特許第6409828号(P6409828)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6409828
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】車両の下部車体構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20181015BHJP
   B60R 13/08 20060101ALI20181015BHJP
【FI】
   B62D25/20 N
   B62D25/20 G
   B60R13/08
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-143404(P2016-143404)
(22)【出願日】2016年7月21日
(65)【公開番号】特開2018-12425(P2018-12425A)
(43)【公開日】2018年1月25日
【審査請求日】2017年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】知北 勝
(72)【発明者】
【氏名】影山 和宏
(72)【発明者】
【氏名】清武 真二
【審査官】 中野 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−006503(JP,A)
【文献】 特開2015−174611(JP,A)
【文献】 特開2007−112340(JP,A)
【文献】 特表2002−505976(JP,A)
【文献】 実開昭58−153175(JP,U)
【文献】 特開平07−081629(JP,A)
【文献】 特開2004−069004(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/098808(WO,A1)
【文献】 特開2012−011855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/20
B60R 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロアパネルの車幅方向中間部に車室内へ膨出して車両前後方向に延びるフロアトンネルが形成され、
上記フロアパネルの下方には、該フロアパネルの車幅方向内側から外側へ延びるとともに車両前後方向に延び、該フロアパネルを下方から覆うフロアアンダーパネルが設けられ、
上記フロアトンネルの内方には、該フロアトンネルの車幅方向一側から他側に亘って遮熱部材が設けられている車両の下部車体構造において、
上記フロアパネルは、上記フロアトンネルが形成された本体部分と、上記フロアトンネルの側方において下方へ突出して車両前後方向に延びるトンネルサイドフレームとを有しており、
上記フロアアンダーパネルの車幅方向内側には、アンダーパネル側締結板部が車幅方向に延びるように設けられ、
上記アンダーパネル側締結板部には、締結部材が挿通するアンダーパネル側挿通孔が形成され、
上記遮熱部材の車幅方向外側には、上記フロアトンネルから車幅方向外側へ延出する遮熱部材側締結板部が上記アンダーパネル側締結板部と上下方向に重なり合うように設けられ、
上記遮熱部材側締結板部には、上記締結部材が挿通する遮熱部材側挿通孔が上記アンダーパネル側挿通孔と略一致するように形成され、
上記アンダーパネル側挿通孔と上記遮熱部材側挿通孔に共通の上記締結部材が挿通され、上記アンダーパネル側締結板部と、上記遮熱部材側締結板部とが、上記フロアパネルの上記本体部分または上記トンネルサイドフレームに上記締結部材により締結されていることを特徴とする車両の下部車体構造。
【請求項2】
請求項に記載の車両の下部車体構造において、
上記遮熱部材は、上記フロアトンネルの内方に位置する遮熱本体部と、上記遮熱部材側締結板部とを有し、上記遮熱部材側締結板部の厚みは上記遮熱本体部の厚みよりも薄く設定されていることを特徴とする車両の下部車体構造。
【請求項3】
車両のフロアパネルの車幅方向中間部に車室内へ膨出して車両前後方向に延びるフロアトンネルが形成され、
上記フロアパネルの下方には、該フロアパネルの車幅方向内側から外側へ延びるとともに車両前後方向に延び、該フロアパネルを下方から覆うフロアアンダーパネルが設けられ、
上記フロアトンネルの内方には、該フロアトンネルの車幅方向一側から他側に亘って遮熱部材が設けられている車両の下部車体構造において、
上記フロアパネルは、上記フロアトンネルが形成された本体部分と、上記フロアトンネルの側方において下方へ突出して車両前後方向に延びるトンネルサイドフレームとを有しており、
上記フロアアンダーパネルの車幅方向内側には、アンダーパネル側締結板部が車幅方向に延びるように設けられ、
上記遮熱部材は、上記フロアトンネルの内方に位置する遮熱本体部を有し、
上記遮熱部材の車幅方向外側には、上記フロアトンネルから車幅方向外側へ延出する遮熱部材側締結板部が設けられ、該遮熱部材側締結板部の厚みは上記遮熱本体部の厚みよりも薄く設定され、
