(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ハウジングが、前記原稿搬送路に対して前記原稿を通過させ得る第1位置と、前記原稿の先端を当接させ得る第2位置との間で変位可能である請求項1に記載の画像読取装置。
前記ハウジングが、前記原稿搬送路を搬送される前記原稿の面を鉛直方向からみて、前記原稿が搬送される搬送方向に直交する軸を中心に傾けることにより前記第1位置と前記第2位置間で変位可能である請求項2に記載の画像読取装置。
前記原稿搬送路が、前記原稿給送手段により搬送された前記原稿の先端が前記ハウジングに当接する第1位置と、前記原稿の先端と前記ハウジングとの当接が解除され、前記原稿を前記原稿の読取位置に搬送可能な第2位置との間で変位可能である請求項1に記載の画像読取装置。
前記原稿搬送路が、前記原稿の送り出し方向を前記第1位置と前記第2位置間で変化させるように、前記原稿の搬送高さを変更可能なガイド部材を有する請求項5に記載の画像読取装置。
前記読取手段が、原稿面を照明する照明装置と、受光センサーと、原稿面からの反射光を受光センサーに結像させるロッドレンズアレイとを備える密着型イメージセンサーからなる請求項1乃至6のいずれかに記載の画像読取装置。
前記画像読取部が、前記原稿搬送路を搬送される前記原稿を上方から読み取る読取手段を有する第1画像読取部からなり、前記原稿を下方から読み取る読取手段を有する第2画像読取部を更に備える請求項1乃至6のいずれかに記載の画像読取装置。
前記第1及び第2画像読取部の前記読取手段が、それぞれ原稿面を照明する照明装置と、受光センサーと、前記原稿面からの反射光を前記受光センサーに結像させるロッドレンズアレイとを備える密着型イメージセンサーからなり、
前記第1及び第2画像読取部の前記読取手段の前記照明装置が、それぞれ前記ロッドレンズアレイに関して前記原稿搬送路の上流側に配置され、前記第1及び第2画像読取部の前記読取手段の前記ロッドレンズアレイの光軸が、前記原稿搬送路に沿って互いに異なる位置に配置されている請求項8に記載の画像読取装置。
前記原稿搬送路が、可撓性の前記原稿を搬送するための第1原稿搬送路と、不撓性の前記原稿を搬送するための第2原稿搬送路とを有する請求項1乃至9のいずれかに記載の画像読取装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、硬質カード等の不撓性の原稿を搬送する場合、特許文献3記載の装置では、側面ガイド間の幅をカード幅に合わせて設定しなければならず、使用可能なカード幅が限定されてしまう虞がある。また、側面ガイド間の幅を調整可能にすれば、カードとの間に僅かなガタが生じても、傾いて搬送されるため、正確にスキューを補正することは困難である。
【0009】
また、特許文献1記載の装置において、普通紙のような可撓性の原稿をレジストローラーによるループ形成でスキュー補正する場合、レジストローラーから原稿読取位置までの搬送経路が長いと、その途中で再びスキューを生じる虞がある。更に、停止しているレジストローラーのニップ部に原稿の先端が入り込んでしまい、高精度にスキューを補正できなくなる虞がある。特に不撓性の原稿をレジストローラーでスキュー補正すると、停止しているレジストローラーのニップ部に原稿の先端が押し込まれる可能性が高い。
【0010】
そこで、本発明は、上述した従来の問題点を解消するためになされたもので、その目的は、可撓性又は不撓性の原稿であっても、スキュー補正の精度を向上させ得る画像読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の画像読取装置は、原稿の画像を読み取る読取手段と前記読取手段を保持するハウジングとからなる画像読取部と、前記原稿の読取位置を有する原稿搬送路と、前記原稿搬送路に沿って原稿を搬送する原稿給送手段と、前記原稿搬送路と前記ハウジングとを相対的に移動させる移動手段と、前記原稿給送手段と前記移動手段とを制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記移動手段と前記
原稿給送手段を制御することにより、前記原稿搬送路と前記ハウジングとを相対的に移動させ、前記原稿搬送路に沿って搬送される前記原稿を、前記読取位置より手前で前記ハウジングに前記原稿の先端を当接させて一旦停止させ、その後、前記移動手段と前記
原稿給送手段を制御することにより、前記原稿搬送路と前記ハウジングとを相対的に移動させ、前記原稿を前記原稿搬送路における前記読取位置を通過させることを特徴とする。
【0012】
