では、ハンドル基材部11と芯基材部12とを略同一軸線状に配置したI型の歯間清掃具1に本発明を適用したが、芯基材部12の中心線をハンドル基材部11の中心線に対して、例えば120°の角度を付けて設けた、所謂L型の歯間清掃具1や清掃部に連結するハンドル部等が約140°〜160°の滑らかな曲線形状を有するカーブ型の歯間清掃具に対しても本発明を適用できる。また、芯基材部12を基端側から先端側にわたり同じ直径の軸状に構成したものでも勿論できる。また、断面形状も円形以外に略方形、楕円形等、種々の形状に構成することができる。
【0058】
図2〜
図4に示すように、連結部13は、隣接するハンドル基材部11間においてハンドル基材部11に一体的に形成され、ハンドル基材部11の基端部側と先端部側とに長手方向に間隔をあけて一対設けられている。連結部13はハンドル基材部11の長さ方向に細長く、正面視において台形状(
図3では等脚台形状)に形成されている。
【0059】
連結部13の個数は、任意に設定可能で、1個だけ設けることも可能であるが、そのように構成すると、歯間清掃具1の製造時に、隣接する基材部10の連結強度を十分に確保できず、基材部10の成形後、型開きするときに連結部13が破断して、基材部10がバラバラになり、軟質部20の成形ができなくなったり、連結部13が折れ曲がって、軟質部20を成形するための第2成形空間42(
図6参照)の適正位置に基材部10を装填できず、成形不良が発生したりすることがあるので、ハンドル基材部11の長さ方向に間隔をあけて2個以上設けることが好ましい。
【0060】
連結部13の横断面は台形状又は三角形状(
図4では等脚台形状又は二等辺三角形状)に形成され、
図4に仮想線で示すように、境界部13aを中心に隣接する歯間清掃具1を相互に重ね合わせる方向へ折り曲げて、境界部13aに曲げ力を集中させるとともに、ハンドル基材部11の側縁の円弧状の側面11aが連結部13の外面に接触することで、テコの原理により境界部13aに対して引き離す方向への大きな力を作用させて、境界部13aにおいて連結部13の大きな変形を伴なわずに歯間清掃具1を綺麗に切り離すことができるように構成されている。
【0061】
ただし、連結部13の形状は、連結部13を中心に隣接する歯間清掃具1を相互に重ね合わせる方向へ折り曲げることで、容易に且つ綺麗に切り離すことができるように構成されていれば任意の形状に形成することができる。
【0062】
また、基材部10を構成する合成樹脂材料に繊維材を添加する場合には、繊維材は、その長さ方向が基材部10の長さ方向に沿った方向となるように配向されていることが好ましく、このように構成することで、基材部10の曲げ強度や軸方向に対する座屈強度を向上でき、歯間清掃具1の使用時における、芯基材部12の折れや座屈を効果的に防止できる。また、このような繊維材や板状、粒状のガラスフレーク、マイカ、タルクなどの粉体を添加することで、芯基材部12に食い込む保持ピンの食い込み量を減らすことができ、形成される芯基材部12の凹部14aを浅くすることができる。
【0063】
(軟質部)
軟質部20は、
図1〜
図6に示すように、エラストマ材料を用いて基材部10に一体的になるように成形したもので、芯基材部12に外装した清掃用軟質部21を備えている。ただし、軟質部20として、芯本体12bの基端部に歯間への挿入を規制する環状の挿入規制部を設けたり、ハンドル基材部11の全てまたは一部の表面をエラストマで被覆した滑り止め部を設けたりすることも可能である。挿入規制部や滑り止め部は、清掃用軟質部21とは独立に成形することも可能であるが、金型構造が複雑になるので、清掃用軟質部21の基部に連なるように形成することが好ましい。
【0064】
清掃用軟質部21は、芯基材部12に被覆される被覆部21aと、被覆部21aに長さ方向に間隔をあけて外方へ突出状に形成した複数の清掃用突起部21bとを有している。被覆部21aの肉厚は、厚過ぎると被覆部21aに覆われている芯本体12bの直径を小さくする必要が生じるため、歯間への挿入時における清掃部2の剛性が大きく低下するだけでなく、清掃用軟質部21の成形時にカルマン渦が発生し易かったりカルマン渦の影響を大きく受ける恐れがあるため好ましくなく、薄過ぎると清掃部2の基端部までエラストマ材料を充填できないので好ましくない。このため、被覆部21aの肉厚は、0.1mm〜0.2mmに設定することが好ましい。
【0065】
清掃用突起部21bは、被覆部21aの長さ方向に相互に間隔をあけて形成されるとともに、被覆部21aの周方向に間隔をあけて配置されている。より具体的には、後述する第2金型40、41により成形できるように、被覆部21aの周方向には、被覆部21aから型開閉方向の一側方に突出する2つ一組の清掃用突起部21bと、被覆部21aから型開閉方向の他側方に突出する2つ一組の清掃用突起部21bと、被覆部21aから合わせ面40a、41aに沿って一側方へ突出する1つの清掃用突起部21bと、被覆部21aから合わせ面40a、41aに沿って他側方へ突出する1つの清掃用突起部21bの計6種類の清掃用突起部21bが配置され、これら6種類の清掃用突起部21bが被覆部21aの長さ方向に相互に間隔をあけて複数組形成されている。
【0066】