上記アンダーパネル側締結板部は、上記遮熱部材側締結板部の下側に配置され、
上記アンダーパネル側締結板部と、上記遮熱部材側締結板部とが、上記フロアパネルの上記本体部分または上記トンネルサイドフレームに締結され、上記遮熱部材側締結板部は、上記アンダーパネル側締結板部と、上記フロアパネルの上記本体部分または上記トンネルサイドフレームとで挟持されていることを特徴とする車両の下部車体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の下部車体構造に関し、特に、フロアパネルの下方にフロアアンダーカバーを設け、フロアトンネルの内方に遮熱部材を設けた構造の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば特許文献1に開示されているように、自動車の下部の空力特性を向上させるためにフロアパネルの下方にフロアアンダーカバーが設けられる場合がある。フロアアンダーカバーは、フロアトンネルと運転席側のサイドシルとの間、及び、フロアトンネルと助手席側のサイドシルとの間にそれぞれ設けられており、車両前後方向に長い形状とされてフロアパネルの大部分がフロアアンダーカバーによって覆われている。
【0003】
また、例えば特許文献2には、エンジンルームの下方を覆うアンダーカバーが開示されている。このアンダーカバーは、上壁と下壁とを有する中空の2重壁構造としてある。
【0004】
また、例えば特許文献3に開示されているように、フロアトンネルの内方には、排気管の熱が車室内に伝達するのを抑制するために、トンネルインシュレータと呼ばれる遮熱部材が配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016−124436号公報
【特許文献2】特開2000−190873号公報
【特許文献3】特開2013−6503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、車室内の更なる静粛化が大きな技術課題となっている。車室内を静粛化する手法としては、例えば車室内外に配設する遮音材を増加する等の手法があるが、遮音材を増やせば増やすほど車両重量が増加してしまうという問題があり、主に燃費の面で好ましくなく、また、コスト高となる問題もある。
【0007】
そこで、特許文献1のフロアアンダーパネルがフロアパネルの下方に配設されていることに着目し、このフロアアンダーパネルを遮音材としても利用することが考えられる。この場合に、特許文献2のようにフロアアンダーパネルを2重壁構造とすることで一般的には遮音性能は向上するものと思われる。
【0008】
しかしながら、フロアアンダーパネルを2重壁構造にしたとしても、フロアアンダーパネルは、フロアトンネルと運転席側のサイドシルとの間、及び、フロアトンネルと助手席側のサイドシルとの間に設けられているだけあってフロアトンネルにまで達していないので、フロアトンネル内の遮熱部材とフロアアンダーパネルとの間には開口が形成されることになり、この開口からフロアパネルの一部が下方に露出する。特に、自動車のフロアは車両前後方向に長いものなので、フロアアンダーパネルとフロアトンネル内の遮熱部材との間の開口は車両前後方向に長くなってしまい、トータルの開口面積が大きくなる。
【0009】
したがって、車室外の騒音がフロアアンダーパネルとフロアトンネル内の遮熱部材との間の開口からフロアパネルに達し易く、ひいては車室内の静粛性向上が困難になる。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両の下部にフロアアンダーパネルと遮熱部材とが設けられていることに着目し、フロアアンダーパネル及び遮熱部材の両方を利用することで車室外の騒音がフロアパネルに達し難くし、車室内の更なる静粛化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、フロアアンダーパネルの車幅方向内側と遮熱部材の車幅方向外側とを重ねるようにした。
【0012】
第1の発明は、車両のフロアパネルの車幅方向中間部に車室内へ膨出して車両前後方向に延びるフロアトンネルが形成され、上記フロアパネルの下方には、該フロアパネルの車幅方向内側から外側へ延びるとともに車両前後方向に延び、該フロアパネルを下方から覆うフロアアンダーパネルが設けられ、上記フロアトンネルの内方には、該フロアトンネルの車幅方向一側から他側に亘って遮熱部材が設けられている車両の下部車体構造において、上記フロアパネルは、上記フロアトンネルが形成された本体部分と、上記フロアトンネルの側方において下方へ突出して車両前後方向に延びるトンネルサイドフレームとを有しており、上記フロアアンダーパネルの車幅方向内側には、アンダーパネル側締結板部が車幅方向に延びるように設けられ、上記アンダーパネル側締結板部には、締結部材が挿通するアンダーパネル側挿通孔が形成され、上記遮熱部材の車幅方向外側には、上記フロアトンネルから車幅方向外側へ延出する遮熱部材側締結板部が上記アンダーパネル側締結板部と上下方向に重なり合うように設けられ、上記遮熱部材側締結板部には、上記締結部材が挿通する遮熱部材側挿通孔が上記アンダーパネル側挿通孔と略一致するように形成され、上記アンダーパネル側挿通孔と上記遮熱部材側挿通孔に共通の上記締結部材が挿通され、上記アンダーパネル側締結板部と、上記遮熱部材側締結板部とが、上記フロアパネルの上記本体部分または上記トンネルサイドフレームに上記締結部材により締結されている構成とする。