このように搬送中の原稿の先端を画像読取部のハウジングに当接させることによって、原稿のスキューを補正できるので、スキュー補正位置と画像読取位置とを非常に短く設定することができる。しかも、原稿のスキュー補正と画像読み取りとを同じ画像読取部で行うので、スキュー補正位置と画像読取位置の間に他の原稿搬送部材や構成要素が介在しない。従って、原稿のスキュー補正精度が大きく向上する。
【0013】
また、画像読取部のハウジングで原稿のスキュー補正を行うことによって、従来技術においてスキュー補正に使用されているレジストローラーや原稿の側面ガイドを必要としない。更に、画像読取部のハウジングによって、これに当接する原稿の先端位置を明確に認識できるので、別個に原稿先端位置の検知センサーを設ける必要もない。その結果、部品点数を少なくして装置の構成を簡単にし、装置全体の省スペース化、小型化、及びコスト低減を図ることができる。
【0014】
また、樹脂又は金属カードのような不撓性原稿を読み取る場合に、その側面位置をガイド部材等によって規制することなくスキュー補正できるので、使用可能な原稿の幅寸法が制限されない。従って、1つの装置で様々な幅寸法の原稿を読み取ることができ、汎用性の高い画像読取装置が提供される。
【0015】
或る実施態様では、画像読取部のハウジングが、原稿搬送路に対して原稿を通過させ得る第1位置と、原稿の先端を当接させ得る第2位置との間で変位可能に設けられる。これによって、原稿搬送路にスキュー補正のための新たな部品又は構成要素を設ける必要がなく、上述した作用効果に加えて、特に原稿搬送路の構成を簡単化することができる。
【0016】
この場合、或る実施態様では、ハウジングが、原稿搬送路に対して昇降するように構成され、それによって前記第1位置と前記第2位置との間を変位可能である。このようなハウジングの変位は、部品点数をそれほど追加することなく、比較的簡単な構成によって実現することができる。
【0017】
別の実施態様では、ハウジングが、原稿搬送路に対してその搬送方向に直交する軸を中心に傾けるように構成され、それによって前記第1位置と前記第2位置との間を変位可能である。このようなハウジングの変位も、同様に部品点数をそれほど追加することなく、比較的簡単な構成によって実現される。
【0018】
また、別の実施態様では、原稿搬送路が、原稿給送手段により搬送された原稿の先端がハウジングに当接する第1位置と、原稿の先端とハウジングとの当接が解除され、該原稿を原稿の読取位置に搬送可能な第2位置との間で変位可能に設けられる。これによって、画像読取部及び原稿の読取り高さが固定されるので、上述した作用効果に加えて、より安定して画像読取りを行うことができる。
【0019】
この場合、或る実施態様では、原稿搬送路が、原稿の送り出し方向を前記第1位置と前記第2位置間で変化させるように、原稿の搬送高さを変更可能なガイド部材を有する。このようなガイド部材は、部品点数をそれほど追加することなく、比較的簡単な構成によって実現することができる。
【0020】
また、或る実施態様では、読取手段が、原稿面を照明する照明装置と、受光センサーと、原稿面からの反射光を受光センサーに結像させるロッドレンズアレイとを備える密着型イメージセンサー(CIS)からなる。これによって、装置全体をより小型化することができる。更に、画像読取部のハウジングを変位させる場合には、その駆動及び駆動機構を簡単にすることができる。
【0021】
別の実施態様では、画像読取部が、原稿搬送路を搬送される原稿を上方から読み取る読取手段を有する第1画像読取部からなり、前記画像読取装置が、原稿を下方から読み取る読取手段を有する第2画像読取部を更に備えている。これにより、原稿の表裏両面を同時に読み取ることができる。
【0022】
この場合に、或る実施態様では、第1及び第2画像読取部の読取手段が、それぞれ原稿面を照明する照明装置と、受光センサーと、原稿面からの反射光を前記受光センサーに結像させるロッドレンズアレイとを備えるCISからなり、第1及び第2画像読取部の読取手段の照明装置が、それぞれロッドレンズアレイに関して原稿搬送路の上流側に配置され、第1及び第2画像読取部の読取手段のロッドレンズアレイの光軸が、原稿搬送路に沿って互いに異なる位置に配置される。
【0023】
一般に、CISで原稿を安定して鮮明に読み取るためには、原稿面が読取位置を所定の読取速度で通過することが好ましい。CISの照明装置をロッドレンズアレイの上流側に配置することによって、原稿の停止位置から読取位置までの長さをより長く設定できるので、画像読取部のハウジングで一旦停止した原稿の搬送速度を、読取位置で所望の読取速度が得られるように加速することが比較的容易になる。