ただし、清掃用突起部21bは、上述した以外の配列パターンで形成することも可能で、例えば、被覆部21aから、十文字状に外方へ突出する4つ一組の清掃用突起部21bを軸方向に間隔をあけて設けることや6角状や8角状などの放射状に外方へ突出する4つ一組の清掃用突起部21bを軸方向に間隔をあけて設けることも可能である。
【0067】
清掃用突起部21bの基端部の断面積や長さ、個数や配設間隔は、任意に設定可能であるが、成形性及び清掃性を考慮して、清掃用突起部21bの基端部の断面積は、0.03mm
2〜1.5mm
2に設定することが好ましく、0.03mm
2〜1.0mm
2がさらに好ましく、0.04mm
2〜0.8mm
2が最も好ましい。清掃用突起部21bの長さは0.1mm〜2.5mmに設定することが好ましく、0.3mm〜2.0mmに設定することがさらに好ましく、0.5mm〜1.7mmに設定することが最も好ましい。清掃用突起部21bの個数は20個〜100個に設定することが好ましく、清掃用突起部21bの配設間隔は0.5mm〜1.5mmに設定することが好ましい。また、清掃用突起部21bとして、円錐状のものを採用したが、軸方向に扁平な平板状の先細形状のものを採用することもできる。更に、清掃用突起部21bの断面形状としては、円形以外に、オーバル形状や涙滴形状や多角形などの任意の断面形状のものを採用できる。
【0068】
ところで、軟質部20を成形するときには、後述するように、第2金型40、41に設けた複数の保持ピンにより、芯基材部12を第2成形空間42の中央部内に位置決め保持するため、歯間清掃具1の清掃部2のうちの保持ピンに対応する位置には、被覆部21aを貫通してさらに芯基材部12にも芯基材部凹部14aが形成されてなる清掃部凹部14が形成される。芯基材部凹部14aは、第1金型30、31にて成形した直後の比較的高温の基材部10が、第2金型40、41に充填されるエラストマの熱に曝されて軟化し、熱膨張したり、或いはエラストマ充填圧による芯基材部12の振動により、保持ピン先端部が食い込んで形成されることになる。
【0069】
図6に示すように、芯基材部12の外周面からの芯基材部凹部14aの最大深さ(芯基材部凹部を形成する保持ピン軸方向に沿った最大深さ)dは、歯間に対する清掃部2の挿入時や、清掃部2による歯間清掃時において、清掃部2に曲げの力が作用したときに、芯基材部凹部14aの形成位置に大きな応力の集中が発生して芯基材部12が折れることを防止するため、0.01mm以上0.085mm以下、好ましくは0.01mm以上0.065mm以下に設定される。なお、芯基材部凹部の深さは、第2金型での成形時において、保持ピンが芯基材部に圧接することにより生じた芯基材部の変形度合い(圧縮変形した距離)を意味する。
【0070】
また、芯基材部凹部14aに対応する位置における芯基材部12の最大横断面積は、該芯基材部凹部14aに隣接する位置での芯基材部12の横断面積の55.0〜99.6%に設定することが好ましく、70.0〜99.0%がより好ましく、80.0〜97.9%がさらに好ましく、90.0〜97.9%が最も好ましい実施の形態である。このように構成すると、使用時の芯基材部凹部14aにおける応力集中を少なくして、歯間への挿入時や歯間清掃時における芯基材部12の折れを一層効果的に防止できるように構成されている。
【0071】
清掃部凹部14の正面形状(外側から見た開口形状、後述の保持ピン50〜52等の横断面形状が反映され、同じ形状となる)は、例えば円形やオーバル形状や涙滴形状、正方形や長方形などの多角形状に形成されている。歯間清掃具1に設ける複数の清掃部凹部14は、全て同じ形状に形成することもできるし、清掃部2の先端部からの距離などに応じて異なる形状のものを任意に組み合わせて混在させることもできる。
【0072】
清掃部凹部14をオーバル形状や涙滴形状や長方形などの軟質部軸方向に長い形状に形成する場合には、例えば
図7に示す清掃部2Aにように、長方形の清掃部凹部14Aを周方向に隣接する清掃用突起部21b間に、長手方向が清掃部2の軸方向となるように形成することが好ましい。清掃部凹部14の幅(清掃部周方向に沿った幅)を、同じ断面積を有する円形状の保持ピンで形成された円形状の清掃部凹部に比べ、清掃部凹部14の幅が小さくなる。これにより、同じ力を与えた時の清掃部凹部付近の応力集中が緩和されることから、芯基材部の折れを防止する効果が得られる。また、軸方向に長い形状の保持ピンのピン先形状は、同じ断面積を有する円形状の保持ピンより、清掃軸方向の長さが長くなる。軟質部成形時において、円形状の保持ピンより、軸方向に長い形状の保持ピンの方が、芯基材部12に対する保持ピンを強くホールドできるため、軟質部成形時における芯基材部の振動が抑えられ、芯基材部凹部14Aaの深さが深くなりにくくなる。これにより、芯基材部凹部14Aaを設けた位置において発生する応力を緩和でき、芯基材部の折れを防止する効果が得られる。なお、
図23に示す清掃部2Gのように、清掃部凹部14に代えて、正面形状が長い形状の清掃部凹部14Gを、清掃部2Gの軸方向に角度をつけて(清掃部軸の螺旋方向)形成することもできる。清掃部凹部14Gは、
図23に示すような形状の板状の保持ピン50Gで形成することができる。保持ピン50Gの先端支持面は中央部が窪んだ凹形状である。
【0073】
清掃部凹部14の芯基材部凹部14aの底面は、後述の保持ピン50〜52の先端支持面の形状が反映され、