【0013】
この構成によれば、フロアアンダーパネルが車幅方向外側から内側へ延びるとともに車両前後方向にも延びているので、フロアパネルの広い範囲がフロアアンダーパネルによって覆われる。また、フロアトンネル内の遮熱部材が該フロアトンネルの車幅方向一側から他側に亘っているので、フロアトンネルの広い範囲が遮熱部材によって覆われる。そして、フロアアンダーパネルの車幅方向内側とフロアトンネル内の遮熱部材の車幅方向外側とが重ね合わされているので、フロアアンダーパネルとフロアトンネル内の遮熱部材との間に開口が形成され難くなり、また、開口が形成されたとしてもその開口面積を十分に小さくすることが可能になる。
【0014】
また、アンダーパネル側締結板部と、遮熱部材側締結板部とが上下方向に重なり合った状態でフロアパネルに締結されるので、フロアアンダーパネルの車幅方向内側と遮熱部材の車幅方向外側とを互いに密着させて両者の間の隙間を小さくすることが可能になる。
【0015】
また、アンダーパネル側締結板部と遮熱部材側締結板部とが共通の締結部材によってフロアパネルに共締めされることになる。これにより、アンダーパネル側締結板部と遮熱部材側締結板部とを更に密着させて両者の間の隙間を更に小さくすることが可能になる。
【0016】
また、フロアアンダーパネルが下方へ突出するトンネルサイドフレームに締結されることになるので、フロアアンダーパネルはフロアパネルの本体部分から下方に離れて配置され、フロアアンダーパネルとフロアパネルの本体部分と間に空間が形成される。そして、フロアアンダーパネルの車幅方向内側とフロアトンネル内の遮熱部材の車幅方向外側とが重ね合わされているので、上記空間は殆ど閉ざされて閉空間に近くなり、このことでフロアアンダーパネルとフロアパネルとで多重壁構造が構成される。
【0017】
の発明は、上記遮熱部材は、上記フロアトンネルの内方に位置する遮熱本体部と、上記遮熱部材側締結板部とを有し、上記遮熱部材側締結板部の厚みは上記遮熱本体部の厚みよりも薄く設定されていることを特徴とする。
【0018】
すなわち、遮熱部材の遮熱効果は、主としてフロアトンネルの内方に位置する遮熱本体部に求められ、遮熱部材側締結板部には遮熱効果が殆ど求められない。この遮熱部材側締結板部を相対的に薄くすることで、遮熱部材に要求される遮熱効果を犠牲にすることなく、フロアアンダーパネルとの締結部分において下方への突出量を抑えることが可能になる。
【0019】
の発明は、車両のフロアパネルの車幅方向中間部に車室内へ膨出して車両前後方向に延びるフロアトンネルが形成され、上記フロアパネルの下方には、該フロアパネルの車幅方向内側から外側へ延びるとともに車両前後方向に延び、該フロアパネルを下方から覆うフロアアンダーパネルが設けられ、上記フロアトンネルの内方には、該フロアトンネルの車幅方向一側から他側に亘って遮熱部材が設けられている車両の下部車体構造において、上記フロアパネルは、上記フロアトンネルが形成された本体部分と、上記フロアトンネルの側方において下方へ突出して車両前後方向に延びるトンネルサイドフレームとを有しており、上記フロアアンダーパネルの車幅方向内側には、アンダーパネル側締結板部が車幅方向に延びるように設けられ、上記遮熱部材は、上記フロアトンネルの内方に位置する遮熱本体部を有し、上記遮熱部材の車幅方向外側には、上記フロアトンネルから車幅方向外側へ延出する遮熱部材側締結板部が設けられ、該遮熱部材側締結板部の厚みは上記遮熱本体部の厚みよりも薄く設定され、上記アンダーパネル側締結板部は、上記遮熱部材側締結板部の下側に配置され、上記アンダーパネル側締結板部と、上記遮熱部材側締結板部とが、上記フロアパネルの上記本体部分または上記トンネルサイドフレームに締結され、上記遮熱部材側締結板部は、上記アンダーパネル側締結板部と、上記フロアパネルの上記本体部分または上記トンネルサイドフレームとで挟持されていることを特徴とする。
【0020】
すなわち、遮熱部材側締結板部が遮熱本体部に比べて薄くなっているので破断しやすくなることが考えられるが、その遮熱部材側締結板部をアンダーパネル側締結板部とフロアパネルとで挟持することで、遮熱部材側締結板部の破断が抑制される。
【発明の効果】
【0021】
第1の発明によれば、フロアパネルの車幅方向外側から内側へ延びるとともに車両前後方向に延びるフロアアンダーパネルの車幅方向内側と、フロアトンネルの車幅方向一側から他側に亘って設けられる遮熱部材の車幅方向外側とを重ね合わせたので、フロアの広い範囲をフロアアンダーパネル及び遮熱部材で覆って遮音性を高めることができ、しかも、車室外の騒音がフロアアンダーパネルと遮熱部材との間からフロアパネルに達し難くすることができる。これにより、車室内の更なる静粛化を図ることができる。