【0024】
また、別の実施態様では、原稿搬送路が、可撓性の原稿を搬送するための第1原稿搬送路と、不撓性の原稿を搬送するための第2原稿搬送路とを有する。不撓性の原稿は、原稿搬送路を直線状に設ける必要があり、かつ小型のカードサイズのものが多いので、このように原稿搬送路を別個に設けることにより、共通の原稿搬送路を設ける場合よりも、装置全体の構成及び原稿の取り扱いを簡単化することができる。
【0025】
この場合、或る実施態様では、読取位置を通る第1原稿搬送路の原稿搬送方向と第2原稿搬送路の原稿搬送方向とが互いに逆向きに設けられる。直線状に搬送される不撓性の原稿に対し、可撓性の原稿は湾曲させて折り返し方向に搬送することができるので、第1原稿搬送路と第2原稿搬送路とを逆向きに設けることによって、装置全体の小型化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に添付図面を参照しつつ、その好適な実施態様について詳細に説明する。添付図面において、同一又は類似の構成要素には、同一又は類似の参照符号を付して表すものとする。また、以下の説明において、便宜上普通紙のように折り曲げ可能で可撓性を有する原稿をシート原稿、樹脂カードのような硬質で不撓性の原稿をカード原稿と称するものとする。
【0028】
図1は、本発明による画像読取装置の基本構成を概略的に示している。
図1の画像読取装置1は、カード原稿の表面の画像を読み取るためのものであって、その一方の端部にカード原稿Cを収納するための原稿載置部2を有する。画像読取装置1は、原稿載置部2から他方の端部に向けて水平かつ直線状の原稿搬送路3を有する。原稿搬送路3の略中央かつ直ぐ上方には、画像読取部4が配置されている。原稿搬送路3の終端には、前記原稿搬送路から排出されるカード原稿を受けるための排出トレイ5が取り付けられている。
【0029】
原稿載置部2は、その底部の載置面2aに複数のカード原稿Cを水平に積み重ねて載置することができる。原稿載置部2の下側には、繰り出しローラー6が設けられ、その上端が載置面2aの開口から該載置面上に幾分突出するように配置されている。
【0030】
原稿載置部2には、原稿搬送路3の上流端に仕切り壁7が立設されている。仕切り壁7の下端と前記原稿搬送路の上面との間には、カード原稿を1枚だけ通過させ得る高さの隙間7aが形成されている。この隙間7aを通して、原稿載置部2に積層した複数のカード原稿Cは、繰り出しローラー6を回転駆動することによって、その一番下から1枚ずつ原稿搬送路3に給送することができる。
【0031】
原稿搬送路3には、画像読取部4の上流側に前記原稿搬送路を挟んで上下1対のリードローラー8と、前記画像読取部の下流側に同じく前記原稿搬送路を挟んで上下1対の排出ローラー9とが設けられている。リードローラー8及び排出ローラー9は、それぞれ各対の一方のローラーがモーター等の駆動手段によって回転する主動ローラーであり、他方のローラーが従動ローラーである。更に原稿搬送路3には、画像読取部4の直ぐ下方にプラテン10が配置されている。
【0032】
画像読取部4は、CISからなる単体構造のイメージセンサーユニットであって、概ね矩形箱型のハウジング11内に、照明装置12とロッドレンズアレイ13と受光センサー14と、ハウジング11の下面に設けられたプラテンガラス15とを備える。照明装置12から照射された照明光は、画像読取位置でカード原稿の原稿面から反射されてロッドレンズアレイ13の下端入射面に入射し、上端出射面から出射されて受光センサー14に結像する。
【0033】
通常画像読取部4は、プラテンガラス15の下面と原稿搬送路3のプラテン10の上面との間に一定の隙間16を画定する高さの標準位置に設置されている。この標準位置は、1枚のカード原稿が隙間16を通過することができ、かつその原稿面の高さ位置がロッドレンズアレイ13の焦点深度の範囲内であるように設定される。
【0034】
画像読取部4のハウジング11は、その上方に設けた昇降手段17によって、原稿搬送路3に対して垂直方向に接近・離反するように変位させることができる。ハウジング11は、画像読取部4全体が一体となって変位するように構成することができる。別の実施態様では、前記画像読取部の他の構成部分を固定して、前記ハウジングだけが変位するように構成することもできる。
【0035】
画像読取部4は、昇降手段17によって前記標準位置からプラテン10上面に向けて所定の高さまで下降させることができる。この下降位置の高さは、少なくともハウジング11の上流側の側壁11aが、1枚のカード原稿が通過できない大きさまで隙間16を小さくするように設定される。従って、前記下降位置において画像読取部4は、その下端がプラテン10上面に接しても接しなくてもよい。
