特許第6409879号(P6409879)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6409879パッケージ型パワー半導体、および、パッケージ型パワー半導体の実装構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6409879
(24)【登録日】2018年10月5日
(45)【発行日】2018年10月24日
(54)【発明の名称】パッケージ型パワー半導体、および、パッケージ型パワー半導体の実装構造
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/28 20060101AFI20181015BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20181015BHJP
   H01L 23/48 20060101ALI20181015BHJP
【FI】
   H01L23/28 J
   H01L23/28 B
   H01L23/36 D
   H01L23/48 G
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-563556(P2016-563556)
(86)(22)【出願日】2015年9月30日
(86)【国際出願番号】JP2015077656
(87)【国際公開番号】WO2016092938
(87)【国際公開日】20160616
【審査請求日】2017年5月12日
(31)【優先権主張番号】特願2014-248085(P2014-248085)
(32)【優先日】2014年12月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樫浦 英秋
【審査官】 豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−220075(JP,A)
【文献】 特開2008−251795(JP,A)
【文献】 特開2003−031765(JP,A)
【文献】 特開平09−260550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L23/28 −23/31
23/34 −23/36
23/373−23/427
23/44
23/467−23/473
25/00 −25/07
25/10 −25/11
25/16 −25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワー半導体チップと、
前記パワー半導体チップが表面に実装されるリードフレームと、
前記リードフレームの裏面に当接する放熱基板と、
前記放熱基板が裏面に露出し、前記パワー半導体チップおよび前記パワー半導体チップが前記リードフレームに接続する部分を覆う形状からなる絶縁性モールド樹脂と、
を備え、
前記絶縁性モールド樹脂は、
前記絶縁性モールド樹脂の裏面に形成された壁と、
前記絶縁性モールド樹脂の裏面に直交し、前記放熱基板の裏面よりも外方に突起する突起部と、を備え、
前記壁に囲まれる凹部の底面に前記放熱基板の裏面が露出しており、
前記突起部は、前記壁の裏面に、それぞれに離間して複数備えられている、
パッケージ型パワー半導体。
【請求項2】
前記絶縁性モールド樹脂の裏面に直交する方向に前記絶縁性モールド樹脂の裏面を視て、
前記突起部は、前記凹部よりも外周に近い位置に配置されている、
請求項に記載のパッケージ型パワー半導体。
【請求項3】
前記絶縁性モールド樹脂の裏面に直交する方向に前記絶縁性モールド樹脂の裏面を視て、
前記壁は、前記突起部が形成している位置の近傍において、前記凹部の角部が面取りされた形状を備える、
請求項または請求項に記載のパッケージ型パワー半導体。
【請求項4】
請求項乃至請求項のいずれかに記載のパッケージ型パワー半導体と、
前記絶縁性モールド樹脂の裏面側に配置された放熱部材と、
前記パッケージ型パワー半導体を前記放熱部材に接着する絶縁性接着部材と、を備え、
前記放熱基板は、前記絶縁性接着部材を介して前記放熱部材に間接的に接し、
前記突起部は、前記放熱部材に対して直接的に接している、