【0022】
また、フロアアンダーパネルの車幅方向内側に設けたアンダーパネル側締結板部と、遮熱部材の車幅方向外側に設けたアンダーパネル側締結板部とを上下方向に重ね合わせてフロアパネルに締結することができる。これにより、フロアアンダーパネルの車幅方向内側と遮熱部材の車幅方向外側とを互いに密着させて両者の間の隙間を小さくすることができるので、車室外の騒音が更にフロアパネルに達し難くなり、車室内の静粛性をより一層向上させることができる。
【0023】
また、アンダーパネル側締結板部と遮熱部材側締結板部とをフロアパネルに共締めすることができる。これにより、アンダーパネル側締結板部と遮熱部材側締結板部とを更に密着させて両者の間の隙間を更に小さくして車室内の静粛性をより一層向上させることができる。
【0024】
また、フロアパネルの下面に下方へ突出するトンネルサイドフレームを設け、アンダーパネル側締結板部と遮熱部材側締結板部とをトンネルサイドフレームに締結したので、フロアアンダーパネルとフロアパネルとで多重壁構造を構成できる。これにより、フロアアンダーパネルを設けたことによる遮音性能をより一層向上させることができる。
【0025】
の発明によれば、遮熱部材側締結板部の厚みを、フロアトンネルの内方に位置する遮熱本体部の厚みよりも薄く設定したので、遮熱部材に要求される遮熱効果を犠牲にすることなく、フロアアンダーパネルとの締結部分において下方への突出量を抑えて車両の最低地上高に影響を及ぼさないようにすることができる。
【0026】
の発明によれば、相対的に薄い遮熱部材側締結板部をアンダーパネル側締結板部とフロアパネルとで挟持することで、遮熱部材側締結板部の破断を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施形態に係る車両の下部車体構造を上方から見た斜視図である。
図2】車両の下部車体構造の底面図である。
図3図2のIII−III線断面図である。
図4】トンネルインシュレータを左上方から見た斜視図である。
図5】トンネルインシュレータの底面図である。
図6】フロアアンダーパネルを左上方から見た斜視図である。
図7】フロアアンダーパネルの底面図である。
図8】トンネルインシュレータ及びフロアアンダーパネルを取り外した下部車体構造の底面図である。
図9】フロアアンダーパネルを取り外してトンネルインシュレータを取り付けた状態の下部車体構造の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0029】
図1は、本発明の実施形態に係る車両の下部車体構造1を左上方から見た斜視図である。この車両の下部車体構造1は乗用自動車用のものであり、図1では、下部車体構造1の理解を容易にするため、ピラー類、ドア、フェンダーパネル、サスペンション装置、内外装部材等を省略している。尚、この実施形態の説明では、車両前側を単に「前」といい、車両後側を単に「後」といい、車両左側を単に「左」といい、車両右側を単に「右」というものとする。
【0030】
(自動車の全体構成)
上記自動車の前部には図示しないエンジンや変速機等が収容されるエンジンルームAが設けられている。エンジンルームAの左側及び右側にはフロントサイドフレームF1、F2が設けられている。エンジンルームAの後方には乗員用の車室Bが設けられており、エンジンルームAと車室BとはダッシュパネルDにより仕切られている。車室Bの前側において右側には運転席シート(図示せず)が配設され、左側には助手席シート(図示せず)が配設されている。運転席シートと助手席シートは左右入れ替わってもよい。また、車室Bにおける運転席シート及び助手席シートの後側には、後席シート(図示せず)が配設されている。また、車室Bの後側、即ち自動車の後部には荷室Cが設けられている。尚、後席シートの無い自動車に本発明を適用することもでき、また、3列シートを備えた自動車に本発明を適用することもできる。
【0031】
(下部車体構造)
下部車体構造1は、フロアパネル2と、荷室底部パネル3と、左側サイドシル4と、右側サイドシル5と、図4及び図5等に示すトンネルインシュレータ6と、図6及び図7等に示す左側フロアアンダーパネル7及び右側フロアアンダーパネル8とを少なくとも備えている。
【0032】
フロアパネル2は、例えば鋼板等からなり、前後方向及び左右方向(車幅方向)に延びている。このフロアパネル2の上方に車室Bが設けられている。フロアパネル2の前部は、該フロアパネル2の前端へ行くほど上に位置するように斜め上方へ延びていて、このフロアパネル2の前部にダッシュパネルDの下部が接続されている。
【0033】