【0036】
次に画像読取装置1の動作を、
図2(A)〜(D)を用いて順に説明する。先ず、繰り出しローラー6を回転させて、原稿載置部2から一番下の1枚のカード原稿Cを仕切り壁7により分離して原稿搬送路3に給送する。送り出されたカード原稿Cは、その先端がリードローラー8対にニップされ(
図2(A))、該リードローラーの回転によって更に原稿搬送路3を画像読取部4に向けて搬送される。
【0037】
昇降手段17は、カード原稿Cの先端が或る位置に到達すると作動して、画像読取部4を前記標準位置から前記下降位置まで下降させる。これにより、画像読取部4の下方の原稿搬送路3が閉じられるので、カード原稿Cは、その先端をハウジング11の側壁11aに当接させて停止する(
図2(B))。リードローラー8は、カード原稿Cの停止後、一定時間だけ回転させ続けた後停止させる。これによって、カード原稿Cの先端位置を揃え、スキューを補正することができる。
【0038】
また、昇降手段17による下降動作のタイミングは、例えばカード原稿Cの先端がリードローラー8対にニップされたとき、リードローラー8が受ける圧力の変化などによって決定することができる。また、原稿搬送路3の画像読取部4より上流の位置に別個の検知センサーを設けてカード原稿Cの先端位置を検知し、昇降手段17を作動させることもできる。
【0039】
また別の実施態様では、画像読取装置1に電源を投入してイニシャル動作を完了した後に、又はカード原稿Cの読み取りが完了した後に、昇降手段17を作動させて画像読取部4を下降させてもよい。次のカード原稿Cが繰り出しローラー6を回転させて原稿搬送路3に給送される前に、予め昇降手段17によって画像読取部4を前記下降位置に下降させておけば、該次のカード原稿Cは、その先端をハウジング11の側壁11aに当接させて停止する。このように、カード原稿Cの読み取りを行ってよいときは必ず画像読取部4が前記下降位置にあるようにすることによって、前記画像読取部の下降動作のタイミングがより簡単に制御可能になる。
【0040】
リードローラー8の停止後、昇降手段17を作動させて画像読取部4を前記下降位置から前記標準位置まで上昇させる。これにより、カード原稿Cは、その先端がハウジング側壁11aとの当接から解放され、再びリードローラー8の回転によって原稿搬送路3に沿って画像読取部4の下側を通過する(
図2(C))。昇降手段17として、例えば電磁ソレノイドからなるアクチュエータを使用することができる。
【0041】
画像読取部4を通過したカード原稿Cは、その先端が排出ローラー9対にニップされ、該リードローラーの回転によって原稿搬送路3から外部に排出される(
図2(D))。完全に外部に排出されたカード原稿Cは、排出トレイ5に落下する。
【0042】
図1の画像読取装置1は、カード原稿の表面だけの画像を読み取るものであるが、原稿の表裏両面の画像を読み取るように構成することもできる。例えば、
図1に想像線で示すように、原稿搬送路3の下側に画像読取部4と対向する向きに追加の画像読取部18を配置する。このとき、原稿搬送路3のプラテン10は取り外され、その位置に追加の画像読取部18のプラテンガラスが配置されることになる。
【0043】
本発明の画像読取装置は、カード原稿専用の読取装置としてだけでなく、デジタル式の複合複写機、ファクシミリ、イメージスキャナー等の様々な装置にも適用することができる。
【0044】
図3は、自動原稿送り(ADF)機能を備えた画像読取装置の第1実施態様を示す断面図である。本実施態様の画像読取装置20は、シート原稿及びカード原稿の両方について使用でき、かつ原稿の表裏両面の画像を読み取るように構成されている。画像読取装置20は、下部ユニット21と、該下部ユニットに対して開閉自在に取り付けられたADFを構成する上部ユニット22とを備える。
【0045】
下部ユニット21には、その上面に第1プラテンガラス23が設けられ、その直ぐ下側には、第1プラテンガラス23上を通過する原稿の下面を読み取るための第1画像読取部24が配置されている。第1画像読取部24は、ハウジング内に照明装置25と、ロッドレンズアレイ26と、受光センサー27とを有するCISである。尚、第1画像読取部24は、第1プラテンガラス23に隣接するプラテン上に載置した原稿を走査して読み取るために、キャリッジ上に水平移動可能に装着されている。
【0046】