図6に示すように、保持ピンが食い込んで先端支持面の全面が当接する状態で、先端支持面の形状がそのまま転写された中央が盛り上がった逆V字状の山形形状となる。芯基材部凹部14aの最大深さも芯基材部凹部14aの中央部ではなくこれを挟んだ側方向の位置、本例では側端の位置となる。ただし、保持ピンの先端支持面の形状を変えることで、例えば
図8に示すように、両端から中央部にかけてなだらかに盛り上がっている形状としたり、その他、種々の形状が可能である。
【0074】
なお、後述する保持ピンの先端部が芯基材部に完全に食い込まずに、保持ピンの先端支持面の中央部がエラストマ成形中も芯基材部の外周面に接触せずに隙間を維持した場合、芯基材部凹部14aは中央部を挟んで二つに分離形成されることになる。
【0075】
芯基材部凹部14aの開口面積は、任意に設定可能であるが、0.15mm
2〜0.60mm
2、好ましくは0.17mm
2〜0.50mm
2に、さらに好ましくは0.20mm
2〜0.40mm
2に設定する。これも後述する保持ピン50〜52の凹部を形成する先端部の横断面積が反映される。特に、軸方向に長い芯基材部凹部14aは、好ましくは軸方向の最大の長さが0.4mm〜1.5mm、より好ましくは0.4〜1.3mm、さらに好ましくは0.5mm以上1.1mm以下、最も好ましくは0.6mm〜1.0mm以下に設定され、その開口面積は、好ましくは0.15mm
2〜0.6mm
2、より好ましくは0.17mm
2〜0.5mm
2に、最も好ましくは0.2mm
2〜0.4mm
2に設定される。また、1つの歯間清掃具1に形成する芯基材部凹部14aの総面積は0.90mm
2〜3.6mm
2に設定することが好ましい。芯基材部凹部14aの開口面積は、全て同じ大きさに設定することもできるが、芯基材部12の先端側の芯基材部凹部14aほど小さくなるように設定することが好ましい。なお、芯基材部凹部14aの開口面積とは、芯基材部凹部14aの深さ方向の中心線DL(
図22参照)と直交する面に対する、芯基材部凹部14a内に露出する芯基材部12と清掃用軟質部21との境界線の投影図形で取り囲まれる面積を意味する。
【0076】
清掃部凹部14は、清掃部2における第1側部と第2側部とに、清掃部2の軸方向に間隔をあけてそれぞれ複数個設けられている。ここで、清掃部2の第1側部と第2側部とは、第2金型40にて成形される清掃部2の部分と第2金型41にて成形される清掃部2の部分のことであり、扁平なハンドル基材部11の表面側と裏面側に対応する清掃部2の表面側半部と裏面側半部を意味する。
【0077】
図5、
図6に示す清掃部2では、第1側部と第2側部の清掃部凹部14は、芯基材部12を挟んで対面状に且つ深さ方向が第2金型40、41の型開閉方向となるように配置され、対面状に配置される一対の清掃部凹部14を一組として、清掃部2の軸方向に間隔をあけて三組の清掃部凹部14が設けられている。清掃部凹部14の組数は、二組以上、望ましくは三組以上の組数設けることが好ましい。
【0078】
このように、清掃部凹部14の組数を三組以上又は四組以上に構成することで、歯間への挿入時や歯間清掃時に清掃部2に曲げの力が作用することによって生じる応力を分散させることができるとともに、後述のように保持ピン50〜52による芯基材部12のホールド性を確保しつつ、芯基材部凹部14aの深さを浅くする制御が行い易くなるため、歯間清掃時において、局部的に大きな曲げの力が作用することによる芯基材部12の折れを効果的に防止できる。
【0079】
清掃部2の軸方向に対する清掃部凹部14の配設間隔は、全て同じ間隔に設定してもよいが、一部或いは全部を相互に異なる間隔に設定してもよい。例えば、略一様若しくは清掃部2の先端側へ行くにしたがって狭くなるように構成することが好ましい。
【0080】
一組の清掃部凹部14は、対面状に配置することが好ましいが、周方向に一部重なる範囲内、即ち清掃部2の軸方向に対する清掃部凹部14の長さの範囲内で、清掃部2の軸方向にずらした位置に設けることもできる。(「周方向に重複しない」とは、組を成す2本の保持ピンの清掃部凹部を清掃部の円周方向に移動させた場合であっても、2つの清掃部凹部が重なり合うことがない位置関係にあることを意味する。)また、
図6に示すように、第1側部の清掃部凹部14と第2側部の清掃部凹部14とは同一軸線状に配置することが好ましいが、
図9に示す清掃部2Dの清掃部凹部14Dのように、第1側部の清掃部凹部14Dの中心線と第2側部の清掃部凹部14Dの中心線とが、清掃部2Dの半径方向に一定距離ずらして平行配置されるように清掃部凹部14Dを形成することもできる。
【0081】
また、清掃部2に対する清掃部凹部14の配設位置は、次のように構成することもできる。ただし、清掃部凹部14E、14F及び芯基材部凹部14Ea、14Faは、清掃部凹部14及び芯基材部凹部14aとは清掃部2に対する形成位置のみを変更したものであり、正面形状や深さや開口面積、底面形状は、清掃部凹部14及び芯基材部凹部14aと同様に構成できる。
【0082】
例えば、
図10、
図11に示す清掃部2Eの清掃部凹部14E及び芯基材部凹部14Eaのように、第1側部の清掃部凹部14Eと、それに対応する、清掃部2Eの先端から数えて同じ番目の第2側部の清掃部凹部14Eとが、清掃部2Eの周方向に重複しないように、清掃部2Eの軸方向に間隔をあけて形成することができる。