フロアパネル2の前側は、運転席シート及び助手席シートが固定される前側パネル部2aとされる一方、フロアパネル2の後側は、後席シートが固定される後側パネル部2bとされている。そして、前側パネル部2aは、後席シートに着座する乗員の足元近傍まで延びている。後側パネル部2bは、前側パネル部2aよりも一段高く形成されていて、後側パネル部2bの下方には、図8に示すように燃料タンク9が配設されるようになっている。燃料タンク9は、例えば樹脂成形品とすることができる。燃料タンク9の底壁9aには上方へ窪んで前後方向に延びる凹条部9bが形成されている。凹条部9bの前部は、後側パネル部2bの下方において左右方向の中央部に位置する一方、後部は右側に偏位している。つまり、凹条部9bは左右方向に屈曲しながら延びている。
【0034】
図1に示す荷室底部パネル3は、後側パネル部2bの後部から後側へ延びている。荷室底部パネル3の上方に荷室Cが設けられている。
【0035】
前側パネル部2aの左右方向中央部には、車室B内側(上側)へ膨出して前後方向に延びるフロアトンネル10が形成されている。フロアトンネル10は、フロアパネル2の前部である前側パネル部2aの前部から該前側パネル部2aの後部まで連続して延びており、全体が下方に開放されている。フロアトンネル10の前部はエンジンルールAに達する一方、フロアトンネル10の後部は後側パネル部2bの下方の空間、即ち燃料タンク9が配設される空間に達している。フロアトンネル10の後部と、燃料タンク9の凹条部9bの前部とは共に車体の左右方向中央部に位置している。
【0036】
フロアトンネル10の内方には、エンジンルームAから延びる排気管H(図3に仮想線で示す)が配置されている。排気管Hは、フロアトンネル10の内方を通って後側へ延び、更に燃料タンク9の凹条部9bの内方を通って荷室底部パネル3の下方に達するまで延びている。尚、上記自動車が後輪駆動車や四輪駆動車の場合は、図示しないが、フロアトンネル10の内方にプロペラシャフトも配置されることになる。フロアトンネル10の幅(左右方向の寸法)は、該フロアトンネル10の下部に近づくほど広くなるように設定されている。
【0037】
図1に示すように、左側サイドシル4は、フロアパネル2の左縁部に沿って前後方向に延びている。また、右側サイドシル5は、フロアパネル2の右縁部に沿って前後方向に延びている。フロアパネル2の前側パネル部2aの上面には、フロアトンネル10と左側サイドシル4との間に、助手席シートのレール(図示せず)が固定される左側第1クロスメンバ21と左側第2クロスメンバ22とが接合されている。左側第1クロスメンバ21は、左側第2クロスメンバ22よりも前方に配置されている。左側第1クロスメンバ21及び左側第2クロスメンバ22は左右方向に延びている。左側第1クロスメンバ21及び左側第2クロスメンバ22の左端部は左側サイドシル4に接合され、また、左側第1クロスメンバ21及び左側第2クロスメンバ22の右端部はフロアトンネル10の左側壁に接合されている。
【0038】
フロアパネル2の前側パネル部2aの上面におけるフロアトンネル10と右側サイドシル5との間には、運転席シートのレール(図示せず)が固定される右側第1クロスメンバ23と右側第2クロスメンバ24とが接合されている。右側第1クロスメンバ23及び右側第2クロスメンバ24は、左側第1クロスメンバ21及び左側第2クロスメンバ22と同様に構成されており、右側第1クロスメンバ23及び右側第2クロスメンバ24の右端部は右側サイドシル5に接合され、また、右側第1クロスメンバ23及び右側第2クロスメンバ24の左端部はフロアトンネル10の右側壁に接合されている。
【0039】
図8に示すように、フロアパネル2は、左側トンネルサイドフレーム26及び右側トンネルサイドフレーム27を有している。左側トンネルサイドフレーム26は、フロアパネル2の下面においてフロアトンネル10の左側方、即ちフロアトンネル10の下部から左側に離れた部位に接合されている。また、右側トンネルサイドフレーム27は、フロアパネル2の下面においてフロアトンネル10の右側方、即ちフロアトンネル10の下部から右側に離れた部位に接合されている。
【0040】
左側トンネルサイドフレーム26及び右側トンネルサイドフレーム27は、フロアパネル2の下面から下方へ突出してフロアトンネル10に沿うように前後方向に延びている。左側トンネルサイドフレーム26及び右側トンネルサイドフレーム27の下壁は前後方向に延びている。左側トンネルサイドフレーム26の下壁には、締結部材J(図3に示す)が挿通する複数の挿通孔26aが形成されている。これら挿通孔26aは、左側トンネルサイドフレーム26の長手方向に互いに間隔をあけて形成されている。また、同様に、右側トンネルサイドフレーム27の下壁にも締結部材Jが挿通する複数の挿通孔27a(図8にのみ示す)が形成されている。
【0041】
上記締結部材Jは、例えばネジ、ボルト、各種ファスナ等を挙げることができ、後述するようにトンネルインシュレータ6及びフロアアンダーパネル7、8を左側トンネルサイドフレーム26と右側トンネルサイドフレーム27に締結することができる部材であればよい。また、締結部材Jは、左側トンネルサイドフレーム26の挿通孔26aに螺合させるようにしてもよいし、左側トンネルサイドフレーム26の内部に溶接されたナット(図示せず)に螺合させるようにしてもよい。右側トンネルサイドフレーム27についても同様な螺合構造とすることができる。