上部ユニット22には、下部ユニット21の第1プラテンガラス23を挟んで第1画像読取部24と対向するように、第2画像読取部28が配置されている。第2画像読取部28は、同様にCISであって、ハウジング29内に照明装置30と、ロッドレンズアレイ31と、受光センサー32とを、ハウジング29の下面に第2プラテンガラス33とを有する。
【0047】
更に上部ユニット22は、複数のシート原稿Sを積層して載置するための給紙トレイ33と、該給紙トレイ上からシート原稿を搬送して画像の読取処理を行なうADF本体34と、読取処理したシート原稿を排出収容するための第1排紙トレイ35とを備える。上部ユニット23の内部には、シート原稿を給紙トレイ33から第1排紙トレイ35まで搬送する第1原稿搬送経路36が設けられている。
【0048】
第1原稿搬送経路36には、最も上流側に、給紙トレイ35上の最上位置のシート原稿Sに当接して、これを前記第1原稿搬送経路に繰り出すための第1繰出しローラー37が配設されている。その直ぐ下流には、繰り出されたシート原稿を確実に1枚ずつ分離する第1給紙ローラー38と、これに当接する分離パッド39とからなるシート分離機構が設けられている。
【0049】
更に第1原稿搬送経路36には、第2画像読取部28の上流側に、シート原稿を読取位置に搬送するための1対の第1リードローラー40が、前記第2画像読取部の下流側に、前記シート原稿を排出方向に送り出すための1対の第2リードローラー41が配置されている。第1原稿搬送経路36の終端には、シート原稿を第1排紙トレイ35に排出するための1対の排紙ローラー42が配置されている。
【0050】
給紙トレイ33の略中央には、カード原稿Cの給紙口43が開設され、それに連続して複数のカード原稿Cを載置しかつ前記給紙トレイの下方へ案内するために傾斜したカード給紙ガイド44が設けられている。給紙口43の開口幅は、予め想定されるカード原稿の幅寸法よりも大きくなるように設定される。下部ユニット21の第1排紙トレイ35とは反対側の端部には、読取処理したカード原稿を排出収容するための第2排紙トレイ45が設けられている。
【0051】
上部ユニット23の内部には、カード原稿をカード給紙ガイド44から第2排紙トレイ45まで搬送する第2原稿搬送経路46が設けられている。第2原稿搬送経路46の最も上流には、カード給紙ガイド44内の最上位置のカード原稿Cに当接して、これを前記第2原稿搬送経路に繰り出すための第2繰出しローラー47が配設されている。更に第2繰出しローラー47の同軸上にカード原稿を確実に1枚ずつ分離する第2給紙ローラー48と、これに当接する分離ローラー49とからなるカード分離機構が設けられている。
【0052】
第2給紙ローラー48の直ぐ下方には、斜めに繰り出されたカード原稿を水平にするために、水平な底面50aと概ね垂直な後壁面50bとを有する概ねL字形のカード搬送ガイド50が設けられている。カード搬送ガイド50には、後壁面に突出するようにパドルローラー51が回動自在に設けられている。パドルローラー51によって、落下してくるカード原稿の後端が後壁面50bに引っ掛かることが防止され、カード原稿が底面50aに確実に水平に配置される。これにより、カード搬送ガイド50の底面50aから第1及び第2画像読取部24,28間を通過して外部に至る略水平かつ直線状のカード原稿搬送路が画定される。
【0053】
カード搬送ガイド50と第2画像読取部28との間には、第2原稿搬送経路46の上側に第3リードローラー52が配置されている。更に、第2画像読取部28の直ぐ下流側には、第2原稿搬送経路46の上側に第4リードローラー53が配置されている。
【0054】
第2画像読取部28は、
図1の画像読取装置1の画像読取部4と同様に、第1及び第2原稿搬送経路36,46の一部を構成する第1プラテンガラス23に対して所定高さの標準位置に設置されている。この標準位置の高さは、シート原稿及びカード原稿が第2プラテンガラス33と第1プラテンガラス23間の隙間を通過することができ、かつその原稿面の高さ位置がロッドレンズアレイ31の焦点深度の範囲内であるように設定される。
【0055】
第2画像読取部28は、図示しない昇降手段によって垂直方向に、第1プラテンガラス23に向けて接近・離反するように変位させることができる。本実施態様では、第2画像読取部28全体が一体となって変位するように構成される。しかし、第2画像読取部28のハウジング29だけが変位するように構成することもできる。
【0056】
第2画像読取部28は、前記昇降手段によって、前記標準位置から第1プラテンガラス23上面に向けて、前記原稿搬送経路を遮断するように下降させることができる。この下降は、少なくともハウジング29の前記原稿搬送経路に沿って前後両側の側壁29a、29bが第1プラテンガラス23上面に接触し、その間に1枚のシート原稿及びカード原稿も侵入し得ないように設定する。