図10では、第1側部における隣接する清掃部凹部14E間の略中央部に、第2側部の清掃部凹部14Eを配置したが、第1側部における隣接する清掃部凹部14E間の先端側或いは基端側に偏った位置に、第2側部の清掃部凹部14Eが配置されるように構成することもできる。
【0083】
また、第1側部の全ての清掃部凹部14Eと、第2側部の全ての清掃部凹部14Eとを、清掃部2Eの周方向に重複しないように、清掃部2Eの軸方向に間隔をあけて形成することもできるし、第1側部の特定の清掃部凹部14Eと、それに対応する、清掃部2Eの先端から数えて同じ番目の第2側部の清掃部凹部14Eとが、清掃部2Eの周方向に重複しないように、清掃部2Eの軸方向に間隔をあけて形成することもできる。軸方向に対して間隔をあけて形成した少なくとも1組の清掃部凹部14Eにおける、前記清掃部2Eの軸方向に対する間隔は、該清掃部凹部14Eの軸方向の最大長さの1/4以上の長さに設定することが好ましい。更に、第1側部の清掃部凹部14Eと、第2側部の清掃部凹部14Eの個数は、同じ個数にすることが好ましいが、異なる個数にすることもでき、例えば第1側部の清掃部凹部14Eの個数を、第2側部の清掃部凹部14Eの個数よりも1つ少なくすることができる。なお、周方向に重複しない2つの凹部の「清掃部2Eの軸方向に対する間隔」とは、清掃部軸方向における2つの凹部の端を結んだ最短距離を言う。具体的には、以下の手順で求める。まず、ULおよび芯基材部の中心線(
図22のCL)を含む平面(
図22のBS)を設定する。次に、第1側部と第2側部の各々の凹部と前記BSとの交点(
図22のB、T)からCLに対して垂線を降ろし、垂線とCLとの交点を求める。さらに、第1側部から求めた前記垂線とCLの交点を求める。得られた第1側部の2つのCL上の点から1つ選択し第2側部の2つのCL上の点から1つ選択して両者のCL上の長さを求める。組合せが4つ存在するので、前記で求められる長さは4つ得られる。この得られた4つの長さのうち最短の長さを周方向に重複しない2つの凹部の「清掃部2Eの軸方向に対する間隔」とする。本願において、凹部は、清掃部凹部と芯基材部凹部の2つ存在するが、前記の「凹部」を求めたい方の凹部に置換することにより求められる。
【0084】
このように、芯基材部12の第1側部と第2側部とに交互に芯基材部凹部14Eaが形成され、芯基材部12の軸方向の同じ位置に一対の芯基材部凹部が形成されることを防止できるので、芯基材部凹部14Eaに対応する位置における芯基材部12の横断面積を大きくして、芯基材部12の折れの発生を防止できる。また、各々の保持ピンが芯基材部に対して力を与える芯基材部軸方向の位置が重複しないので、周方向に重複する関係にある保持ピンの配設の場合に比べ芯基材部が力を受ける芯基材部軸方向の部分が長くなる。これにより、芯基材部はより強くホールドされ、軟質部20の成形時に形成される芯基材部凹部14Eaが深くなることが抑制される。従って、芯基材部凹部14Eaに対応する位置における芯基材部12の横断面積が大きくなり、芯基材部12の折れの発生を防止できる。更に、芯基材部12の長さ方向に対する、第2金型40の保持ピン50A〜52Aと、第2金型41の保持ピン50A〜52Aの間隔が短くなるので、芯基材部を安定性良く保持することが可能となる。
【0085】
他の例として、
図12、
図13に示す清掃部2Fの清掃部凹部14F及び芯基材部凹部14Faのように、芯基材部12Fを挟んで対面状に且つ深さ方向が第2金型40、41(
図21参照)の型開閉方向に対して周方向に角度θ2をなすように、第1側部の清掃部凹部14F及び芯基材部凹部14Faと、第2側部の清掃部凹部14F及び芯基材部凹部14Faを配置することもできる。ただし、第1側と第2側部の清掃部凹部14F、14は、清掃部凹部14Eと同様に、軸方向にずらして形成することもできる。
【0086】
図12に示す清掃部2Fでは、
図5に示す清掃部2の先端から2個目の一組の清掃部凹部14のみを清掃部凹部14Fに置き換え、清掃部2Fの先端から1個目と3個目は、深さ方向が第2金型40、41の型開閉方向となるように配置した清掃部凹部14で構成したが、清掃部2における任意の位置の一乃至複数組の清掃部凹部14を清掃部凹部14Fに置き換えることもできる。
【0087】
角度θ2は、60°を超える場合には、隣接する清掃用軟質部成形部46に設ける保持ピン62(
図21参照)同士が干渉することがあるので、60°以下、望ましくは45°以下に設定することが好ましい。なお、清掃部に対して角度θ2の異なる複数種類の清掃部凹部を設けることもできる。
【0088】
このように、型開閉方向に対して角度θ2を付けた位置に清掃部凹部14Fを設けると、清掃用軟質部21に外方へ突出する複数の清掃用突起部21bを形成する場合において、該清掃用突起部21bの配設レイアウトの自由度を向上できる。つまり、清掃部凹部14Fは、芯基材部12を第2成形空間42の中央部に保持する保持ピンにより成形されるが、該保持ピン62の位置を、清掃用突起部21bの形成位置に干渉しないように、第2成形空間42に対して長さ方向及び周方向に調整できるので、該清掃用突起部21bの配設レイアウトの自由度を向上できる。