【0042】
尚、この実施形態では、左側トンネルサイドフレーム26及び右側トンネルサイドフレーム27が互いに略平行に配置されているが、これらフレーム26、27は前後方向に対して傾斜するように配置されていてもよい。
【0043】
また、フロアパネル2は、左側下部フレーム28及び右側下部フレーム29を有している。左側下部フレーム28は、フロアパネル2の下面において左側トンネルサイドフレーム26と左側サイドシル4との間の部分に接合されている。右側下部フレーム29は、フロアパネル2の下面において右側トンネルサイドフレーム27と右側サイドシル5との間の部分に接合されている。左側下部フレーム28及び右側下部フレーム29は、後側へ行くほど車幅方向外側に位置するように前後方向に対して傾斜している。
【0044】
(トンネルインシュレータの構成)
図4及び図5に示すトンネルインシュレータ6は、図3図9に示すようにフロアトンネル10の内方に設けられており、該フロアトンネル10の左側(車幅方向一側)から右側(車幅方向他側)に亘るように形成されている。すなわち、トンネルインシュレータ6は、フロアトンネル10の内方に位置する遮熱本体部61と、遮熱本体部61の左側(車幅方向外側)の下部から左側へ向けて延出する左側インシュレータ締結板部(遮熱部材側締結板部)62と、遮熱本体部61の右側(車幅方向外側)の下部から右側へ向けて延出する右側インシュレータ締結板部(遮熱部材側締結板部)63とを有している。図3に示すように、遮熱本体部61は、遮熱性を有する板状部61aと、板状部61aの上面に積層されたより高い遮熱性を有する遮熱材61bとを有しており、全体としてフロアトンネル10の内面形状に沿うように、上方へ膨出する形状となっている。遮熱本体部61の内方に排気管Hが配置され、排気管Hの熱(触媒装置が配設される場合には触媒装置の熱)が主に遮熱本体部61によって遮られて車室に伝達し難くなっている。
【0045】
左側インシュレータ締結板部62及び右側インシュレータ締結板部63は、遮熱本体部61の板状部61aと一体であり、該板状部61aを構成している部材からなるものである。従って、左側インシュレータ締結板部62及び右側インシュレータ締結板部63の厚みは遮熱本体部61の厚みよりも薄く設定されている。
【0046】
また、この実施形態ではタンクインシュレータ60がトンネルインシュレータ6と一体化されている。タンクインシュレータ60は、トンネルインシュレータ6の後部に連続するように設けられている。タンクインシュレータ60は、燃料タンク9の凹条部9bの内方に位置するタンク遮熱部60aと、タンク遮熱部60aの左側の下部から左側へ向けて延出する左側タンクインシュレータ締結板部60bと、タンク遮熱部60aの右側の下部から右側へ向けて延出する右側タンクインシュレータ締結板部60cとを有している。左側タンクインシュレータ締結板部60b及び右側タンクインシュレータ締結板部60cは、車体に締結固定されている。
【0047】
タンク遮熱部60aは、燃料タンク9の凹条部9bの内面形状に沿うように、上方へ膨出する形状となっている。このタンク遮熱部60aの前部と、遮熱本体部61の後部とが連続したトンネル形状を構成している。タンク遮熱部60aの内方に排気管Hが配置され、排気管Hの熱が主にタンク遮熱部60aによって遮られて燃料タンク9に伝達し難くなっている。トンネルインシュレータ6及びタンクインシュレータ60は、従来から周知のアルミニウム合金や各種断熱材等で構成されている。
【0048】
図3に示すように、トンネルインシュレータ6の左側インシュレータ締結板部62は、フロアトンネル10から左側(車幅方向外側)へ向けて左側トンネルサイドフレーム26の直下方に達するまで延出している。図4図5に示すように、左側インシュレータ締結板部62には、締結部材Jが挿通する複数の遮熱部材側挿通孔62aが左側トンネルサイドフレーム26の挿通孔26aに略一致するように形成されている。
【0049】
トンネルインシュレータ6の右側インシュレータ締結板部63は、フロアトンネル10から右側(車幅方向外側)へ向けて右側トンネルサイドフレーム27の直下方に達するまで延出している。右側インシュレータ締結板部63には、締結部材Jが挿通する複数の遮熱部材側挿通孔63aが右側トンネルサイドフレーム27の挿通孔27a(図8に示す)に略一致するように形成されている。
【0050】
(フロアアンダーパネルの構成)
図6及び図7に示す左側フロアアンダーパネル7及び右側フロアアンダーパネル8は、それぞれ、フロアパネル2の下方において左側及び右側に設けられるものであり、例えばポリプロピレン等の樹脂材で構成することができる。左側フロアアンダーパネル7及び右側フロアアンダーパネル8は、フロアパネル2を下方から覆うことによって主に自動車の下部の空力特性を向上させるためのものであるが、この実施形態では、フロアアンダーパネル7、8を遮音性向上のためにも利用している。