【0057】
画像読取装置20によりカード原稿を読み取る場合の動作を説明する。先ず、カード給紙ガイド44にカード原稿Cを載置すると、これを検知センサー54が検知し、読取スイッチ(図示せず)をオンにすると、第2繰り出しローラー47及び第2給紙ローラー48の回転によって、カード原稿Cが1枚ずつ第2原稿搬送経路46に給送される。
【0058】
第2繰り出しローラー47から繰り出されたカード原稿Cは、カード搬送ガイド50に落下する際に検知センサー55によって検知され、それに対応して第2画像読取部28が下降し、ハウジング29の側壁29a、29bが第1プラテンガラス23上面に当接して第2原稿搬送経路46を遮断する(
図4(A))。
【0059】
これと同時に、第3リードローラー52が、カード搬送ガイド50の底面50aに水平に配置されたカード原稿Cの上面に接触するように移動し、かつ回転してカード原稿Cを第2画像読取部28に向けて給送する。カード原稿Cは、その先端をハウジング29の上流側の側壁29aに当接させて停止する。第3リードローラー52は、カード原稿Cの停止後、一定時間だけ回転させ続けた後停止する。これによって、カード原稿Cの先端位置を揃え、スキューを補正することができる。
【0060】
第3リードローラー52の停止後、前記昇降手段を作動させて第2画像読取部28を前記標準位置まで上昇させる。これにより、カード原稿Cの先端はハウジング側壁29aとの当接が解除される。再び第3リードローラー52を回転させることによって、カード原稿Cは第2原稿搬送経路46に沿って搬送され、第1画像読取部24及び第2画像読取部28によって表裏両面の画像が読み取られる(
図4(B))。
【0061】
第1及び第2画像読取部24,28を通過したカード原稿Cは、第4リードローラー53の回転によって排出され、第2排紙トレイ45に落下して収容される。カード原稿Cの排出は、第4リードローラー53の位置に設けた検知センサー56によって検知され、この後に読取処理するカード原稿が無い場合には、読取処理を終了する。
【0062】
画像読取装置20は、シート原稿を読み取る場合も、上述したカード原稿の場合と同様に動作する。先ず、給紙トレイ33にシート原稿Sを載置すると、これを第1繰り出しローラー37の位置に設けた検知センサー57が検知し、読取スイッチ(図示せず)をオンにすると、第1繰り出しローラー37及び第1給紙ローラー38の回転によって、シート原稿Sが1枚ずつ第1原稿搬送経路36に給送される。
【0063】
シート原稿Sの先端が第1リードローラー40の手前を通過すると、これを検知センサー58が検知し、それに対応して第2画像読取部28が下降し、第4リードローラー53が上昇し、
図4(A)に関連して説明したと同様に、ハウジング29の側壁29a、29bが第1プラテンガラス23上面に当接して第1原稿搬送経路36を遮断する。
【0064】
シート原稿Sは、第1リードローラー40の回転によって、引き続き第2画像読取部28に向けて給送され、その先端をハウジング29の上流側の側壁29bに当接させて停止する(
図4(C))。第1リードローラー40は、シート原稿Sの停止後、一定時間だけ回転させ続けた後停止させる。これによって、シート原稿Sの先端位置を揃え、スキューを補正することができる。
【0065】
第1リードローラー40の停止後、第4リードローラー53が下降し、スキュー補正されたシート原稿Sを第1プラテンガラスの上面との間で挟む。その後、第1リードローラー対40を、図示しない作動機構(例えば、ソレノイド等)により互いに離間させる。この動作により、ハウジング29の側壁29bによってスキュー補正されたシート原稿Sと第1リードローラー40との間にできる弛みを、原稿搬送方向に関して一定の量にすることができる。
【0066】
その後、再び第1リードローラー40をシート原稿Sにニップさせ、第4リードローラー53を上方へ待避させる。そして、前記昇降手段を作動させて第2画像読取部28を前記標準位置まで上昇させる。これにより、シート原稿Sの先端はハウジング側壁29bとの当接が解除される。再び第1リードローラー40を回転させることによって、シート原稿Sは第1原稿搬送経路36に沿って搬送され、第1画像読取部24及び第2画像読取部28によって表裏両面の画像が読み取られる。
【0067】