パッケージ型パワー半導体の実装構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体や放熱部材に実装して使用されるパッケージ型パワー半導体、および、パッケージ型パワー半導体の実装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、各種のパッケージ型パワー半導体が利用されている。パワー半導体は、発熱量が大きいので、パッケージ型パワー半導体は、パワー半導体の放熱構造を要する。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の半導体パワーモジュールは、パワー半導体の裏面に熱拡散板が半田によって接合されている。熱拡散板は、半田によって配線導体に接合されている。熱拡散板および配線導体は、例えばCuからなり、熱伝導率の高い金属である。配線導体は、樹脂絶縁層を挟んで放熱基板の表面に配置されている。放熱基板は、例えばAl、カーボンからなり、熱伝導率の高い材料からなる。樹脂絶縁層は、配線導体と放熱基板との間の絶縁性を高く維持するために用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−56873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の半導体パワーモジュールでは、配線導体と放熱基板とが対向する全面に樹脂絶縁層が配置されている。したがって、絶縁性能は、樹脂絶縁層の厚みによって決定される。
【0006】
一般的に、樹脂絶縁層は、配線導体および放熱基板との密着性を向上させるため、当接面に直交する方向から押圧力をかけた状態で、配線導体と放熱基板との間に配置される。そして、樹脂絶縁層の厚みは、押圧力によって決まる。
【0007】
このため、押圧力を安定させなければ、所望とする絶縁性能を得られない。また、半導体パワーモジュール毎に、絶縁性能が異なってしまう。このため、特許文献1に記載の構成では、絶縁性能が安定した信頼性の高い半導体パワーモジュールを実現することが容易ではない。
【0008】
したがって、本発明の目的は、絶縁性能に関する信頼性が高いパッケージ型パワー半導体を安定して製造できるパッケージ型パワー半導体の構造、および、パッケージ型パワー半導体の実装構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のパッケージ型パワー半導体は、パワー半導体チップ、パワー半導体チップが表面に実装されるリードフレーム、リードフレームの裏面に当接する放熱基板、および、絶縁性モールド樹脂を備える。絶縁性モールド樹脂は、放熱基板が裏面に露出し、パワー半導体チップおよびパワー半導体チップがリードフレームに接続する部分を覆う形状からなる。さらに、絶縁性モールド樹脂は、絶縁性モールド樹脂の裏面に直交し、放熱基板の裏面よりも外方に突起する突起部を備える。
【0010】
この構成では、パッケージ型パワー半導体を放熱する放熱部材に突起部を当接させた状態で実装することによって、パッケージ型パワー半導体と放熱部材との間の絶縁性樹脂層を安定した厚みに制御することができる。
【0011】
また、この発明のパッケージ型パワー半導体では、次の構成であることが好ましい。絶縁性モールド樹脂は、絶縁性モールド樹脂の裏面に壁を備える。壁に囲まれる凹部の底面に放熱基板の裏面が露出している。
【0012】
この構成では、絶縁性モールド樹脂の裏面に露出する放熱基板と放熱部材との距離を離間できる。これにより、絶縁性に関する沿面距離を長くでき、絶縁性能が向上する。
【0013】
また、この発明のパッケージ型パワー半導体では、突起部は、壁の裏面に、それぞれに離間して複数備えられている。
【0014】
この構成では、パッケージ型パワー半導体を放熱部材に安定した姿勢で接着しながら、パッケージ型パワー半導体と放熱部材との間に配する絶縁性接着部材の流動性を阻害しない。これにより、パッケージ型パワー半導体の裏面の全面(突起部を除く)に確実に絶縁性接着部材をいきわたらせることができる。
【0015】
また、この発明のパッケージ型パワー半導体では、絶縁性モールド樹脂の裏面に直交する方向に絶縁性モールド樹脂の裏面を視て、突起部は、凹部よりも外周に近い位置に配置されていることが好ましい。
【0016】
この構成では、放熱基板と放熱部材との沿面距離を、さらに長くすることができ、絶縁性能が向上する。
【0017】