【0089】
また、ハンドル基材部11を扁平に構成しているので、指でハンドル基材部11を摘まんで臼歯間を清掃する際に、清掃部2はハンドル基材部11を含む面と略直交方向(型開閉方向)の面内において、
図2に仮想線で示すように、湾曲することになるが、清掃部凹部14Bは、その深さ方向が型開閉方向に対して角度θ2をなすように配置されているので、清掃部凹部14Fを起点として芯基材部12Fが折れることを効果的に防止できる。
【0090】
<製造方法>
次に、歯間清掃具の製造方法について説明する。
【0091】
この歯間清掃具の製造方法は、
図14〜
図16に示すように、第1金型30、31の第1成形空間32に合成樹脂材料を充填して基材部10を成形する基材部成形工程と、第1金型30、31にて成形した基材部10を第2金型40、41の第2成形空間42にセットした後、該第2成形空間42にエラストマ材料を充填して軟質部20を成形する軟質部成形工程とを備えている。なお、第1金型30、31が第1金型の第1型及び第2型にそれぞれ相当し、第2金型40、41が第2金型の第1型及び第2型にそれぞれ相当する。
【0092】
(基材部成形工程)
基材部成形工程では、
図14に示すように、第1金型30、31の第1成形空間32に合成樹脂材料を充填して基材部10を成形する。より具体的には、第1金型30、31として、芯基材部成形部32aとハンドル基材部成形部32bとからなる第1成形空間32を複数並列状に形成し、隣接するハンドル基材部成形部32b間にそれに連通する一対の連結部成形部35をそれぞれ形成するとともに、これら複数の第1成形空間32の基端側にランナ33を形成し、ゲート34を通じて複数の第1成形空間32をランナ33に連通したものを用いる。
【0093】
そして、ランナ33へ合成樹脂材料を供給することで、ゲート34を通じて複数の第1成形空間32内に合成樹脂材料を充填して複数の基材部10を同時成形し、複数の基材部10とランナ部37とゲート部36と連結部13とを有する一次成形品10Aを成形する。なお、基材部10は1つずつ成形することも可能であるが、複数個の基材部10を同時に成形することで、生産性を向上できるとともに、成形されたランナ部37を保持して、複数個の基材部10を同時に移載でき、作業性を向上できる。
【0094】
ゲート34は、第1成形空間32の芯基材部成形部32aとは反対側の基端部側、より好ましくは連結部成形部35よりも第1成形空間32の芯基材部成形部32aとは反対側の基端部側であれば、任意の位置に形成することができるが、第1成形空間32の基端部にゲート34としてサイドゲートを形成すると、第2金型40、41に一次成形品10Aを装填する際に、一次成形品10Aのゲート部36が第2金型40、41間に挟み込まれるリスクを低減できるので好ましい。
【0095】
また、第1金型30、31に、コールドランナからなるランナ33に代えてホットランナを設けることも可能であるが、第1金型30、31が大型になるとともに製作コストが高くなるので、コールドランナからなるランナ33を設けることが好ましい。また、ランナ部37により複数の基材部10を安定性良く連結できるので、一次成形品10Aを第2金型40、41に移載するときに、一次成形品10Aのハンドリング性を向上できるので好ましい。更に、ゲート34として例えば円柱形様若しくは紡錘形様で直径0.1〜1.5mmの範囲にあるピンゲートを採用すると、コールドランナを採用でき、ゲート34の間隔を狭くして成形品を小型に構成できるので好ましい。
【0096】
(軟質部成形工程)
軟質部成形工程では、
図15、
図16に示すように、第1金型30、31にて成形した一次成形品10Aを第2金型40、41の第2成形空間42にセットした後、該第2成形空間42にエラストマ材料を充填して軟質部20を成形し、複数の歯間清掃具1を並列状に連設した歯間清掃具連結体5を得ることになる。
【0097】
先ず、軟質部成形工程で用いる第2金型40、41について説明する。第2金型40、41には、第1金型30、31にて成形した一次成形品10Aの複数の基材部10に対応する位置に複数の第2成形空間42が形成されるとともに、一次成形品10Aのランナ部37と複数のゲート部36と連結部13とに適合する嵌合空間43、44、45が形成されている。第2金型40、41と基材部10間には第2成形空間42として、芯基材部12を取り囲む清掃用軟質部成形部46が形成されている。
【0098】
清掃用軟質部成形部46の先端側において第2金型40、41との合わせ面40a、41aには、清掃用軟質部成形部46の先端部に開口するゲート47がそれぞれ形成され、これら複数のゲート47は第2金型40、41に形成した共通のランナ48に連通され、共通のランナ48から複数のゲート47を経て複数の第2成形空間42にエラストマ材料が供給されるように構成されている。なお、ゲート47の直径は0.1mm以上1.0mm以下に設定することが好ましい。
【0099】
第2金型40、41には、清掃用軟質部成形部46を軸方向に三等分した先端側領域と途中領域と基端側領域とにそれぞれ対応させて一対の先端側保持ピン50と一対の途中部保持ピン51と一対の基端側保持ピン52とがそれぞれ対面状に設けられている。これら三組の保持ピン50〜52は、第2金型40、41の合わせ面40a、41aと略直交方向、言い換えると第2金型40、41の型開閉方向に移動自在に設けられている。