第1及び第2画像読取部24,28を通過したシート原稿Sは、第2リードローラー41の回転によって第1排紙トレイ35に向けて搬送され、排紙ローラー42の回転によって前記第1排紙トレイに排出され収容される。シート原稿Sの排出は、排紙ローラー42の手前に設けた検知センサー59によって検知され、この後に読取処理するシート原稿が無い場合には、読取処理を終了する(
図4(D))。
【0068】
図5(A)、(B)は、画像読取装置20の第2実施態様の要部及びその動作を示している。第2実施態様において、カード原稿を読み取る場合について説明する。第2実施態様は、第2画像読取部28が前記標準位置に固定されかつ該第2画像読取部の前記昇降手段が省略され、その代わりに、カード搬送ガイド50の底面50aに昇降可能な補助ガイド60が設けられている。
【0069】
補助ガイド60は、その上面が初期状態で第2画像読取部28のハウジング29の下端より高い位置にあるように設定されている。カード給紙ガイド44から第2繰り出しローラー47により繰り出されたカード原稿Cは、カード搬送ガイド50に落下すると、補助ガイド60の上面に配置される。この状態で第3リードローラー52を回転させて、カード原稿Cを第2画像読取部28に向けて給送する。
【0070】
第2原稿搬送経路46より高い位置で搬送されたカード原稿Cは、その先端をハウジング29の上流側の側壁29aに当接させて停止する(
図5(A))。第3リードローラー52は、カード原稿Cの停止後、一定時間だけ回転させ続けた後停止する。これによって、カード原稿Cの先端位置を揃え、スキューを補正することができる。
【0071】
第3リードローラー52の停止後、補助ガイド60をその上面がカード搬送ガイド50の底面50aと同じ高さになるまで下降させる。別の実施態様では、補助ガイド60をカード搬送ガイド50の底面50aより下方まで下降させ、カード原稿Cが底面50a上に配置されるようにすることができる。
【0072】
これにより、カード原稿Cの先端はハウジング側壁29aとの当接が解除される。再び第3リードローラー52を回転させることによって、カード原稿Cは第2原稿搬送経路46に沿って搬送され、第1画像読取部24及び第2画像読取部28によって表裏両面の画像が読み取られる(
図5(B))。カード原稿Cが読み取られると、補助ガイド60は前記初期状態の高さに復帰する。
【0073】
次に、第2実施態様においてシート原稿を読み取る場合を説明する。第2実施態様の第1原稿搬送経路36には、第2画像読取部28の直ぐ上流側に、カード原稿の補助ガイド60と同様に昇降可能な搬送ガイド61が設けられている。搬送ガイド61は、その上面が初期状態で第2画像読取部28のハウジング29の下端より高い位置にあるように設定されている。
【0074】
第1リードローラー40の回転によって第2画像読取部28に向けて給送されたシート原稿Sは、第1原稿搬送経路36より高い位置にある搬送ガイド61の上面を搬送され、その先端をハウジング29の上流側の側壁29bに当接させて停止する(
図5(C))。第1リードローラー40は、シート原稿Sの停止後、一定時間だけ回転させ続けた後停止する。これにより、シート原稿Sの先端位置を揃え、スキューを補正することができる。
【0075】
第1リードローラー40の停止後、搬送ガイド61をその上面が第1原稿搬送経路36と同じ高さになるまで下降させる。別の実施態様では、搬送ガイド61を第1原稿搬送経路36より下方まで下降させ、シート原稿Sが第1原稿搬送経路36上に配置されるようにすることができる。
【0076】
これにより、シート原稿Sの先端はハウジング側壁29bとの当接が解除される。再び第1リードローラー40を回転させることによって、シート原稿Sは第1原稿搬送経路36に沿って搬送され、第1画像読取部24及び第2画像読取部28によって表裏両面の画像が読み取られる(
図5(D))。シート原稿Sが読み取られると、搬送ガイド61は前記初期状態の高さに復帰する。
【0077】
図6(A)、(B)は、画像読取装置20の第3実施態様の要部及びその動作を示している。第3実施態様では、第2画像読取部28が、前記原稿搬送経路に対して、原稿の搬送方向に直交する水平な回転軸62を中心に、該搬送方向に関して前後に傾動するように設けられている。第2画像読取部28の傾動は、図示しない駆動手段によって、
図4の第1実施態様と同様に行われる。
【0078】
図6(A)は、第2画像読取部28を前記標準位置から、第2原稿搬送経路46の搬送方向に関して後方に傾動させた場合を示している。第2画像読取部28は、ハウジング29の側壁29aが回転軸62を中心に図中時計方向に回転し、該側壁の下端が第2原稿搬送経路46の上面に当接して、該第2原稿搬送経路を遮断している。
【0079】