また、この発明のパッケージ型パワー半導体では、絶縁性モールド樹脂の裏面に直交する方向に絶縁性モールド樹脂の裏面を視て、壁は、突起部が形成している位置の近傍において、凹部の角部が面取りされた形状を備えることが好ましい。
【0018】
この構成では、放熱基板と放熱部材との沿面距離を、さらに長くすることができ、さらに絶縁性能が向上する。
【0019】
また、この発明のパッケージ型パワー半導体の実装構造は、上述のいずれかに記載のパッケージ型パワー半導体と、絶縁性モールド樹脂の裏面側に配置された放熱部材と、パッケージ型パワー半導体を放熱部材に接着する絶縁性接着部材と、を備える。放熱基板は、絶縁性接着部材を介して放熱部材に間接的に接する。突起部は、放熱部材に対して直接的に接している。
【0020】
この構成では、パッケージ型パワー半導体を放熱部材に、高い絶縁性能を持って実装することができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、絶縁性能に関する信頼性が高い状態でパッケージ型パワー半導体を放熱部材に安定して実装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1の実施形態に係るパッケージ型パワー半導体の実装構造を示す側面図、および、パッケージ型パワー半導体の裏面の構成を視た平面図である。
図2】本発明の第2の実施形態に係るパッケージ型パワー半導体の実装構造を示す側面図である。
図3】本発明の第3の実施形態に係るパッケージ型パワー半導体の裏面の構成を視た平面図である。
図4】本発明の第4の実施形態に係るパッケージ型パワー半導体の裏面の構成を視た平面図である。
図5】本発明の第5の実施形態に係るパッケージ型パワー半導体の裏面の構成を視た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の第1の実施形態に係るパッケージ型パワー半導体およびパッケージ型パワー半導体の実装構造について、図を参照して説明する。図1(A)は、本発明の第1の実施形態に係るパッケージ型パワー半導体の実装構造を示す側面図である。図1(B)は、本発明の第1の実施形態に係るパッケージ型パワー半導体の裏面の構成を視た平面図である。
【0024】
図1に示すように、パッケージ型パワー半導体10は、パワー半導体チップ20、リードフレーム31,32、ワイヤ40、放熱基板50、絶縁性モールド樹脂60を備える。
【0025】
パワー半導体チップ20は、リードフレーム31の表面に実装されている。パワー半導体チップ20は、ワイヤ40によって、リードフレーム32に接続されている。ワイヤ40は、導電性ワイヤであり、Al、Au等を材料としている。
【0026】
リードフレーム31,32は、導電性を有し、細い板状である。リードフレーム31の延びる方向におけるパワー半導体チップ20が実装されて端部と反対側の端部は、外部の導電部材71によって固定されている。リードフレーム32の延びる方向におけるは、ワイヤ40に接続する端部と反対側の端部は、外部の導電部材72によって固定されている。
【0027】
放熱基板50は、熱伝導性の高い板からなる。例えば、放熱基板50は、Cu,Al等からなる。したがって、放熱基板50は導電性を有する。放熱基板50の表面は、リードフレーム31の裏面、言い換えれば、リードフレーム31におけるパワー半導体チップ20の実装面の反対側の面に当接している。
【0028】
絶縁性モールド樹脂60は、パワー半導体チップ20、リードフレーム31,32の一部、ワイヤ40、放熱基板50の一部を覆う形状からなる。パワー半導体チップ20およびワイヤ40は、全体が絶縁性モールド樹脂60によって覆われている。リードフレーム31は、パワー半導体チップ20が実装される端部を含むように覆われている。リードフレーム32は、ワイヤ40が接続する端部を含むように覆われている。放熱基板50は、放熱基板50の裏面が絶縁性モールド樹脂60の裏面601から外部に露出するように覆われている。絶縁性モールド樹脂60は、平面視して略矩形である。放熱基板50は、絶縁性モールド樹脂60を平面視した、中央に配置されている。
【0029】
絶縁性モールド樹脂60の裏面601側には、壁61が備えられている。壁61は、絶縁性モールド樹脂60を裏面側から視て、絶縁性モールド樹脂60の外周に沿って連続的に延びる形状である。この壁61によって、絶縁性モールド樹脂60を平面視した中央に凹部610が形成される。放熱基板50の裏面は、この凹部610の底面に露出している。なお、図では、壁61は、全周に繋がる環状であるが、部分的に分断されていてもよい。