【0100】
基材部10の芯基材部12は、
図16(b)に示すように、これら三組の保持ピン50〜52の先端部を清掃用軟質部成形部46内に突出させて、各組の保持ピン50〜52の先端部間に芯基材部12を挟持することで、清掃用軟質部成形部46の中央部に精度良く位置決め保持されるように構成されている。
【0101】
保持ピン50〜52の芯基材部12に当接する先端支持面7は、
図17に示すように、清掃用軟質部成形部46の軸方向からみて両側部71、71に比べ中央部70が窪んだ凹形状であり、且つ少なくとも両側部71に芯基材部12の外表面に保持ピン50〜52が接触する当初から当接する領域を有する形状とし、これにより従来の先端が平坦又は中央が隆起した保持ピンと異なり、前記少なくとも両側部71によって芯基材部12を保持ピン接触当初から分散した力で安定した姿勢に保持し、よって保持ピン50〜52が芯基材部12に深く食い込むことなく芯基材部12を保持でき、形成される芯基材部凹部14aの深さを浅くすることができる。
【0102】
より具体的には、
図17に示すように、両側部71が芯基材部12の外表面にまず接触し、従来の平坦なピンに比べて少なくとも2箇所の位置で安定した姿勢に芯基材部12を保持する。そして、芯基材部12が冷め切っておらず柔らかい状態である場合やその自重等により通常、保持ピン50〜52は芯基材部12に食い込むが、当初から少なくとも2箇所の位置で支持するのでその力は分散され、従来の平坦なピンのように当初から深く食い込むのではなく、先端支持面7の全体でその力を受け、食い込み深さは抑えられることになる。
【0103】
そして、特にエラストマを充填して成形する間、芯基材部12が高温のエラストマに曝されることで熱膨張したり軟化をし、さらにエラストマの充填の際に芯基材部12が力を受けて振動し、保持ピン50〜52は更に芯基材部12に食い込もうとするが、本発明のように当初から二位置で芯基材部12を安定した姿勢に保持し、前記振動も効果的に抑えることができるため、最終的な食い込みも浅く抑えられることになる。
【0104】
本例では、保持ピン50〜52の先端支持面7の形状を清掃用軟質部成形部46の軸方向からみて略V字状に凹んだ形状としているが、これに何ら限定されず、両側部71に芯基材部12の外表面に保持ピン50〜52が接触する当初から当接する領域を有する形状であれば、例えば
図18(a)に示すように、清掃用軟質部成形部46の軸方向からみてなだらかな略U字状としたものや、
図18(b)に示すように、清掃用軟質部成形部46の軸方向からみて両側部に突起72を設けた形状も好ましい。
【0105】
また、当初から芯基材部12に当接する両側部71は、必ずしも例示したような先端支持面7の側端縁を含まなくてもよく、中央部70から側端縁の間の途中領域であってもよい。また、上記した先端支持面7の例は、いずれも中央部70が当初、芯基材部12の外表面に当接することなく該外表面との間に隙間を維持する形状としているが、本発明はこれに限定されず、少なくとも中央部70を挟んだ両側部71が当初から当接する形状であればよく、中央部70も同時に当接する形状、すなわち
図18(c)に示すように
図18(a)と同様に略U字状で且つ当初から先端支持面7の全面が芯基材部12に当接する形状も本発明に含まれる。
【0106】
そして、これら保持ピン50〜52により、形成される芯基材部凹部14aの最大深さdは、0.01mm以上0.085mm以下、好ましくは0.01mm以上0.065mm以下に抑えられる。これにより、歯間に対する清掃部2の挿入時や、清掃部2による歯間清掃時において、清掃部2に曲げの力が作用したときに、芯基材部凹部14aの形成位置に大きな応力の集中が発生せず、芯基材部12が折れることが回避される。
【0107】
本例では、すべての保持ピン50〜52の先端部の先端支持面7の形状を、上記のとおり清掃用軟質部成形部46の軸方向からみて両側部71に比べ中央部70が窪んだ凹形状で且つ少なくとも両側部72に芯基材部12の外表面に保持ピンが接触する当初から当接する領域を有する形状としているが、特にこれに限定されるものではなく、保持ピンのうち少なくとも一つの保持ピンと、該保持ピンが支持する前記芯基材部の外周部位に対して周方向の角度位置が90度以上ずれた部位を支持する保持ピンとの各先端支持面を上記凹形状にすることで芯基材部12を安定保持することができる。
【0108】
ただし、本例のように途中部保持ピン51の先端支持面を上記凹形状とすることで、臼歯間の清掃時に大きく屈曲する清掃部途中部の領域の芯基材部凹部14aを浅くすることができることから、屈曲した時の清掃部途中部の領域の芯基材部凹部周辺における応力の集中がを回避され、清掃部の折れを防止することができる。また、先端側保持ピン50の先端支持面を上記凹形状とすることで、前歯清掃時に主に屈曲される先端側の領域の凹部を浅くすることができ、屈曲時の応力集中を回避し、折れを防止することができるとともに、芯基材部の先端側が小径に構成される場合も当該先端側の領域を安定保持することができ、芯基材部の振動を抑え、0.1mm〜0.2mm程度の薄い厚さの軟質部も設計どおりの厚みに被覆形成できるのである。
【0109】