これにより、第3リードローラー52の回転によって給送されたカード原稿Cは、その先端をハウジング29の側壁29aに当接させて停止する。第3リードローラー52は、カード原稿Cの停止後、一定時間だけ回転させ続けた後停止する。これによって、カード原稿Cの先端位置を揃え、スキューを補正することができる。
【0080】
第3リードローラー52の停止後、前記駆動手段により逆向きに回転させて第2画像読取部28を前記標準位置まで戻す。これにより、カード原稿Cの先端はハウジング側壁29aとの当接が解除される。再び第3リードローラー52を回転させることによって、カード原稿Cは第2原稿搬送経路46に沿って搬送され、第1画像読取部24及び第2画像読取部28によって表裏両面の画像を読み取ることができる。
【0081】
図6(B)は、第2画像読取部28を前記標準位置から、第1原稿搬送経路36の搬送方向に関して後方に傾動させた場合を示している。第2画像読取部28は、ハウジング29の側壁29bが回転軸62を中心に図中反時計方向に回転し、該側壁の下端が第1原稿搬送経路36の上面に当接して、該第1原稿搬送経路を遮断している。
【0082】
これにより、第1リードローラー40の回転によって給送されたシート原稿Sは、その先端をハウジング29の側壁29bに当接させて停止する。第1リードローラー40は、シート原稿Sの停止後、一定時間だけ回転させ続けた後停止する。これによって、シート原稿Sの先端位置を揃え、スキューを補正することができる。
【0083】
第1リードローラー40の停止後、第4リードローラー53が下降し、スキュー補正されたシート原稿Sを第1プラテンガラスの上面との間で挟む。その後、第1リードローラー対40を、例えばソレノイド等の作動機構(図示せず)により互いに離間させる。この動作により、ハウジング29の側壁29bによってスキュー補正されたシート原稿Sと第1リードローラー40との間にできる弛みを、原稿搬送方向に関して一定の量にすることができる。
【0084】
その後、再び第1リードローラー40をシート原稿Sにニップさせ、第4リードローラー53を上方へ待避させる。そして、前記駆動手段を逆向きに作動させて第2画像読取部28を前記標準位置まで戻す。これにより、シート原稿Sの先端はハウジング側壁29bとの当接が解除される。再び第1リードローラー40を回転させることによって、シート原稿Sは第1原稿搬送経路36に沿って搬送され、第1画像読取部24及び第2画像読取部28によって表裏両面の画像を読み取ることができる。
【0085】
図7は、画像読取装置20の第4実施態様の構成を示している。第4実施態様では、第1画像読取部24及び第2画像読取部28の照明装置25,30が、それぞれカード原稿の搬送方向に関してロッドレンズアレイ26,31の上流側に配置されている。更に、前記第1及び第2画像読取部のロッドレンズアレイ26,31の光軸26a,31aが、第2原稿搬送経路46に沿って互いに異なる位置に配置されている。
【0086】
一般に、CISで原稿を安定して鮮明に読み取るためには、原稿面が読取位置を所定の一定の読取速度で通過することが好ましい。上述した本発明の画像読取装置では、第2画像読取部28のハウジング側壁29aでカード原稿を一旦停止させ、スキュー補正をした後、再び搬送を開始する。そのため、読取位置を通過する前に、カード原稿の搬送速度を停止状態から所望の読取速度まで加速することが好ましい。しかしながら、カード原稿の急激な加速は、その搬送速度を不安定にする虞がある。
【0087】
第4実施態様では、前記第1及び第2画像読取部の照明装置25,30をロッドレンズアレイ26,31の上流側に配置されるので、カード原稿が所望の読取速度に加速されるまでの搬送距離を長く設定できる。従って、一旦停止したカード原稿の急激な加速が回避され、安定した搬送速度を得ることができる。
【0088】
また、対向配置した第1及び第2画像読取部24、28から照射光が同じ向きに照射されると、それらが互いに干渉して読取精度を低下させたり悪影響を及ぼす虞がある。第4実施態様では、前記両画像読取部のロッドレンズアレイ26,31の光軸26a,31aを上述したように配置することによって、照射光の干渉を有効に防止している。
【0089】
以上、本発明を好適な実施態様に関連して説明したが、本発明は上記実施態様に限定されるものでなく、その技術的範囲において、様々な変更又は変形を加えて実施し得ることは言うまでもない。例えば、上記実施態様では、シート原稿とカード原稿の搬送経路を逆向きにすることによって、装置全体の小型化を図っているが、シート原稿とカード原稿の搬送方向を同じ向きにすることもできる。