【0030】
壁61の先端には、複数の突起部62が形成されている。突起部62は、円柱状である。複数の突起部62は、壁61の先端の面に離間して配置されている。より具体的には、図1(B)に示すように、複数の突起部62は、絶縁性モールド樹脂60を平面視した4つの角部付近にそれぞれ配置されている。
【0031】
壁61および複数の突起部62は、絶縁性モールド樹脂60の本体部分(パワー半導体チップ20、リードフレーム31,32の一部、ワイヤ40、放熱基板50の一部を覆う部分)と一体形成されている。したがって、壁61および複数の突起部62は、所定の剛性を有する。
【0032】
図1(A)に示すように、パッケージ型パワー半導体10は、絶縁性モールド樹脂60の裏面601側が放熱部材80となるように、放熱部材80に実装される。放熱部材80は、パッケージ型パワー半導体10が実装される電子機器の筐体、冷却機構部等である。
【0033】
絶縁性モールド樹脂60の突起部62の先端は、放熱部材80の表面に当接している。
【0034】
絶縁性モールド樹脂60の裏面601側における突起部62が当接する領域を除く全面は、絶縁性接着部材90によって充填されている。これにより、放熱基板50の裏面は、絶縁性接着部材90に当接し、絶縁性接着部材90は放熱部材80に当接する。
【0035】
絶縁性接着部材90は、熱伝導率が高い材料からなる。これにより、放熱基板50は、絶縁性接着部材90を介して、放熱部材80に熱的に接続されている。したがって、放熱基板50から放熱部材80に効果的に放熱することができる。また、絶縁性接着部材90を介することによって、放熱基板50と放熱部材80との間の絶縁性を保つことができる。
【0036】
さらに、本実施形態の構成では、絶縁性モールド樹脂60の裏面601の突起部62が放熱部材80の表面に当接した状態で、パッケージ型パワー半導体10が放熱部材80に実装される。突起部62は、剛性を有するので、放熱部材80への実装面に直交する方向から押圧力を加えた状態で、パッケージ型パワー半導体10を放熱部材80に実装しても、放熱基板50と放熱部材80との距離は一定となる。したがって、押圧力によることなく、安定した絶縁性能を実現することができる。
【0037】
なお、本実施形態に係るパッケージ型パワー半導体10は、次に示すように、放熱部材80に実装される。
【0038】
まず、放熱部材80の表面におけるパッケージ型パワー半導体10を実装する領域に絶縁性接着部材90を塗布する。この時点では、絶縁性接着部材90は、流動性を有する。
【0039】
次に、放熱部材80における絶縁性接着部材90が塗布された領域に、所定の押圧力を掛けた状態で、パッケージ型パワー半導体10を実装する。この際、突起部62を放熱部材80の表面に当接した状態を維持できる程度の押圧力とする。これにより、絶縁性モールド樹脂60と放熱部材80に挟まれた絶縁性接着部材90は流動し、絶縁性モールド樹脂60の裏面601の全面に亘って広がる。
【0040】
この状態を保持したまま、リードフレーム31,32を外部の導電部材71,72に固定し、絶縁性接着部材90を硬化させる。
【0041】
本実施形態の構成では、突起部62が壁61に対して小さく、複数の突起部62が離間して配置されている。この構成によって、絶縁性接着部材90の流動を阻害せず、絶縁性接着部材90は、確実に、絶縁性モールド樹脂60の裏面601の全面に亘って広がる。
【0042】
このように、本実施形態の構成を用いることによって、絶縁性能に関する信頼性および放熱性が高い状態でパッケージ型パワー半導体を放熱部材に安定して実装することができる。
【0043】
なお、絶縁性モールド樹脂60の壁601は、省略することも可能である。しかしながら、壁601を備えることによって、放熱基板50と放熱部材80との距離を離間でき、絶縁性能を向上することができる。
【0044】
次に、第2の実施形態に係るパッケージ型パワー半導体およびパッケージ型パワー半導体の実装構造について、図を参照して説明する。図2は、本発明の第2の実施形態に係るパッケージ型パワー半導体の実装構造を示す側面図である。
【0045】
本実施形態に係るパッケージ型パワー半導体10Aは、突起部62Aを設置する位置が第1の実施形態に係るパッケージ型パワー半導体10と異なる。
【0046】