本例では、第2金型40に形成される保持ピン50〜52とこれに対面する第2金型41の保持ピン50〜52を互いに周方向に180度ずれた対面する位置に形成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも一つの保持ピンと該保持ピンが支持する前記芯基材部の外周部位に対して周方向の角度位置が90度以上ずれた部位を支持する保持ピンとの各先端支持面を上記のごとく凹形状とすればよく、例えば、第2金型40に複数の保持ピンを軸方向一列に沿って設け、第2金型41に複数の保持ピンを軸方向に平行に二列に設けたもの等でもよい。
【0110】
芯基材部は細長い円錐様の構造体で先端側へ行くにしたがって、横断面積が小さくなるので、最も横断面積が小さくなる先端部における芯基材部凹部の開口面積を最も小さくなるように設定することが好ましい。つまり、芯基材部凹部の開口面積は、第2成形空間の中央部に対して芯基材部を保持する保持ピンの先端部面積に応じて変化するので、前記芯基材部の最も先端側に位置する保持ピンの先端部面積は、他の位置の保持ピンの先端部面積と比較して略同一若しくは最も小さくなる。一方、第2成形空間における、清掃用軟質部を成形する成形部は、第2成形空間の先端側において通路面積が狭くなる。このため、最も先端側の芯基材部凹部の開口面積をできる限り小さく設定する、すなわち先端側の保持ピンの先端部面積を小さくすれば、第2成形空間の通路面積を極力大きく設定することができるので、エラストマ材料の流通抵抗を極力小さく設定できるとともに、各々の保持ピン付近で生じるカルマン渦の成形体や保持ピンに対する影響を更に抑えることができ、芯基材部の保持が向上する。加えて、清掃用軟質部成形部に対するエラストマ材料の充填不良が防止できるとともに、芯基材部12の過度の溶融を防止できるので好ましい。なお、保持ピンの先端部の横断面積は、成形時におけるブレや膨張収縮による面積の変動が極めて少ないので、これらを加味しても、それにより形成される清掃部凹部の開口部の面積と略同じになると推定できる。
【0111】
ただし、保持ピン50〜52の断面積は同じに設定することも可能である。また、途中部保持ピン51は、軸方向に間隔をあけて複数組設けることも可能である。保持ピン50〜52の先端部の横断面形状は、本実施の形態では円形に形成したが、成形時のカルマン渦による影響を更に抑えるために、清掃用軟質部成形部46の長さ方向に長い形状、例えば俵形(短辺部が曲線状の長方形、丸角長方形)や楕円形、長方形或、涙滴形状、平行四辺形など清掃部軸の螺旋方向に長い形状などの種々の形状が可能である。
【0112】
先端側保持ピン50は、清掃用軟質部成形部46の先端部46aから基端側へ向けて3mmの範囲内に設けられ、その断面積は0.03mm
2〜0.3mm
2に設定されている
。また、途中部保持ピン51は、先端側保持ピン50と基端側保持ピン52の中間点を中心として軸方向に清掃部2の長さの±10%の範囲内に設けられ、その断面積は0.12mm
2〜1.2mm
2に設定されている。
【0113】
また、基端側保持ピン52は、清掃用軟質部成形部46の基端部から先端側へ向けて6mmの範囲内に設けられ、その断面積は0.1mm
2〜1.1mm
2に設定されている。これらに設定することにより、成形時における芯基材部12の固定を確実にするだけでなく、成形時に発生するカルマン渦による成形体への影響を防止することが期待できる。
【0114】
このように一対の保持ピン52を清掃用軟質部成形部46の長手方向にずらして配置すると、保持ピン52間に芯基材部12を保持したときに、芯基材部12に圧着される保持ピン52の面積が事実上広くなるので、より一層強固に芯基材部12を保持することが可能となる。また、成形時に発生するカルマン渦による成形体への影響を防止することが期待できる。
【0115】
軟質部成形工程では、
図16(a)に示すように、第2成形空間42に一次成形品10Aをセットして型閉じした状態で、
図16(b)に示すように、一対の先端側保持ピン50と、一対の途中部保持ピン51と、一対の基端側保持ピン52とを清掃用軟質部成形部46内に突出させて、これら三組の保持ピン50〜52により芯基材部12を保持し、共通のランナ48を通じて複数のゲート47にエラストマ材料を射出供給して、清掃用軟質部成形部46へエラストマ材料を充填する。
【0116】
保持ピン50の横断面積を保持ピン51、52の横断面積よりも小さく設定しているので、清掃用軟質部成形部46の先端部からの基端側へのエラストマ材料の充填が保持ピン50〜52により極力阻害されないようにしつつ、保持ピン50〜52と芯基材部12との接触面積を増やして、芯基材部12を安定性良く保持できることになり、射出圧に多少バラツキが生じたとしても、芯基材部12の湾曲を防止して、精度良くエラストマ材料を含む清掃用軟質部21を成形することができる。
【0117】
こうして、基材部10に対して軟質部20を被覆した後、合成樹脂を含むランナ部37及びゲート部36を除去するとともに、ランナ48及びゲート47にて成形されたエラストマを含むランナ部55及びゲート部56を除去して歯間清掃具1を得ることになる。
【0118】
なお、第2金型40、41に対する保持ピン50〜52の配設位置は、次のように構成することも好ましい。まず、