【0051】
具体的には、左側フロアアンダーパネル7は、フロアパネル2の下方においてフロアトンネル10よりも左側に配置されていて、フロアパネル2の車幅方向内側から外側へ向けて左側サイドシル4の下方まで延びるとともに、フロアパネル2の前部から燃料タンク9の下方を通って荷室底部パネル3の下方に至るまで連続して延びている。左側フロアアンダーパネル7の後側には、右側へ延びる延出板部70が形成されている。
【0052】
また、右側フロアアンダーパネル8は、フロアパネル2の下方においてフロアトンネル10よりも右側に配置されていて、フロアパネル2の車幅方向内側から外側へ向けて右側サイドシル5の下方まで延びるとともに、フロアパネル2の前部から燃料タンク9の下方を通って荷室底部パネル3の下方に至るまで連続して延びている。そして、フロアパネル2と左側フロアアンダーパネル7との間には、図3に示すように空間Sが形成され、また、フロアパネル2と右側フロアアンダーパネル8との間にも図示しないが同様な空間が形成される。
【0053】
図3にも示すように、左側フロアアンダーパネル7の車幅方向内側である右側には、アンダーパネル側締結板部71が左右方向に延びるように設けられている。アンダーパネル側締結板部71は、左側インシュレータ締結板部62の下側に配置されてアンダーパネル側締結板部71と左側インシュレータ締結板部62とが上下方向に重ね合わされるようになっている。アンダーパネル側締結板部71には、締結部材Jが挿通する複数のアンダーパネル側挿通孔71aが左側トンネルサイドフレーム26の挿通孔26aと略一致するように形成されている。
【0054】
左側フロアアンダーパネル7の車幅方向外側である左側には、サイドシル締結板部72が設けられている。サイドシル締結板部72は、左側サイドシル4の下方に達するまで延びている。サイドシル締結板部72には、締結部材Jが挿通する複数の挿通孔72aが形成されており、この挿通孔72aに挿通された締結部材Jを左側サイドシル4に螺合させることによって左側フロアアンダーパネル7の左側が左側サイドシル4に締結固定されるようになっている。
【0055】
また、右側フロアアンダーパネル8は、フロアパネル2の下方においてフロアトンネル10よりも右側に配置されていて、フロアパネル2の車幅方向内側から外側へ向けて右側サイドシル5の下方まで延びるとともに、フロアパネル2の前部から燃料タンク9の下方を通って荷室底部パネル3の下方に至るまで連続して延びている。右側フロアアンダーパネル8の後側には切欠部80が形成されている。
【0056】
また、右側フロアアンダーパネル8は、フロアパネル2の下方においてフロアトンネル10よりも右側に配置されていて、フロアパネル2の車幅方向内側から外側へ向けて右側サイドシル5の下方まで延びるとともに、フロアパネル2の前部から燃料タンク9の下方を通って荷室底部パネル3の下方に至るまで連続して延びている。従って、フロアパネル2の大部分が左側フロアアンダーパネル7及び右側フロアアンダーパネル8によって覆われることになる。
【0057】
図6及び図7に示すように、右側フロアアンダーパネル8の車幅方向内側である左側には、アンダーパネル側締結板部81が設けられている。アンダーパネル側締結板部81は、右側インシュレータ締結板部63の下側に配置されてアンダーパネル側締結板部81と右側インシュレータ締結板部63とが上下方向に重ね合わされるようになっている。アンダーパネル側締結板部81には、締結部材Jが挿通する複数のアンダーパネル側挿通孔81aが右側トンネルサイドフレーム27の挿通孔27aと略一致するように形成されている。
【0058】
右側フロアアンダーパネル8の車幅方向外側である右側には、サイドシル締結板部82が設けられている。サイドシル締結板部82は、右側サイドシル5の下方に達するまで延びている。サイドシル締結板部82には、締結部材Jが挿通する複数の挿通孔82aが形成されており、この挿通孔82aに挿通された締結部材Jを右側サイドシル5に螺合させることによって右側フロアアンダーパネル8の右側が右側サイドシル5に締結固定されるようになっている。
【0059】
(トンネルインシュレータ及びフロアアンダーパネル取付要領)
次に、トンネルインシュレータ6及びフロアアンダーパネル7、8をフロアパネル2に取り付ける要領について説明する。トンネルインシュレータ6とタンクインシュレータ60とは同時に取り付けられる。
【0060】
まず、図9に示すように、トンネルインシュレータ6及びタンクインシュレータ60をフロアパネル2の下方の所定の取付位置に配置する。これにより、トンネルインシュレータ6の左側インシュレータ締結板部62が左側トンネルサイドフレーム26の下面に配置され、右側インシュレータ締結板部63が右側トンネルサイドフレーム27の下面に配置される。そして、左側フロアアンダーパネル7及び右側フロアアンダーパネル8をフロアパネル2の下方の所定の取付位置に配置する。これにより、左側フロアアンダーパネル7のアンダーパネル側締結板部71が左側インシュレータ締結板部62の下面に配置される。また、右側フロアアンダーパネル8のアンダーパネル側締結板部81が右側インシュレータ締結板部63の下面に配置される。