突起部62Aは、絶縁性モールド樹脂60Aの壁61を平面視して(絶縁性モールド樹脂60Aを裏面側から平面視して)、凹部610までの直線距離よりも外周辺までの直線距離の方が短くなる位置に配置されている。例えば、具体的に、図2の例であれば、突起部62Aの壁面は、壁61の外面に面一である。
【0047】
このような構成とすることによって、放熱基板50と放熱部材80との沿面距離(図2における位置P1と位置P2との距離)を長くすることができる。これにより、さらに絶縁性能を向上させることができる。また、この構成では、放熱基板50と放熱部材80とに直交する方向の距離が変化しないので、放熱性能が低下しない。したがって、放熱性能の低下を抑制し、且つ絶縁性能がさらに向上した実装構造を実現できる。
【0048】
次に、本発明の第3の実施形態に係るパッケージ型パワー半導体およびパッケージ型パワー半導体の実装構造について、図を参照して説明する。図3は、本発明の第3の実施形態に係るパッケージ型パワー半導体の裏面の構成を視た平面図である。
【0049】
本実施形態に係るパッケージ型パワー半導体10Bは、突起部62Bの形状が第2の実施形態に係るパッケージ型パワー半導体10Aと異なる。
【0050】
突起部62Bは、平面視して楕円形である。突起部62Bは、絶縁性モールド樹脂60Bの裏面601を平面視して、放熱基板50が配置される中央から外方へ向かう放射方向を長軸方向としている。
【0051】
このような構成とすることで、絶縁性接着部材90の流動を、さらに阻害しにくい。したがって、さらに確実に、絶縁性接着部材90を絶縁性モールド樹脂60Bと放熱部材80との間に充填することができる。これにより、さらに絶縁性能を向上させることができる。また、絶縁性能の高いパッケージ型パワー半導体10Bの実装構造を、より確実に実現することができる。
【0052】
次に、本発明の第4の実施形態に係るパッケージ型パワー半導体およびパッケージ型パワー半導体の実装構造について、図を参照して説明する。図4は、本発明の第4の実施形態に係るパッケージ型パワー半導体の裏面の構成を視た平面図である。
【0053】
本実施形態に係るパッケージ型パワー半導体10Cは、突起部62Cの配置位置が、第1の実施形態に係るパッケージ型パワー半導体10と異なる。
【0054】
複数の突起部62Cは、絶縁性モールド樹脂60Cの壁61の先端面において、配置パターンが三角形となるようにされている。
【0055】
このような構成であっても、絶縁性能の高いパッケージ型パワー半導体10Cおよびその実装構造を実現することができる。また、絶縁性接着部材90の流動性をさらに向上できる。
【0056】
なお、上述の各実施形態における突起部の形状は、円柱、楕円柱以外に、平面視した形状が多角形の柱状であってもよい。但し、平面視した角部の角度は大きく、できれば円弧状であることが好ましい。これにより、絶縁性接着部材90の突起部付近での回り込みをよくできる。
【0057】
次に、本発明の第5の実施形態に係るパッケージ型パワー半導体およびパッケージ型パワー半導体の実装構造について、図を参照して説明する。図5は、本発明の第5の実施形態に係るパッケージ型パワー半導体の裏面の構成を視た平面図である。
【0058】
本実施形態に係るパッケージ型パワー半導体10Dは、壁61Dの形状が、第3の実施形態に係るパッケージ型パワー半導体10Bと異なる。
【0059】
壁61Dは、突起部62Dが配置される角部において、幅が厚くなるように形成されている。言い換えれば、凹部610Dは、平面視して、角が面取りされた形状からなる。
【0060】
このような形状とすることによって、放熱基板50と放熱部材80との沿面距離をさらに長くすることができる。これにより、さらに絶縁性能を向上することができる。
【0061】
なお、上述の各実施形態は、適宜組み合わせることができ、上述の各実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0062】
10,10A,10B,10C,10D:パッケージ型パワー半導体
20:パワー半導体チップ
31,32:リードフレーム
40:ワイヤ
50:放熱基板
60,60A,60B,60C,60D:絶縁性モールド樹脂
61:壁
62,62A,62B,62C,62D:突起部
71,72:導電部材
80:放熱部材
90:絶縁性接着部材
601:絶縁性モールド樹脂の裏面
610:凹部
図1
図2
図3
図4
図5