図19に示す第2金型40、41の保持ピン50A〜52Aのように、第2金型40の保持ピン50A〜52Aを、それに対応する、清掃用軟質部成形部46の先端から数えて同じ番目の第2金型41の保持ピン50A〜52Aに対して、清掃用軟質部成形部46の周方向に重複しないように、清掃用軟質部成形部46の中心線方向に間隔をあけて形成することができる。
【0119】
図19では、第2金型41の保持ピン50A〜52A間の略中央部に、第2金型40における隣接する保持ピン50A〜52Aを配置したが、第2金型41における隣接する保持ピン50A〜52A間の先端側或いは基端側に偏った位置に、第2金型40の保持ピン50A〜52Aが配置されるように構成することもできる。
【0120】
また、第2金型40の全ての保持ピン50A〜52Aと、第2金型41の全ての保持ピン50A〜52Aとを、清掃用軟質部成形部46の周方向に重複しないように、清掃用軟質部成形部46の長さ方向に間隔をあけて形成することもできるし、第2金型40の特定の保持ピンと、それに対応する、清掃用軟質部成形部46の先端から数えて同じ番目の第2金型41の保持ピンとが、清掃用軟質部成形部46の周方向に重複しないように、清掃用軟質部成形部46の長さ方向に間隔をあけて形成することもできる。
【0121】
更に、第2金型40の保持ピンと、第2金型41の保持ピンの個数は、同じ個数にすることが好ましいが、異なる個数にすることもでき、例えば
図20に示すように、第2金型40の保持ピン52Aを1本省略して、第2金型40の保持ピンの個数を、第2金型41の保持ピンの個数よりも1つ少なくすることができる。
【0122】
このように、第1金型40の保持ピン50A〜52Aを第2金型41の保持ピン50A〜52Aに対して軸方向にずらして配置すると、保持ピンを対面配置させる場合と比較して、芯基材部凹部14Eaに対応する位置における芯基材部12の横断面積が大きくなるので、芯基材部12の折れの発生を防止できる。また、各々の保持ピンが芯基材部に対して力を与える芯基材部軸方向の位置が重複しないので、周方向に重複する関係にある保持ピンの配設の場合に比べ芯基材部が力を受ける芯基材部軸方向の部分が長くなる。これにより、芯基材部はより強くホールドされ、軟質部20の成形時に形成される芯基材部凹部14Eaが深くなることが抑制される。従って、芯基材部凹部14Eaに対応する位置における芯基材部12の横断面積が大きくなり、芯基材部12の折れの発生を防止できる。更に、芯基材部12の長さ方向に対する保持ピン50A〜52Aの間隔が実質的に短くなるので、芯基材部12を安定性良く保持することが可能となる。保持ピン50A〜52Aの断面形状、先端支持面の形状等は上述の保持ピン50〜52と同様のことがいえる。
【0123】
次に、
図21に示す第2金型40、41の保持ピン62のように、芯基材部12を挟んで対面状に且つ軸方向が第2金型40、41の型開閉方向に対して周方向に角度θ2をなすように、第1金型40の保持ピン62と、第2金型41の保持ピン62とを配置することもできる。ただし、第1側と第2側部の保持ピン62は、
図19の保持ピン50A〜52Aと同様に、清掃用軟質部成形部46の長さ方向にずらして形成することもできる。
【0124】
例えば、清掃用軟質部成形部46の先端から2個目の一組の保持ピンのみを保持ピン62に置き換え、清掃用軟質部成形部46の先端から1個目と3個目は、軸方向が第2金型40、41の型開閉方向となるように配置した保持ピンで構成することができるが、清掃用軟質部成形部46における任意の位置の一乃至複数組の保持ピンを保持ピン62に置き換えることもできる。
【0125】
角度θ2は、60°を超える場合には、隣接する清掃用軟質部成形部46に設ける保持ピン62と干渉することがあるので、60°以下、望ましくは45°以下に設定することが好ましい。なお、第2金型40、41に角度θ2の異なる複数種類の保持ピン62を設けることもできる。
【0126】
このように、型開閉方向に対して角度θ2を付けた位置に保持ピン62を設けると、清掃用軟質部21に外方へ突出する複数の清掃用突起部21bを形成する場合において、該清掃用突起部21bの配設レイアウトの自由度を向上できる。つまり、保持ピン62は、芯基材部12を清掃用軟質部成形部46の中央部に保持する保持ピン62により成形されるが、該保持ピン62の位置を、清掃用突起部21bの形成位置に干渉しないように、清掃用軟質部成形部46に対して長さ方向及び周方向に調整できるので、該清掃用突起部21bの配設レイアウトの自由度を向上できる。
【0127】
また、ハンドル基材部11を扁平に構成しているので、指でハンドル基材部11を摘まんで臼歯間を清掃する際に、清掃部2はハンドル基材部11を含む面と略直交方向(型開閉方向)の面内において湾曲することになるが、保持ピン62は、型開閉方向に対して角度θ2をなすように配置されているので、該保持ピン62により形成される芯基材部凹部14Faを起点として芯基材部12が折れることを効果的に防止できる。保持ピン60〜62の断面形状、先端支持面の形状等は上述の保持ピン50〜52と同様のことがいえる。
【0128】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲においてその構成を変更し得ることは勿論である。