【0061】
そして、左側フロアアンダーパネル7のアンダーパネル側挿通孔71a及び左側インシュレータ締結板部62の遮熱部材側挿通孔62aに共通の締結部材Jを挿通し、この締結部材Jを左側トンネルサイドフレーム26の挿通孔26aに挿通させて該左側トンネルサイドフレーム26に螺合させる。これにより、アンダーパネル側締結板部71と左側インシュレータ締結板部62とが上下方向に重なった状態でフロアパネル2に締結されることになる。この締結状態では、左側インシュレータ締結板部62がアンダーパネル側締結板部71と左側トンネルサイドフレーム26とで厚み方向に挟持されることになる。
【0062】
また、右側フロアアンダーパネル8のアンダーパネル側挿通孔81a及び右側インシュレータ締結板部63の遮熱部材側挿通孔63aに共通の締結部材Jを挿通し、この締結部材Jを右側トンネルサイドフレーム27の挿通孔27aに挿通させて該右側トンネルサイドフレーム27に螺合させる。これにより、アンダーパネル側締結板部81と右側インシュレータ締結板部63とが上下方向に重なった状態でフロアパネル2に締結されることになる。この締結状態では、右側インシュレータ締結板部63がアンダーパネル側締結板部81と右側トンネルサイドフレーム27とで厚み方向に挟持されることになる。
【0063】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、この実施形態によれば、左側フロアアンダーパネル7のアンダーパネル側締結板部71とトンネルインシュレータ6の左側インシュレータ締結板部62とを上下方向に重ね合わせた状態でフロアパネル2に締結することができる。右側フロアアンダーパネル8についても同様にトンネルインシュレータ6と共に締結することができる。これにより、フロアパネル2が多重壁構造になる。
【0064】
また、フロアパネル2の広い範囲をフロアアンダーパネル7、8及びトンネルインシュレータ6で覆って遮音性を高めることができる。しかも、フロアアンダーパネル7、8とトンネルインシュレータ6との締結部分が上下方向に重なった状態で締結部材Jによって共締めされることになるので、フロアアンダーパネル7、8とトンネルインシュレータ6とを密着させることができ、フロアアンダーパネル7、8とトンネルインシュレータ6との間に開口が形成され難くなり、また、開口が形成されたとしてもその開口面積は十分に小さくすることができる。よって、車室外の騒音がフロアアンダーパネル7、8とトンネルインシュレータ6との間からフロアパネル2の下面に達し難くすることができる。従って、車室内の更なる静粛化を図ることができる。
【0065】
また、トンネルインシュレータ6の左側インシュレータ締結板部62及び右側インシュレータ締結板部63の厚みを、遮熱本体部61の厚みよりも薄く設定したので、トンネルインシュレータ6に要求される遮熱効果を犠牲にすることなく、フロアアンダーパネル7、8との締結部分において下方への突出量を抑えて車両の最低地上高に影響を及ぼさないようにすることができる。この場合に、トンネルインシュレータ6の左側インシュレータ締結板部62及び右側インシュレータ締結板部63を、フロアアンダーパネル7、8とフロアパネル2とで厚み方向に挟持することができるので、左側インシュレータ締結板部62及び右側インシュレータ締結板部63の破断を抑制することができる。
【0066】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、フロアアンダーパネル7、8及びトンネルインシュレータ6を、フロアパネル2の一部を構成しているトンネルサイドフレーム26、27に締結するようにしているが、これに限らず、フロアパネル2の本体部分に締結するようにしてもよい。
【0067】
また、トンネルインシュレータ6の左側インシュレータ締結板部62及び右側インシュレータ締結板部63をフロアアンダーパネル7、8のアンダーパネル側締結板部71、81の下側に配置して締結するようにしてもよい。
【0068】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上説明したように、本発明に係る車両の下部車体構造は、例えば自動車のフロアパネルの下方にフロアアンダーカバーを設ける場合に適用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 車両の下部車体構造
2 フロアパネル
6 トンネルインシュレータ(遮熱部材)
7、8 フロアアンダーパネル
10 フロアトンネル
26、27 トンネルサイドフレーム
61 遮熱本体部
62、63 インシュレータ締結板部(遮熱部材側締結板部)
62a、63a 遮熱部材側挿通孔
71、81 アンダーパネル側締結板部
J 締結部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9